Witch さんの感想・評価
4.2
「悪役令嬢モノ」の中でも異彩を放つ「どこかズレてるぼっち主人公」
【レビューNo.121】(初回登録:2024/4/28)
ラノベ原作(なろう発)で2024年作品。全12話。
(ストーリー)
主人公の女性は前世でプレイしていた乙女ゲームのの世界に、悪役令嬢にして
ゲームの裏ボスでもあるユミエラ・ドルクネスとして転生した。
ユミエラはバッドエンドを回避するために、目立たぬよう平穏な日々を過ごす
ことを誓うのだったが、王立学園入学時のレベル測定でいきなり「レベル99」
を叩き出してしまう。
ユミエラは不測の事態に備えて、レベル上げを徹底したことから強くなりすぎ
ていたのだった。
こうしてユミエラの前途多難の日々が幕を開ける。
(評 価)
・「悪役令嬢モノ」の中でも個性が際立つ主人公
通常の「悪役令嬢モノ」だと
・転生者の持ち前の社交的な性格で、転生前になかった人望や信頼を取り戻
し人の輪に囲まれる
という微笑ましい展開になりますが、本作の主人公ユミエラは
・親がダメ貴族の毒親で、親の愛情に恵まれていない
・入学早々に強大な力を見せつけるハメになり、周りから恐れられる
しかもこの世界では忌み嫌われる黒髪の持主
・またユミエラの性格も
・冷静で表情が乏しく常にほぼ真顔
・空気や相手の感情を読むのが苦手で、周りと上手く協調できない
・また価値観等が独特(効率重視等)で周りとズレている
(前世は「人付き合いが苦手な廃ゲーマー」だった模様)
という、かなり個性的な「ぼっちキャラ」として描かれるというw
それでいて話が暗く重くなることはなく
・真顔でいろいろやらかすのがなかなかにシュール
・他人とズレたところが新しい笑いを生み出す
・魔法だけでなく腕力も最強、そんな中で繰り出す「ユミエラパンチ」が
ちゃんとネタになっている
という感じで、この個性をしっかりコメディに繋げている演出が最高です!
このユミエラの個性を楽しむだけでも、作品を視聴する価値アリですね。
・他のキャラも上手く配し機能させていた
このユミエラの独特な個性に合わせて、他のキャラも上手く配置されていた
ように思います。
・アリシア
この世界の本当の主人公。周りから好かれる性格で王子等「攻略対象」も
皆アリシアに夢中。
魔法の属性の違い(光属性と闇属性)から始まり、「ぼっち」のユミエラ
に対し、常に対極の存在としてユミエラの個性を上手く際立たせていた。
(そういう意味では攻略対象の3バカも、アリシアを補完する存在として、
程よい感じに配置されていたのでは)
・パトリック
辺境伯家の出身。ユミエラの一番の理解者として
・ユミエラが物語から浮かないようにしっかり受け止めつつ
・ラブコメ要員として笑いもとりながら、ユミエラに認められるために努
力を惜しまず、最後は王子様役までしっかり昇りつめ、視聴者のハート
も鷲掴みという
個性的なユミエラを支える「要」的な役割を担っていたと思います。
・エレノーラ
ユミエラよりも悪役令嬢らしかった。
(元のゲームではユミエラは彼女のとりまきの一人だった)
それでいて根は
・天然ボケで他人の感情の機微に疎い世間知らずなお嬢さま
(また他人に利用されやすい性格)
で憎めないという。
彼女も単独だと「ちょっとなあ~」って感じのキャラですが、ユミエラと
絡んだ時の化学反応が凄くて・・・
この辺は作品のいいアクセントになっていたように思います。
作品としてはユミエラのキャラで魅せるところがあるので、ストーリーの方は
少々味気なさを感じるかも。(特に最終決戦とか)
それでもユミエラの「どこかズレてるぼっちキャラ」は、これまでの「悪役令
嬢モノ」とは一線を画していると思いますし、それをしっかり笑いに繋げるな
ど、本作は独自の面白さをもった作品だと思います。
何気に他のキャラとも上手く相乗効果を生み出していたと思いますし。
OP「LOVE or HATE?/前島麻由」
・やさぐれ感のある歌詞にロックなリズムが前島さんの声とベストマッチで、
インパク大
ED「好きがレベチ/エレノーラ&ユミエラ」
・まさかのエレノーラがメインだと?!
2人のキャラを活かしたふわふわでキャッチーな食感がクセになるw
(追 記)
原作とアニメとの違いがYOUUBEにアップされていたのですが、例えばアリシア
は原作だと
{netabare}・ユミエラの寝首をかくために謝罪して油断させる
・自分の命か仲間の命かの選択で、迷わず自分の命を懇願
等結構クズキャラで描かれているようですね。{/netabare}
アニメ化にあたって、この辺りも改変されているわけですが、
「1クールアニメとしてどういう作品したいか」
全体像を考慮の上で、上手くチューニングしているなと評価していいんじゃな
いですかね。