ドロドロおすすめアニメランキング 27

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83.1 1 ドロドロアニメランキング1位
クズの本懐(TVアニメ動画)

2017年冬アニメ
★★★★☆ 3.6 (1024)
5254人が棚に入れました
報われない恋 切ない恋 片想い それってそんなに美しい物ですか 高校二年生の安楽岡花火は、叶わぬ恋に身を焦がしていた。大事な人を傷つけ、傷つけられながらも求めてしまう人のぬくもり。これは、あまりにも純粋で歪んだ恋愛ストーリー。

声優・キャラクター
安済知佳、島﨑信長、戸松遥、井澤詩織、野島健児、豊崎愛生
ネタバレ

HmFDB75691 さんの感想・評価

★★★☆☆ 3.0

エッチシーンを見せて青少年からお金を搾取する制作者が一番のクズ

恋愛ものにありがちなご都合主義を感じるものの、今期のアニメでは期待できる。

第1話 あのシーンを分析してみた
{netabare}
お互いに好きな人がいて協力しあう話はよくある。この作品はちょっと違う。
退廃的なエッチシーンがあった時点で、好きな人と結ばれるハッピーエンドは消えた気がする。協力し合った相手と結ばるベタな展開にもならないのだろう。

代わりに触ってもらうというのは無理がある。妹や弟という設定でよく似ているなら体を求めるのはわかる。似てもいない人にそこまでの行為は求めないだろう。同じ境遇だからと解釈するのも不自然。妄想力が高くても脂ぎったデブだったら触られたくもないはず。

ベッドシーンに至ったのは、イケメン、美少女だからであって、それ以外の理由はない。
花火の心理描写を疑っているというのもあるが、このほうがタイトルにあっていると思う。

安楽岡花火役の安済知佳さんは、麗奈をやっていた声優。また実らない?恋をする女子高生役。ちょっとまえにチャイカをやっていたとは思えない。
{/netabare}

第2話 百合か
{netabare}
花火が百合に目覚めて男を見切る話ならいいなあ。
ただ、絵鳩早苗役の戸松遥さんが某ウォッチアニメの少年役の声みたいで、百合というよりショタ。タチ位置を考えるとこういう声になってしまうんだろう。
OPを見てる時点で百合だとは思った。五人が寝ているシーンが人物関係を示しているように見えたから。

鴎端のり子(モカ)はcvが井澤詩織さんなので、もっといじわるなキャラと思っていた。お笑い担当みたいだった。高校生には見えないし、制服も違うから中等部なのか。井澤さんは声が特徴的で、主役キャラを演じたら面白いアニメができると思う。

恋愛相談にきた女子高生キャラの演技がうまいのでEDを調べたらけっこうな声優さんを起用していた。たぶん、津田美波さんと朝井彩加さん。「ユーフォ」の葉月が麗奈に相談していると考えるとちょっと面白い。この恋愛相談だけど、花火の状況とさして変わらない気がする。

EDを見てて気になったのは、早川芽衣(cv:藤井ゆきよ)。麦が思い浮かべたショートヘアの女性だと思う。藤井さんは「甘城ブリリアントパーク」でラティファをやっていた声優さん。
{/netabare}

花火の心理を分析してみた
{netabare}
花火の心理状態は、お兄ちゃんに振られたくないから、同じ境遇を理由にイケメンの麦と一緒にいる、とみている。
これは、テスト勉強中に掃除をしたくなる心理とよく似ている。テスト(お兄ちゃん)、部屋の汚れ(同じ境遇)、掃除(麦)と考えればいいだろう。
調べてみたら「セルフ・ハンディキャッピング」という名前があった。テストの結果が悪かったとき掃除をしていたからと言い訳をするためらしい。

つまり、花火は振られたときの言い訳のために麦とつきあっている(本人にはそんな意識はないだろうが)。

「わたし、全然勉強してないんだ」と同じように、「わたし、クズのようなことしているんだ(だからお兄ちゃんに振られてもしかたない)」と思うことで、傷つくことをやわらげようとしているのかもしれない。

恋愛相談の花火の回答は、「苦しみきったほうがいい」だった。花火が心情を吐露したように見えるがそうではない。花火はテスト勉強(苦しみ)をせずに掃除(麦)をしているのだから。

女子高生としては常軌を逸した行動もわかってくる。一般的にはやけ食いで済ませるが、花火はその程度ではバランスをとれない。それだけ想いが深いといえる。エッチシーンに目を奪われがちなアニメではあるが、こう分析するとずいぶん印象が変わると思う。
{/netabare}

第3話 三人の女性キャラは花火自身でもある?
{netabare}
花火と早苗(えっちゃん)が似た者同士だとわかるシーンがある。

「知ってるよ。だって花火のこと見てたもん。わかるもん」(第3話の早苗)
「ずっとお兄ちゃんだけ見てきた。だからお兄ちゃんより先に気づいてしまった」(第1話の花火)

二人のセリフがよく似ているのがわかる。早苗の花火に対する気持ちは、花火が持っているものと同じくらい大きい。
早苗に対して重いと感じたことは、当然、花火にも該当するのだが、前回書いたように花火は逃避(掃除)しているので、その重さや苦しみに気づかずにいる。
麦と同じことを早苗にさせなかったのも、まじめに勉強している人(早苗)より、サボっているやつ(麦)を誘うのが自然な行動だから。

モカが叫んでいたセリフも、好きでもない男をもてあそんでいる茜も、花火自身に当てはまる。
まとめると、早苗=苦しみ、モカ=純粋な気持ち、茜=嫌悪感、といった感じで三人の女性キャラは花火自身を表している気がした。

花火と同じ気持ちになぜ麦がならないのか。花火は好きになりたいと言っているが、麦は過去に同じことをしていて結局は別れることを知っているからだと思う。

花火と麦は同じ境遇で苦しんでいるとは見ていない。現時点で苦しんでいるのは早苗とモカがちょっとだけかな。行為が過激になっても、これは逃避行動なのでむしろ危険な兆候だと考える。その手の恋愛ものはよくあるので。
{/netabare}

第4話 えっちゃんとあれした理由を考えてみた
{netabare}
えっちゃんは相当なテクニシャン。いくらなんでも女性を男の代わりにはできないから、花火は女の子の指に感じていることになる。「じゃないと、これやめる」の焦らしプレイに花火は新しい世界を知ったんだろう。

では、ここからはまともな感想。
雨に注目する感想がなかったのは意外。麦とエッチしたときも雨が降っていた。花火が一線を越えたときのシチュエーションなんだろう。男から女に乗り換えたとは思えないけど。

花火は恋愛に関してストレスを受けると逃避する。茜に告白していたところを見て麦の所に向かった。だけど、麦が振られたときの顔を見るかもしれない。これは茜に感じていた嫌悪感に通じる。(花火は茜がしていることに薄々感づいているんだと思う)

そして、えっちゃんと会う。
えっちゃんの好意を拒否することはできない。なぜなら、大事な友達が振られたときの顔を見たくないから。その結果、女の子同士のエッチなシーンに突入、そう解釈した。


ネットの感想を読むと、花火は切なく、茜はクズというのが多かった。だけど、花火も”搾取される側になりたくない”から、好きでもない麦に逃避していた。
”好きな気持ち(好意)を向けられると気持ちよくなる”も、早苗との会話で似たようなことを言っている。

第3話で、「この空みたいにすっきりした気持ちなの」と花火が思ったのがよくわからなかった。今回の話とつなげて考えると、茜が男を連れていたのを見て、麦が搾取された側だと花火は考えたのではないだろうか。それに気づかない麦を見て、すっきりした気持ち(快感)になったのではないか。

さらに、誰も見抜けなかった茜の本性を花火だけは気づいた。花火と茜は同類だという証拠にもなる。
{/netabare}

もう一人の花火(子供花火)が出てきた理由を考えてみた
{netabare}
子供の花火が出てくる心理描写がある。素直に解釈すれば、"早苗(えっちゃん)の好意を利用してなぐさめてもらった"となる。だけど、なぐさめてもらったら仲は深まるので、「もうえっちゃんとは友達に戻れないね」と矛盾する。
それに、早苗が自覚しているように、花火の逃避する心に付け入り、体を求めているのは、麦や早苗のほうである。

”他人の好意を利用する”これを茜に適用すると、こうなる。
茜は鳴海(お兄ちゃん)の好意を利用して、花火を傷つけた。
同じように花火に適用した場合、
花火は早苗の好意を利用して、Aを傷つけた、となる。
Aは早苗を好きだと思っている人物で、花火しかいない。

花火は早苗の好意を利用して、早苗を大好きと思っている花火を傷つけた。
もう一人の花火が出てきた理由とも考えられる。

こういうことではないかと思う。
体だけでも触れたいと思う早苗の好意を花火は拒絶できなかった。なぜなら早苗が傷つく姿を見たくないから。だけど結果的に早苗を好きだった花火を傷つけてしまった。だから、もう友達に戻れないと子供花火が言った。
{/netabare}

第5話 やってるシーンばかりだった
{netabare}
エッチシーンを見せると視聴者が喜ぶから仕方ないけど、多かったなあ。あってもなくてもいいかなって感じ。見せないほうが返って色っぽくなったりするし。

芽衣が再登場したのも、麦が気づいていたのも意外だった。男キャラの心理は分析する気はないけど、ストローを嚙むところがちょっと興味を引いたかな。芽衣が登場したときも噛んだような気がする。嫉妬かほかに意味があるのか、わからない。

花火は鳴海(お兄ちゃん)が茜に接近するたびに逃避している。茜に対する好意に気づいたときは麦、告白したときは早苗。じゃあ、茜とやっちゃったあとは? 残っているのはモカしかいない。花火がどこに逃避するのか、興味深い。

ストーリーはもう少しシンプルなのがよかった。花火と茜の対立を主軸にして話が進むほうがもっと楽しめたような気がする。今後はインパクトのある出来事が起きてほしいかな。数年後にこのアニメを思い出したとき、”エッチなアニメだった”としか記憶にないアニメになってほしくない。

エッチシーンばかりだったので、今回は書くことが少ない。なにか思いついたら追加すると思う。
{/netabare}

三人の女性キャラについて考えてみた
{netabare}
高級レストランでなく立ち飲み屋、シティホテルでなくラブホテル、金品を要求せず、好きになってくれた男に体をささげる。これが茜というキャラ。心理描写のせいで少しオーバーに受け取られている。茜は刺激を欲しているより、執着している気もする。

芽衣はデータ不足なので判断が難しい。ストローを噛んでいるのはストレスだろう。麦が一年で芽衣が三年なら、受験が考えられる。芽衣は麦が好きなような気もする。根拠は、芽衣が茜の本性を教えたところ。麦を好きでないなら、茜のことを諦めさせたりしないから。

最後に花火。まず、前提条件として、麦は茜とベッドインしていないこと(エッチシーンが多いのでそうなのか覚えていない)。この前提条件があると、花火は麦に対して好意を持っていないと断言できる。なぜなら、茜が搾取していないから。茜の獲物を捕らえる嗅覚はとてもするどい。花火が麦ではなく鳴海が好きであることを見抜いている。麦に好意を持ち始めたかどうかは、茜を見ていればわかるだろう。
あと、子供のころに離婚があるとなると、花火はほんとうに鳴海が好きなのか疑いたくなる。
{/netabare}

第6話 なんであんたが男の落とし方を知ってんだよ
{netabare}
今回もAVみたいになるのかと思ったけど、セーブした内容だった。女性声優さんの喘ぎ声が聴けるので貴重っちゃあ貴重だけど。

見てて何度か突っ込んだ。
まず、早苗(えっちゃん)が、「男を落とすのなんて簡単だよ」と言ったところで、なんで男の落とし方知ってんだよ、って突っ込んだ。早苗が好きなのは女の子だろ。もしかしたら、花火を口説いたときの方法を言っていたのかも。

子供花火は、「おめでとう」って言ってどっかに行ったんじゃなかったのか。花火の純粋な部分が消えたと思っていた(まだ残っていると考えればいいのかも)。

久しぶりのモカ登場。井澤さんの声って、ラジオでしゃべっているときとほとんど変わらない。

あとは心理描写がくどかったなあ。女子高生がそこまで考えて恋愛するのかって、思ったりした。演技しても男に見抜かれている気もするし。

印象に残ったのはこんなところかな。また思いついたら書くつもり。
{/netabare}

ターニングポイントについて考えてみた
{netabare}
花火はショックを受けたとき、逃避するように麦や早苗と一線を越えた。今回も誰かとエッチすると思った。チャラ男に処女を奪われそうにはなったが、一線を越えたとは言えない。ほかのシーンも過激ではなかった。
茜と鳴海の肉体関係を知っても動揺しないほど、花火は変わったと考えられる。ターニングポイントは早苗とエッチしたときだろう。

失恋したからといって同性エッチは無理がある。きれいに描かれてありそうに見えるが、ノーマルな男に置き換えれば、まずありえないとわかる。ありえないことをしたのだから、花火にとって早苗の存在は鳴海と同等か、それ以上と言える。
花火が変わったなら、それは茜に鳴海を奪われたことでなく、早苗との関係を壊したことが原因とも考えられる。
{/netabare}

ここまでの花火の行動をまとめてみた
{netabare}
花火には好意を寄せる男がわんさかといて、搾取される側とは縁遠い状態だった。花火の行動は自尊心を守るためとも考えられる。花火のこれまでの行動を三段階に分けて説明してみる。

・搾取されるまえ(茜に対する鳴海の気持ちを知ったとき)
搾取される不安から、花火は麦に逃避した。麦とつきあうのは自尊心を守るためでもある。
体を求めたのは麦(後ろから抱きついたのはあるが)で、妄想しながらのエッチを花火に伝授した。麦が妄想エッチを経験済みなのは、「あのカテキョの女が好きなんだろ」という芽衣のセリフからうかがえる。

・搾取中(鳴海が茜に告白したのを見る)
花火は搾取された側になった。逃避する理由もなくなったので、麦のところに行かなかった。
早苗(えっちゃん)とエッチしたのは、早苗との関係を壊したくない気持ちと、早苗がその気持ちを利用したにすぎない。

・搾取されたあと(茜から「しちゃった」と言われた)
花火は自尊心を守るため、麦とつきあうと告げる。
早苗は花火をよく知っている。花火の嘘も見抜いているから、「だから、なに」と言った。男の落とし方を教えたのも花火がチャラ男のようになっている間は、早苗もいちゃいちゃできると考えているから。花火が真剣に恋をすれば、早苗もじゃまはしないだろう。

搾取される不安から解放されたが、花火は傷つけられた自尊心を回復させるため、茜に勝ちたいと思い込む。とても幼稚なことなので、子供花火にガキ呼ばわりされた。子供時代の回想シーンから考えて、子供花火は花火自身を過剰に傷つける存在かもしれない。
{/netabare}

第7話 モカも、か……
{netabare}
モカのエッチシーンはないと思ってた。驚いたというより、若干引いた。エッチシーンを見せるためにキャラをクズにさせている気もする。全キャラクターのエッチシーンを見せられて、もうおなかいっぱい。

モカの服装や振る舞いは童話のお姫様からきていた。麦(王子様)にとって特別な存在(お姫様)で、モカもそれを自覚していた。だけど、二人の関係はシンデレラでも白雪姫でもない。
だから、モカは人魚姫を選んだ。
デートのあと別れたら物語は完結し、モカの頭の中で何度も再生できた。

キスはモカが涙を見せて誘った。子供のころの頭なでなでがバージョンアップしたと考えればいい。
涙が落ちたあと波紋になったのも、周りに影響を与えること(モカが可愛いと思ってしまう)を意味している。だから、切ないシーンではないと思う。

モカは早苗(えっちゃん)とよく似ている。
花火にとって早苗は大切な友だちで、早苗はその気持ちを利用して、花火に触れた。
麦はモカを大切に思っていて、モカはその気持ちを利用して、麦に触れようとした。

好きな相手を振り向かせる過程をすっ飛ばして、触りたい気持ちを優先させたところも共通している。
{/netabare}

映画と涙は伏線になっている
{netabare}
ネットの感想を読んでも映画や涙の形について書く人はまったくいなかった。二度出てくるので伏線だと疑いたくなると思うんだけど、モカの脱がされっぷりがよすぎたんだろうな。

モカが映画を観ていたとき流した涙が泡になっていくのは、人魚姫のラストを示唆している。
麦がエッチをやめたときにも同じ涙をモカは流している。
映画と涙が伏線になっているのは明らか。その根拠がこのセリフ。

「麦と同じ世界に行きたかっただけよ。それが叶わないならそんな特別なんて……」

人魚姫は王子様と同じ世界に生きられず、海の中で泡となって消えた。
麦にとっての特別な存在(お姫様)である限り、麦と同じ世界には行けないので、モカの中のお姫様も泡となって消えた、こう解釈できる。

"行きたかった"なのか"生きたかった"なのかが、アニメではわからない。どっちもあてはまりそうだけど、方向を差すと思ったので、"行きたかった"を選んでみた。
{/netabare}

第8話 意外な展開を期待したが、普通だった
{netabare}
まず、ここにきて新キャラ出すな。話を収束せず拡大させてどうする。花火から早苗を引き離すための前フリか?

花火と麦の告白結果は普通。意外な展開を期待したので残念。

花火は逃避ばかりしていた。苦しみぬいたあげくに告白したわけではない。告白を決めた動機も薄っぺらい。いまの状況から抜け出すために告白を選んだようにも見える。
だから、告白シーンに感動はない。でも、感動するように描いているのが違和感あった。

茜は搾取される人を見て喜ぶキャラなので、麦に手を出す理由がわからない。二人が振られたあとにつきあうことを見越して麦を搾取したなら、ラスボス感たっぷりだけど。麦に対して特別な感情を持っているとも考えにくいし、茜が麦の告白によって心を入れ替えたとも思えない。
{/netabare}

花火が見た夢について考えてみた
{netabare}
花火が誰かと結ばれる結末はないと思っている。だから、手を繋いでいるのは花火ではない。その前のシーンを涙と考えれば、涙を流しながら去っていく二人を花火が見ている感じ。
それから、花火が処女のまま終わるのも不自然。茜に搾取された麦を取り戻すために麦と寝る。だけど、麦が選んだのは花火でも茜でもなく、モカだった。花火は茜と同類だと気づかされ、涙を流しながら手を繋いで去るモカと麦を見ている……。夢が伏線ならこんな感じがいいと思う。

問題なのは、早苗。新キャラは花火から早苗を引き離す役としか思えない。その場合、早苗を両刀使いに変えなければいけない。これは難しそう。
花火のロストバージンがあるのか、早苗が両刀使いになるのか、今後の展開でその点が気になる。
{/netabare}

第9話 つきあっちゃえばいいじゃん
{netabare}
きれいに終わらせるためか、キャラクターがまともになってきた。急な感じもするし、クズからまともになる過程が描き切れていない。
花火が失恋したから早苗(えっちゃん)も身を引いた……この展開に違和感がある。花火は失恋が嫌でクズに逃避して、チャラ男のようになった。そんな花火だから早苗はエッチまでした。早苗が身を引くほどの変化は花火にまだないと思う。

告白はしたけど、早苗に感じた"重さ"を見せていない。恋愛ものなら花火が本気で恋をするのが一番大事なところなのにそれがない。クズになる過程は面白かったが、恋愛になると薄っぺらい感じがする。

それに、花火が失恋したなら、早苗にとってはチャンス。早苗を代わりにする必要もないし、花火も女の子同士のエッチに目覚めてきた。仕切り直して二人がつきあうのが自然な流れじゃないか。百合がテーマではないから無理だけど。

あとは、雨で始まって雨で終わったのは、麦とも同じことがある前フリかなって思った。
{/netabare}

第10話 いろんな茜が出てきて面白かったけど……
{netabare}
豊崎愛生さんのいろんな声が聴けた回で、そういった意味では貴重だった。
ストーリーのほうはトーンダウン。最終回が近づいていっせいにまともになるのはどうかと思う。

麦が執着心を捨てて変わろうとするのは、モカの影響だろう。デートをするところも似ている。まともになる経緯を心理面で済ませるから物足りない。それに麦が執着するのは下半身。茜が美人でなければ麦の心理描写も説得力あった。

茜にいたっては、クソビッチと言ったり、これしか知らないとか、寂しい女を視聴者に印象付ける安っぽい手法。茜はラスボスなのだから、そういった一面は最終回の去り際に見せればいい。茜ですら、まともなキャラにしようとしている。

なかなかまともになれないのが、本物のクズだと思う。きれいに片付けるよりは、泥臭くしてほしかった。"クズの本懐"というタイトルがふさわしくない作品になりつつあるのは残念だ。
{/netabare}

第11話 茜というキャラについて考えてみた
{netabare}
冒頭見てて"当事者意識"ってなんだよって、突っ込んだ。温泉に行くから湯治とかけたのか。ネットの感想を読んでもあいかわらず考える人は皆無なので、勝手に解釈してみた。

茜の恋愛は一人称の"わたし"ではなく、三人称の"先生"や"女"だと思う。先生としての茜が男に抱かれているのを、茜のなかの"わたし"は、絵画でも鑑賞するように俯瞰(ふかん)して見ていた。そうなったのは高校時代で、搾取される側になりたくないから、傷つきたくないから、俯瞰するようになり、当事者意識も薄くなった。
求められるままに身体を許したのも、茜のなかの"わたし"ではないから。

鳴海が茜を抱かなかった理由は、鳴海のセリフからわかる。花火を傷つけた経験からそう言ったのだろう。
問題はそのあとの茜のセリフ。

「欲しがって欲しがって、めいいっぱい傷ついても、それがきっと特別な傷なら強くなれるから」

花火のことだと考えるのが自然。"特別な傷なら強くなれるから"は、鳴海を慰めるために茜のなかの"わたし"が考えて言った。悲しむ男の心理がわからなかった茜が理解しようとしている、そう解釈した。

そして、茜のなかの"わたし"を鳴海が抱きしめて(”見つけた”のほうがいいかも)、俯瞰していた茜が消える。

「気持ちいい」と言ったのは、花火と早苗のエッチシーンと同じで、好きな人に触れられたから。つまり、茜が鳴海を好きだと認めたことを意味する。
{/netabare}

茜の言う当事者意識について考えてみた
{netabare}
「あるじゃないわたしにも、当事者意識」と茜が言った理由について考えてみる。冒頭部分を見る限り、このアニメにおける当事者意識は恋愛に関するゴタゴタに対してだと思う。だから、茜が当事者意識があると気づいたのは、この会話がきっかけだと思う。

「大切な相手をいつか傷つけるんじゃないかって」
「それは違うわ。きっと、欲しがって欲しがって、めいいっぱい傷ついても、それがきっと特別な傷なら強くなれるから」

花火のシーンが差し込まれるので、花火に関係しているのは間違いないはず。それと、茜の恋愛経験からこのセリフが出ることはない。つまり、考えて言ったはず。

花火が振られた原因は、茜。つまり、茜は当事者である。
花火と鳴海の関係に割り込んだ当事者だから、鳴海を励ます言葉を投げたのだととれる。そのあとハッとなり、当事者であることに茜は気づく。空中にいる茜を見て驚いたわけではない。

ただ、この時点で当事者意識が芽生えたとするなら、俯瞰する茜は消えてなければおかしい(若干薄くはなっている)。たぶん、消えることを視聴者にわからせるための演出なのだろう。
{/netabare}

最終話 花火の夢の伏線は、回収されたのか
{netabare}
可もなく不可もない順当な終わり方だった。
最終話なのに泣ける要素はまったくなかった。花火と麦が別れるところが泣けるんだろう。だけど、第1話のレビューで書いたように、二人が結ばれる結末はないとわかりきっている。
エッチしたりチュッチュッしてたのに、さらにハッピーエンドまでつけたらサービスしすぎだろ。

花火と茜の確執があっさり片付いているのも気になった。茜が変わったと視聴者はわかるけど、花火にはわからないはず。茜を改心させるほどの包容力が鳴海にあることを、花火の視点でもっと描くべきだった。

それと、女子高生の茜が消えたように、子供の花火が消えるシーンがない。花火が変わったとわかる場面もほとんどないので、茜との確執が残っているほうが自然な気がした。

花火の夢に出てきた手をつなぐ二人は、花火と麦でいいのかな。茜と鳴海も考えられるが、手をつなぐのではなく、繋いでいた手を離すというほうが伏線の回収っぽい。
{/netabare}

総評 エッチシーンを見せて青少年からお金を搾取する制作者が一番のクズ
{netabare}
面白いアニメだったが、この作品でだれが一番クズかと問われたら、制作者と答えたくなる。
では、よかった点とイマイチだった点を挙げる。


よかった点

・クズになる過程
好きな人がいる男女が協力する話はよくあるけど、そこにエッチシーンを混ぜることでクズにさせたのは面白い。エッチなシーンはクズと見なされる傾向があるので、それをうまく使ったようにも思える。

・わかりそうでわからない心理描写
答えのない謎を解くようで楽しめた。簡単に答えが出たら物足りなかっただろう。いろいろ解析してみたが、はっきりと答えは出ず、アニメが終わってもモヤッとしている。中途半端というより余韻を残したと好意的に考えている。

・音楽
これはアニメに対する評価となる。
第七話で、モカから流れ星を見ている花火に切り替わるときの音楽がとてもよかった。いつもそばにいた麦がモカのところにいて、それを知らない花火が流れ星を見ているのが切ない。曲の入り方もよかった。
茜のときも流れたので心理面に変化があったときに流れるのだろう。原作をさらにバージョンアップさせたと思っている。


イマイチだった点

・クズになる過程は面白かったが、恋愛になると薄っぺらい感じがする
花火がまともになってから周りのキャラも、じゃあ、おれも、わたしも、って感じで、次から次へとまともになるのは、きれいに片付けすぎ。

第7話の花火はかなり追い込まれていた。だから、告白を決心したのも逃避行動に見える。「搾取される側になりたくない」が茜のクズの出発点だったように、第7話が花火の原点だと思った。流れ星とかで気持ちが変わる展開もあるのはわかる。だが、クズっぷりが濃厚だっただけに、薄っぺらい感じがした。

・インパクトのある出来事がなく、エッチシーンで補っている気がする
恋愛ものは事故や事件があって二人の仲が急接近する展開がよく見られる。この作品ではそれがなく、代わりにエッチシーンが多かった。クズっぷりを見せるためだが、茜だけでよかった気がする。アニメはパンチラだけで十分と思う。


このアニメはサラッと見るほうが泣けると思う。深く見ると恋愛ものにも関わらず、主役の花火が本気で恋愛していないし、心理面の変化を描ききれていないことがわかってしまう。
それと、花火と麦がチュッチュッするのを思い出しても、花火の葛藤を思い出す人は少ない。この作品は心理描写が面白いのに、エッチなアニメと記憶されそうなのが残念。
{/netabare}

投稿 : 2024/05/04
♥ : 13
ネタバレ

明日は明日の風 さんの感想・評価

★★★★★ 4.1

めんどくさい男女間の恋愛模様を描いた作品…初恋の終わりと本物を探す答えを問う

高校生と先生の恋愛観を一人の女の子目線から描く物語といったところでしょうか。どろどろっぽいですが、単に「めんどくさい」恋愛と見た方がいいように思いました。
好きな相手に好きって言えず、ズルズルと似たような状況の男の子と恋愛にもならない付き合いをする日々。好きな先生の思い出に浸り、だからなんだ…と言いたくなります。その先生の相手の女性教師、どう見てもビッチでしょう。この流れだとそんな予感がします。

と、なんだかんだと言いながら見ちゃうんでしょうね…だって面白そうだし。

2話…どうしてこうなった?
{netabare}めんどくさい二人にさらにめんどくさい幼馴染みと親友が加わりました。
花火の麦に対する気持ち、最初とは違ってきているけど、気づかないという展開なんだろうか。ただ、最後にえっちゃんとやっちまってgdgdがさらに大きくなりそうな悪寒。どうしてこうなった。
麦は花火以上にめんどくさい男と見た。ビッチ先生一筋なんだろうが、イメージがでかすぎて花火にキス以上のことができない。のり子(自称モカ)は麦に何されても良い感じなのにキープにすらなっていない。据え膳食わぬは…と思うが、ピュアっていったらピュアだし、あ~めんどくせぇ~。{/netabare}

3話…花火「あ~めんどくせぇ」(視聴者の多くがそう思ってるっちゅうの)
{netabare}えっちゃんは花火に恋をしていた。花火はそれに気づかないまま泊めていたのだ。我慢しきれないえっちゃんはとうとう…(で、最後までいったかどうかは不明)。もやもやの花火、これまでの言動がブーメランとなっていて心を襲う。
一方の麦、厨房時代のことを思い出す。心が寂しい先輩にいいようにされていたこと。そこに花火が訪ねてくる。麦のベットに入り込む花火、麦は焦る、男全開だったからだ。(中略)。行為が終わったあと、二人でファミレスへ。そこにのこのことビッチ先生が若い男を連れてくる。疑う花火、麦は家庭教の教え子だという。ビッチ先生に向き合う花火、何だか火花散りそうなところで次週へ。

花火軸に展開しているから、花火の心の動きはよく分かります。形は違えど、いろいろフラフラしたり、気持ちが明後日に行ったりした覚えがあるし。麦もビッチ先生のことは全部分かっているんだけど、気持ちが否定しているのだろうと思います。
思っていた以上に青春のボロボロ感が出ていて面白いです。いよいよビッチ先生の本領が発揮されそうで、gdgdがさらに倍になりそうで…楽しみだったりします(変だろうか)。{/netabare}

4話…鳴海「あまりにも出来すぎている」(あんた、幸福者だわ)
{netabare}茜の過去が語られる。茜は他人のものを搾取するのがたまらないのだ。その為に美人であること利用する、可愛らしさを演出する。他人が評価しなくなった男には興味がなくなる。まさしくビッチ先生であった。花火を見て花火から奪うことを考えていた。同族と思ったようだ。
お兄ちゃん(鳴海)は茜と初対面で惚れた。母親を亡くしていた鳴海は心に穴があり、穴を埋める存在が茜だったということなんだろうか。そして茜に告白した。それを花火に見せつける茜。クズというより見事なクソ女っぷりである。
心が病んだ花火は麦の家に向かうが、躊躇して帰る。その時、えっちゃんが声をかける。完全にストーカーである。花火に迫るえっちゃん。花火は分かっていても止まらない。二人で家に向かい、ベットに押し倒すえっちゃん。もう止まらない(自己規制のため後略)。
再びビッチ先生こと茜と対峙する花火は問う、好きでもない男に好かれて楽しいかと。茜は答える「男から向けられる好意ほど気持ちいいものはない」と。

心が錯綜してるなぁ…。茜みたいなクズ女に穴に落とされる男が一番悪いんだけどね。気づけよ、っていっても夢中になったら男って見えなくなるからなぁ。これだけ荒いと過去に捨てた男とトラブルになっていそうなもんだが、さすがにそこまでは描かれないか。
花火はとうとうえっちゃんと一線を越えちゃった。本懐遂げたのはえっちゃんだった。花火は思っていたり、考えていたことがブーメランとなっていて刺さってくる。こういうところが茜に同族と見られちゃうんだろうな。
今週は麦なし。麦は茜のこと全部分かっていて好きなんだと思うんだが。一番大人なのは麦だったりするかも…いやいや、花火とのこと見ているとお子さまだし…。やっぱりこのアニメめんどくせぇ。{/netabare}

5話…花火「なんでかな」(知ったこっちゃない、勝手に悩め)
{netabare}花火がえっちゃんとともにベットで朝を迎えるなか、麦はビッチ茜のことを思い出していた。麦は全部を知っていた。それも含めて好きなのだ。何かモヤモヤするものを解消すべく麦は先輩を呼び、体を求めた。
モヤモヤしていた麦と花火が屋上で会う。キスをするが、今までとは違う感じで気持ちいいらしい。互いに別の人としていたことが分かった。麦に家に行く花火はしてほしいと願った。もはや約束はどうでもよくなったくらい心がモヤモヤだ。しかし、最後の一線は越えられなかった…。
一方、茜は心が空っぽだった。退屈感だけが残り、鳴海と飲みに行く。酔った茜が倒れそうになるのを鳴海が助ける。その時、鳴海から花火の名前が出たことに茜の心が燃えた。ホテルへ行き、鳴海と…。
翌日、茜が花火とスレ違い様に「昨日しちゃった」と言い次週へ。

茜が現実に先生やっていたとしたら、ビッチ先生としてとっくに学校中に噂広間って辞めていると思う。風俗行って男タブらかした方がいいでしょう。
鳴海と本当にしたのか?たぶん、してないんじゃないかなと思います。この作品なのにキスだけの描写だし、してない方が面白いです。茜にとって屈辱だと思うし。
麦と花火の関係も微妙だなぁ…。近いようで精神状態は全く逆です。花火の方がよりぐちゃぐちゃです。麦はなんだかんだで花火をよく見てます。どうなるんだろうね、この二人。{/netabare}

6話…麦「疼くよ、俺のクズ女レーダーが」(便利だな、そしてお前もクズだがな)
{netabare}クズ女から攻められる花火はどんどん迷走していく。麦に付き合おうと言い、えっちゃんとは友達に戻ると言う。しかし、えっちゃんは花火を逃さない。えっちゃんはえっちゃんで、堕ちていく花火が見たいし、すべてを受け入れるという考えだ。
ある日、クズ女とファミレスに来ていたクズの教え子とばったり。奪ってやると考えたものの、男はクズが二股どころでは無いことを承知で付き合っていたのだ。ぐちゃぐちゃな花火だが、最後の一線は越えられない。
麦はえっちゃんからカマをかけられるが、クズ女レーダーが反応した。モカが現れ、麦になんだかんだ言いながらデートの約束を取り付ける。

もう、ぐちゃぐちゃすぎて笑うしかないです。よくもまぁこれだけの男女関係を描けるものだ。でも、前回も書いた通り、ビッチ先生は噂流してしまえば簡単だと思うんだけどな、今ならSNSとかいろいろあるし。といっても、花火の人間関係が絶望的過ぎるからな…
最後、どうまとめるんだろうか。まとめ方で最後の印象全然違うでしょうね。ホント、めんどくせぇ…{/netabare}

7話…のり子(本人いわくモカらしい)「ハッピーエンドでなければ、消えた方がいい」(じゃあ消えるだろう)
{netabare}お嬢様気取りのモカ(のり子)、実は普通の家の子。自ら作ったキャラだ。麦とデートのためにいつも以上に可愛くいないといけないらしい。
一方の花火はビッチの教え子とデート(?)。このチャラ男、清々しいくらいのバカである。とにかく花火にやろうぜと迫る。「男の性欲なめんなよ」…実に清々しい。花火は難を逃れた(?)
モカとデートする麦。モカは麦が本気で好きだから…実は言い訳だった。モカは可愛いことを利用していた。麦にどうしても自分を好きでいてほしい、その一点だった。
家に連れ込む麦。頂けるものは頂く、男の本懐を実践する男である。が、寸前のところで止まる。モカは麦が本気では振り向いてくれないことを感じたのだ。
花火と会う麦、二人は邂逅し始めた。お互いに本気で好きな人にぶつかって砕けようと話し合うのだった。

のり子の回でした。どうしてもモカは言いたくないんですよね。正直、この子は嫌いなタイプ。一見、健気で麦を振り向かせようと可愛そうに見えるが、実のところ、自分の可愛いところを最大限に利用する茜と同じ。ただし、茜は奪うことに喜びを覚え、のり子は自分が好きな男のためだけのために他を利用するだけの話です。
当たって砕けろ…そう簡単には行かないさね。まためんどくさそう…{/netabare}

8話…麦「知っているのを知ってた」(はいはい…性欲には負けるくせに)
{netabare}えっちゃんこと早苗のいとこのアツシが登場。アツシはえっちゃんが好きだった、しかも本気で。えっちゃんには好きな人がいるのも分かっていたが、押す。えっちゃんは男は好きにならないと言い放つが、アツシは引かなかった。
麦と花火はいつも通りにキスをするが、今までとは違う。これまでは本命を思いながらだったのに、麦も花火も完全に互いを意識し始めていた。当たって砕けたあと、互いが思い重なる気になっていたのだ。
麦は鳴海に、麦は茜に連絡を取り、それぞれ告白する。麦は茜を罵ろうとするが、体がついていかない。完全に茜のペースだ。花火は鳴海に本気を伝えて鳴海の胸で泣いた。

麦よ、正直に生きよう。男は性欲の塊だ、花火にそう言え、言ってしまえ。なんだんかんだカッコつけてもやりたいだけだろうお前。どうもこの男には親近感と嫌悪感が同時に湧きます。麦の思いは分からないでもないんだな…。本気で好きだったわけだから、その目の前で近づけてしまったら、そうなるかも知れない。が、花火みたいな思い重ねる子ができたら、茜など勝手に拒否してしまうのも本当だと思う。本当に…めんどくせ~{/netabare}

9話…篤也「あんたさ、誰のことが好きなの?」(たぶん、ぐちゃぐちゃだろう…)
{netabare}待ち合わせに麦は来なかった。ダルくなっていた花火にえっちゃんから旅行の誘いがあり、受ける花火。しかし、このままずるずるえっちゃんと関係を続けるわけにもいかないと感じていた花火は決着をつけるつもりだった。
別荘に着くと、何故か篤也がいた。篤也は篤也で早苗の気持ちを察してのことだった。
二人で寝た翌朝、篤也から諭された花火の気持ちはぐらぐらしていた。街をブラブラした夜、花火は早苗と決着をつけようとしたが、早苗から話を切り出された。花火は友達でいたいと訴えるが、それは残酷な言葉でしかなかった。早苗は本気で花火が好きだったのだ。それでも引かない花火の言葉が早苗に届いた。翌朝、花火は帰っていった。
新学期、花火はボッチだった。のり子に渇を入れられ、ハッとする花火。一方、その頃、麦は茜の家庭訪問という名の…

花火はけりを着けたのですが、誰かに頼らないと、思いを寄せないとふらふらな娘。いるよね、こういう人。この感覚は分かりません。一人だって良いじゃない、人間だもの(かぜを) そうやって強くなっていけば良いのだけど…。
篤也が大きな鍵を握るとはね。あまりにもストレート過ぎて引いてしまうが、この作品のなかで一番の常識人に見えるから不思議。どんだけクズが揃っているだろう…。
さてさて…クズオまっしぐらな麦はビッチ女の虜。この二人、不幸にならないかな…そう思ってしまいます。ホント、クライマックスに近づいてもめんどくせ~。「冴え…」のCM見て、早く始まらないかなとマジで思ったこの回でした。{/netabare}

10話…考えが薄い男女がやっているだけ
{netabare}茜に翻弄される麦は茜の体から逃れない。茜にデートを申し込むも、簡単に突っぱねられた。茜曰く、その日は鳴海の日だという。茜の過去が語られる。(でも薄い、薄っぺら過ぎて腹が立つ)。モヤモヤした麦は行くなというが…。
鳴海とのデート、今度は茜がモヤモヤしていた。鳴海は体を求めてこないからだ。こんなタイプは今までいなかったので戸惑っているのだ。もういいやと思ったとき、過去に翻弄してやった男にばったり。鳴海の前での茜をくそビッチと罵って去っていった。鳴海に本当のことだと言い、去ろうとしたとき、鳴海は茜にそのままで良いからと言う。混乱する茜は麦を求めた。麦は分かっていた、茜が孤独で実は子供っぽいところを。そして自分を知り、自分が変わらきゃと思い、茜に本音をぶつけた。思わず赤面する茜だった。

ビッチとクズオの掛け合い、実にめんどくせ~。
茜みたいな性格はやっぱり理解不能。でも、麦の「子供じゃねぇか」は最もぴったりする感じがしました。体は大人で中身は子供、どこかの名探偵の逆を行っていると思います。
麦は麦で、茜を好きだと言うことがどういうものか、ようやく理解したのかな。嫌われるのが恐い、これは分かる気がする…。
さてさて、鳴海と麦に翻弄されるビッチ茜はこのあとどうなることやら…。どっちか選ばないと話が進まないし。{/netabare}

11話…(鳴海)「好きな人には元気で生きていてほしい」(この作品は最高の名言だと思ってしまった)
{netabare}鳴海と一泊旅行に向かう茜は調子が狂っていた。鳴海がこれまでの男とは違うからだ。自分のペースで進めようにも乗ってこない。鳴海は茜の上をいく自分のペースで進んでいたのだ。
茜は鳴海にぶっちゃける。しかし、鳴海は気に止めることもしない。茜は困惑する。鳴海の言葉に、気持ちに涙すら流す茜。もう鳴海を受け止めるしかなかった。というより、初めての気持ちになっていた。鳴海はプロポーズをし、茜は頷いた。
鳴海との旅行の後に、茜は麦とデートの約束をしており、律儀にもデートをした。楽しんでいる茜を見て、この人を変えたいと思う麦だったが、茜から結婚することを告げられる。不思議な感情がわき出す麦だったが、茜と別れるとき、本音をぶちまけた。茜はこれまで見せたことがない笑顔で麦と別れた。麦の恋は終わった。

茜が幸せになるのは解せない。が、鳴海みたいな男が合うのも分かります。実際に似たようなケースを見たことがあるので…。なので、けっこうリアルに感じてしまいました。
麦は思いっきり振られました。花火を思いながら、抜けきれなかった茜への思い…男ってバカだわ…って、自分にブーメランだわ…麦の気持ちが痛いほど分かるから…。う~ん…思い出してしまう、あの頃…。
もうラストだけだ。麦と花火はうまくはいかないと思う。互いに振られて、でも思いあっているから付き合う、安易すぎてそんな最後はどっちらけです。どうまとめるのか。{/netabare}

12話…(麦&花火)「でも…さようなら」(感情残したままだと将来つらいぞ…)
{netabare}月日が流れ、すでに秋深し。鳴海と茜の結婚を知り、麦とは話もしなくなっていた花火は、文化祭のステージ係された。空いた時間に校内を見て回ると、ファッションショーの出し物をしているクラスを見学。そこに、ドレスに身を包んだ美少女が登場し、会場がどよめく。のり子(自称モカ)だった。花火は曇りのなさそうなのり子を見て何かを感じた。
文化祭も佳境になり忙しく働く花火。体育館に物品を運んだついでに倉庫でサボる。ふと麦との会話を思い出す。するとそこに麦が…
月日はさらに流れて新学期。鳴海たちの結婚祝いをクラスで行うことに。またも働かされる花火。物運びでクラスの男子に手伝いをもらい、その子から告白される。戸惑っているところに現れたのは髪を短くしたえっちゃんだった。うまくフォローされ、花火も丁重に断った。えっちゃんとはまた友達になれたのだ。お祝い会。そこで茜から一輪の花を無理やり押し付けられる。「今度は取られちゃ駄目よ」と言われながら。
帰り、麦と鉢合わせになりそうなところだが、避けた。文化祭での出来事を振り返る。互いに思いを伝える。今までなら体を寄せ合っていたはずなのに避けるようにして会話する。互いに気持ちが通じ合っていることは分かったが、二人が出した答えは「でも、さようなら」だった。
桜舞い散る中気持ちを押さえながら歩き出す花火、何かを思い出したように振り返る麦。これが「二人のストーリー」だった。

まさに「平行線」な終わり方。この曲が最後の最後に生きた感じです。
これが正解ということはないのでしょうけど、これまでの流れ考えたら付き合わない答えは一番しっくり来ます。でも、最後のシーン、花火には笑ってほしかったな。この終わり方、麦も花火も思い残したままなんだもん。モカもえっちゃんもそれなりに答えだして、茜もなんだかんだ言いながらも最も幸せ掴んで、肝心の主人公がとりあえずの答えだしたけど、描写がやっぱり寂しい顔に感じたので…。うん、やっぱり笑顔だよ、笑顔。

全体を振り返ると、麦と花火の中に何が残ったのだろうと考えてしまいます。契約といいながら、互いのことを知っていくうちに気持ちが揺れて、それでも「初恋」にとらわれ、翻弄され、決着も思いっきり振られて、からっぽ。残ったのは互いを思う気持ち。実はこれが本物という気がしないでもありません。でも別れる選択をして。う~ん、最後の最後まで「めんどくせ~」{/netabare}

最初は「恋に恋しているだけ」と思ってみていましたが、そうではなく、ちゃんとした「恋心」が描かれ、それに合うような展開がされていました。深夜アニメらしく(?)、エロ描写が強かったのはもったいないけど、入れることによってより深く心情をあぶり出していたようにも思います。必要悪(もっといい表現はできないものだろうか…)なのかもしれません。

作画は綺麗でした。花火は可愛かったですね。止め絵を多用していましたが、言葉とマッチしていたので、かえって効果的ではなかったかと思います。中の人に関しては、花火はちょっと前まで麗奈でしたし、何かありそうな美少女の声が合うんですね。ほかのキャラもみんな合っていたと思います。OPの「嘘の火花」、EDの「平行線」もこの作品に本当に良く合っていて盛り上げていたと思います。

純愛でも恋愛でもない、リアルな心を表現した「心情系」または「感情系」という表現が合いそうな気がします。鬱展開の重い話に見えて、実はそうでもありません。作品通して「考える」ことが好きな人にお勧めしたいです。

投稿 : 2024/05/04
♥ : 69
ネタバレ

剣道部 さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

嫌い、だが、面白い。

[文量→大盛り・内容→雑談系]

【総括】
ジャンルは、恋愛。

シリアスな恋愛アニメでいうと、「とらドラ」とか「やがて君になる」、「ドメスティックな彼女」とか思いつく。比較分類すると、

「とらドラ」はシリアスで真っ直ぐでエロくない、笑えて美しい、名作。

「やがて君になる」はシリアスで歪んでてエロい、哲学的で美しい、秀作。

「ドメスティックな彼女」はシリアスで歪んてエロい、共感できないし美しくもない、駄作。

そして本作は、シリアスで歪んでエロい、共感できないし美しくないのに、秀作。

というところでしょうか? 好き嫌いは分かれる作品だと思います。

レビューは、ほぼ酷評っぽいことを書いているのに、評価は☆4(高評価)。このパターンは、自分的にはかなり珍しい作品です。

《以下ネタバレ》

【視聴終了(レビュー)】
{netabare}
このアニメが「リアルな恋愛模様」を表していると言われれば、そうなのかもしれない。

ただ、「私」はそうは思わなかった。

なぜなら、これはモテる奴らのリアルだろうから(笑) そもそも、「選べる(悩める)だけ贅沢だろ」と、思わなくもない(笑)

まあ、自分がモテるモテないというのは別として、自分の人生におけるウェートとして、この人達ほど恋愛が重くない。仕事よりはちょい下、アニメよりはいくぶん上くらいだろう(笑) 恋愛体質の人って、周りにもたまにいるけど、仲良くなれないんだよな、男でも女でも。

普通に好きになって、普通に付き合って、普通に別れて。そんな風に生きてきた私には登場人物達に対する共感はなく、でも、別の惑星に住む人々の話としては、大変興味深く、最後まで観られた。

この話、茜と麦はガチクズで、他は、純粋で不器用なだけかもしれない。

本作、色々と共感できないけど、一番共感できない、というか理解すらできないのが、麦の思考。なぜあれで茜を好きになる? 単純に嫌いになるけど。

相手の不器用さを愛おしいと思うことはあるけれど、悪意のある時点で不器用ではないし。

んで、本作の実質主役の茜ですが、凄くよく作られたキャラクターだと思います(嫌いですが)。

賢く強く見えて、流されやすいだけのバカ女。悪女に見えて、ただのガキ。自分で「自分を好きすぎる」と言っているが、そんなことはなく、自尊感情が低いから、他者の評価を求める。

この人、若くも美しくもなくなったら、どうなるんだろう? きっと、こういう人が、60、70になってもまだ、女をだし続ける痛いババアになるんだろう(いや、60、70になっても女でいることが似合う、きちんとした色気がある人はいます。吉本ばななさんの「アルゼンチンババア」なんて、この辺が絶妙。茜は、そういう風にはなれないというだけ)。

茜が、鳴海によって変化(成長)するけれど、正直、めでたいと思わなかった。それは、これまで不幸にしてきたたくさんの人がいたから。

昔テレビ番組で、「若いときヤンチャしていて、それが今、ちゃんと社長として頑張ってる」みたいな人が出ていて、みんながそれを美談として捉えていて、本人も「いや、自分は若いとき色んな人に迷惑をかけたので、その罪滅ぼしと恩返しに頑張ってるだけです」と口では言っているものの、悦に入っているように見えた。

そんな時、あるコメンテイターが「いや、これ全然美談じゃないですからね。不良が社長になって偉いというなら、不良にもならず、他人に迷惑をかけず、普通に真面目に生きてきて、普通に社長になった人の方がずっと偉いし、称えられるべきなんですよ。貴方は罪滅ぼしと恩返しというけれど、あなたに昔殴られたりいじめられた人達全員に、謝罪して、慰謝料払うくらいのことしたんですか? あなたの恩返しって、親とか友達とか彼女とか、あなたにとって大切な人に対して限定でしょ? 多分、昔あなたに傷つけられた人は、あなたのことを何も許してないと思いますよ」というド正論を言って、スタジオを地獄のような雰囲気にしていた(笑)

私は、過去に罪を犯したり人を深く傷つけた人間が、だからその後ずっと後悔の中に生きろとは思わないし、幸せになる権利はあると思うけど、そんな人が(過去を清算せずに)幸せになることを、祝福はできない。せめて周りからは祝福されず、幸せになるが良いさ、と思ってしまう。

これは、麦にしても同じで。ヤることヤッてるし、フラれても、ザマァとしか思わなかった。

まあ、だからといって、「School Days」みたいな結末を望んでいるわけでもないのですが(笑)

ただ、それ以外のキャラに関しては、わりと応援できた。モカを筆頭に、えっちゃんも花火も、誰よりも自分自身が傷ついていたからね。それぞれ、幸せになって欲しいと思う。

この作品は、応援できるかできないかは別として、それぞれのキャラクターが、自らのパーソナルな部分と真正面から向き合い、揺れ、流され、破滅的になって、それでも少しずつ前に進むところが、とてもしっかり作られたいた。

結果、麦と花火が付き合わずに終わるラストなどは、よくそうまとめてくれたっ思った。本作は、ハッピーエンドよりビターエンドが似合う。本作のEDはとても素晴らしく、最後の最後まで、本作を彩った。

万人受けはしないだろうし、好きなタイプでもないけれど、12話、ずっと楽しめたことは事実だ。そんな作品、そんなにない。「ハッピーシュガーライフ」とか「魔法少女育成計画」とかを観たあとの感覚に近い。
{/netabare}


【各話感想(自分用メモ)】
{netabare}
1話目 ☆4
作画は綺麗。幼馴染み&先生。インモラルな感じ? お互いに本命がいる。油断した(笑) 完全に女性作家原作って感じだよな。女子アナのような女(笑) アニメの性描写の中では、リアルな手順を踏んでるな。よくあそこで止まるよな(笑) ブーメラン(笑) QKB(笑) 結局、ヤッとらんのな。変な話、ヤッたら好きなるパターンもあるけどな。

2話目 ☆4
そりゃ、幼馴染みからすれば、キツイよな。私のだから、触らないでって、ぽっと出に言われるの。引きのある、良いラストだな。

3話目 ☆4
好意が、重い。中1と中3で初体験。スーパー賢者タイム(笑) あの彼氏、クソだろ、生徒と聞いて目の前でイチャイチャとか。ただの生徒、、、なわけねぇだろ(苦笑) 麦、ダメだな。これは、嫌悪だ。クズって、茜さんのことか?

4話目 ☆4
まさかの、ガチメンヘラ(苦笑) こういう人って、若くも、美しくもなくなった時に、どうなるんだろうね。自分が好きすぎるって多分、逆。自分の存在を確定できていないから、他でそれを埋めようとしている。

これは花火にとっては、むしろプラスでは? えっちゃんも、状況をかき混ぜるよな。かなり、シリアスに。

5話目 ☆4
知らない人がそこにいた、みたいな。そうか、麦、知ってんのか。てか、ラブホ、金持ちだよな、中学生やら高校生のくせに。弱くて可哀想、が、好きに転換されていくのが、よく分からん。

6話目 ☆4
つまらんないから、悪女スイッチ。えっちゃん、怖い怖い(笑) なるほど、それじゃあ奪う価値もないって感じ? いや、それでも奪いにいくの? 重い恋愛の対比で、軽い恋愛を出すのか。自尊心、そうか? 逆じゃないか? クズ女レーダーとか言う辺りが、この作品のダメさ。もか、一番アニメキャラだな。

7話目 ☆3
もか、なかなか拗らせてるが、一番純粋なんだろうな。

8話目 ☆3
いよいよ告白。やはり、麦だけ成功するパターンか。麦、そのメンヘラをやり捨ててやれ。

9話目☆4
これ、麦と茜だけがガチクズで、後はクズというより、純粋で不器用なだけなのかもしれない。

10話目 ☆3
事案だよな。感情のこもらないセックスは、確かにそれほど気持ちよくはないよな。茜なら、刺されたら刺されたで、喜びそうだけどな。結果、焦らされてる感じ? そうそう、子供なんだよね。

11話目 ☆4
結果、酒の勢いだったという(笑) つまり、これが茜にとっての思春期。ただな~、これまでの悪女っぷりが酷すぎて、素直に応援できないな~。ここでプロポーズ。これ、最終話までにまとめられるか?

12話目 ☆4
最後、付き合わずに終わるのは、良いね。
{/netabare}

投稿 : 2024/05/04
♥ : 29

77.7 2 ドロドロアニメランキング2位
WHITE ALBUM2(TVアニメ動画)

2013年秋アニメ
★★★★☆ 3.9 (1111)
5607人が棚に入れました
学園祭まであと一月と迫った秋の日の夕暮れ。

崩壊した軽音楽同好会の最後の一人、北原春希は、
放課後の窓際で学園祭のステージを目指してギターを弾いていた。

それは、二年半ずっと真面目に過ごしてきた優等生が、
卒業までの半年間に成し遂げようとした、ささやかな冒険。

けれど、その拙いギターの音色に、
流れるようなピアノの旋律と、鈴が鳴るような歌声が重なったとき……

一人からふたりへ、ふたりから三人へと重なっていった新生軽音楽同好会の、
夢のような、夢であって欲しかった半年間が始まった。

声優・キャラクター
水島大宙、米澤円、生天目仁美、寺島拓篤、中上育実、杉山紀彰、梶裕貴、夏樹リオ
ネタバレ

ギータ さんの感想・評価

★★★★★ 4.8

久々、いや初めてこんな恋愛アニメに出会いました  これ以上はこの先現れないだろうと思ったら、原作ではまだ序盤なんだよなぁ…

※長文注意報発令

【短い感想】
シナリオに関しては今までの恋愛アニメでダントツのNo.1です。
それだけ感情描写が素晴らしい。
ここまで繋がりがしっかりしていて、キャラの気持ちが伝わって来るアニメはまずありません。

この作品は隅々まで意味のある描写だらけの作品です。
結果だけに注目していたらまずこの作品の魅力は見えてこないです。
まずは主役の3人全員の気持ちを考えてこの作品を見てみてください。


【このアニメのコンセプト】
前作であるWHITE ALBUM(前後編)からそれは変わってないようです。
どうしてもネタバレが嫌な方のために一応隠しますが、私としてはコンセプトを知った上で視聴したほうがいいと思います。
大事なのはそこじゃないから。
なので、未視聴の方も参考程度に是非開いてみてください。

{netabare}このアニメで感じたのは、『大事なのは結果よりも過程』だということです。
このアニメのコンセプトは言ってしまえば“浮気”です。
このアニメが凄いのは、なぜそういう結果になってしまったのか、なぜこのキャラはそういう行動をとってしまったのかしっかり描写があることです。
「なぜこうなったの?」という問に対して「こうだからです」と返せるアニメです。
詳しくは後半の方に載せます。
ある程度浮気前提で物語を見て、「なぜそういう結果になったのか」「このキャラはどんな気持ちで行動したのか」などキャラの気持ちになって考えると、ガラッと印象が変わるはずです。
結果に至るまでの過程がしっかりしているから、思わず感情移入する、それも主役の三人全員にという感じで、見ているこっちまで辛くなってきます。

結果だけに注目していたら、「主人公最低」「クズ野郎」で終わってしまうかもしれません。
確かに、絶対クズではないと言い切れませんが、なるべくならそのキャラの気持ちを考え、気持ちを汲んだ上で感想を持ってみてください。
とても他人事じゃなくなります…
逆に、私が酷評している君のいる町は『過程よりも結果』の作品だと思うんです。
結果ばかりが前に行ってるから、キャラの行動が理解できない、感情移入できない、キャラの本気度が伝わってこない、キャラにブレがあって操られているように見える印象です。

視聴する際は結果だけでなく、結果に至るまでの過程に注目してみてください。{/netabare}


【長い感想(12話まで)】※ネタバレの嵐です。まだ12話まで視聴してない方は開かないでください。
○第7話:最高の、最後の日
{netabare}これを最初に持ってきた理由は、この回が“WHITE ALBUM2の全て”と言ってもいい回だと思うからです。
この回が与えた影響は計り知れないと思います。
他の2回分の話も絡めて、第2音楽室で何があったのか描写しています。
①かずさと春希が二人で会話、かずさが本音を少しだけ漏らす
②雪菜が春希に迫り、キス、付き合うことに
③実はかずさが寝ていた春希にキスしていたことが判明
④さらに実は雪菜は春希とはまだ付き合う予定ではなかったことを明かす
⑤雪菜はかずさがキスしていたところを実は見ていた
⑥現在(春希と雪菜が付き合っている)に至る

本当の地獄(辛い気持ちになる回)はこれからですが、この回が一番重要な回だと思います。
なぜ雪菜が告白したのか、なぜ雪菜が3人でいることを望んでいるのか見えてきます。
ただ友達だから失いたくないとか、そんな能天気な問題ではないはずです。
理由も結構はっきりしていると思うので、後で述べます。

さらにここから歯車が狂い始める意味でも重要な回です。
なぜかずさが雪菜と仲良くやっていけているのか、その間どんな気持ちを味わっていたのか、春希は何を思って3人と過ごしてきたのか、この回が与えた影響は測りしれません。{/netabare}


○小木曽雪菜
{netabare}雪菜はかずさよりも自分の気持ちを相手に伝えられるだけであって、本当は相手のことを考えて一歩下がったりする遠慮してしまう人物だと思います。
春希奪っといて何言ってるんだって?それはこれから説明します。(WHITE ALBUM2はこうやって後々説明したり、答えを持ってくるパターンが多いんですよね)

雪菜が望んだ最高の結末は
「春希がかずさと雪菜どちらと付き合うか腹を決め、雪菜に告白、そしてかずさもそのことを認め、友達としてこれからも3人一緒」
だと私は思います。
だから、あれを見るまでは3人一緒に過ごし、春希に選ばせる時間を、かずさが素直になるまでの時間を設ける予定だったはずです。
しかし見てしまった、かずさが春希にキスする瞬間を。
だから行動に移してしまった。
「それが自分にとって一番の結末にならないから」
雪菜はかずさと春希が付き合うまでもう時間がないと悟った、だから焦って自分から行動してしまった、春希の気持ち、かずさの気持ちを知っていながら。
かずさに関しては以前から春希のギターに合わせてピアノを弾いていたこと、今回のキスでまず納得でしょう。
春希に関してはおそらく文化祭の三曲目、届かない恋の歌詞に何かあると思うんですよね。
それ以外でも、かずさに惹かれていることは雪菜も気づいていたと思います。
そして、雪菜が焦って行動したのも、彼女の性格を表した描写から納得出来ると思います。
1つ目は中学時代のハブにされた経験、2つ目はトラブルセット(トラブルの種となったトラベルセット※ニコ生一挙放送コメントより)、これから雪菜が焦りやすい性格、一緒にいられなくなるのを恐れる性格が分かり、今回の行動と合致すると思います。
ここまでが春希と付き合うまでに起こったことです。

ここからは付き合ってからの3人、主にかずさのことを考えている雪菜について述べます。
付き合うことになったのを屋上にてかずさに報告、そして確認する雪菜。
なぜかずさに確認しているのか、それはかずさが春希を思っていたことを知っているからですよね。
しかし、かずさはそれを誤魔化し続け、そしてあの行動をとります。
名前呼びの承認。
これによって雪菜を納得させ、友達としてこれからも付き合っていくことになりました。
その後も3人でいることを強く望む雪菜、それはかずさと友達でいたい、3人でいることを大事にしたいだけじゃないはずです。
雪菜には後ろめたさがあった。
「春希の気持ちが自分一本に向かう前に、そしてかずさが納得する前に告白してしまったこと」
さらには屋上のシーン「私、割り込んだんだ、二人の間に」
だから、二人にチャンスを残すのと同時に、自分からすればピンチを乗り切る、二人から認められるように頑張ろうとしたと思います。
春希から本物の彼女として、かずさから本物の友達として認められるように、自分の後ろめたさ、罪悪感を消すために。
つまりは、順序が逆になってしまったけど、自分の計画にあったことは飛ばさないようにしようとした、それが二人にできるせめてもの事だと雪菜は思ったと思います。
現に、春希がかずさの事を思っているのに気づいても、「やめて!私だけ見て!」とか言ってなかったと思います。
それどころじゃない、というかこの行動を雪菜の気持ちで考えたらめっちゃ辛くなります…
・誕生日パーティーで二人きりになることを断る
これは完全にかずさのためです。
家族も含めてという嘘までついて春希を説得していただけに、どうしてもという気持ちが伺えます。
普通はですよ、彼氏をとられるかもしれない相手のことを思って決定機を見送るなんてしないですよ。
でも雪菜ならその行動が出来る理由がある。
自分のことだけ考えているわけではなく、かずさのことを思い、自分に罪悪感を抱いているから。
その行動の末、誕生日に家で一人でいた雪菜の気持ちを考えると…

・卒業式にかずさが来ていたことを春希に伝える
理由はほぼ上と同じです。
いや、ここまで来たらもう罪悪感に押しつぶされてしまったのかもしれません。
これ以上春希が悩み苦しむのも、かずさが素直になれないのも見たくない、その上かずさが卒業式に来ていたことを春希に言わなかったら、また罪悪感が増え、それを背負って生きていくわけですからね。
もう、ここの全てを悟った雪菜の顔も…

という感じです。雪菜の焦りや優しい性格、その上での行動が引き起こしてしまった悲劇という感じです。
はっきり言って雪菜のエピソードだけで胃が大変なことになってるのですが、まだ二人分の思いを受け入れていかなくちゃいけないですからね(笑)…
そりゃ胃薬必須アニメだわ。{/netabare}


○冬馬かずさ
{netabare}雪菜よりも、というか誰よりも自分の気持ちを相手に見せないかつ面倒見の良さによって悲劇を招き、悲劇の大きさがどんどん拡大してしまった人物です。
春希が好きで仕方ないのに本人に伝えることもできなければ、伝えようと考えることすらしないかずさ。
そのことを伺えるのが文化祭のキスシーン。
寝ている春希にキスしてしまうくらい好きなのに、思いを伝えられない、その結果雪菜が目撃し、春希に告白してしまった。

もうね…ここからのかずさは見てられないですよ。
1周目はまだいいんですけど、2周目はかずさがどんな気持ちを抱いて過ごしてきたかわかるから、気持ちと行動のギャップが…
まずは雪菜告白後の報告シーン。
雪菜の言っていることは全て事実、かつ雪菜はそれを裏付ける証拠も知っているわけで、質問する口調もかなり強めです。
「それでいいの?」という雪菜の心の声が聞こえてくるかのようです。
それを否定し続けるかずさ、そしてあの名前呼び承認。
これは、雪菜と友達としてやっていくという気持ちも本心から思っていると思いますが、それだけじゃない。
この場合は自分の気持ちを誤魔化すための手段です。
事実、この行動によって雪菜は質問をやめました。
後半にもこういうシーンがあります。
「やっぱり私、かずさと本当の友達になれなかったのかな…」
「そんなことはない、雪菜はたった一人の親友だと思っている」
後から見てもわかるとおり、この時のかずさは悔しさや悲しさという気持ちを抱いています。
でも、かずさからしたら雪菜も大事で、友達でいたいというのも嘘ではありません。
ていうか、これが複雑であり、これによって悲劇がさらに大きくなってるんですよ…
いっそのこと、好きじゃない、友達でいたくないと思えれば少しは楽になれるのに。
好きだから、友達のことを妬みきれない、恨みきれない、結果自分に悲しみが積もるだけ、発散はできない。

「一緒にいないと小木曽が泣くからな」
春希が好きという自分の気持ちに嘘をつき続け、友達のために安心させるために自分の本心を隠し、一緒にいようとするかずさ。
「かずさ変わったよね?明るくなった」
本当は悲しい気持ちが渦巻いていると考えると…
それでも友達を気遣い、悲しい気持ちを前に出さないように気持ちを張って明るく振舞うかずさ、張り詰めていた気持ちが切れてしまったのがあのシーンですよ。
3人の旅行の帰りに車で一人号泣するかずさ…

そして最後は二人から離れようとした。
雪菜のことを思い、そしてもう3人で過ごすのは耐え切れないから、これ以上拷問を受け続けて自分を騙して3人に笑顔を振りまくのは無理だから、そんな印象を受けました。
10話Aパートはアニメ史に残すべき凄まじいシーンだったと思います。
「そんなのはなぁ…親友の彼氏に言われるセリフじゃないんだよ。」
「私の前から先に消えたのはお前だろ!」 
「勝手に手の届かない所に行ったのはお前だろ!」
「手が届かないくせにずっと近くにいろなんて、こんな拷問も思いついたのもお前だろ!」
「なのに何で私が責められなきゃなんないんだ!」 
「毎日毎日目の前で心えぐられてそれが全部私のせいなのかよ!」
「ひどいよ!どうして私の気持ちわかってくれなかったんだよ!」
「私がつまらない男を好きになって何が悪い!」
凄まじい、よくこんなセリフ思いつけるな…
そしてこのセリフをいえるシチュエーションを作ったのも凄い…

雪菜のことを考える優しい性格のために、自分が受けるダメージが増え続け、人に自分の気持ちを伝えれない性格のために、春希が離れていってしまい、春希が3人一緒にいようと提案してしまう、これがかずさです。
雪菜もそうですが、優しくて友達思いであるために、自分の首を締め続けているという印象です。
全然悪いことはしていない、友達にとって最善のことをしているはずなのに、考えの違いによってそれが友達を傷付けることになってしまう、さらには自分も。
WHITE ALBUM2とはこういう作品です。
作中にもありますが、「かずさが男の子だったら…」「私だったら雪菜を渡さない」(うろ覚え)という感じで、性別のことを憎んでる描写があります。
全員が同じ性別だったら、恋愛さえなければどれだけ綺麗な青春ストーリーで終われたことか…{/netabare}


○北原春希
{netabare}最終的には浮気してしまいますが、春希もすごく悩んで、すごく悲しい思いをしてきてるんですよ。
春希の悲劇の始まり、それは雪菜の告白を受けてしまったこと。
もちろん雪菜が気にならないわけじゃない、魅力も感じているけど、文化祭の段階では間違いなく中途半端な気持ちだったはずです。
それでも、あれを受けるなという方が無理な話です。
最初から逃げ場などありませんでした。
普通なら、最初は中途半端でも、少しずつ付き合ってから雪菜のことを思っていけるはずですが、今回は別ですよね。
それはかずさがいる、もっと言えば雪菜よりも気になってたであろう相手の存在が今後の展開を大きく動かしたと思います。

雪菜の三人でいたいという提案(二人にチャンスを設ける)、かずさの三人でいないと雪菜が泣いてしまうという提案によって、春希は三人でいることを大事にしようとします。
その結果、かずさを傷つけることになってしまいました。
さらには、かずさとのやり取りが残ることによって、最終的にはかずさの所へ行きましたが、それまでの春希の思いってかなり複雑だと思うんですよ。
ちょっとまとめてみますが、あくまで私の予想です。
①雪菜と会う前、かずさに惹かれていた
②雪菜とあってからも、かずさの方が気になっていた
③雪菜と付き合ってからは、付き合うという考えはほぼ無くなる、友達として、プラス以前に気になっていた気持ちを残したまま気にかける
④かずさが本当の気持ちを明かしたことによって昔思っていた気持ちが爆発、抱きしめてキス
こういう感情変化だと思います。
かずさのこと諦めているから友達として3人でいようと提案、ただ100%友達としてではなく、どこか引っかかる気持ちが残っているから必要以上に気にかけてしまう、最終的には爆発みたいな。
そして、春希はそういう自分の気持ちに気づいていたと思います。
だから雪菜の誕生日に二人で過ごすことを提案した、自分の気持ちを100%のものにするために。
しかし雪菜はそれを拒否、結果かずさに会いに行き、あの始末です。
あのかずさとのやり取りによって、雪菜を裏切ったのと同時に、気持ちがかずさに流れてしまった、それでもかずさに受け入れられず有耶無耶になり、結局は雪菜に頼ってしまうことに。
用意していたプレゼントも渡せずに。

結果は浮気ですが、春希の気持ち、行動も分かるんですよ。
やっぱりターニングポイントは文化祭ですよね。
あれが全てを変えてしまった、かずさのキスが。{/netabare}



【最終話まで見ての感想】
{netabare}○最終話感想
色々な意見やコメントを見てきましたが、私としては電車での雪菜が一番印象的でした。
雪菜の気持ちは今までの描写から伝わっていたので、私が気になっていたのは、卒業式で置き去りにされた雪菜をどうやって絡めていくのかという点でした。
ということで、改めて気持ちを知ったことよりも、雪菜がどんな気持ちで春希にこれまでの気持ちを話したのか、これを考えると本当にきつかったです。
そして、雪菜の気持ちを知らなかった春希がその事実を知った時の心境を考えると、さらに辛い気持ちになりました。

あとは空港のキスシーン、まぁ見せつけと解釈してもしゃーないというか、こういうところがこの作品合うかどうかの分かれ目だと思うんですよ。
このシーンを見て「何やってんの?」「ゴメン、笑ったww」という感じになるか、3人の気持ちを考えて複雑な思いを味わえるかに分かれると私は思います。
ここは帰ろうとした春希、「なんで来た」「ごめん雪菜」と言ったかずさという描写だけでも複雑な気持ちが伺えるし、それでもかずさと春希のお互いの気持ちが圧倒したことが分かるシーンでした。
二人も罪悪感があるけどやめられない、それを見る雪菜の気持ち、これらの大きすぎる感情の塊が押し寄せてきたシーンという感じでした。
こうなってしまうと思ったし、離れるのに最後まで辛い思いをしたくないと思った春希、離れるのに別れるのが辛くなるのが分かっているのに春希が空港に来たことに戸惑うかずさ。
せっかく愛し合った二人なのに別れなければならない、だからこそかずさが春希の部屋から出ていく時何もあいさつを交わさなかった、せめてもという感じでかずさは春希の制服のボタンを持っていったのではと私は思いました。

あとは後味の悪さについて。
確かに後味は良いとは言えませんが、最後も安易な展開にせずに、やってきたことを貫き通した印象だったし、今回はまだ序盤らしいですからね。
これから本番になるという印象も最終回を見て感しました。
それだけに、今後の展開に恐怖を感じてしまう最終回でもありました。


○小木曽雪菜2
{netabare}「一番悪いのは私。だから、かずさに謝らなくちゃならないの。それと、春希君にも。ごめんなさい。」
簡単に雪菜に起こったことをまとめてみます。
恋のライバルがいる中、先に告白して付き合うことになる。彼氏がそのライバル(親友)と浮気する。浮気した二人に謝ろうとする。
これだけだと何も雪菜は悪くない、いや、事情を含めても雪菜は何も悪くないんですよ。
それなのに、ていうか普通はどうやっても許せないようなことをされたのに謝ろうとしている。
それでも雪菜の気持ち、罪悪感が今までの描写から分かるし、だから謝ろうとしていることも分かる。
怒られて当然のはずなのにかばわれている春希の気持ちも分かるから…辛い…
さらには、かずさに謝ろうとした(かずさを見つけた時、一瞬表情が変わります)のに、あのキスを見てしまってそれも出来ない、かずさへの罪悪感以上に自分の悲しみが上回って泣いてしまう雪菜…

「あなたを好きにならなかった未来なんて絶対嫌。 良かった、そこだけは譲れなかったんだ。」
はっきり言って、私はWA2のどのシーンよりも、かずさの告白や空港のキスシーンよりもこれが一番辛くなったシーンでした。
『あの時~しなければ』、いよいよ雪菜の口からこの言葉が発せられたかと思いましたよ。
私もずっと思っていたことです。
どんどん妥協して妥協して、最終的には屋上で出会わなければとまで言ってしまう。
それは春希も否定しましたが、それは自分もだという少しだけ安心した声を雪菜は漏らしました。
さんざん気持ちがすれ違い続けてきた中、ようやく二人の気持ちが完全一致した瞬間でした。
WA2という物語を1シーンであらわし、まとめたようなシーンです。
ここで流れる『さよならのこと』の歌詞のマッチ具合がマジでやばい…
機会があったら一度歌詞をじっくり読んでみてください。
春希にさえ会わなければ辛くないのに、それでも辛くても春希と会わない、好きにならない未来は嫌という雪菜…そうだよなぁ…辛い…

「どうしてもあなたと恋人同士になりたかったから、じゃないんだよ。かずさほど真剣じゃなかったよ。」
ここもWA2の特徴ですよね。
100%嘘ではないけど、本心からは遠い言葉。
最初に聞いたときは嘘っぽいなぁ、本心ではなさそうだなぁとは思ってましたが…
春希とかずさのために自分を抑えて出した言葉、春希の罪悪感を少しでも軽減させるために出した言葉、それでも二人のキスを見て耐え切れずに泣いてしまう雪菜…辛い…{/netabare}


○主題歌歌詞
{netabare}恐らくネタバレになると思って、全話視聴するまでは歌詞を確認したり、じっくり歌を聴いたりしませんでした。
『届かない恋』
恐らく大きな意味を持っていたであろうと思っていた文化祭の3曲目の歌。
ぱっと歌詞を見た感じでは、春希がかずさへの気持ちをそのまま歌詞にしたという感じでした。
雪菜がこの歌の歌詞を見て表情が変わったのは、自分が好きである春希がかずさに前から、そして今なお惹かれているのを察したからでしょう。
さらに、その歌詞をかずさが一文字も変えなかったというのも、かずさが春希の気持ちを受け入れた印象でした。
ここまではまぁだいたいは予想してましたが、このフレーズで色々なことが見えてきました。
「ぼやけた答えが見え始めるまでは 今もこの恋は動き出せない」
かずさに惹かれてはいるが、相手の気持ちが分からなければ、自分の決心もつかない。
この歌は恋が始まっている上で届かない恋なのではなく、恋が始まってすらいない気持ちを表した歌という印象です。
だから雪菜は最終回で春希に言った。「かずさがあなたに想いを伝える前なら、絶対に勝てるって、知ってたんだよ。」
かずさが想いを伝えていない、春希の恋が動き出す前なら自分の気持ちを受け入れてくれるという感じで、この歌詞を見れば今までにもたくさんあった行動の裏付けがまた1つ分かります。
かずさが気付けと春希に言っても、もっとはっきりしていないと気付きようがない、逆にかずさが想いを打ち明けたことによって春希の恋が動き出してしまったんでしょうね。
「ずっと前から冬馬のこと好きだった」と言ったものの、まだ恋として動き始めてはいなかった。
本当に隅から隅まで描写に意味がある、作り込まれている作品だと改めて思いました。

『さよならのこと』
一番ラスト…君と出会わなければ辛くないのに
二番ラスト…君と出会わなければ辛くないのに
ラスト…君と出会わないなんてイヤだと気付いた冬
ちなみに電車のシーンで流れたのは一番下のラストの歌詞です。

『After All–綴る想い-』『closing』の歌詞もかずさの気持ちをあらわしていて、すごく心に響く歌詞です。{/netabare}


○これからが本番  ○友情≒恋愛 
{netabare}ゲームではここまでは序盤、これからが本編だと聞いてます。
そして、それは最終回の描写を見ても少し予想出来てしまうので…やはり今後が怖いです。
①今回表面上話が重くなったのは9話から
伏線があったり、裏では(とくにかずさが)辛い思いをしていることはありましたが、それでも旅行までは輝かしい青春ストーリーという感じでした。
今後はこういった青春パートはまずないと考えられること、いけないことをした罪悪感がまとわりついたまま物語が進むと考えると…
新キャラという救いももしかしたらあるかもしれませんが、今後さらに重くなるのは目に見えています。

②恋愛≒友情
WA2はこのバランスのもと成り立っていました。
だからこそ3人全員が辛い思いをしたというのはありましたが、そこまでドロドロした展開(彼氏の奪い合いや女同士の醜い争い)までは行ってなかったと思います。
しかし、最後の方ではドロドロになる予兆、そして『恋愛>友情』にバランスが偏ってきている印象を受けました。
・「雪菜と何回キスしたんだよ」
・携帯に出ようとする春希に対して、携帯を思いっきり手ではらう
・空港で雪菜の前でありながら春希とキスしてしまう
かずさは後半の行動でそういう印象を強く受けました。
今までずっと想ってきた春希に対する気持ち、さらには我慢して辛い思いをした分気持ちが爆発した感じです。
また、上2つに関しては自分だけ見て欲しい、ほかのことを考えさせないで欲しいというかずさの春希に対する独占的な気持ち、というよりは不安な気持ちが伺えます。

・空港でかずさと春希のキスを目の前で見ながらも、その後に春希のそばにいる雪菜
あれだけのことを見せられて、二人に謝らなければいけないと言っていた雪菜ですが、それでも春希の前からはいなくならないんですよね。
二人に謝らなければとは言ったものの、かずさに譲る、春希と別れるとは言ってないですよね。
最後のこのシーンによって雪菜の今の気持ちをあらわし、そして今後のさらなる重い展開を予感してしまいました。
なんというか、春希が今後どんな行動をしようが諦めないみたいな、ずっとそばにいようとするんじゃないかなと怖い予想をしてしまいました。{/netabare}{/netabare}


【最後に】
…放心状態になりました。
既にこれだけのストーリーを見せつけたのに、これからが本番だとこれまでの描写を見ても分かってしまったため、原作やりたかったのですがここにきて恐怖が期待と好奇心を上回ってしまいました。
原作ゲームに関しては、心の準備をした上で強い気持ちをもって挑みたいと思います。
話は結構重い感じですが、キャラの感情描写、変化、理由付けなどに関しては本当に素晴らしい。
この描写に関しては今までのアニメの中でもかなり上位、というか1位2位を争ってもおかしくないです。

脚本の丸戸さんは、アニメ脚本初めてらしいですが、見事というか、さすがという感じですね!
私、丸戸さんがシナリオやってるゲームやったことあるんですよ。
私はエロゲーを2つだけやったことがあります。
それがkeyのAirと丸戸さんシナリオの戯画のパルフェです。
パルフェのシナリオの丸戸さんということで、脚本のレベルの高さは納得でした。
これからも期待しているというか、WHITE ALBUM2はこれからが本番らしいので(末恐ろしい…)、というか全話見て確かにそうだと感じたので、今後の展開に期待大です。
そして来る日まで私は心と胃の強化に励みたいと思います。

投稿 : 2024/05/04
♥ : 60
ネタバレ

入杵(イリキ) さんの感想・評価

★★★☆☆ 3.0

【視聴中】PC版原作introductoryプレイヤーの視点で感想

本作はLeafより発売された丸戸史明の18禁PC恋愛アドベンチャーゲーム「WHITE ALBUM 2 ~introductry chapter~」を原作に制作された。
尚、ストーリーはPS3への移植のためにCERO Dに適うようリライトしたものを使用している(主にHシーンの削除)。
また、W.A.無印とはストーリー上の繋がりは希薄であり全く新しい作品と解釈しても差し支えない(作中で使用された楽曲は登場し、森川由綺のWHITE ALBUMや緒方理奈のSOUND OF DENTINY、2009年のアニメOPである深愛などがある)。
原作は音楽に大変、力を注いでおり、アニメでも同様。


あらすじ
{netabare}
舞台は2007年秋の東京都。峰城大付属3年生の北原春希は学園生時代最後の思い出を作るため軽音楽同好会へ加入するが、バンドは痴情のもつれから崩壊してしまった。学園祭のバンド発表を成功させるためメンバー集めを開始した春希は、屋上で歌っていた学園のアイドル小木曽雪菜を勧誘することに成功する。更に、クラスの問題児冬馬かずさがピアノの天才であったことが発覚し、彼女をメンバーに迎える。バラバラだった3人は一生懸命に打ち込んだ末に学園祭で大成功を修め、3人は心の底から結び合えた…と思っていた。しかし、この日からそれぞれの恋は残酷な悲劇へと走り出してしまう。
{/netabare}

感想

始めに
{netabare}
前作W.A.無印は、舞台を、「すれ違う恋人」というテーマのために、原作の設定1998年から更に10年戻して1988年の携帯電話普及前にしていた点や、伏線が張巡らされ、原作ではシュミレーションゲーム故、ストーリー上で関わりの無かったヒロインを全員上手く使って纏め上げた点、主題歌やサントロが歌謡曲調であったり、テロップが縦書きだったりと、作品全体の雰囲気を時代背景にあわせている点、主人公やヒロインの心理描写が細かく描写されて、特に主人公の心に思い浮かんだ事が、普通であれば視聴者向けの声で話すはずが、画面上に縦書きで浮かぶ点など、他作品に類を見ない特異な、作品に相応しい演出が大変好感で、原作もWin95向けだったが、購入しプレイした程の良作だった。

本作はそんなW.A.の続編(実際は新規だったが)ということで、端から期待していたのだが、この1話は予想外の出来映えで、特にEDに向けての下りの演出が素晴らしく、即日インターネットにて原作icの初回限定版を購入し、三晩18時間掛けてプレイした。

その為、アニメの20分×13話の5時間弱で私の18時間分を演出すことは不可能だろうと思う。色々と割愛する場面も多いことだろうが、何よりも「余韻」や、台詞と台詞の間隙から滲み出る雰囲気など、私の琴線に触れるのに大変影響を与えた要素が不可逆的に喪失されることが必至なのは残念である。

後にcc/codaをプレイして、icで心を痛めていたことが軽く感じられるほどの悲愴な感情に包まれた。雪菜派としては、雪菜への裏切りは勘弁して欲しい(笑)。
cc/codaはプレイするのに80時間掛かった。常人の倍の遅さであるが、じっくり楽しめた。
{/netabare}
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1話 OP「届かない恋'13」上原れな ED「WHITE ALBUM」小木曽雪菜
{netabare}
あらすじ

主人公は学年トップの成績を誇り、誰に対しても世話を焼いて、ウザがられつつも、いつの間にか周りに受け入れられて、いいように使われている優等生 北原春希。
友人の飯塚武也に誘われて夏休み前からバンドの練習に補欠として参加していたが、ボーカルに誘った女子が原因で軽音楽同好会は2人になってしまった。
学園祭が近づく中、昨年と一昨年実行委員であったこともあり、困った人間を放っておけない性分から実行委員の手伝いをしていた(実質影の実行委員長)。
毎年秘密裡に挙行されている学園のミスコンで二連覇を果たしているアイドルである小木曽雪菜が今年は出場を辞退したいと申し出、説得に動員されるもあっさり承諾し、彼女に好意的に思われ始める。
毎週火曜日の練習時には第一音楽室でギターの練習をしており、会った事は無いが、いつの間にか自分の拙いギターの演奏に付き合ってくれる良い相手 第二音楽室(第一音楽室に隣接)の音楽科とのハーモーニーを楽しんでいた。同好会が破綻し、高校生活の思い出にWHITE ALBUMを演奏していると、屋上から豊かな音色を奏でるヴォーカルの声が聞こえて来て、急いで向かうと、そこにいたのは雪菜であった。

感想

作画も良好で、序盤に、後の学園祭での演奏の様子や最終展開を思わせる空港での描写などが恣意的に挿入されており、良い演出である。学園祭でのライブの様子から、視聴者に雪菜とかずさがヒロインであることを印象付け、今後の展開に注目するように促している。1話の展開から春希の性格や難点なども随所に伺え、彼の他人を差別しない姿勢や観察眼がヒロイン達に与えた影響などを思わせる場面もある。
今回はまだこの3人の接点は分からないが、今後学園祭のライブに向けて彼らの物語は始まる。
すべては放課後のWHITE ALBUMを歌う雪菜との邂逅に始まるのだ。私はあのEDへの導入シーンが大好きで3回も観てしまった。そして原作の購入を決意した。
原作をプレイしてみると、OPの「届かない恋」は、やはりオリジナルの方が良いと思う。

原作をプレイして改めて1話を視聴すると、言葉使いの違いや、春希、雪菜の性格が若干柔らかくなったような感じが見受けられた。原作には無かった、雪菜が実行委員の仕事を手伝う場面には、春希が雪菜をアイドルとしての小木曽雪菜ではなく、一個の女子生徒として扱っているという隠喩が含まれている。それにしても、キャラクターが動くのは良い。
雪菜の一挙手一投足が愛らしい。(*´ー`*)
{/netabare}
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2話 OP「届かない恋'13」上原れな ED「closing'13」上原れな
{netabare}
あらすじ

屋上で優美に熱唱する雪菜を目の当たりにした春希は、一瞬躊躇うも、彼女を軽音楽同好会に誘う。雪菜は一晩掛けて悩み、翌日、階段下に春希を呼び出し、協力できない旨を詫びた。
春希は切り札として、雪菜のバイト先のスーパーに赴き(これは1話で、依緒と会話していた後ろに、伏線として、バイト中の雪菜がいる)、雪菜を説得しようとするも、普段は見せない彼女のあどけなさから、弱みに付け込む卑怯な手段を断念する。
去り際に、彼女に一時間猶予を欲しいと頼まれ、その後、雪菜の趣味がヒトカラだったということを知る。雪菜は自分の秘密を全て春希に打ち明かし、軽音楽同好会への加入と、ミスコンへの参加を表明した。春希は翌日、武也に雪菜を紹介する折、ピアノ担当が未勧誘であったことに気付き、第二音楽室の音楽科と接触しようとするも、上手く行かなかった。久しぶりにピアノの音色が聞こえてきたことを好機に、窓越しに教室に侵入しようとして、誤って落下しそうになり、演奏者に助けてもらったのだが、彼女は隣席の少女、冬馬かずさだった。

感想

此処まで徹底的にかずさの存在を隠すという手法は、大変興味深く、視聴者に驚きを与えたのではないだろうか。原作では、此処に至るまでに、朝や放課後の教室で、かずさと若干会話したりしていて、そちらを割愛されるもの忍びないが、尺の関係上致し方ない。雪菜の説得に関しては、やはり、公園での会話の割愛が目立つが、最初に勧誘を断るときの、雪菜の「わたしなんかにやれるのか、今のわたしがやっていいのか、そもそも、わたしはやりたいのか」という台詞の割愛は残念である。
カラオケでの一人で5曲入れて顰蹙を買った話や、沢山歌わなければ損だという会話も捨てがたい。
雪菜が公園で春希を誘うときの「大丈夫だよ。今度こそ」という台詞には、やはり重みが感じられた。
カラオケボックスでの雪菜は、歌を歌うのが大好きという自分の本質を、高校に入って初めて他人に伝えたという点で、春希を特別視していることが伺える。
恋人へのステップとして、秘密の共有は大変有効な手段だ。
EDに「closing」を使う意図は何だろうか。これはcodaのかずさTルートのEDなんだが、かずさ絡みという事だろうか。
{/netabare}
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3話 OP「届かない恋'13」上原れな ED「さよならのこと」上原れな
{netabare}
あらすじ

春希は、かずさの勧誘について武也と話す。武也はかずさの情報を多く持ち、彼女に対し、良い感情は持ち合わせないが、春希は夏休みにギターの練習に付き合ってもらったことを想起し、反論する。春希はかずさを説得する為に、第二音楽室でかずさと会話するも、同好会の勧誘をするはずが、かずさの進路についての説教をし始め、かずさの逆鱗に触れ、音楽室から追い出されてしまう。雪菜にピアノ担当が未勧誘であること、いつものピアノがかずさであることを打ち明ける。雪菜がかずさは如何なる人物か伺う為にE組の入り口に居ると、かずさに遭遇してしまう。雪菜は放課後、かずさを誘い喫茶店でお茶をする。そこで、かずさの重要な弱みを握り、休日に3人で雪菜の家に行くことになる。雪菜は2人に夕飯を振る舞い、今後について話し合うとするも、小木曽家の母と弟に介入され、挙句、父に学園祭について詳細に説明するよう求められ、話し合いどころではなくなってしまう。かずさは雪菜の予想外の人物像に驚き、父親の説得を条件に同好会への加入を承認する。

感想

かずさと雪菜の邂逅は、原作ではこの第二音楽室での一件の直後である。また、春希が雪菜にかずさの事を話して、雪菜が少々拗ねる場面や、彼が、かずさの説得を雪菜に頼む場面、雪菜とかずさの会話の大部分、雪菜の春希への報告など、雪菜の小悪魔的要素が絡んだ会話が殆ど割愛されている。
このかずさの説得に関する雪菜の圧倒的な力量を披露する機会が失われたことや、小木曽家における3人の会話の割愛は、個人的には大変残念である。かずさの説得に現実味が甚だ乏しく、性急感が否めない。
雪菜の申し入れを渋々承諾するかずさにはツンデレ的可愛さが見え始めた。
今回、一番驚愕した点は、雪菜とかずさの邂逅の際、雪菜がかずさと身体のプロポーションを張り合う場面で、私の雪菜像には反する由々しい演出だと感じた。何か、目に見えてあざといのが何とも・・・(雪菜がライバル登場に戸惑う様子を如実に演出するには尺の関係上仕方ないが・・・)
雪菜の可愛いエプロン姿が見られたのは大変喜ばしい演出だった。こういうのはアニメならではである。
雪菜の部屋で、後々の伏線として、「友人を呼ぶのは3年振り」であることや、コルクボード上の写真で、一部の人物がキーホルダーで隠されていたりという演出は良い。
今回、雪菜の重い言葉「どうしてこうなっちゃうかなぁ」が初登場した。最後の雪菜のメールでの〆は良かった。余韻が残る。アニメオリジナルEDも良曲。
前話に増して、性急感が否めない回だった。やはり当然ながら原作には敵わない。欲を言って2クールで制作して欲しかった。
{/netabare}
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W.A.2は、1998年に発売した浮気恋愛シュミレーションゲームWHITE ALBUMの寂寥感や空虚感、遣る瀬無さといった負の心情に包まれつつ感動的なストーリーを展開するというスタンスをシナリオライターが、如才なく遺憾なく発揮した名作である。「痛気持ちよさ」を味わえる傑作だ。
主人公と大変魅力的なヒロイン二人の非常に切ない三角関係がシビアに描かれており、原作は琴線に触れる内容で涙してしまう程だ。
私は序章である~introductry chapter~と終章の~closing chapter~、{netabare}~coda~{/netabare}をプレイしたが、悲愴感、空虚感、寂寥感などの遣る瀬無い感情に胃を錐揉みされつつ、今までに類を見ない歓喜、感慨を覚えることが出来た。純愛、悲愴な三角関係が好きな人にはお勧めである。

投稿 : 2024/05/04
♥ : 29
ネタバレ

TEE-PURPLE さんの感想・評価

★★★★★ 4.2

何気ない放課後…「歌」で出会った三人…出会い方が悪いのか出会ってからが悪かったのかどうしてこうなったのだろういつから壊れたのだろう…届かない恋…終わらない恋…終われない恋

[傾向・特徴]
・恋愛(学園)
・三角関係
・文化祭
・丸戸史明さんの神シナリオ
・話の展開が重い
・初恋
・友達
・ゲーム原作


 テーマは 「初恋」「三角関係」「届かない恋」の三つを挙げます。
 コメディー要素は無く、恋愛メインの話です。学園だと思っていると、かなり話が濃くて重いです。初々しくも大人の恋のような仕上がりです。胃がキリキリするとはこういったことだと痛感できるシナリオです。ラブコメに飽きて、ちゃんとした恋愛を観たいという方にオススメします。
 私としても恋愛のジャンルならトップクラスだと思うので太鼓判押してもいい作品だと思います。


考察{netabare}

人物の心理描写、行動、表情など人としての全てに注目するべき作品であった。

文化祭とはまずどうイメージできるだろう…。一般的に学生としては一番盛り上がり皆で一致団結し、最高の思い出づくりのイベントである。私もそう思っている。それで正解で間違いないだろう、ここに偽りはないと思う。
このWHITE ALBUM2の世界ではどうだろう…。答えは上記と変わらない一般的には。あくまで「一般の生徒」達には…。

しかしこの物語の主役三人には違っていた…。いやあながち間違っていない。文化祭らしく三人は音楽を練習し、ステージでは大成功し、最高の思い出になっただろう。
だが、同時に、

築かれた関係が壊れ、噛み合っていた歯車が噛み合わなくなった。

この作品では文化祭=崩壊の始まりを意味している…。このシナリオだけでも興味をそそられるものがあり、面白い設定になっていると思う。
どうして三年の卒業の学年で出会ってしまったのだろうか…。もう少し早く出会っていれば…早まらなければ…出会い方が違っていれば…
と。考えだしたらキリがないようになるのもこのシナリオの考えさせられる所であると私は思う。
それを踏まえた上で考察を始めさせてもらう。

初恋とは人間誰しも経験するものであり、のちのちいい思い出となり笑い話になるものである。普通初恋とは「初めての恋」を連想する。しかしこの作品では、「初めての"真剣"な恋」と定義することにする。
今回、学生ではありえないような真剣な恋が展開されていた。まるで制服を着て昼ドラを見ているようなもの。
そうあまりにも恋に真剣すぎた。重い。これから予想されるもの…いわゆるバットエンドしか見えてこない。
だが、この作品はそれが売りだと私は思っている。

嫉妬とはあまりいい表現ではない。今作でもそうだ。しかし、私には恋をする女の子の描写としては当たり前であり素晴らしく人間らしい感情だと思っている。むしろ嫉妬しないということは"恋"をしていないのだろう…。

小木曽雪菜がそうだ。彼女は、ヒロインである。だが、この学生編13話(ゲームでは"introductory chapter(序章)"編)での主人公であるとも言える。届かない恋と分かっていながら二人の間に割って入ろうとする…今の関係を壊させないようにするが故に失敗した主人公。そして悲劇のヒロインである。

どんな絡みだとしても、出会って過ごした時間がやはり違ったのだ。コツコツ積み上げてきた関係が大きな地盤となり立ちはだかることにより、もう崩すことのできない砦となっていたのである。
その時点で小木曽雪菜は負けていた。だが、彼女も春希に惹かれていったことにより、叶わない恋だとしても今の関係を崩したくない。そこで恋人となり親友となることにした。彼女自身も言っていたがズルい女だった。
でも、私も同じ立場にいたらきっと同じことをするであろう。

さて、親友とはなんだろうか。互いに心を許し合い一緒にいて心地いい存在である。…ここで引っかかることがあるのにお気づきだろうか。

心を許しあう=本音を隠さずさらけだす

…彼女は自分の気持ちを春希には伝える前に行動で無理やり縛っておきながら、かずさに最初に本音を吐いた。
これを機にかずさと本当の親友になれた。しかし、恋が実らないとわかった瞬間でもあった。やはり、雪菜は悲劇のヒロインであった。救われない。

どうしてこうなっちゃったんだろう…。
屋上で春希に出会わなかったら…。

どうしてこうなっちゃったんだろう…。
文化祭の後、焦らなかったら…。

どうしてこうなっちゃったんだろう…。

小木曽雪菜はここで負けが決まっていた。この恋が本物だと気づいた時は、終わりだと気づいたときと同じだった。
報われない主人公の届かない恋だった。


では、冬馬かずさはどうだろうか。彼女は真のヒロインだ。しかし彼女も報われない…最後の最後まで…。気づくのが遅すぎた。気づいてもらえるのが遅すぎた。気持ちを伝えるのが遅すぎた。伝えられるのが遅すぎた。
これが恋だと気づくに戸惑う気持ちはわかる。なんせ初めての感覚なのでどうしていいのかわからない。彼女は不器用だ。自分を出すのが苦手でいつも無愛想な態度をとっていた。それが最後まで糸をひいた為にこういった結果となった。
春希と気持ちが通じ合ったもののやっぱり遅かった。叶わない恋だった。彼女も形式上は負けなのである。


そして最後の人物、北原春希だ。彼は二人の間で揺れて優柔不断だと思ってしまうが、実は"真面目すぎる"だけなのだと思う。言動や行動を観ていたらわかったと思うが、自分が納得いかないと済まない男だ。いわゆる論理的な堅物なのである。
そんな彼が、初恋をしたらどうなるだろうか。自分の気持ちに正直になれない彼はついつい優柔不断な態度をとってしまう。

「ずっとこのまま三人でいれればいいな」

考えた結果が、雪菜と同じこの感じとなった。だが、彼女と違うところは、どちらにもいけるポジションにいる所である。かずさを諦めても雪菜がいる。雪菜を諦めてもかずさがいるといった、短絡的だがどちらにも優位な立場である。
非常にズルい男である。どちらにも思わせぶりな態度で接して二人を惑わせる…。男としてはこうなるのは致し方ない。

しかし、その結果二人を"傷つける"ことになった。
最後の空港でかずさに駆け寄って抱きしめるシーンがその末路である。
雪菜は、恋だと知った途端…失恋。
かずさは、想いは叶ったが親友を裏切ることになる。

そう、これが終着点である。バットエンド。どこから間違っていたのかわからない。どこが合っていたのかもわからない。どういう結果になりたかったのかもわからない。
三人の思惑が交錯した瞬間だった。
そして"届かない恋"が始まった瞬間であり、終わった瞬間でもあった。


これだけ書き殴れるほどの描写が多く非常に考えさせられた。いやまだ書き足りないほどである。人間が恋をする過程で現れる描写を沢山詰め込んだ作品であると私は思う。非常に人間らしい物語であった。
描写に関する綺麗なところ、汚いところを垣間見ることになり、人間って(心があって色々考えたりできること)素晴らしいと思った。

この作品で、恋愛についての考えが変わったし、アニメへの期待も一層高まった気がする。なにより自分自身が成長できたと思う。原作では序章段階、車なら暖気運転であるというのだからびっくりである。底がしれないシナリオを手がけた丸戸史明さんには脱帽である。これからも注目していきたいと思う。
これで考察は最後となる。私の都合勝手で書きなぐったものを読んでいただけて共感していただければ幸いだ。書いてよかったと思う。
長文になり申し訳ありません。
(自分でもびっくり 笑)
{/netabare}

感想{netabare}

原作プレイ済みですが、非常によくできていたと思います。
ちょっとアレンジ入ってたりしてプチ感動~。
あの話のままで動いたー!!てな感じです♪

さて、内容ですが私は、こんな恋は一生忘れることがない思い出になると思いますが、実際にやりたくないような話でした…。あくまで第三者だからいいんですよね…。
高校生でこのドロドロ恋愛で更に三角関係は辛いだろうなぁと感じながら観てました。でもだからバットエンドが際立って目立つんでしょうね。初めからそうなるように考えられていた感じでした。でも面白いんですよねぇ(*゚▽゚*)

主題歌の「届かない恋」が2013年用にアレンジされてて感動しながら、毎回オープニングでWHITE ALBUM2の世界に入り込めることができました。いやぁいい曲ですね♪
内容を把握してから歌詞を考えると、結構エグい歌詞ですが…。

これほどの神シナリオのアニメやゲームは今までありませんし、今後も中々出てこないと思います。気に入って人がひとりでも増えてくれたならいいなぁと思います。
この作品がもっと評価されることを願う今日この頃。

私はかずさ派です♪
{/netabare}

二期を2クールで希望します!

投稿 : 2024/05/04
♥ : 46

88.3 3 ドロドロアニメランキング3位
ココロコネクト(TVアニメ動画)

2012年夏アニメ
★★★★☆ 3.9 (4672)
22222人が棚に入れました
私立山星高校文化研究部内で次々と起こる実際ではあり得ない不思議な現象、<ふうせんかずら>による謎の企み、それにより主人公八重樫太一をはじめ永瀬、稲葉、桐山、青木の友情が成長していく。

声優・キャラクター
水島大宙、沢城みゆき、豊崎愛生、金元寿子、寺島拓篤、伊藤静、藤原啓治、大亀あすか、佐倉綾音、田中敦子、小野友樹、石原夏織、上坂すみれ、内田真礼、戸松遥
ネタバレ

takumi@ さんの感想・評価

★★★★★ 4.2

<17話まで視聴完了> ミチランダムに見たむき出しの感情

<14話~17話 ミチランダム>

心の声というものは、他人には聞こえない。
表情でなんとなく本音がわかる場合もあるけれど
大抵は皆、表には出さない部分があるもので。
それは嘘というものばかりじゃなく、思いやりからだったり
気遣いから来るものなわけだけれど、度が過ぎるとキャラを
演じてるようになってしまう人も出てきたりする。

見せたい自分、相手に求められてる自分を演じきる。
それは時に必要な場面もあるけれど、実際疲れる。
理想と現実、表の自分と裏の自分の距離があればあるほど苦しむ。
もっと、自分の思うままに行動できて、ものが言えたら・・
「ミチランダム」の今回の4話はなかなか濃くて良かったと思う。
登場人物それぞれの心理描写、心の変化、本音むき出しの激しい感情が
ものすごく伝わってきて、リアルだった。

人の本質なんて、本当は自分でさえ気づけてない部分が
あったりするのだよね。
あけすけに何でも言っていいわけじゃないし、時には気遣いも必要。
それでも、できるだけ本音で何でも話し合える友達がいたら
それはとても幸せなことだと思うし、そういう相手は大切にしたい。

伊織中心の今回の話だったが、デレ稲葉も相変わらず可愛かったし
太一の小悪魔風味な妹なんかも面白かった。

ところで・・この作品、まだ続くの?
最終回なのか、なんなのか・・・
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<13話の感想>

14話からはミチランダムが配信という形で始まるようだが
TV版の最終回は観終えたので、一旦区切ろうと思う。
っていうかさ、なんでこのカコランダムを最後に持ってきたかな。
これ、順序変えたほうがもっと爽やかに感動して終われたんじゃないかなぁ?
例えば、カコランダムは「ヒトランダム」のあとに持ってきて
{netabare}
「キズランダム」の稲葉の告白で終わらせたほうが最終回らしく
また、次の「ミチランダム」に繋げやすかったんじゃないの?
まぁでも、伊織の家庭の問題解決が5人の絆を深めることにもなるし
フウセンカズラとの兼ね合いもあるから仕方ないのだろうけれどね。
{/netabare}
でも今回のカコランダムの後にどうせまたミチランダムがくるなら
って、正直思ってしまった。

それだけ、出だしが良くて期待していたからね。
毎回、いろいろ感じさせてくれるストーリーだったし、
彼らのフレッシュな魅力と、さまざまな経験を経て培われていく友情が
観ていてとても好感持てたので。

今回、すごく共感できたのは「どんな過去であっても否定しない」ってこと。
いろいろな過去が人それぞれあって、時には辛かったとしても
それらがあって今現在の自分があるわけで。
過去を否定してしまったら、自分を否定してしまうし
過去をないものにしてしまったら、自分を消去してしまうことになる。
もし、やり直しができる能力をもらったとしても、それでは
せっかくの経験と学習が泡になってしまう。
{netabare}
だから今のままでいい、って決心した伊織は清々しかった。
{/netabare}

そこには、仲間達との強い絆で結ばれた自信が伺えた。

喜び、哀しみ、愛しさ、せつなさ・・それらを経験して
時には激しく衝突し、時にはやさしく労わりながら
お互いを理解しあってきた彼らは、1人1人がすごく成長できたと思う。

辛い部分もあるけれど、100%目をそむけて逃げるのじゃなく
立ち向かうことも必要で、だけどそこで大事なのは・・・
一人だけで何でも背負って解決しようとしないこと。
仲間を頼りにしたっていいのだ、困った時は甘えたっていいのだ。
そんなことを考えながら観て、自分にも言い聞かせていた最終回だった。
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<12話の感想>

今回は青木と唯がメインのお話。
時間退行している間の過去をリアルに見ることで
部員たちそれぞれが理解を深めていくとともに
本人もまた、内面的に成長があるようで。
過去にさかのぼって、その時の自分に会えたら忠告したいと
思うことが時々あるけれど、なんとなくそれに近い感覚。

誰にでもターニングポイントとなった時期が過去にいくつも
あって、でもそれを乗り越えることで強くなったり
今の自分に自信を持てるようになるのだよね。
今回のカコランダムはそれをみんなで共有して
記憶していくことに意義があるのだろうな。

さて太一は次週どうなるか?最終回だったかな?
見逃せません。
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<11話の感想>

今回からは時間退行が始まってしまったようで。
太一以外のメンバーはそれぞれ11歳の頃だったり6歳の頃だったりと
さまざまな何らかの意味がある時期に一定の時間帯だけ退行する。
彼らはその頃の想いや出来事を思い出し、高校生の今とは違う何かに
気づいていっている様子。
しかし太一だけは「ナイト」としての役目があるということで
時間退行体験はない模様。さてこの「ナイト」とは?
当然、彼の今までを見ればわかるけれど、自己犠牲的な性格を
最大限に利用することで、また利用せざるを得ない中で
太一自身にとっても何らかの気づきになるのかも。
それにしても、幼くなった稲葉や伊織たちが可愛かったーw
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<10話の感想>

観ていた日の個人的な気​分と稲葉が重なってしまって、
彼女と同じくらい泣いてしまった。
タイミングよく伊織に欲望開放が起きたからというのもあるけれど、
稲葉に叫ぶようにして言い放った言葉の数々は、自分の心にも突き刺さって。
だけどそれは不愉快じゃなく、むしろすごく嬉しい言葉で。

人には長所も短所もある、大好きな部分もあれば嫌いな部分もある。
でも、ひとまず全部通してその人を受け止め、受け入れる。
それは「ほんとうの友達」として認めるということ。
たとえ恋敵になったとしたって正々堂々と取り合う。
どちらが勝とうが、そんなことで自分達の友情は壊れない。
そう言い切ってくれる鮮やかで熱い友情は、見ていて心地良いし
とても共感できる。

言いたいことを友達に言う以上に、
相手が言いたいことをこの胸に受け止めることのほうが
ずっと深く友情を感じるものなのだなと、あらためて感動した。
幼い子どものように泣きじゃくったり、嬉しそうに笑ったり
そんな稲葉の表情豊かな部分が初めて観れたのも良かった。

伊織もすごくいい子だけれど、さて・・今後の展開はどうなるのかな?
すごく気になる~
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<9話の感想>

そっかーイナバーンの大事な話は次週に持ち越しかー
まぁ観ているこちらは、もう薄々気づいているのだけど。
彼女の葛藤、視線が痛いほどよくわかる。
次週が今からとても楽しみ。

人は誰もみな、望んでいなくとも傷つけあってしまうことが多くて。
そこで亀裂が深く入ったままなら、友情もそこまで。
でも、傷つけられたり傷つけてしまった経験は、人を学習させ成長させる。
それまでどんなに長いこと閉じこもっていたとしても、
ひとりだけではどうにもならない問題もあるからね・・

この作品は、高校生達のフレッシュな日々と暗鬱とした想いとの
ギャップをリアルに見せながら、心開くとはどういうことか、
真の友情とはなんなのかを伝えているような気がしている。
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<8話の感想>

人は誰しも、誰かを傷つけてしまうもの・・なのかも。
傷つけあうことを恐れていては前に進めない。
傷つけられた時以上に、相手を傷つけてしまった時のほうが
ほんとうは絶望感って大きかったりするよね。
そんなことを想いながらの今回のお話。
まずは視野を広げようじゃないかと。
一番大切なものは何か、自分はどうしたいのか?
目先のことに惑わされずに、見極めることが肝心。
{netabare}
一旦、5人はバラバラになってしまったかに見えるけれど
それは今後の結束を高めるための第一歩になるんじゃないかな?
{/netabare}

今回は特に学級委員がいい仕事してた(笑)
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<7話の感想>

相変わらずテーマがブレることなく、深い。
精神医学的な分野からじっくり考察してみたくなるけれど
それは最終回が終了して、私に余裕があったらにしようと思う。
今回は欲望開放というより、衝動開放って感じだったかな。
抑えきれない衝動を吐き出す、普段は理性で抑えることが
できている言葉を、言い換えることなく素のままぶつけてしまう。

{netabare}
結果的に本人は、心が開放されるからスッと落ち着けるものの、
一度口に出した言葉は新たな傷を生み出すし、記憶はそう簡単に
消えてくれはしないから。
でも、彼らにとって唯一の救いは、これが「ふうせんかずら」の仕業である
ってことがわかりあえていること。
責任の所在がハッキリしているから、彼らは結束していられる。
でも、そろそろ大きなシャッフルが出てきてもいい頃かもね、物語的には。
{/netabare}
------------------------------------------
<6話の感想>

おぉ・・やっぱり再び登場したか、ふうせんかずら。
今度の現象もなかなか厄介ながら深いところを突いてくるよね。
人の心には必ずといっていいほど、何らかの傷や劣等感があるわけで。
表面では取り繕っているものの、一人になった時
それらはある日突然芽を出し始める。
特に表と内側の差が激しい稲葉や永瀬は危なそう。
ますます次回が見逃せなくなってきたわ。
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<5話の感想>

今回は、いろんな意味でとにかく必見。
後半、うるうるきてしまったけれど、ふうせんかずら・・
アンタ何者なんだ!?
{netabare}
どうやら1話から続いていた人格入れ替わり現象はこれで一段落?
{/netabare}
でも、まだまだ別の現象が起きて、彼らの心をかき乱したりするのかな。
けど、悪いことばかりじゃなく、何かしらそういった体験で
得るものがあるってことに気づいていく彼らなのかもね。
-----------------------------------------
<1話~4話までの感想>

横浜を舞台に、私立高校文化研究部の部員5人に次々と起こる不思議な現象。
例えば、AさんとBさんの人格が入れ替わって大騒ぎしているとすぐ戻ったり。
今度はCさんとBさんDさん、3人の人格が入れ替わったり。
外見だけは変わらないまま中身が変わるというと、だいぶ昔に
大林監督が撮った小林聡美、尾美としのり主演の映画『同級生』を
思い出さずにいられなかった。

まだ思春期を卒業していない年頃の男女が入れ替わってしまうって
もうそれだけでセンセーショナルなわけで。
まずは膨らんだ胸を触ってみたり、トイレに駆け込もうと、
女子生徒の姿のまま男子トイレに蟹股で飛び込んでみたりと
描写もなかなかリアル。

そしてどうやら、この物語の見どころは、
1人1人中身を入れ替わってみることで、相手の家庭の事情を知ったり、
トラウマに気づかされたり、今まで表面には見せずにいたそれぞれの
悩みが暴露されていくことにより、それらを部員たちが知って
以前よりいっそう理解を深め合おうとする姿なのかもしれない。

テーマとしてはサイコサスペンスっぽくも演出できる内容だけれど、
OP曲からして朗らかに明るいのも、深く考えれば考えるほど
どっちなんだろう?と気になってくるし、まだもう少し観ないと先が読めない。
そして当然、それが楽しみでもある。

とにかく、5人の人物背景がとても興味深い。

【八重樫太一】
{netabare}
プロレス好きの理由は「受け身の美学」と言う主人公=八重樫太一。
天然で、正直で、生真面目で、困っている人や苦しんでいる人を
助けずにいられない性格で、しかも代わりに自分がその痛みを
背負おえばいいと思ってしまうような面がある。
観ていてこの太一が自分と性格が被る部分があるので
女の子から「自己犠牲野郎」などと呼ばれるとズキンっときてしまう(苦笑)
彼の今後の課題は、「自分」の本音をさらけ出すことかもしれない。
{/netabare}


【永瀬伊織】
{netabare}
なんと母親が次々に夫を代えるものだから、父親になった人が何人もいるという。
さまざまな父親という他人と接する間に、相手に求められているものを即座に
察知する能力が備わり、演技してしまう癖が抜けずにいる。
そのため「自分」がなくなってしまっていることが悩みの種。
学校でもハイテンションな振る舞いをしているが、自宅で1人の時の彼女を
観た感じ、太一ととても似たもの同士な雰囲気がある。
{/netabare}


【稲葉姫子】
{netabare}
歯に衣着せぬ物言いで、ズバズバなのは観てて楽しいけれど、
こういう人間こそ、本当は深い闇があったりするもので。
メンバーの中で一番クールで大人びた印象。言葉遣いは男っぽく、
やや乱暴な感じもするが、感受性は人一倍強いように感じる。
そう思っていたら案の定、4話で「人間不信」が発覚した。
それでも、彼女みたいな人は周囲の人間との交流次第で大きく化けるはず。
付き合い方は難しいが、じっくり腰をすえて縺れた糸をほぐしていきつつ、
ある程度の距離感は必要なんだろうな。。と思う。
{/netabare}


【桐山 唯】
{netabare}
メンバーの女子の中では、一番女子力が強そうでいて、実は男性恐怖症。
空手を習っていたりもしたが、やめた原因も男性恐怖症になった原因も
同じところにあるというが、太一のおかげで徐々に立ち直りつつある感じ。
{/netabare}


【青木義文】
{netabare}
今で言う少しチャらい感じの印象を持つ男子だが、実際は心優しい人であり。
こういう男子ってけっこう純粋で繊細で、一途だったりするのだよね。
ただ、表現方法的に不器用なだけ(笑)
一昔前だと体育会系もこんな感じだよね。
{/netabare}

投稿 : 2024/05/04
♥ : 129
ネタバレ

時崎 狂三 さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

ひとチラにつき、120円

【あらすじ】
私立山星高校文化研究部のメンバーに次々と不思議な現象が襲いかかってくる
果たして5人は立ち向かっていけるのだろうか、、、


★第一部 1~5話
人格入れ替わり<ヒトランダム>

★第二部 6~10話
欲望解放<キズランタム>

★第三部 11~13話
時間退行<カコランダム>

★第四部 14~17話(OVA)
感情伝導<ミチランダム>





【ココロコネクトを観る前に】
この作品は題材が心で一話から人格入れ替わりが始まる為、1話目から部活内のキャラを把握しておくとより一層楽しめると思います。

始めにwiki見てキャラを把握しておくのがいいと思います。

が、wikiにはネタバレも多いため登場人物欄見るだけでかなりネタバレします。

なので主要キャラの説明をwikiからネタバレしない程度に引用しつつ、キャラ毎の見た目の特徴を自分の主観で説明します。



八重樫 太一(やえがし たいち)
声 - 水島大宙
本作の主人公。
私立山星高校生徒。文化研究部(略して文研部)部員。
1年3組所属。
中学時代は野球部に所属していた。
高校1年生男子の平均身長である。
※容姿 茶髪の男の子
※呼ばれ方 皆から太一(多分)


永瀬 伊織(ながせ いおり)
声 - 豊崎愛生
本作のヒロイン。
私立山星高校生徒。文化研究部部長。
1年3組所属。
パッチリとした二重の双眸、
すっと通った鼻梁、
若干丸顔気味の整った顔立ちで、肌は白く澄んで潤いに満ちている美少女。
※容姿 黒髪 髪を括っている 口元にほくろ
※呼ばれ方 男からは永瀬 女からは伊織(多分)


稲葉 姫子(いなば ひめこ)
声 - 沢城みゆき
もう一人のヒロイン。
私立山星高校生徒。文化研究部副部長。
1年3組所属。
艶のあるセミロングでストレートの黒髪、切れ長の目と長い睫毛を持つ凛とした顔立ちのため、高校1年生とは思えないほど大人びた印象と全体的に超然とした雰囲気が相まっている。
胸の大きさはBカップ。
家庭は裕福なのか住んでいる家はかなりの豪邸。
名前で呼ばれることを嫌っており、伊織からは「稲葉ん」、青木からは「稲葉っちゃん」と呼ばれている。
思ったことはズバズバ言うクールビューティー。
※容姿 黒髪 M字分け
※呼ばれ方 大体は稲葉


桐山 唯(きりやま ゆい)
声 - 金元寿子
私立山星高校生徒。文化研究部部員。
1年1組所属。
明るい栗色のしっとりとした艶のあるロングヘアー。
キリッとした眉に、多少つり気味の力強そうな瞳で小柄な体格だがしなやかで引き締まった肉付きをし全体 的に活発な印象がある。
胸の大きさはAカップ。
※容姿 明るい茶髪 ロング
※呼ばれ方 太一からは桐山 他は唯(多分)


青木 義文(あおき よしふみ)
声 - 寺島拓篤
私立山星高校生徒。文化研究部部員。
1年1組所属。
軽くパーマがかけられた少し長めの髪の持ち主。
いつもへらへらした感じの笑顔を浮かべ全体的に気怠げだが話しかけや すそうな印象を持つほっそりとした長身 優男体格。
※容姿 金髪の男の子 若干パーマ
※呼ばれ方 皆から青木





【見どころ】
不思議な現象によって、人に知られたくない部分も露見されていくわけですが、それらを知ってしまったとき皆はどうするか。

一人一人抱えている闇の部分にどう向き合っていくのかなどが見どころだと思います。
(闇についてはキャラ評価のところにそれとなく綴っていますがネタバレ要素を含みますので隠してます。あくまで自分の主観で考察してますが気になる方は観てみてください)


また、5人の絆がテーマみたいなもんですから友情の進展も見どころですね。
初めと終わりでどれくらい親密な関係になれているのかなど。


タグで三角関係出てる時点でお察しかと思いますが、恋模様も見どころです。

本心が晒け出された状態で恋愛をするわけですから、他の恋愛作品とはまた違った楽しみ方ができると思いますよー。





【感想】
私達は心に扉があり、それに鍵を掛けることで自制心を保ち、感情を制して周りに合わせることで協調性を保っています。

しかし本作品においては普通では有り得ない現象が起こり、そのせいで感情が剥き出しにされ、いわゆる心にストッパーがない状態に無理やりされたり、他人の本心が強制的に流れてきたり、他人と体が入れ替わったり、幼少期に退行したりするわけです。

そんな中、疑心暗鬼にならずに立ち向かうことができますか?
否、自分には到底できそうにもないです。


彼らもそうであって、立ち向かおうとしつつも立ちはだかる壁は大きく何度も挫折しそうになります。
その辺のリアルな感情表現は凄く良かったと思います。

特に伊織は凄かったですね。
{netabare}
彼女は、不思議な現象の影響を一番受けていると思うので(周りに合わせて生きてきた、キャラを幾つも作っていたため本当の自分が分からない、そんな中現象に巻き込まれた為どんどん自分が分からなくなっていく)とても不安定でいつ壊れてもおかしくないような感じでした。

不思議な現象に一番弱音を見せずに立ち向かえていたのも伊織です。
ただそれは無理していたからであって<ミチランダム>でとうとう壊れちゃうんです。

壊れてからの伊織は見るに見てられなかったです。
凄いツンツンした態度でこれが本心とか言ってるけどただグレてるだけじゃんとか思いました。

感情伝導のせいもあって凄い黒く見えましたね。

正直観てて凄いイラっときました。
伊織うぜぇーとか思ってましたね。

その演技をされた豊崎愛生さんはホントに凄いな~と
八方美人キャラからウザキャラにシフトチェンジして伊織のままで完全にこなせてるのが凄いと思います。


<ミチランダム>で伊織うざいと思いましたが、伊織の視点で考えてみるとそうなっても仕方なかったんですよね。

彼女は周りの期待に応える、それに合わせて上手いことキャラ作りをするという生き方で今までやってきた行き過ぎた八方美人なわけですよ

それが、感情伝導で本心が太一達に流れることによって作ってる自分と本心にギャップがありすぎて嘘つきと思われることが怖かったわけです。

更に、今までやってきた生き方ができなくなれば自分の存在を否定されてるようなものです。

そんなこともありーの、今までの溜まったものもありーので壊れちゃったんでしょうね、、、
{/netabare}
最後は、本音をぶつけ合って伊織も無事前へ進めたみたいでよかったです。
やっぱ親友{netabare}であり恋敵でもあった(/netabare)稲葉からの一言は強いですね。
伊織の生き方そのものを変えるきっかけを作りました。
その一言載せておきます。
{netabare}















稲葉「てめぇの人生だろが、勝手に好きなように生きとけ」
{/netabare}
うぉおぉー名言(泣)

共感してくれる人はいるはず?笑





【作画について】
京アニかこれって思ったら違いました!
似てるな似てるなと思い調べたらどうやら京アニの作画担当の方が携わっているそうです納得。

伊織のほくろはいいと思いましたが、如何せんキャラに特徴が無さすぎる…

学園物だから仕方ない&こういうのもありだとは思いますが、出だしから入れ替わりを題材にしてるのにキャラに特徴がなさすぎて入り込みづらいというのがありました。

分かりやすいとこにアホ毛付けてくださいとまでは言いませんが、もう少し初見から分かりやすくしてほしかったです。

自分は1話終わったら直ぐにwiki見て名前把握3話ぐらいでやっと全員の名前とキャラが一致した感じです。





【声優について】
感情表現が凄く上手い!!
流石沢城みゆきさんといったところか。
{netabare}
クールキャラなのに伝導で恥ずかしい連呼してるとこが流れちゃったのは可愛かったな~

幼児化した子供のところも良かった
泣くシーンも良かったです
{/netabare}

豊崎愛生さんは、一見おてんばキャラしか合わなさそうな感じしてたけど伊織{netabare}の黒い部分{/netabare}凄い上手く演じてたのに感心しました!
幅広がった?(他演じてるキャラはあまり知らないので自分主観になってますすみません)


pickupが女性ばかりで申し訳ないです
それが男の性です!笑





【音楽について】
OPはドッキリ事件の発端の方が手掛けているのもあり、聞く気になれませんでした。
桃井はるこさんバカにするとは、解せぬ

edはよかったですね!
一貫してteam.ねこ缶さんが担当してました。
エアーマンが倒せない歌ってる人かな?

edの中でもおすすめは 14~17話<ミチランダム>で使用された「I scream Chocolatl」です。





【キャラについて】
作画のところにも挙げましたが特徴がなさすぎて初見では入り込みづらいです。

人格入れ替わりなのにキャラ把握できてないのは痛いです。

このアニメの題材が故に本来は他のアニメよりもキャラの特徴を強調しなければいけないのに他アニメより劣っているのは如何なものかとは思いましたね‥

しゃべり方に特徴があったりすればよかったかなと思いました。


馬鹿な自分でも3話ぐらいには完全に把握できてたので考え過ぎなのかな?

ただ始めの方に人格入れ替わって話してるときに誰と誰が入れ替わったのか分からないということが何度かあったので勿体なく感じて書かせて頂きました。

声優も1話だとアフレコ始めで役にもココロコネクトの世界観にも慣れてなくて、他キャラになりきるのは難しいと思いますし、しゃべり方にあまり特徴ないのに声一緒だから尚のこと誰だろって混乱しました(笑)

…とここまでが見て分かる、聞いて分かる外面部分ですね。

内面部分…いわゆるキャラの設定は良かったです。


太一が{netabare}「自己犠牲野郎」

他人の為なら自分の危険を省みず行動してしまう
{/netabare}
{netabare}
他作品でいうとfateの士郎と似たような感じですね
これは原因があるのかな?
アニメではまだ語られてないですよね?
今のところは、他人が傷付くのを見てると耐えられないから、自分のために自己犠牲をする。
そんな感じだったと思います。
もっと深い理由があるんでしょうけどそれはこれから語られるのかな?
{/netabare}


伊織は{netabare}「八方美人」

いろんなキャラを作り人に合わせることで皆の期待に応えるという。
{/netabare}
{netabare}
原因は、作中で語られましたが家庭環境ですね。
母親が×5で父親が変わる度に、気に入られるようなキャラになりきっていた。
2人目の暴力を振るう父親から母親を守るために、いい子を演じたのがそもそもの発端みたいです。
{/netabare}


稲葉は{netabare}「人間不信」

人を信じられない。
{/netabare}
{netabare}
小さい頃から人見知りで高校に入るまでは、誰とも一線を置いていた。
そのため友達も居なかった。
人間不信という性格に向き合うことは今までなかったが、本作の現象で皆と本心から向き合うことになり結果自分の性格とも向き合わなければいけなくなった。
{/netabare}


唯は{netabare}「男性恐怖症」
男の人に触れられないし近付くと震える。
{/netabare}
{netabare}
これは、中学まで空手をやってきて全国レベルまで登りつめて私は強いんだと思ってきたのに男の集団にレイプされそうになって自分の弱さを実感し、更に自分が登ってきた強さというものも全否定されたことにより、どうあっても女は男に勝てないんだと思い込み、加えて襲われそうになったトラウマから男性恐怖症になったわけです。
{/netabare}


青木は…正直分かりません笑
なんだろう…
{netabare}「陽気な性格」
観て少し経つのであまり覚えてないですけど、確か過去にクラスメイトが亡くなって、その子は塾に通って真面目な子だったけど死んだら頑張りも全て無駄じゃないかと思った
そこで、いつ死んでも自分は後悔しないように今をMAXに楽しもうと決めた。
{/netabare}


こんな感じでキャラ設定は凄く良かったと思います。





【最後に】
暇あったら他作品もこんな感じで詳細レビューしていこうかなと思います。
リアルごとぅーさんキャラなんでやる気出ないですけど(笑)
何はともあれ最後までレビューを観ていただきありがとうございました。
それでは~(^_^)ノシ

投稿 : 2024/05/04
♥ : 11
ネタバレ

アスピリン さんの感想・評価

★★★★☆ 3.7

最後のリアル感はすごく納得が出来た!!

14話~17話 ミチランダム 感想

人の考えていることが自然と伝わってきてしまうというミチランダムでしたが、アニメの最後にふさわしいぐらいいい出来でしたね!

まず物語の中でも最も過酷というか難しい問題だったと思いますし、その中でそれぞれの気持ちが顕著に表れていて見ていてわかりやすかった!

そしてラストの太一のくっつき方は本当に予想とは違い、またリアルであり評価できます。
あのような感じの裏切り方はすごく新鮮味があっていい~
(序盤から決まった通りのルートを最後まで無理に貫く作品とは違うところはとってもよかったかな)

欲を言えば、永瀬と最後に仲良くなる子がもう少し物語自体に絡んできていたら尚良かったんですが、まあそこはしょうがないかなって気がします。




13話感想 カコランダム最終回 {netabare}


永瀬の母親の問題はいつまでも手こずるんだろうなって思っていただけに、解決できたのは驚きであり 作品のダークストーリーへの逃げ場がなくなったって意味でも非常に良い展開でした。

またミチランダムへ繋がる予告の長瀬の発言は気になって仕方ないですよw
「えっ!?そうなの!?」って感じで、やっぱり秘めている子はどこまでもわからないものなのかって。


で、最も気になるのは展開以上に視聴条件っていうのがなんとも言えない(笑)

俺妹や化物語なども続きはWedでって形だったと記憶していますが、なんか今のところ上映イベントをしてその後は未定なのでしょうかね??ミチランダムは上映+セルorレンタルのディスク版だけだと相当困るんですがw
というかWebで視聴できても画質が・・ってところもあるんでどっちにしてもこういった視聴展開は嫌だね。
(でも考えてみれば元々17話までしか用意されてなったので、当然って言われれば当然かw)

如何せん、作品の注目度は下がってしまうのは必死です。


ところで、、これは 今観ているに入るのかな?それとも観終わった?(笑){/netabare}

12話感想 カコランダム2話 {netabare}


予想通りの青木、桐山の過去ネタでしたし、オチも思っていた通りw

ここまでヒトランダム→キズランダム→カコランダムと来てますが、なんかサブタイトルって無意味だろ!?って最近思うようになってきました。
私はサブタイトル=フウセンカズラの攻め方の変化だと認識しているぐらいですw(細かく言えば、確かに変化はしているけどさ・・)

青木の過去ネタのレベルの低さといったら・・・そんなの誰でもあるし・・・。(青木だけ、なぜか軽い話になるっていうのはどうにかならないのか?
太一もそうだけど、男性陣は女性陣の引き立て役に過ぎないといったらそれまでなんだけどさ。)


ちょっとストーリー展開がマンネリ傾向に入ってきてるのは気のせいなのかな。 {/netabare}

11話感想 カコランダム1話 {netabare}

テーマ的にはなかなか面白いものですね!
キズランダムなんかよりだいぶ期待が持てそう。
ただ強いて言えば、3話分しか尺が無いのでどれだけストーリーで惹きつけられるかだと思います。
もう既に1話分が終わったわけですが、わかったことといえば青木の過去と再び永瀬のことぐらい。

どう考えても尺的にストーリーが軽い感じになりそうなのでそこは不安要素でしょうね。

一方で、好材料といえばEDがなかなかリズミカルで良かった事!
ヒトで良く、キズで微妙、カコで良いって流れ(笑)


あとは、そろそろOPは替わるんでしょうかね?
結構気になっているんですが。 {/netabare}

10話感想 キズランダム最終回 {netabare}

ヒトランダムと比べるとだいぶ面白みにかける話になったな~と思いました。
結局はしたいことして、言いたいことを言うっていうだけの子供みたいな軽い展開で残念。唯一、稲葉が秘めていた内容って言うのも、ばればれの「太一が好きです」だったのが尚、分かりきっていて・・・・残念。

で、こうやって終わってみると、サブタイトルのキズランダムってなんか相応しくないって気がしますけど。
キズではないよね?・・・・。


次はカコランダムが3話分ということで尺は少ないですが、キズランダムよりは随分楽しめるのではないかと思っています。
ただ、結局は稲葉がもっていくって展開だけは勘弁してね。本当にいつも稲葉にもっていくのはこの作品の悪いところだから。

あとはEDにも期待かな。キズではインパクトが無い曲だったので・・。{/netabare}

9話感想 キズランダム4話 {netabare}

キズランダムも終盤になってきましたが、ここまでのココロコネクトを見てると結局何か重い空気にしたいときには稲葉便りなんだよね・・・この作品。この辺はなんというかある種のマンネリ化?稲葉が出てきた→重くなる っていう感じに思われたらだめなわけであって。


永瀬も桐山も内に秘めてるものはあるんだけど、いつもいつも最後には稲葉が持っていくんだよね。
EDの前振り最後には、いつも稲葉使ってるのがその証拠だよね。もっと工夫して作ってもらいたい。

また前にも言ったが、EDがキズランダムと合ってなさすぎて見終わったときに、あれ?こんな作品だったっけ?ってなるのも残念です。


ここまでのキズランダムはヒトランダムに大きく劣っていると思います。 {/netabare}

7話感想 キズランダム2話{netabare}

まだ わからないことだらけなんですが、結局のところキズランダムは欲望開放=言いたいことを言って問題を引き起こすってスタイルみたいですね。

重い話になりそうでならないって感じも どっちつかず感があってあまりよろしくないかも。

確かに重過ぎるのも良くないし、軽くするのも良くないと思いますけど、この作品は重さを更に追求しても良いんじゃないかな?って思いますけどね。


そうは言っても、5人の本性が今現在にいたっても数パーセントぐらいしか分かっていないって言うのは今後の視聴への期待感があっていい!



太一=自己犠牲だけ?
稲葉=冷静だが 謎名部分も多い。
永瀬=精神的に危なく 最も危険。
桐山=恐怖症だけではないのかも?
青木=桐山が好きなことしか認知できず。{/netabare}

6話感想 キズランダム1話{netabare}

ヒトランダムが終了して、キズランダムが始まりました。

内容としては自制心を失い、思ったままのことをしてしまうというもの。
で、今回は稲葉に焦点が当たるのかなと思いつつも、やっぱり永瀬になりかありそうな匂い・・楽しみです。

しかし、稲葉は真面目に太一のことが好きなんですね。
なんか泥沼化しそうな展開でもあります。


最後になりますが、OPは今のところ変更は無いので今クール中は継続だと思いますけど、EDは曲名がサブタイトルみたいになってたのでやっぱり変わってしまいました。

いや~残念すぎるよ~ 今期のアニメの中で最も良いと思っていたEDココロノカラだったので・・・。
新EDはあまりぱっとしない印象だったね。{/netabare}

5話感想 ヒトランダム最終話{netabare}

ヒトランダムの話は無事終了しました!
まあ総括すると面白かったですよ?!

フウセンカズラに関してはもちろん分からないことだらけなんですが、それは作品説明でだいたい明かされないんだろうなって思っていたので分からないのが逆にいいのかもね?

5人の友情の強さを思い知らされたヒトランダムだったし、本当に怪現象以外はリアルそのもので感情移入も出来る。素晴らしいヒトランダムだったんじゃないかな。


ココロコネクトに当初全く知識がなく、てっきりココロコネクト ヒトランダム っていう作品だと思っていたんですが、サブタイトルがテーマになっているっていうのは面白い!


次回からはキズランダムってことでどんな話になるのかとてもとても期待しています!!
意味入れ替わりを体験していく中でそれぞれのキズみたいなのは見えたと思っているので、そこでまだ別のキズがあるっていうのは・・・・・・・・楽しみだ。{/netabare}

4話感想 ヒトランダム4話{netabare}

序盤でこのストーリーの勢い・・・魅せてくれますね。

ここまで一貫してタイチが各ヒロインと上手く絡んでいるんですが、今回で一通り3人のヒロインの内面は見えました。(自己犠牲野郎ここにありって感じ)
次週からは今までの話を更に掘り下げていくのか?
はたまた軌道修正して全く違う方に話が進んでいくのかな?など、凄く多くの分岐が出来るなって思います。

見ている方としては次回がどんな展開になるのか予想も付かないって言うのがあり次回がすごく待ち遠しい。

しかしね、てっきり普通のほのぼの学園物語だと思っていたんですが、こんなに深く重いストーリーだったとは。

ここまでの出来は今期の作品の中でも1,2ではないかと。{/netabare}

3話感想 ヒトランダム3話{netabare}
ここまではなかなかどういった話なのかイマイチわからず評価に困っていたんですが、ココロコネクト~ヒトランダム~ってことで不思議な現象は入れ替わり限定の中で、5人の成長を描こうとしているんですね。情報不足というか調べてなかった私も悪いんですが(苦笑)ようやく話の主旨を理解してきた気がする。

で、そういった視点で内容を見ると上手く演出できているし、とても感情移入できるような話にもなっています。

テーマは入れ替わりという非現実な話ですけど、それを除けば他はリアル極まりないといった感じでいい。
そこに加えて意外と言っちゃあれなんですが、重い感じの話と5人のキャラとのギャップが出来ていて素晴らしい。
重い話は少しの隙も許されませんからね。


実際のところ、放送前からあまり期待はしていなかったんですが、ここに来てかなり面白いんじゃないか?と思い始めてきました。今後期待作の筆頭候補かも?{/netabare}

2話感想 ヒトランダム2話{netabare}
入れ替わりが続くのは前回の予告からわかっていましたが、今回も入れ替わりがテーマでその範囲が2人から5人に膨れ上がりました。

そしてその原因はわからないままなのですが、なぜかその原因が自分と名乗り出す植物。

本当にとんでも展開ですよ。訳がわからない。
ただ、長瀬が入れ替わった際に意味深な発言をしていましたし、何かしらの複線的な意味があるのかもしれませんね。

ストーリー重視の私からしたらまだまだ見る価値は十分にあるし、それだけの謎がある。

また話がそれますが、EDの構成がデュラララっぽい感じでいいですね~{/netabare}

1話感想 ヒトランダム1話{netabare}
私立山星高校文化研究部内で次々と起こる実際ではあり得ない不思議な現象、<ふうせんかずら>による謎の企み、それにより主人公八重樫太一をはじめ永瀬伊織、稲葉姫子、桐山唯、青木義文の友情が成長していく。

というのが導入の説明なんですが、1話~2話ではどうやら入れ替わりといったのがその不思議な現象にあたるのでしょうか?
イマイチまだ内容を把握し切れていないのでよくわらなないのですが、3話以降だったり徐々に不思議な現象の内容も変わっていくのでしょうか?
まさか入れ替わりだけで1クール持つわけないもんね。

加えて、不思議な現象の真実というかなぜ起こったのかは、解らずじまいってパターンはやめて欲しいんですが、そうなりそうな感じはあるのでどうなんるのかな。(なぜ入れ替わったのなんかわかるわけないもんね)

その様々な現象を経て成長していくってことは現象の種類もいくつかあると思うので、来週からも要チェックです!{/netabare}

投稿 : 2024/05/04
♥ : 19

88.8 4 ドロドロアニメランキング4位
聲の形(アニメ映画)

2016年9月17日
★★★★★ 4.1 (1497)
7405人が棚に入れました
聲の形」は、聴覚の障害を持つ少女・西宮硝子と、彼女へのいじめに加担していた過去を持つ少年・石田将也の物語で、2人の衝突や再会を通して、孤独や絶望、愛などが描かれている。

声優・キャラクター
入野自由、早見沙織、悠木碧、小野賢章、金子有希、石川由依、潘めぐみ、豊永利行、松岡茉優
ネタバレ

明日は明日の風 さんの感想・評価

★★★★★ 4.2

聲とは、思いを伝えること、発するだけではないことを教えてくれる作品

硝子と将也が動き、聲を発する。それだけでもう満足でした。全7巻を120分でどうまとめるのか、それが最大のポイントだったと思います。入るべきエピソードはほぼ入っていました。
{netabare}硝子との再びの出会い、子供の頃の虐め、将也の自殺話、結弦と将也の掛け合い、硝子の告白、長束との友情、直花との再会、遊園地、結弦とおばあちゃん、将也のキツイ言葉、硝子ママの誕生日、花火大会、硝子の自殺話未遂、将也の叫び、病院の出来事、将也と硝子の橋での会話、将也の開けた心。{/netabare}これだけ詰め込んでも入りきらなかった話もたくさんありました。{netabare}多分無理だろうと思っていた6巻の話は全カット。映画作りがカット。映画製作がなかったためにいろいろな人のエピソードがなくなり、友人たちの立ち位置が薄くなっていました。特に真柴は居なくても良いくらいで、かえってかわいそうでした。この人物の異様さが見ものの一つだっただけに残念。{/netabare}

やっぱり120分で原作の全てを表すのは難しかったですね。それと、ずいぶんマイルドにしていた感じです。小学生のエピソードはイメージビデオみたいになってましたし、硝子ママはキツいだけではなく裏に隠された強さが見えなかったのは残念でした。それでもよくまとめていたと思います。山田監督、吉田玲子さんはじめ、原作者も加わってかなり会議重ねたというし、そこで出た結論がここに表されたのだろうと思いますが、できればハルヒくらいの時間使ってもよかったのではと想います。

作画は安心の京アニです。風景、女の子の画きかたは本当に綺麗でした。あと感心したのは小学校の教室、広さから雰囲気から本当にリアルでした。さすがにこれは原作には出せない、アニメの良いところだと改めて思いました。

上映期間中、もう一度見に行きたいと想います。一回だけでは足りません。劇場でもう一度です。この作品の真価を見極めたいです。


【以下、原作見たときのレビュー】
京アニが劇場アニメを制作するというので気になって仕方がなく、大人の一気買い一気読みしました。

「これ、映像化するの?…本当に大丈夫か?」

これが率直な感想でした。これが少年誌で連載されていたのも驚きですが、さらにアニメ化ですからね。

{netabare}「聲」とわざわざ使っているので、言葉が上手く出せない人の話かと想像したらその通りでした。
聾唖の少女を小学生の頃に虐めた挙句、逆に自分が虐めの対象となってしまい、心を閉ざしたままに高校生になってしまった少年の物語です。
主人公の少年が自殺を考え、最後にこの少女に会いに行くところから展開していきます。この二人を軸に、関わる人びとが心を動かし、葛藤し、それぞれの生き方、解決に向かって進んでいきます。
障害者の問題、恋愛、悩み、葛藤、生き方など、いろいろつまった青春群像劇といったところでしょうか。
かなり重いです。特に小学校の頃の虐めは実写化したら「女王の教室」を越えるほど話題になること必至です。なので、アニメでどう取り扱うか、気になります。避けては通れない話なだけに余計にです。{/netabare}

原作は賛否両論、いろんな意見が寄せられたのですが、どう感じるかは読んだ人の感性に由るようになっています。

映画は京アニ制作ですから綺麗な映像になると思いました。予告編みたら、まさに京アニワールド。背景は綺麗だし、女の子は可愛い。ただ、硝子、直花はいいとして、みきは人物的にそこまで可愛くしなくとも…。
吉田×山田のコンビなので、心の動きや心情は細かく描かれることでしょう。いい作品になると思います。しかし心配な点もあります。この作品の主人公はあくまでも「石田将也」という少年です。吉田×山田コンビは思春期の少年の心を表現できるでしょうか。また、ストーリーをどこまで入れることができるでしょうか。予告編では重要なシーンは入っていたようなので安心ですが、たぶん時間的に6巻部分は削られちゃうのだろうな…。
相当に難しい作品です。京アニの力が試されます。

【主な登場人物紹介】
原作者曰く「みんな嫌い」なのだそうです。たしかに、この作品のファンはこのキャラがいい、嫌い、という人が少ない。それだけ等身大に近い、誰もがその嫌な部分を持っているという感じで描かれているのでしかたありません。
主観バリバリに入った紹介です。正確なものを求めるときはどうか原作を読んで感じてください。

石田将也(CV.入野自由)…ほぼネタばれです。ご注意を。
{netabare}主人公。高3。小学校時代はガキ大将。そのころの心情は「退屈は大嫌い」。少しずつずれはじめた友人たちを気にしながらも馬鹿をやっている毎日。そこへ現れた耳の不自由な転校生。彼は見つける。「この子は宇宙人だ」。悪戯しても怒らない耳の不自由な子。周りから浮いた耳の不自由な子への悪戯はエスカレートして激しい虐めに発展。しかし、虐めの結果、補聴器が次々壊され総額170万円もの被害となる。その責任を担任から将也一人が背負わされてしまう。翌日から虐めの標的は将也に。中学校では小学校の悪事がひろまり仲間はずれに。そのまま心を閉ざしてしまい、高校へ。高校では家族以外の顔が×と認識されてしまうほどの状態に。人生を見失い、自殺を考えるようになる。
補聴器の代金170万円を貯め、弁償してくれた母親の枕元に置き、自殺へ向かう。ただ、将也にはやり残したことが。それは小学校のときに虐めた耳の不自由な子「西宮硝子」に誤ることだった。そのために手話を覚え、彼は向かう、硝子の元に。

将也は悔いだけで生きています。自分が悪い、その感情はずっと残るため、硝子の気持ちに気づきませんし、応えてくれません。ただひたすら硝子への悔恨が彼を突き動かしていきます。自分が幸せになってはいけないと。葛藤とジレンマ、そして自分がなぜ生きているのかの悩み。そして、最後にようやく気づきます。このくだりは本当に感動します。{/netabare}

西宮硝子(CV.早見沙織)
{netabare}もう一人の主人公。高3。母親のお腹にいるときにウィルス感染してしまい、生まれながらにして耳が不自由に。母親の教育方針で普通学校に通うも、行く先々で虐めに遭う。将也の学校でも同じで、虐められる。やがて転校することに。その直前、気持ちが通じあわない将也と取っ組み合いのけんかを起こす。ただ、このけんかは生まれて初めて硝子が感情を露にした出来事でもあった。その後、障害者の学校へ進み、それなりに幸せに暮らしていたという。そんな時に現れた将也。彼女の人生もまた、大きく変わっていくことになる。

硝子は周りがごたごたしてしまうのは自分のせいだと思い込みます。そのため、何があっても気持ちを出しませんし、愛想笑いでごまかしてしまいます。この性格が最後に大きな事件を起こすことになるのですが…。自己犠牲ではないのです、それは硝子の心の弱さと葛藤が生んだ悲劇…
将也と再び会うことで硝子は変わっていきます。どんどん表情が豊かになり、そして、恋心まで芽生えてしまいます。このあたりは本当に女の子として可愛く見れます。{/netabare}

西宮結絃(CV.悠木碧)
{netabare}硝子の妹。中3。小学生のときに虐められる硝子をかばうため、髪をばっさり切って男勝りの性格になった。見た目は可愛い男のこのため、将也にも女の子とはしばらく気づかれなかった。この子なりにいろいろ悩み、不登校になっている。将也が小学校のときに硝子を虐めていたことを覚えており、将也と硝子を会わせない等していたが、将也と触れるうちに将也の心根を知り、将也の味方となる。将也と硝子を繋ぐキーパーソンでもある。

大人な感じをかもしつつも、実は子供の中の子供です。でも、将也と会い彼の心と性格を知り、硝子が変わっていくのを見つつ、周りの環境を感じながら成長していきます。おばあさんとの別れは涙ものですが、映画に描かれるかどうか…{/netabare}

植野直花(CV.金子有希)
{netabare}将也の小中学校のころの同級生。将也の近所に住んでいる。高3。小学校の時に将也が好きになり、高校になってもその気持ちは変わっていなかった。見た目美人だが、かなりキツく、思ったことは口に出ししまう残念な性格であある。小学校の時に将也がいじめられてから思いを残したまま近づくことができなかった。いじめの原因は硝子のせいだと思っており、高校で再び会っても嫌いな感情は変わっていなかった。

直花を嫌いだという人は多いかもしれません。特に気の弱い人は、生理的に無理と感じるでしょうね。それくらい「キツイ娘」です。本来は姉御肌でさっぱりしていて明るい性格です。硝子の面倒も見ていたのですが、周りに理解されず、硝子の性格から、最後は投げ出す形になってしまうます。いじめによって変わってしまった将也を元にもどそうとしますが、かえって距離ができてしまします。この子を中心に見てみると、また別の思いをすることもできるのですが、全体的に嫌われてしまうの仕方のないキャラです。{/netabare}

長束友宏(CV.小野賢章)
{netabare}将也のクラスメイト。高3.小太りでチリチリ頭の少年。自転車盗難の危機を将也に救ってもらったことから将也にとって高校で初めての友達となる。けっこう熱い性格で、将也がピンチの時は出しゃばって救うこともあるくらい。その一方で、罵られたりすると極端に弱気になる面を持つ。映画撮影に興味を持ち、将也と周りの人々を巻き込んで文化祭の出品作品を作ることになる。

将也のクラスメイトで初めて×が取れた人物です。将也が友達とは何かを改めて考えるようになったキーマンで、硝子との繋がりを積極的に応援してくれます。見た目がちんちくりんなのですが、まっすぐな性格なので好感が持てる人多いかもしれません。ただ、気が利きすぎているのも…。{/netabare}

川井みき(CV.藩めぐみ)
{netabare}将也のクラスメイト。高3。将也とは小中高と同じ学校に通う。小中高と学級委員を務めており、自分に自信がある性格で、周りにも信頼されていると思っている。将也のいじめも自業自得と思っていて、硝子のことは見ているだけだったのに、障碍者との学校生活は貴重な経験とすら思っている。将也を通してクラスメイトの真柴との距離を縮めたいと考えている。

この物語の中で、最も嫌われやすいキャラかもしれません。なにせ、自分は全く悪くないし、信頼されているとさえ感じていますので。小学校の時のいじめはすべて将也が悪いと思っているくだりは腹が立つ人続出したようです。最後にクラスメイトから実はウザがられていたことを知る場面がありますが、それでもへこたれません。恐るべきポジティブシンキングです。{/netabare}

真柴智(CV.豊永利行)
{netabare}将也のクラスメイト。高3。みきの紹介で、以前から興味のあった将也と友達になる。結構なイケメン。小学校のころにイジメにあっており、それ以来、イジメは極端に許せない性格となった。小学生のイジメに対し叱ったり、将也の小学校の担任に水をかけるなど熱いのだが、どことなく冷めた性格を持ち合わせている。

正直、登場キャラの中でも最も恐ろしい人物かもしれません。そのことがよくわかるシーンがいくつかあり、将也の告白に対しぶん殴って「他人様」と言い放ったり、教師になりたい理由が「イジメた連中の子供がどう成長していくのか見てみたい」だったり。その時の表情はとても冷めた冷酷な顔に描かれています。{/netabare}

佐原みよこ(CV.石川由衣)
{netabare}将也と同じ小学校のころの同級生。高3。小学校のとき、硝子と仲良くなるために手話をしようという先生の提案に手を上げた結果、直花から「いい子ぶって」と罵られ、それが元で不登校に。そのため、硝子と将也がいじめにあっていたことは知らない。将也に硝子が誰か会いたい人はいるかと聞かれ、佐原に会いたいということになり、再会。硝子とはすぐに仲良くなり、物語の一人に加わる。

佐原は気の弱い性格だったのですが、中学生のときにモデル並みのスタイルに成長し、少しずつ強くなっていきました。硝子と友達になり、周りと触れ合い、苦手だった直花とも対等に話せるようになっていきます。もしかすると、物語の中で一番成長した人物かもしれません。{/netabare}

上記の主要人物のほかにも、将也と硝子の母親も物語に大きく影響を与えます。{netabare}将也の母親はとにかく優しい。すべてを包み込むような母親です。でも、将也が自殺することを悟って叱咤したシーンは、やっぱり母親は強いと思わせてくれます。
硝子の母親はキツいです。人を叱ったり、ひっぱたいたりするのに躊躇しません。硝子を「普通の人」として生活させるために虎の子を落とすようなことも平気で行います。なので嫌いだという人も多いのですが、実は硝子を生んだ後に旦那も含め、旦那家族から罵られ、見捨てられるという悲劇を経験しています。そのために硝子に強さを求めたということがわかるようになります。{/netabare}これ以外にも小学校の担任だとか、ほんと、見ていてイラつかせる人物も多いのですが、なぜか「実は…」というシーンを差し込んでくるあたりもこの作品のいいところです。

【グッと来きたシーン】
その1
{netabare}「自殺するの」
将也が自殺を決行しようと母親の枕元に170万円を置いて出て行くのですが、硝子と会い、思いとどまります。家に帰ってきて母親が170万で喜んでいるように見せた瞬間に放った一言です。子供が自殺を図るだなんて、親不孝そのものです。母親にとっては悔しく、つらい出来事だったことでしょう。庄屋を叱責し、思いとどまらせる約束をします。すでに将也は硝子と会って自殺を思いとどまっていたのですが、このシーンは泣けました。{/netabare}

その2
{netabare}「う、き」
予告でも使われているシーンです。硝子は将也と触れ合っていくうちに将也を好きになっていきます。思いを募らせた硝子はとうとう告白をします。髪型を変え、普段は手話で会話している将也に声で伝えようと懸命に言葉を発します。別れ際、大きな声で発した言葉が「いちだくーん、う、き!」なのです。そう、「好き」を伝えたのです。しかし、思いは届かず、将也は「月?」と勘違いをしてしまうのです。硝子が将也を好きなことには気づきませんし、その対象にすらなっていないと思っていることが分かります。
とても切ないけど、硝子が変わっていっていることがよく分かる重要なシーンです。{/netabare}

その3
{netabare}「生きるのを手伝ってほしい」
これも予告で使われていた言葉です。クライマックスの重要なシーンです。
硝子が自殺するため自宅マンションから飛び降りようとした瞬間、将也が間一髪救い出します。その代わり、将也が落ちてしまい、2週間も意識不明に陥ります。毎週火曜日に同じ場所会うようにしていた二人。火曜日、硝子は思いを募らせその場所に向かいます。そのとき、将也が目覚め、将也もまた無意識にその場所へ向かいます。二人は会い、会話します。そして、思い悩んでいた硝子に放った言葉がこれです。涙なしには見ることができないシーンになると思います。{/netabare}

とにかく公開が待ち遠しいです。作品を見終えた後、どんなレビュー書き込むことになるか、楽しみにしています。

【28.5.18初稿】
【28.7.8修正・追加】
【28.7.18修正・加筆】
【28.8.9加筆】

投稿 : 2024/05/04
♥ : 63
ネタバレ

雀犬 さんの感想・評価

★★★★★ 4.6

心を開いて

2016年上映、少年マガジンで連載されていた漫画「聲の形」の劇場アニメ化作品です。
制作はお馴染み京都アニメーション。

聴覚障碍の少女、西宮硝子と小学校時代に彼女をいじめていた少年、石田将也が5年ぶりに再会し、
ぎこちなくも交流していく中で自分の罪や弱さと向き合って行く姿を描く青春ドラマ。
全7巻の内容を2時間の映画に収めているためいくつかのエピソードは削られており、
特に人間関係修復の鍵となる後半の「映画作り」の話を全面カットしているため、
アニメでは存在意義がよく分からないキャラクターもいますが
テーマはしっかりと押さえてあり、非常に濃密で、心に深く響く作品になっています。
声優さんの演技も素晴らしかったですね。

以下は視聴済みの方向け、ネタバレ全開の感想です。

●伝えること
{netabare}
西宮硝子は「言わざる者」です。

先天性聴覚障害の硝子はクラスに溶け込み友達を作ろうと努力するが失敗し、
煙たがられる存在となり、やがていじめを受けるようになります。
その結果、転校し特別支援学校に通うようになるのですがここでの学校生活も
実はそれ程楽しくなかったのではないかと思われます。
同じ難聴の子の友達は原作でも映画でも一切出てきません。

彼女は鯉に餌をやる。川にパンくずを落とすと、鯉が集まってくる。
この行為は人と繋がりたいという思い、そして寂しさを投影しています。
特別な学校に通うことで彼女は守られているともいえるし、
別の見方をすれば隔離されているともいえます。
おそらく彼女の本当の願いは難聴を治し、健聴者と一緒に普通の学園生活を送ることなのでしょう。

そんな彼女も元に、かつていじめの中心人物だった将也が訪れ、
かつて硝子が使い、そして自身で捨てた筆談ノートを手渡す。
ノートにはこう書いてある。
「わたしは皆さんとこのノートを通じて仲良くなりたいと思っています」と。
突然の将也の訪問という出来事は、全てを諦めてかけていた彼女の心に火を灯すことになる。
かくして将也の再起と硝子の再挑戦が始まるのですが、
被害者が簡単に加害者を許してしまい、
それどころか恋に落ちるというのはいかにもご都合主義であり
障碍者を感動の道具にしているという批判も時折見かけます。
しかし彼女は聴覚障碍者である以前に、17歳の年頃の女の子です。
友達とお喋りしたり、 帰りに寄り道したり、オシャレをしたり、そして恋をしたり…
そんな女子高生としての当たり前の生活に彼女は憧れていたのだと思います。
手話を覚えて自分に会いに来る同い年の男の子に恋愛感情を抱いてしまうのは、
果たして間違った行為なのでしょうか。
僕は、批判している人の方が障碍者を色眼鏡で見てしまっているように感じます。

さて、彼女は将也を通じて小学校時代の面々と再会するのですが再び大きな挫折を味わいます。
さらに医師からと難聴が治る見込みがないことを告げられ(右の補聴器を外す理由です)、
優しかった祖母が亡くなる・・・と不幸な出来事が重なり、絶望した西宮は自殺未遂を起こします。

「聲の形」は硝子に厳しい現実を突きつける。
鯉はエサをあげれば集まってくれるますが、人間はそんなに単純ではありません。
高校生ともなれば、義務感だけで彼女に付き合ってはくれない。
硝子は引っ込み思案で、すぐ愛想笑いに逃げるところがあります。それが彼女の短所です。
誰とでも仲良くなりたいのであれば、その短所を克服しなければいけない。
障碍者だという「言い訳」を許さず、一人の人間として成長させるのが本作の大きな特徴だと思います。

西宮硝子に、本当の気持ちを伝える勇気を。
{/netabare}

●見ること
{netabare}
石田将也は「見ざる者」です。

そのことは、クラスメイトや小学校の同級生の顔に「バッテン」が貼られるという形で示されます。
硝子に代わって小中学校といじめのターゲットにされた彼は、
対人恐怖から人とまともに顔を合わせる事ができない。
贖罪のためバイトでお金を貯め、過去を清算した上で自ら命を立とうとする状況でこの話はスタートします。
母親の必死の説得もあり自殺は思い留まったものの、目標を失い、空っぽになってしまった将也。
すがるような気持ちで硝子の元を何度も訪れるが、
加害者がのこのこと会いに来ていいのだろうかと自問自答を繰り返します。

一方、硝子はすんなりと彼を受け入れ、
初めは将也を敵視していた妹の弓弦(ゆずる)も信頼を寄せるようになる。

しかし、当然のとこながら自殺する寸前まで追い込まれた人間がそうそう簡単に立ち直れるはずもなく、
いまだ罪悪感を拭えず、後悔と自己嫌悪に足を縛られている将也と
可憐な見かけによらず感情の揺れが大きく一度走り出したら止まらない性格の硝子は
皮肉な事に親しくなる程にすれ違ってしまう。

それは「好き」という硝子の告白を「月」と聞き間違えて僕たちを苦笑いさせる場面で
分かりやすく表現されているのだけれども、
この時猫カフェでもらったポーチのお礼に渡すプレゼントにも同様の意味があります。
将也は西宮からのプレゼントを何に使うものなのかよく分からないまま受け取ります。
この謎アイテムは最後にプランターの飾り、フラワーピックと呼ばれる物だったことが分かるのですが
男の子にプレゼントするなら説明が必要だし、将也もよく分からないなら尋ねるべきだった。
つまりこのフラワーピックは二人の心の距離を測るモノサシであり
ディスコミュニケーションの象徴なのです。
その後も二人の関係は一向に進展せず、旧友とよりを戻す機会が訪れますが自ら潰してしまいます。

将也の欠点はネガティブな思考でしょう。物事を悪い方へ悪い方へ考えてしまう。
そんな将也を好きになる視聴者は少ないかと思いますが、彼には長所があると思います。
それは素直さと直向きさ。バイトで170万もの弁償代を貯めるなんて、なかなかできることではありません。
彼の直向きさは、最初から備わっていたものではなく自分自身の罪と向き合った結果手にしたものです。
将也に必要なのは今の自分自身を信じることなのだと思います。
彼をどうしても許せないという人もいるのだけど、
話をいじめに限定しなければ誰しもが加害者の立場になる可能性はありますし、
ある程度客観的に彼を見ることでこの作品から得られるのがあるのではないかな。

石田将也に、真実の世界を見る自信を。
{/netabare}

●聞くこと
{netabare}
植野直花は「聞かざる者」です。

間違いなく本作のキーパーソンでしょう。
彼女は人間関係を一変させる触媒として働き、物語を大きく推進させる力を持ちます。
聲の形は彼女の存在によって作品が数段面白くなっているし、また深みのあるものになっていると思います。

植野は思っていることを遠慮なくズケズケ言ってしまう、
アニメではあまり見かけないけど現実にはよくいるタイプの人間ですね。
もちろん彼女は口が悪いだけではない。偽りのない言葉は鋭利でとても強い力を持っている。

この映画で一番の見所はどこかと聞かれると、僕は西宮と二人で観覧車に乗って話すシーケンスだと答えます。
印象的でかつ、作者の鬼才ぶりが一番感じられる場面だと思うのです。
「あんたのせいで私たちの関係が壊れた」と硝子を逆恨みする植野ですが、
実は彼女は硝子を障碍者というフィルターをかけず一人の女性として見ている唯一の人物なのです。
だからこそ、硝子の「人間的欠点」を指摘できる。
別に植野は彼女のために良かれと思って言っているわけではなく、
むしろ悪意を込めてマウントポジションで一方的に言い放っているだけにすぎません。
二人の間で会話は成立していないし、この一言で硝子は深く傷ついたでしょう。
しかし、硝子が植野と再会しなければ自分自身の短所と向き合うこともなく、
内気で友達を作れないままだったというのもまた事実。

一方、植野は将也と島田との仲を修復させようと取り計らいますが、こちらは善意の行為にも拘らず失敗します。
植野の行動は将也の嫌な記憶を呼び起こし不快にさせると同時に、
西宮と友達になろうとした自分の行動とダブり、彼にブーメランとなって跳ね返ってくる。
「西宮も同じように自分を鬱陶しく感じているのではないか」と将也はますます自己嫌悪に陥ります。
容赦のない言葉がプラスに働くこともあれば、良かれと思った事がマイナスに働くこともある。
これが人間関係の面白さであり、難しさなのだと思います。

さて、植野は原作とアニメ版で設定も性格も微妙に異なるキャラであり、これでもアニメ版で丸くなっています。
原作はアニメよりも恋愛要素が強く、植野は「負けヒロイン」という位置づけでしたが
アニメ版の植野は将也への恋愛感情を抱いている描写はなく、
将也と硝子にとって「乗り越えなくてはいけない壁」として描かれています。
それは才色兼備でリーダーシップもある植野が、スクールカーストの最上位にいるからなんですね。
逆に永束が良き友人として将也のために動いても事態を変える力がないのはスクールカーストの底辺にいるからで、
つくづくこの作品は残酷だなと思います…
実際、硝子が一人ずつ会って会話するときも最後は植野だし、将也から見える「バッテン」が最後に外れるのも植野。
つまり平たく言うとこの映画で植野は"ラスボス"なのです。

そのラスボス攻略の決め手となるのは意外にも傘。
硝子が植野に傘を差し出すシーンは将也が弓弦に対して傘を差し出すシーンと完全な対になっています。
なぜこの行為が人の心を動かすのか。
誰であれ良心はあるし、人を邪険に扱う時は少なからず心が痛むもの。
だから人は嫌いな人と相対するとき、「相手も自分を嫌っているはずだ」と思って心のバランスを取ろうとします。
二人が傘を差し出す行為には「私は、あなたを嫌っていないよ」というメッセージが含まれています。
だから意固地になっている相手の気持ちは大きく揺らぐのです。これもひとつの「声の形」なんでしょうね。

そこから学園祭で植野が硝子に手話で「バ、カ」と言うシーンがあるのですが、これはアニメオリジナルです。
実は植野の手話は間違っていて濁点がなく「ハ、カ」になっています。
それに対して硝子が「バ、カ」とやり返す。ここでようやく二人の間に会話が成り立つ。

僕は植野が硝子に言い放ったことは正論だと思っています。
私たちは学校や親から教育を受け、障碍者には親切にしようという気持ちは備わっていますが、
わざわざ自分から積極的に友達になろうとは思わないのがむしろ一般的な感覚ではないか。
植野の主張は私たち健常者が決して口に出さない本音であり、サイレントマジョリティーなのだと思う。
でも実際のところ、聞こえないというハンディはあまりにも大きく完全に対等な関係を求めるのは無茶です。
健常者から歩み寄る思いやりがどうしても必要になる。それもまた現実。

何でも思っていることを口にしてしまう性格の植野。
それは長所でも短所でもあるけれど、人間関係がギクシャクする場面に出会うことも多いと思う。
この原作改変には「少しだけ優しくなれれば、あなたは上手くいく」という
アニメスタッフの思いが込められているように感じます。

植野直花に、他人の声を聞く優しさを。
{/netabare}

●開くこと
{netabare}
原作者の大今さんが度々語っている通り、本作のテーマは"ディスコミニケーション"です。
いじめや障碍はテーマを表現するための要素であってそれ自体がメインではなく、
人と人とが互いに気持ちを伝えることの難しさを描いた物語です。

なぜ、本作のキャラクター達のコミニケーションは上手くいかないのか?
きっと彼らは会話するとき、相手の前に閉ざされた扉があるような心境だったんじゃないだろうか。
相手の顔は見えないし、扉は鍵がかかっていて開かないし、不安ばかりが募る。
でも最後に気付くのです。
『鍵はかけられていたのではなく、自分自身でかけていた』のだと。
それは勇気だったり、自信だったり、優しさだったり。開けるための鍵は人それぞれ。
そのことに気付き、扉を開けてもう一度辺りを見渡した時、やっと世界は本当の姿を見せる。
そして世界はあなたが思うほど酷いものではなく、
自分から心を開けば、意外なほど優しく受け入れてくれるもの。
この話が伝えたいのはきっとそういうことなんじゃないかな。
漫画版の最終回は扉を開くコマで終わるのですが、
それこそがコミュニケーションの本質を示しているように感じます。

人は集団で生活し互恵的な関係を求める社会的ないきものであり、
誰かとつながりたいという思いは人間なら誰しも生まれつき持っている本能的な希求。
「聲の形」は、そんな当たり前で忘れかけていることを教えてくれる作品だと思います。
{/netabare}

投稿 : 2024/05/04
♥ : 49
ネタバレ

ぽ~か~ふぇいす さんの感想・評価

★★★★★ 4.8

大ヒット御礼舞台挨拶にも行ってきました

☆☆☆完成披露上映会鑑賞後レビュー☆☆☆

最近あまり漫画を買わなくなりました
週刊の漫画雑誌や漫画の単行本は
読みたくなった時に漫画喫茶で読んだほうが安く上がるし
ただでさえ物があふれている自室に
これ以上余計な物を置くスペースがないので
本当に価値があると思ったもの以外買わなくなりました

しかし、雑誌に掲載された新人の読み切り作品というやつは
単行本に収録されるとは限らないので
雑誌を買い逃せば下手するともう一生読めなくなっちゃう
だから最近はコレダ!と思った読み切りがある号だけは買って
そのまま手元に永久保存してあります
頻度にして年に2~3回くらいですね

この作品の読み切りが週マガに載ったときは衝撃的でした
これはとんでもない作品が出てきたぞ!と
漫画喫茶を出た私はまったく迷うことなく
その足で週マガを買いに行きました
素晴らしい読みきり作品だと思ったと同時に
この作品は連載することは不可能だし
単行本収録もされないだろうという判断です

その作品が週刊連載されると聞いたときは
続きが読めるという喜びを困惑が上回りました
あのクオリティを週刊連載で維持するのは無理だろうし
読み切りの時点で完璧な作品だったので
そこから評価が下がることはあっても上がることはなく
週刊連載ははっきり言って蛇足だろうなぁと

実際予想した通り週刊連載には読み切りにあったほどの密度はありませんでした
特に中盤の映画製作の話のあたりは
作品のおおもとのテーマから大分ずれてきているのを感じましたし
当時作品の人気にも陰りがあったようです
そこから一気に急展開してフィナーレを迎えたわけですが
やっぱり読み切りと週刊連載とでは求められるものが違うことを痛感させられました

しかし、連載は失敗だったか?と聞かれれば間違いなくNOです
完璧だった読み切り版に比べところどころ粗が目立つようになっただけで
連載版で新たに命を吹き込まれたキャラクター達はとても魅力的だったし
連載版も十分に佳作だったと思います
ただ手放しに絶賛できる程ではなかったというだけの話

原作が完結したことでこの作品の展開もこれで終わりだろうと思っていたところに
今度はアニメ化の報が舞い込んできました

連載が決まったとき以上の困惑でした
もうこの作品は十分に頑張ったと思うし
これ以上引きずってもあとはただ
読み切りを初めて手に取ったときの感動が色褪せていく一方なのだろうと
あまりアニメ化を肯定的に受け入れる気分にはなれませんでした
しかし、やはり一度好きになった作品なので
最後の最後まで見届けたいという一心で完成披露上映会へ行ってきました

結論から言えば完璧でした

連載版はやっぱり全体の尺が長すぎたんですかね?
そこから余分なものを削ぎ落としていったら
読み切り版と同等かそれ以上の質と
129分という十分に見ごたえのあるボリュームを
見事に両立させた作品に仕上がりました

ちなみに映画自主製作のあたりはばっさり無くなっています
やっぱりあれ要らなかったよなぁ・・・

尺を切り詰めていくと起こりがちなのが
キャラクター達の描写不足です
主人公&ヒロインの描写に関しては
まぁしっかり描けていて当然だと思いますが
サブのキャラクターたちも短い時間の中で
長所と短所とがはっきりと描かれていて
とてもリアルで魅力的なキャラクターになっていました

生きたキャラクターづくりをするには
欠点の描写が必要不可欠なものですが
それをやりすぎなくらい踏み込んでやっているのが
この作品の特徴でもあります
人間の醜い部分をかなり強調して見せられているのに
キャラクターがより一層魅力的に見えてくるのは
人間だれしも多かれ少なかれ持っているマイナスの部分が
大変リアルにきわめて丁寧に描かれているからでしょうか
まるで自分の心の奥底にしまい込んである仄暗い情念を
無理やり引きずり出して陳列されているような感覚
そこに描かれているものが自分と無縁ではないとを
いやがおうにも自覚させられてしまうから
その根底の部分に共感できるのだとおもいます

劇場版で最も株を上げたのは長束君
原作でもギャグっぽい描写は多くありましたが
ちょっとしたアクセント程度にしか感じなかったのが
映画ではまぁ美味しいところをガンガン持っていきます
彼がメインのシーンでは会場中が笑いに包まれていました
重いテーマの作品の中で彼の果たす役割は非常に大きいですねw

もう一人は結絃
ヒロイン役のはやみんが役の性質上
セリフらしいセリフがあまりないこともあって
一番セリフが多かった女性声優は
結絃役の悠木碧だったんじゃないでしょうか
喜怒哀楽の差が激しい役どころでしたが
その演技は見事の一言に尽きます

作画は安定の京アニクオリティ
細かい表情の描写や小物の描写など
細部にわたって行き届いておりました

音楽のみ満点をつけていませんが劇伴はとてもよかったと思いますし
aikoの主題歌も作品によくマッチしていたと思います
でも、お金を出してサントラやシングルを買いたいか?
と聞かれるとそこまでではないんですよね
年間で十数万はアニソン・サントラを購入してますので
割とCDに関しては財布のひもが緩いほうなんじゃないかと思いますが
それでも特にこの作品の曲を購入したいという気は起りませんでしたので
この評価になりました

全体的に原作を知っている人には自信を持ってお勧めできるクオリティです
そして、原作を知らない人には原作からでもアニメからでもいいので
ぜひ触れてもらいたい作品だと思います

なお、私は上映会から帰ってきてすぐ
西屋太志 自選総作監修正集付き前売券をぽちってしまったので
封切り後にまた見に行くことになりそうです
作品を見てから前売り券を買うのはこれが初めてですw
また観てきたら何かしら追記するかもしれません

☆☆☆大ヒット御礼舞台挨拶鑑賞後レビュー☆☆☆

封切り直後あにこれオフでみんなと見に行って
さらに昨日大ヒット御礼舞台挨拶に行ってきました

2回目の視聴の際は
1回目では見落としがちな細部の描写などに注目
3回目の視聴の際は
オフ会で見た後話題に上がっていた点と
舞台挨拶で話題に上がった点に特に注目してみていました

普段はネタバレありでより密度の濃い
終演後舞台挨拶を中心に見に行ってますが
今回残念ながら終演後は落選
第二希望の開演前舞台挨拶が当たったものの
発券してみたら最後列でした・・・
さらにこの回だけは別に見に行かなくても
オンライン中継されているとか
もうほんと踏んだり蹴ったりだなぁ
と思ったのですが
舞台挨拶で聞いた内容をその場ですぐ確認できたのはよかったです

舞台挨拶を聞いたり繰り返し見たことで
いくつか印象が変わった点などがあるので
ネタバレ込みで置いておきます

手話に関して{netabare}

父がお役所勤めで一時期障碍者にかかわる部署にいて
たまにNHKに有識者として呼ばれたりしてました
おかげで小さい頃から障碍者が身近にいる生活をしており
手話教室の生徒兼ボランティアみたいなこともやってました
もう止めて久しいこともあり簡単な挨拶と50音程度しかわかりませんが
一般の人よりは多少手話に触れたことがあるかんじです

今回山田監督の話では
手話のシーンに関しては
将也と佐原は勉強はしたものの使う機会がなかったので
初心者らしく50音を多めに交えて使わせる
結弦は日常的に使っているので
技でも繰り出すようにかっこよく
硝子はコミュニケーションの中心手段なので
細かい心の動きまで伝えられるように
といったように
使い手の習熟度に合わせて手話の監修を入れてもらったそうです

ということで今回は手話の部分をしっかり観察してみました

硝子が将也にだれかメールをしたい相手がいないか?
と聞かれたときに
一度目は「さ」「原」の動きを示し
一瞬佐原が誰だか頭の中でつながらなかった将也を見て
手話が伝わらなかったと判断したのか
「さ」「は」「ら」と50音でもう一度伝えています
手話で心の動きまで伝わるように
というのはこういう部分のことかもしれませんね

そしてもう一つ印象的だったのは
花火大会の別れ際
以前は自分から別れ際に「またね」
を使っていた硝子が
将也の「またね」
に対して「さようなら」と返しています
つまりはもうその時点で決意を固めていたのでしょう・・・
{/netabare}
川井さんに関して{netabare}

川井役の潘めぐみが
最初に役をもらって原作を読んだときに
どういう風に演じたらいいのかわからなかったとのこと
監督に相談した時に返ってきた
「川井さんは聖母のような女の子なんです」
と言われて自分の印象と真逆で驚いたそうな

聖母の真逆ってことはつまり
彼女が極めて打算的で狡猾に
演技しながら生きているように見えたんでしょうね
私にもそう見えました
硝子いじめにはリスクを避けて直接手は下さず
かついじめる側からも反発の無いよう同調する
事件発覚後は自分は関係ないと主張し
非難されたら泣いてごまかす

少なくとも将也と植野の目には
彼女が裏表のあるブリっ子に映っているので
物語が基本将也の目線で展開されることもあり
物語の読み手にはとても腹黒いように見えてしまうんです

実際はそうではなくて
彼女の態度は演技ではなく
いわば天然なんですね
原作者も彼女に関して
「川井さんは作品内で一切噓をついていない」
と発言しており
つまり彼女は表面を取り繕っているのではなく
本気で自分はいじめ事件の加害者ではないと考えているんです

しかし、彼女が本当に純真無垢なのであれば
打算で行っているよりもよっぽどたちが悪いようにも思います

正当化というのは正常な心の防衛反応です
自分が悪いのではないかという罪悪感がベースにあって
その罪悪感押し殺すために自分は悪くない自分は完璧であると思い込み
重症になってくると自分の中の事実を自分の都合のいいように歪めて
それを自分で信じ込んでしまいます

そんな彼女が泣いて謝罪をするシーンが映画の最後にあります
それは将也への千羽鶴が足りなかったことを詫びて泣いて謝るシーン
これは将也や硝子のしている謝罪とは根本的に性質が違います
彼女は今でも自分のこれまでの言動の全てが正しいと思っていて
自分が過ちを犯したことを謝罪しているのではなく
千羽鶴を集めきれなかった自分の能力不足を詫びているんですね

いじめ事件に関しても
自分はいじめを止めようとしたが
自分の力不足で阻止することができなかった
というのが彼女の中にあるストーリーなのでしょう
そしてそのストーリーを壊されそうになると
泣くことでコミニュケーションの中断を図るのです

そうやって自分の嫌な部分を自分から見えなくしてしまい
自分を「聖母」にしてしまっている彼女は
立派にいじめ事件の加害者であり被害者なのだと思います
{/netabare}
音楽に関して{netabare}

繰り返し鑑賞して思ったのは
劇伴については結構よかったなぁということ
中盤までの劇伴はそこまで印象に残らなかったんですが
後半の喧嘩や飛び降りのシーンの音楽は
非常に印象的な使われ方をしており強く心に残りました
しかしまぁ、サントラを買って聞きたいかと言われるとやっぱりNO
お金を払って聞く価値がないというのではなく
日常的にあんなものを聞いて過ごしていたら
心を病んでしまいそうなのでやっぱり要らないかなという感じです

aikoの曲に関しては聞けば聞くほど違和感が
けみかけさんとも少し話しましたが
恋愛がメインテーマの映画でもないのに
テーマソングが「恋をしたのは」なのはどういうことだろう?と

私の出した結論は
映画としてあの楽曲を使う必要性は全くないけれど
この作品を商業的にプロモーションするために
障碍と恋愛という二つの要素を前面に出す必要があった
ということです

そりゃいじめと自殺未遂の映画ですって言われたら
一般層は裸足で逃げ出しますからね
原作組だけで内々に盛り上がるのではなく
一般層にも受け入れてもらうための作戦として
あの曲とあのPVを使うのは間違っていないかもしれません

しかし、そうやって釣られてきた層が
この映画を見て果たしてどう思うのか?
少なくともカップルで見に来るような恋愛映画ではないです
そういう人たちは君の名は。を見に行った方がいいでしょう
驚かせるのが目的で嘘予告的なものを流すのはアリだと思いますが
この作品はそういうのともちょっと違いますよね・・・

原作のファンでもあるというaikoの起用は悪くなかったと思いますが
もう少し映画の内容にあった曲にしてほしかったところですね
{/netabare}

オフ会も舞台挨拶も前売り使えずで
まだ一枚余っているため最後にもう1回見て
いろいろ思うところをレビューしておこうとおもいます

投稿 : 2024/05/04
♥ : 49

75.8 5 ドロドロアニメランキング5位
ハッピーシュガーライフ(TVアニメ動画)

2018年夏アニメ
★★★★☆ 3.6 (524)
1958人が棚に入れました
松坂さとうには、好きな人がいます。その人と触れ合うと、とても甘い気持ちになるのです。きっとこれが「愛」なのね。彼女はそう思いました。この想いを守るためなら、どんなことも許される。騙しても犯しても奪っても殺してもいいと思うの。戦慄の純愛サイコホラー。

声優・キャラクター
花澤香菜、久野美咲、花守ゆみり、花江夏樹、洲崎綾、石川界人、井上喜久子
ネタバレ

東アジア親日武装戦線 さんの感想・評価

★★★★★ 4.1

にがみのエッセンスが醸し出す「フロイト」的な世界観が気に入った!!

作品概要
▼原作:月刊ガンガンJOKER(スクウェア・エニックス)
▼原作者:鍵空とみやき
▼アニメーション制作:Ezo'la(ディオメディア)
▼話数:全12話{netabare}
▼総監督:草川啓造(ディオメディア)
・実績
(監督)
『魔法少女リリカルなのはA's以後のシリーズ』『迷い猫オーバーラン!』『ロウきゅーぶ!』『艦隊これくしょん』『風夏』『アホガール』他
▼監督:長山延好
・実績
(監督)
僕の彼女がマジメ過ぎるしょびっちな件
▼シリーズ構成:待田堂子
・実績
(シリーズ構成)
『らき☆すた 』『ティアーズ・トゥ・ティアラ』『おおかみかくし』『THE IDOLM@STER』『Wake Up, Girls!』
『ロクでなし魔術講師と禁忌教典』『はるかなレシーブ』他多数
▼キャラクターデザイン:安田祥子
・実績
(キャラクターデザイン)
『銃皇無尽のファフニール』『sin 七つの大罪』『僕の彼女がマジメ過ぎるしょびっちな件』
▼音楽関係
音楽:亀山耕一郎
OP曲:「ワンルームシュガーライフ」(ナナヲアカリ)
ED曲:「SWEET HURT」(ReoNa)
挿入歌:「カナリア」(ReoNa)第9話
▼キャスト
【声優】項へ{/netabare}

原作未読
リアルタイム視聴済

☆エピローグ
普通のアニメは見飽きたぜ!糖質サイコホラーはドツボだ。
清々しいほどのバッドエンドや、スクイズやヨスガが大好物な私にとって、やっぱねーっ!これぐらいサイコパスで頭逝ってる作品がないとアニメはつまんねぇw
王道や名作、勧善懲悪ばかりじゃ肩が凝るもんね。
本作は世界線やら異世界やらと物理学分野のSFフアンタジー全盛なトレンドに対し、精神医学を世界観の基軸に据えた稀有な作品だ。
したがって、擬似リアリズムであっても、健常な精神感覚では一切のカタルシスを承認しない作品である。

異常心理に興味があったり、最近では『フリップフラッパーズ』を理解できる方々には面白いかも。
本作はストーリーが安定しているから分かり易い。
『ガリナン』もだが、アホアニメ制作会社の評価が定着して社会的には評価が厳しいディオメディアだが、たまに私のツボに入る作品を出すから、目を離せないw

主要キャラでマトモなのは「しょうこ」だけ。
他のキャラは悪い意味で個性が凄まじく、心の闇という健常と異常の行き交う「境界線」の想像どころではなく、真性の「精神病疾患者」であり、ペドフィリア、エフェボフィリア、パラノイア、火病、発達障害etc全員閉鎖病棟の患者でも不思議ではないような連中が繰り広げる異常人格者による基地外純愛群像劇(草)
共感できるキャラが見事に誰もいない稀有な作品ゆえに、様々な矛盾も精神異常が織りなす現象と見ているので許容の範囲であり、作中何が起こっても感情移入が生じることなく、エンタメとして割り切り楽しむことができた☆

タイトルの「フロイト」は精神医学の始祖。
世界的な心理学者「ユング」や「アドラー」の師匠でもある。
原作者はフロイト入門書の『精神分析入門』や『夢判断』を読んでいるな。
フロイトを読むと、読んだ側も精神をやれかねない危険物。
本作も視聴すると、そうなる方向性で演出されている。
異常心理の描写が精神医学的に考察されて「超自我」のメッセージがしっかりプロットされている。
さすがに1クールで精神医学界の巨匠フロイト的世界観を表現するのは厳しいのだが、そこに挑戦したことは評価されよう。
精神分析学的視点に立った考察はメンドクサイし、レビュー読まれる方々の気分を害するからしない。(いや、でも、気が向いたら追記をするかもw)
キャラ設定のベースがフロイト的価値観だから、基地外とは何かを問うているのと同様で、そりゃ陰鬱な世界観にもなるな。

とにかく可愛いOPや絵柄に騙されてはいけない。
マトモな神経では視聴できない作品だから、そこは覚悟した方がいいデス。はい。

それにしてもジエンコって『serial experiments lain』以来、この手の一風変わった作品のプロデュースが好きなんだな。
提供にバップもあったが、ジエンコ+バップ、あーあれか!w

ところで、最近ディオメディアはいろんな名義を使っているね。
「doA」に続いて今度は「絵空」か。
『BEATLESS』は綱渡りだったし、万策(略)に備えて、リスク分散でもしているのか?

【音楽】
OP曲はとてもインパクトがあり癖になる電波ソングだ。
不詳私、DLをいたしました。
OPの作画と楽曲『ワンルームシュガーライフ』で本作の世界観をしっかり視聴者に伝えた(伝わったかは別にして)好演出だ。
ED曲『SWEET HURT』は『GGO』の神崎エルザの曲を歌ったReoNa。
彼女のなんとも言えない切ない声質が、本作の無情で悲惨な末路を暗揄していてなかなか良い。これもDL。
EDの作画は折しも同じ精神異常系の『フリップフラッパーズ』と同様の演出。
「さとう」と「しお」が抱えている闇と二人の関係性を1分30秒でしっかりと表現している。
{netabare}「さとう」の幼少期から現在の描写、そこに「しお」が現れて、二人で城に向かって歩く。
ハッピーシュガーライフの描写と、スキップしながら城から旅立ち、二人で躓いたところで「さとう」が消える(さとうの死)でも「しお」の心には「さとう」が生きている、とこんな感じでEDはこの物語の顛末を分かり易い暗喩で演出している点は視聴者に優しい。{/netabare}
{netabare}しょうこが殺される{/netabare}9話の挿入歌『カナリア』も歌詞に込められたメッセージがそのシーンの演出にしっかりと映えていて良い曲だ。

{netabare}本作、9話は「しょうこ」の恋もあり内容が濃く相当の字数が必要だが、割愛して、挿入歌まで用意された「しょうこ(小鳥)」は本作にとって、さとちゃんの狂気を強調する意味でも重要なキャラだったし、彼女の存在が無ければ、ただの基地外ドラマで終わったな。
(7話の展開が殺される伏線だが)さとちゃんと向き合うタイミングを逸したとはいえ、幼女を「彼氏」として拉致しているさとちゃんの素顔を知った「しょうこ」がとった選択は極めて常識的だが、基地外相手には通じず、理不尽な結果となったが{/netabare}共感シーンが皆無な本作にとって唯一の救いだった。

【物語とキャラ】
キャラは本作一番の問題提議点だろう。
{netabare}よくもまー、あるゆるタイプの基地外を設定したものだと感心した。
しかし、「さとう」の叔母と「しお」を除き他のキャラのサイコパスの根源は抑圧され無意識下に封印された記憶、いわゆる「トラウマ」だ。
「さとう」、「太陽」、「あさひ」は過去エピソードの描写があるから分かり易いだろう。
今では「トラウマ」という言葉は普通に用いられるが、その概念を提唱したのがフロイトだ。{/netabare}
現在フロイトの【精神分析学】はポパーの科学定義にぶった斬られて【非科学】とされているが、なお、その研究は医学のほか哲学としても各方面に多大な影響を与えている。
因みに「トラウマ」と似た概念で「PTSD」があるが、こちら医学的な診断名、つまり科学。
医学的なフレームで論じるのが「PTSD」であると理解したらいいだろう。
そして、この三者の異常行動は明確に「PTSD」である。
「さとう」叔母は「トラウマ」の過去描写がないので、その異常性の因果関係は判別しないが、他人への関与が異常な博愛が動機である点から、所謂「離人性人格障害」であることは確かだろう。
{netabare}「しお」は年齢的に幼くまで認知能力が完成されてはいなから、母親との関係や「さとう」の死をきっかけとし「PTSD」を発症するのは想定内だろうし、「さとう」の狂気の正統後継者となるだろう。{/netabare}
基地外の成長物語を望むか望まないかは視聴者しだい。私は(怖いもの見たさで)今後も観察してみたいものだが。

以上、キャラの性格設定を多少考察したが、個人的に気になっているのはネーミング。
ここ突っ込んだレビューが少ないだよね。
物語と主人公とヒロイン?他女の子キャラのファーストネームの関係だが、「さとう」と「しお」。
これは、第三者視点で物語を俯瞰したときに醸される、二人のイメージなんだろう。
{netabare}さとちゃんの心が至福に満たせるときは「あまーい」、ストレスを感じたら「にがーい」と味覚で心理描写をしているのも本作の特徴だ。
これは丁度可知差異(物理学用語)が「フェヒナーの法則」による感覚量でも定式化されており、物理でメシを食っている私の心を擽った直喩だ。
「しお」の存在を「さとちゃん」から見た場合は「あまーい砂糖」だが、第三者視点ではさとちゃんに試練を与える文字通りの【塩】な存在。
自らの「あまーい生活」を守るためにさとちゃんは、せっせとバイトで生活費を稼ぎ、脅迫、傷害、詐欺、挙句の果てには殺人までやってのけた。
ある意味、これほどの純愛ドラマはスクイズ以来かもね。
これが、「しお」が【塩】である所以である。

そして「さとちゃん」の光に立候補し、人の道に戻そうとした「しょうこ」は「胡椒」の捩りで、そのお節介は、さとちゃんにとっては「辛い」味覚、はた迷惑で排除すべき存在として描かれているのではないのだろうか。{/netabare}

次に、苗字についてだが、「神戸」と「飛騨(飛騨しょうこ)」に共通するのは高級和牛ブランド。
さとちゃんの苗字「松坂」を「松阪」とすると、やはり高級和牛だが、これは作者の誤字なのかな?
他にサブキャラの宮崎すみれ、但馬みとりも高級和牛ブランド。
本作と高級和牛の相関関係は謎だが、キャラネーミングには法則があるようだね。

で、本作のキャラ設定だが、精神疾患と異常心理の掘り下げに作者の知識の限界からか詰めの甘さが残るが、これだけの基地外キャラをクリエイトし、物語をプロットした点は評価されよう。

{netabare}最終回はオリジナル展開だが、さとちゃんを「あさひ」に殺させ、それでも「しお」に切られ、自殺を図る展開も悪くないと思ったが、さとちゃんを死なせて、「しお」を生き残らせ、「あさひ」を切った展開は前述のとおり、{/netabare}これからの「しお」の異常人格発揮を十分妄想できる余韻を残した意味でも評価できる。

あと「しお」の失踪だが、{netabare}物語の通り捨て子であっても「しお」は小学生だ。
失踪すれば、社会的に何らかにリアクションがあるはずだが「あさひ」が述べたように警察で相手にされないのは不自然すぎる。{/netabare}
欠席が続けば「しお」の担任教師が家庭訪問をするし、親に不審な点があれば、児相とも連絡を取り合い世間にバレるはず。
その過程で事件性があれば警察が動くが、事件性はないとする裏設定でもあるのかな。
「しお」の境遇を考えると、無戸籍である可能性もあるが、視聴者が納得できる線で簡単にでも触れておくべきだったろう。

【作画】
全般的にディオメディアクオリティであり、動かす場面も少ないから、ボロも出ず可もなく不可もなくといったところだが、シャドーの用い方、基地外の表情など、サイコホラーとしての演出は頑張っていたと思う。
ただし、9話は{netabare}本作の神回であるにもかかわらず、作画が演出についていけていない。
挿入歌とナレーションを背景にCVを入れずに「さとう」と「しょうこ」の葛藤シーンが描かれた。
前述したとおり、演出は素晴らしかった反面「しょうこ」の表情が「棒」であり、迫力が全く伝わってこなかった。
基地外表現の作画に手一杯で、健常者の必死の訴えの表情演技まで手が及ばなかったようだ。
CVなしで映像表現のみを用いて視聴者へ訴えるのは、自信と相当の作画センスが要求される。
試しに、スクイズとの見比べで「誠」殺害後の「言葉」と「世界」の葛藤シーンを音声なしで視ると分かるが、迫力が全然違う。
ディオメディアの作画センスの限界が、この素晴らしい演出を削いでしまったと思うと残念でならない。

ただ、小鳥の演出を含めてだが「さとう」が文化包丁を「しょうこ」の首に突き刺し殺す描写は、頸動脈からの血飛沫には違和感を感じつつも、「さとう」を引っ掻き断末魔に喘ぐ描写や小鳥の死を比喩した痙攣描写など殺人過程はしっかり描ききっている。
ただし、グロ描写を強調し過ぎたことで視聴を打ち切った方々を出したという負の作用もあったが、{/netabare}これを斟酌して私的には高い評価をしたいと思う。

【声優】
原作を読んでいる方々には花澤さんはミスキャストだとの意見も多いが、原作を読んでいない私にとって可もなく不可もなしだ。
寧ろ、客寄せパンダ役も兼ねて、演技力が要求される「さとちゃん」役には適任だったのではないだろうか。
個人的には「しお」役の久野美咲さんの演技が輝いていた。
『WIXOSS』や『LOST SONG』でも思ったが、主役よりも準主役や重要キャラをやらせると巧いタイプかもしれない。
さとうの叔母役の井上喜久子さん。
『らんま1/2』から活躍しているだけあって、ベテランらしく味のある演技でサイコパスを演じていたのが印象的だ。
難しいキャラの「三星太陽」を演じた花江夏樹氏も好演だった。

ゆえに総じて高評価とする。

投稿 : 2024/05/04
♥ : 62
ネタバレ

ossan_2014 さんの感想・評価

★★★★★ 4.1

コドモのセカイ

【視聴完了して改稿】*誤字訂正

特別なひととの「ハッピーな」甘い生活を守ろうと奮闘する女子高生。


{netabare}どう見ても猟奇的な生活を「シュガーライフ」と称するのは、主人公と監禁される少女が、虐待の被害者である必然なのだろう。
虐待を受ける子供は、「虐待」の事実を否認して、自分は愛されているのだと思い込もうとするものだという。
主人公が楽しげに唱える「ハッピーシュガーライフ」という言葉は、現実の悲惨を「否認」する、虐待被害者の心性を表現している。
決して、サイコパスの「モンスター」性の表現ではない。

現実の事件でも、しばしば、「被害者」に対して「どうして脱出しようとしないのか」「自分ならもっとうまく立ち回る」「被害を受けるのは能力が足りないせいだ」と、被害者へのバッシングが起きることは稀ではない。

だが、危ういバランスで猟奇的な生活を維持する主人公が、障害が立ちふさがるたびに、子供が鉛筆で紙を塗りつぶすように、心が黒く塗りつぶされる描写は、監禁されている少女が決定的な場面で「頭がグルグルする」と思考を続けられなくなる描写とともに、彼女たち虐待被害者の内面がどのようなものであるのか、視聴者に有無を言わせずに突きつけてくる。


友人が、仕事の都合でアメリカの警察で射撃訓練を受講させられたことがあり、話を聞かせてもらったことがある。

通常、銃の操作レバーやボタンは片手で容易に操作できる位置に配置され、アクション映画などでも、いかにも手馴れていることの表現として、指先で素早く軽快に操作する描写が多い。

が、訓練コースでは、両手を使って大げさな動きで操作するメソッドを教えられるという。

強度のストレスに晒された状況下では、人間は、普段は当たり前に行える細かい操作や判断ができなくなるからだ。

銃の撃ち合いと言えばストレス状況の最たるもので、普通であれば子供でも行える簡単な指先の操作ですらできなくなることを、アメリカの警察は豊富な事例から研究し尽くしているという。
したがって、アマチュアに対しては、ストレス下でも行える大げさな動作をあらかじめフォームとして体に覚えこませようとする。


心が「塗りつぶされ」たり、「頭がグルグル」する描写は、彼女たちの心性が異常であったり劣っているという表現ではなく、虐待という強度のストレス下で「正常な」判断が行えなくなったという表現だ。
彼女たちを、異常だ、対応能力がないのだと見下す視点は、自分ならこのようなストレス状況でも的確に判断できる、という思い込みが支えているのだろう。
が、それは撃ち合いになった時に普段通りの操作ができずに撃ち殺されるまでの空想的な自己満足に過ぎない。
撃ち殺される瞬間に自己満足の妄想であったと気づいても手遅れであるように、たとえばブラック企業で過労死するまで「彼女たち」と自分は変わりは無いのだと気づかないのだろう。

「被害者」を攻撃して恥じないのは、同情心やモラルの欠如といった価値観の問題ではなく、相手の状況を考慮する「知力」に欠けている、要するに頭の悪さを露呈している知能の欠陥だ。

自分の知識だけで世界のすべてを知ったような全能感から他人を評価してしまえる「浅知恵」は、言ってみれば子供の属性のようなもので、未知のものを処理する大人の知力が備わっていないことを示している。

こうした、「大人」が見えなくなっている現実が、本作の背景をなしているのだろう。

その表れとして、本作の「背景」には、たとえ繁華街のシーンであってさえ、すべて学生か若者=子供しか描かれていない。
オジサンやオバサンといった「大人」は、モブとしてすら描かれることはない。

生物の本質はDNAを伝えることであり、次世代へDNAを伝えることが成熟ということだが、人間のように社会性の動物においては、自分の子であるかに関わりなく、「子供」を社会の成員=大人に育て上げてこそ「大人」として成熟しているといえる。

その意味では、虐待を止められず育児放棄する主人公や監禁少女の母親も、虐待する「親」も、見ないふりで面倒を避けようとする近所の主婦たちも、すべて「大人」ではない。

主人公に接近する教師やバイト先の店長が、主人公にいいように「処置」されてしまうのも、彼らが「大人」ではない、オトナの皮をかぶったコドモであるからだ。
子供と目線を合わせるのではなく、子供と「対等」に付き合おうとする「大人」は、得てして「自分が」子供と同化したい=大人の責任を放棄したいという欲望にかられたコドモであるという現実を、正確に写し取っている。

「大人」のいない「世界」は、作者や製作者によって切り取られた「現実」か、主人公から見た「世界」に大人が存在しないことを表しているのだろう。

あやうく空想的な子供の「ハッピーシュガーライフ」が何とか維持されていくのは、このように自覚的に「大人」を排除したコドモのセカイを作り上げることに成功しているからだ。


コドモのセカイで「お城」を守ろうと奮闘する主人公だが、コドモのセカイを特徴付ける原則は「交換」であるように見える。

何かを手に入れるためには何かを差し出す。

当たり前だ、と納得しそうになるが、「子供」が何かを手に入れるのに「対価」は必ず必要なものだろうか。
もしも本作を視聴する前に『甘々と稲妻』を視聴していた視聴者ならば、ひょっとするとこの違和を共有してくれるかもしれない。

「子供」性をすりつぶす虐待の経験が、主人公に「交換」の原則を内面化させる。

「お城」を維持するための様々な交渉だけではない。もう一人の被虐待幼女と出会う前、次々と交際相手を取り換える遍歴も、愛情と「引き換え」に肉体関係を提供していたと暗示されている。
「お城」の所有者との出会いにおいても、まず「何もしなくていいの?」と肉体を提供しようとするのは、利益を入手するために対価を提供するという「交換原理」が思考の様式を支配していることを示している。

「交換」に支配され、内面化した思考は、判断や決断をゆがめてゆく。

主人公が「二人のお城」を守るために殺人を重ねる展開に、不快を感じる視聴者も多いかもしれない。
が、ここはコドモのセカイだ。現実の反社会性を根拠に不快を訴えても意味はない。

これらの「殺人」は、刑法上の犯罪として持ち込まれているのではない。
「ハッピーシュガーライフ」の絶対的な幸福の純粋性と「交換」に「差し出さねばならない」ものとして、「絶対性」につりあう「究極的」な「負債」の象徴として持ち込まれている。
究極の「負債」であるのは、「引き換え」に究極の「罰」=「怒られる」が与えられるものであるという、これまた「コドモ」の「交換原則」が根拠づけているからだ。

主人公に確かな「罰」が下されないことに不全感を感じる視聴者は、このコドモの交換原則の圏内にいるのかもしれない。
内田樹が、現代人は「等価交換原理を過剰に内面化している」と10年以上前に喝破したように、こうした主人公の感覚は現実でも共有されているのだろう。

「交換」の絶対化は、〈ゼロ-サム〉の、相手の損は私の得/相手の得は私の損、といった二者択一の判断に傾きがちになる。
そして「内面化」は、損得の「計算」ではなく、「快/不快」の感情として価値判断を誘導する。他人の損は「快」、自分の損は「不快」、と。

主人公の「罰」の不在への「不快」は、主人公が罰を受けないのは「得」をしている=自分が「損」をしている=「不快」、の回路に捉えられているのではないだろうか。


ブッフェ形式のランチを食べに行ったとき、「こっちの方が原価が高いよ」という会話を聞いた。
原価が高い=店の「損」=私の「得」=気持ちいい、の回路が作動しているのだろう。

台風の夜にピザを注文する人がいる。
配達員が特別に苦労する=特別に「損」している=特別な「得」をした=気持ちいい、の回路が作動したのだろう。

どちらにせよ、「得」などどこにもない。
架空の損得に誘導される気分が支配する判断が、現実にも蔓延している。

が、こんな「気分」の無意味さを指摘することができるのも、「現実」の関係性においては「交換」とは無関係に、利益や不利益が生じることがあると知っているからだ。
一方的に与えることもあれば、理由なく消失することもある。

「交換」の明瞭性からすれば、こうした「贈与」や「蕩尽」は不合理で不可解に見えるだろう。
不明瞭の排除として、本作の「コドモのセカイ」の設定がある。
現実世界には存在する児童保護施設のような子供の救済機関の不在が、コドモのセカイを支えている。

そうした救済機関の実効性や運営の仕方に不満の人もいるだろう。
しかし、そうした機関が存在し、子供の救済に従事する大人がいることは確かだ。

(子供に対しては)「無償」で保護を与える大人の不在が、コドモのセカイを支える。

この「コドモのセカイ」によって、虐待によって「交換」のみが行動原理となった少女の物語を、より鮮明に描き出し得ているといえるだろう。
そして、この「セカイ」は、交換の内面化において、現実と地続きであると示してもいる。

終幕で、新たな「お城」を目指して旅立とうとする主人公と監禁幼女は、置き忘れた指輪のために脱出を果たし得ない。
「交換」に貫かれた主人公の行動が、「かけがえのない」指輪=「交換」できないもののために頓挫する展開は、ついに「交換」の向こうへ、「セカイ」の拘束の向こうへの視線を獲得した希望なのだろうか。

追い詰められ、屋上から飛び降りる二人は、死において「愛」が成就するロマン主義の純愛をなぞったように見える。

心中や殉死に愛の超越性を見るロマン主義は、しかし、土壇場で幼女を救う主人公の自己犠牲によって、絶対的な犠牲と「引き換え」に絶対的な愛を差し出す「交換」の現代性に敗れ去ったようだ。

ラストで、他者を拒絶して主人公との「愛」に閉じこもる監禁幼女は、このセカイの交換原理を受け入れ、超越の契機は閉ざされたように思える。
主人公の生命という絶対性は、幼女を解放する「ギフト」ではなく、絶対の愛を「引き換えに」捧げる、交換媒体にしかならなかったのだろうか。

絶対的な犠牲と「引き換え」に絶対的な「愛」を応答させて自己という球体に引きこもる幼女は、相手を絶対的に受け入れる「引き換え」に相手の全存在を収奪する主人公の叔母の陰画のようだ。


無償で与えられる何ものかが存在する「現実」を慎重に作り替える「コドモのセカイ」が、「与えられるもの」が奪い取られた虐待を強力に浮かび上がらせる。

コドモの「ハッピーシュガーライフ」」を理想郷とみなして肯定しまうのも、登場キャラは「異常者」だと断罪してしまうことも、「大人」からかけ離れた「浅知恵」になってしまうようだ。

モブにすら大人のいないセカイでは、警察官もまた子供じみて、形式的につじつまが合えば明らかに不審のある住居を捜索することをしない。
自分が「怒られない」形式が整っていれば明白な異常を見逃す職業人が、必ずしも空想的には見えない現実が、このコドモのセカイを一蹴できない救われなさを支えているようだ。

このもどかしさを、もどかしさのまま引き受けることが大人なのだろうと思うと、なんとも切ない。{/netabare}

投稿 : 2024/05/04
♥ : 14
ネタバレ

pister さんの感想・評価

★★★★★ 4.5

満面の笑みで胸糞を楽しむ

1話感想{netabare}
ミザリーというか…ストックホルム症候群的な話なんだろうか。
シオが事実を知ってからどうなるかが気になるがずっと後になりそう、ってよりもそこまでやってくれるんか?

にしてもやっぱこういう作品も生まれるよなぁ、ってのも思ったり。
今期先に放送始まった“すのはら荘~”見てると「そのうちヒゲ生えたり声変わりして「こんなのアキちゃんじゃない」と管理人が狂気に走らないかのう?」とついつい思ってしまったり。
さすがにそれは天邪鬼すぎだろー、逆張りしすぎだろーとあんま考えないようにしてはいるけどね。
けどやっぱそっち方面を望む声ってのはあって、それが形になった、みたいな。
“からかい上手の~”を見て「西片もうちょい突っ撥ねても良いのに」と思ってたら“あっくんとカノジョ”が始まった時と似た感覚(こっちは極端過ぎていや待てって感じだけど)。
ネタ被りとは違う…カウンターというか、アナザーアンサーとでも言えば良いのか?
もうね、放送してるアニメの作品数多いからこういった補完する・対極に位置するような作品もバンバン出てくるのは…良い事なのかなぁ?
ってことで“すのはら荘”と並行して見ると楽しさが増すかも、これ単体でも結構面白いけど。

追記
この作品を棚に入れる際アニコレ側から「こんな作品もおすすめにゅ」と紹介されたのがシャッフルとギフトと未来日記。
ええい、3つ目はスクールデイズじゃないのかい!
ってよりもこれってどうやって判定してるんだか未だに不明、結局この作品はソレ系なのかい?{/netabare}

2話感想{netabare}
やっべ、面白い。
“表向きの顔”を演じてる最中の他の人の表情の僅かな違いを読み取ろうとしたり、女あるある過ぎて、もう…うひっ。
愛とか言ってるけどOPで暗示されてるように現状サトウはお人形遊びしてるのと大差無く(理想の像を相手に押し付けてるだけ)、更にはシオは演技してるんじゃないか?と確かめる辺りなんて、もう…ウヒヒ。
ってかあれはシオが演じきったってことでいいのかな?理想像を裏切るとヤバいと本能的に悟って。
サトウは疑心暗鬼に囚われるというか、深淵を覗いたら覗き返されてた方向(いわゆる自爆)でもいいけど、シオはシオでなーんかありそうよね?
いくら幼いからといってずっと部屋に閉じ込められてることに疑問抱いてないし。
ってか出てくるキャラがみんなキの字で、近所に頭を狂わす電波発する隕石でも落ちたんじゃないか?と思わせるくらい(誉めてる)。
同じ感じでキの字博覧会になってた“魔法少女サイト”も、これを見て思い返すと女臭さが全然無かったと思い知らされる。
あの、その…同期に放送してる“殺戮の天使”よりよっぽどコワイ(誉めてる)。

この作品は下卑た笑み浮かべてニヤニヤしながら視聴する(誉めてる)のが正解な気がする。{/netabare}

6話までの感想{netabare}
サトウは、ぼんやりプチトマト眺めてるのを目ざとく気付いたり、バイト先ロッカー内のネクタイとピンの配置がズレてることに気付くとか、深入りされたくない相手を脅すのではなく気持ちいい思いをさせて阻止するとか。
女ってこええええ、ってのを非常に良く描けてると思う、ウヒィーッ。
シオはシオで、5話で咄嗟に嘘を吐いたのは頭で考えてってよりも本能的に・反射的にやったことなのかな。
なんか段々とシオが魔性の女に思えて来た…。
やっぱこれ、ご近所に毒電波発する隕石転がってるんじゃないか?w
相変らず面白いんだけど、ちょーっと陰りが見えて来たかも?いやそれでも面白いんですけどね。
嫌いな人はトコトン嫌いだろうなぁってのは分かった上で、じゃあなんで自分は好きなんだろうって考えてみた。
単に頭のおかしい人が出るだけなら「フーン」って感じで何とも思わない。
一方でこの作品見てる時のように下卑た表情で「ウヒヒ」と言いながら見てた作品は…あ、最近だと“URAHARA”の7・8話の時がそうだったわ(あれはもはやエロス)。
じゃあそれとこれとで共通点を探ってみると…こんな感じかな?

・「守りたいもの・大事にしてるもの(A)」があって、それが脅かされる・破壊される・もしくは異常に執着するが故にキの字になる。
・肝心の(A)が共感できる。

要はどこかに「あーその気持ちわかるわー」って思える…これ書くことで異常者に思われても困るんだけど、悪い言い方しちゃえば「自分にもそういう側面がある」って方向の狂気に対して見ててウキウキするっぽい。
まぁ深淵を覗く系は大好きですんで、ええ。
「結局共感できるかどうかだけじゃん」ってありきたりな結論になっちゃったけど、これ結構大事じゃないかなぁ?
また比較で挙げて恐縮だけど、同期放送作品で同じ感じでキの字博覧会をしてる“殺戮の天使”がホント退屈で…あっちは全っ然共感できない。
なんで共感できないんだろうって考えたら(A)が無いんだよね、あっちは。

で、陰りが見えてきたかも?って思ったのは、回が進むたびに変態キャラ増えてるけど(A)持ちはそんなに居ないような?
虐待されたとかのトラウマ持ちは(A)に固執する理由としてあった方がいいけど、(A)無しでただトラウマ持ちで頭オカシイだけなのは自分にはイマイチ。


ところで、先入観ってのは恐ろしいもので、総監督の草川啓造って「どっかで見たことあるなぁ」って程度で、作風もあっててっきり“シャッフル”や“GIFT”の人だと思い込んでて…実際は全然違ってたー!!
そっちは鈴木雅詞で、今期は“ロードオブヴァーミリオン”やってる方でした。
じゃあ草川啓造って何で見たんだっけ?って思ったら、ああ、“リリカルなのは”の人でした、あとは“ロウきゅーぶ”が有名?
…。
あれか、ロリっ娘なら任せろオラァァン!って人なんかね。
しっかしちゃんとスタッフ確認しないとアカンですね、アニコレで感想書いてなかったら勘違いしたまんまでしたよ。{/netabare}

最終回まで見て{netabare}
今期一番面白かった。
…が、表立って人には薦めにくい作品、あれー?前期の“ラストピリオド”に引き続き、どうにも語るのを憚る作品が続くなぁ…。
ぶっちゃけ言っちゃえば「頭のおかしい美少女を眺めてニヤニヤする下卑た趣味」を、余計な装飾しないでそのまんま下卑たモノとして描いた作品。
これが下手に気取って・着飾って高尚ぶり出すと自分は一気に冷めるので、最後の最後までヘンタイをやり通したのは感動すら覚える。
(これを書くに当たり「下卑た趣味を装飾して高尚ぶってる」某作品のタイトルを書き直しておきました)

「なにかやるんだったらリスクは承知するべき」ってのはどうしても自分は思ってて、しかもそれが人道に背くことなら尚更で。
この作品は狂人ばっか出るけど、基本これを踏まえてるのに好感を覚える。
顕著な例では北埋川先生のサトウに対する「自分以外の人間と秘密の共有するのが許せん→破滅する姿が見たい→警察に通報」って感情は全然共感できないけど、「それにより自分もタダでは済まない」と覚悟を決めてたのは非常に共感できる。
(一方でこれはTVアニメとしてしょうがないんだろうけど、エレクチオンして然るべきところをヨダレで婉曲表現してるのはどうなんかな、仕方ないんだけどさ)

そして自分的に最もタマランかったのは、サトウは秘密を隠すために普段から周囲に気を張ってて(頭が良いというのもあるが)、何か変化は無いか・悟られてはいないかと他人の顔色を伺うシーンがちょくちょくあるんですよね。
いやね、聡い美少女から「ふーん、それ本当ー?」と瞳を覗き込まれるようなことをされたら…ああもうっ、ああもうっ(北埋川先生が興奮してるのと同じ感じで)。
友人はそんなことされたらブン殴るかも知れんと言ってましたが、自分はエレクチオンしながらもんどりうつかも知れん。
これは…コンテ書いた人の手柄になるのか?いい趣味していらっしゃる。
で、そういう「探り」に対してシオはシオでナチュラルに演技(無意識な演技)をしてて──トラウマ故か無意識のうちにサトウにとって都合の悪いことは考えようにしてて──いつ機嫌を損ねる真似をしやしないかヒヤッヒヤでした。
後半とうとう隠しきれなくなって秘密を共有することになるけど、タイミング間違えてたら殺されてたんじゃないかな。
他の作品でも何度か書いてる「殺して剥製にして額縁に入れて飾っておけば満足」ってタイプだったので…途中までのサトウは。
それに耐えかねてシオが「お人形じゃない」って言ったときは、まぁそう言われるわなぁと強く共感したもんです。

最終回の飛び降りのシーン、高飛びが成功してたら「あったであろう未来」が背景に流れた時は涙出ましたわ、切ないのう。
決して許されてはいけない奴だったけど…ってか、元々高飛び失敗したのは指輪を忘れて取りに戻ったせいで、じゃあ何で指輪忘れたかといえば偽装のためにショウコの死体に制服着させる時に邪魔だったので外したからで…ああこれ、ショウコの呪いじゃね?
単に耳目を集めるためにセンセーショナルに殺されたんじゃなくて、ちゃんと意味はあったんじゃないかなーと思うと良く出来てるんじゃないかな。

そして最後、病室のシオ…シロッコに連れてかれたカミーユやーんw
「彗星かな?」って言い出したらどうしようかと思ったけどそうじゃなくてひと安心。
サトウをグッサリ心に刻み込まれてキチ化エンドだったけど、サトウ的にはそれが真の愛だったってことだろう。

最後の最後まで救いの無いドス黒い話だったけど、徹底しててある意味爽快でした。
けどなー、冒頭にも書いたとおり人には薦めにくい、ヘンタイ嗜好の作品です。
今期一番面白かったけど、万が一これが一番売れた作品になったりしたら、それはそれでイヤ~な気持ちになるでしょう。{/netabare}

追記{netabare}
あ、思い出したのでちと追記
“殺戮の~”ばっかり比較で槍玉に挙げてしまって恐縮だけど、あれとこっちでは何が違ったのだろう?ってのはずっと考えてまして。
と思ってたら別の作品がポンと思い浮かびました。
“ウィクロス”…の特にあきらっきー、あれは自分ダメでした。
「やりたいことのために人の迷惑顧みない」ってのは共通してるのだけど、自分に不都合が降りかかると「他人のせい」にしてばっかで…。
↑で書いたのと共通してしまうけど、「不都合起きることも覚悟した上でやってるんじゃないのかい」「自分棚に上げてよく言うわ」と不快感のが先に来てしまう。
(当然あきらっきーはそういうキャラとして描いてたんだろうけど)
でもってシュガーライフは覚悟してる、不都合が起きても自分が撒いた種と承知してる。
指輪を忘れて取りに戻ったせいで高飛び失敗&心中する羽目になっても「おのれショウコめー!」なんてことは言わない。
それどころか目的達成のためなら泥水を啜る覚悟まで決めてて…同僚としたくもないキスしたり嫌いなおばさんに頭下げたり。
ただキチだサイコだ言ってもそこら辺の線引きはしっかりしてて、それが不快感なく楽しく見れた部分なんじゃないかなー、と思ったり。
単純に「異常行動させればサイコが描けてる」と思ってるような浅薄なクリエイター…は居ないとは思いたいけど、そこら辺もちっと注意して描いてもらいたいところ、ね、ヴァーミリオン。
普通の中に潜む深淵だからこそサイコなんじゃねーのん?と。{/netabare}

投稿 : 2024/05/04
♥ : 15

62.5 6 ドロドロアニメランキング6位
捏造トラップ-NTR-(TVアニメ動画)

2017年夏アニメ
★★★★☆ 3.1 (222)
923人が棚に入れました
私たちには、カレシに言えない秘密がある。

高校2年生の由真は、生まれて初めてできた彼氏にドキドキの毎日。幼馴染でモテる美少女、蛍につき合い方を相談した由真は、恋愛経験がないことをからかわれ、カレシともしたことがないようなイタズラを仕掛けられてしまい…。エスカレートしていく、蛍との秘め事。そんな関係を拒めず、いつの間にかハマっていく由真。そんなふたりのカレシ持ちJKが織り成す学園ドラマ。

声優・キャラクター
加隈亜衣、五十嵐裕美、小野大輔、逢坂良太
ネタバレ

剣道部 さんの感想・評価

★★☆☆☆ 2.0

両方本気。その時々で本気。

[文量→中盛り・内容→雑談系]

【総括】
バリバリのレズもの。百合で萌え~とかいう気楽なものではなく、わりとディープなところを描いています。

私はそもそも百合は苦手ですし、かなり暗い作風。ショートアニメだからまだ観られた感じでしたね。

《以下ネタバレ》

【視聴終了(レビュー)】
{netabare}
こういうのは、どうなんだろう? わりと繊細なところにフォーカスしていると思うが。

男が興奮するためのレズアニメだとしたら、悪趣味だなと。ギャグテイストの百合(ゆるゆり とか)くらいなら楽しめるけど、シリアステイストの百合(レズ)は、かなり繊細な問題だと思うんですよね。別にアニメでディープな部分に踏み込むなとは言わないけど、土足で踏み込むとしたら嫌かな。

単純なアニメの感想的に、見所としては蛍の(女を好きという部分ではなく)歪んだ愛情でしょうか。由真への当て付けのように男子と付き合ったり、レズが由真にもバレないように「悪ふざけ」「練習」と言ったり、押したり引いたりとか。あとは、由真が段々と蛍に流されていく過程とか。

レビュータイトルですが、例えば、由真の「武田に対する愛情」と「蛍に対する愛情」。蛍の「由真に対する愛情」と「由真に対する友情」。多分、それはどちらかが嘘でどちらかが本物という類いのものではなく、「その時、その瞬間」では、どちらも、「本物だし、本気」なんでしょうね。そういう、正常な矛盾を描くアニメだったのかと思いました。

ネットでは、「武田は俺の嫁」なんて言われていましたが、分かる気がします(笑) 武田、がんばれ~w
{/netabare}

【余談~セクシャルマイノリティに寛容な社会~】
{netabare}
知り合いの知り合いの子で、中学生なのだが、ガチでバイセクシャルの女の子がいるらしい。親どころか、学校でもオープンにしていて、しかも、わりとちゃんと(友達にも)受け入れられているんだとか。親は勿論心配しているが、「まあ、男も好きなら、将来的に男と結婚してくれれば」という感じだと。

最近は、テレビ(オネエタレントさん)の影響なのか、(男女共に)オープンにする子供も増えたらしいし、そもそも、「気づく」子供が多いとも聞く。しかも、周りもそれを「個性」として受け入れているみたい(自分らの時代なら確実にいじめられてるだろうな~と。いや、その子の環境が特殊なだけで、世の中では色々あるんだろうけど)。

個人的には、良いことだと思う。まあ考え方は色々だろうけど、生まれ持った特性はしょうがない。そういう子に、「女は男と付き合うのが当たり前だ」なんて押し付ける人は、「じゃあお前は男とヤレるのか」と問いたい。理屈じゃないよな。多分、それと同じような感覚なのだろう。

本作にそこまで社会的な側面があるとは思わないけど、まあ、(その知り合いの子供のこともあって)色々考えさせられたかな。
{/netabare}

【各話感想(自分用メモ)】
{netabare}
1話目
ガチ百合。というより、レズもの? なんかこう、エロ本とかにありそうな感じですね。主人公の由真はややノーマルで、蛍の方がガチ百合(というか、バイセクシャル?)なんですね。

2話目
まあ、データ上は、(潜在的なものを含め)約10%くらいはセクシャルマイノリティらしいけど、どうなんだろうね? 武田君、めっちゃ良い奴(笑)

3話目
武田、ショボい(笑) いやいや、そこはどうなんだろう? 男の優しさなのか、安いプライドなのか、良かったのか、悪かったのか。

4話目
連絡なく一時間、いや、心配はするけど、自分だったらわりと気にしないけどな。適当に漫画でも立ち読みしてるか、なんならあにこれのレビューでも書いていれば、あっという間ですよ(笑)

5話目
蛍が、武田と由真をくっつけようとするのは、由真を自分の手の届く範囲に置いておきたいからかな。

6話目
由真が、段々と蛍にハマっていくね。どこまでが蛍の戦略なのかな?

7話目
武田ーー!(笑)

8話目
藤原君も、バイセクシャルで、本命は武田なのかな。

9話目
由真が、蟻地獄にハマっていくように。

10話目
由真、真実に気づく。、、、武田はどうなった!?(笑)
{/netabare}

投稿 : 2024/05/04
♥ : 23

Ka-ZZ(★) さんの感想・評価

★★★★☆ 3.8

私たちには、カレシに言えない秘密がある。

この作品の原作は未読ですが、出演される声優さんに加隈さんの名前を見て視聴を決めました。
そして後から知ったのが加隈さん演じる岡崎 由真の親友である水科 蛍さんを演じられたのが五十嵐裕美さんだという事…
そして恥ずかしながらその時に知ったのは五十嵐さんが「パパ聞き」の「ひな」と、「デレマス」の「杏」を演じられていたという事…
「ひな」と「杏」は私の頭の中で全く繋がっていなかったので、とても新鮮に感じました。

この物語の主人公は、加隈さん演じる高校生の岡崎 由真…そして彼女の幼馴染で家も隣同士の女の子が水科 蛍…
二人ともカレシ持ちの女子高校生なのですが、男の子と付き合うのが初めてで恋愛経験ゼロの由真に対し、色々教えてアゲル…と言いながら蛍は由真にイタズラを仕掛けるんです…
蛍に翻弄される由真…そこに二人のカレシの思いが混ざり合いながら物語が動いていきます。

今期のアニメの中で5本の指に入るほどストライクなキャラデザに1話からドキドキでした。
最近の高校生って、こんなに可愛くてこんなにも色っぽいの…?
カレシをとっかえひっかえしている蛍はともかく、恋愛経験ゼロの由真にまで色っぽさを感じるんですけど…
もちろん、あざとさが多分に盛られているのも理解していますし、何より声優さんの影響が大きい事も認識しています。
「ホント、自分ってチョロイン…」と思いながら、1話目から由真ちゃんに色々と持っていかれてしまいました。

物語はカレシ持ち女子高校生の日常を描いているので、展開に大きな起伏はありません。
そして回を重ねるごとに彼女たちの本心が見えてくる…こんな感じです。

それでは序盤は気持ちを偽っているのか…というと必ずしもそうではありません。
きっと一瞬一瞬は本気だったと思います。

そして一緒にスタートを切った二人ですが、決定的に異なるのは歩む過程でした…
白と黒ほど真逆なんです。
何が良くて悪いか…という問題じゃありません。
両極端にならざるを得なかったのは、その必要性があったから…

彼女たちが欲しいと切に願うもの…
彼女たちの歩んできた過程の差がどの様に結果に影響するのか、気になる方は是非本編でご確認頂ければと思います。
私は彼女たちの選択に必然性と苦しさを感じましたけれど…

オープニングテーマは、東城陽奏さんの「Blue Bud Blue」
エンディングテーマは、逢瀬アキラさんの「Virginal lily」、サンドリオンさんの「メグル・オモイ・メグル」と、Confetti Smileさんの「LAST ETERNAL」
東城さんのオープニングが個人的に好み…かなり格好良い曲だったと思います。

1クール12話で1話10分枠のショート作品でした。
女の子同士…に抵抗のある方はいらっしゃると思いますが、個人的には全然OK…というかどちらかというと好みだと思います。
この作品の様にキャラデザが綺麗だと全く違和感は感じませんでした。
同じ同士でも男同士は苦手ですけれどね…

投稿 : 2024/05/04
♥ : 13
ネタバレ

nyaro さんの感想・評価

★★★★☆ 3.8

誰が誰を寝取った?何がトラップ?題名が?ですが、面白かったです。

 誰から誰が誰をNTRだったんだろう?というのが本作のポイントなんでしょうね。
 百合が捏造で、武田を蛍が寝取るんだとばかり思ってたら違いましたね。

 捏造がポイントなのかなあ、と思って見ると訳がわかりません。

 NTRもちょっと曖昧です。{netabare} 恋愛のストーリーですから、つまり蛍と藤原の契約が恋愛としての嘘。由真から蛍が藤原に寝取られたという風に取れます。

 しかし、武田と由真の恋愛が始まったときに、蛍は藤原と契約を結んだわけではないです。本来的な意味では、武田に対して蛍が由真を寝取った感じになります。あるいは結末的には藤原から由真が蛍を寝取った、という事になります。

 となると、トラップ…罠とNTRは対象というか組み合わせが異なるということでしょうか?あるいは蛍が由真に対して「親友」と言った言葉が捏造?{/netabare}

 この題名とストーリーの乖離が最後までモヤモヤしました。

 ストーリー自体はショートストーリーにしては男女の機微が描けていました。ビッチになったり、百合になるきっかけなど蛍のバックグラウンドが良く描かれていたと思います。ラブストーリーとしては、最近はやりのラブコメよりラブについてはずっと深く楽しめると思います。

 また、今後は上手くいかないだろうなあ、という予感もします。まあ思春期の女子は疑似レズになりがちですから、その点リアリティがあります。女子の中2病ですね。

 作画もなかなか丁寧で、キャラデザも良かったです。それにしても水科って…珍しい苗字ですね。新潟、長野、群馬辺りの苗字らしいですが初めて聞きました。作者はこの辺の人なんでしょうか。

投稿 : 2024/05/04
♥ : 6

79.7 7 ドロドロアニメランキング7位
荒ぶる季節の乙女どもよ。(TVアニメ動画)

2019年夏アニメ
★★★★☆ 3.8 (603)
2244人が棚に入れました
あなたの“はじめて"を、わたしにください――。高校の文芸部に所属する小野寺和紗たち女子5人。「死ぬ前にしたいこと」という話題で沸いたある日、部員の一人が投じたある一言……。その瞬間から、彼女たちは“性"に振り回され始める。

声優・キャラクター
河野ひより、安済知佳、麻倉もも、黒沢ともよ、上坂すみれ、土屋神葉、福山潤、広瀬裕也、咲野俊介、戸松遥、花江夏樹
ネタバレ

ossan_2014 さんの感想・評価

★★★★★ 4.2

荒ぶれ、乙女よ

【視聴完了して追記】


性に振り回される思春期少年のコメディは、マンガやアニメだけでなく、小説や映画でも数多く制作されてきた。

本作では、少女の振り回されぶりをコメディとして物語るものだが、主に誰に向けて描こうとしているのかという不安要素が、無いでもない。


かつて少女マンガに吉田秋生の『河よりも長くゆるやかに』が登場したとき、理想化されたヒーローとしての男子を脱皮して、「等身大」の「リアル」な少年が少女マンガで描かれるようになったと評判になった事があった。
が、男子の一人として読んでみると、「リアル」=現実的というよりも、少女に提供される「見世物」であるように感じられた。
少女の興味に奉仕するため、男子の(女子には)知られざる面を見せてみました、という「見世物としての少年」であって、現実の少年が読んで肯けるような「リアル」さは無いと(少年読者には)思えたものだ。

もちろん、少女マンガなのだから、「現実」を描くよりも、少女の興味本位の欲望に奉仕することを優先するのは、悪いことは少しもない。
(付け加えれば、同時代の少女マンガに「現実的」な少年が描かれることは皆無ではなく、私見では、川原由美子の『前略・ミルクハウス』のヒーロー、女装少年の『涼音』くんが、それまでの少女マンガで初めて描かれた現実的に「リアル」な少年と感じられた)

TV放送されるアニメの本作であれば、男子に向けた「女子の実態」といった単なる覗き趣味の提供は越えてくるだろうと期待したくなる。


未経験の性に対する恍惚と不安は、少年も少女も同じく持つことだろう。
ドタバタと、あるいはアタフタとあがきまわる少女たちと共に、男子の方も微笑ましいバカさ加減や、鼻持ちならない下劣さが描写され、両性にとっての「思春期」がうまく描かれているようだ。

ラブコメとしての本作の「コメディ」は、「ラブ」=恋愛の向こうへ「性」を意識するようになった思春期が駆動する。
恋愛の向こうに垣間見える「性」は、官能の予感で挑発するとともに、不安を喚起するものでもある。
それぞれの個性に応じて、「不安」に対処する行動がナナメにずれていく面白さが、本作のコメディのキモだ。

が、「不安」は、「性」が呼び寄せる固有のものではなく、広く「未知のモノ」全てが等しく喚起するものでもあるだろう。

ハイデガーであれば不安の根源は死の可能性というところだが、もっと一般的には「傷つく」かもしれない可能性が、未知への不安を呼び起こすと言える。
少年も少女も、共に慄く「未知の」性への不安は、そこで「傷つけられる」かもしれない可能性への不安なのだろう。

だが、「傷つけられる」ものは、少女と少年では同じものなのだろうか。

少女を主人公とする以上、少年とは異なる、少女に固有の「傷つく」ものを対象化できるかが問われるだろう。

「見世物」としての少女の生態を越えた、固有の不安の根源の摘出を期待してしまう。



{netabare}一般的に言って、「初めて」を前に男子が最も関心をもっているのは、いかに上手にコトを進めるか/スマートに振る舞うことができるか、という情報であるように思える。
要するに、性行為において男子が最も怖れる=「傷つく」のは、うまく振る舞えずに「笑われる」ことだ。

一方、少女においては「男からどう見えるか」という情報が、もっとも関心度が高いように(オッサンには)見える。
言い換えれば、少女が怖れる=「傷つく」のは、相手から受け入れてもらえない=がっかりされる=「拒絶される」ことであるようだ。

少年の「笑われる」怖れ、少女の「拒絶される」怖れは、さらに抽象化すれば「自尊心が傷つけられる」怖れで、両者は同根源だといえるだろう。

最終話で、出来立ての駆け出しカップルたちが、互いの中に自分と同じためらいと同じ悩みを見出して「分かり合う」描写は、この同根源性を表現している。
要するに、男も女も同じことを悩んでいるのだと。

こうした「自尊心の傷つけあい」を乗り越えて、全面的に相手を受け入れあう多幸感こそが、性の官能の秘密であるのだと、このとき少女と少年は気付くのだろう。


だが、自尊心が傷つく恐れ/受け入れあう喜びは、性にかかわる領域に限らない。
人間関係全般について同じことが言えるはずだ。

男女の性行為に限定するならば、そこに固有のものは「肉体」だろう。
そう、少女の「傷つく」怖れは、人格的=精神的な領域においてと、即物的な肉体においてと重層的なものだ。
性行為の現場においては、男がまず勃起しなければ行為が発生しない=成立しない。それゆえ、男=少年が肉体性について「傷つく」、あるいは反省的に改めて意識化されることは無い。

最終話で、幼馴染の少年が少女二人に、それぞれ「精神的」と「肉体的」と別々の志向性を告白する場面は、男子が日常的に二要素を意識していない無自覚ぶりの表現であるだけではない。
それは、女子においては常に(怖れの対象として)「精神性」と「肉体性」がともに対象化されているのだという事と裏表でもある。
「肉体」を志向された少女が、それでも悪い気がしないと語るのは、まさに肉体性において拒絶される=「傷つけられる」怖れを解消された安堵であり、少女において「肉体性」が常に緊張をはらむ固有の「不安」要素であることを、裏側から示している。


肉体が「傷つく」怖れは、何も相手の男から乱暴に扱われるとか、嗜虐的な趣味を押し付けられるとか、あるいはレイプされるといった、即物的で具体的なケースを想定しているわけではないだろう。
未経験の少女であっても、具体的な想像などしないまま、漠然と怖れ=不安を感じているはずだ。

おそらく、この肉体への漠然とした「不安」は、女性とは「妊娠」する性(別)であることに由来するのではないか。

終幕で、文芸部部長の同級生が妊娠を理由に退学したことが明かされたとき、ガヤで生徒たちのざわめきが入れられるシーンで、一言「怖い」というセリフがハッキリと強調されていた。

自立した女性が計画的に妊娠するのは別として、妊娠すれば女性の生活や人生設計は根本的に変わる。悪い言い方をすれば、「捻じ曲げられ」る。
社会的な影響だけではない。
生物としてみるとき、妊娠とは母体とのエネルギーの奪い合いで、生命力や寿命において、個体としての母体に対して完全に敵対的な現象でもある。
医療や栄養供給の発達で、人間に限っては表面化していないだけに過ぎない。

少女が漠然とした怖れを抱く「肉体」が「傷つく」不安は、深層に妊娠の存在があるからではないか。

そんな感想を持ってしまうのは、遠い遠い昔に、初めて女の子と思いがけずに一夜を過ごすことになり、「今日は危ない日なの」と言われて、慌てて避妊具を求めて街を走り回ったカッコ悪い思い出のせいだ。

女の子というのは、常に自分の身体の状態を把握しているものなのかと強力に印象付けられたのだが、同時に、望まない妊娠は「危ない」=「怖い」という怖れが、常に自分の身体をモニターしなければならないと強迫しているのだと、そのとき腹の底まで思い知った気がする。

それ以来、望まない妊娠を回避するのは男の義務と、常に「防具」の用意を怠らないよう心がけてきた。
時には用意が良すぎて「アンタはいつもコレしか考えてないのか」と誤解されたりもしたが、紳士としては眼前の恋人の中に「怖れ」があるものならば、取り除こうと務めるのは当たり前だろう。
いい年した政治家が、アナウンサーとしてキャリアのある女性と「できちゃった結婚しました」とヘラヘラ笑いながら記者会見しているニュースを見ると、お前に紳士の義務感はないのかと複雑な気分にもなるが。

アメリカでは、妊娠した高校生は学業からドロップアウトするだけでなく、社会的経済的にもドロップアウトすることが統計的に圧倒的に多く、一部の女子学生たちの間で、進学し、学業を終了するまでバージンを守ろうとする「純潔の誓い」をかわす運動が広まっているらしい。

作中では、女子生徒の妊娠と退学は「愛を貫く」という肯定性として描かれ、ラストでハッピーな後日談も挿入して後味よく見せてはいるが、作劇上の要請で例外的なケースを描写していることは意識しておきたい。

上記のような事どもを真剣に描写すればいくらでも重苦しく陰鬱なドラマとなるだろうが、視聴者に拒否反応を出さないよう、コメディとして明るく描ける程度にマイルド化しているところは、バランス感覚というものか。

コメディの範疇に収まるようにライト化しつつも、それでも「傷つく」ものとしての少女の「肉体」、その根源としての「妊娠」といった要素を、匂わせる程度であれ挿入してきたことは、少女に固有の「荒ぶる季節」を真剣にとらえている証として、好感できる。


「荒ぶる」季節の表象として、ラストのバリケード立てこもりと団交に重ね合わせてくる描写は、オジサンにはグッとくるものがある。
ストレートに描けば若い世代には拒絶感が出るだろうが、真剣な局面に入りそうになるたびに脱臼させてコメディにしてしまう作劇は、拒絶感の回避のためには避けられないのだろう。
コメディとしての脱臼のために、校長や教頭がリアルではありえない性格設定や描写をされているのは、欠陥ではなく作劇上の要請として認めるべきだ。

この校長たちに限らず、少年少女が「荒ぶる」思春期の物語のために、周囲の大人たちの描写も慎重に配慮されている。

主人公の少女と幼馴染の少年の両親たちは、子供たちの視点からいかにも能天気で、悩みなく描写されている。
が、彼ら親たちもまた、確実に「思春期」を通過してきている。
平和に、楽しく日常を送っているように見える両親たちは、まさに「疾風怒濤」の思春期のさなかで不安にさいなまれる少年や少女が、いずれ平穏に「生活」へと適応していくであろう一つのモデルであるのだ。

この、ある種理想的な大人ぶりが、児童劇団の演出家の気色悪さを、逆の意味で浮かび上がらせる。

「ロリコン」と誹謗される演出家は、社会的には別に非難されるところは1つもない。
自分の性癖を把握し、少女と性的な接触をするわけでもないし、成人女性と欺瞞的な関係を結ぼうとするわけでもない。
「大人」としてしっかりと社会性を保っているように見える。

気色悪さは、子供と性的関係を結ぶわけではないという「大人」の良識を持つと見せながら、少女=子供同士の関係にかかわろうとするところにある。

主人公の両親たちが、思春期のさなかにある子供たちの「荒ぶれ」ぶりにまるで気づかずに、子供の「不安」や「悩み」にまるで配慮しない能天気ぶりで接するのは、親たちは「子供」とは位相の異なる「大人」という、ある意味で別種の存在へと変化を遂げ終えているからだ。
「子供」ではいられない、すでに「大人」となってしまったものには、子供に合わせた発想はできない。

彼ら親たちに比べ、「大人」を演じながら、子供に関わり=同化し=仲間のように振る舞うことが、演出家の気色悪さを感じさせる根源だ。
大人面しながら、子供の「一員」になろうとするなど、まともな大人とは到底言えないだろう。「ロリコン」がどうこうという問題ではない。

その点で、教育者という社会的役割を負う文芸部顧問は、子供との接触と交流において、(半ば振り回されつつも)大人の見識と教育者の役割の間で、うまくバランスの取れた行動をとり続ける。

こうした「大人」たちを慎重に設定し描写した環境に囲まれるからこそ、「荒ぶる」思春期少女たちは物語世界を存分に駆け回れたのだろう。{/netabare}

投稿 : 2024/05/04
♥ : 12
ネタバレ

ぺー さんの感想・評価

★★★★★ 4.3

人生で最もへたくそな時期に捧ぐ

岡田麿里氏が原作から絡んで脚本やって、な作品。原作は未読です。

タイトルからして生々しく、しかも思春期男女(特に女)の心理描写には定評のある岡田氏の作品。

「岡田作品は苦手だけど荒乙は面白い」との推薦を複数いただいてて、楽しみにしてました。


作品自体は思春期の“性”をテーマに、右往左往する文芸部の女子高生5名が各々の答えらしきものを見つけるまでを追った青春群像劇です。

 吾輩は○○である 名前はまだない

整理しきれぬ名付けもできぬ感情は存在し、その多くは経験の蓄積によって落とし所が見つかるもの。

青春群像劇では私たちがかつて通過してきたであろう感情や衝動なりを作品の中に見つけて、自分の思考パターンや嗜好のルーツとなった立ち位置を確認する作業でもあります。
高校を卒業すれば進路はバラバラ。得られる経験も分岐して汎用性に乏しいことが、高校卒業以降を追った作品が少ない理由なのかもしれません。

そして汎用性があるようなないような題材が今回のテーマ。
“性”に対する考え方は個人によって差が相当あるもの。

そんな本人にしかわかり得ぬ感情。いや本人でさえわからない感情について同じようにバラバラだろう相手の感情とを擦り合わせる難儀なことを人生で初めてする作業が思春期世代の恋なんだと思います。

個人差があるのは当然で、ひとつの事象とっても男女で考え方も捉え方も違うことを想像できなかったり、違いはあると自覚しても何がなんなのか袋小路に迷い込んだり。
例えばこの連載は別冊マガジンですが『別マ』と言われて男子は『マガジン』を女子は『マーガレット』を想像し、お互いの前提がずれてる中言葉のキャッチボールを交わしてるうちに悶々としてしまう。
ほんの少し先になれば『マガジン』も『マーガレット』もあるって気づくものです。それがなかなかそうはならないもどかしさを作品で表現することは難儀なことでしょう。


前置き長くなりましたが、つまり、

 これまで数多語られてきたけどまとめられんのかいな?

好きだ惚れたから一層も二層も踏み込んで、本来同じカテゴリーなのにあえて切り離すことで物語を作りやすくしていた“性”なるものに焦点を当てちゃった本作。
個人差が激しいネタについて、きっとそんな時期を通過したであろう私たちにリアルな質感をもって届けてくれるかに着目したわけであります。

結果、文芸部員5名それぞれに異なる立ち位置を与え、かつそれぞれに対となるパートナーをあてがい、パズルのピースをはめていくようなストーリーに仕上がっていました。男はあくまで彼女たちを輝かせるための舞台装置。主役はあくまで乙女たちです。
よくパズル組めたな~。率直な感想です。一覧は以下。当然1対1とは限らないのですが詳細は本編参照。


【文芸部員】
小野寺和紗(CV河野ひより)
菅原新菜(CV安済知佳)
曾根崎り香(CV上坂すみれ)
須藤百々子(CV麻倉もも)
本郷ひと葉(CV黒沢ともよ)

【パートナー(仮)】
典元泉(CV土屋神葉):{netabare}対和沙要員{/netabare}
天城駿(CV広瀬裕也):{netabare}対曾根崎先輩要員{/netabare}
山岸知明(CV福山潤):{netabare}対本郷先輩要員{/netabare}
三枝久(CV 咲野俊介):{netabare}対菅原氏要員{/netabare}
杉本悟(CV花江夏樹):{netabare}対もーちん要員{/netabare}


実のところパズルが組み立てられた時点でおおむね満足しています。いいもの見せてもらいました。
リアルな質感があったかどうかは個人差によるものはあるでしょう。具体的にはこんなところが良かったなぁと私が思ったところは以下、


■OPを飛ばしちゃダメ

曲中に文芸部員たちの独白みたいな合いの手が入るわけですが、全OP一定ではなく変わっていきます。
作品世界をよく表したOPなので飛ばすのももったいないのもありーの、その回冒頭から集中を促す効果がありました。


■結局全員荒ぶる

キャラの掘り下げが全員できてたという意味ではなく、5名ともきちんと荒ぶってました。


■ざわつく

岡田脚本の特色なのか、円満にしときゃいーのにそれ要るかな?ってネタを挟んでおり、またそれがリアルな質感がありました。
安心安全なピュアピュアな恋愛を期待するのも野暮というほどさらりと毒を盛り込んできます。

{netabare}・部長の彼氏がちゃっかり前カノのおっぱい揉んでる事実
 ⇒経験者じゃないと曾根崎先輩を攻略する前に心が折れてたかもしれないという仮説
・あの杉本が女を連れている(最終話ED)
 ⇒地獄へ落ちろ!との視聴者の期待を嘲笑うかのようにしっかりキープ。なんだかんだ動く奴は強い
・本郷ちゃんが報われない
 ⇒いい子なのにね{/netabare}



最初はインパクトのある下ネタという飛び道具を織り交ぜながら、「おいおい大丈夫かよ」とくぎ付けになり、適度に乙女たちが荒ぶりながら最後の最後でぶつかり合ってという青春ど真ん中をいく良作でした。
端的に言えば序盤から終盤{netabare}10話{/netabare}までのわりと緻密な展開と打って変わっての後半の勢い。
慌てて畳んだ感が無くもないと言えますが、ここは『荒ぶる』感が出ていたと好意的に解釈してます。
{netabare}もう2話時点で和沙が自分の気持ちに気づくとか、5話で最も縁遠そうな部長がくっつくとか、その後どうするの?を長めに取る構成は良かったです。{/netabare}

個人差ありまくりの“性”の捉え方に関して、本作でのそれについてはノーコメント。
ただしきっと、登場キャラのうちに「あ、これ私だ!僕だ!」な子だったり言動行動が見つかるのではないか?と思えるほど網羅性は高いように見えますね。
現在進行形の方はがっつり共感して。はるか彼方の御仁は軽くキュン死しながら悶え狂いましょう。私も悶えました。おすすめです。




※ネタバレ所感

■パズルのピースについて
ほうぼう荒ぶっておきながらしっかり着地できたのって、主演女優5名と対になった野郎どもとが似たもの同士だったからではないかと思います。

・和沙VS泉
 {netabare}上半身と下半身が別の生き物同士

最終回でお互い似たもの同士だよねと分かり易く描かれてました。典型的な思春期のアンバランスさを体現した二人で主役にふさわしかったと思います。

{netabare}「泉。私ね。これからも不安になると思う。でも泉と同じ気持ちと同じ言葉、私はちゃんと持ってるんだって!分かったから…不安になっても、それを思い出せば…きっと大丈夫」{/netabare}
このセリフを言えたからこその主役でしょう。不安になると言葉に出せた時に大きな成長を感じました。{/netabare}


・曾根崎先輩VS天城
 {netabare}素直な者同士

お互い耐性ないので基本ちょろいです。考えてるようで実はそうではありません。よく言えば真面目で一途といったところでしょうか。浮気は絶対許しません。{/netabare}


・本郷ちゃんVSミロ
 {netabare}言葉先行で行動に移れない者同士

若さゆえに本郷ちゃん頑張りますが失敗重ねてるうちにそのうち諦観しそう。ミロ(三枝先生)がそのなれの果てかしら。言い訳先行でまたそれがもっともらしく聞こえるタイプ。
そんな本郷ちゃんが最も荒ぶってるように見えるというのが“荒ぶる季節”のアンバランスさを表わしてるようで心地よいです。{/netabare}


・菅原氏VS三枝
 {netabare}持てる者かつ特殊フェチ同士

周囲から羨ましがられてます。周囲からの見られ方と自身の嗜好にギャップがあるのが悩みどころ。医者や高級官僚がSMにハマるみたいな倒錯性を感じます。ちがう?{/netabare}


・もーちんVS杉本
 {netabare}相手が見えてないもの同士

自己中とも言います。杉本は言うに及ばず、もーちんもなかなかの猛者です。「なんで自分の思うとおり動いてくれないんだろう?」が先にあると恨みつらみが積み重なっちゃいますよね。{/netabare}



合ってるかどうかは知りませぬ。それは違うさーというのも笑いながらツッコんでみてください。



最後に、、、
なんだかんだ本郷先輩の今後が気になるところです。

{netabare}「止まらない電車に乗っちゃったんですよ我々は!」
ブルーハーツの伏線回収お疲れ様でした。{/netabare}

{netabare}あと真っ白になったと言い残して燃え尽きてましたが息してますよね?
自分で蒔いて自ら回収とはさすがです。

ぜったい素敵な女性になっておくれよー(^_^)/~{/netabare}



視聴時期:2019年7月~9月 リアタイ視聴

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2019.09.28 初稿
2020.04.10 タイトル修正/修正

投稿 : 2024/05/04
♥ : 72
ネタバレ

鰺鱒 さんの感想・評価

★★★★★ 4.7

栞は、気がついたら勝手に挟まってるんだ。

[2019/09/09 v1]
[2019/09/11 v2 10話まで]
[2019/09/15 v3 11話まで]
[2019/09/21 v4 最終話+ちょいちょい追記]
[2019/09/23 v5 多分最終 *部分追記もしくは修正・構成微修正]

原作知らず。

いわゆる「海外の反応」系のYouTuberで、僕が良く見る方々が矢鱈と誉めていたので試しに視聴。六話まで一気にみてしまった(台風の音で寝られんかったのもあるが)。

この作品に対する好き嫌いや印象は、視聴する方の性別や年齢、異性との交際(あるなし、その仕方、もろもろ)や家族構成等に大きく依存すると思います。多分、僕に娘がいたらこの作品はみられなかったかも、と思います。

* 誰が観ても楽しめる作品ではないと思います。なにより、性と恋愛を扱う作品には、暗黙のうちに自らの物差し=上記のいろいろが合わさってできあがる自分自身の価値基準があてがわれるものだと思います。本作を楽しめるから良い、悪いではなく、もっと根本的なところで「合う・合わない」≒「観たい・観たくない」が発生するテーマだと思います。

僕としては、全体として大変に満足しました。
面白かったとか、楽しめたとかとももちろんそうなのですが、それらとはまた違う、観て良かったと思える作品になりました。*お話し全体を通して、非常に良く作り込まれた印象を受けます。
上述の通り、人によっては躊躇われる可能性がありますが、そうでないなら是非ご覧いただきたい作品です。

====Opening
開幕オープニング曲。
本作のために書かれた曲のように思いますが、曲も歌詞も映像も素晴らしい。オープニングの語りが変わるのもよいですね。

OP曲の歌詞はそのまま本作のサマリー、あらすじとなっています。もーちん{netabare}の視線。そういうことだったのね{/netabare}。

出だしの一節に曰、「親の愛のあいだに生まれた娘は、そろそろ恋のページを綴る頃(主観的意訳)」。そして、荒ぶり、抗う乙女たち。

結びの一節、「栞はいらない」が僕にはぐっさりと刺さりました。立ち止まらない、戻らない、振り返らない。ただただ走り抜けるんだという力強い言葉。15~20ページは、それでいいよね、きっと。

僕という本は栞で一杯です。参考書につけられた付箋紙のごとくです。戻れるものなら、やり直せるものならの栞が。

エンディングもかわいいお曽根さんになってます。台本(なんでしょうかね?)を映しながらの台詞抜粋で構成する次回予告も楽しいです。

==== 第一話:I'm hooked!
第一話のhookは見事でした。舞台・世界観のセットアップから展開まで。完璧だったのではないでしょうか。
{netabare}
TRAIN-TRAINに押し出されるように駆け出すかずさ。嫌らしさも、汚ならしさも剥き出しの世界に。そして曰く「聖者になんてなれないよ」。
{/netabare}
彼女達の全力疾走、純潔の行方を見届けたいと思います。



====11話まで
{netabare}

====10話までみちゃいました
困惑。
なんなのこのお話(ほめてるけど喜べないけどほめてるんだけど・・・・)

====11話まで
いやもう、、、どうまとめるんだか分からないけど、いろいろ荒ぶってます。
いろいろ有り過ぎて僕の頭の中がまとまらないのですが、いきなり11話冒頭で「純潔」が落ちちゃったのには血の気が少し引きました(笑)


*全体を通して、ミロ先生だけはちょっと違和感を感じます。いろいろ都合良すぎな立ち位置と性質かな、と。でも、必要な舞台装置と考えれば、まぁよし、かな。

{/netabare}。


====最終話:It landed!
ぉぉ・・・絶対まとめきれないと思っていたのに、、、
まとめやがった。しかも想像の上のラインで。


=冒頭:校長・教頭・教職員
{netabare} 職務放棄は確かにその通りだが、笑いとともにスムーズに闘いの構図を生徒v.s.学校(教員)から文芸部および各部員自身へと転換した{/netabare}。うまいと思う。

=中盤:文芸部員+泉+天城+ミロ
ま、ここは定石通りかもしれない。互いに伏せられていたいろいろなものの蓋を外し、全員に共有。

=そこからの
==色オニ==
{netabare}正直なところ最初はよく分からなかった。分からなかったと言うより、この最終話で僕が感じた唯一の違和感とともにこの色オニが呈示されてしまったため、呑み込めなかったのだと思う。
違和感=唐突に感じた和紗の「闘いませんか」+それを受けてのやはり唐突かつ強引に感じたミロ先生による方向転換。さらに言えば、なかなか立派にアレな縛られ方をされたミロ先生が格好いいことを言うという状況に虚を突かれてました(ツボってた)。

* ただ、少し落ち着いてから考えると、そもそも「色」を持ってくること自体が唐突にも思います。どこかで引っかけているような気がするのですが、残念ながらどこかは分からず。直前の「色情に駆られる」がリードだ、と言うことはないと思うのですが・・・(ここだけ浅すぎることになる)。分かる方は教えていただけるとありがたいです。

でも、この色オニは実に文芸部員らしい、言葉に魅入られた・捕らわれた彼女たちにしか出来ない自己開示、互いの理解(理解するためのもがき)、そして、自分自身を知る術だった。なかなかに練られた舞台設定だったと思う。

本郷の呈示した「色」はおそらく彼女の心境そのものなんだろう。直後のミロ先生との対話を経て、少し吹っ切れたあとの彼女が呈示する色はどんな色だったのか。是非聴きたい。

モモの桃色を必死に探す菅原氏の描写は良かった。

* 色オニの最後の場面には下地がありました。5話で曾根崎部長が朗読していた本の一節でしたね。「同じものを見て、同じ言葉を紡いだ」和紗と泉、そして、そうなれていたかもしれない菅原氏。この状況を作るための舞台装置として、主観のさらけ出しあいとなる色オニは最適だったのかもしれません。


{/netabare}


====フィナーレ:Ah... so, it fit...

僕の中では、屈指の「まとめ」となりました。ベスト10、あとで変更しなきゃ。

ミロ先生による「荒ぶってますね」は、最初観たときにはコレジャナイ感を持ったのですが、まぁ、、、、これしかなかったかなとも思います。

部室で寝こける文芸部員たちについたいろいろな色。純潔にして純白の存在は、いろいろな色に染められ汚れていくのか、あるいは、色づいていくのか、それとも、自身が持っている色が白の光に照らされることで露わになるのか。きっとどれも正解なんだろう(加法混色とか減法混色とかは脇に追いやり)。

このシーンの彼女たちの寝顔は、作品全体の中で最も愛らしく見えました。
ただし、本郷を除いて。
本郷さん、あんたそれ、燃え尽きて真っ白になったあのボクサーだろ。
偉い男前の顔しやがって・・・(左右反対だし、違うのかもだけど)
半分涙目で吹き出しちゃったよ。なんだかんだ本郷さん推しだな、僕は。

よくよく観るとなんかいろいろみんないる改札前。
ダメンズワイプ。
*車内に本郷の担当編集までいたのね。。。

そして最後の一言。




=====================
例によって、「海外の反応」とあわせて観ていました。

この作品の場合はギャグアニメに対する「反応」のようにリアクション芸を観て楽しむという形にはなりづらいのですが、そこそこの数、本作に対するAnime Reactionが出ています。その中にかなり厚くコメンタリを入れる方が居るのですが、僕の本作に対する感想も少なからず影響されていると思います。

「it fit」は第一話と最後の最後での「はいった」の英訳です。


* 多分、まだ書き足りないことがたくさんあると思いますが、今の時点で言葉にまとめられるのはこれくらい。しばらく間を置いて、もう一度観直そうと思います。

投稿 : 2024/05/04
♥ : 48

71.9 8 ドロドロアニメランキング8位
フルーツバスケット 2nd season(TVアニメ動画)

2020年春アニメ
★★★★☆ 3.6 (180)
752人が棚に入れました
親を亡くした女子高生の本田透が、縁あってクラスメイトの草摩由希やその親戚のたちと暮らすことに。しかし、"十二支の物の怪憑き"である草摩家には、「異性に抱き着かれると、憑かれた物の怪に変身してしまう」という秘密があった。その秘密ゆえの、家族からの極度な愛情や拒絶、学校でのいじめなど、草摩家の人々を、透は目の当たりにすることになる――。

声優・キャラクター
石見舞菜香、島﨑信長、内田雄馬、中村悠一、釘宮理恵、潘めぐみ、興津和幸、古川慎、櫻井孝宏、上田麗奈、大地葉、河西健吾、豊崎愛生、坂本真綾、森川智之、種﨑敦美、佐藤聡美、沢城みゆき、江口拓也、加隈亜衣
ネタバレ

剣道部 さんの感想・評価

★★★☆☆ 3.0

イロイロナコイノカタチ

[文量→中盛り・内容→感想系]

【総括】
1期は、各キャラクターの紹介&透を起点にした主要キャラクターとの交流を描き、美しく哲学的な話になっていた。

2期は、透との関係性というより、各キャラクター同士の関係性を深めたり、それぞれの背景にある謎に迫っていく流れ。

レビュータイトルを「イロイロナコイノカタチ」にしたのは、この作品に出てくる皆の恋愛が、本当に一筋縄ではいかないものばかりで、それぞれにそれぞれの「好き」や「愛」の形があるんだな~と感じたから。そしてそれが、非常に繊細で脆く眩しいガラス細工のような印象なので、カタカナ表記にした。

正直言って、1期に比べるとスローテンポでやや退屈な展開だと思った。丁寧な描写に努めたとも言えるけど。

全体として「繋ぎの2期」という印象なので、完結編を観ての評価ということになりそうかな。


《以下ネタバレ》


【視聴終了(レビュー)】
{netabare}
サブキャラ達の恋愛で良いな~と思ったのは、白木繭子と草摩はとり。草摩紫呉のちょっかいも最高だし、あそこでワンワン泣き出す白木繭子は素敵だな~と思った。

あとはまあ、草摩由希の成長が素敵だった。色々なことを決められ、与えられてきた由希が、初めて(2回目)自分の力で作れた仲間。個人的に深いな~と思ったのは、17話だったかで、由希が喧嘩した真鍋翔に、「罰として絶交」と言ったところ。絶交が罰になると思うのは、自分が好かれている自覚がある証拠だからね。ああいうセリフをサッと言わせて、行間で登場人物の心情の変化を見せるのは、この作者の最も優れているところだと思う。

意外だったのは、ラストギリギリまで透と夾と由希の三角関係を維持する(透の心の揺らぎを描くの)かと思っていたけど、こんなに早々と透ー夾のルートで固定し、
由希ー倉伎真知のフラグを出していくとはね。

それはつまり、作者がこの作品を、この作品の登場人物を愛しているからなのかな?と思った。

つまり、「刺激的な展開で読者を楽しませる」よりも、「各キャラクターみんなに幸せになってほしい」という思いを優先させたということ。

あるいは、「刺激的な展開」はある種の「ストレス」であり、本作の読者は、「平和な展開」=「癒し」を求めていると判断したのかもしれない。まあ、草摩慊人の件でストレスは充分だしね(笑)
{/netabare}


【各話感想(自分用メモ)】
{netabare}
1話目 ☆3
世間に認定されている休みとは違う、確かに。思いっきりの嫉妬。ここまで真っ直ぐな嫉妬だと、逆に不快にならないというね。

2話目 ☆4
透は、なんだろう、これが天然なら男はやられる(笑) 師匠、格好良いな~。当然、透にも弱さはあるわけで。時雨(笑) んで、イケメンだな(笑) 

3話目 ☆


4話目 ☆


5話目 ☆
修学旅行。透、最初に気にするのそれか(笑)

6話目 ☆


7話目 ☆3
ドタバタからのホラーやな、アキト。

8話目 ☆3
ユキ、強くなったな。トオル、小学生かな?(笑) 海には勝てないし、トオルにも勝てない(笑)

9話目 ☆3
アキト、どこまでの力があるのか。まどろっこしいな。口だけでどこまでいく? ここに至っては、言葉は無力だと思うけどな。

10話目 ☆4
少し痛いやも、は、可愛い(笑) かぐや、切ないよな~。つじつま合わせの恋が、本物に。

11話目 ☆4
ガン泣き。この二人、付き合えよ。時雨(笑) 行くけども(笑) 羽鳥も、良いよな。

12話目 ☆3
冒頭チョップ(笑) あれが恋をする女の背中、なにか痛々しい(笑) ゆんゆん、定着(笑) ユキ、ネガティブだからな。なにしくさってるんですか(笑)

13話目☆3
おじいちゃん、久しぶり、好き(笑) 腹の底から嫌そうな顔をするマユを観たいシグレ(笑) 俺、もう死んだって良いよ、からの強引なキス。いや~、少女漫画(笑) 

14話目☆4
楽しそうだな、おい(笑) 菖蒲、良いよな。一番好きかも。人の為になら本気で怒れる。「お金や地位が好きという、一風変わった感性の持ち主」って、スゴい好きなワードだな。

15話目☆3
トオル、嘘、下手(笑)

17話目☆3
猫の嫉妬(笑) 絶交が、罰になると思うのは、好かれている自覚がある証拠。

18話目☆3

19話目☆3

21話目☆3

22話目☆4
僕は、嫌なんだ。シンプルで良いね。ユキが自分だけの人間関係を作っていく。好きな娘に意地悪する小学生(笑) 幸せになってほしい。幸せにしたい。完全にフラグが。

第23話目☆4
コントだな(笑) さらっと「親には見られたくない」って言うところ良いね。じっちゃんはいつも1人、は笑った(笑) そこで姫(笑)

24話目☆3

25話目☆3
女か~。なるほど~。
{/netabare}

投稿 : 2024/05/04
♥ : 18

Ka-ZZ(★) さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

君を、想う。

この作品の原作は未読ですが、TVアニメ2001年版と、2019年版の1st seasonは視聴済です。
2001年版は原作が完結していなかったので、全2クール26話で最終話はアニオリとなりました。
ですが、今回は本編の最後までアニメ化される…
2019年版の1st seasonを視聴した時、これがムッチャ嬉しかったのを未だ覚えています。
しかも、1st seasonからいきなり2クールなんですから…
そして2nd seasonも2クールという骨太の作品になりました。


透が紫呉の家に住み始めてから一年が経とうとしていた。

由希と夾だけでなく草摩家の皆とも交流を深めてきたが、
今も気になるのは忌まわしき『呪い』の正体。

進むべき道、決められた宿命、
終わりなき――十二支の――宴を前にして
由希は、夾は、そして透は何を想い、何を決意するのだろうか……。


公式HPのINTRODUCTIONを引用させて頂きました。

透を取り巻く世界の日常を描いた作品…
だけど、2nd seasonも色々なことがありました。

出来事の多くは十二支の呪い…物の怪に纏わる悲しい物語。
異性に抱きつかれると憑かれた獣に変身してしまうという体質の設定は、2nd seasonではすっかり影を潜めています。

それは物語の軸足が「草摩一族の秘密」という十把一絡げの状況から、十二支の個々人の在り方に変わったから…
一本調子だった物語が、登場人物の数だけ分岐し、それぞれの道を歩み始めたんです。

枝分かれした道は細く、脆弱で、行き先が分からず彷徨っているみたい…
時に道同士が交錯したり離れたり、歩みの速度もバラバラ…
心は「真っ直ぐ進め」と叫んでいるのに、右に行ったり左に行ったり…

でも、これらは私たちが「生きている」証なんだと思います。
心の弱い部分、知られたくない秘密、抑えきれない衝動、耐え難い畏怖…
そして誰かを愛する気持ち、大きく包み込む優しさ、温かさ…

ヒトは色んなモノを抱えて生きています。
それは十二支だって一緒…
そう、例え十二支の呪いがあったとしても、皆さん私たちと一緒なんです。
そういう十二支の人間臭さがひしひしと感じられる展開だったと思います。

そして、透の友人の魚ちゃんと花ちゃん…
2nd seasonも「透愛」が変わらず凄まじかったですが、今回は魚ちゃんに一波乱ありましたね。
コンビニ、蕎麦屋とたった2度の出会いでしたが、物凄いインパクトがあったと思います。
思いのたくさん詰まったDVD…両手を振りかざして叫ぶ言葉に、私の涙腺は全く抵抗できませんでした。

2nd seasonの中盤からこのクールじゃ絶対物語が完結しないと予感していました。
どの様に物語を纏めるんだろう…と思っていたら、物語の途中でスパッと切られて終幕となりました。
でも、いいんです…
だって、2021年に「フルーツバスケット The Final」の放送が決定したんですから…
それにしても、2nd seasonの最終話は凄かったですね。
私は原作未読なので、明るみに出た衝撃の事実にビックリすることしかできませんでした。
これで透の野望が一歩前進するかもしれないのは、きっと喜ばしいことなんだと思います。
でも、紅野の口から零れ落ちる台詞を聞いたら、素直に喜べないと思ったのも事実です。
気になる方は是非本編でご確認頂ければと思います。

オープニングテーマは、AmPm feat. みゆなさんの「プリズム」と、土岐麻子さんの「HOME」
エンディングテーマは、THE CHARM PARKさんの「ad meliora」と、MONKEY MAJIKさんの「Eden」

2クール全25話の物語でした。
2nd seasonもしっかり堪能させて頂きました。
ですが、最終話の衝撃から波乱万丈が予想される最終章が気になって仕方ありません。
この状況で一年待ちかぁ…
完成するまで待ちますので、本当のラストまで描き切って貰えるのを期待しています。

投稿 : 2024/05/04
♥ : 16
ネタバレ

ぺー さんの感想・評価

★★★★☆ 3.4

今のところ眠れる獅子です

相変わらず原作は未読


全63話予定。現在位置は↓

 1st season 25話
 2nd season 25話←今ここ
 Final (仮) 13話

踊り場の2nd seasonなので軽めにいきます。

正直しんどい。
まず2つの道があると思うんです。リアタイ追うのと終わってからまとめてドン。一応ここは前者の意見ということであらかじめご承知おきをば。言うても2nd最後まで観たところで結論には至らない。立ち上がりだった1stはうろ覚え。そして共に2クール分とボリューミー。まとめての視聴をお奨めします。

しんどい理由はそれだけではない。
いわゆる“障害”と思しきものが特殊過ぎるのです。現時点で“障害”とは“草摩の家に生まれついた宿命によって縛られてる何か”しか分かってません。なにを根っこに苦しんでいるのか掴めないのでキャラの感情を拾えないのです。よもや表層なぞってあははうふふしてるだけじゃ名作とは言われまいて。なにかしら“障害”を乗り越えるなり打ち克つのだろうと想像できるのですが現時点では私が絶賛迷子中。きっと終盤にネタ明かしがあるのでしょう。

{netabare}草摩家当主の慊人(あきと)が嫌キャラとして描かれてはいるが絶対事情あるよね?{/netabare}
{netabare}なんで高校卒業したら夾(きょう)は幽閉されるのか他の道いくらでもありそうなのに?{/netabare}
{netabare}親に愛されてない子が多いね。変身しちゃうだけが理由だったらひどくない?{/netabare}

目の前でめっちゃ苦悩してるんですけど、十二支を苦しめてるものの正体がうっすらとしか分からず、なんか良く分かんない理由でイラついたり絶望したりする物の怪憑きの皆さんに菩薩モード全開で寄り添うヒロインという構図。


 理由の如何によらず苦悩している人にただ寄り添えるか?


みたいなところを感じて下さい、といった雰囲気はあります。こういうのってキャラには知らせずとも視聴者にはわかるようにするもんですけどね。面白い試みですがエンタメ感は薄いかなぁ。
置かれた境遇の厳しさに理解と同情の念はあります。だからこそ背景と理由を下さいってことですね。
そういうのが無ければ別の切り口。呪いというだけで縛られるしかないというあくまで思い込みとか。これだと理由はいらないんだけどそれはなんかやだなぁ。

1期は当初苦手だった透くんのキャラが終盤になって素敵に見えた後半追い上げ型。
2期は十二支の呪いに翻弄される皆さんを追いかけながら苦悩に寄り添う現状維持型。

全部終わってからあの時この時こうだったが見えてくるのだと思います。
もしくは原作既読で顛末をすでに知ってるファンが答え合わせをする場所。

いざ完走して全貌が明らかになった時、これが1クール2クールだったら覚えてるんでしょうが、差し詰め5クール分となるとよっぽど強烈な印象を残したとこじゃないと覚えてない確固たる自信があります。
全般的にもやっとしており初見でここまで50話は正直つらい気がします。


いいところもあるよ。OPEDが軒並み作品の世界観に合っていて良かった。そこだけは胸張って言える中継ぎの2nd seasonでした。
ここまで来たら付き合うけどね。頼むぜ名作!


※メモ
{netabare}あきとが女!?そして紅野は呪いが解けてました…と。
この淋しかりやの神様に救いは訪れるのか?十二支連中も救われてほしいね。{/netabare}



視聴時期:2020年4月~9月 リアタイ

-------

2020.09.22 初稿
2021.07.23 修正
2022.06.04 修正

投稿 : 2024/05/04
♥ : 40

89.3 9 ドロドロアニメランキング9位
ひぐらしのなく頃に解(TVアニメ動画)

2007年夏アニメ
★★★★☆ 4.0 (2910)
13628人が棚に入れました
昭和58年の夏、都会から遠く離れた鹿骨(ししぼね)市にある寒村・雛見沢の夕暮れ時にはひぐらしの合唱が木霊していた。
圭一達いつもの部活メンバーは、他愛のない日常を過ごしていた。ただ、その平穏な日常を一変させるあの日が近づいて来ていた。
毎年6月に行われる祭「綿流し」。過去4年続く、祭りの日に繰り返される惨劇…。はたして、惨劇は今年も繰り返されるのだろうか?それとも…。

声優・キャラクター
保志総一朗、中原麻衣、ゆきのさつき、かないみか、田村ゆかり、堀江由衣、茶風林、大川透、伊藤美紀、関俊彦、折笠富美子
ネタバレ

生来必殺 さんの感想・評価

★★★★★ 4.2

59049分の1の真実 「ラピュタの円卓」頂に旗は靡く

本作(解答編)を視聴する際のお約束事。
まずは前作(出題編)を見やがれ!なのです。。。

前作に比べて作画が飛躍的に向上しかなり見やすくなったのには大いに満足。
音楽も前作ほどのインパクトはないものの洗練されており、
ひぐらし的世界観を見事に表現できている。
最初は若干抵抗があったキャラと声優に関しても、前作終盤頃には違和感が薄れ
逆に愛着が沸くまでになり、むしろ好印象と言える。

本作の最大のネックは物語の解釈、評価という点に尽きるだろう。
本作には一般的な意味で言うところの戦闘シーンがあるわけだが
(ファンタジー作品として考えたら、出題編の第1話から戦闘は既に始まっていた)
そこにはどのような意味合いが込められていたか?
そこの解釈をめぐって評価は大きく分かれるようである。

第一印象では多くの人が感じたと同様に「例の戦闘シーン」には
ある種の違和感を覚えたのだが、前作からの内容等々もう一度よく考え直してみたら
概ね問題なしという結論に至った。

ポイントは「ひぐらし」がアドベンチャーゲーム的世界観、
AVG的要素を内容に含んでいるということ。
もう一つは、本作はSFとは謂わば対極にあるようなファンタジー作品の要素を持つということ。

今までの流れからどうしてこういう結末になったか?
それこそが最大の問題であり、本作の一番の見所であると言えるのかもしれない。
極秘ファイル「34号文書」の全貌解明とともに事態は
疾風怒濤の大波乱、ラストステージに進撃開始。
答えはそこにある!なのです
 
 無限分岐の暗の精 紡がるる者共の 意識薄れる程までに サハラの荒野の奥行きか?
 漆黒の マクロの両翼羽ばたかせ 黄泉の果てまで届く距離 永久なりし拡散連ぬ
 それに立ち向く者共の 思いは螺旋の求心直下 コスモの焦点 集いけり

そして今、彼等の(因果を繋ぎ遭わせる)サイは投げられた!
いや「カードは配られた!」と言うべきか?


以下は感想などをタラタラと・・・
・時空に浮かぶ伝説の村のルーツを辿る道
{netabare}
「ひぐらしのなく頃に」のストーリーについては、何処かで聞いたような話だと直観し
記憶を辿ってみたところ、思いついたのが「杉沢村伝説」という名の都市伝説。
「一人の村人が突然発狂し、村民全員を殺して自らも命を絶つ」という内容のものだ。

その都市伝説のモトネタは何か?調べてみたところ
1938年(昭和13年)に岡山県で発生した「津山事件」がそれに該当し、
1913年(大正2年)にドイツで起こった「ワグナー事件」
1926年(大正15年)に千葉県香取郡久賀村で発生した「鬼熊事件」とも
関係があるように思えた。

3つの事件に共通するのは、大量殺戮と被疑者の人格の極端なまでの二面性。
普段は大人しく人当たりが良かったり、思いやりがあるようにも見える人物が、
ある機を境に突如「殺人鬼」と化し犯行に及ぶという衝撃。
「ひぐらし」において描かれていた「鬼の形相」は、
このような殺人鬼の残虐性を象徴しているようでもあり
「鬼熊事件」で犯行の動機となった恋愛と裏切りの騒動は、竜宮レナと彼女の父親の
家庭問題に纏わるエピソードに何処か似ているところある。
怒りで我を忘れたレナは、(洋画「ランボー」の主人公にも似た)
「鬼熊」の姿を想起させる。
更に「鬼熊事件」では村人が被疑者 熊次郎=通称「鬼熊」を警察の追跡から匿うという
まさに「鬼隠し」そのものの事態が発生するのである。
とりわけ「ワグナー事件」で印象的なのは被疑者の犯行の動機が
事実無根の妄想、「疑心暗鬼」によるところが大きいことからして
「ひぐらし」の物語と「ワグナー事件」が全然無関係と考えることは
まったくもって無理だとさえ思えるてくる。
「津山事件」ではこの疑心暗鬼は、被疑者の祖母が被疑者に対して抱くものとなり
(被疑者による病のための治療薬投与を毒薬と錯覚してしまう)
被疑者を追い詰め、結果被疑者の世界からの孤立感を更に深めてしまうこととなる。
また、ひぐらし解のEDソング「対象a」の歌詞「あなたの亡骸に土をかける」などは
「津山事件」被疑者の「遺書」の内容を受けたもののような気がしてならない。

3人の被疑者には何か似たような悲しみを感じる。
ささやかな幸せを願いつつもそれが叶わず、成す術もなく地の底まで転がり落ちていった
鷹野三四と何処か似た悲しみを。
どん底の地獄まで落ち果てたら、もはや人間としての精神状態を維持するのが不可能となり
世界と世界を生み出したものと世界を構成するありとあらゆるものを否定、拒絶し
呪うしかないのかもしれない。
いや、「遺書」を読んでもらいたい相手や未練が残る相手もいるにはいるのだが、
落ちるとこまで落ちたら、今更取り返しようがなく、自害を最終局面とする
オールリセットという最悪の選択の道を行くしかないのかもしれない・・・
{/netabare}
・フラッグファイターは阿修羅を超えて変革を促す
{netabare}
ハズレ2+アタリ1=計3の当たり率3分の1のくじ引きで、10回連続で当たりを引く確率は
(もしも計算が間違っていなければ)59049分の1
ハズレ1+アタリ1=計2の当たり率2分の1のくじ引きで、10回連続で当たりを引く確率は1024分の1
あらゆるくじの組み合わせの中ですべて当たりのパターンは一つしかないのである。

つまりAVGとは選択により並行世界の経路が無数に枝分かれしていく奥ゆきのある広がりの
展開をするのだが、そのゲームですべて当たりの選択肢を引かなければ、ハッピーエンドに辿り
つけないとしたら、確率論的に考えてもそれはある種の「奇跡」と言える。
(そもそも59049とは本作の内容とは全く無関係な数字であり、
要するに「奇跡」は希少であると言いたいだけだったり・・・)
ちなみに、最後のシーンで梨花が幼い頃の三四に選ばせたのは「デパート」か「友達の家」か
の2択だったが、圭一がゲームの景品としてゲットしたぬいぐるみは、
魅音かレナの何れかにあげるという2択ではなく、沙都子や梨花という4択以上の
選択肢があったという可能性も否定できない。

「ハッピーフラグ」の立つ経路以外はすべてバッドエンドに繋がるとするとゲームが構成する
総体としてのパラレルワールドは概ね絶望的であり、本作においては時に猟奇的であり、残虐的でもあった。
しかしながらゲームというものの当然のお約束事として、終り=ゲームクリア場面がなければ、
ゲームが成り立たないというか、ゲームクリアという最終目的がないとしたらプレイヤーが
ゲームやる意味がそもそもない。
バッドエンドはGAME OVERであるわけだから、ゲームクリアのトゥルーエンドが
ハッピーエンドになるのは成り行き上当然のお約束になるのだ。

だがしかし「ひぐらし」においては、今までのバッドエンド展開が強烈で過激すぎたため
その対極にあるハッピーエンドが余りに緩くてぬるいものに感じてしまうかもしれない
というギャップ感に視聴者が戸惑うところが無きにしもあらずで・・・
そういう状況の中で、対山狗戦を象徴するような例のコピペはネタというレベルを超え
その部分だけが強調され一人歩き、どこかで聞いた「都市伝説」みたいな拡がり方をしたのかも?

本当は強いはずの山狗部隊がなぜあんなに弱かったか?
これについてはいくらでも説明することができる。
端的に示すなら、このターンでは戦う前から山狗部隊は負けていたと言える。
勝敗の理由についてはファンタジー的解釈をした方が説得力があり、すっきり感もあるのだが
小此木が言っていたとおり戦略+戦術+戦闘の総合値において主人公側が優位にあったのは事実。
このゲームのターンでは、カードが配られた時点で主人公側にロイヤルストレートフラッシュ
麻雀ならば国士無双状態が成立していた。

勝敗最大の要因は上部機関トウキョウが山狗の意図しない方向に動き出したこと。
それを受け番犬が粛清の狩に出るということ。富竹の離反。情報の漏洩。情報の錯綜。
赤坂を通じ警察機関にも事態が発覚。
山狗部隊が得意とする諜報情報戦が封じられ、隠密かつスピーディな電撃戦で
敵を圧倒する必勝パターンが崩壊。
山狗の指揮官鷹野の苛立ちと焦燥と動揺は参謀小此木を介して、部隊の末端まで伝播、
最終的には部隊の混乱、狼狽、戦意喪失を引き起こす。
山狗はもはや部隊として、組織として機能してない状態に陥った。

山狗にとってすべてのことが逆境であり、やることなすことが空回り。
総合的戦力で圧倒的優位、連戦連勝してきた山狗がこのターンでは主人公側と立場が逆転。
デジャヴ感があるこの逆境?死亡フラグが立つ前兆には何がある?
疑心暗鬼の症候群。この病、投薬しても根絶不可能。
トウキョウ、番犬、今は敵対関係。そうなることを察知し、その状況を利用し先に仕掛けてきたのは相手の巧み。
裏切り、漏洩、偽情報、誰が見方で誰が敵?
そもそもあの子どもたちだってトウキョウの息のかかった凄腕エージェントかもしれない
そうでないならば山狗があんな子どもに敗北するわけが無い等々自問自答。
それは平常心を保つためのある種の自我の防衛機制であり、雛見沢症候群の自覚があった
からこその受け入れられない現状を冷静に理解しようとする苦しい理屈付けだったのかもしれない。
こんな完全敗北(奇跡)なんてデルタフォースとSASと・・・それと何とかいう・・・
そう世界最強の特殊部隊だ!そういう夢のタッグチームでなければ、起こりえないことなんだ。
その起こりえないことが小此木の目の前で起こったわけだから、疑念を打ち払うために
新たな疑念を持ち出して現実を受け止めようと思いながらも結果として、現実逃避に陥る。

一方、魅音は世界最強の特殊部隊よりも強い力を持ち、存在意義が大きいものがあるという真実を語る。
疑心暗鬼の「死亡フラグ」これを回避しなければ、これを回避できる力を持たなければ
ハッピーエンドは訪れない。
山狗だろうが世界最強の特殊部隊だろうが、
そんなもの(軍隊という「パワー」)では奇跡は呼び起こせない。
魅音にとっては部活メンバーこそが世界最強の部隊=「パワー」なのだ。

この戦い魅音側の勝利条件はとても簡単だ。
番犬が到着するまでのしばしの間、山狗を足止め、時間稼ぎをするだけで十分。
落とし穴と隠れんぼ作戦だけでもミッションコンプリートできたのだが、女神降臨の効果発動により
やること成す事が上手く行き過ぎる奇跡のラッキーターン出現、山狗はあっさり自滅的に壊滅する。
赤坂(と富竹)が山狗包囲網を突破できるかどうかも作戦成功の重要な鍵ではあったのだが
備えあり、信頼あればこそ憂いなし。この信頼関係こそが主人公側にとって必勝パターンであったわけだ。

この決戦を少しファンタジックに表すならば、雛見沢村希望ヶ丘の決戦にて
「戦略・戦術・戦闘天下無双」を示す軍旗を掲げる山狗部隊を雛見沢部活同盟連合部隊が完全撃破。
勝利の証として、その丘の天辺に軍旗をおっ立てる。
その軍旗に示されていたものは何か?
それは各視聴者の解釈、想像力に委ねるといったシーンではなかったと推測する。

主人公たちにとって鷹野と山狗部隊は総合値においてすべて格上。
奇跡でも起こさない限り絶対勝てない相手であった。
だからこそ、その奇跡を起こしてみたわけだ。百年という歳月を費やして。

ファンタジーの世界には、奇跡も魔法もあるんだよ!なのです


書ききれなかった、寄生虫という虫、女神効果、34号の呪い、についてはまた次の機会でも
{/netabare}

投稿 : 2024/05/04
♥ : 14

ダビデ さんの感想・評価

★★★☆☆ 2.9

多くの人が高評価する作品を自分が同じように評価できない解を考える。

一期含め、完走しました。

はじめ、一期の途中の20話で断念していたのですが、16話から面白くなる上に、解まで観ないと完結しないとお勧めいただいたので、一期再視聴の上、解を視聴しました。
トータル50話と長いですが、アマゾンで視聴できたので、良かったです。


感想としては、お勧めいただいた通り、最後まで視聴すると面白いお話でした。
というよりも、最後の祭囃し編の話のために、それまでの全ての話があり、最後の祭囃し編が面白くなっていると感じました。
分類としては、現実世界の中に超設定があるローファンタジーでしょうか。


ただ、正直、一期と解の前半(12話・皆殺し編)までは、合うアニメ・合わないアニメについて考えながら視聴をしていました。



沢山のアニメが在って、それぞれの人にそれぞれの嗜好があって、人気があっても合うアニメと合わないアニメが、それぞれの人に在ると思います。
結論として、合うアニメであるか合わないアニメであるかは当該アニメの総合的なものによる場合が多いかと思います。
例え、作画や声優さんに「?」があっても、物語が面白ければ、アニメの設定に入り込めて、総合として合うアニメになる場合もあるし、物語が自分好みでも、作画やキャラになじめなければ、アニメの設定に入り込めず、総合的に合わないアニメになる場合もあると思います。

ここで、アニメの設定に入り込めるかが、アニメの総合的な評価に一番影響するのではないかと感じました。

アニメの設定に入り込めれば、細かい点は気にならなくなる上に、違和感をそのアニメの「味」として評価できます。
アニメの設定に入り込めなければ、細かい点が気になる上に、さらに、細かい点が、入り込むのを邪魔をします。

細かい点とは、声優さんの違和感や、事実考証の違和感・稚拙さ、作画・キャラの違和感、論理的違和感、設定の違和感などです。

細かい点の違和感を感じてしまうと、ふと、サめて(「冷めて」「覚めて」「醒めて」「脳が現実に戻って」)しまい、入り込むのを阻害します。
もちろん、全てのアニメに該当するわけではなく、ディテールの違和感があっても、そのアニメ自体の魅力(物語の面白さ、展開に対する興味)によって、ディテールの違和感が問題にならない場合も多いです。
その場合は、既に、そのアニメに引き込まれていることが前提だと思います。

具体的にいうと、
声優さんの違和感は、思い描くキャラクターと声があっていない場合です。
普段、プロの声優さんのアニメを視聴していると、やはり、耳の水準が上がっていますので、話題作りのための俳優さん・女優さんの場合には、自分の中で思い描くキャラクターと声が合わない場合が多いと感じています。
原作を先に読んでいる場合にも、思い描いたキャラクターと違う場合もありますし、違っていても、声優さんが素晴らしく、自分の思い描いていたキャラクターを塗り替えてくれる場合もあります。

事実の違和感・稚拙さは、自分の頭の中にある実態とアニメの中の事実が異なる場合です。
例えば、「君の名は」での信号機の描写です。
この場合は、同作の作画・物語が素晴らしかったことから、逆に気になってしまいがしたが、引き込まれていたので、違和感を感じても、直ぐに、戻れました。
他の作品でも、病院での描写などで多々感じます。
ひぐらしのなく頃に(一期・解)では、警察の描写、児童相談所の描写、暴力団?の描写、森の中でのタンクトップ、受傷の場所と吐血など多くの点で感じました。
仮に、現実世界の事実と異なる描写であっても、一般的に「そういうものだ」と受け入れられており、見る側で、違和感を感じない場合もあると思いますし、違和感を感じる方がマイノリティの場合も多々あると思います。
このような違和感は、実際にその職業についている人が、その職業をテーマにしたアニメなどの場合に、感じることが多いと思います。

作画は、現実世界ではないアニメの世界に視覚で入り込ませるもので、違和感を感じれば、入り込めなくなってしまいます。
顔が生理的に受け付けない場合なども入り込めない原因となり得ます。
やっぱり、かっこいいキャラクターや好きなキャラクター、かっこいいロボットなども観たくてアニメを観ているますので。

キャラについては、キャラクターの外見、性格、声(声優)、言葉遣い、思想、考え方により、共感し、感情移入かどうか、キャラクターを通じて、当該アニメの世界に入れ込めるかどうか影響があると思います。
アニメの設定により、キャラクターがぶっ飛んだものであっても、感情移入できますし、現実に近いものであっても感情移入できない場合もあります。
シュタゲの岡リンやダルなんかは、初めは共感できなかったですし、設定が現実の描写の中の現実離れなのですが、物語を通じて、まさか、というくらいのめり込んでいました。
他方、恋愛系の現実の設定の話であっても、当該当時人物の思考・行動に経験則的違和感を感じ、壁を感じ続ける場合もあります。
本作での、古手梨花の2面的な言葉遣いは、残念ながら、苦手でした。

キャラのかっこよさも色々ですし、設定は自由で、中二病的なかっこよさから、ダサいけどかっこいいなど、様々ですね。
ただ、男性視点と女性視点で異なる場合も多々あるかと思います。

論理的違和感・経験則的違和感は、人間の行動原理からおかしい行動や、設定の矛盾、論理破綻などです。
もちろん、アニメですので、人間の行動原理を超越したところに面白さがある場合も多々ですが、観ていて、「んなわけねーだろー」って感じてしまうと、サめてしまいます。
クラナドの病気の子どもを連れて出かけるところが真っ先に思い浮かべます。
他にも、本作のように、地の利があったとしても、子どもが、多数の大人を倒すことは「んなわけねーだろー」って感じてしまいます。



設定は、文字通り、当該アニメの設定です。
アニメですので、アニメの数だけ設定があります。
そして、大枠の設定として、
ノンフィクション
現実の世界の中の現実どおりの設定。
現実の世界の中だけれども、論理則内の現実離れした設定。
現実の世界の中だけれども、未来・過去の設定。
現実の世界の中だけれども、超設定(ローファンタジー)。
現実とは別の世界(ハイファンタジー)。
サイエンス・フィックション(SF)。
などに分類されると思います。

設定が自由なのは、アニメの醍醐味です。
そして、設定に入れ込めるかどうかは、当該アニメを楽しめるかどうかの重要な点だと思います。
ガルパンの設定はぶっ飛んでますので、設定に入れ込めなければ楽しめることはなかったと思います。
演出が一番難しいのは、本作のような、現実の世界の中だけれども、現実離れした設定で、現実設定が強いローファンタジーだと感じています。
そして、細かい設定など、解説がうまいアニメと下手なアニメ、わざとらしいアニメ、割り切っているアニメ様々あると思います。
たまに、解説じみた設定の説明のセリフは、ときとしてサめてしまう場合もあります。
設定が自由であっても、設定が矛盾していたり、ご都合主義になっている場合もサめてしまいます。

他にも、ハーレム設定や最強設定なども違和感を感じるときがあります。
SAOのキリトなんかは、ちょっと、距離を置いて見てしまうと、どんどん最強過ぎになるし、どんどんハーレムを形成していくので、人によっては、サめてしまうのではないかと思います。
もちろん、物語シリーズのように、ハーレム設定を観るのが楽しい作品もあります。
本作も、女子生徒に囲まれたハーレム設定で、他の男子生徒との関わり合いについては「?」を感じました。


そして、もちろん、物語自体の面白さが一番重要です。

どんなにディテールが整っていても、物語自体がつまらなければ、観ていることが苦痛になってしまいます。
物語の細部が雑でも苦痛になってしまいます。
少なくとも、プロットの因果律がきれいに続いていないと、サめてしまいます。

また、物語の中のテーマが、自分の感性に合わないと、入り込むことはないと思います。
私個人の欠陥なのだと思いますが、きれいごとの友情がテーマのアニメは、全てではありませんが、サめてしまいます。
本作も、友情がテーマの編もあり、入り込めませんでした。
他にも、恋愛がテーマの場合、中々、入り込めません(年を取るにつれて、逆に入れ込めるようになってきましたが。)。

初めから終わりが想定された物語で、プロットがしっかりしていて、ペース配分も整っているアニメが好きなのだと思います。

本作も、大筋の物語は、面白いと思います。
物語性が各話独立しているほのぼの日常系などは、キャラが好きにならないと最後まで中々見れず、断念する場合が多いです。
本作の一期は、各編の話が、はじめ独立しているものと感じてしまい、20話くらいまで観ても、繋がらず、一度断念をしてしまいました(あと、ほんの少しで繋がっていくところだったのですよね。)。



なんて、分析していましたが、合うか合わないかは、当該アニメ自体に入り込めるかどうか、共感できるかどうか、そして、その物語が面白いかどうか、自分好みであるかどうかですよね。

たった一言の登場人物のセリフだけで魅了される場合もあるでしょうし、
観るタイミングで全く違ったところで共感することもあるし、経験によって、常に変化していくものです。



っていうことを考えながら観た、本作の感想は、「企画性・大筋の物語は面白いと思いますが、私にとっては、ディテールの違和感で、結局入り込めないので、その理由ばかり考えてしまう作品でした。」というものです。
ディテールが整えられた本作を観てみたいというのが、率直な気持ちです。
 



以上、長々書いてしまいましたが、せっかく、面白いと勧めていただいたのに、素直に、本作の面白さを受け入れられなかったことへの贖罪のため、一言「合いませんでした」と済ますことはできず、勧めていただいた方への敬意・感謝を込めて、そして、言い訳のため、レビューします。

でも、本当に、面白いって勧めていただいたことは感謝していますし、嬉しかったです。
ありがとうございました!

投稿 : 2024/05/04
♥ : 19
ネタバレ

ぶらっくもあ(^^U さんの感想・評価

★★★★★ 4.1

「私たちは運命を打ち破るっ!」

2007年2クール 原作 竜騎士07 / 07th Expansion  
監督 今千秋  制作 スタジオディーン 

原作未体験、パチンコ初見(←オイっ)
ひぐらしシリーズ二期にあたる本作、
二期という事は当然一期もあるのです~、
一期未視聴なよい子の皆さんはそちらを先に、
見やがれなのです~♪(梨花病)
一期観ないとダメなのかな~?かな?(←レナ病)

い、いや二期解単独でも面白いかもですが、、
例えばっ、
風呂上りの一杯のビール、美味いですよね、
渇いた身体に浸み込むからですね、
物語把握的意味合いのみならず、
謎解き勿論(私の場合渇き飢えそして怒りでしたが)
欲すれば欲するほど解は美味しいし、
感情移入もできるのです、
二パ~ヽ(^^)ノ

という事で、とにかく物語性質上一切のネタバレご法度な本作、
いつもならネタバレタグ貼りつつも、、
役にたって無いんじゃね?
的いいかげんな過去私レビュー反省してるうち、
論点訳わからない痛いレビューになってるやもですが(←イツモノ事ダ)
ご容赦<(_ _)>、

エロともかくグロには全く耐性ない私メでありますが、
かなり頑張って一期を一気観した訳であります、
結論から言うと、
物凄い飢餓感、精神的渇きに襲われました、
どの様な渇きかと申しますと、
「何でそ~なるのっ!?」(←コント55号調×シリアス調〇)
誰が悪いの!?何が悪いの!?諸悪の根源は!?
こうした謎そのものに対する渇飢餓感さることながら、
それよりもとにかく厄介だったのが、

怒りです、

こんな幼気(イタイケ)な少年少女が、
なんでこんな酷い目に遭わなきゃならねえんだ!
観てるうち萌えだのグロだのともすれば謎さえ、
もうどうでもよくなって、これは感情、怒りですね、

誰だろうが何だろうが許せん!
「オメ~ら○×じゃネー叩き切ってやるっ!」
この時既に私は破れ傘ならぬ、
精神的に{netabare}立派な雛見沢村住民状態、
レベル4~5くらいの {/netabare}
やばい状態だったのかも知れません、
このままじゃまずい何とかせねば、、、
渇きとか言ってたら喉も乾いてきた、
掻き毟りたい~バットないかバット、、
ヤバいっ!

{netabare} ワクチンとか無いし助けて女王梨花ちゃん~{/netabare}
という事で、
一期終了後即二期解に移行という有様でございます。

私のような本作遭遇アニメが初な方々というのも、
本作放送当時も多々おられた事でしょう、
一期観て私同様な飢餓感に襲われた方も少なくないはずで、
それ想うと即二期に行ける私など幸せな部類?
当時の皆様はどのように飢餓を克服しておられたのかな?かな?
等要らぬ心配(←好奇心)から当時の文献紐解くと(←wiki見ただけ)
ナント!
「ひぐらしのなく頃に解」が「諸般の事情?」で、
12話打ち切りな地方もあったとか、、、
酷いね~解12話ってそれじゃ~まるで、
私みたいな症状呈する人間にとっては生殺しだよ、
「諸般の事情」ってのは当時起きたとある事件らしいんだけど、
ストレス貯まってかえって逆効果じゃね?
アニメだけじゃなく原作原本含めこの物語きちんと検証すれば、
文字通り解の意味解る事だと想うし視聴者バカにした安易な手段、

まあしかし隠されれば尚更観たくなる!
というのが人の性(←サガって読んでね~AVのモザイクじゃないのです~ニパッ)
加えこれだけ飢餓感与える作品だし、
まあこういう事象も水面下口コミ侮るなかれ同様、
話題性含めこの作品の人気の起爆剤になったのかもしれないけど、

さてさてこの二期解だけど、解という文字から、
物語(ミステリー)の答え、解答?という意味で受け止められかねず、
それも間違えではありませんがあえて言います、
この二期解の根幹は、

運命に抗い未来切り開こうとする者たちの物語、
幾度繰り返し酷い目に遭い続けた運命の檻、
そこからの解脱がテーマです。
{netabare}
原作が同人ゲームという事で、当初アドベンチャー型、
(主人公なりが会話等選択枝選び望むエンディングに辿りつくみたいな)
なのかなとも想ったのですが、
そうでもなかったようで、
ただアニメ観ててそれに近い感覚はありました、
チクショウー悔しいークソクソ言いながら、
XBOで岡部になりきりヒロインなり救おうとしてた、
シュタインズゲートに近い感覚とでも言うのかな、
ネタバレになってないかな?かな?(←レナちゃん病)
気をつけやがれなのです~にぱ~っ♪(←梨花ちゃん病)
{/netabare}
そう、一期各章及び二期前半等で、

「何でこの子達がこんな目にあわにゃならんのかいな!?」

この私的怒りが、
運命に抗う主人公達に自然に感情移入を即し、
クライマックスに向け頑張れー頑張れー!
随分酷い目にあわせてくれたじゃネ~か、
只じゃおかね~こんちくしょ~!
キャラ感情移入半端なし(←根が単純)
って事でみんなで観よう二期解祭り囃子編♪

梨花「私たちは運命を打ち破る!」そうだっイテマエ~っ!

だがしかし、敵もさる者一筋縄ではいかない!
こっからのクライマックスも最後まで見事ですね~♪
{netabare}
退路詰まるピンチもあるけど、、
奇跡の起し方?!梨花さまカッケ~っ(ナンカ敬称二ナッテルシ)
葛西ワケ有用心棒も赤坂も永き脇役返上的大活躍いいね~♪
詩音ちゃん♪ここでか~そうだったんか~♪
最後の最後まで諸悪の根源もけっこうシブトイ、
{/netabare}
はたして主人公(達の)運命やいかに?
という事で、

観るのです~♪なのです~♪(←梨花進行型痛い病)
{netabare}
加え例えば児童虐待防止法等の矛盾点、
何か起きるまで動こうとしない、
起きても責任逃ればかりな旧態依然公務員体質等、
社会的問題提起も描かれ興味深いものでした、
或いはアニメ限らず映画やドラマの刑事ものでアリがちな、
腐れ上層部からの圧力やら政治介入等のおヤクソク的エピソード、
乗り込んできた腐れキャリア組一本背負いのたたき上げ老刑事の件は、
気持ちよかったな~♪
{/netabare}
一期ともども二期も音楽いいですね、
世界観シンクロ率抜群の歌詞と共にOP、ED曲もよかった、

加え「ふにゅ~」と「しやがれ~♪なのです~♪」の、
予告編ってより梨花&羽入コーナーもオモシロ楽しかった、

幼女梨花、妖女梨花、瞬時切り替えも見事な中人だった「田村ゆかり嬢」
声萌えでした。にぱ~っ♪


という事で梨花ちゃん羽入ちゃん及び主人公の皆々様方、
久々クライマックス&ラスト気持ちよく、
私{netabare}の病{/netabare} も貴方がたにめでたく?救われた、、、、
のかな~?かな?カナカナカナカナ、、(←ひぐらしの鳴き声)

投稿 : 2024/05/04
♥ : 30

61.5 10 ドロドロアニメランキング10位
君のいる町(OVA)

2012年3月16日
★★★★☆ 3.5 (171)
952人が棚に入れました
広島県の田舎町で春から高校へ進学する主人公・桐島青大の家に、父親の知り合いの娘という、枝葉柚希という少女が突然居候として東京からやってきた。青大はクラスメイトである神咲七海に中学時代から好意を寄せていく一方、同じ屋根の下で都会的で奔放な柚希と接していく中で、徐々に彼女が気にかかる存在となっていく。

シン さんの感想・評価

★★★☆☆ 2.5

黄昏交差点

君のいる町のOADです。マガジンを購読されている方や涼風や本コミックをお持ちの方は少しチェックして欲しい作品です。初見の方は回想シーンの多さと作りを考えるとあまりオススメできません。涼風のアニメが好きな人は作っている所は違いますが漫画への導入としての視聴をオススメします。

物語ですが主人公の桐島晴大が修学旅行で東京に行き遠距離恋愛中の彼女である枝葉柚希に会いに行く話です。話の時間自体は大きく流れませんがコミックを持っている人向けなので回想が走ったり大まかなので原作を読み直してからの視聴をオススメします。

声優ですが中の人の無理やりの方言が少し気になりました。有名な声優さんが声を当ててますが周りに広島人がいる人はしっくりこず原作とのイメージとの距離を感じるかもしれません。

キャラについては原作のイメージとかなりかけ離れてました。晴大のがむしゃら感や枝葉の元気の良さや天然感があまり出ていない印象でした。初見の人が漫画を読むと逆にギャップに惹かれるかも知れません。

作画についてですがタツノコプロさんの作画を見ててそこまで異変は感じませんでしたが少し東京の町が古く感じました。

音楽はかなり落ち着きめの選曲だったと思います。晴大の絶望感を押してるのか焦っている感じをあまり感じなかったのでもう少しキツめの曲でも良かったのでは?と思いました。

瀬尾公治さん(原作者)のファンなので少し厳し目のレビューになってしまいました。

投稿 : 2024/05/04
♥ : 3

takumi@ さんの感想・評価

★★★★☆ 3.4

ほんの1分でも逢いたいという気持ち

2話構成の短編アニメ。原作は未読だが瀬尾公治氏の漫画作品。
元々の舞台が広島らしく、主人公・桐島青大(はると)は広島弁。
しかしこの作品の主な舞台は修学旅行先である東京。

原作とはいろいろ、設定なども違うようで。

以前は広島にいたものの、今は東京に住む彼女・枝葉柚希(ゆずき)との
恋模様を、いくつかのエピソードを交えつつ
つかの間の逢瀬を描くストーリー。

台詞なしの回想フラッシュシーンや、
別の場所で2人が交互に言うモノローグから、
だいたいのことは察することができるけれど、
原作を知らない者にとっては、遠距離恋愛モノという印象。

そんなこともあり、演出法も含めて、
新海誠監督の作品と重なるものを少し感じながら観ていた。

大きな感動も、泣きたくなるようなせつなさもほとんどなく
観る人によっては物足りなさを感じる場合もありそうだったが
主人公とヒロインの等身大の青春の1ページを
比較的淡々と描くことで、リアリティは感じさせていた気がする。

冒頭の雪景色をはじめ、東京のあちこちの風景も
とても美しく描かれているし、音楽もきれいだった。

個人的には、新宿の南口側階段下の山手線のホームが
無性に懐かしくて、しかも自分がかつて毎日立っていた位置に
彼らも立っていた・・っていう、
他人からみたらどうでもいいいようなシーンで身を乗り出していた(笑)

投稿 : 2024/05/04
♥ : 23
ネタバレ

メルヘン◆エッヘン さんの感想・評価

★★★★☆ 3.3

王道をいく、遠距離恋愛アニメ(小品)

現在放映中のTVアニメとは別視点ではないかと思います。

事前情報

広島県北東部の庄原市の協力クレジットがあるので、そうとうのいなかです。本作では新幹線の駅に乗るまででもかなり時間が掛かりますので、地理に疎い方には、その田舎ぶりがなかなかわからないかもしれません。

本論

とにかく、恋愛モノの王道をいっています。原作が長いらしいのですが遠距離恋愛の部分にフォーカスし、小一時間の作品が作られています。つまり、お互いにつきあいだした以降に、遠距離になってしまうパターンですね。すれ違い、寂しさ。

{netabare}
電話で声は聞ける、メールもリアルタイムで届くという世代の遠距離恋愛とはいっても話を面白くするために、携帯を忘れさせたりしているのは作り手側がちょっとずるいかなと。(^0^)
{/netabare}
   ***
誰にでも勧めるかと言われると私は強くはすすめはしません。

投稿 : 2024/05/04
♥ : 24

70.1 11 ドロドロアニメランキング11位
彼女、お借りします(第2期)(TVアニメ動画)

2022年夏アニメ
★★★★☆ 3.5 (203)
748人が棚に入れました
「週刊少年マガジン」で好評連載中、宮島礼吏による世界累計1,000万部突破の大人気ラブコメの、TVアニメ第2期! ダメダメ大学生・木ノ下和也は清楚可憐な“レンタル彼女(レンカノ)”・水原千鶴と出会い、家族にも友人にも、千鶴が “彼女”だと嘘をついてしまう。 本当のことが言い出せないまま日々をすごす和也の周囲には、謎アタックを仕掛けてくる、小悪魔的な元カノ・七海麻美、やや強引なところがある、超積極的な彼女(仮)・更科瑠夏、極度の人見知りだが、健気で頑張り屋の後輩レンカノ・桜沢 墨と、超絶美少女な“彼女”がいっぱい!! 飲み会や海水浴、温泉旅行にクリスマス、お正月。 様々なイベントを乗り越え、千鶴への想いが募っていく和也。 そんな中、千鶴から”2人の関係”を揺るがす告白が……! 「私、レンカノ辞めようと思うの」 2期もラブ×ドキMAX限界突破! “彼女”たちとの“リアル”輝く“レンタル”ラブライフが、ふたたび幕を開ける!!

ヘラチオ さんの感想・評価

★★★★★ 4.2

個人的には瑠夏ちゃんしか勝たん

冷静に考えると和也がクズにしか思えなくなってまう。

瑠夏ちゃんのキスがエッチすぎるんだが。性欲全開な感じがたまらん。お泊りもしちゃっているし。彼女に全てを持っていかれる気がする。魂吸われるキスですよ。とはいえ、彼女とくっついたら物語成立しませんものね。残念。

墨ちゃんは相変わらずよく分からないキャラクターどすな。こんな恥ずかしがり屋っている?本当に恥ずかしがっている??会話できないだけで結構、積極的じゃない?

麻美ちゃんはメンヘラすぎて怖い。どんだけ男女仲の邪魔したいねん。公道はある意味一貫してるから、嫌いだけど面白いキャラクターだとは思う。悠木碧の演技がやはり凄い。声のトーンだけで性格悪い感じが醸し出されている

千鶴のほうも唯一残された肉親である祖母のことを考えると無碍にはできないというかむしろ、惹かれる気持ちが強くなっているのだろう。一応彼にはひたむきさはあるようなので。

結構原作の巻数多いみたいですね。ストックはありそう。今後どう展開していくかは気になるところ。

クラウドファンディング上手くいくのかな?


OP
ヒミツ恋ゴコロ CHiCO with HoneyWorks
ED
言えない feat.asmi MIMiNARI
挿入歌
センチメートル the peggies
まみラップ 七海麻美(悠木碧)
DATE 水原千鶴(雨宮天)
彼女宣言 更科瑠夏(東山奈央)
桜selfish 桜沢墨(高橋李依)
Favorite Lover 水原千鶴(雨宮天)、七海麻美(悠木碧)、更科瑠夏(東山奈央)、桜沢墨(高橋李依)
OPはCHiCOさんらしさ全開ですな。サビのところの4人のヒロインの踊りが可愛い。
今期はキャラクター毎のキャラソンが用意されている。まみラップてなんか衝撃的。色々と凄い。


以下はアマゾンプライムから引用のあらすじ。
ダメダメ大学生・木ノ下和也は清楚可憐な“レンタル彼女(レンカノ)”・水原千鶴と出会い、 家族にも友人にも、千鶴が “彼女”だと嘘をついてしまう。 本当のことが言い出せないまま日々をすごす和也の周囲には、 謎アタックを仕掛けてくる、小悪魔的な元カノ・七海麻美、 やや強引なところがある、超積極的な彼女(仮)・更科瑠夏、 極度の人見知りだが、健気で頑張り屋の後輩レンカノ・桜沢 墨と、 超絶美少女な“彼女”がいっぱい!! 飲み会や海水浴、温泉旅行にクリスマス、お正月。 様々なイベントを乗り越え、千鶴への想いが募っていく和也。 そんな中、千鶴から‟2人の関係”を揺るがす告白が……! 「私、レンカノ辞めようと思うの」


1. 「夢と彼女」-ユメカノ-
「女優1本でやってくのも、アリかなって」 “彼女のフリ”をしてもらっている水原千鶴のひと言に、ダメダメ大学生・木ノ下和也は破滅の危機に立たされていた。千鶴は女優として出演する舞台が成功したら、レンカノを辞めるというのだ。 舞台の情報を目にした和也は、こっそり劇場を訪れる。そして、運命を左右する舞台の幕が上がり--。

2. 「いつもの彼女」-オフカノ-
チャンスを逃して落ち込む千鶴を応援し続けると決めた和也は、さっそくレンカノのサービスを利用する。 いつものようにデートを終えた和也に、千鶴はいつもと違うひと言を投げかける。 「あなた時間ある?ちょっと寄りたいところがあるんだけど」

3. 「再来の彼女」-サイカノ-
家に帰った和也のもとに、先ほど別れたばかりの千鶴が訪ねてくる。 「鍵…失くした……」 自宅に千鶴を招き入れるという状況に、混乱と興奮が抑えられない和也。

第4話 「夜と彼女」-バンカノ-
大学のコピー機で資料を印刷している和也のもとに麻美が現れ、千鶴がレンタル彼女であることを知っていると告げる。麻美と千鶴のやり取りを知っている和也は、オーバーリアクションで誤魔化そうとする。そんな和也の慌てぶりに、麻美は思いがけない一言を告げる……。「まさか和くん。本気になってないよね?」

第5話 「誕生日と彼女」-バーカノ-
瑠夏との一夜の翌朝、和也は千鶴と偶然出会う。自然体を努めながら千鶴にレンタルの誘いを行うも、瑠夏との関係を誤解されたまま断られてしまう。何とか誤解を解きたい和也は千鶴の誕生日に気がつき、ある決意をする。「しっかりお祝いして、なんとか誤解を解きたい!」

第6話 「酒と彼女」-エンカノ-
瑠夏との誤解が解けた和也は、フェアなお隣さんとして千鶴との距離も縮められたと手ごたえを感じる。そんなある日、「そういえば和也、今日飲み会出れる?」と木部から飲み会の誘い。居酒屋を訪れると、そこには“一ノ瀬ちづる”の姿があり--…?

第7話 「元カノとカノジョ」-トリカノ-
二日酔いに苦しむ和也は、昨晩起こったことのどこまでが現実なのか分からずにいた。その後バイト先で瑠夏と会った和也は、自分たちの関係が誤解だと千鶴に信じてもらえたことを告げる。詰め寄る瑠夏。しかしそれはある客の来店で遮られる。「あ、ハロー。和くん」そこには麻美の姿があり……。

8. 青春と彼女
久しぶりに千鶴をレンタルしようとサイトを見ると、千鶴がランクアップしていることに気づき喜ぶ和也。 いつも通りの予定調和なデートでは飽きているのでは?と自己弁護をしながら和也はあることを考える。 「どもっ」 待ち合わせ場所に現れたのは制服姿の千鶴。和也の高校時代からの憧れのデートが今始まる……!

第9話 「キスと彼女」-ジッカノ-
毎年実家で行われる和也の誕生会。千鶴の誕生日を祝い損ねた和は、千鶴と和也の合同誕生会を行おうとする。何とか千鶴に来てもらうようお願いする和也だが、迎えた当日、「さぁ、ご実家へ参りましょうかっ」和也の目の前に瑠夏が現れて……!?

第10話 「指輪と彼女」-リンカノ-
突然の瑠夏とのキスに、和也は今まで瑠夏に大きな我慢をさせていたことを実感する。瑠夏への想いが和也の脳を駆け巡るなか、和は千鶴に小さな箱を渡そうとする。それは和がかつてもらった婚約指輪であり、千鶴に譲りたいという……。戸惑う千鶴、いたたまれない瑠夏を見た和也は決意する。「千鶴が受け取るわけにはいかないんだ……」

第11話 「お饗しと彼女」-モテカノ-
ある朝和也は、千鶴にベランダに呼び出される。どうやら墨がまたレンカノの『練習台』をお願いしたいらしい。承諾する和也だが、小百合の容態と千鶴のことが気になりどこか上の空……。当日待ち合わせ場所へ行くと、現れたのは普段と違う姿の墨!?「今日は私が和也君を、『お饗し』したくて……」

第12話 「彼女と俺」-イツカノ-
墨の“お饗しデート”を経て、千鶴のためにできることを見つけた和也。しかし現実は無情で、千鶴には映画オーディションの落選通知が届く。新たなオーディションや撮影スケジュールを考えると、出演映画を小百合に見せる夢は叶いそうにない。「笑ってないで教えてよ…おじいちゃん……」亡き祖父の笑顔の写真と、在りし日の千鶴の想いが交錯する……。

投稿 : 2024/05/04
♥ : 9
ネタバレ

CiRk さんの感想・評価

★★★★☆ 3.2

グダグダ感

{netabare}
人気漫画ラブコメ特有の引き延ばしでメインのストーリーにほぼ進展がなくグダグダするだけで終わって3期決定。
内容は悪くはないけど、良くもないなと言う感じ。

いい点もないわけではなく、主人公の心理描写などはこれ系の作品にしてはかなりちゃんとしてるのは結構プラス。
主人公も賛否あるみたいだけど、個人的には重要な場面では思い切って千鶴のために行動するから嫌いなキャラではない(むしろ好き)。
そういう要素はいい点として挙げられるけど、一期同様展開がとにかく酷いかな。

ヒロインを尾行する展開だったり、ハプニングで同じ部屋で過ごさなければ...みたいな展開だったり、関係がばれそうでばれない展開だったり、基本的にワンパターンで既視感がすごい上に、こういうあほくさい展開ばかりされると作品までしょうもなく見えてしまう。
おまけに2期はレンタル彼女成分も薄くて引き延ばし感が強かったかな...。
展開が変わり映えしな過ぎた。
基本的にストーリーやキャラの関係性が動かない回は退屈。

そんな割に相変わらず瑠夏や麻美に関してはほぼ空気だし、コミュ障の子に関してはもはや存在すら忘れてしまうレベル。
出番があったかと思いきや、瑠夏の全く相手のことを考えてない行き過ぎた行動は不快でしかなかったし、麻美は意味深なセリフ言うだけ言って何もなく終わるし、コミュ障の子はもはや何がしたかったのかわからないし...。
というかストーリー上元カノの麻美はともかく、瑠夏とコミュ障はマジでいらない。明らか人気維持のために出してますよ感。

まあ最初も書いた通り自分はこの作品の主人公普通に好きなので、女優としての水原を応援する姿や、わざわざクラファン立ち上げて水原を助ける姿は少しかっこいいと思えたかな。(クラファン誰が金出すんだよ感はあるけど)
一見クズに見えても、千鶴への申し訳なさと、祖母を落胆させたくないという気持ちを常に持っていて、その二つの間で葛藤しているのはしっかりとしているなと思います。
色々あって実質的に付き合ってるような状態で、主人公にとってはプラスだろうけど、それが異常な状態であることは理解していてその状態に甘んじようとはしてないし。
チャラチャラしてても常に他人のことを考えているキャラなので好き。
水原も同様、主人公の境遇を考えてレンタル彼女と言う立場でありながらも冷たい対応を取らなかったり、祖母を最後に喜ばせてあげようと努力したり、優しいキャラなので好き。最終話の話はかなり共感できた。
部分部分でいいシーンはあるけど...と言うのが全体としての感想。
基本的に日常パートが微妙なだけで決めの場面に関しては文句なくいい。

↓一話毎メモ
{netabare}
1話 ☆9
アオアシw 読み方違うじゃんw
このアニメ心情描写や恋愛要素はかなり丁寧な印象あるけど、展開がほんと雑い。いっつも尾行じゃん。食べる方の食らえかな?w
面白くねーぞ。クソ茶番劇。コミュ障の子空気。シャインポストなら。
あくまで自分のせいってことにして主人公に余計なこと思わせないのは良き。
大胆になったな。てか聞こえてんぞw 良い最終回だった。
ほんと毎回話の構図同じだな。いや、けど良かったわ。
ほんとキャラの描写はいいのに。てか1期含めてもベスト回説ある。

2話 ☆7
どこからそんな金来るんすかね。レンカノという存在自体不健全だろw
それ実質千鶴が好きって言ってるようなもんじゃん。
支えてもらってるのは向こうでは?
理想が素の水原だろw デートじゃんこれ。実際変な人。
おばあちゃんも演技上手。何がビッグになるんですか。
無理やりな同室展開

3話 ☆6
本当はなくしてなさそう。どう転んだら位置逆になるんだよw
はよどけや。1期でもコンビニでこんな話やってたよね。
ほんと引き出しが少ないw 扉あくまでの間によくそんな動けるなw
けどかってに他人の家開けるのもやばい。
ホラーアニメならため息の瞬間に扉開いてた。
夢とかそういう部分はちゃんとしてるんだがなぁ。
そのタイミングで自分恵まれてるアピールは地雷踏むだろ。
店継ぐとかいう話あったっけ? 禁断症状出てますよ

4話 ☆5
すっぽん売ってるスーパー...。てかこの黒髪絶対いらんよな。
こいつビッチかよ。いきなりまともになる主人公君。
この黒髪マジで好きになれんわ余計なことすんなや。

5話 ☆5
倦怠期。展開がだるいな。浮気疑惑展開多すぎ。
スマホ割れてますよ。このコミュ症マジでいらんわ。
黒髪もいらんけどそれ以上にいらん。何でもやってるな水原
誕生日プレゼント梅干しってセンスなさすぎんかw

6話 ☆4
また偶然会うパターンかよ。さすがに気付けや茶番がよ。
OP映像回収www てか酒飲める年齢なんか。
何回も同じ部屋にいる展開見たわ。

7話 ☆6
ノリが中学生だなこの友人らw モテすぎだろ。
麻美って言うほど怖くないよね。バレてて草。
けどばれてもどうせストーリー進まんよな。怖い。

8話 ☆5
唐突なカイジパロ アメリカかな? 何だよそのプリクラw
レンカノ言ってもそんな規定あるんだ。マニュアルみたいな会話だなw

9話 ☆2
北朝鮮か? レンカノ辞めるまでは彼女とかいう意味不明発言。
レンカノ関係ない時での関わりなのに。
まだ昼なのに蓋開けて寿司出してたら色悪くなるぞ。
何このルカの株落とし回。
主人公からの好感度下がるだけだし頭悪すぎでしょ。
自己中過ぎてみてられんわ。
主人公はまだしも千鶴が瑠夏が来てることをまずいと思うのは違くね?
もう心動いてんの? こんなご馳走してもらったらもうあとに引けなそう。
は? 瑠夏しね。

10話 ☆8
これほど不快なキスシーンないわ。やっとストーリー進むのか。
グダグダ展開やめろ。遺言かな? 今もほぼ同棲だよね。
言ったらショックで死にそう。
ルカじゃなくて麻美だせ。コミュ障まじでいらんやろ。

11話 ☆5
こいつマジでどうでもいい。普通にデートするな。
すみちゃんは主人公の中でどういう存在なんだ?

12話
これ最終回?
まあ名前の回収はいいと思うけど、これを最終回に持ってくるのか。
押し入り。邪神ちゃんかな? 安っぽいクソ映画見せる羽目になりそう。
誰が金払うんそのクラファン? ☆8

曲評価(好み)
OP「ヒミツ恋ゴコロ」☆8
ED「言えない feat.asmi」☆5.5
{/netabare}
{/netabare}

投稿 : 2024/05/04
♥ : 8
ネタバレ

レオン博士 さんの感想・評価

★★★★☆ 3.7

元カノ、お返しします

【感想】
普段はうざいだけなのに、ここぞという時に一生懸命になって決める時に決めるという一点だけが魅力の和也

あーうざいうざいうざい、今まで何回うざって思ったことでしょうか?

でも
ヒロイン達の圧倒的な可愛さと、決める時にちゃんと決める主人公
これだけでなんか全部許せた

相変わらず和也に都合良すぎなことばかりなのはモヤる

わたしは一期からずっと瑠夏ちゃん推し!
たしかに暴走しすぎでイタイ子になってるけど、ぜんぶ和也が悪い
本命が水原なのはいいけど、瑠夏ちゃんへの態度はほんと許せない
{netabare}
付き合うなら彼女のことをちゃんと見て、愛せないならさっさと別れてください

和也「すまん、水原とデートさせてくれ!!!!!」
瑠夏「はあ?ご自分が何言ってるかわかってますか?」

このやりとりで別れないルカちゃんも残念だけどね・・・

{/netabare}

ラブコメというより大学生の自由気ままな恋愛がもたらす修羅場を楽しむアニメだと思っています

【欠点】{netabare}
・メインになる女の子4人もいるけど、主人公が水原のことだけ一生懸命で他はオマケなのは明らかなので、他のヒロインはせっかく可愛いのに二人の恋愛の賑やかしにしかなってなくて、ハプニングを起こすために便利に使われて不自然な行動をとり続ける瑠夏や麻美は特に残念に思います

{/netabare}
【シナリオ】{netabare}
女の子はとても可愛いけど、偶然会った、偶然うまくいった、偶然スケベな展開になった
和也に都合のいいことばかり起きるシナリオがとても不自然で、ヒロイン4人全員が和也に都合のいい展開にするためにシナリオに動かされて変な女にされているのが残念

でも水原とのシナリオはちゃんと主人公していていい感じです!
水原のために動こうとする最終話は特に良かった

{/netabare}
【キャラクター】{netabare}
1期から変わらず優柔不断で変な妄想ばかりでラッキースケベで無神経なチャラい主人公にイラつくアニメだけど
わたしは和也よりも元カノの麻美が嫌い、実は未練あって自分に振り向かせたいならいいんだけど、気まぐれや道楽で思わせぶりな態度とって引っ掻き回してるのなら不自然だし、別れた男の素性探ってプチストーカー化、かなりヤバイ女、友達いないの?ヒマなの??

水原も和也に気があるのか気がないのかはっきりして
彼女いるの知ってたら女なら遠慮するか、泥棒猫になるかどっちかだと思うんだけど態度はっきりさせないとこが酷いですね
瑠夏ちゃんと仲良くしているの見て不機嫌になるのなら気持ちもはっきりしてますよね
和也に負けず劣らず優柔不断でお似合いかもしれません

こんな優柔不断の偽カップルにもてあそばれてかわいそうな瑠夏ちゃん、正気に戻って・・・
彼女は被害者だけど、和也の態度が酷いから仕方ないとはいえこっちもストーカー気味でちょっと迷惑彼女になりかけてるけど、でも彼女放置して遊び歩く和也が悪い!

本命のカノジョいるのに仲良くなった美少女にデレデレするのは男なら仕方ないのでいいんですよ
でも和也は本命は水原だけど流されるような形で瑠夏と付き合って、付き合った彼女のことは眼中になくてずっと水原水原水原・・・
瑠夏ちゃんからのデートお誘いや訪問やラブコールには「困った」「どうやって回避しよう」と迷惑そうな反応
なのに「迷惑なわけないよ」と言っちゃうクズ・・・
「迷惑じゃないけど、今の都合のいい距離を保って」が本音だけどそれを伝えず曖昧にしてるのを、瑠夏ちゃんは都合よく解釈
好意には迷惑そうな反応するけど、無防備な姿や密着にいちいちドキドキして身体には興味津々・・・

すっごく失礼

はぐらかしながらも水原には積極的にアプローチをかけ、着々と思い出を重ねていくのが彼女を都合よくキープしているようにしか見えなくて

水原と瑠夏以外の女の子と接近すればデレデレする
彼女キープして本命の女の子にアプローチかけているだけで十分最低なのに、そんなに昼ドラの主人公になりたいの?
レンタル彼女とは言え、他の女の子とのデート中に別の女へのプレゼントについて相談する無神経さ・・・

どこまで最低なの・・・

和也がモテモテになるほどの魅力があればまだいいけど、彼のいいところって「水原のためならどんなことでもやる」ってことくらい

そこが和也のいいところなので、そこだけぶれなかったのはいいところかも
チャラくても優柔不断でもクズでも浮気性でも、自分のことだけを一生懸命想ってくれる男に何も思わないわけないよね

水原ルート以外ありえなさそうだけど3期が楽しみです
{/netabare}

投稿 : 2024/05/04
♥ : 25

74.9 12 ドロドロアニメランキング12位
恋と嘘(TVアニメ動画)

2017年夏アニメ
★★★★☆ 3.5 (635)
2904人が棚に入れました
満16歳になると結婚相手が通知される超・少子化対策基本法、通称ゆかり法が施行されている世界を舞台に、少年少女たちの未熟で儚い禁断の恋模様を描く。

声優・キャラクター
花澤香菜、牧野由依、逢坂良太、立花慎之介、谷山紀章、黒沢ともよ、喜多村英梨
ネタバレ

剣道部 さんの感想・評価

★★☆☆☆ 2.0

ダビスタ的日本?での恋愛ストーリー

[文量→大盛り・内容→酷評系]

【総括】
ラブコメではなく、恋愛アニメ。一風変わった恋愛モノとして、見処もありました。

なんかこう、色々惜しいです。良い設定を生かしきれてないと感じました。私は全く感情移入も出来ませんでしたし、ニヤニヤ眺めることも出来ませんでした。好きな方には申し訳ないっす。

レビュータイトルですが、なんかもう「結婚」というより、「交配」に近い設定で、「ダービースタリオン(競馬ゲーム)」みたいだな~ということで。人権侵害甚だしいしw


《以下ネタバレ》

【視聴終了(レビュー)】
{netabare}
まあ、本当に好き同士なら、国籍うつせば全て解決するんじゃないかと、思ってみたり(苦笑)

政府通知にどれだけの強制力や罰則があるのかを、早い段階で明示しておけば良かったと思った。それがあれば、「なんで黙って従うの?」という疑念が、少しは解消されたと思います。(→政府通知断ると、就職等、社会的に不利になるらしいとの指摘を頂きました。これは完全に私の見落としでしたね♪)

このアニメ、どうなんでしょうね? 原作はかなりエロいという話ですが、なんか設定的には、むしろプラトニックな恋愛話の方で生きるのかな? と感じました(設定はかなり面白いと思う。それこそ、男女逆転させて、少女漫画でもいけたんじゃないかと思うほど)。肉体的な繋がりを廃して、心理描写に力を入れてった方が良かったというか。

しかも、ラストは(アニオリとはいえ)両取りって、結果的にただのクズ男の話なのでは(苦笑) 夕方をバックに叫ぶ主人公の声がこれだけ響かないとは思わなかったです。よし、(一夫多妻が認められる)イスラム圏の国に行こうw

さて、自分がこのアニメにハマりきれなかった理由が大きく5つあって、

①キャラデザが合わない(好きじゃない)。

②1話目でいきなりディープキスかましといて、その後に揺れる乙女心とかやられても、響くものがなかった。

③ネジと美咲、二人とも互いを好きになる理由が希薄なのに、あそこまで深く愛せるということに、やや恐怖を感じた。

④ようは三(四)角関係のダブルヒロインものだが、美咲と莉々奈を比べると、自分的に莉々奈一択だった点。(莉々奈の可愛さは、本作唯一の長所であり、☆1をつけない最大の理由です)

⑤作品のキモとなる政府通知の設定がわりとガバガバ且つあまりに理不尽。


特に②かな。あそこ(1話目)でディープかますから、恋愛というよりもっと性欲的なものを感じてしまった。だったらもういっそ、ヨスガくらいやっちゃってから悩む主人公が観たかったかも。そこまでやらないなら、普通のキスで良かったんじゃ?

なんかそこに、「原作」と「アニメ」間にある壁というか、両方に配慮した結果、ちぐはぐさが生まれた感じがしました(原作はかなりエロ成分多目と聞きました→読んでみましたw)。

それから本作の設定的なキモである政府通知は、「面白い発想だけど雑」と思いました。「遺伝子的に最適なカップルを政府(コンピューター)が抽出して結婚させる」というシステムですが、遺伝子的に劣っている人はどうなるんでしょうか?

例えば、学力、運動能力、人格、健康等全てに優れた遺伝子の持ち主(甲)がいたとして、その相手(乙)は誰になるのでしょうか? だって、その甲と結婚すれば、大抵の乙は幸せになれて、優秀な子供が産まれるわけでしょ? みんな甲の遺伝子がほしい。そんな中、乙の選択基準は? 甲並みに優秀な遺伝子を持つ者が選ばれ、さらに優秀な子供を作りたいのか、優秀な甲だからこそ、あえて優秀ではない乙を選び、平均化を図るのか。この辺のことを「相性」という一言で片付けているのは些か乱暴に感じます。

それ以外に、例えば、生まれながらに様々なことが苦手だったり、何らかの遺伝子的な病を抱えて生まれてきた方はどうなるのか? 現実はそういう場合でも、出会いや人柄、様々なことに惹かれて結婚に至るケースはあると思うけど、果たして「遺伝子的に最適」という基準だとどうなるかを考えると、怖さを感じます。

私は性格的に、「選ばれなかった人間」のことを心配してしまいます。美咲のように「好きな人に選ばれなかった人間」ではなく、「誰にも選ばれなかった人間」のことです。それとも、必ず全員が誰かには選ばれるのでしょうか。「人間は誰しもが何らかの良さを持っていて、平等で、みんな誰かの運命の人だ」は、確かに綺麗だし素敵だけど、少々頭の中がお花畑過ぎないでしょうか。

だから、贅沢な環境にありながらウジウジしているネジくんに、イライラしたのだと思います。

(全員が誰かに選ばれるとお花畑モードだと仮定して、じゃあ、遺伝子レベルでサイコパスな猟奇的殺人犯はどうするの? 一定数は必ずいるんだよ? その趣味趣向を理解できるサイコパス同士を結婚させ、更に大量殺人をさせるの? それとも、それを遺伝子的に更正させられる人間なんているの? 機械に良し悪しは判断できない。もし機械に良し悪しまで判断させたいなら、誰か人間がそれを入力しなければならないけど、そうなるとやっぱり客観性は失われると思います。全員が選ばれるなら、大なり小なりこういう問題は起こりますし、全員が選ばれないなら、遺伝子的、社会的な弱者は結婚なんてするなと政府がお墨付きを与えるひどいシステムなんだと思いますし)

「アニメ(漫画)だから」と言えば、まあその通り。

アニメ(や漫画など)に整合性を求めすぎるのは私の悪い癖ですが、「アホガール」みたいにアホな話はアホな見方をするから良いんだけど、このアニメのように、なんか科学的? とか論理的? 法律? みたいな方向でくると、本当か? と難癖をつけてしまうんですよね(汗)

あとどうでも良いんですが、OPがちょっとだけ「釣り球」っぽく感じました。作風にはこれっぽっちも合っていなかったけど、曲単品なら結構好きでしたw

あぁ、あと、最終話の「月がきれいね」で、アニメ好き数万人の「オーーイ(ビシッ)!」っていう、総ツッコミが聞こえ(た気がし)ましたw
{/netabare}

【余談~引き裂かれた恋物語の傑作といえば~】
{netabare}
近代小説ですが、伊藤左千夫の「野菊の墓」は素晴らしいですよ。愛し合う二人が周囲によって引き裂かれ、「望まぬ結婚」をするというテーマは「恋と嘘」と共通してるけど、深みがまっっったく違いますよ(当たり前だけど)w

「恋と嘘」は政府のシステムによって、「野菊の墓」は古い日本の常識や大人達の思惑によって、両思いの二人が結ばれることなく、引き裂かれていきます。似ている設定なのに、なぜこうも切なさが違うのか……。

「野菊の墓」は、夏目漱石も絶賛した小説です。漱石曰く、「名品です。自然で、淡白で、可哀想で、美しくて、野趣があって結構です。あんな小説なら何百編よんでもよろしい。」

文量も(70ページくらいで)大したことないので、1時間くらいあれば読めるんでないかと思うので、超オススメします♪ 近代の恋愛小説で一番好きかもしれん。
{/netabare}

【余談2 ~ 原作の今後を予想 ~】
{netabare}
他の方のレビューで、美咲の不妊説があって、確かにありえるな~、鋭い考察だな~と思いました。

そのレビューを拝見して連想したのは、「美咲が不治の病(余命幾ばくもない)」もありそうだなと。例えば発症したのが第1話目のあたりで、それまでなネジ君の相手が美咲だったから書き換えに時間がかかり、ミス(1度メールが届いた)につながったとか、1話目にネジの待ち合わせに5時間も遅れたのは、その病気の説明を厚労省からうけていたからとか、美咲がネジ君を莉々奈に譲ろうと頑なこととかの説明がつきそうですね。

んで、美咲とくっつく→美咲の死→悲しむネジ&莉々奈→なんだかんだあって莉々奈と付き合い結婚→莉々奈が女の子を出産→美咲と名付ける(最終回ラストシーン)

は、ありそうな展開かと。美咲がネジ君につき続けた嘘ということで、タイトル回収にもなるし。莉々奈を魅力的に描いている理屈にも合うなと。

つーか、マジでどっちかが死ぬか、一夫多妻か、むしろネジ君が死ぬwしか、解決しなさそうな展開だしね。

アニメが好きになれなかったので、逆に原作が気になって、漫喫で読破。原作の最新刊、6巻の途中までをアニメ化していて、7巻はそろそろ発売ですか。たぶん買わないけど、完結したら最終巻だけ読もうw
{/netabare}

【各話感想(自分用メモ)】
{netabare}
1話目
作画はなんか残念な感じ? 設定をひねったラブコメになるのかな? なんかこう、ムズムズするな。なんか、好きになるきっかけがめっちゃ希薄な気がする。ファーストキスでいきなりディープとか(汗) 深夜に居所にダイレクトとか、怖いぞ、厚生労働省w

2話目
正論w これ、主人公がリリナに惚れていく流れだな。んで、政府の通知が間違ってたとかなんとかで、また美咲とくっついてみたり、両方好きで悩むパターンだな、きっと。

3話目
いや、人は容姿で恋をするでしょ。愛、というとどうかは分からんけど。いや、厚生労働省、住所くらいググれや。

4話目
以下、書く気をなくす。

5話目


6話目


7話目
キスしながら耳をすりすり触る童貞、絶妙に嫌だな。え!?? 政府通知に強制力ってないの!!?

8話目
以下、書く気をなくす。。。

12話目
えーーー!? その流れで練習したい!? 衝撃なんだが(苦笑) だったら略奪に流れてほしい。これが恋じゃないならこの感情を、、、って、性欲じゃない(笑)? いや、月がキレイって、ギャグかよ(笑)
{/netabare}

投稿 : 2024/05/04
♥ : 36
ネタバレ

雀犬 さんの感想・評価

★★★★☆ 3.3

続きはWEBで

少子化対策で16歳の誕生日を迎えた日に、決定された将来の結婚相手が伝えられる
政府通知という制度が存在する近未来の世界を舞台に、初恋の人と婚約者の間で
揺れ動く少年・少女を描いた学園恋愛物アニメ。
WEBマンガアプリ、まんがボックス連載中の作品です。
ちなみに単行本は全冊持っています。

先に結論から申し上げますと、タイトル通りの終わり方でしたw
何もかもブン投げて終わったので、
これからアニメ版を見る価値はほとんどないんじゃないかな。
いわゆる販促アニメというやつですね。

■ハイブリッド作
{netabare}
本作は古典的なダブルヒロイン学園ラブコメに少女漫画のエッセンスを取り入れているのが特徴です。
少女漫画っぽい丁寧な心情描写を入れることで
2人のヒロインをより魅力的に見せることに成功しています。
また、作者が女性なこともあって女の子同士の仲の良い感じがうまく表現できていて、
三角関係のドロドロした感じはなく全体的に柔らかい雰囲気になっています。
ようは少年漫画と少女漫画、両方の面白さを楽しめる作品だということですね。
マンガが男性も女性も見るアプリで配信されるようになると、
こういう作風が自然と生まれるのではないかと思います。
{/netabare}

■ヒロイン
{netabare}
「恋と嘘」の魅力は2人のヒロインがほとんどだと言って良いくらい。
恋人にするなら美咲、嫁にするなら莉々奈という感じでしょうか。
どちらも魅力的なヒロイン・・・なのだけども、
いろいろな場所での反応や投票結果を見ると莉々奈の方が人気のようです。

「どちらに共感できるか」を考えると理由は明白かと思います。
美咲はやはり嘘をついている(というより隠し事をしている)のがネック。
小学校の時消しゴムを渡してくれたという恋のエピソードも弱い。
どれだけ切ない胸の内を明かされても、
肝心の秘密が何かが分からない限りは美咲にはある程度しか感情移入できません。

一方の莉々奈は分かりやすい性格である上、
ネジを好きなる理由も相性で選ばれた相手という設定だけで納得できます。
そして彼女は「友情を取るか、恋を取るか」という大きなテーマが与えられたヒロインです。
これは莉々奈を応援したくなるのが人情というもの。

両ヒロインのパワーバランスが崩れているのはあまり良いことではありません。
というのも、主人公の由佳吏は莉々奈に惹かれつつも初恋の人の美咲にこだわるため、
見ている側が「もう莉々奈でいいじゃん」と思うと彼の言動に共感できなくなってしまう。
莉々奈に傾いたバランスを均衡させるには、美咲が秘密を暴露するしか無さそうに見えます。
弱みであるはずの彼女の秘密が、逆転の切り札になっているのが面白い。
おそらく美咲にも「家族を取るか、恋を取るか」といったテーマが隠されているように思います。
ただ現状は分からないため莉々奈に分があるといえます。

え?お前はどっちが好きなんだって?
そんなの圧倒的莉々奈に決まってるじゃないですかwwwwww
{/netabare}

■目がデカイ
{netabare}
キャラの目がでかすぎるという声をよく聞きます。100回は書き込みで見ました。
アニメのキャラデザの方が大きく見えますが、マンガでもやはり大きいです。
これはおそらく男が感じる「かわいい」と女が感じる「かわいい」の違いです。
原作者のムサヲさんは女性。
「恋と嘘」のキャラは萌えアニメのように男性向けを意識したかわいさではなく
作者自身がかわいいと思うキャラを描いているからこのデザインなのだと思います。
マンガを読んだら、この人はかわいい女の子を描くのが楽しくて仕方ないんだろうなと分かりますよ。
お気づきでしょうが、主人公のネジも目が大きい。
ネジはかわいい男の子として描かれている、つまり…これ以上何も言うまい。
{/netabare}

■主人公
{netabare}
「優柔不断」「見ててイライラする」とすこぶる評判が悪いです。
確かにアニメ版のネジは見ていると背中を蹴りたくなりますね。
猫背を強調した作画、たどたどしく話す演技からネジを「情けない男」
として演出しているように見えますが、これは違うんじゃなかろうか…
尺の都合上、基本的にアニメ版は原作からの引き算で作られていて
カットされている台詞やエピソードが数多くあります。
その煽りを一番受けたキャラがネジでしょう。
原作では2巻のラストで莉々奈を不良からかばう場面があるのだけど、
アニメ版ではカットされてしまっています。
また美咲と莉々奈の間で気持ちが揺れる描写が減ったため
誘惑に負けるという結果だけが目立ち、不誠実な印象を強く受けます。
彼は女から見てかわいいキャラというイメージで描かれていると思うのだけど、
これじゃまるでハーレムアニメの国の王子様だよ。
{/netabare}

■オリジナルエンド(ネタバレ有)
最終12話のBパートからがアニメオリジナル展開になっています。
{netabare}
これも相当評判が悪いですね…
ダブルヒロインものでどちらも選ばない結末(通称:俺の翼エンド)は好まれないのですが、
本作の場合第1話から引っ張った謎、結局美咲が隠している秘密が何だったのか
分からずに終わってしまうので不満が残ります。
特にアニメから入った人は「続きは漫画でお楽しみください」
的な終わり方では納得できないのではないかと思います。

原作未完の状態でアニメ化されている時点で期待する方が間違いなのかもしれませんが、
それなら「原作者のムサヲさんと考えたオリジナルエンドです!」なんて宣伝はやめてください。
僕みたいにまんまと釣られるアホがいるんだから。

実は第11話の時点で、原作と微妙に違うシーンがあります。
それは、仁坂の兄の結婚式でのブーケトスです。
原作ではこのブーケを莉々奈が受け取ります。
私が受け取っていいものかと困惑しつつ、
「由佳吏も美咲もどこに行ったのかしら?」と言います。
実は教会の扉の向こう側では由佳吏と美咲はキスをしている最中という皮肉な状況。
幸せの象徴であるウェディングブーケで不吉さを演出をしているのが上手いところで、
ここから物語は莉々奈にとってつらい方向に傾いていきます。
それがストーリーの展開力というものです。

しかしアニメ版では莉々奈はブーケを受け取らず、
由佳吏と美咲がキスをしているところを目撃してしまうシーンに変更されています。
これだとキスを見て2人の愛の深さを知り、
美咲に由佳吏を譲るという話の流れになりますが、
結局はただのメロドラマにしてしまっただけなのですね。
変えるにしても気の利いた脚本家なら第3話の回想シーンを流すところでしょう。

「私と根島くんがキスしようとしたの、イヤじゃなかった…?」
「そんな思ってないわ」
「…そうかな。今はイヤじゃなくても、その内イヤになるかもよ?」

という会話です。
そうすれば莉々奈が自分の恋心を自覚する、という流れが作れるのですが。
友情と恋を天秤にかける葛藤はなくなり、
最終話の莉々奈とのキスシーンも今ひとつ切なさがない。
原作では莉々奈の思いに応えてネジはようやく男らしく、
美咲に交際を申し込むという流れになるのだけどアニメ版では最後まで情けない男のまま。

これがナツコ・クオリティーなのでしょうか。
異世界スマホの脚本はさらにひどかったので、
もう構成が高橋ナツコのアニメは避けようかなと思います。
{/netabare}

■ガジェット
恋と嘘の良い点をもう一つ挙げておきます。それはガジェットの使い方のうまさです。
先ほどのウェディングブーケもそのひとつだし、第6話での埴輪ストラップもそうですね。
莉々奈にプレゼントする場面ではギャグに使っているのですが、
この後の講習会で莉々奈はストラップを握りしめます。
本当はネジの手を握りたいのだけど、ここで手を触れ合うほど心を預けられない、
だから代わりにストラップを握りしめる。
莉々奈の気持ちと今の二人の関係性を表現したなかなか上手い演出ではないでしょうか。
他にも小物の使い方が光るシーンが多いと思います。

■作画
良くはないですね。
演出ではダッチアングルを多用していましたが、あまり効果的ではなかったような気がします。

■声優
莉々奈のCVが牧野由依なので自動的に満点になります。
他の評価点を下げてでも満点。これだけは譲れないんや!

■音楽(酷評)
{netabare}
このアニメ一番の問題は劇伴の質の低さでしょう。
ストーリーに関しては原作が完結していないということである程度許容できますが、
音楽の悪さだけは許しがたい。
フリー素材のような安っぽい音楽を延々流していてメリハリがない。
曲調も場面と合っていないことが多く、始まるタイミングも切るタイミングも悪い。
崖から足を滑らして落下する場面でロマンチックな音楽を流しているのはギャグなのだろうか。
ムードが大切な恋愛物でこれは致命的だと思います。
脚本にも難癖をつけたけれど、僕の不満の原因の8割はBGMです。
{/netabare}

■総評
というわけで残念ながらアニメの出来はあまり良くありません。
これでは莉々奈がかわいいだけのアニメじゃないですか。
未視聴の方にはマンガ版の方をお勧めします。アニメより面白いですよ。
「原作も莉々奈がかわいいだけのマンガじゃねーか」と言われると反論しにくいのですが、
こっちはきれいに終わらせてくれると信じています。頼みますよムサヲさん!

投稿 : 2024/05/04
♥ : 24
ネタバレ

空知 さんの感想・評価

★★★★☆ 3.8

「好きってなに?」を視聴者にきちんと考えさせられなかったストーリーと構成の甘さがもったいない

原作未読

原作の存在すら知りませんでした。
しかも、2017夏のアニメに、男子と恋愛してるのに、実際は百合百合してる作品があるという情報があり、恥ずかしながら、この作品だと思い込んでました(笑)。
制作者の方々すみません(>_<)

初めて観たときの感想は「目、デカッ!」でしたが、段々と慣れてきました。
ラストがモヤモヤっとする終わりかただったので、その点が実に残念。

しかし、超少子化社会を改善するために政府が結婚相手を決めるという設定はアニメならではで興味深い。

が、そこから派生してくる人間本来の心の問題に切り込むストーリーと構成に甘さがあったことが秀作たり得た作品を目立たない作品にしてしまった感があります。

ヒロイン2人はどちらも非常に魅力的です。根島が最初に好きになった女の子と、政府から通知された女の子の間をフラフラするところは、「このヘタレ!5年間想っていた女の子をなぜ選ばないんだ」とイライラしました。が、政府通知の女子も、これまた性格の良い子で、行動を共にするにつれて主人公の心が惹かれて行く気持ちも非常によく理解できます。


高崎美咲と真田莉々奈の間で葛藤する根島の姿こそがこの作品のテーマです。
(簡単に言うと、「運命の赤い糸」と「科学的な赤い糸」のどちらが強いか?です)


また、高崎さんが隠し続けていた秘密とは何なのかが分からないこともモヤモヤ。
(下のネタバレ部分に個人的推論してあります。)



ラストは結局どういうことなのか、よく分からないまま終了。
どっちも選べないなんていうラストなら、作品のテーマ自体に切り込めなかったということになります。原作に欠点があるのか、脚本が駄目なのか、尺が足りなかったのか、どれかなんでしょう。

すっきりしないラストでしたけど、テーマは良いですし、いろいろ考えさせられたりする面白い作品でした。

個人的には67点くらいあげたい佳作の上くらいの作品。


以下、ちょっと考察してみました
ネタバレありますし、長いので読みたい方だけお読みください。


{netabare}

通称「ゆかり法」は、人間の遺伝子情報、生育歴など、ありとあらゆる個人の情報をスパコンに入力し、(「京」に似た緑色の大型コンピューターが一瞬出てきたので、スパコンでやってると推測)、これをもとに、満16歳以上は、結婚相手として最もふさわしい相手が誰であるかを国家が決めてしまうという国の管理システム。

ですが、馬鹿らしいと一蹴できない部分があります。

幾つか感じた点を、述べてみたいと思います。



1.いわゆる「遺伝子決定論」

たとえば、数学的能力とかスポーツ能力などは、遺伝子によって8割程度が生まれながらにして決定しています。病気もそうです。一部の病気は100%遺伝によります。

性格や気質も遺伝子によって決まっているとか。
もちろん、後天的要素も含まれるため、性格は遺伝子決定論だけではすまされない問題です。


作品中に、「好きってなに?」という言葉が何回か出てきますが、
この問題を考えることがこの作品の命題であるはずです。


「人が誰かを好きになるのはなぜ?」
「どうしてその人でないといけないくらい好きになるんだろう?」
というのがこの作品のテーマだと思います。

誰かが誰かに会う。なぜか好きになる。
どうしてでしょう。

a. 好みの容姿や体格。
b. 性格・気質や言動・行動。
c. 趣味や嗜好性向
d. なぜだか分からないけど惹かれてしまう不明部分。

a,b,cは、遺伝子情報プラス生育環境等の情報をスパコンに入力して演算すれば、かなり相性の良いマッチングカップルが誕生するかもしれません。周囲の人間がお見合い相手として紹介してくれるよりも、相性は抜群かもしれません。

要するに、超少子化基本対策法というのは、非常に優れた仲人システムと考えても良いわけです。


問題は、"d"です。
"d"だけはスパコンでも分かりません。
つまり、遺伝子決定論が破綻する部分です。

誰もが思うように、人間は遺伝子で全てが決定づけられているわけではないありません。

「あいまいさ」というファジーな部分は、スパコンでは演算しずらい箇所です。


上記を踏まえると、

2. 高崎美咲と真田りりかの違いとは?

高崎は、1の"d"のドストライク。a-cは根島の目からみた主観。
真田は、AIが客観的にa-cの相性は最善と判断したが"d"を持っていない。

ところが、根島が真田と見合いし、実際に接してみると、確かにa-cは自分に合っているし、高崎との恋を応援してくれる真田の性格の良さから、なんとなく根島の中に真田への情が生じてしまう。

つまり、真田にも"d"の「なんとなく」が生じてきてしまうのです。

ここから話がもつれてはじめてしまう。

何とも難しい三角関係になってしまったものです。
この三角関係は、人工知能であるAIが図らずも生み出したものです。

原作者がこの問題をどう取り扱うのか、非常に興味があります。


3. 高崎が隠している秘密とは何か?(私の推測)

(原作を読んでいる方で、この部分の推測が当っていたら教えて下さるとうれしいです)

初めて公園で根島が高崎に告白したあと、スマホに厚生省から結婚相手として高崎の名前が通知されます。通常、文書通知のあと、スマホに通知される仕組みのようですから、順番が狂っています。

高崎と表示されたあと、電波障害のような感じですぐに消えてしまう。

厚生省の矢嶋が「何者かが政府通知システムに進入した形跡がある」と根島に直接伝えていますよね。


∴ これが高崎の秘密です。依頼者が高崎、侵入者は五十嵐柊

五十嵐は、中学生のとき高崎が嫌いだったが、行事で写された根島の写真を購入する高崎を知る。この時の高崎の一途な想いを知り、五十嵐は高崎を大切な友達だと考えるようになり、高崎の恋の応援をするようになります。

高崎は、五十嵐だけをファーストネームで呼んでいる点も注目に値します。


五十嵐は、ゆかり法創設者の孫にあたり、スパコンのシステムに就職するらしい。しかも、スパコンのシステムを操作?している部分もありました。


僕の推測:

高崎は五十嵐に「自分を通知相手にしてくれないか」と五十嵐に頼み込んだのではないか?

これなら、初めて公園であったとき、なぜ高崎が5時間以上遅れてきたのかも理解できます。

「根島が自分に告白しようとしている」と知った高崎は、このチャンスを逃したら二人が結ばれることはないと感じた。しかし、高崎も根島も気持ちを素直に告白できるような性格ではない。でも、通知がくれば、お互いに「実は前からずっと好きでした」で全て解決する。


根島から「今日、6時に公園でいつまでも待ってる」と言われたあと、高崎は五十嵐に連絡を取り、「私を政府からの通知相手として根島君のスマホに送信してほしい」と言った。

それから五十嵐はシステムに入り込む。準備ができた段階で、高崎に「やったよ」と連絡を入れ、その連絡を受けた高崎は慌てて公園に現われた。これが大幅に遅れた原因じゃないでしょうか?

ところが、五十嵐は高校生であり、真田から高崎への完全な書き換えを行なうだけの技術がなかった。


というのが僕の推論。


そして、再度、第一話を鑑賞すると、

根島と同じクラスの男子が、

「高崎さんって、4月に16歳になったのに、まだ政府から通知がないんだってさ」という場面があります。

これも、高崎から五十嵐への依頼によるものと推測されます。


エンディング・アニメーションで高崎が口に×点してるのは、人は機械よりずる賢いですよってことかも。

{/netabare}

花澤さんの演技良かったですね。
彼女にこの手のヒロインやられたら、観てる男性はやられちゃいます。

しかし後半、牧野由依さん演じる真田に心を持って行かれる僕がいました。

すばらしいお二人の演技でした。

EDは良かったです。

伊藤依織子さんが作画監督すると、女子キャラは魅力的だなといつも思います。

最近、ツイッターが止まっていましたので心配していましたが、こうしてご活躍されているので安心しました。
(第3話のイラスト、良かったです!)

投稿 : 2024/05/04
♥ : 32

66.3 13 ドロドロアニメランキング13位
NANA ナナ(TVアニメ動画)

2006年春アニメ
★★★★☆ 3.8 (221)
1368人が棚に入れました
東京に住む彼氏と同居するため上京する小松奈々と、ミュージシャンとして成功するため上京する大崎ナナ。2人のNANAは新幹線の中で出会った。その後、ひょんなことから奈々とナナは同居することとなる。さらに、ナナの所属するBLACK STONESとナナの恋人の本城蓮が所属するTRAPNEST、2つのバンドのメンバーたちを交え物語は進んでいく。

nk225 さんの感想・評価

★★☆☆☆ 1.8

第48回(平成14年度)小学館漫画賞受賞。

漫画は当初『りぼん』の増刊号という位置づけの『Cookie』1999年Vol.1、同Vol.2に読み切りとして掲載され、『Cookie』が月刊誌として昇格新創刊されると『Cookie』2000年7月号から同誌に連載された。
ファンブック『NANA7.8(ナナてんハチ)』のインタビューによると、初めの2話が読みきりの理由は、『Cookie』の創刊準備号(前述の『Cookie』1999年Vol.1、Vol.2)に読み切りを描くことがきまっていたが、同誌が創刊したのちには連載してほしいという依頼があったため同じ名前で違うタイプの女の子を出し、連載で2人が出会うという形をとったためである。このため、第1話に大崎ナナはいっさい登場せず、同様に第2話には小松奈々が登場しない。

2006年4月5日より「animo」(アニモ)枠としてスタート。2007年3月まで4クール放映された。なお、放送では「ファーストシーズン 最終回」と強調され、今後に続くと思わせる最後であったことから、セカンドシーズンが制作される可能性もある。原作では、11巻までの内容。アニメーション制作はマッドハウス。
NNN加盟局で毎週水曜日23時25分から(ただし編成の都合で時間変更の場合あり。また、後記のように3クール目以降は24時台での放映が多くなっている)、NNN系列外では2006年6月8日より琉球放送(TBS系)で毎週木曜日(金曜日)1時55分から、日テレプラス&サイエンス(現・日テレプラス)でも2006年10月より放映開始、日本テレビ関連以外では2008年からアニマックスで再放送されている。
開始当初は23時台での放送(23時25分 - 23時55分)と、「4大民放ネットワークで放送される全日帯放送の深夜テレビアニメ」という極めて珍しい試みのものであったが、結局10月以降は事実上24時台に移行した(『NNNきょうの出来事』が放送終了し、『NEWS ZERO』放送開始で、このアニメの放送枠である「animo」枠が入っている『バリューナイト』が30分繰り下げられたため)。1、2話の内容が派手に書き換えられたことを知った矢沢が激怒、放送が危ぶまれたことがあると一部紙面で報道された。
2006年7月7日にDVDの第1巻がリリースされた。タイトルにちなんでの発売日設定だけでなく、77日間限定(つまり9月21日まで)で定価707円(税込み)。本編は16:9のワイドサイズで製作されているが、地上デジタル放送の場合上下左右に黒帯の付いた額縁放送で放送されている。
セリフを当てる声優と歌を担当する歌手とに分けたキャストは、同じくマッドハウスが制作した『BECK』(監督:小林治)と同様、大きな特徴のひとつである。2007年3月30日に、東京都渋谷区のライブハウスSHIBUYA-AXで、アニメ版でナナの歌唱を担当した土屋アンナとレイラの歌唱を担当したOLIVIAが、それぞれの役名+バンドでジョイントライブを行った。ちなみに原作漫画・映画版ともに2組がジョイントライブを行うシーンはない。
15話では著作権・商標の関係上、原作では「ディズニーランド」の部分がアニメ版では「遊園地」に差し替えられている(原作でのミニーマウスのカチューシャの部分も別のものに差し替えられている)。また、28話では、原作では「スカパー」と言っている箇所が「衛星」になっている。
日テレ火曜深夜のアニメ枠同様に固定の番組スポンサーは付いておらず(放送局によっては提供クレジット時のスポンサー読み上げを行っている所もあったが)、当作品はスポットCM主体であった。

投稿 : 2024/05/04
♥ : 2

シャベール大佐 さんの感想・評価

★★★★★ 4.5

笑える場面もたくさんあるけれど、切なさが胸に沁みる音楽系恋愛アニメ

小松奈々と大崎ナナという同い年の2人の「NANA」の友情や、それぞれの恋愛を描く、少女漫画原作アニメ。全47話+途中に総集編3話。
BSの再放送で初めて視聴しました。
時代設定は2000年前後。かなりの恋愛体質で、良く言えば天真爛漫、悪く言えばお調子者っぽい性格の小松奈々と、クール系の美人でBLACK STONESというロックバンドのボーカリストの大崎ナナが、上京する新幹線の中で偶然出会い、ルームメイトとして一緒に暮らすようになるところから物語は始まります。作風的には、やや生々しい恋愛模様が描かれる一方で、いかにも少女漫画っぽいセンスのギャグもたくさんあって、シリアスと笑いのバランスが良いです。主要な登場人物にはバンド関係者が多いので、音楽要素が重要な作品でもありますし、成功を目指す若者たちの青春物といった一面もあります。描かれる人物の多くは、若くて派手な外見で、夢を共有する仲間にも恵まれているなど、パッと見には充実した生活を送っているようですが、心の中にはぽっかり開いた穴のような部分を抱えていたりします。毎回エピソードの最初と最後に入る主人公のモノローグにも「切なさ」が溢れていて、ロックバンドを描く作品なのに、どこか昭和の演歌やフォークソングの歌詞の世界のような、暗く湿った空気も感じられました。
キャラは、総じて人間を他面的に描けており、特に小松奈々はとても良いキャラでした。また、ヤス、ノブ、タクミなどの男性キャラについては、それぞれタイプの違う優しさや、かっこ良さが描けていて、男目線からするとちょっと出来すぎたキャラという気がしないでもないですが、女性向け作品としてはこれで良かったのだと思います。音楽は、全体的に良かったですが、個人的にはBLACK STONESの曲よりもTRAPNESTの曲のほうが好みでした。声は、2人のNANAを演じた朴璐美とKAORIはそれぞれ役柄に合っていましたし、芹澤レイラ役の平野綾の声も耳に残りました。
最後まで観終わって、全47話の長丁場の中で、今回はつまらないなあ、というエピソードが全くなかったです。原作が未完のまま休載しているようで、このアニメも最後やや中途半端に終わっているのは残念ですが、それでも全体として非常に満足感のある作品でした。再放送で最初から全部観ることができて、本当に良かったです。

投稿 : 2024/05/04
♥ : 8

めじな さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

感想

全47話。恋愛もの。

あらすじ
彼氏の元にむかう小松奈々(ハチ)は、東京行きの列車の中で、
ミュージシャンを目指して上京する大崎ナナと隣り合わせる。
同じ「ナナ」という名前を持つことから意気投合した二人は、
その後の住まい探しの中で偶然再会し、共同生活を送ることに。

まず、主人公二人の正反対の性格が面白い。
無邪気で素直な性格の奈々(ハチ)と、何事にもクールなナナ。
一見正反対に見える性格の二人ですが、時には衝突しつつも、絆を深めていきます。
この絆に相手を想う思いやりの大切さなどが描かれています。
それに明るい雰囲気で育ったハチに憧れるナナ、ハチはナナの才能や夢に憧れる。
この二人の生き方の違いも見所で楽しめました。

登場人物のキャラも個性派揃いで良いですね。観てて飽きない。
また、キャラの見た目のギャップもありました。
いつもはクールで強きなナナは心が弱かったり、
タクミも女癖が悪い遊び人風ですが、実はしっかりとしていたりと。

それにシリアスとギャグのバランスが良い。
シリアスはコメディタッチの軽いノリが魅力で、会話のテンポも良いしギャグも面白い。
メロドラマのような本来なら暗い展開などに、
キャラの顔を笑えるようなギャグ顔にしたりと工夫されています。
ハチの行動も世間知らずというか、観てて楽しませてくれました。

この作品最大の見所は
二人の「ナナ」と、彼女らを取り巻く人々の恋や友情などの絆の強さ、夢の行方でしょうか。
人間関係はとてもリアルに描かれていて、
登場人物の揺れ動く気持ちの心情描写を丁寧に表現されています。
私好みのドロドロとした展開もあって楽しめました。
全体的に山あり谷ありで先が読めなかった。

この作品はバンドも売りにしてますが、音楽を扱っている作品にしてはイマイチですね。
曲は中々良いんですが、扱いが軽かった。

OP、ED曲ともなかなか良い曲ですね。
特に最初に使われていたED曲がかなり良い。聴いているとジーンときます。

ストーリーも中々良くて、
恋愛と友情を人間ドラマ化した、面白く見ごたえがある作品でした。
2期あってほしいけど無さそうですね。

投稿 : 2024/05/04
♥ : 22

70.4 14 ドロドロアニメランキング14位
A.I.C.O. -Incarnation-(Webアニメ)

2018年4月1日
★★★★☆ 3.6 (236)
1022人が棚に入れました
2035年、近未来の日本。「人工生体」の研究中に起きた大事故“バースト”により、暴走した人工生命体“マター”が黒部峡谷一帯を侵蝕。 人類にとって希望の地と謳われた研究都市は、政府により立ち入りが禁じられた。 それから、2年後―。バーストで家族を失った15歳の橘アイコは、転校生の神崎雄哉から信じがたい事実を告げられる。それはアイコも知らなかった、自身の身体に隠された“秘密”だった。それを解く鍵は、バーストの中心地“プライマリーポイント”にあるという。アイコは、案内人の神崎雄哉と護衛部隊のダイバーたちと共に、封鎖されたエリアへの侵入を決意するが。人類の未来を背負う少年、少女が出会った時、明らかになる真実とは?

声優・キャラクター
白石晴香、小林裕介、古川慎、村田太志、名塚佳織、M・A・O、竹内良太、茅野愛衣、大川透、子安武人、田中敦子
ネタバレ

ぺー さんの感想・評価

★★★★☆ 3.9

黒部に大量

オリジナルアニメ NETFLIXのお下がり


ネトフリオリジナルを地上波で!ってパターン増えてますね。コロナ関係あるのかしら。全12話。
舞台は近未来2035年の日本。とある生体研究の成果物が暴走した後、あたり一帯封鎖されて早数年。
事態の解決に向けてその研究所を目指すことになるわけですが、人工生命体『マター』があたり一帯を侵食しており人間の侵入を阻みます。なかなかのサバイバルですね。そして明らかになってくる謎。

サスペンス・ミステリ色が強めのシリアス仕立て。キャラ原案:鳴子ハナハル氏ということで見た目は推して知るべし。面白かったです。ただ先に文句だけは言っとく。

■シリアスを削ぐもの①
{netabare}危険いっぱいの侵入作戦でボディスーツとか着てるわけですよ。で途中のチェックポイントで一休みする度に{netabare}なぜか“セーラー服”。{/netabare}
そんなに鳴子氏に気を遣わなくてもいいのに。いや視聴者サービスせんでもいいのに。バランスとるために♂に詰襟の学生服着させて笑いを獲りにいかなくても良かったのに、と残念でした。{/netabare}

■シリアスを削ぐもの② ※作品中盤のネタバレ
{netabare}詰襟が逆効果だったと思うのが、この主人公くんのクールで冷静沈着風設定でしょう。後にわかる諸事情のため、高校生らしからぬ佇まいを醸し出す神崎雄哉(CV小林裕介)クンその人です。そしてこの彼。顔色一つ変えず行動がへんちくりんだったりシリアスものにあるまじきブレブレさ。

どう考えても危険な作戦を課されるパーティメンバーにそれくらい言っとけよなリスクを伝えずに窮地に陥るある種の自傷行為。道中ばれてそこを質されると「バーストを収束させる為だ!(キリッ)」。いちおう前後関係あることなんですけど…回答になってません。しかしまわりはなんとなく納得してる。{/netabare}

これ、シリアスもので一番見たくない「キメたつもりがなんかギャグみたいになってますよ」パティーンです。興を削ぎますなぁ。

{netabare}そういったちぐはぐなのがいい感じで詰め合わせになってたのが第8話。
先述のリスク周知しとけよシーンもこの回。仲間が死んで悲しさのあまり嗚咽してと声優さんも演技素晴らしかったりするのですがいかんせん抗戦中。伏して泣くとか思いっきり仲間の足を引っ張ってます。これ戦い終わってからやれよと誰も突っ込まない優しい世界。{/netabare}

真面目な作風で心の機微に疎い作品は大きくマイナスです。おそらく嫌気さす方もいると思いますよ。


それでは一転して残りは褒めます。
目的の研究所のあるエリアは黒部峡谷内。場所的に黒部第四ダムに近接してるところ。ダムにピンとこない方も聞いたことあろうフレーズ“立山黒部アルペンルート”。そう風光明美な場所が舞台でロケハンがしっかりしてました。景色が綺麗。本社がご近所だし富山のP.A.Worksさんだったら面白いなと思いましたが制作はBONESです。
この景色をうまく活かしたのがEDですね。毎話飛ばさずクールダウンに利用してました。OPはTRUEさん。作品世界をうまく表したアニメーション。珍しくOPED飛ばさず堪能しておりました。

自然の美しさと対極にあるのは人工物の美しさ。黒部に点在する複数のダムは壮観です。その最奥に鎮座する第四ダムは壮観通り越して人間ってスゲーなと感動しますよ。難工事+ダムで検索すると真っ先に挙がってくるであろう黒部第四ダム(通称“くろよん”)。完成までに171人の殉職者を出した難工事でプロジェクトXにも取り上げられました。資材運搬のためのトンネル掘削も軟弱地盤やら破水帯やら困難がこれでもかと。なんでそこまでしてやるのか?

 関西の電力事情が逼迫

してたから。停電上等な大阪圏で安定した電力供給は至上命題。時代も時代ですから、戦争で死んでった者達のためにも/あいつらの想いに較べたら、と使命感に燃えてたわけです。石原裕次郎と三船敏郎とが組んだ映画『黒部の太陽』は大ヒットしました。


奇しくも“だいよん”にとある目的をもって向かう本作の主人公らパーティの苦難と“だいよん”に資材を運ぶためのトンネルを掘る漢達の物語が重なります。
『七人の侍』と『荒野の七人』の関係みたいなもんかしら。


なお、あれだけ足を引っ張る要素から視聴モチベーションを保てたのはどこかしら黒部にまつわる現実の物語と被るものがあったことが理由。それに加えてヒロイン橘アイコ(CV白石晴香)の熱演も。『ゴールデンカムイ』アシリパ役でも感じましたが抑えめトーンの時の白石さんはヤバいですね。
そんなこんなで最終12話まで完走。明かされる謎は納得感や驚きのあるもの。終わらせ方も良かったと思います。期待してなかったわりには前のめりで視聴できました。掘り出し物・良作です。



※ネタバレ所感

■南原顕子(CV田中敦子)

人工生体汚染災害対策庁(CAAC)対策局の局長。ブルゾンちえみをしゅっとしたような感じの役人です。

{netabare}すごい複雑な気分にさせられるお役人さん。
エリア内の人口生体“マター”をどう捉えるか南原と中央とで開きがありました。キーポジションのキャラなこともあり作品としては彼女サイドに寄ってます。どういう二項対立か?

【対マターへの態度】 

 偉い人:安全保障上の脅威
 南原:富を生み出す金の卵

チェックポイントは複数あるダム。第四ダムを起点に“マター”は増殖しながら下流にまで浸食してきて、最後の壁(ダム)を突破されて日本海へと流出してしまえば世界規模でのハザードへと発展してしまう局面です。とっとと駆逐する。“結晶化”壊死させる技術もあるにはあるが、殲滅できるか確証がない。むしろ逆に“活性化”させてさらなるハザード範囲の拡大にならんとも限らない。
要は決め手にかける状態。となると事態は膠着するものです。一方で“マター”は最先端技術の徒花のようなもんで研究開発用のサンプルを大量に保有しているとも考えられる。科学技術発展のアドバンテージを日本が有していると固く信じているのが南原の立場です。

 安全保障 VS 経済

迷うことなく前者なはずですが、南原は思いっきり後者に軸足を置いた行動をとります。またそれがかっこよく見えるんだな、これが(笑)
この二項対立の結末はエンタメらしく両者取りでしたが、安全保障を重視するお偉いさんの影がとーっても薄かったのが気になりました。{/netabare}

{netabare}安全保障軽視の風潮。根拠なく自分は大丈夫!ってクセがついてないか怖くなりますね。
決断遅くて逃げ遅れたりしませんように…{/netabare}



視聴時期:2020年7月~9月 リアタイ

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2020.09.29 初稿
2021.06.19 修正

投稿 : 2024/05/04
♥ : 41

タケ坊 さんの感想・評価

★★★★★ 4.3

NETFLIX恐るべし…1クール(仮)オリジナルSFとしての完成度はかなり高い

B:THE BEGININGに引き続き発表されたNETFLIXオリジナル作品、ボンズ制作 全12話。

B:THE BEGININGで圧倒的なクオリティの高さをまざまざと見せつけられ、
度肝を抜かれたのは記憶に新しいが、
個人的には視聴後の余韻や感動、斬新さを感じる結末という点に於いては、本作が上回ったと感じる。
立て続けにこれほどの作品が出てくるとは、純粋に驚きを隠せない。

☆物語☆

TVアニメで言うところの1クール12話で構成された、
(元々TVアニメ向けに制作していた作品らしい)
ジャンル的には近未来バイオSFアクション。
1クールのオリジナルSFと言えば昨年のID-0を想起させるものの、
ID-0にも全く引けを取らない本格ハードSFと言っても差し支えない内容となっている。

昨今はIPS細胞を始めとする遺伝子工学やクローン、
バイオ工学関連のニュースを耳にすることも多くなったが、
現在では臓器提供や骨髄移植等に頼るしかない治療も、
将来的には体の殆どのパーツを人工的に制作し、
ダメなところを自由に入れ替えたりすることも可能になって、
あらゆる疾病も治療できるようになる?かも知れない、とか。。
そんなバイオテクノロジーが進化した近未来(2035年)を描いており、題材としてとても興味深い。

乱暴過ぎるあらすじとしては…日本の黒部峡谷で研究されていた、
医療目的の人工細胞(人工生体)が暴走(バースト)を起こし、
マター(触手みたいなグニョグニョの奴)となって覆い尽くされ封鎖された地点の爆心地
(プライマリーポイント)へ行ってバーストを終息させる話笑
夏休み前に転校してきた神崎雄哉という謎多き人物やマターの正体は一体何なのか。
主人公アイコを突然拉致し、バーストを終息させるにはアイコをプライマリーポイントへ連れて行く必要がある、
と神崎は説得を試みるが…

物語の後半~終盤にかけて明らかになっていく謎と真実、
そして真実と向かい合った時のメインキャラ達の揺れる心境、決断~結末に至るまで、
9話以降EDにかけてどんどん引き込まれ、
同様に真実を知らないで観ていた此方側も、何ともやり切れない複雑な心境にさせられる。。
(神崎、マターの正体などを匂わせる伏線は各所にきちんと張ってあるのである程度想像できる)
もしアイコと自分が同じ立場だったらと考えると…

OP曲冒頭の歌詞「誰も知らない物語を始めようか」という文字通り謳い(歌い)文句は、
決して大げさではなく、ハッピーエンドともサッドエンドとも受け取れ、
やり切れなさ、考えさせられつつ、それでいて大きな感動を与えてくれる、
昨今なかなか観ることのない(自分の予想が裏切られた)斬新な結末は、物語として高く評価したいと思う。
自分が感じた視聴後の余韻は、作風自体は異なるものの、
「シリアルエクスペリメンツレイン」や「魔法少女まどか☆マギカ」に通じるものがあった。
いや、最終話ラストにかけてはマジで泣けました。。

ネタバレ無しで作品の魅力を伝えるのは難しい…
SFドラマ系が好きな方には特にオススメしたい作品だが、アクション面でも見どころはある。
ただ、本格SF作につきものの、やや取っ付きにくいSF用語が少々出てくるのと
(HPの用語解説は事前に目を通した方が良い)
状況を把握するのに少し頭を整理する必要があるので、
惰性でボーっと気楽に作品を楽しみたいという人には向かないかも知れない。

☆声優☆

主役のアイコ役に抜擢された(と言っても過言ではないでしょう)
白石晴香さんの演技は、人気&実力揃いのキャストの中、
声で選ばれたんだなと納得できるドンピシャのハマり役。
マッドサイエンティスト化した典型的なテラ子安っぷりが、キャラまんまID-0を思わせるのが何とも笑
ネタバレになるので書きませんが、何気に由良役のキャスティング、演技は見事で、
いい伏線になってたと思います。思わずエンドクレジットを確認しましたよ笑

☆キャラ☆

結末に至るアイコの苦悩、葛藤と決断には心を打たれる。
1クール尺で掘り下げ自体はそこまで深くないながらも、
各キャラの動機~行動へ至る経緯はきちんと描かれていると思う。
子安氏演じるキャラが終盤とことん間抜け&哀れで思わず笑ってしまうが、
もはやこれもお約束というか王道にまでなってきた感もある笑

☆作画☆

翠星のガルガンティアを担当された方によるキャラ原案で特に不満なし。
ガルガンティアを担当したI.Gの作画の方が同監督作としては、よりスマートな印象で好みですが、
ボンズの方が何となく無骨さのような癖は感じますね。
特筆すべきは、やはり豊富な予算と充分な時間がかけられているせいか、
昨今の作品であればCGに頼りそうな部分であろうマター描写等は、見る限りほぼ作画によるもので、
この部分はかなりの労力が掛かったでしょう。
メカの方はCGを活用してますが、デザインも良く作画との相性も自然な仕上がりでした。

☆音楽☆

OP,ED共に曲を売るためのものではなく、
作品のためだけに作られたであろうものであることはすぐ判る歌詞で、
特にアイコ本人が歌うEDは彼女の決断、心情を考えると涙なしには聴けない。。
如何にもな名作臭の漂う荘厳な曲調も、内容が伴ってこそ。
EDアニメーションは最終話ラストシーンを観て振り返ると、なるほどと納得できるもので感慨深い。
作中BGMもチープさを感じること無く、シリアスな場面&バトル時の緊迫感を煽る聴き応えのあるもので、
予算をかけて抜かりなく作っているのが判る。

NETFLIXに関しては、潤沢な予算と余裕を持った製作期間で、
日本のマニア向けだけではなく、普段実写ドラマや映画を観ている層、
全世界同時配信に相応しいものを作るという制作テーマ、
恐らくクリエーター魂に大いに火をつけるであろう円盤売上を度外視できる自由な制作環境は、
国内のアニメ業界にとっては大きな変革であり、
より優れた質の高いオリジナリティに溢れた作品が生まれる土壌&可能性としては、
今後TVアニメ以上に極めて有望ではないかとさえ思えるもので、
個人的には大いに期待&歓迎したい。
本作はそう思わせるに充分な力作だった。

投稿 : 2024/05/04
♥ : 13

Ka-ZZ(★) さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

君は今…人間じゃない

この作品はBONESさんのオリジナルアニメだったみたいですね。
Netflixが独占して全世界に発信した作品です。

まず、3/9(金)に放送が開始された作品であるにも関わらず、この時期に「観終わった」レビューが書ける事にビックリしています。
なぜなら、最新話の視聴は1週間指を咥えてじっと待ち続けるのがこれまでの常識でした。
でも、でもこの作品は放送開始と同時に全12話が一挙に公開されたんです。

それは、この作品の1週間前に放送が開始された「B:the Beginning」も一緒でした。
私はつい最近加入したばかりなので「DEVILMAN crybaby」がどの様に押送されたかは分かりませんけれど…
この放送構成って…かなり斬新であると共に、今後のアニメ放送にも多大な影響を及ぼすのではないでしょうか?

一番大きいのは、「TV枠の確保」と「尺の制限」が無くなる…という事ではないでしょうか。
放送枠が確保できずにアニメ化が見送られた作品…
或いは大人の事情である尺の制約によって、原作から大幅な改変やカットを余儀なくされた結果、視聴者の期待から逸れた作品に仕上がってしまう…こういう作品があったのは否めない事実だと思います。

ですが、Netflixの様なネット放送なら枠を気にする必要はありませんし、尺の長さに自由度が生まれるので、作り手が本当に伝えたいことを残らず作品に盛り込めるようになるのではないでしょうか。
必ずしもCM含めて30分の枠内に収める必要がありませんから…
だから話の展開によっては45分になったり…はたまた15分で終わる回があっても、それで作品のクオリティが向上するなら、きっとそれを拒む視聴者も多くないと思うんです。

それに予約が重複して視聴を断念する必要もなくなりますから…
でも視聴者にとっては決して良いことばかりではないと思います。
作品数が爆発的に増えた時、どのように取捨選択するのか…難しい問題だと思います。
まぁ、結果的には嬉しい悲鳴でしかないのかもしれませんけどね…

それではこの作品はどうだったか…というと、総じて面白いと感じられる作品だったと思います。
この物語の主人公は、15歳の橘アイコ…彼女は2年前に突如として発生した「バースト」と呼ばれる人工生体の暴走事故に巻き込まれ、車椅子での生活を送っていました。
その事故は彼女の足を痛めただけではありません…家族みんなを失ってしまったんです。

そしてバーストは今も収まっておらず活性化を続けている事から、バーストが発生した現場近辺は幾重にも巨大なゲートによって隔離されています。
だからバーストの発生した場所は「誰をも寄せ付けない場所」となっているんです。
バーストに巻き込まれて取り残された人だっているというのに…

人々がバーストの恐怖に怯えながら日常を過ごす…という環境にようやく私たちが適応し始めた矢先、アイコの通う学校に神崎雄哉という転校生がやってくるんです。
しかも夏休みの1日前というとても中途半端なタイミングで…

詰襟の似合うイケメン風の神崎雄哉はとある意志の下、この学校にやってきたのでした。
そしてそれはアイコを巻き込む大事件に発展し…物語が動いていきます。

この作品の見どころは、丁寧に描き込まれた作画、迫力のある戦闘シーン、可愛らしいキャラデザと挙げれば沢山あるのですが、何よりとても大切に作り込まれた「人の命」というテーマそのものだったと思います。

人間は有限で、当たり前ですが代わりはありません。
そして脆く…弱い存在です。
だから危険を察知する本能が人間には備わっていて、その本能と理性が組み合わせた集合体が「チーム」だと思います。
お互いを守り合うことで危険に対するリスクを軽減することができる…
その絆や団結力は私たちが生きていく上で欠かせないファクターだと思います。

一方、人間が有限であることを望まない人がいても決しておかしくありません。
最愛の人や大切な人との時間は少しでも長く…と思ってしまうのが人情だと思います。
上述した有限の密度を高める生き方と比べると、こちらの方は少し歪みを感じるかもしれません。
でもそんな風に簡単に割り切れないのが人の心で、その連鎖の先にあるのが人工生体…
そんな思いに技術が追従するなら僅かな可能性や希望に縋らずにはいられません…
もし私が同じ立場だったら、私も同じ選択をしていたと思います。

ここからがこの作品の真骨頂…
大切な人の代わりとして作り出された人の思いはどこへ向かえば良いのでしょう…
こういう時、望んだ人の目線での物語が数多く描かれていると思いますが、
望まれた人の気持ちに焦点を当てて丁寧に心情を描いた作品はそう多くないと思います。
この作品はそんな気持ちもしっかり物語の中に織り込んでいます。

最初は右も左も分からなくて、ただ付いていくだけだった…
様々な人の感情に触れて沢山の思いを知って…
大切な人の役に立ちたいと思って…
そんな思いの先で何が待っているのか、気になる方は是非本編でご確認頂ければと思います。
12話の尺の中で綺麗に物語が纏まっていた作品でした。

オープニングテーマは、TRUEさんの「A.I.C.O.」
エンディングテーマは、白石晴香さんの「未知の彼方」

1クール12話の物語でした。
主人公のアイコ役は白石晴香さん、神崎雄哉役は小林裕介、その他かやのん、M・A・Oさん、名塚さんなど出演されている声優さんも豪華でした。
放送がNetflix独占じゃなかったら、今以上に視聴数の伸びる作品だと思いました。

投稿 : 2024/05/04
♥ : 19

62.9 15 ドロドロアニメランキング15位
君が望む永遠 ~Next Season~(OVA)

2007年12月21日
★★★★☆ 3.6 (151)
799人が棚に入れました
3年間の眠りから目覚めた涼宮遙は必死のリハビリの末、ようやく退院することができたが、依然事故のトラウマに苦しめられていた。
 そんな遙は鳴海孝之や妹の茜、そして両親に支えられ、普通の生活が送られるようリハビリに励んでいた。
 しかし、自分を犠牲にしてまで一緒に居る時間を作ろうとする孝之の姿に、やがて遙は困惑してしまう…
ネタバレ

ジャスティン さんの感想・評価

★★★★☆ 3.5

本編があれだったせいか良パートが豊富だった

{netabare}
|ストーリー
|最終話からの続きもので正直嬉しかった。ドロドロ展開からほのぼのとした
日常?的な展開が進んだが、遥と鳴海の成長ぶりが凄かった。
大人になった印象がありました。

---------------------------------------------------------------
|作画
|この頃にしては、作画(背景班)の安定さは素晴らしい

---------------------------------------------------------------
|声優
|遥と茜の喧嘩シーンの演技が響きました。

---------------------------------------------------------------
ムービー
|
|OP ☆ 3.3
|毎回毎回ムービーに変化していたので、見ていて飽きなかった

---------------------------------------------------------------
|
|ED ☆3.2
|OVAだしと思ったけど最終話の終わり方が良かった

---------------------------------------------------------------
|キャラクター
|遥と鳴海さんとの別れのシーンもそうですが、姉妹の喧嘩のシーンや
遥と母との話が考えられるシーンだと思いました。

---------------------------------------------------------------
| +α
|
|OPED中毒度 ☆ 2.8 本編が凄いからあまり強い印象がありませんでした。
|

---------------------------------------------------------------
|再視聴度  ☆ 3.4
|本編見たあとについでに見る感じかな?(毎回同じセリフしか言っていない・・・)

---------------------------------------------------------------
{/netabare}

原作未読 本編の続きが描かれている作品です。
本編が好きな方は是非見ることをおすすめします。
今回は2日間でこのシリーズを視聴しましたが、なかなか良い作品でした。
またこのようなストーリーを探してみたいと思いました。

投稿 : 2024/05/04
♥ : 4
ネタバレ

明日は明日の風 さんの感想・評価

★★★★☆ 3.8

本編とは違い、さわやか系の作品に仕上がった

「君が望む永遠」のOVA作品で、本編を見てからでないと視聴は難しいです。
本編がTBS系のどろどろなら、こちらはフジ系の青春ものといった感じに仕上がっていて、さわやかです。もう一人のヒロインである遙を選んだという設定で物語が進みます。

{netabare}本編ではいらいらさせた主人公の孝之が、こちらでは積極的で、前向きな人物になっています。本編との落差に戸惑うこともあります。が、これはこれで遙を守るためにそうせざるを得なかったのだと思ってます。遙に似合う人物像としては理想的だと思いました。
この前向きさが遙には重くなっていきます。つまり、孝之が遙のためにすべてを犠牲にしてしまったのではないかと。そして、幸せから一転、遙は孝之に別れを切り出します。これも遙が孝之を思ってのこと。とても切ないです。が、遙もいろいろ悩み、周りに助けられ、最後は孝之に思いをつたえてハッピーエンドで終わります。最期に待っていた場所は事故現場。遙には恐怖でしかない場所で、孝之を待ち、あの日の出来事を払拭し、孝之ともう一度始めるのです。
本編でヒロインだった水月はこの作品では孝之とは会いません。分かれた場合のその後が描かれています。そして遙の妹である茜についての話と、コンパクトにまとめています。{/netabare}

本編がかなりきわどい…というより、かなり直接的だった性描写はこの作品ではありません。遙というヒロインを描くためには必要なかったのだと思います。そう仕上げたのでしょう。

ただ、やっぱり本編とのつながりを丁寧に書いてほしかったなと思います。本編の1、2話が同じだからという理由でテレビアニメ化を見送ったらしいのですが、いきなり退院で始まりますから戸惑います。水月と遙のどちらをどう気持ちで選んだのか、そこに至るまでの葛藤、その直後の水月と遙の関係など、見たかったです。これも本編で遙に肩入れしたためでもあるんですが…

本編に興味を持った人ならぜひ一緒に見てもらいたい作品です。

投稿 : 2024/05/04
♥ : 21

ぱるうらら さんの感想・評価

★★★★☆ 3.4

鬱展開が抜けたことで面白みも抜けた

『君が望む永遠 ~Next Season~』はゲーム原作(OVA)、全4話の恋愛アニメです。


この作品は本編の後日談であり、ifの世界のお話。
本編は憂鬱さ溢れる純愛モノでしたが、今作は二者間の純愛一辺倒なストーリー展開のため、ヒロインらが恋人を奪い合うことも、何らかのいざこざが起こることも、妹の茜が癇癪を起すこともない、そんな特に味気も面白みも無いようなストーリー。

この作品のテーマは別にあるだろうが、主観的にはヒロインにとっての悲惨な過去の克服。もう少し詳しく言えば、主人公の一途な愛情を向けられて嬉しさを感じつつも、罪悪感を感じて主人公を遠ざけてちょっぴり沈むヒロインが、過去を克服して前へと一歩踏み出すまでの過程。
私はこの作品の登場人物ではないために、彼らの心情を理解できないとは言え、自分勝手な考えを探り出して悟りに至った主人公や、ヒロイン方の家族にも二人の関係を許容され、2人の将来を皆に喜ばれたあの流れで別れ話を打ち出すヒロインの考え方はイマイチ理解できない。特に主人公。悟る前に2人で話し合えよと言いたい。

不評を述べましたが、一方でマブラブ及びマブラブオルタネイティブのヒロインの一人である"委員長"が登場するといった、マブラヴファンには嬉しい要素もありました。とは言え、興奮に値する嬉しい要素それくらいでしょうか。

また、このアニメ版『君のぞシリーズ』を観てきた中で一番好印象だったキャラは"茜"。何だかんだ彼女が一番素直で可愛かった。しかし、立派に悲劇も味わっているのにヒロインにはなりきれなかった可哀想な子。何か泣ける。

言ってみればこの作品は、悲劇のヒロインのまま終わった"遙"を幸せにしてあげようプロジェクトの産物。終始イチャイチャされる展開はイライラしますが、コレといった波乱も無い展開は少々退屈で、主観的にはあまり面白いと思えませんでした。

投稿 : 2024/05/04
♥ : 9

57.6 16 ドロドロアニメランキング16位
M3 -ソノ黑キ鋼-(TVアニメ動画)

2014年春アニメ
★★★★☆ 3.2 (347)
1779人が棚に入れました
歪で、どこまでも濃い黒。黒が全てを飲み込み、全てを奪い去ったその場所は、無明領域(むみょうりょういき)と呼ばれるようになる。人間の絶望と混沌をそっくり引き写したかのような異形のものたち。彼らはこう呼ばれた。イマシメと。
ネタバレ

しんばくん さんの感想・評価

★★★★☆ 3.8

暖かさと寒さの混在する不思議和風ホラー

物語:3.5 作画:3.8 声優:4.2 音楽:3.5 キャラ:3.8 【平均:3.7】                           (37.8)

ジャンル        :ロボット、ホラー、群像劇
話数          :全24話
原作          :佐藤順一、岡田麿里、サテライト、創通、バンダイナムコゲームス、マッグガーデン(アニメ)
アニメーション製作 :サテライト、C2C
監督          :佐藤順一
シリーズ構成     :岡田麿里
脚本          :岡田麿里、大西信介、鴨志田一、小柳啓伍、和場明子、小林英造、大河内一楼
キャラデザイン    :オニグンソウ(原案)、井上英紀(アニメーション)
メカニックデザイン :河森正治、ブリュネ・スタニスラス、宮崎真一、渭原敏明、鈴木雅久、川原智弘
音楽          :サキタハヂメ
主人公声優      :松岡禎丞
OP           :「Re:REMEMBER」作詞 - 藤林聖子 / 作曲・編曲 - NAOKI-T / 歌 - May'n
             :「レプリカ」作詞・歌 - 坂本真綾 / 作曲・編曲 - 内澤崇仁
               / ストリングス編曲 - 内澤崇仁、石塚徹
ED           :「ego-izm」作詞・作曲・編曲・歌・演奏 - la la larks
               / ストリングス編曲 - 江口亮、石塚徹
             :「SABLE」作詞・歌 - ナノ / 作曲・編曲 - WEST GROUND

参照元        :Wikipedia「M3~ソノ黒キ鋼~」

【あらすじ】
 十年前、東京に突如として出現したその“闇”は、瞬く間にすべてを侵食し、「イマシメ」を産み落とした。それは人間が残した念や想いを核に、「屍鋼(シバガネ)」と呼ばれる物質が結集して誕生した異形の存在。イマシメの脅威は、やがて無明領域周辺にも現れはじめ、人々に影響を及ぼし始めていく。「復興支援企業体イクス」は、イマシメを狩るための手段として、次世代型可動肢重機「マヴェス」を開発。イクスは自らが管理する「九久ノ智学園」に、マヴェスのパイロット候補生8人を招聘する。 アニメ「M3-ソノ黒キ鋼-」公式サイト「STORY」より抜粋

【特徴】
①ホラー
②ロボット
③暗い、心悲しげ
④アクの強いキャラクターが登場
⑤固有名詞・用語が多い

【長所】
①物語を覆いかぶさる謎が次々に登場し、引きが強い
②希少なホラー作品
③成長
④もし、「人同士の精神感応が可能ならばどうなる」を観る

【短所】
①真相が安っぽい理由によるもの
②群像劇を謳う割りに、主人公に焦点を当ててばかり
③アクの強すぎるキャラクターの言動が観ていて不快にさせる
④ロボットである必要があまり感じられない
⑤嘔吐

【理由】
{netabare}[ 長所 ]
①前半はひたすら謎に謎を被せていきます。後半は徐々に明らかになります。前半は謎が多く見応えがあり、後半は真相が徐々に明らかになって行くので物語全体で観ると引きが強いと感じました。ただ、訳が分からなくなるという事が苦手であれば長所とは言えない。 
②ホラーが観たいという事であればオススメです。
③登場人物達は成長してゆきます。何を機に、また、どの様に成長するのかが見所になります。
④精神感応力者を「リンカー」と呼びます。彼らは互いの感情を読む事が出来るが、それがどのように物語を進めるのかが作品の要であり、見所となっています。

[ 短所 ]
①個人的には致命的でした。これは随分と陳腐な理由でしたので真相はあまり期待しないほうが楽しめると思います。
②群像劇っぽいところも少しありますが物語流れで主人公に焦点を当てて進む展開が多いです。
③2人ほどアクの強いキャラクターが登場します。キャラが立つ事という意味では長所ですが、この2人を見て苛立たない人はいないでしょう。
④ホラーとの相性が良くありませんでした。ロボットは生身を守る役割もあるため、恐怖を和らげる結果になってしまいました。また、異形の生物ももっと畏怖するようなデザインであればもっと恐怖させる事も出来たと思います。
⑤そこまで主張する必要があったのだろうか。単に気分を害すだけのように感じます。{/netabare}

【総括】
 少年少女達の遣る瀬無い状況からどのような結末を迎えるのかを観る作品。また、ホラーという作風にロボットを登場させる新しいタイプの作品。細かい所で悪い部分が目立ったが、謎や明らかとなる真実など物語の引きは強めです。



【思った事・蛇足】

佐藤順一、岡田麿里の2人が携わったという事と
私の好きなタイプと思わせる
「暗い」とか「鬱」というワードを見て気になっていました。


しかし評判のほどは悪く
敬遠していた作品。


視聴のきっかけは
『TEXHNOLYZE』『エルゴプラクシー』『Gilgamesh』
この3作品のようなくすんだ世界観を期待した事です。


しかし観てみると違いました。
どちらかと言えば
『ラーゼフォン』『ZEGAPAIN』『ギルティクラウン』
この3作品に近い世界観と設定でした。


そして本作は上で述べた世界観をホラー作品に仕立てるため
BGM、シチュエーションを選定したという感じでした。



最初のうちは本当に面白くないのかどうかを疑って視聴しましたが
観てすぐに伏線を張るタイプだと分かり
次回への引きも強く
毎回ワクワクしながら観れました。


しかし
短所①にも書きましたが
これが視聴意欲を削いでしまう原因となり
結果的に良いという印象は残りませんでした。


物語を形作る「恨み」という要素は
いかにも和風ホラーっぽくて悪くないのですが
もう少し恨めしく思える事実にしたほうがいいのではないかなと
そう思いました。


それにしても放送当時に見た方はしんどかったでしょうね。
中々謎が明らかにならないのは
じれったく感じたのではないでしょうか。
コレばっかりは放送後に見て良かったなと思いました。




●用語
これがまた非常に話を分かり難くしている様に感じたので
分からなくなったら公式ページの「用語集」の閲覧をお勧めします。
http://m3-project.com/word/

尚、注意して欲しいのは単語が出た後に閲覧した方が良いです。
そうでないとネタバレする事になります。




●視聴結果
グラフ[物語の転機が分かってしまう可能性があるため、ネタバレ注意]
http://shinbakuns.blog.fc2.com/blog-entry-28.html

投稿 : 2024/05/04
♥ : 7
ネタバレ

N0TT0N さんの感想・評価

★★★★☆ 3.3

リム無理。

※酷評注意。

レンタル屋で目にとまっての視聴です。

ロボっぽくなさそうというイメージが視聴のきっかけでもあるんですが、思った通りロボ度がかなり、相当、スゴく低い作品でした。
個人的にはロボ度が低い作品のほうを見がちなタイプなので狙い通りな感じでした。

なので、ロボバトルとかを期待して視るとショルダースルーを喰らうのではないかと思います。
完全にメンタルバトルメインだったと思います。

で、内容なんですが、
画面的にも、設定的にも、空気感的にも、どこをとってもどんよりした作品でした。
さあ!明日から夏休みですよ♪と言われて、一度も晴れ間を見ることなく2学期を迎えたらこんな気分になれるかもしれません。
そのくらいドンヨリでした。

×2クールです。

まぁ、こういうどんよりした内容だと最終的な開放感を期待してしまいますよね。
映画等ではよくあるパターンです。閉塞感→開放感。むしろ王道といえば王道でしょう。

そう、映画でなら。
1クールでなら。
2クール・・・・は、さすがに長くね?

まあ、エンディングをちゃんと用意した上での鬱展開で、狙った鬱だったとは思います。
リアルタイム視聴だったら耐えられなかったと強めに思いますが、まとめ視聴ならまだ完走可能な拷問でした。
その辺も含めて耐性はあるほうなので十分謎を見届けれると思える状態でした。(アレさえなければ‥)

あと、ヒロインらしき立場の人が2転3転するというある種ローテーション的ハーレムも確認できました。
まあ、むしろその後の主人公アカシのリバウンド的ダメージの方がデカいような気がしなくもないですが。

衝撃だったのは、正ヒロインも、エンディングの方向性も2期のopを視て理解できたということでしょうかwあまりに「え?」って思うレベルだったので、これがあの有名なテコ入れってヤツなのか?と思いましたね。
逆に2期のopが1番親切で饒舌だったと感じたのは気のせいでも精神浸蝕のせいでもないと思われます。このopが、自分が想像したエンディングの方向性とカブり過ぎて既視感さえ感じてしまいましたw
ま、この通りになるかどうかは、伏せておくことにします。

ただこの暗雲立ち込める状況下でもまだ視聴可能な自分にも、大きな問題が1つ存在していました。
鬱と似て非なる感情‥そう、「不快感」です。
これはまとめレンタルじゃなかったら切ってたレベルです。

作中のある設定が、それはねぇだろ。という悪魔的な設定で、もし実況してたら「これはヒドい。」確定だったと思います。

ことあるごとに、手を変え品を変え感情に負荷をかけてくるのもだんだんやり過ぎ感が増してくるんだけど(だんだん慣れてもくるけど)、生と死の間の微妙な状態を都合よく解釈してそれを利用する行為。それに少年少女が、世界が、頼らざるを得ないという悪魔的な設定。この部分。無理だわこれ。

少年少女「逃げちゃだめだ逃げちゃだめだ逃げちゃだめだ。」(名台詞「逃げちゃだめだ」も確認できましたw)

いやいや、もう逃げちゃいましょう。誰もあなた達を責めたりしません。そんなことはさせません!なんでも乗り越えればいいってものではないのです。撤退も立派な選択肢です。
物語?そんなものはどうでもいいんです!無事これ名馬って誰かが仰ってました!生き残ったものが勝ちなんです!ヒヒ~ン!

え?なに?

逃げないの?

正気ですか?!

き、君ら‥なんてマッチョなメンタルしてんだ?!この過酷な設定にめげず世界と物語を守るって言うんだな?!
よし‥分かったよ。。しょうがない。オレも最後までみとどけるよ!!!
的な完走でしたwヒヒ~ン。

こう言っちゃなんだけど、制作陣、倫理観の線引きが麻痺してるのでは?という印象も無くはないレベルの鬼畜さでした。精神の無事を祈るばかりです。


って訳でこの作品、お勧めはしません。
特に、健全な青少年には。

みんながみんな不器用すぎて痛々しく暗中模索するお話だけど、光はきっとさすでしょう。あなたのこころにもきっと。

たぶん。

‥エンディングまでには。


※以下はネタバレ雑記。


{netabare}

あくまで個人的見解ですが、リムという鬼畜設定はやるべきではなかったと思う。現実的にこういう状況になって、ロボの一部が「重篤な症状の人の肉体」じゃないと人類がヤバいことになるとしたら、やむを得ないだろうと思う。いくら非人道的であっても。
だがしかし、アニメでそれやる必要ないでしょってことです。
それを葛藤の負荷という装置として使うのはさすがにやりすぎ。
じゃあ視るなよ!ってなりますが、それはその通りとしかいえませんけどけどね。

ツグミの、「裏切り」+「外界を知らないことからくる不信感」による恨みを和らげた最大の功労者がまさかの伏兵スーザンってのがちょっと衝撃だったなw
いくらロボ度低いとはいえここまでとはw

ミナシはジェラシーからあの境地に至ったんでしょうかね。
彼は結構不憫なこでしたね。繋がるのに執着する気持ちも解らないでもないかな。。

あと、復興みたいな纏め方とか、立ち入り禁止区域とか、時代の気分みたいなものが見え隠れしてますが、そういう意図があったんでしょうかね。
それと、ある種人類補完計画のアンサー的でもある感じは見所なのかもしれないですね。

以上です(`´)ゞ!


{/netabare}

投稿 : 2024/05/04
♥ : 8
ネタバレ

v.e.b さんの感想・評価

★★★★☆ 3.3

どうしてここまで評価されないのか... 私は結構好きです。

この作品は全体的に暗いです。

重くはないけど暗い。

鬱アニメかどうかと訊かれるとそれも違います。

私は静かなアニメが好きなので苦痛どころか安らぎすら感じました。
過去に様々な鬱アニメを一気見してた所為もあって
耐性がついているのでしょうね。

この手の暗いアニメが不慣れな人にとって
この2クールは確かに耐え難いものかもしれません。


▪︎良かった点

世界観や設定は面白いし、「テラフォーマーズ」や「進撃の巨人」
などの様な巨大な敵に立ち向かうというセカイ系路線は悪くなかった。

{netabare} メインヒロインが序盤で重機システムの一部になるという展開も
掴みとしては悪くなかった。{/netabare}

突如現れた謎の空間「無明領域」
その出現と共に現れる様になった「イマシメ」

無明領域の番人である躯を操る謎の少女。
その少女の歌を聴いた者は9日以内に死ぬ。

躯やイマシメを倒すために重機を操る
8人の子供たち。

こうしてまとめてみてもやっぱり
世界観や設定は悪くないしメカニックデザインもカッコいい。

そこら辺のテンプレアニメよりは面白い。

OPやEDも良くて思いのほか感動したし作画も全体的に綺麗。
特に2クール目のOPは毎回魅入ってしました。

事前に全て伏線を回収していたので終わり方も文句無しです。



▪︎悪かった点
それじゃあ何がダメだったか

・キャラクター

ヤンデレ主人公に虚弱系メインヒロイン
サイコ野郎、根暗小説女に
野蛮赤ウンコ、ダラシない不良少年に
異臭ビッチ、いつもヘラヘラしてる変人

以上が主要人物である。
皆、幼少期はあんなにいい子だったのに
この10年間でなにがあったんだ...。

このアニメには兎に角まともな奴がいません。
「とか言ってるけど少しくらいはいるんでしょ?」
と、思うかもしれませんが本当にいません。

強いて言えば政府から派遣された自衛官の須崎くらいですかね。
どうでもいいですが結構好みのタイプ。

とにかくキャラのアクが強すぎる。

嫌われ役は多くて3人程度で充分です。

なにも登場人物みんな嫌われ役にすることはなかったでしょう。
視聴者に不快感を与えるだけです。


・テンポが悪い

鬱アニメと違って重い訳でもなく
ズルズルと全体的に暗いまま進んで行きます。

この雰囲気に耐え切れず1クールで視聴断念
した人も少なくはないでしょう。

重機やイマシメなどこの世界の謎が明かされる時などに
印象的なシーンが残ればよかったのですが
全体的に暗いわりに虐殺シーンもショボいです。

殺すならもっと大切に殺してほしいですね。
命はそれほど軽くありません。

・背景が暗い

キャラクター達も全体的に暗いし、シナリオも全体的に暗いが
作画の背景も兎に角暗い。

外に出れば真っ暗、中に入っても機械仕掛けばかり。
キャラクターも視聴者も息苦しくなってしまうのも無理はありません。

無明領域と言う程ですから、暗くなってしまうのは仕方が
ありませんが、もう少し工夫出来なかったのでしょうか。

▪︎全体を通して

色々酷評してしまいましたが、私はこの作品が好きだし
皆んなの評価程悪い作品とは思っていません。

やっぱりセカイ系は面白い。

OPだけで感情移入しすぎて泣きそうになり
やっぱり自分はこう言う作品が好きなんだと再確認しました。

このアニメは大人さえもクズばかりでしたが
子供達はいい意味で人間味に溢れていて愛するべき存在です。


もしもこの作品が1クールだったら作り手が伝えたいことを
伝えるだけ伝えて、伏線も回収しきれず
独りよがりの作品になっていたでしょう。

このシーン必要なの?って思うところも多いかも
しれませんが全て伏線となり見事に全て回収していますので
無駄だと思うところも必ず意味があります。

そこが視聴者にあまり理解されていないところの
一つかもしれませんね。

私の勝手な思い込みですが作り手側がこの作品を通して
なにを伝えたかったかと言うと「お互いの気持ちが分かりあえず
傷つけあってもその度にお互い、許しあうことが大切」
ということだと勝手に解釈しています。


本編とはあまり関係ありませんが最終話で
{netabare} ヘイトがぬいぐるみを抱えながら
「思い出した... お前に心がないと気付いた時は最高に恐怖だったなぁ...」
とか言い出した時は吹き出すかと思いました。
よくこんな面白い台詞思いつくな...。{/netabare}

投稿 : 2024/05/04
♥ : 9

65.5 17 ドロドロアニメランキング17位
WHITE ALBUM-ホワイトアルバム 後半(TVアニメ動画)

2009年秋アニメ
★★★★☆ 3.8 (303)
1768人が棚に入れました
時は1986年――“バブル”前夜。来るべき狂乱とその崩壊を、巷は未だ知らない。
電車内でイヤホンをしているのは競馬か野球か英会話を聴くオジサン達だけだった時代。アスファルトには、引き剥がされたプルトップが散らばっていた時代。携帯電話は勿論、自動車電話も珍しかった。駅前の電話ボックスには、テレカを手にしたサラリーマンが列を成していた…そんな時代。
若き恋人は、誰もが腕時計を嵌め、握り締めた受話器から聞こえる呼び出し音に胸を高鳴らせながら、悩み、泣き、誤解し合い、すれ違っていた――。
冬空の下、移ろいゆく彼女との関係……悲しくも、とても優しい物語。
ネタバレ

もふもふ♪ さんの感想・評価

★★★★☆ 3.8

トレンディドラマ(死語)を彷彿とさせる雰囲気作りがよかった~でも、女神じゃなくって、魔女じゃね?~

というわけで、後半に感想をまとめました。(長文です。ご注意をw)

総括で言うと、題名の通り、「トレンディドラマ(死語)を彷彿とさせる雰囲気作りがよかった」です。

とか書いてみましたが、振り返ってみると、トレンディドラマって、観たことあるの「東京ラブストーリー」くらいでしたw
しかも、リアルタイムではなく、学生時代に知り合いから借りたビデオ(!)で観ただけで。
若い方には分からないだろうなぁw

でも、あの頃は、「大人の恋ってこんなんなんだ!?」と、ドギマギしながら観ていた覚えが。wiki先生によると、漫画の連載が始まったのが1988年で、ドラマになったのが1991年だそうですから、本作が舞台となっている1986年と大体同じ時代ということになりますね。
1986年というと、昭和61年だそうです。昭和ですよ、昭和w
そう聞くと、隔世の感がありますね…。

はい、まずは昭和を知らない方には敷居が高いですよねw

まず電話が家電(かでんではなく、いえでん)と公衆電話の世界。かろうじて車載電話が出てきますが。ポケベルもない時代なんですね。また、でっかい留守番電話がでてきます。時々出てくる株価や円相場の表示に笑ってしまいます。

これって、アラサーどころかアラフォーの世代向けの作品なんでしょか?と思わないでもないです。

つまりは「すれ違い」をテーマにしたいということでの時代設定らしいですが。

他の方のレビューでは、「昼ドラのよう」という表現があったのですが、昼ドラほど恋愛模様がグチャグチャ、ドロドロはしてないです。そこで、どう表現したらいいのかなと思った時に、ふと思い出したのが先程の「東京ラブストーリー」でした。それで、表題のような題名になった次第です。


と、前置きが長かったですが、まず良かったところから。
音楽が良かったです。この時代に合った雰囲気で、レトロ感満載で、仰々しいOP。EDのバラードもよかったですね。Suaraさんの曲は初めて聞きましたが、切ない感じで、お気に入りになりました。OP、EDのアニメーションも良いですね。今時のアニメっぽくなくって。
キャラデザは最初あんまり見慣れない感じでしたけど、観ていくうちに慣れてきて、むしろドラマっぽさがでてきて良かったと思います。所謂萌え絵では出し切れない細かい表情表現とか出来ていたようにも思えます。また、絵柄もレトロっぽいので、時代感があって良かったかなと。
1話目を観た時に、これ随分古い作品?と思ったのですが、実は2009年放送。全然古くなかったです。

主人公の心の裡を表す言葉を、セリフではなく、文字で表す技法は斬新でした。最初はちょっと見づらい感じもしましたが、慣れれば煩わしくなくなります。


ストーリーですが、まあうまく収拾つけたなという感じでしょうか。この辺の異論については、後述します。

ざっくりとした、内容としては、人気アイドルを彼女にもつ大学生の男の子が、彼女が多忙になっていくに従って、会う機会も減り、すれ違いも増えて、寂しさの中、浮気をしていくというお話し。ただ、前述通り、そこに女性同士のドロドロとした関係とかはあまり描かれません。また、主人公が過去のある出来事から、自分には女神がついていて、いろんな女神から幸せをもらえると信じ込んでいて、複数の女性と仲良くしていても自責の念がなかったりして、あまり重苦しい雰囲気はありません。

あ、それと、話に切ない感じはあんまりなかったです。あ、彰くんが切なかった(笑)

ここから先は、ストリーに絡む感想になりますので、ネタバレにしておきます。
{netabare}
主人公の藤井冬弥については、ヘタレ主人公とか散々言われているようなので、あえてそこについては、突っ込まないことにします。
むしろ、「女性陣ありえない」というのがあたしの感想でした。冬弥は「女神」と呼んでましたが、いやいや、どれも女神とはほど遠いんじゃない?と。あ、由綺ちゃんは除いてね。

各キャラについて触れながら、ストーリーの感想も混ぜていきたいなと。

まず、前半。弥生さん、ありえないw
由綺を護るためにとか言って、冬弥と関係するとかちょっと理解できませんね…。しかも、冬弥振り回されっぱなし。これは、女神じゃなくって、魔女じゃないですか?

後半に入って、美咲さん。まあ彼女の場合、冬弥との付き合いも長いようなので、理解できないわけじゃぁないけど、由綺ちゃんと付き合ってるの知っててあれはないなーと。
女性に嫌われるタイプですよね、彼女(笑)。彰と付き合ってたのにー。自覚もあったわけだし、魔性の女タイプですよねー。

幼馴染みでもっと付き合い長い、はるかちゃんの方がまだ分かるかな。「由綺なんて後で割り込んできたくせに」という台詞がモノを言ってますよね。でも、お兄さんを亡くしてから、冬弥に惹かれるようになった、みたいな描写があるから、ちょっと矛盾してるなーとは思いましたが。まあ、でも、はるかちゃんは色々冬弥に気を遣ったりしてたから、魔女じゃなくてもいいかなー。

マナちゃんはー、冬弥のどこに惹かれたのかよく分かんない。よくある、思春期の思い違いってとこなのかな?
なんか、都合良くただ、ツンデレ出したかっただけっぽい感じがしないでもないなー。

そして、この物語の最大の魔女と言えば、めのうちゃんですよねー。このグレ具合といい、とても女神には見えません(笑)そして、冬弥を一番引っ張り回した張本人。魔女以外の何者かと。

そして、大ボス、緒方理奈。彼女が冬弥に惹かれた理由がやっぱり分かりません。しかも、初対面で逆ナンですよ。しかも、事務所に無断でマネージャーにしちゃうとか。トップアイドルであれはありえないかなーと。
由綺のためとか言いながら、冬弥とキスしたとか告白しちゃうとか、なんかメチャメチャです。事務所辞めてまで由綺に出場を譲った意味がないじゃないですかと。

そして、ヒロインの由綺ちゃんですが。我慢する女にしても、行き過ぎ感が。やっぱり、これって、男性の理想像なんでしょうかね?耐える女みたいな。魔性の女ではないですけど、やっぱりないわーという感じ。
あと、18歳でアイドルデビューとか、どんだけ遅咲きなんですかとか、色々ありますけど、まあ、そこはご都合主義ということで。

冬弥を擁護するつもりは全くありませんが、この人、振り回されすぎじゃね?というのがあたしの感想。

ただ、ラストは、破局でも良かったんじゃないかなーと思ったりしました。由綺ちゃんのためにも、その方が良かったんじゃないかなと。きっとこの男と一緒にいても、幸せになれないと思う(爆笑)
「東京ラブストーリー」のラストでカンチが泣いてたのと同じ様に冬弥も反省したらいいんだ!とか(笑)
にしても、前後半通して、冬弥泣きすぎ。

{/netabare}

うわ、長いですー(汗
ここまで読んでくれた方には感謝です(ぺこぺこ

投稿 : 2024/05/04
♥ : 11
ネタバレ

takumi@ さんの感想・評価

★★★★★ 4.3

重厚なシナリオながら伏線回収もバッチリで見応えあった

前編に引き続き視聴。
この作品は前編後編と繋がっているし、内容がすごく入り組んで
伏線も多いので、これからご覧になる方は必ず前編から入ることをオススメ。
でないと後編だけ観ても何がなんだかわからないと思うし、
ある程度読めたとしても半分の理解になってしまうはず。
というのも、登場人物全員のエピソードが随所に埋め込まれ
それが主人公の言動に影響していくからだ。
そして後半の伏線回収が何ら意味のないものになってしまうから。

前編で気になった音楽の使い方、後編では少し控えめになっており
感動したいところでキッチリ盛り上げてくれたのは良かった。
シナリオの重厚さはさらに増し、特に20話あたりからは目が離せなくなる。
これを放送中リアルタイムで観ていたら、次回が気になって仕方なかっただろう。
その点、後から一気に観れると細かい描写も記憶に残ったまま次回を迎えるので
急いで観るわりに実は丁寧に観ていけたのも良かった。

そしてエロゲ原作と侮るなかれ。
ありがちなハーレムものとはまるで一線を画した良作だった。
OP,EDの歌の昔の歌謡曲っぽい雰囲気や、縦書きのスタッフロール、
芸能界を主な舞台とした話の内容が、TVドラマ的な第一印象ではあったが
この作品の時代設定1986年を考えてのことだと気づかされたし、
あれだけたくさんの伏線を見事に回収し、ひとつのラストに繋げるべく
どんどん引き込ませるシナリオ運びは圧巻。
各登場人物の性格描写、心理描写もきめ細かく、
よくあれだけのことを前編後編あわせて26話にまとめられたものだと・・
それは最近の軽いノリのTVドラマ以上のものがあった。

そして台詞は主人公より、彼の父親をはじめとした周囲の大人たちのほうが
ずっと魅力的な言葉を発していたし、その想いには深く共感できた。
たぶん、この作品は観る人の世代によって納得する部分がそれぞれ違うと
思うけれど、自分がもし今高校生だったら逆に大人たちの態度には腹を立て、
高校生のマナちゃんの言動に一番共感しただろう。

芸能界の裏と表に関しては、聞いたことのあるニュースや噂も
ふんだんに使われており、なんとなくアイドルであるヒロイン2人や
シンガーソングライターの松山めのうなんかも
実在する人と重なってきてしまったりもするし、
芸能プロダクションや社長のスキャンダルなんかも
実際あったなぁ・・って思い出せたほどリアルだった。

リアルだったのはそれに留まらず、各人の恋愛への向き合い方も同じで。
でもここまで褒めておいて唯一残念で仕方なかったのは、主人公・藤井冬弥。
彼の台詞にはほとんど魅力が感じられず、行動にもイラっときてしまうのは
前編を見たときの印象から変わることなく、成長しているようには見えなかった。

しかし良心的にというか作者目線を深読みしてみると、
あえて、どこにでもいるような平凡で、さして特に魅力があるわけでもない青年が
さまざまな女性と出逢い、いろいろな出来事で歯車が回り始め
翻弄し翻弄されていく中、さもモテ男のような錯覚を起こさせてしまう部分を、
まさに描きたかったのかもしれない。
つまり、誰にでも起こり得ることなのだと。

そしてテーマは「浮気」であるから、「浮気」は自分の強い願望がなくても
周囲との歯車次第で誰にでも起こり得ることなのだと言いたかったのかも。
モテることに図に乗ってるわけでもなく、チャラ男でもなく、
少々情けないほど弱気な性格は母性本能をくすぐるんだろうし
やさしく面倒見のいい一面、真面目な態度は好青年という印象を与える。
優柔不断で女性主体にコトを運んでいくような一見フェミニストなところは
好意を持った女性からすると、彼を断ち切る理由がみつかりにくいのだ。

個人的には観ている間「こんな奴のどこが・・」と思っていたし
彼みたいな男を好まない女性から観ても、イライラすると思うが
すごく一般的な大学生の男性像だったような気もする。

それを強調すべく、成功者に見える人物の鬱な内面や裸の王様状態、
仕事一筋の人物の荒れた家庭事情、せつない距離感の父子関係などを
同時に描く必要があったのだろう。

主人公・冬弥にとって本命だった由綺は純情可憐で可愛かったけれど
個人的には、もう1人のトップアイドル緒方理奈の
自分にも他人にも正直な面と強さ、貪欲さのほうが好感持てた。
そしてもう1人、冬弥を微妙な距離感で見守りつつ本当は一番長い期間
好きでいるはずの、はるかの切ない想いとそのスタンスに
深く共感できるものがあった。
さらには、はるかとマナが一緒にいるときのシーンが実は一番楽しめた。

女性たちそれぞれについてだけでなく、男性達も含め、
登場人物が多いので、それぞれについていろいろ書きたいところだが
長文になる上、ネタバレすぎてしまうので、
気になった脇役の中から2人だけちょっと紹介しておこう。


【篠塚弥生】
{netabare}
一番冬弥を誘惑した彼女に関しては僕から観ると、
真の愛情の矛先は別のところにあったと思ってるし
お互いを利用しあう関係でしかなかったからこその距離感であり
いわゆる「大人の関係」「後腐れない関係」でしかなかった。 {/netabare}
でも、実写映画だとしたらアカデミー助演女優賞は彼女で決まりだ(笑)

【澤倉 美咲】
{netabare}
冬弥の大学の先輩である彼女は、とても優しいしっかりお姉さんタイプだが
その一方で、頼まれごとをするとハッキリ断れない弱さがあり
性格的にも決して明るく前向きには見えない。
でも冬弥を諦めてから、どんどん強くなっていけた。{/netabare}
冬弥と似たような性格ながら、彼と違ってその強さは大きな成長となったと思う。
------------------------------------

冬弥を通して、周囲のさまざまな女性たちが良いほうに変化していった。
そして冬弥は今日もどこかで、似たような日々を送っているのかもしれない。
結果的には浮気者だったが、この2つは評価してあげなきゃなのかもだ(笑)
あっ!それから大事なことをひとつ。
必ず最終話はエンドロールが終わった後も観てください。

投稿 : 2024/05/04
♥ : 35
ネタバレ

入杵(イリキ) さんの感想・評価

★★★★★ 4.3

何とも言えない奥ゆかしさが素晴らしい!

前半・後半を視聴しての感想とします。
前半の感想も同一とします。

恋愛シュミレーションゲーム「WHITE ALBUM」を原作に制作された本作は、ゲームの趣旨である「忙しい恋人とのすれ違い」を演出する為に、舞台を携帯電話の無い1987年にし、作品全体のイメージも古風にしている点が大変好感。
水樹奈々によるOPの「深愛」も歌謡曲のような曲調で、テロップも縦書きという手の込んだ作りようである。
ヒロインの声優に水樹奈々、平野綾を起用していて豪華である。

あらすじ
{netabare}
1986年11月-夕凪大学の二年生・藤井冬弥はある朝悪夢にうなされる。
それは恋人である新人アイドル・森川由綺の夢&hellip;。
寝坊でバイトを初日からすっぽかしてしまった冬弥は仕方なく大学に向かう。
学内でTV番組の収録に向かう由綺と偶然会うが、二人は短い会話を交わすのみに留まる&hellip;。
「&hellip;会えなくなるんだから。今よりもっと」冬弥は大学の先輩、澤倉美咲からの忠告も今ひとつ実感を持ってとらえられない。
友人の七瀬彰の紹介で喫茶店&ldquo;エコーズ"でバイトすることになった冬弥。
一方、東央テレビのスタジオでは、由綺と同じ事務所の先輩にしてトップアイドル・緒方理奈の出演する番組の収録が始まろうとしていた。
アシスタントとして出演する由綺は、彼女や理奈を敵視するアイドルグループ「桜団」の嫌がらせを受け窮地に陥るが&hellip;。

TV番組の収録を終えた由綺は所属事務所の社長であり、かつて音楽界のスターだった緒方英二の自宅に呼び出される。
[詳細]その頃、冬弥は幼なじみであり現在も同じ大学に通う、河島はるかの突然の訪問&散歩に連れ出されていた。
遅れて緒方邸に到着した理奈は、英二の部屋でなぜか泣きじゃくる由綺に遭遇する&hellip;。
翌日、&ldquo;エコーズ"でバイトをする冬弥のもとに不自然な変装の二人組が現れるが、それは由綺と理奈だった。
由綺は仕事に向かい、店内に残った理奈は冬弥に紙ナプキンに書いたメッセージを手渡す。
「電話番号 おしえて」―――。
{/netabare}

感想

本作は他作には多数存在する存在意義の無い或いは薄い登場人物が一人たりともおらず、全員が作品に関わっている点や、
登場人物が如何にも人間らしい点も評価出来る。
特筆すべきは「伏線の回収」の秀逸さである。これは筆舌に尽くしがたいので(姑息だが)、視聴していただく他無い。
無駄な回が只の一度も無く、見逃すと話しについていけないほど、綿密なストーリーは理解が追いつかず、万人受けはしないが、特定の人は大変な感動を覚えるだろう。
作画もどこか深遠で美しい。

総評

本作は一話一話の情報量の密度が高く、数度の再視聴にも十分堪えうる作品である。素晴らしい。
難点は、万人受けを狙っておらず、必然的に一度の視聴での理解度が低くなってしまい、集中してみなければ、意味の分からないつまらない作品と認知されてしまう点だろう。
数度の視聴をお勧めしたい。これほど魅力的な物語は、そう簡単には作れまい。制作陣に脱帽する。

投稿 : 2024/05/04
♥ : 11

62.0 18 ドロドロアニメランキング18位
劇場版 Wake Up,Girls! 七人のアイドル(アニメ映画)

2014年1月10日
★★★★☆ 3.5 (254)
1188人が棚に入れました
グリーンリーヴズ・エンタテインメントは、仙台で活動する弱小芸能プロダクション。しかし最後の所属タレントに逃げられ、社長の丹下は次の手としてアイドルユニットの結成を思い立つ。丹下の無茶振りにしぶしぶ街に繰り出しスカウトを始めたマネージャーの松田は、公園で一人歌を口ずさむ少女に出会う。その素晴らしい歌声に思わず声をかけるのだが、彼女は「アイドル」という言葉に表情を曇らせ、逃げるように立ち去ってしまう。松田は知らなかったのだが、その少女こそかつて国民的人気アイドルユニット『I-1クラブ』のセンターを務めながらも、ある事情で脱退した元アイドル、島田真夢であった。

takarock さんの感想・評価

★★★☆☆ 2.9

2.5次元アイドル、その名もWake Up,Girls!

まず、あらすじよりもこの作品が制作されるまでの流れを簡単に紹介したいと思います。

2012年9月10日に東北を舞台としたアイドルアニメの制作が発表されるとともに、
スタッフが公開された。
主役7人の声優はプロダクションに所属していない一般人から
81プロデュースとavexが共同でオーディションで選考することが発表された。
(wikipediaより抜粋)

原案・監督 はヤマカンこと山本寛監督です。

上記の通り、Wake Up,Girls!メンバー7人の声優は素人です。
また、島田真夢→(声優 吉岡茉祐)、林田藍里→(声優 永野愛理)という具合に
役名と声優の名前をリンクさせています。
さらにキャラデザもその担当声優をモデルにしているという徹底ぶりです。

この作品ではアイドル界の汚い部分や業界の裏側も描写していくということなので、
メンバー間の争い、事務所の資金繰りやTV業界やスポンサーとの関係、セクハラシーン、
さらにいえば枕営業を強要されるシーンなんていうのもあるのかもしれません。

言い方は悪いですけど、
これはアイドルアニメを介して新人声優を見世物にしていると言えるでしょう。
泥に塗れてそれでも必死に夢に向かって頑張っていくメンバーの姿を応援することは
メンバーの声優を応援することに直結するような作りになっているわけです。
2.5次元といったところでしょうが、正直かなりえぐいやり方です。

最近では女性声優は声だけの役割だけでなく、アイドルとしての役割を
求められているのはすでに周知のことだと思います。
例えば、「探偵オペラ ミルキィホームズ」はアニメの思わぬヒットにより
その声優(若手中心)のLIVEは武道館も満員御礼になる程の
人気っぷりだったのは記憶に新しいところです。

この作品もアニメがある程度人気になれば、
無名の新人声優を一躍有名にすると共に
雀の涙程度のギャラの新人声優のLIVEで客を埋め、
イベント収入やそれに付随するグッズ収入等で
稼げるコンテンツに育っていくのかもしれません。
DVDやBDの売上に頼っている形態からの脱却という点でいえば
おもしろい試みだとは思います。
あまりに露骨で阿漕なやり方なのかもしれませんが、
「悲しいけど、これ商売なのよね」とスレッガー中尉もおっしゃることでしょう。
もっともこれは単なる私の推測に過ぎない話なんですけどねw

一応ストーリーにも触れておきましょう。
映画ではメンバー結成→初LIVEまでの話です。
アニメの0話の位置付けの話となります。

私はアニメから視聴したのですが、
まぁ映画を観てなくてもなんとか脳内補完できるとは思いますが、
やはり映画を最初に観るべきでしょう。有料ですがニコニコ動画でも視聴できます。
でもこの話は無料で流せよ。撒き餌を有料にして誰が食いつくんだよって話です。

俺か・・・でもそんな奇特な人はそんなにいるわけもなく
案の定あにこれだけでなくアニメから視聴した層からは大不評です。
「意味がわからない」「超劣化版アイマス」などと散々な言われようです。
奇しくもこの状況は誰からも期待されていない
地方の無名アイドルWake Up,Girls!のはじまりと似ているのかもしれません。
(ただ、この作品は無関心どころか嫌われている状態なのかもしれませんが)

ちなみに現在放送中のアニメは2話まで視聴していますが、
未だにメンバーを把握し切れていません。全員同じ顔に見える状態ですw
この辺もある意味リアルなのかもしれませんねw

Wake Up,Girls!はこれから作中でどんどん有名になっていくのでしょうが、
この作品もそうなっていくのでしょうか?
まぁ正直無理だとは思いますが・・
現実でも数多のアイドルが存在する中でトップアイドルになるのは
それこそ奇跡といえるような確率だと思います。
この作品も奇跡を起こせればいいですね。
まぁ正直(以下略)

投稿 : 2024/05/04
♥ : 39
ネタバレ

ヘラチオ さんの感想・評価

★★★★☆ 3.7

WUGの始まり

舞台は仙台。WUGのメンバーが集められ、貧乏事務所に所属して活動を始める。
ただの高校生だった林田藍里、民謡好きで歌唱力があり、東北のど自慢大会で優勝したことがある片山実波、ローカルタレントの七瀬佳乃、光塚歌劇団を志している最年少の久海菜々美、バイトで店長と折り合いがつかず、辞めたばかり最年長の菊間夏夜、メイド喫茶でアルバイトしていた岡本未夕の7人で活動。さらに担当する声優たちもリアルでユニットとして活動していた。

アイドルアニメでは珍しくファンの行動に焦点が当たっていることもある。社長の丹下は日高のり子さんなんだけど、こんなキャラクターをやるイメージはなかった。

タチアガレ!はWUGを代表する曲で最初の曲である。作品やユニットの出発として素晴らしかった。

以下は備忘録
{netabare}
2013年7月、宮城県仙台に拠点を置く弱小芸能プロダクション「グリーンリーヴス・エンタテインメント」は所属していた最後のタレントにも逃げられ、危機を迎えていた。社長の丹下順子は打開策としてアイドルグループの結成を思いつく。さっそく命令でアイドルのスカウトを始めた事務所のマネージャー、松田耕平は公園でひとり口ずさむ少女の歌声に魅了され、声をかけてみる。かつて人気アイドルグループI-1clubの中心メンバーだったものの、ある事情から脱退していた島田真夢だった。
広告や街での勧誘の結果、6人のメンバーを選抜。オーディションに応募してきた林田藍里の付き添いで真夢も現れ、丹下や松田が再度勧誘するも拒絶され、6人でアイドルグループWake Up, Girls!の活動を開始する。真夢はレッスンの会場前まで藍里の付き添いで行った際、Wake Up, Girls!がダンスをする光景を見て思わず歌に合わせてステップを踏んでしまう。松田は真夢に、I-1club時代の輝いていた真夢が映ったDVDを無理やり渡す。
Wake Up, Girls!はCDデビュー&デビューライブ。デビュー曲も丹下と懇意にしていたユニット・Twinkleに作詞・作曲の提供をしてもらい、インディーズながらCDが完成。しかし、丹下が会社の金を持ち逃げ。デビューライブは中止となり、松田やWake Up, Girls!の6人は互いに今後を考える。デビューを望んでいた藍里が危機を泣きながら真夢に話したことで自分の過去と重なる部分を思い出し、松田から渡されたDVDを自室で一人泣きながら見る。自分のしたいことに気づいた真夢は家を飛び出し、雨の中を走って、グリーンリーブスの事務所に飛び込んだ。
松田と6人のメンバーが1回だけでもライブをやろうと話し合っていた。真夢がWake Up, Girls!に入りたいと宣言すると、リーダーである七瀬佳乃が真夢の覚悟を問いただし、加入が決定。真夢を含めて最初で最後のライブを12月24日のクリスマスイブに行うことが決まった。しかし、飛び込みでやることになったライブは事前告知も出来なかった。雪も降り出し、人もまばらな夜の勾当台公園野外音楽堂で、Wake Up, Girls!の7人は見せパンを履かずに制服で1曲だけのステージ。観客の一人が「アンコール」を連呼。{/netabare}

投稿 : 2024/05/04
♥ : 2

けみかけ さんの感想・評価

★★★★★ 4.5

「松田、アイドルとは何?」「アイドルとは物語よ、物語とはすなわち可能性よ」

まずはおかえりヤマカン!
そしてアニメ映画デビューおめでとう!
大変素晴らしかったです^^b


新人声優の育成とアニメ作品を同時進行させる『Wake Up Girls!』の【エピソード0】となるのが本作です
コレを観てからだとテレビアニメ第1話の印象がだいぶ変わります


監督はアニメ業界にダンス作画ブーム、ライブ作画ブーム、聖地巡礼ブームを巻き起こしたヤマカンこと「山本寛」
脚本に『らきすた』、『アイドルマスター』の「待田堂子」
キャラクターデザインにTV版『今日の5の2』、『ヤマノススメ』7話、『宮河家の空腹』1話の「近岡直」
そしてもはやヤマカン作品の常連、「神前暁」
とまあ、まずスタッフが実にオイラ好み(笑)


シリーズの最大の特徴は主役に抜擢された“ド新人”声優の7人を劇中のヒロイン達とリンクさせ、虚実混在の物語とするというもの
当て字こそ違うものの、登場人物と担当声優の名前が同じで、キャラデザも実際の声優の容姿をモデルとしているのです
おかげで名前と顔はすぐ覚えられそうですw


仙台に拠点を置く弱小芸能事務所のマネージャーを務める「松田」
彼は社長の命令でアイドルユニットを結成するべく“金の卵”となる美少女のスカウトに勤しんでいた
偶然にも国民的アイドルユニット「I-1 club」の元センター、「島田真夢」を見つけるがアイドルは彼女にとって過去の傷であり、オーディションに参加することを頑なに拒む
一方、彼女の他に6人のアイドル候補生を見つけ出すことに漕ぎ付けるものの、センターに相応しい存在感のある少女が欠けていることが問題視されていた
各々の思惑で参加したアイドルオーディションだったが、やがて一つのユニット「Wake Up Girls」(略称:WUG)として結束していく6人
しかしCDデビュー直前になって社長が運転資金を持って失踪
WUGのデビューは白紙となってしまったが・・・


時はアイドル戦国時代
いや、アイドルアニメ戦国時代です!
豪華ベテランスタッフが集結した実力の『アイマス』、CG演出を効果的に挟んでくる技術の『ラブライブ』、そしてポップアートを積極的に取り入れて老若男女関係なく人気幅を広げる挑戦の『アイカツ』


それらどれとも違った2014年の急先鋒となった『WUG』ですが、近岡の緩いラインと自由奔放な作画を軸に若手故の勢い余る演技で魅せる声優陣とまあ、今作はどの部分をどの作品と比べても実に【未完成】であると言えます


しかしながら【未完成】であるとはすなわち、劇中の台詞通りに【可能性】を感じさせてくれるものだと思います
これから広がっていくテレビシリーズの展開、「WUG」の行方、さらにその先にある新人声優たちの未来
その全てが“この映画をスタートにしている”と言える日が来ることをゆっくり待ち望みたい、そんな気持ちにさせてくれる希望感に満ち満ちた作品ですb


こんな素晴らしい映画が1発目とは・・・2014年もアニメ映画から目が離せない!
ちなみにオイラは夏夜さん推しだ!w

投稿 : 2024/05/04
♥ : 27

69.9 19 ドロドロアニメランキング19位
D.C.ダカーポ(TVアニメ動画)

2003年夏アニメ
★★★★☆ 3.5 (558)
3553人が棚に入れました
7年前から1年中枯れない桜が咲いているという不思議な島「初音島」。
主人公朝倉純一はそんな初音島の風見学園付属に通う3年生。彼には不思議な力があった。一つは「何も無いところから和菓子を生み出す力」、もう一つは「他人の夢を強制的に見せられる力」。
そんな彼が卒業間近に見せられた夢の中の幼馴染、目覚ましにやってきた同居中の義理の妹、「かったるい」とつぶやきながら通う学園で出会うクラスメイト・先輩・後輩の女の子達。そんなヒロインたちとはじまる「ちょっとこそばゆい」恋愛の物語である。

声優・キャラクター
野川さくら、田村ゆかり、神田朱未、堀江由衣、伊月ゆい、松岡由貴、松来未祐、秦勇気、岸尾だいすけ
ネタバレ

ヒロトシ さんの感想・評価

★★★★☆ 3.9

また会おう、桜舞う季節の中で。

今年の桜は例年以上に咲くのが早く、今週の水曜日の時点では既に五分咲き、週末には満開になると言われています。とある情報番組で気象予報士の方が仰られていましたが、これは観測史上最速タイとの事だそうです。時たま寒い日もあったりして、寒暖の差が激しかったりもしますが、それでも春を実感できるのは、桜のおかげでしょうね。日本人の桜に対する感心・情緒といったものは、古来から受け継がれてきた日本人の内面的な伝統文化だと思います。この時期は、自分はやはり日本人であるんだな~と改めて再確認できる、素敵な季節でもありますね。

という事で、アニメで、いの一番に思い出すのが、『夜桜四重奏』と『D.C.ダカーポ』なのですが、今回は後者です。一年中桜の木が満開という世界で織り成す恋愛アニメ『D.C.ダカーポ』前半は本編が15分+サイドストーリーorキャラソン/PV15分という構成、後半は普通のアニメと同じ20分強の本編展開となっている。若干不思議な構成でした。今は5分アニメが流行っていますが、その前は15分アニメが流行っていたような気がしますね。本作の監督を務めたのは、宮崎なぎさ監督ですが、低予算のこのアニメをまがりなりにも『成功』させてしまった為に、後に同じく低予算で作られていたであろう『魔法先生ネギま!』の監督を任されますが、作画崩壊・スケジュール管理の甘さ等を指摘されて、途中降板の憂き目にあってしまいます。皮肉にも低予算のアニメでもこの監督さんは回せてしまう!という評価がついてしまった故の悲劇ですね。という具合にこの作品も作画自体は時々崩壊はしていましたので、気になる人は気になるのではと思います。どうでもいい話として、本編の作画とサイドストーリーの作画も全然違っていたりしました。少しは統一しろよ~と当時思ったものです。これはこれでインパクトを視聴者に与えたのは間違いないと思うんですけど。

{netabare}前半部分はヒロインの顔見せから始まり、登場人物の何人かを交えてのラブコメ展開で突き進んでいきますが、後半部分はメインヒロインである音夢とさくらと純一の三角関係を軸にしたドロドロな話へと変わっていき、その一方でヒロイン達との別れも描かれるなど、シリアス路線に完全傾倒していきます。あまりに変わりすぎて、前半の雰囲気が懐かしくなる程ですね。それとあんなに綺麗だなと感じていた桜の木が不気味な存在になっていくのも怖かったです。1年中咲いているって、よく考えればおかしくね?とか常識的に考えれば疑問に思うんですけども、これアニメですからねえw

私が印象に残っているエピソードはやはり22話の『すてきな思い出』ですね。猫耳メイド頼子さんとの別れを描いた話なんですが、今まで特に自己主張もしてこなかった、頼子さんのたった1回の我侭なお願い。その我侭に純一が付き合う事になるのですが、それが『学校に行ってみたい』というお願いなんですよ。深夜の学校に忍び込んで、普段勉強している教室を見せたり、その中で頼子さんが自分が転校生としてこの学校にやってきたら・・・・とか想像して、純一と笑いあったり、食堂で飲み物を飲んで雑談したり、体育館でバスケットをして遊んだりといったシーンが、挿入歌『ほんとのきもち』のメロディーに乗せて流れます。頼子さんの真意は実は視聴者に薄々気づけるように今までの流れからしてなっているのですが、当の純一にはそれが良く分からないというのがミソですね。だからこそ屋上で頼子さんとの別れのシーンは、純一のその時の気持ちが痛いほど伝わってきて、正直泣けます。

特に涙腺を刺激したのは、もう本当にさよならになるって時の頼子さんの台詞ですね。これがまあ凄いのなんのって。

『カレーは分けておきました。その都度チンして召し上がってください』

『新しい靴下入れておきました。たまには替えたほうがいいと思います』

『お預かりしていた生活費の残りは・・・』(ここで笑顔で頑張っていた頼子さん涙腺崩壊。頑張っていた私も涙腺崩壊)

最後の最後まで残された純一と音夢を心配する、作中屈指の名シーンだと思います。別れのシーンはそれこそ何回もこれまで見てきましたが、どれもやっぱり現実味に欠けるせいか、あんまり感動という意味ではそれ程だったんですよ。所がこんな生活感溢れる事をお別れ間際に言われてしまうと、ちょっとグッときますよね。頼子さんがメイドという設定だから、こういう台詞になったのだと思いますが、まさかこういう形で別れを演出してくるとは思ってなかったので、いい意味で予想を裏切られたシーンでした。この瞬間、私の中の理想のメイドは頼子さんと『水月』の雪さんとなったのでしたw {/netabare}

最後にD.C.ダカーポと言えば、音楽が良い事も特徴の1つとして挙げられます。先程紹介した挿入歌も総じてレベルが高い曲ばかりですし。でもこの作品で、特に有名な曲といえば、やはり『存在』でしょうね。聞いた事ねえ!という人は一度聞いてみるといいかも。私がアニソンって結構良い曲多いのだな~とハマるきっかけになった曲でもあります。この作品は他にOP『サクラサクミライコイユメ』有名で人気がありますが、私はどっちかというと『未来へのメロディー』の方が好きですね。別に捻くれているわけではなく、作品のテーマを考えた場合、後者の方がしっくりくるのですよ。サクラサクは明るすぎてちょっと違和感覚えるんですよね。前半部分のみなら、これ以上ない楽曲だとは思うのですが。

粗もそれなりにあるのですが、未見の人にはオススメできるぐらいの仕上がりにはなっています。爽やかな恋愛作品という訳では残念ながらないのですが、魅力的なキャラが多いのでキャラに萌えるも良し、話を楽しむも良し、といった具合に自分の好きな形で鑑賞出来るアニメだとは思います。良いアニメですよ。まつらいさんには本当に幸せを掴んで欲しいですねえ、と最後に余計な事を呟いてみるw

投稿 : 2024/05/04
♥ : 21
ネタバレ

とってなむ さんの感想・評価

★★★★★ 4.1

舞い散る桜に願いを込めて

聞いたことはあるが、シリーズが多くて何となく敬遠。
私恒例のパターンで今まで視聴をしてこなかったダカーポ。
いざ観てみると、思わず観入ってしまいました。
面白かったです。


舞台は桜が一年中咲いているという奇妙な「初音島」。
この島では魔法の力が働いているようです。
本作はこの初音島で風見学園付属に通う主人公・純一を中心として起こる、
ちょっと不思議な恋愛物語を描いています。
それにしても、この手の作品で純一と聞くとアマガミをついつい思い出してしまいました。


視聴を進めまず驚いたのが、意外にもファンタジックだったこと。
手から和菓子が出せるだとか、他人の心を読むことができるだとか。
後半の展開にも魔法が大きく関与しています。


内容は前半と後半で様変わりします。
極端にいえば前半は1話完結の恋愛ギャグアニメ。
ヒロイン一人一人のエピソードは観てて楽しかったです。
後半は下で感想として触れたいと思います。



以下、私の感想です。(音夢とさくらについて)
伏線はありましたが、16話からは特に盛り上がりました。
それと同時に軽く鬱になりかけました。
それもこれも、ドロドロした恋愛模様のお陰です。

{netabare}音夢 vs さくら は凄かったですね。
特にさくらの『音夢ちゃんだけはダメなんだから!』
と、音夢の『さくらちゃんだけはイヤ!』
の台詞の壮絶さから窺える屋上での直接対決。
息を呑む一幕でした。
二人の言いたいことは分かります。
どちらも純一を心から愛しているのですから。

こんな凄まじい修羅場が見れるのも、本作の魅力の1つかもしれませんね。


この作品で面白いと思うのが、
純一がわりと早い段階で相手を選ぶところ。
それが音夢なわけですが、そこから順風満帆に行かないんですよね。
さくらの逆襲が待っていました。
桜の魔法の力(呪い)も・・
私は音夢派なので、胸が苦しくなる展開。
口から桜の花弁だなんて、普通とは違ったエグさがありました。



音夢が好きなためか、視聴中どうしても思ってしまったのが
さくらの方がずるくね?です。
「「桜の木の下で約束したことは必ず叶う」」
そしてさくらは木の下で純一とのことを願いました。
それも木の陰に音夢がいることを知ってて。

さくらは自分がアメリカに行っている間、音夢が純一とずっと一緒にいたからもう十分、これからもだなんて欲張りだ!と主張してますが、ただの自分勝手にしか思えませんでした。{/netabare}


・・みたいに、相当感情移入して観てしまっていたようです。


{netabare}とりあえず音夢が死ななくて良かった・・{/netabare}
最終的にはこれに尽きます。
さくらにも感謝。
正直、さくらは当時は嫌いなキャラでしたが、今では(D.C.S.SやD.C.Ⅱも影響してか)かなりのお気に入りとなっています。


心残りは最終回、{netabare}正常状態での音夢とさくらが再会できなかったこと。
互いのことを改めて理解した二人がどのように再会するのか、楽しみにしていたので。{/netabare}
他にも全体的に、最終回はやや説明不足でした。
ですが、物語としては上手く纏まっていたと思います。
ほんと面白かったです。


音夢はドストライクでした。可愛い。



OP「サクラサクミライコイユメ」 歌ーyozuca*
ED1「未来へのMelody」 歌ーCooRie
ED2「存在」 歌ーCooRie

OPが素晴らしい。
CooRieの曲も相変わらず魅力的です。


--------------------------


これを書いている私は、D.C.S.Sを観終わり現在D.C.Ⅱを視聴中。
D.C.ワールド、存分に楽しめてます。

投稿 : 2024/05/04
♥ : 28

くろゆき* さんの感想・評価

★★★☆☆ 3.0

タイトルなし

キャラ別感想

朝倉音夢
主人公の双子の妹。もちろん義妹ですが。
主人公の呼び方は「お兄ちゃん」ではなく、さくらに対抗して「兄さん」と呼んでいます。
 …しかし、たまに「お兄ちゃん」と呼ぶこともあります。萌え。

私的に『D.C.』最萌えキャラです。
双子の妹という立場がいいですね。
(D.C.』以外ではWitchの『片翼の天使』以外、双子の妹が出てくるゲームはないと思います)

嫉妬深く、焼き餅焼きなところもいいですな。

VFBによると…
・さくらが出したエアーメイルを純一の手元に届く前に処分している。
・音夢シナリオは音夢自身の自作自演。

嫉妬深いにも限度があると思いますが……。
とまあ、兄と自分のためなら何だってするその性根が素晴らしい限りです。うむうむ。


芳野さくら
主人公の従姉妹。従妹ではなく従姉にあたる。
それなのに主人公の呼び方は音夢に対抗して「お兄ちゃん」。…奥が深い。
 実は外見に反して、精神的には登場人物の中で一番大人。というか、色々と達観している節がある。

主人公の親が従兄妹同士の結婚だったので、もしさくらと結婚をして子供を産めば更に血が濃くなります。 法的には問題はないですけど、ソフ倫上のエロゲーで最も近親相姦をしていますね。
インモラル万歳。


白河ことり
学園のアイドル。
人の心を読む――サトリの力があります。
キャラクター的には学園のアイドルという肩書きに反して結構面白いタイプ。

「こんちわっす」
「んげっ!」

といった珍発言が多いキャラです。

実はサーカスの『水夏』にでてくる白河さやかの実の妹でもあります。
ゲームの範囲ではわかりませんが、設定集等などにさり気なく書いてありました。


水越萌
ボケボケな先輩。
歩きながら木琴を叩くという(しかも寝ている)、どこに萌えたらいいのかわからない奇行を取ります…。
実は睡眠薬中毒。
睡眠薬はダウナー系の薬物でもあるので、端的に言えばヤク中。

アニメ版では乳のでかいお色気担当という位置づけにいますが、ゲーム本編ではエロシーンのCGに乳が出ててきません。びっくり。
純一はたわわな乳に興味は無いのかっ!? …全く不健全な野郎です。


水越眞子

勝ち気なクラスメイト。
それ以上でも以下でもありません。
水越萌という奇特な姉を持つため、色々と気苦労が絶えない人。
その点は同情します。

どうやら、吹奏楽部でフルートが達者らしいのですが、アニメ版にはそんな描写は一度もありませんでした。

ゲーム本編のシナリオは最低を通り越して最悪な内容。
それだけは強く記憶しています。


天枷美春
可哀想な人。
事故で昏睡状態に陥り、その代役として本人そっくりなロボに立て替えられる。
顔も形も性格も本人と寸分違わず同じなので、美春本人がいなくても何の支障もないという―――彼女の存在自体が否定されかけられる事態に…。
さらには、主人公との思い出の品を本人の了承を抜きに勝手に掘り出されたりとさんざんな目に。

性格は人懐こく、しっぽを振る犬の様な性格をしています。
2ちゃんねらーでもあり、アニメ版ではその2ちゃんねらーぶりが垣間見られました。


鷺澤頼子
ネコミミメイド。
あざとい設定ですが、性格自体はそれほどあざとくありません。
ゲーム版のキャラクターCGではネコミミがネコミミに見えないのは気のせいでしょうか?

アニメ版の頼子さんシナリオの出来はアニメ版最高傑作と言われているらしいです。

投稿 : 2024/05/04
♥ : 3

64.7 20 ドロドロアニメランキング20位
文学少女 劇場版(アニメ映画)

2010年5月1日
★★★★☆ 3.7 (274)
1385人が棚に入れました
文字どおり食べてしまうほど文学が好きなヒロイン・天野遠子と、彼女によって無理やり文芸部に入部させられた男子高校生・井上心葉が様々な事件の解決に乗り出す学園生活の模様を綴った野村美月の人気ライトノベル・シリーズを映画化した劇場版アニメ。『銀河鉄道の夜』がモチーフとなっている原作の第5巻『“文学少女”と慟哭の巡礼者【パルミエーレ】』をベースに、心葉と彼のトラウマとなっている少女・朝倉美羽との運命の再会がもたらす切なくも愛憎入り交じる人間模様を描く。

声優・キャラクター
花澤香菜、入野自由、水樹奈々、宮野真守、小野大輔、豊崎愛生、下田麻美、平野綾
ネタバレ

N0TT0N さんの感想・評価

★★★★☆ 3.5

視聴ルートと個人的適性。

【わたしのタイプと視聴ルート。】

前もって言っておくと、私にとってチャレンジ色の濃い視聴でした。

・普段見ないタイプの作品(恋愛強め)
・キャラデが好きな方ではない(少女漫画風?)
・普段は比較的情報を入れずに視聴するタイプだけど、今回沢山のレビューをじっくり(ネタバレ抜きで)読ませていただいてからの視聴。

3つ目は、どうやら劇場版とOVAが補完関係になっているらしいという構成を知って視聴順を決めるためやむなく‥というのが大きな理由。
先ず、そういうタイプのわたしが書いたレビューなのを前もって言っておきます。原作未読。

で、わたしが選んだ視聴ルートはというと、
OVA(3作品)→劇場版でした。情報比較の甲斐もあり、個人的にはこのルートで正解だったと思うのですが、さらに完璧を期すためには、「プレリュード(OVA)」→「劇場版中盤まで」→「レクイエム(OVA)」→「劇場版クライマックッス」、で、デザートに「OVAのラプソディー」。
これがN0TT0Nお薦めの視聴ルートですw
お試しあれ。



【軽く内容などについて。】

山とガールが、肉食と女子が、ゲスの極みと乙女が出会う遥か以前からまるで四文字熟語か慣用句かのように融合している『文学』と『少女』。
この飛行機雲のようにまっすぐなタイトルから、爽やかで、なにか清廉なイメージを勝手に持ってしまうのですが(キャラデも含めて)、結構、闇な部分を描いた作品だったと言えます。
宮沢賢治の文学作品をモチーフにしている点など文学関連のフィルターを通した表現が多いのですが、この作品の主題は「トラウマ×恋愛」だと思うので、爽やかとか癒される系の物語を、心掻き乱されることなく視たい人にはお薦めできません。要注意です。

ただ、文学少女こと天野遠子先輩の登場している時間帯、特に文芸部の部室シーンは別。逆光などの作画クオリティも手伝ってか、とてもいい感じの空間に仕上がってます。

ですが彼女、ほとんど物語に関わってこない。
この部分は上記の視聴ルートで多少改善されますが、物語を食べる彼女、そもそもこの物語の中での立ち位置も、この特異な設定と同じように読者であったのかもしれません。
ファンタジックな着地も読者目線と捉えればなんとなく合点がいきます。
てか、OVAプレリュードを視聴すると、このはと遠子先輩との出会いの意味が180度変わるエピソードが仕込まれています。
実はこの物語、遠子先輩の思惑がかなり‥‥ry

そして物語の主題「トラウマ」に関しても劇場版だけでは消化不良だったと思います。わたしが朝倉美羽というちょっとアレなキャラに高いリアリティを感じたのはOVAレクイエムのおかげだったと思ってます。

全体としては、リアルな葛藤に対してファンタジーな爽やかさを被せてくる演出がう~~ん‥でした。
空気感としては良い「転」→「結」だったと思うけど、この辺がカッチリ融合して説得力をもっていればもう少し楽しめたかと思います。

ということで、わたしの未知のジャンルの適性チャレンジは"保留"という感じになりました。小さな一歩は踏み出しましたが、恋愛度強の作品を堪能できる素養はまだ確認できてません。

作品については、正直劇場版単体ではあまり物語を評価できませんが、OVA込で視るんであれば、それなりに楽しめるかと。突っ込みどころも完備してますしね。

※以下OVAの話込みのネタバレ。

{netabare}

正直言うと劇場版とOVAの連続性が欲しかった。
大人の事情が多大に影響していたのでしょうが。。

キャラデは意外といけたし、髪揺れや光表現などの作画クオリティも高く視やすかった。ちあの身長が完全に1m切ってたシーンあったけど流石に吹いたwだまし絵かとww

内容的にはOVAも含めると美羽のキャラは説得力あったと思う。思うのだけどトラウマ克服の展開が安易なのは否定できない。一言で救われることが絶対に無いとは言わないけど、遠子先輩と初対面なのも含め、積み重ねが無さ過ぎて説得力が‥。

そもそも抱えてる問題はリアルに描いてるのに解決方法が唐突で、しかもファンタジー‥というのがちょっと興ざめでした。
しかも美羽が克服したとみるや遠子先輩に一目散なこのはw
なんたるフットワーク、切り替えの速さ。バロンドール候補に推薦したいレベル。

その遠子先輩は魅力的に描かれてて良かった。魅力的でいて物語に殆ど関わらないという立ち位置がある意味斬新だけど、OVA込みならまあまあ理解できる感じ。物語を食べる設定もOVAで結構お腹いっぱいにはなるんだけど、返す返すも劇場版と連続性を持たせて頂きたかった。

以上です(`_´)ゞ

{/netabare}

投稿 : 2024/05/04
♥ : 17
ネタバレ

nyaro さんの感想・評価

★★★★★ 4.6

ファンタジーだからこそ心の動きが自然でした。

 dアニメのトップにあったので、あまりのなつかしさに視聴しました。本作を見て思うのは、感動とかいい作品って、決してリアリティじゃないですね。

 どんな荒唐無稽な設定の中でも人の心の動きをしっかりと描き切っていれば、一見バカみたいな設定、ちょっと不自然な物語の展開が、かえって感情を強調してくれて深く感動できます。それが、日本のマンガやアニメそしてラノベのいいところだと思います。そしてその代表が「文学少女」なのかもしれません。

 出てくる女がみんな不快になる要素を持っています。ヒロイン遠子も含めてです。彼女は無垢でもありますが、我儘です。でも、深く深く主人公を尊敬し理解しています。しかも、主人公が井上ミウだということを知らなかったのにです。そして、その事実を知ったからED前のあの2人の美しい場面につながってゆきます。

 {netabare} 誰よりも好きで理解していて尊敬しているから一緒にはいられない、{/netabare}という決断って古典的ではあります。が、これを自然に描こうとするのはストーリーに力がないと間抜けになります。遠子の決断に至る心の動きの説得力は、文学を味わうという「文学少女」の不思議なファンタジーな設定だからこそ活きてきます。

 で、本作のメインキャラ、ミウがいるわけです。まあ、この子についてのエピソードは正直不快なだけですが、主人公が小説家になるきっかけとか、遠子との対比という意味で重要です。ミウは主人公にきっかけを与えましたが、結果として彼の小説家としての未来を危うくしてしまいます。でも、遠子は主人公を少しずつ癒し、最後は{netabare}自分の気持ちと引き換えに背中を押します。{/netabare}主人公に対する執着と理解、心を壊したか癒したかが描かれていました。だから、最後の10分くらいの感動につながりました。
 号泣は言い過ぎですが、結構涙が自然にあふれてきました。

 それにしても平野綾さんは、うまいですね。いろいろあって活躍が中途半端なのは残念ですが、声の演技という点では非常に才能がある方でした。素晴らしかったと思います。

 非常に面白いし、懐かしくてさっき原作全巻買い直してしまいました。本作は不思議なことにこの映画の前段となるシリーズがTV等でアニメ化されてないんですよね。で、いきなり映画ってすごいですね。是非TV化希望といいたいですが、今のラノベと比べて作風が古いですし、当時としても異色だったと思います。多分もう無理でしょうね。

 予備知識が無くても、本作だけでも楽しめます。人の設定もストーリー展開上知識無くても読み取れる部分は多いです。
 ただ、やっぱり登場人物とかの関係で入り込むなら原作読んだほうが良いかもしれません。竹田という女の子。原作はかなり強烈でしたが、本作ではあんまり感じませんでした。

 なお、エンドロール後のあれはそういう事です。良かったですね。

追記 皆さんのレビューで知りましたがovaあるんですね。さっそく探してみます。


雑記です。

 宮沢賢治についてはビブリオ古書店でも取り上げられていますし、ピングドラムでは主題でした。銀河鉄道999はまあモチーフにしただけですが。作品そのものは銀河鉄道の夜以外に沢山アニメ化されています。アニメ見るなら一度宮沢賢治はじっくり読んでおいた方がよいかもしれません。

 覆面美少女作家というと、北村薫を思い出しますね。多分作風からいって本作の原作者も読んでいるのではないでしょうか。
 北村薫は意図したわけではないですが、おっさんで学校の先生で身分を隠したら女子大生と勘違いされたみたいですね。この人は人が死なない推理小説の元祖とも言われています。氷菓とかハルチカとか好きな方にお勧めです。

 追記 なお北村薫はリセット、ターン、スキップの3部作で時間跳躍というSF要素を一般推理小説に導入した功績もあります。一般人?が見る普通のTVドラマ化もされているのでその意味では日本のクリエータに多大な影響を与えた人です。

投稿 : 2024/05/04
♥ : 2

野菜炒め帝国950円 さんの感想・評価

★★★★☆ 3.7

(他人の)愛憎劇。それは最高のご馳走。

アニメ見ると感想書く習慣がついたせいで最近よくやる(エロ)同人RPG
クリア後の感想書かないとなんかモヤモヤする体にされてしまった。

ドロドロ検索シリーズ。
今回はこの文学少女。110分かそんくらい。
原作はあるらしいのだけど知らなくても特に問題無し。勿論私も知りません。

タイトルがドロドロ劇に似つかわしくないので視聴前は半信半疑ではあったけど考えてみればあのスクイズだってタイトルは学校の日々という割りとさわやかなタイトルでした。

結論から言えばそれなりに良作。多分マイナーなんだろうけど掘り出し物だったと言ってもいいレベルだったようには思います。

今回のヒロインズは3人。ttと同じですね。
主人公はいつものドロドロ劇専用主人公だと思って頂いて大体構わないかと。

この作品。ヒロインのキャラは比較的立ってたと思います。
この手のお話の肝はヒロイン達がどれだけ魅力があるかに掛かってると思うのです。

では3人のヒロインを簡単に見てみましょう。

タイトルにもなってる文学少女。これが主人公の1個上の先輩にして文芸部の部長?
見た目はいかにも文学少女って感じの地味ながらも可愛い感じですね。
地味故に個性を持たせるつもりだったのかこの子は本が好きな余りに本を食べてしまう妙な癖?があります。
ああ、いや本を食べるはさすがに人外すぎでしたね。正確にはページをちぎって食べる・・・ですね。
お前は山羊の生まれ変わりかよと突っ込みたくもなりますがこのおかげかインパクトは強いです。

続いて美羽。
所謂ヤンデレに近い存在で本作品のドロドロ劇の8~9割程度は彼女が担ってると言っても過言ではないでしょう。
先輩が光だとすれば完全にこちらは闇ですね。
実際にいれば関わりたくないお方ですがこういう物語だと彼女のような存在は実に映えます。
お前石仮面被っただろと言いたくなるくらいタフネスなのはさすがに変な笑いが出てしまいますが。

んで3人目。
こういう話の3人目のヒロインてのは何故か扱いが軽いことが多いですが彼女には見せ場もあり比較的恵まれたポジションだったのではないでしょうか。少なくとも私は好きでした。

3者3様の魅力はあるんですが悲しい共通点として全員が身内にカイジ君いますか?と問いたくなるような立派な顎をお持ちな点が多少気になると言えば気になるかもですね。
1度気にするとね。どうしてもそこに目が行くのは人間の悲しい性なんでしょうかね。

序盤は穏やかな普通の物語してますが暗雲立ち込めるのは大体中盤辺り以降でしょうか。

先輩が妙に魅力あるせいかこのままドロドロ抜きのさわやか恋愛でもいいかなぁと不覚にも思ってしまった時期もありましたが物語が荒れてくるとやはりそれはそれで心躍るものがあるのです。

それと一応タイトルが文学少女となってますので宮沢賢治とかは頻繁に出てきますが特別詳しくなくても多分支障はないかと思います。

全体的に見ても上手く纏めてある印象が強いのですが出来れば12~13話くらいでもう少し深くしたものも見たかったかなぁというのは本音ですかね。


ネタばれ無しじゃ詳しく聞けないのだけどラストの先輩の決断がなぁ・・。

どうしてこんなことなったのか、私にはわかりません。
これをあなたが読んだなら、その時、私は死んでいるでしょう。
…死体があるか、ないかの違いはあるでしょうが。

これを読んだあなた。どうか真相を暴いてください。それだけが私の望みです。 byひぐらし

いや死んではないけどまさにこんな気分。
なんとなく察しはつくもののなんだかなぁて感じです。

まぁ終わってみれば良作だったと思います。少なくとも見て損することは無いのではないでしょうか。
劇場版ということを考えれば程よい愛憎劇具合で御座いました。

投稿 : 2024/05/04
♥ : 20

66.7 21 ドロドロアニメランキング21位
河童のクゥと夏休み(アニメ映画)

2007年7月28日
★★★★☆ 3.8 (211)
970人が棚に入れました
夏休み前のある日、小学生の帰り道に上原康一は大きな石を拾った。持ち帰って水で洗うと、中から何と河童の子供が!!第一声は「クゥ?!!」。康一はこの河童を「クゥ」と名付ける。クゥは康一たちと同じ言葉を話し、何百年もの間、地中に閉じ込められていたことがわかる。最初は驚いた家族もクゥを受け入れ、クゥのことは秘密にしようと決めるが・・・。


声優・キャラクター
冨澤風斗、横川貫大、田中直樹、西田尚美、なぎら健壱、ゴリ
ネタバレ

れんげ さんの感想・評価

★★★★★ 4.1

「オトナ帝国」の原監督による渾身の一作。児童文学アニメと侮るなかれ!!

2007年劇場公開。
本編、約140分。


【前置き】

初期の「劇場版クレヨンしんちゃん」の多くに携わってきた、原恵一監督の劇場映画。
原作があまりアニメ化に至らない児童文学ということから、原監督の意向とは裏腹に中々制作出来なかった経緯があり、「オトナ帝国」(2001)「アッパレ戦国大合戦」(2002)等の実績を経て、やっと本作の制作に着手したそうです。

原作者であえる木暮正夫さんは、本作の完成目前に他界されたそうですが、本作の数々の受賞歴や何よりその出来に対し、きっと雲の上から監督に賛辞の言葉を送っていらっしゃることでしょう。


小学生の姪が遊びに来ていたので、年齢的にもピッタリと思い、宿題終わりのご褒美に身内一同で本作を鑑賞しました。
子供は子供なりに、大人は大人なりに皆無言でじっくり本作を見ていました。
それを遠目で見て一人ほくそ笑む私。
……なんとも変な絵でしたね。



【あらすじ】

小学5年生の「上原 康一(うえはら こういち)」は、下校途中に偶然、川辺に埋もれていた大きな石を見つけます。

好奇心からその石を割ってみると、中には化石のように干からびた生物が出てきたのでした。
それは、長い間地中で仮死状態になっていた『河童』の子供だったのです。

なんとか家族を説得した康一は、その河童に「クゥ」と名付け、共に生活を始めました。
当初は、あるトラウマから人間に対し警戒心を抱いていたクゥでしたが、康一や家族の厚意を機に、徐々に信頼を寄せるようになっていくのですが……。



【語ってみる】
{netabare}
原作が児童文学であることに加え、タイトルや絵の雰囲気からも、本作は子供向けのイメージが強いように感じます。
実際、DVDレンタルでは子供向け棚に入れられていることも多いですね。

しかしその中身は、原監督が原作を大幅にアレンジして上で、環境問題からイジメ、更には過剰なマスコミ報道等、非常に現代社会に対し訴える内容となっており、子供と大人でまた見方が大きく違う作品だと私は思っています。
こういう点は、まさに「オトナ帝国」「戦国大合戦」の様相に似ており、監督の得意分野なのでしょうね。

ただ、それらの作品と大きく違う点として、描写として非常に過激なシーンが幾つかあり、特に小さな子供が見るには注意が必要かもしれません。
冒頭の、クゥの父親が腕を切り落とされ斬殺されるシーンに始まり、陰湿なイジメ、動物虐待、ある事象から鴉が木っ端微塵になり血が飛び散るシーン等がそうですね。
決して、内容の無い不必要な過激描写ではありませんが。



さて、本作を見てまず感じたのが、キャラクターの生々しさでしたね。

本作で登場する上原一家は、決して個性の強い特別な家庭ではありません。
故に子供達の言動や行動は勿論、その大人の立ち振る舞い等も妙に生々しく、それぞれ世代の近いキャラを見たら、変にこそばゆい気持ちにさせられます。
だからこそ、妖怪と過ごすという圧倒的な非現実から、リアリティーの強い内容にもすんなり持っていけたのでしょうね。

このリアリティーさに一役買ったのが、キャラと同世代の子役声優の起用でしたね。
本職である声優さんの子供声の演技が素晴らしいのは私も重々存じ上げているつもりですが、やはり声質から純朴な演技力まで、リアリティーさにかけて言えば本物の子供には敵う筈もありませんものね。
ただ正直、2010年以降の子役声優と比べると、本作での子役は演技的に拙く聞こえたのが本音です。
(特に、感情の起伏が激しいシーンでは。)

お父さん役は「田中直樹さん(ココリコ)」、お母さん役は女優の「西田尚美さん」。
こちらも本職の声優さんではありませんんが、これがまたどちらも名演でした。
特に田中さんは、元々かなりの動物好きなので、動物に対しての台詞には演技力以上の重みがあったように感じました。



物語は、大きく分けて3つ。
『出会い』と『事件』、そして『別れ』で構成されています。

『出会い』は、全体的に子供向けを意識した構成で、クゥとの不思議だけど楽しい日常風景を元に、彼らに信頼が芽生えていく様子が丁寧に描かれています。
秘密に河童を飼い、喜ぶ長男。
自分の地位を河童に脅かされたように感じ、嫉妬する妹。
世話が大変だとぼやきつつ、愛を向ける母。
妙な無責任さで、無邪気に河童と遊ぶ父…。
そして、唯一彼と心で声を交わせる、飼い犬の「オッサン」(←名前)。
先でも述べましたが、彼らのこの行動の生々しさがあって、初めて大人も鑑賞出来る内容に仕上がったように感じます。

そうそう、ここの途中で、河童の生き残りを探しに、康一とクゥが岩手県遠野市まで足を運ぶシーンがあるのですが、ここで出てくる座敷童子は妙~なインパクトがありましたね。
姪は、ここで彼女が歌う童歌を妙に気に入っておりました。
確かに良いメロディーです…、ケド…なんか怖いんだよなぁ……。。。


さて、話の根幹となるのは、この後の『事件』。
クゥの情報を嗅ぎつけたマスコミが騒ぎ出したことをキッカケに、遂に家族はクゥを連れてテレビ出演を快諾することになります。
ここの流れとして、父親が会社の得意先の頼みで断り辛かったことや、これまで頑なにクゥの秘密を守っていた康一が、テレビに出られると聞くや急に態度を変えて喜ぶ様等があり、これまでと違う人間の浅ましさが見え隠れし出したシーンでもありましたね。

その浅ましさは、結果的に何一つ好転することは無く、一つの命と、クゥの叫びにより登場した伝説の生き物によって、一応の解決を見せます。
ただそれは、過剰なメディアが先から一変し、クゥを危険視し隔離すべきだと手の平を返すことにも繋がりました。
去年だけでも、どれだけこの手のマスコミ報道に覚えがあるでしょうね…、なんとも胸糞が悪かったです。


ここから『別れ』の構成となる、以降の30分弱。
ここはハッキリ言って、非常に大人向けなシナリオ構成であり、大騒動の後日談のように基本的に淡々と描かれ『事件』時のような盛り上がりにも欠けるので、子供は退屈するように感じましたね。
(実際、姪は退屈そうでした。大人としては全くなのですが。)

クゥとの別れは、いわば必然です。
最初とは打って変わり、とても真剣な表情で父親が言った

「俺達とクゥは違うんだ、住むところも…生き方も。

 今の暮らしは、クゥにとって自然じゃないんだよ。」

という台詞に、康一も遂に引き下がることしか出来なくなりましたね…。
それは作中、彼が自分の損得でなく、初めて100%クゥの為を思って出した結論だったように思います。

最後にクゥが言った通り、彼はそんな自分を責めていたようですね…。
実際ハッキリ言って、決して完璧な付き合い方ではなかったでしょう。
ただ、それでもクゥは、それを否定することもなく

「オメェに貰った命、大事にするからな~。」

と言いました。
この奇跡の出会い…この短い夏休みの出来事は、彼らにとって、代え難いかけがえのない日々であったことが窺えましたね。
{/netabare}



【クゥ以上に心動かされた存在、オッサン】
{netabare}
本作はタイトルの通り、河童のクゥを物語の主軸として描かれているのですが…。
それ以上に視聴者に強烈な印象を与えるキャラクターが、上原家で飼われている犬の『オッサン』でしたね。
なんともインパクトのある名前ですが、
「拾った時、なんとなく顔がオッサンだったから。」
というのが由来だそうです。
こういうの、小学生にありがちだから困る。(後述)

オッサンは、犬の中では珍しく心で会話が出来るようで、クゥとは人間よりも近い視点で、側で話を聞いてやれる存在でした。
初めて会話した時にオッサンが言った、

「このウチの連中は、そう悪い奴らじゃねぇ。」

という言葉は、クゥが上原家に対し心を開くキッカケの一つになったことでしょうね。
見た目は可愛い雑種犬なのに、こう声色や物言いがホントのオッサンそのものなのが、また良い味を出していました。
(まぁ齢10才は越えているようなので、実際人間的に言えばオッサンですしね。)


実はこのオッサン、人間に飼われるのは、これが2回目でした…。
中盤、メディアに騒がれ浮かれる康一に不安がるクゥを見て

「人間は急に変わることがあるからな…、俺の前の飼い主がそうだった…。」

と、オッサンは自身の昔話を話してくれたのです。
それは、子供の頃は仲良く遊んでいた飼い主から、ある日突然虐待を受けるようになった、見るも聞くも非常に痛ましい話でした。
学校でイジメを受けるようになった飼い主は、その腹いせにオッサンに暴力を振るい始めたんですね…。

「悲しかったよ…。殴られるのも嫌だったし、そんなアイツを見るのも嫌だった…。

 俺は…逃げた……。」

その先で出会ったのが、幼稚園の頃の康一。
オッサン曰く、「子供の頃のアイツに似てた」そうで、彼に着いて歩いたのだそうです。

話の終わりに、「人間はなんで変わるんだろう…。」「なんでだろうなぁ…。」と顔をしかめ合うこの2匹の会話は、自分自身にも問題提起されているような気分になりましたね。
年々このシーンは、涙なしでは見れなくなってきました…。


この後、オッサンはクゥがテレビで騒ぎを起こした時も、呆然とする上原家の中で唯一、自ら咄嗟に動きクゥを逃がしてくれました。
ただこの行動は、クゥを乗せたオッサンを面白がって追いかけて来たヤジウマの車によって、オッサンが事故に遭い命を落とす結果へと繋がるのです…。


『アイツ、ちゃんと生きてるかなぁ…。あのまま殴られてりゃ良かったかなぁ…。

 そうすりゃアイツも気が晴れて…、また…あの頃みたいに……。』


最後の最後にこう言い残す辺り…、やっぱりずっと前の飼い主を引きずっていたんですね…。

そんなオッサンの最後を看取り泣き崩れるクゥを見て、今度は写真を取り出す人間達…。
この一連のシーンは、自分が同じ人間であることが恥ずかしくなるぐらい胸糞の悪い絵が続き、本気で苛々しましたね。

悲しみと怒りと辛さが同時に込み上げるので、好きなシーンとは決して言えませんが、ただ作中で一番印象に残ったシーンでした。
メインであるクゥの、どのエピソードよりも…。

終盤に撮った、オッサンの写真を真ん中にして皆オッサンのようにベロを出して笑う写真は、オッサンがいてくれたからこそ出来た…家族とクゥの心が本当に一つになった時の一枚でしたね。
ありがとうね、オッサン。

しかし子供向けと思いきや、容赦無く救いも無く死んでしまうのは衝撃でしたね。
家族が自責を背負い意識改革する部分でも話として必要なのは分かりますが、足に後遺症が残る程度でも…と思ってしまうのが本音です…。

前の回想シーンも含めて、動物好きの人にはかなり胸を抉る映像のある作品となるので、その点は要注意ですね。
私にとっては、「Another」等のどんなグロ映像よりも、本作の方が目を背けたくなりました。
{/netabare}



【総評】

児童文学を題材にしたアニメ映画として、子供が楽しみしっかり学ぶことの出来る作品だと、私は自信を持って言えます。
(終盤は小さい子だとダレかねないですが、しっかり見て学んでほしいですね。)
加えて大人にも、きっと胸にズキンと突き刺さるシーンが幾つもあることでしょう…。

私は、本作はハッキリ言って、どちらかと言えば大人向けな映画だと思っています。
メインは河童ではありますが、そのクゥと飼い犬を通し、生々しく描かれた家族が、失敗し…そして成長する物語ですので。
前半と後半の描き方の落差はかなり違いますので、そういう意味でも後半までじっくり見て御判断下さい。


さて、作中でクゥがこう言う場面がありましたね…。


「父ちゃんが言ってた…。

 人間は、水や地べたを俺達から奪い、そのうち風や空や、神様の居場所まで自分達のものにしちまう。

 それと引き換えに、魂を失くしちまうだろうって…。」


いつか、この父ちゃん河童が言ったことを、思いっきり否定できる未来が訪れたら良いですね。


ではでは、読んでいただきありがとうございました。


◆一番好きなキャラクター◆
『オッサン(犬)』声 - 安原義人さん


◇一番可愛いキャラクター◇
『菊池 紗代子』声 - 植松夏希さん




以下、犬の名前について。
(どーでもいい話なので、〆ます。)
{netabare}
作中に登場する犬の「オッサン」ですが、ホント子供は犬に阿呆な名前を付けますよね。
犬側からしたら、たまったものじゃないでしょうに。


本作を見て、小学生時代に友達らと犬の名前について話す機会があったのを、思い出しました。

「チビ」「ラッキー」「ララ」みたいな可愛い名前もいれば、

「アンコ(食べ物)」「バームクーヘン(食べ物)」「ジョイ(洗剤)」「うんにゅ(?)」等、ちょっと耳を疑う名前もチラホラ。


中でも、今も忘れられない名前が『バター』ですね。


当時は聞き流していましたが、大人になって初めて、その犬の名付け親は家族の誰だったのかが気になりました。

お母さんとかじゃないといいなぁ……。
{/netabare}

投稿 : 2024/05/04
♥ : 28
ネタバレ

renton000 さんの感想・評価

★★★★★ 4.2

子供の夏の定番に!もちろんおとなも!

あらすじは他の方のレビュー等をご参照ください。


登場人物(家族):
 子供は子供らしく、親は親らしく、そして信頼関係が根底にあるような家族観ですね。サザエさんやクレヨンしんちゃんを思わせるような明瞭な人物像が描かれているので、どの世代でも特に違和感なく視聴できるでしょう。河童のクゥは、ピュアな存在として描かれています。

メインテーマ:
 河童と人間、それぞれの社会性と相互の共存についてを中心に描いているのだと思います。自然と人間という対比の代理的なものでしょう。もちろん人間のエゴイズムに関してもかなりの時間を割いています。
 同時に、失ってはならない普遍的な価値観についても言及されます。
 終盤とエンディングにおいて、クゥの口からきちんとこれらに関する説明がなされるので子供にも伝わりやすいと思われます。


評価点:
 死を子供にも分かりやすく描いているところは素晴らしかったです。殺し殺されるということ、死ぬということ、そして自殺。特に後者の二つは、誰かのためになる死と、逃避としての死で表現されていました。また、自殺から救うには本人の意志だけでなく、小さくとも外部からのきっかけが必要であると描いてあったように思えます。
 重たいテーマを説教臭くなく伝えている手腕には惚れ惚れします。


惜しかった点:
①社会性の裏返しとして孤立についての描写も結構あります。
数は揃っているのですが、対比構造において若干物足りなく感じた部分もありました。
{netabare}
 まず、クゥ。物語の冒頭で父を亡くし、仲間の河童もいません。つまり、河童としても孤独になるわけです。当然、人間社会においても孤独です。(主人公家族を間に立たせて人間との共存を試みるのですが・・・。ここが作品の主題ですね。)
 次に、菊池さん。家族の中でも、友人関係でも孤立をしています。
 そして、二人(?)のおっさん。一方は、共存の後、孤立し、共存。他方は孤立に見せかけて、独自の解決策を持っています。
 最後に、主人公こういち。友人関係において、共存の後、孤立。

 最も似ているのは、共存を模索し続けるクゥと菊池さんです。結論に至るまでの両者の対比だけは強く表現して欲しかったです。いじめ問題としてみれば、菊池さんの共存への道が子供にとってはより重要で分かりやすいかもしれないので。結論部分に文句はないのですけどね。
 菊池さんとこういちの対比については、ケンカのシーンに表れています。模索し続けた菊池さんが先に解決策を提示し、それにこういちが乗っかるという流れですね。こういちがんばれよと言いたくなるところですが、構造としては自然な流れでした。
 そのほかの対比についても言いたいことはあるのですが、蛇足に近いので省略します。

②自然と共存できている人々の描写が欲しかった。
 エンディングでクゥ(と二人目のおっさん)から人間社会へアプローチする姿があるのですが、人間からも歩み寄れる姿勢が欲しかったです(家族以外で)。遠野あたりで表現できたように思うのですが、描かれていたのは理解の無い人間の姿ばかりでした(観光客や1千万)。十分察することはできるのですが、子供向けとしてはあってもよかったのではないでしょうか。

③終盤の流れも少しだけ違和感がありました。
 ケンカ、クゥとの別れ、クゥその後、と流れるのですが、クゥと別れたあとのこういちのエピソードが欲しくなってしまうんですよね。菊池さんとクゥを事前に引き合わせたうえで、クゥとの別れ、クゥその後、ケンカ(こういちの成長)、クゥラストカットの方がよかったような・・・。時間的にきついかな(笑)。
{/netabare}
 まぁ、若干の願望が入っているかもしれませんし、子供はあまり気にしないかもしれません。

まとめ:
 テーマは社会風刺を含み多岐に渡ります。子供には早い段階から繰り返し見せる価値のあるものです。大人も初心に帰って楽しんでみてはいかがでしょうか。考察に値する作品です。

投稿 : 2024/05/04
♥ : 3
ネタバレ

maruo さんの感想・評価

★★★★☆ 3.6

子供心を持って見たつもり B+

私は高校卒業までまで信濃川のすぐ側で育ちました。
幼い頃、祖父から、信濃川には河童がいるから近づいちゃいかん、と何度も何度も言われていました。
私の親の世代までは、川で溺れて死ぬ子どもが年に何人も出たそうで、実際、私の母の兄弟も1人信濃川で亡くなっています。
ですから、河童が出ることを脅し文句として子供を川から遠ざけるというのは、珍しいことでも何ともなくごく普通に行われていたのでした。
そんなことから、私にとって河童は、恐ろしくもありましたがどことなく身近な存在だったのです。

と、いきなり堅い話から始まりましたが、本題に入りましょう。

本作はいかにも子供向けといった作品です。
実際、文部科学省特別選定作品、日本PTA全国協議会特別推薦作品となっていますし、さあどうだ、子供たちに見せてください!という大人たちの意気込みに満ち満ちているのが伝わってきます。

ということで、子供心に帰って視聴してみました。
いえ、今の子供にとって河童なんて遠い存在でしょうから、私のように身近な存在として育った者にこそ、見る資格があるというものです。(屁理屈)

話としては、少年・康一が河童のクゥと出会い、そして別れるまでを描き、お涙頂戴もあるというベタな展開です。
康一は当初幼いところもありますが、クゥとの交流、そして巻き込まれていく事件を通じて、少しずつ成長していきます。
{netabare}途中、他の河童を探して少年とクゥが二人で旅をして、2人の交流が描かれたり、河童がいることがメディアによって世間に明らかにされ、クゥが衆目にさらされたりして、これ以上クゥが人間と暮らしていくことは無理と、クゥ自身が出て行くことを決断します。{/netabare}

また、理不尽な大人たちの好奇な眼差しがどれだけ少年達の心を傷つけるかということや、大きく扱われてはいませんがイジメの問題なども描かれています。
思春期に差しかかった少年の揺れ動く心を良く表現できていたと思います。
そして、迎える最後、分かっていても眼に涙が、って私のことですよ。

最後、もう少しひねりがあった方が良かったようにも思いますが、この種の映画としては最悪のエンディングは避けるべし、と思いますので、この終わり方で良かったのかなって思います。
きっと、本作を見る子供たちにとってもハッピーエンドだったのだろうと。

声優についてはまあこの手の映画では良くあることだと思うので、余り多くは言いませんが、カラス1に阪口大助ってどういう使い方しているんだって思いますよ(笑

本策の監督は原恵一。
最近、カラフルを見たばかりだったので、同一の監督であったことを知って、ちょっと驚きました。
連続で興味深い作品を見せ付けられてしまいました。

投稿 : 2024/05/04
♥ : 15

70.0 22 ドロドロアニメランキング22位
おにいさまへ…(TVアニメ動画)

1991年夏アニメ
★★★★☆ 4.0 (32)
175人が棚に入れました
『ベルサイユのばら』で有名な少女漫画界の巨匠・池田理代子の原作を、名匠・出崎統が監督した学園ロマン。出崎作品の多くで連携する名アニメーター杉野昭夫が、妖しくも美しい、そして胸にしみる作画を表現している。名門私立女子高・清蘭学園。そこではメンバー限定の学生社交グループ“ソロリティ”が絶大な権力を握っていた。その中に何故か入会を許された一少女・御苑生奈々子。彼女の学校生活は、徐々に思わぬ方向に向かう。

声優・キャラクター
笠原弘子、戸田恵子、小山茉美、島本須美、玉川砂記子、神田和佳、堀内賢雄、玄田哲章

イカちゃん☆休止中 さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

☆ベルばらの池田先生作品

名門女子高校のドロドロの愛憎劇。

元祖百合アニメみたいな感じです。(*^^*)

「ソロリティ」という選ばれたメンバーのみが
入会できるサークルに選ばれた御苑奈々子と
ソロリティの個性的なメンバーの物語。

NHK 1991.7.14-1992.5.31(全39話)

原作/池田理代子

監督/出崎統


アニメーション制作/手塚プロダクション.NHK エンタープライズ


主観的評価(B)


追記欄_

投稿 : 2024/05/04
♥ : 3

sarari さんの感想・評価

★★★★☆ 3.9

ふ、ふつくしい・・・

全39話

作者とアニメ監督がベルばらと同じと聞いて見始めました。

女性たちの生きざまみたいなものが描かれてます。

衝撃的なシーンが多く、雰囲気は昼ドラとか大奥みたいな感じです。

舞台がお嬢様学校(女子校)だからか、かっこいい女性にあこがれたりと、少女漫画なのに百合っぽいのが印象的でした。

投稿 : 2024/05/04
♥ : 7

ZRX1200R さんの感想・評価

★★★★★ 4.5

思い出補正もあるだろうけど

かなりイイ。
相当イイ。

いまだに心に焼き付いている神アニメ。

ちなみに原作はいろんな意味で△

これはアニメで見なければならない。

投稿 : 2024/05/04
♥ : 3

65.1 23 ドロドロアニメランキング23位
きまぐれオレンジ☆ロード あの日にかえりたい(アニメ映画)

1988年10月1日
★★★★☆ 3.7 (37)
156人が棚に入れました
 2月、春日恭介と鮎川まどかが二人で受験した大学の合格発表の日。 二人で会場に向かう途中、恭介はある言葉を聞きつけた。「私の出るお芝居、見に来てくださいね!」 それは去年の夏に、檜山ひかるが恭介に言った言葉と同じものだった。
 その言葉と共に、恭介の脳裏に去年の夏の光景が再び浮かび上がってきた。それは二度と戻らない夏の、そして苦い――まどかとひかると恭介たちの三角関係の終わりが来た夏の……。 ひかるは芝居の特別公演のオーディションに応募することを決め、一方恭介とまどかは大学受験の受験勉強の最中。 その間にもひかるは「恋人ぶり」を発揮してどんどん積極的になるし、まどかはその様子を見て恭介から離れて行こうとする。しかしある日、ひかるはまどかの恭介に対する気持ちに気付いてしまう。 その頃、恭介はある決意を決めていた。それから三人の関係はだんだん揺れていき……
ネタバレ

ossan_2014 さんの感想・評価

★★★★★ 4.2

少年期の終わり

【2016/08/26 追記】


夏の終わりごろになると、ふと思い出されて見返したくなる。

思春期の終わりと一つの恋の終焉とが、夏の終わりと周到に重ねられて印象的だ。

三角関係の破綻と清算を丁寧に描く、というよりも、大仕掛けな物語を排してそれだけを追い続ける本作が、問答無用で二股恋愛への嫌悪をむき出しにする多くのアニメファンの感性にも関わらずあまり評判が高くないように見えるのは、原作やTVシリーズの世界観と断絶して感じられるからだろうか。

確かに、独立した映画作品であるという事を考えあわせても、同じタイトルを冠した「シリーズ」との不連続性はいささか行き過ぎている。
シリーズの締めくくりというよりも、「あり得たかもしれない物語」といったところだろうか。
しかし、この不整合は、製作者が原作やTVを蔑ろにして暴走したというよりも、主人公の春日恭介という「少年」に、むしろ深く愛着を覚えていたからではないか、と感じられる。


{netabare}原作を含めた「シリーズ」の世界観の中で「三角関係」を清算するとしたならば、おそらく「ひかる『が』恭介を振り、まどかを祝福する」といったあたりが落としどころとして妥当だろう。

これならば、少年マンガ的な、少年の自己愛的ユートピアを傷つけることはないからだ。

「罰」は、「罪」に対するペナルティであると同時に、それを受けることによって「罪」が贖われて「赦し」が与えられた、という事でもある。
少年のユートピアとして展開された「楽しい」三角関係は、少年の「罪」が「振られる」という「罰」を受けることで帳消しにされ、贖罪の済んだ安全なものとして解消されて、ユートピア性は少年の中に無傷で温存されるだろう。

だが、この「赦し」の先の未来に想像されるのは、自己愛的ユートピアを無傷で通過した、歳を重ね身長が伸びただけの「少年」に過ぎない。

少年マンガには相応しい「落としどころ」だが、製作者の恭介への過剰な愛着が、それを選ばせなかったのではないか。
「青年」として恋愛の官能を色鮮やかに生きる青春の黄金期を、恭介に与えてやりたいという思いが、本作の「逸脱」を決定づけているように思われる。


本作内で、仮想の「落としどころ」とは裏腹に、恭介には「罰」が与えられることはない。
製作者は「罰」という「赦し」を与えることなく、ただ自分の「罪」を噛みしめることしか恭介には出来ない。

自分が、言い訳も解消もしようのない「罪」を抱えているのだと骨の髄まで自覚し、もはや無垢の、「赦し」に浄化された「キレイな」少年ではないと思い知ること。
思春期の夢想的な恋を脱し、恋愛の恍惚を生きる青年へと至るための不可避の通過儀礼として、恭介の苦悩は描かれなければならなかった。
眼を背けたくなるほど無様に足掻く『ひかる』の失恋は、彼女にとっての通過儀礼であると同時に、何よりも恭介の「罪」を具体化するために、周到に配置されている。

製作者がここまで過酷にキャラクターを揺さぶる描写は、単に三角関係にオチを付けるだけにとどまらない意思を持っていたのだと思わされる。
三角関係は「いけないもの」だから解消させるという安直な規範意識では、一編の映画の半分以上も使って延々と恋の破綻を描写し続ける説明にはならない気が、どうしてもする。

そもそも近代的な情熱恋愛の観点からは、三角関係だろうが不倫だろうが否定されるものではない。
あらゆる規範や倫理に反していてもなお、とどめようもなく囚えられるのが近代的な恋愛というものだ。

だが、恋愛のプレイヤーとして恍惚と官能を生きる近代的恋愛の主体は、やはり大人でなければならないだろう。
たとえ三角関係であろうが、自らの選び取ったものだと倫理に背を向けて恋愛を生きるには、「自ら」を持つ成熟した内面が不可欠だ。
規範を知り「罪」を知ってなお、自らの恋愛を生きるためには。

少年マンガ的な自己愛のユートピアの住人には、それは不可能だ。
なし崩しに出来上がったユートピアに遊んでいる子供には。

「シリーズ」の整合性を超えて「ユートピア」の破壊とリセットを企図してしまったのは、製作者がキャラクターに、とりわけ恭介に接近して、子供の世界から先へ進ませたいと思うほどに愛着を抱いてしまった現れに思える。

あるいは、やはり本作はTVシリーズの影響下に構想された現れでもあるのか。

対象年齢の関係だろうか、アニメ作品の中の恋物語は、理念的な愛については語るが、恋愛の官能性にはまるで無関心であることが殆どだ。
(官能性は、単に性行為が描写されるかどうかという即物的なことではない)

記憶にある限りでは、官能性に自覚的な描写を意識していたのは冨野由悠季作品くらいだが、例外的に「TVシリーズ」では、物語の先に官能性をうっすらと予感させることがあった。
使用された数々の楽曲のイメージに影響されているのかもしれないが、この恋の「先」、加齢したキャラクターたちには次のステップがあると予感させるところが。


いずれにせよ、青年化と恋愛の官能は、製作者の中では結びついているようだ。

だからこそ、単に三角関係を解消するのではなく、思春期の終わりとして、青年期の第一歩として「罪」に慄く苦悩をキャラクターたちに科したのだ、とは牽強付会な妄想だろうが、今でも忘れがたく印象に残り続ける理由だと思う。

本作で恋愛の官能の入り口に立ったキャラクターたちは、もしかすると、いずれ三人での恋愛関係を結び直すかもしれない。
だがその時には、これが自分たちの選択であると、倫理規範など歯牙にもかけずに恋愛のプレイヤーとして恍惚を生きることができるだろう。
「自ら」の恍惚を。
少年期という夏の季節の終わりの物語は、そんな想像を膨らませてくれる。{/netabare}




シリーズ性を離れて、単体の作品として本作を振り返ると、脚本に力の入っていることが印象に残る。
活劇もなく日常描写に終始する映像は現代のアニメ表現力と比べるとかなりつらいのだが、脚本の力でストーリーを最後まで追わせることができる。特に、三角関係の破局が不意に到来するのではなく、時限爆弾がカウントダウンするように最初から破綻を内包しているのだと周到に構成されていて見事だ。
ひかるに「わたし、知ってたもん」というセリフを言わせるのは、何度観ても背筋を寒くさせる。


それにしても、メールもLINEもなく、公衆電話と親が取り次ぐ固定電話の距離感は、現代ではどう伝わるだろうか。
30年前の若者も、一生懸命恋愛していたのだ。


【追記】

上記の感想は、本作のテーマが原作およびTVシリーズよりも優れているという「評価」ではない。

原作の、大人になる直前に許された一瞬の「ユートピア」を切り取って作品世界として固定するというモチーフは別に悪いものではないし、劣っていると言われなければならないものでもない。
もしかすると、少年は社会規範の網の目に組み込まれた大人に「成長」しなければならない、という制度性への批判が「ユートピア」のモチーフを要請したのかもしれない。

本作と「シリーズ」と、一つのモチーフへの異なる方向からの愛着が、異なる物語を生み出したという事で、どちらが優れている/劣っているという話ではない。

投稿 : 2024/05/04
♥ : 3
ネタバレ

ストライク さんの感想・評価

★★★★☆ 3.5

ドラマのような3角関係の終止符に 原作ファンは納得できない・・・これはパラレルワールドです。(苦笑)

1988年10月1日に東宝系で公開された劇場版アニメ

DVD化されていない作品です。

原作ともテレビアニメとも異なる、恭介、まどかの大学受験の時期を中心に描かれた もう一つのストーリー

原作とは異なる もう一つのストーリーです!
(注 大事な事なので2度言います!笑)

TVシリーズで決着を見なかった三角関係の終焉がテーマ。


この作品は、今までの軽いラブコメ風とは異なり、
超能力が一切出てこない、真面目で重くシリアスな三角関係が描かれてます。


感想

酷評につき、この作品が好きな方はスルーして下さい。
{netabare}
当時見た感想は、「こんなのオレンジ☆ロードじゃない!」でした。
歳を重ね、今になって観た感想も・・・・・やっぱり同上でした。

自分は、この原作が好きでコミックもまだ持ってますが、
気まぐれ☆オレンジロードって、
まどかも恭介もひかるを大切に想っている訳で・・・
自分的には「ハッピートライアングル」(ギスギスしない3角関係)が、「きまオレ」ワールドだと思ってます。


この作品のまどかは、原作のまどかとは別人です!

まどかの「私達もう、3人では居られないんだね・・・」のセリフがありますが、原作のまどかはこんな事、絶対に言わないはず!

妹想いのまどかなら、自分の気持ちを押し殺してでもひかるに恭介をゆずるくらいの女性ですから。

恭介も、ひかるに対して酷い振り方していてビックリ。
ひかるの
「もう 私のこと 好きじゃないんですか?」
「先輩にとって私は一体何だったんですか?」
「答えてよーーー!」><
ひかるが可哀想過ぎます。

原作の恭介なら、泣きじゃくるひかるに対し、あんな「離せよ!」なんて冷たい言動はしないです。


脚本が 寺田憲史氏で、まつもと泉氏は手掛けていな事からこうなったのは仕方ないのか・・・
ε-(ーдー)ハァ
てか、寺田憲史氏って、ちゃんと原作読んだ事ないんじゃないの?って疑ってしまいます。
ε- (´ー`*) フッ


原作コミックのラストを気に入ってる自分には、
ファンにとって原作をぶち壊す残念な作品としか思えないです。
(`へ´;) 

これなら、「きまオレ」としてじゃなく、別のシリアスな作品として出せよ!っと。。。
それならば、普通によくある3角関係に終止符を打った恋愛作品として、アリだな・・・って思えるけど。

ともかく、こんなの「オレンジ☆ロード」じゃない!でした。

自分にとってこの作品は
原作でも何回かあった、恭介がパラレルワールドへ迷い込んだ別の世界の話だと思い込みますw(苦笑)

{/netabare}

この作品は、原作ファンにはオススメできません。
気になる方は・・・ どうぞ~的なw です。 ^^;

ってか、DVD化されてないから
VHSのビデオテープじゃ、今だと観たくても見れないよね・・・^^;



TV版(48話)を観て、3人の恋の結末が気になる方は、この作品より原作コミックを読む方をオススメします。
(=^・ω・^)キリ




余談で・・・
まつもと泉氏 自身も 酷評している事から、DVD化されない理由の1つかもしれない・・・(-ω-) 

投稿 : 2024/05/04
♥ : 36

らすきき さんの感想・評価

★★★★☆ 3.4

きまぐれオレンジロード

久しぶりに原作読み返したらまた見たくなって再視聴。
1時間半ぐらいの映画作品。 原作知らないでこれだけで見るのはだいぶ厳しいかな。。

前に見たのは大学生だった頃だったと思うので、それから自分も年を重ね20代後半に・・前にみた時とは感じ方もまた違うものとなりました。
原作は週刊少年ジャンプで1987年まで連載された学園ラブコメ漫画。
ジャンプのラブコメではアイズの次に好きかな。 あ、いちご100%もけっこう好きですよ(´ー`)
古い作品ですがラブコメとか三角関係もの好きならおすすめです。
TVアニメもあり漫画の最後とアニメの最後では結末が少々異なる様です。ちなみに自分はアニメは見ていませんが、アニメの方の続き的感じらしいです。まぁアニメ見てなくても原作知ってれば問題なく見れます。
話的には三角関係に決着をつける話で終始重く暗い。 ジャンプ掲載作品とは思えない、ってかもはやラブコメではないです! 原作の明るく楽しい感じが全然ないのは寂しいですが、こういう昼ドラ的ドロドロの三角関係も好きなので個人的にはOK。
決着を着けるためひかるを突き放す恭介の心の痛みもよく伝わってきましたし、それを乗り越え成長したひかるを最後に見れたのもよかったです。
主役はひかるって感じでした。 自分はひかるより断然まどか派なのですが、さすがの自分でもひかるに同情してしまったほど可哀想でした。。が、少年漫画ではこんなのは描けないでしょうから、映画でやるからにはこういう感じなのもありだなーと思いました。
また、こういう昔の作品を見ると、連絡手段が公衆電話だったり、時代の移り変わりというものを感じるといいますか、そういうのもなんとも感慨深く面白いですね。
ちなみに一番印象深いのが恭介とまどかが見てた映画がタッチの映画作品背番号のないエースだったこと・・そんなんありなのか笑

続編的なものとして映画新きまぐれオレンジロード そして、その夏の始まり へと 続きます。 大学生・社会人になった恭介とまどかの話メインです。本作以上に大人向けな作品になってます。 続けて見たいところだが明日仕事だしどうしよっかな。。

投稿 : 2024/05/04
♥ : 9

69.1 24 ドロドロアニメランキング24位
D.C.II S.S. ダ・カーポII セカンドシーズン(TVアニメ動画)

2008年春アニメ
★★★★☆ 3.8 (423)
2709人が棚に入れました
『D.C.II S.S. ~ダ・カーポII セカンドシーズン~』はD.C.II ~ダ・カーポII~の第2期シリーズ。
一年中、桜の花が咲いている三日月の形をした不思議な島“初音島”を舞台に繰り広げられる恋物語を描く。

くろゆき* さんの感想・評価

★★★★☆ 3.9

タイトルなし

アニメ「セカンドシーズン」とD.C.II
D.C.IIのストーリーを考察するに辺り、何気に欠かせない要素として存在しているのが、アニメ版D.C.のセカンドシーズン(D.C.S.S.)だったりします。
ラストエピソード『D.C.』まで全て読了した方なら気付いたはずですが、桜の木に寄り添うさくらの回想に、名指しではなかったものの、アイシアの存在とセカンドシーズン終盤の展開を指しているものと思しき描写がありました(シーン回想【芳乃さくら】【聖なる夜:12月24日】)
アイシアがしつこい程に訴え続け、彼女を主人公として展開された物語の果てに、ようやく理解し、手にした「幸せ」。
『D.C.II』において、桜内義之という少年と魔法の桜を中心にした物語の結末が、彼の存在消失と帰還のセットになっていたのは、単なる物語上のご都合主義だけでなく、『D.C.の物語』としての明確な理由付け、謂わば前例があっての事だったわけです。


存在の認識
アイシアは、自らが桜の木を復活させた事による事象の歪曲(さくら的に言うならば「奇跡の代償は軌跡の解消」)を正すために、自らの「存在」と引き替えに桜の木の影響下にあった面々の軌跡を修復した。
本来ならばその時、アイシアの存在は誰も認識できなくなったはずだった。
しかしその数年後、純一と音夢の結婚式場に姿を現したアイシアは、全員からその存在を認識されている。
この事は、その時の面々の意識に、「アイシアという名の、世間知らずで我が侭で、でもとても必死で一生懸命な魔女」の存在が強く刻まれていた事、つまりは純一達の「世界」を構成する「存在」としてしっかりと記憶されていたということに他ならない。
人は色々な事を覚え、色々なことを忘れていく。
でも、決して忘れることのない記憶
思い出――意識の奥底に刻まれる大切なもの――
その人をその人たらしめる重要な記憶は、決して消えることはない。
「桜内義之」という少年は、音姫、由夢、小恋、ななか、美夏、杏、茜、渉、杉並……そしてさくら。
彼ら彼女らの世界に強く刻み込まれた「存在」になり得たからこそ、最後に帰還することが出来たのである。


消える義之、消えない義之
さて、そういう前提で義之消失関連イベントを回想していくと、シナリオによって義之が消えたり消えなかったりしてますね。
消えないまでも体調が悪くなったりしてるのもありますが。
消えないのは正に上で書いたとおりで、彼女(小恋・ななか・美夏)にとっての義之の存在意義が強すぎるが故の事でしょう。
逆に、消えるシナリオ(音姫・由夢)の場合は、桜の木の事情に入り込み過ぎてしまっているが故の絶望、諦観によるものと推測。
音姫の場合は事実そのものを知ってしまっていますし、由夢の場合は予知夢という形で「別れ」が不可避なのだということを知ってしまっています。
ついでにいえば
悲劇のヒロイン好きの祖母がいる二人ですから……などと邪推も出来たり(笑)
半分イレギュラーなのが杏。
彼女のシナリオでは、彼女自身の記憶そのものを桜の木の魔法が肩代わりしていただけに、彼女の中と桜の木、欠けてはならないピースの両方ともが抜け落ちるという、義之にとってはイジメ同然の事態になってしまっていました。
結局、杏の持論「体の繋がりという前提での心の繋がり」がドンピシャで当たり、肉体に、魂に刻み込まれた義之の存在が、杏の中に甦った、という展開だった訳です。
キャラ雑感で杏シナリオをベスト1,2に据えた理由というのもこの辺の目新しさが理由ですね。
D.C.という枠において、と但し書き付きですが。


忘れられたくない、さくら
周りが時の流れに逆らわずに老いてゆく中、さくらだけはいつまでも姿を変えない。
それは、あの時桜の木に念じた願い。
大好きな人と自分のためにと念じた純粋な願い。

でも、その願いも、想いも、結局は叶わなかった。
大好きな人は、もう一人の大好きな人と結婚した。自分はいつまでも変わらない。
友人達が、同僚達が、どんどん大人になっていく中で、自分だけは変わらない。
周りはどんどん変わっていく。
それでも自分だけは変わらない……。

自分を知る人がいなくなる――
それは、世界に、自分の存在を忘れられてしまうことと同じ。
純一も、音夢も、ことりも、美春も、萌も、真子も――環、アリス、叶、ななこ、アイシア――
かつて心を通わせた友人達も、いずれ自分を置いて、いなくなる。
そんなのは、嫌だから……

と、さくらが自ら枯らせた桜の木を復活させてまでやりたかったことは、自分の存在の証を残したかった、ということなのだろう。
人は命を紡いでいく中で、自分の生涯の伴侶と共に、かけがえのない子供を産む。
そうして生まれた子供は、自分と、自分の愛する人の存在の証と成る。でも、さくらはいつまでも歳をとらず、それゆえいつまでも孤独だった。
このまま時が過ぎ、かつての仲間達が一人もいなくなったとき、誰がさくらの
「芳乃さくらとして生きた証」を立ててくれるのか。
さくらは、それが怖かった。
世界に忘れられてしまうのが怖かった。
だから、かつて否定さえもした桜の木の魔力に頼ってまで、存在の証明を欲しがったのだ。
結果、望んだのは自分の「子供」。
もしかしたら、あり得たかも知れない可能性。
自分の幸せの証。それを義之に求めたのだ。

そしてD.C.IIの物語の結果、さくらの願いと桜の木の魔法によって作り出された存在である義之は、音姫や由夢ら家族と、小恋やななからの大切な仲間達に望まれる事により、明確なる個としての存在を獲得するに至った。
本来なら、桜の魔法と共に消えゆくはずの義之が「存在」として残った事で
ようやく、さくらの願いも叶ったのである。

投稿 : 2024/05/04
♥ : 1
ネタバレ

ぱるうらら さんの感想・評価

★★★★★ 4.3

シリーズの中では一番楽しめました♪

『D.C.II S.S.』はPCゲーム原作、1クール(全13話)の学園恋愛アニメです。


※レビュー終盤に本作の説明不足の補完

短編を合わせてシリーズ累計5作目で第3期『D.C.II』の後半にあたる作品。『D.C.』では2クール2本という長い尺で物語が展開されてきましたが、本作は1クールと短くなりました。しかし、1クールのおかげでテンポ良く、簡潔且つ綺麗に話を纏め上げられてました。故に、本作は続編ではありましたがこれまでの作品と比較すると物語のテンポは一番良かったと思います。


原作をプレイした上で私が思った事は、やはり説明不足の点。1クールという短い時間のためにこれはどうしようもない事ですが、音夢や朝倉姉妹の母親と父親はどうしたとか、さくらが桜の木にと一体化したその後の事等、疑問な点が数々ありました。でも、まぁそれらの点を気にせずとも、この作品を視聴するにあたって特に支障は無いですし、そもそもシナリオがとても面白く、感動的で、原作の内容が上手く編集されているため、原作をやらずともある程度は楽しむ事が出来るだろうと感じました。
私がこのアニメを観てこのシリーズに熱中したのは原作をやる前でしたし。


作画に関しては違和感が多少ありましたが慣れてくれば全然気になりませんでした。ってかあの姉妹以外眼中には無かったですが・・・。


私が感動した桜の木にまつわる終盤の展開については第1期~第3期のどの作品にも含まれた内容で、若干マンネリ化している様にも感じましたが、それでもその展開に深く感動させられました。特に今作に於いては、枯れない桜が与えてくれた特殊な力云々よりももっと深刻な問題であり、その展開が登場人物達(主に主人公)に感情移入させ、さらに声優の力量や描写、音楽が良い感じに悲しみを惹きたてているため、初見の人なら泣けると思います。


最終回については展開が分かりきっていた為に、正直拍子抜け。終盤の感動による余韻を楽しもうと思うなら最終話は別になくとも良いかもしれませんが、最終話の展開があったからこそ比較的スッキリと終わったのかもしれません。
その点では、本作のOP曲『サクラ アマネク セカイ』。此れを聞くだけでいつでもあの時の余韻に浸れます…。


ここからは疑問点の一部に関するネタばれ。
{netabare}前作のメインヒロイン“朝倉 音夢”のその後について。アニメには登場しませんでしたが、彼女は普通に生きていおり、医療関係の仕事か何かで海外に佇んでいます。音姫と由夢の母親“朝倉 由姫”が病で自宅療養中の年末頃に、一度朝倉家へ帰還しています。音姫らの父親も同じく。
ちなみに由姫さんは不治の病を患っていたために他界している事になってます。これは恋をして魔法が使えなくなるとその不治の病を患ってしまうと言う家系だからだそうです。つまり彼女はそういった病を持たない朝倉家の血筋ではないと言う事。純一と音夢の子供は男の子です。


“芳乃 さくら”のその後について。此ればかりは『D.C.Ⅲ』をやらねばわかりませんが、桜の木と共に魔法が教養となっている(設定)ロンドンへと飛ばされた様な描写が『D.C.Ⅱ』の原作のさくらルートの最後にありました。おそらくこれが『D.C.Ⅲ』の始まりなのでしょう。
疑問なのは純一さん。桜の木と共に飛ばされたのか、そのままお亡くなりあそばしたのか...。

あと、義之君が復活した理由について。(一部考察を含む)
彼はさくらさんが枯れない桜に願って誕生した、本来居てはいけない存在。枯れない桜が枯れれば彼もこの世から弾かれてしまう事になっている。しかし、義之君は数ヵ月後に突然復活しました。存在そのものが消失したのに何故か?
存在しないと言う事は誰からも認識がされなくなるからと言う事。つまり、誰からも認識されなくなった義之君は消滅する。しかし、彼の事を必死に想い、二人(アニメでは主にメインヒロインの二人と主人公の3人?)の心が強く通じた時にその想い人から存在を認識された事となり、彼の存在がハッキリして何とか再び現れる事が出来た。
また、かれない桜は人の真摯に想う願いを叶えてくれる。つまりは、想いの力によって枯れない桜が叶えた奇跡とも言える?
結局は奇跡なのよ。
{/netabare}


この『D.C.II S.S.』の物語には不意にもウルウルっとさせられてしまいました。それくらい個人的には素晴らしいアニメでした。

投稿 : 2024/05/04
♥ : 13

月夜の猫 さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

思いの強さ♪

一貫してるのは「魔法」「科学」何方も人を幸せにする
ものであり、反面不幸にするものでもあると言う事。

其れ等を上回るのが人の想い。恋であり愛かな~
愛にも色々あって、人其々だけど・・相手を大切に
想う気持ちがあれば「魔法」を超える奇跡が起きる♪

前期では小恋と純一の恋や美夏のエピソード中心の
展開でしたが・・シリーズを視てきた人にはご存知
のとうり・・愈々本題が始まります。

前期では・・未成熟な恋が甘くも・・切ない感じ・・
無自覚で無神経な主人公が八方美人的にモテるのは
流石ゲーム設定と感じつつも・・中学位の恋って・・
こんなものかな~って思ったり^^;

この物語の本質でもあるD.C.ならではの成長に必須
の失恋でもあるのかな~前期で殆ど空気?だった・・
朝倉姉妹や枯れない桜のエピソードが唐突に増える。

唐突に感じるかも知れないけど・・前期は成長の為
の大きな伏線とそれに必要な各登場人物への印象付
がメインだったので・・両方視ないと繋がらないね。

SSは音姫と由夢そして前期でも要所で出てた「ななか」
や「杏」エピソードが中心。雪月花の3名と合せて・・

風見学園付属3年3組在籍。無自覚で愚鈍で無神経。
おちゃらけた性格だけど優しく正義感だけは強い。
容姿は良く後輩等から好意を持たれているが・・
渉や杉並と共にAランクの問題児として有名人。
桜内 義之浅沼晋太郎・伊藤静(幼少期)

風見学園本校2年3組在籍中の生徒会長は明るく邑楽か
で男女問わず人気がある。弟くん(純一)を溺愛し激甘。
朝倉 音姫(高垣彩陽)※姉

風見学園付属2年1組在籍中で美形優等生で人気がある。
自宅ではジャージの残念な子。兄さん(純一)に厳しい。
朝倉 由夢(堀江由衣)※妹

風見学園付属3年2組在籍。風見学園のアイドル的存在。
白河 ななか(茅原実里)

風見学園付属3年3組在籍。毒舌セクハラ「ないちち」ロリ。
雪村 杏(岡嶋妙)

小恋と別れた後なので隣に住む幼馴染の朝倉姉妹との
団欒等が多く、クリパの準備等で杏との話から始まる。

その辺りから・・枯れない桜メソッド?の謎めいた話
が増えて・・ななかやメインキャラと繋がりのある新
キャラのエピソード等を混じえて終盤に繋ぐ・・

徐々に桜の木が要因と思われる事件などが起こり・・
どうなってしまうのか?という展開などもある。

ラストは途中で完全にネタバレするが・・泣ける。
OP前のナレーションの意味が全て明かされる。

OP/EDや挿入歌他音的にも前期よりしっとりとした・・
切ない感じの使われ方が多くなる。

作画はそれほど気にならず普通かな?製作時期相応?
1期前半が酷すぎだったかなw後半以降は徐々に良く
なって、キャラデザの好みによっては1期SSと2期で
評価も違いそうな気はしますが。

一応1期56話・・2期26話で完全にひとつの話が終わる。

D.C.Ⅲも続編ではあるけど・・大幅に世界観が変更。
魔法が日常的に存在していたり?未来風の設定かな。

T.P.さくら等パラレル=ゲームの分岐みたいなもので、
製作時期やその時の監督やスタッフ等の解釈や事情で、
辻褄が合わないとか矛盾点もあるけど、それなりに良
く纏めた気がしました。

投稿 : 2024/05/04
♥ : 2

70.3 25 ドロドロアニメランキング25位
世界一初恋(TVアニメ動画)

2011年春アニメ
★★★★☆ 3.9 (466)
2505人が棚に入れました
小野寺出版の御曹司小野寺律はコネ入社と言われるのが嫌で父親の会社をやめて新しく文芸をやろうと意気込んで丸川書店に入社する。だが配属されたのは、変人ばかりで他の編集から避けられ、乙女部とまで言われている少女漫画部門・エメラルド編集部。その上、編集長高野政宗が自分の初恋の人だったと知りパニックになる律に、高野は「もう一度俺を好きって言わせてやる。覚悟しておけ」と宣言する。

声優・キャラクター
近藤隆、小西克幸、堀内賢雄、立花慎之介、中村悠一、神谷浩史、岡本信彦、緑川光、森川智之

ようす さんの感想・評価

★★★★★ 4.1

とある出版社の恋愛模様(/ω\)☆

BL。ボーイズラブ。
そう、この作品のジャンルはBLです。

全体の雰囲気はコメディ要素も多いので、
初心者にも優しいBL作品♪

BLは私にとって初挑戦のジャンルです。

男性を愛している友人(♂)がいるので、
そういう関係に偏見も萌えも感じないのですけれども、

2次元に関しては
ちょっと抵抗があったんですよね。
だって同人誌とかすごいじゃないですか。
(幼い頃に普通の漫画だと思って開いてしまったトラウマ…。笑)

そんなこんなで楽しめるのかどうか、
ちょっとドキドキしながら手に取った作品です。

さて、私の新たな扉は開くのか!?笑

全13話です。


● ストーリー
小野寺律(おのでら りつ)【♂】は、
丸川書店に転職してきた25歳。

高校時代に付き合っていた先輩【♂】にひどい振られ方をし、
それを今でも引きずって恋愛ができない。

そんな彼が配属された部署は、少女漫画。

敏腕編集長・高野政宗(たかの まさむね)の厳しい指導を受けながら
新人編集者として仕事を覚えていく。

そしてある日、気付く。
編集長は昔好きだったあの人だ…。


ベッタベタの展開ですが、
この作品の場合、ストーリーはさほど重要ではないのでいいんです。笑

だって大事なのは
「くっつくの!?」「ドキドキするシーンに突入するの!?」という
恋の駆け引き。

ドキドキできればなんでもいいんです。笑

BLと言っても艶やかな感じではなく、
どちらかというとギャグっぽい描写も多い。

イケメンにきゃーきゃー言うノリで楽しめるので、
イケメンが好きなら間違いなく楽しめます。笑

自分でも驚くぐらい、
どんどん続きが観たくなっていました^^


この作品、
ストーリーが3種類あります。

◇小野寺律の場合
・・・昔好きだった先輩に迫られ、振り回されながらも、
   自分の気持ちは恋じゃないから!と頑なに認めない。
   新入社員として今は仕事を頑張るぞ!

◇吉野千秋(よしの ちあき)の場合
・・・男を好きになる?そんなことには疎いけれども、
   幼馴染のあいつならいいかな…。
   というか、あいつのことが気になって仕方がないよ。

◇木佐翔太(きさ しょうた)の場合
・・・男を顔でしか好きになれない。
   結果、本気で恋愛をしたことがない。
   今気になっているのは、書店で働くあいつ…。


3人とも丸川書店のマンガ家さんだったり編集さんだったりです。
まったくいけない会社だこと(/ω\)

3つのストーリーはランダムで構成されています。

3つの話に共通しているのは、
迫られる男の子は「みんな可愛い」ということです。笑

可愛い男の子がモテるのですね、わかります(/ω\)

「そこまでやっちゃうと激しい…(/ω\)」
なところもありましたが(笑)、

相手に振り回されてどぎまぎしたり、
そんなところは普通の恋愛作品と何ら変わりなくて。

可愛い女の子が登場しなくて、
可愛い男の子が登場するだけですよw

ね、ハードル下がるでしょ?笑


● キャラクター
私のお気に入りは、
りっちゃんこと小野寺律です。

とにかくりっちゃんの可愛いこと!!!!!!
何度キュン死の危険を感じたか(*´Д`)

高野さんは積極的にりっちゃんに迫る。
そして赤面して逃げ出すりっちゃん。

「くっそー。悔しいけどときめくぜ。」
な表情がやばいかわいいきゅんとする…(*´Д`)昇天

そして相手の高野さんは
仕事ができるクールなイケメン。

「どんな恋愛しても、俺はお前が忘れられなかった。」
「もう一度俺を好きって言わせてやるよ。覚悟しておけ。」
↑普通に言うだけでもドキドキするこの台詞を
 さらっと言えちゃう高野さんマジイケメン…。
 (ただし男に向かって。笑)


結論:この作品、私には相性ぴったりでした。

照れる可愛い男の子、
大好物ですもの(*´Д`)(りっちゃんに限らず)

クールなイケメン男子が迫り、(キャー(/ω\))
可愛い男の子が照れて恥じらい、(キャー(/ω\))
両想いのような片思いのような、もどかしい関係。

いやー、男同士とかそんな偏見無駄でしたわー。
もうずっとドキドキきゃーきゃーしながら観てました(*´Д`)

刺激の強い恋愛アニメを観ているような…。笑

攻めるのが男なら、
受けるのも男。

積極的な男性が好きでも楽しめるし、
恥じらう男性が好きでも楽しめる。

一度で二度おいしいじゃないっすか!(/ω\)

恥じらうりっちゃんが可愛すぎて、
それだけでもう大満足な私です(*´Д`)

恥じらうりっちゃんをずっと観ていたい…(*´Д`)←変態


● 声優
キャラの見た目はなんだか全員似ているのだけど(笑)、
私の大きなお気に入りポイントは「声」です。

どのキャラもいい声をしていて、
耳に心地よかった♪

特に羽鳥芳雪(はとり よしゆき)役の中村悠一さんが素敵でした♪

「俺をやる。」←中村ボイスの破壊力よ…。
現実的に考えると笑えちゃう台詞なのですけど、
この素敵ボイスで言われたら恋に落ちてしまうわ。(確信)


● 音楽
【 OP「世界で一番恋してる」/ 喜多修平 】

歌詞が作品にぴったり♪

曲はポップ調で、
話の内容によっては合ってない気もしたけれど、

私はこの曲好きです^^


【 ED「明日、僕は君に会いに行く。」/ ワカバ 】

OP以上にこちらの方が好きです♪

ちょっぴり切ない感じが、
作品が持つ「背徳感」の雰囲気によく合うのですよねー。

好きな気持ちに違いはないのに、
「男同士」というだけでちょっと秘密が大きくなった気分。

その分こちらはドキドキが増すのですけれども♪


● まとめ
イケメン同士いちゃいちゃするのは
思ったほど悪くなかった。

そんなわけで、
私の新たな扉は見事に開きましたー\( 'ω')/Open the door!

どの話も完結しておらず、
2期に持ち越しです。

まだりっちゃんの話を楽しめるのかと思うと嬉しい(*´Д`)早く観たい!

男性にはおすすめしにくいですが、

恋愛ものやイケメン男子が好きな女の子には
おすすめできる作品だと思います♪

投稿 : 2024/05/04
♥ : 18
ネタバレ

偽ニュー隊長 さんの感想・評価

★★★★☆ 3.3

くそっ、なんてBL物なんだ!

私の初のBL物への挑戦作品となった本作。
正直BLなんて気持ち悪くて観る気はしなかったのだが
とにかく少しだけ見てみようと挑戦した。

まず、本作は3人の主人公が出てくる。
そして、それぞれの話が個別に進んでいく。
そのため、いきなり主人公が変わり???になることがある。
絵もキャラが似ているため、区別が付き難く
わけがわからない状態に陥ることも。

私は序盤の律編から千秋編に代わったときに
???になってしまった。
あれ?何か話がつながらない。
え?なんか微妙にキャラ変わった?
なんだ?なんだ?ってな感じw

その辺りがもう少し分かりやすいと良いと思う。
と、マイナス要素から入ったが1つ1つのストーリーはなかなかよいと思う。
個人的には特に律編が面白いと思う。

漫画編集での上司と部下の話はかなり面白く
律と高野のやり取りから目が離せなくなってしまった。
この律編はBL要素も抑え気味だったのも良かった。
(無いわけではないので注意w)

BL要素が強いのが千秋編なのだが、
個人的にはここは我慢我慢だったw
とにかく律編が観たいがために我慢していた。

木佐編もBL度が結構あるが千秋編ほどではない気がした。
話もなかなか面白い印象だった。

と、3人のBLストーリーが展開していく。
個人的には律編だけで構成してくれたほうが良かったのではと思う。
律編はBLさえ抜けばかなり面白かった。

OPED曲はかなりいい。
特にEDはその週のBLどんより感をきれいに洗い流してくれたw
BLなんか観たくないって人も曲だけでも聴いてくれw

なかなかひどい評価だが最後まで観れたのは
このアニメがそれだけの物を持っていたからではないだろうか。
勇気のある方は1度チャレンジしてみてくれ。
新しい世界が開かれるかもしれない。

そして、更なる新しい世界。
2期がこの秋に決定した。
2011年10月から待望?の2期が始まる。
未視聴の方は今から視聴して準備していただきたいw

とまあ色々書いてきたが
何が言いたいかというと

やっぱり女の子がいいと再認識したwww


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以下、これまでの視聴後の感想履歴。
微妙にネタバレ含むかもしれないので
見てない方はスルー推奨。

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{netabare}
1話視聴。
BL物と思ってかなり抵抗があり、なめてました。
恐る恐る見てみたら結構面白い。
そこまできついホモ度でもなかった。
(ところどころありますけど・・・)

それより、今後の展開がすごく気になった。
怪しい漫画編集部に配属され、さてさてどうなるのやら。
今後に期待したい。

2話視聴。
何これ面白い。
BL部分がなければ最高なのだが(笑)
BLに抵抗はあるが続きが気になって仕方ない。

3話視聴。
出版社ってあそこまで手いれるんですねえ。
漫画ってほとんど作者が作るんだと思ってた。
それよりも・・・・

くそ面白い。
BLには抵抗ありまくるのに
続きが気になって仕方ない。
どうしたらいいんだ・・・
来週も見るしかないじゃないか。

4話・5話視聴
BLがかなりきつくなってきた。
キャラもなんか見分けがつきにくくなってきた。
ここまでなかなか面白かったのだが
少々きつくなってきた。
しかし、まだ、がんばってみる。

6話視聴。
千秋編に入ってからホントきつい・・・
BL三角関係。
ここまで来たんだ最後まで見てやる・・・
でも、ED曲はいいんだよね。

7話視聴。
戻ってまいりました。
小野寺律編。
やっぱこっちは面白いわ。
千秋編はホントBLきつかったけど
小野寺と高野のやり取りが面白い。
また、見る気が出てきた。

8話視聴。
木佐編。
またまたBLきついいいい。
うぐぐぐぐ。
だが、面白い。
雪名のキャラが良すぎる。
木佐の心の動きがなんとも言えない。
BLは寒気するんだが、でも観たい。
この俺の気持ちはどうしたらいいんだ。
くそっ、仕方ないから来週も視聴する。

9話視聴。
雪名、ちょwwwww
いい男だが、これ男女ものじゃダメなのか?
木佐を脳内で女に変換するしかねえw
くそおBLがああああああ。
うわあああああああああああ。
寒気がするううううううう。
でも、来週も観るわw

10話視聴。
今回は千秋編。
やっぱり千秋編はダメだああああ
本能的に受け付けない。。。
ぐぼあああああ。
千秋をおんにゃのこに脳内変換する機能が欲しい。。。
しかし、ところどころで吹いたwww
それと毎度、ED曲に救われるわ。
この曲聴くと取り合えず変な気分は無くなるw

11話視聴。
やって参りました、律編。
相変わらずの面白さ。
ちょっとうぷっとなるシーンはあるもののw
ここに来て新事実発覚か?
盛り上がってまいりました。
来週も律編かな。
さて今週もED曲でさっぱりするかねw
{/netabare}

投稿 : 2024/05/04
♥ : 38

★mana★ さんの感想・評価

★★★★★ 4.1

この変などきどきはどうしたらいいのですか。(結局変などきどきは置き去りにされました。が、また戻って来るようです(ll゚Д゚ノ)ノ)

さよならしたはずなのに・・。
また、戻って来やがった!12.5話「羽鳥芳雪」の場合、視聴(o・ω・o)

あの奇跡のトライアングルを観せてくれた、
吉野千秋と羽鳥芳雪。あれ?優は?
トライアングルは終焉したのか?(´`:)
【男が男を激しく取り合いする】のが、あの話の見せどころだったのに!
本編では、取り合ってる事を祈ってww
とりあえず、優抜きの2人のLOVELIFE♥なお話♪
しっかり者でクールなトリ。天然で明るい千秋。
全く似ても似つかないが、お互い【大好き】なのだ(苦*´・艸・`)(`・艸・´*笑)
現実にぶち当たる2人。しかし、そんな中で感じた変わらない事実。
トリは見つめる、千秋は赤くなる・・近づく唇。
この瞬間、久々に感じる変なドキドキと「こわい、こわい、こわい、こわい、こわい、こわい、
こわい、こわい、こわいΣ(゚∀。;)」
の私のつぶやき。
あの先にある現実を受け入れる事は、
果たして出来るのでしょうか?非常に先行き不安です(;´∀`)・・ァハハハ

とか言っても観るけどね!ニヤ(・∀・)ニヤ
1期のレビュー↓↓

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私の「BL」デビュー作。
まさか「BLなんて・・」と言って遠くから見ていたのが何ヶ月前。
ある軍団の話題に便乗し、
新たな世界に足を踏み入れてみました。
「片足位でいいや~」(的な気持ちで)
と観始めて書いたレビューが下記にあります。


しかし完走結果・・・
「マズイ」が「ナゼカタベテシマウ」
そして最後、心の中に「何か」を残して去っていかれました。
ナンダロウコノキモチ・・・


少女漫画の編集部。
そこで働く(関わる)男性達の花園のお話。
下記にも書きましたが、詳しくは「3組」いや?4組?
の「BL」が繰り広げられれいます。
では一つづつ紹介して行きましょう。


※「小野寺律の場合」
この作品の「主」のお話。
うむ、一言で言えば「一番激しかった!」
ですかね。目を覆う様なシーンの数々(/ω・\)チラッ←(実はめっちゃ観てる私。)
.∵・(゚ε゚ )ブッ!!となる「高野さん」の「臭い」いや「くさい」台詞の数々。
しかし「律」は顔を赤らめる。
しかし「律」は最後までツンデレでした。


※「吉野千秋の場合」
これも新しい。なんてったって「トライアングル」ですもの。
「羽鳥」と「優」の「千秋争奪戦」
「千秋」ったら罪な男でした。
勝利者やいかに?・・・


※「木佐翔太の場合」
本屋のアイドル店員「皇」に片思いをする「翔太」。
とあるきっかけでお近づきに。
しかも「皇」はめちゃくちゃ積極的。
本で隠すナンテドラマダケダロ・・・
2話だけにするのはもったいない!


という感じでした!
私が特に好きだったのは
「男に顔を赤らめる男」
これは3パターン全てにおいて言える事です。


最後に、この作品を通して多くの方達と繋がりあった気がします。(そこのあなたです!!)
みなさんの心の中にある「腐」の部分に触れた気がしました。
感謝します。


「ありがとう、世界一初恋」


完。


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8話まで視聴。

今回また違う1組が増えました!
今回のドキドキは何かが違う。
観てて本当にドキドキしちゃいましたw(大丈夫か自分w)
翔太の気持ちがすごく分かってしまったから・・・
こんな感じでさらーっとキレイに終わってくれたらいいと思うのですが・・次回また「おぇ」しちゃう予感・・・
 

下記7話までのレビューです!


BL初挑戦の火蓋が今切っておとされた!


え?1組ぢゃなくて何組もLOVEるの?
えっ?そんな言葉でせめちゃうの?
えーっ?そんな事・・そんな、そんな事まで・・・
えーーっ?何やってんすか!!?
きゃー!!ぎゃー!!!    「おぇ。」


いや、恋愛は自由だと思います。


投稿 : 2024/05/04
♥ : 35
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