人造人間アニメ映画ランキング 3

あにこれの全ユーザーがアニメ映画の人造人間成分を投票してランキングにしました!
ランキングはあにこれのすごいAIが自動で毎日更新!はたして2024年04月27日の時点で一番の人造人間アニメ映画は何なのでしょうか?
早速見ていきましょう!

64.3 1 人造人間アニメランキング1位
スカイクロラ - The Sky Crawlers(アニメ映画)

2008年8月2日
★★★★☆ 3.6 (423)
1993人が棚に入れました
現代に似たもうひとつの世界。平和を実感するために“ショーとしての戦争”が行われる中、思春期のまま戦闘機のパイロットとなることを余儀なくされた通称“キルドレ”たちの運命を描く。

CountZero さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

僕はまだ子供で、ときどき、右手が人を殺す。

理系作家として有名な森博嗣先生のスカイクロラシリーズを、押井守監督が映像化した作品です。
原作のシリーズは私の大切な小説の一つです。
鈴木成一デザイン室による装丁もお気に入りなので、全部ハードカバーで手に入れて本棚に収まっています。
これまで何度となく読み返しては、詩的で徹底的に感情をそぎ落とした透明な色の文章と白昼夢のような世界観にうっとりとしていました。
私は映画化するなら絶対押井監督と思っていたので、制作が発表された時は本当に「キター!」っていう感じでした(笑)
が、重要なのは、やっぱりあの雰囲気をどれだけ再現できるのかといところです。

そんな私の観終わった感想は、「すごく良かった」です。

どこが良かったか?
まず、原作と同じように淡々とパイロットの待機と出撃を繰り返す日常が、上手に映画でもただ淡々と描かれていたところです。
「淡々と」を演出するために、BGMなしで、空調機の物音や基地で聞こえる機械音や作動音のみのシーンや、同じ視点から見たシーンが多用されているのがとても効果的でした。
私はすごくいいと思いましたが、そのように物語の起伏が意図的に抑えられたこの演出の仕方を、退屈と感じるかどうかで賛否も分かれるとは思います。
でも、そのおかげで本来あるべき感情が失われた「キルドレ」と呼ばれる主人公たちの思いや考えが表面に現れる時、ぐっとその感情が強調され、悲しみや、切なさや、やるせなさや、諦めが伝わってきます。

そして、意外にも良かったのが、草薙水素役の菊地凛子さん。
彼女は俳優としてすでに高い評価を得ている方なのですが、声優としてはどうなのか?と最初は思いましたが、今ではイメージにかなり近い、草薙水素になっています。
「あの棒読みのどこがいいの?」って思う方もいるでしょう。
確かに棒読みです(笑)
でも、いいんです!
それがキルドレなんです。
話す言葉に感情はないんです。
とりわけ、クサナギは他のキルドレが兵器として「繰り返し」どんどん死んでいくの目にしながら、エースパイロットとしてずっと長く生き残ってしまった、という流れがあるのでぶっきらぼうで棒読みな感じが逆に良かったです。
そしてキルドレは成長しない子供たちという設定なので、菊地さんの大人のようにも子供のようにも聞こえる独特な声がクサナギにぴったりだった、と私は思います。

原作好きな私としては、基本的にダウナーでオルタネイティブな小説の雰囲気が、映画でもきちん再現しようとされていたことに満足していますが、それに加えて原作とは少し異なる映画のラストも良かったと評価しています。
あの終わり方は、暗くて絶望的な状況に明るい一筋の希望を感じさせて、物語に救いをもたらしていたと思います。
諦めが希望に変わるシーンに感動しました。

もちろん飛行機の戦記ものなので、空中戦もよくできています。
確か押井監督はインタビューで「宮さん(宮崎駿監督)よりもいい空中戦を描く」って言ってたと思いますが、確かにその自信だけのことはあるかっこよくて迫力あるシーンだったと思います。
でもまあ個人的にはそれでも宮崎駿監督の空中戦の方が好きですけど(笑)

他にもいろいろいいところはあったんですが、この辺でやめておきます。
あとは観て感じてみましょう(笑)
原作を知らないと良く分からない設定なので、誰にでもおすすめな作品ではないですが、「繰り返される」生と死、その先にある絶望と希望なんて感じのシリアスな物語に興味のある方はどうぞ!

そうそうあとね、この作品はエンドロールの最後まで全部観て完結です。
お忘れなく!

投稿 : 2024/04/27
♥ : 31

むんむん さんの感想・評価

★★★★★ 4.1

大人にならない子供

人を選ぶ作品というより、使う引き出しが違うんだと思います。
少ない情報で音楽も少なめで表情もなく、淡々と進んでいるように見えるとおもうんですけど、大人にならない人間が、死ぬ理由を操作されて、生きながらえても生の実感がないという行き場のない空気は、あの無表情につながってるのではないでしょうか。
ただ、音のない歩くだけの音や、すばらしい作画による光の感じなど、あの無表情のキャラクターが、この精巧に作り出した世界の大地に立っている実在感というか 空気感は普通のアニメではまったく見たことない表現方法で、他のアニメと比べられない高レベルだと思いました。
キャラクター一人一人の何気ないしぐさ等が、嫌味なく存在し
淡々とその空気を生成していてセリフがなくともそこに不思議な人間性と彼らの日常が繰り返されている本当に細かい演出ですけど、そのテーマが生きるようにできていると思います。
お話を見に来ている人と、あの空気を楽しんでいる人とその中間くらいの引き出しで見るとあの非現実的で無表情なキャラクターが。妙にリアルで精巧に描かれた世界に立っている不思議な空気を堪能できると思います。
かつてみた大友克洋のアキラや士郎正宗のアップルシードなんかを思い出して、「ちょっと懐かしい匂いがするなぁ」と。
ミリタリーが好きでない人も普通にいつも見ている引き出しを変えてみればこの作品の良さに出会えるかもしれませんよ
まぁ、現実的には大人になりたくない「俺ら」ということでしょうか(笑)

投稿 : 2024/04/27
♥ : 3

イブわんわん さんの感想・評価

★★★★★ 5.0

個人評価は高いが、あまりお勧めはできないアニメ

押井監督の120分のアニメ映画です。

とりあえず作画は押井監督ならではのクオリティで、申し分ありません。
特にCGによるメカや空中戦、空や海の描写は他のアニメとは比べ物にならないほど素晴しいです。

さて内容といいますと、深く重く鬱的なシリアス展開です。
どこまで設定を理解し感情移入できるか、メッセージを受け止めれるかで、評価も雲泥の差が出てくると思います。

終盤に近づくにしたがって、この戦いの意味や真実、そして各キャラの心の深い部分がわかってきます。
その理不尽さやラストは「エルフェンリート」や「ほしのこえ」にも似た感覚でした。

お勧めはしませんが、個人的にはこう言う評価になりました。
(2013.9.23修正)

投稿 : 2024/04/27
♥ : 14

65.0 2 人造人間アニメランキング2位
ドラゴンボールZ 極限バトル!!三大超サイヤ人(アニメ映画)

1992年7月11日
★★★★☆ 3.5 (90)
524人が棚に入れました
人造人間17号によって、ドクター・ゲロは殺された。しかし、人造人間達ですら知らない極秘の地下研究施設では、ゲロの怨念を引き継いだスーパーコンピューターが引き続き『孫悟空抹殺』を目的に開発を続けていた。平和な日常を送る悟空達の前に、突如として謎の2人組が襲撃をかけ、街を破壊し始める。その存在に気付いた悟空は、2人に気が感じられない事から、ドクター・ゲロの作った人造人間である事を察知する。街中で戦う悟空とトランクスであったが、トランクスの咄嗟の一言で、人気のない場所へ誘き出す。

nk225 さんの感想・評価

★★★★★ 4.3

前作『激突!!100億パワーの戦士たち』より時系列的には前の話と考察されている。

ドクター・ゲロの執念で完成した最強の人造人間13、14、15号が銀座のデパートで食事を楽しんでいた悟空たちを襲う。場所を氷河地帯に移して悟空、トランクス、ベジータの三大超サイヤ人が勢ぞろい。13号は14号、15号と合体し3メートルを超える超人造人間になる。一方、黄金のオーラを発する超サイヤ人、悟空との戦いはこれ以上はない世紀の対決!互角の戦いの中、一瞬の隙に悟空は超エネルギー弾に倒れ、クレバスの奥深くに沈んでしまう。あわや悟空!!このままでは人造人間に地球はのっとられてしまうが・・・・

1992年7月11日に公開された『ドラゴンボール』シリーズの劇場公開作第10弾である。

大全集には「劇中でのゲロ抹殺や、悟飯がサイヤ人になれない点からドクター・ゲロ死亡からセルが完全体に変身するまでと時期を推測。ただし、その頃の悟空は伝染病で倒れているか、精神と時の部屋で修行中。平行世界的な出来事といえる」と書かれており、前作『激突!!100億パワーの戦士たち』より時系列的には前の話と考察されている。

オープニングテーマ - 「CHA-LA HEAD-CHA-LA」
エンディングテーマ - 「GIRI GIRI-世界極限-」

投稿 : 2024/04/27
♥ : 8

67.9 3 人造人間アニメランキング3位
COCOLORS(アニメ映画)

2017年2月17日
★★★★☆ 3.7 (17)
90人が棚に入れました
延々と降り続く灰が、空と地上を覆ってしまった世界。人体を融解させるというバクテリアを含んだ、その有害な灰を吸い込まぬよう、人々は巨大なマスクと防護服で全身を覆い、地下深くに作られた街で暮らしていた。しかし、灰はしだいにその街をも侵食していき、やがて人々は絶望に飲まれていく。そんな世界に暮らす少年、アキとフユ。2人は地下に暮らしながらも外の世界を空想し、未だ見たことのない空に憧れを抱いていた。やがて外の現実を知る時、成長した少年達は何を思うのか。

声優・キャラクター
高田憂希、秦佐和子、岩中睦樹、市来光弘、桑原由気、高井舞香

けみかけ さんの感想・評価

★★★★★ 4.6

今年最大の衝撃!歴史的傑作ディストピアSFはいま世に放たれた!!コカラスを観てください!!!という話

『ジョジョの奇妙な冒険』のOP映像や来期放送『ポプテピピック』、来年公開の『ニンジャバットマン』の制作拠点である神風動画
その神風動画の別ラインである神風動画弐式が手掛けた完全オリジナルの45分中篇映画
タイトルは「ココロ」と「COLORS」を掛け合わせて顔色、声色、音色を連想させる造語で『コカラス』と読みます


人体を溶かしてしまう死の灰が降り注ぎ、謎の超兵器が街を焼き払うディストピアが舞台
この世界では死の灰の脅威から身を守る為、生まれついた直後からヘルメットと防護服を着せられる
地下の世界で細々と暮らす人々は、限りある資源を求めて健康な若者たちを「回収班」として地上に送り出しっていった
地下の世界の少年、“アキ”はホラ吹きなことで仲間達からカラカワレていたが、彼の無二の親友であり生まれつき小さな声しか出せない少年、“フユ”だけはアキの話を信じていた
フユはアキのするデマカセな外の世界の話を繊細な絵に起こしていたが、絵の具にする材料を欠いていた
やがて彼らは成長し、アキは回収班として外の世界から絵の具の材料を調達してきた
フユの絵は日に日に色彩を増していったが、最後に残された地上の空の色だけは決まらずにいた
やがて彼らは少しずつ知ることとなる
自分達が何者なのか、
外の世界では何が起きているのか、
いずれこの先どうなっていくのかを…


この作品、元々はどこの資本も無く始まった純粋なオリジナル企画だった模様で、橋口コウジ氏の考案した世界観を元に横嶋俊久監督が自由に構想した結果として仕上がった脚本を元に2016年頃から制作を開始したそうです


2016年10月と2017年2月には映像こそ完成していたものの音作りに時間を割けないという理由から、無音の映像にバンドと声優が生演奏、生アテレコをするというライブパフォーマンス形式での上映が公演
その後、半年以上の沈黙を破って遂に音声を収録した完全版が2017年12月2日に、あの新海誠を初めとした数々の伝説を世に送り出してきた下北沢トリウッドで公開となったわけです


まずこの映画の率直な観所としては橋口コウジ氏、自らが原図を手掛けたという濃密な背景で描かれるディストピアの風景が上げられるでしょう
明暗のクッキリとした地下の街並み、乱雑としたフユのアトリエ、そして荒廃とした地上…
とにかく密度が凄い
ワンカット、ワンカット一時停止してピンチアウトで拡大して観たくなるほどの情報量を誇る背景画です
そんな濃密な画を、3Dなのか手描きなのかまったくと言っていいほど区別の付かない繊細なトゥーンシェードで画面に起こしたことはそれだけで芸術と呼ぶに相応しい出来です
大友克洋、士郎正宗、今敏、弐瓶勉などがお好きな方は絶対に観て欲しい


ガムランみたいな音楽を含め、少なからず『AKIRA』を意識されているのでは無いか?と思います
むしろ現代の『AKIRA』と言っても過言ではないでしょう!


次にキャラクターのアイデアが非常に面白い
全てのキャラが生まれつきヘルメットをしており、黒くくすんだヘルメット越しではお互いの表情がほとんど読み取れない
つまりこのキャラ達、画面上では表情と呼べる仕草はほとんど皆無
にも関わらず、しっかりと芝居がかっている風に観えるのが不思議で面白い
それは身振り手振りの仕草だったり、声優の演技だったり、はたまた彼らの頭部に付いたライトの明滅であったりと、“顔が無くても芝居は成り立つ”とは能の舞を観ているかのような気持ちになり、これまで自分が観てきたアニメとはなんだったのか!?と、今作の演出にはハッとさせられます


そして何より、お話の観易さがこの作品の一番の決め手ではないかと思います
ディストピアが舞台の、悲しいSF、と聞くと一瞬身構えてしまう人も少なからずいらっしゃるでしょう
が、この作品は表面上は二人の少年の友情を物語っているに過ぎず、あまり小難しく考えずともお話に没入出来るところが素晴らしい
もちろん設定や世界観、登場人物達の謎めいた言動を深く考えれば考える程“世界の謎”の部分が解けていき、より深みを感じることが出来るのも魅力ではあるのですが、そういうのは2回以上観てから考えれば良いので、まずは圧倒的迫力の画面!臨場感ある音楽!!声優の芝居!!!お話の切なさ!!!!!を感じていただければ幸いに感じます


設定や世界観に関するオイラの考察は、いずれ何らかの形でアップしたいと思います


先に述べた通り、この作品には大きな資本の手が入っていません
で、あるが故に現在ソフト化や配信は未定となっており、下北沢トリウッドでの独占単館上映となっとおります
正直に現時点で今年観たどの映画よりも刺激的で衝撃的で感動的でしたこの傑作を、人に薦めないのはヲタクの恥というもの
シモキタに足を運べる人は是非観に行っていただきたいと願うばかりです


最後に個人的にお気に入りなカット
御神体から溢れた黒い液体に飲まれたアキが、墨汁で出来た海のような暗闇の中へ沈んでいくシークエンスの3Dとも2Dとも形容しがたい煙のようなエフェクト
あれホント綺麗でした

投稿 : 2024/04/27
♥ : 14
ネタバレ

ねごしエイタ さんの感想・評価

★★★★★ 4.2

よくできていた。けど、悲しい!

 死を及ぼす危険な灰が降り注ぐため、地上を捨てて地下で暮らす人々の中で、アキ、フユといった子供たちを中心に時が流れる世界の物語だったです。皮膚を表に出せないため、スペースシャトルの宇宙服みたいな防護服をつけての生活を余儀なくされていたです。

 アニメなんだけど、どこかリアルな漫画が動く、キャラ、作画背景という印象です。

 地上を見たことのないフユのつくる版画?が、どこかよくできていたです。

 見続けている内に、可愛そうな状況になっていったです。地上を見たいという少年の思い{netabare}が、2人を突き動かしたです。挫けそうになっても、いなくなった仲間たちが後押しをした。人生最後の瞬間に叶った光景。{/netabare}何ともやるせなく悲しかったアニメだったと思うです。
 この終わり???納得できるかなぁ????だったです。

投稿 : 2024/04/27
♥ : 8

waon.n さんの感想・評価

★★★★★ 4.7

顔を見せない制限により様々な「色」を見せる。

 『COCOLORS』は心とカラー(色)を組み合わせた造語です。
 まずは、顔が見えないアニメを作ってみようという発想からスタートしたようです。
 日本語には、顔色や声色、音色といった「色」という文字で心を表現する言葉が存在しています。絵においては背景の「色」によっても人の心情を表現したりすることがあります。まとめて心の色とでもいうのでしょうか、これらをモチーフにしたのがこの作品なのだと思います。

 タイトルにもありますが、登場人物は全員かおをヘルメットで覆いどんな顔色をしているのかが分かりません。当然みている側はそのそれぞれのキャラがどんな顔をしているのだろうかと自然と想像してしまう。いや、させられてしまいます。ここにハマると一気に作品の中にのめり込むことができるのです。
 とはいえ、無策にヘルメットで顔を覆うだけでは、駄目だったでしょう。上手かったのは序盤でキャラの味付けがどんなものか紹介されていくシーンでキャラの感情を引き出し声色や仕草での心情の表現がしっかりと行われていたことで、今きっと悔しい表情をしているのだろう。と自然とこちらが想像してしまうように誘導することに成功しているのです。

 世界は灰に覆われ、物語に登場する人間達は地下へと潜り灰の届かない場所での生活を余儀なくされているのです。理由は語られていませんが、物語の主軸ではなく気になりません。
 彼らの生きる地下の街は薄暗いなかにも人々の生活がしっかりと刻み込まれていおり、活気が感じられるためどこか明るさを感じられます。この地下の街の背景美術は細かく丁寧に描かれているため、いつかじっくりと観たいと思いに駆られます。
 回収祭という祭りが開かれる際にはお神輿を担ぎ地下の街を回り、それを見物する人たとなど賑わいを感じさせてくれます。この時、ヘルメットや体に模様をつけるのですが、まるで表情を表しているように見えます。この時の主人公やその仲間の顔がどのように見えるのか、またそのヘルメットのなかではどんな顔をしているか、やはり気になってしまいます。
 さて、地上はどうかというと、一面白い灰に覆われ一見すると明るいのですが、太陽は雲に遮られやはりどこか暗い雰囲気。そして、人がまったくみあたりません。完全に廃墟となってしまった世界。
 地上と地下二つの世界(黒と白)の対比があるためより地下での色みが意識に残ります。そしてこの作用は作品の後半に入ると一気に効果を発揮してくれます。

 全編を通じてカラーを抑えた印象になっていますが、世界観の構築とコンセプトによるものだろうと思います。世界観は前述しましたので割愛して話を進めます。、コンセプトとして顔色が分からないので、どこかで代わりに表現しなければならないわけです。その一つとして、心象風景の色があります。
 色の使い方が変わるシーンがいくつかあり、そこまで多く取り入れているわけではなかったと思いますが、とても印象に残ります。それはどこか彼らの心の色が見えた気がしたからなのかもしれません。

 作画についてですが、神風動画といえば、3Dと2Dをうまく融合して表現する日本独特の作画が素晴らしいことでも知られています。
 私が書いたレビューのなかに大友克洋の短編集をまとめた『SHORT PEACE』があり、その時のレビューでも書いたことですがこの2Dと3Dを融合させたような作画は今後とも伸ばして頂きたい。そしてこの作品もこの技術がすばらしい。どちらの良さもでています。
 世界観設計が『翠星のガルガンティア』、『FREEDOM』の橋口コウジさん。3Dアニメーションが『JOJO1部・3部』を担当した石黒英彦さん。このお二人を掛け合わせるとこんな作品ができちゃうんです。緻密に描かれた背景とそこから奥行きがあり、絵のタッチが残るような丁寧な3D制作……本当にスゴイです。

 声色。ですが、これは演技する声優の方は大変だったのではないかと思いますが、とても良かったです。主人公のアキを演じる高田憂希さん、シュウ演じる岩中睦樹さん。今後、もっと活躍して欲しいです。

 音楽もシーンにしっかりと合った音色だったのだと思います。
 一度目では物語に合った音楽って本当に二回目以降でないとあんまり分からなかったりしてしまうので、正直語れるほどではありません。
 ただ、全編を通じて40分とそこそこの上映時間のなかで多くの楽曲が組み込まれていたと思われます。普通の映画より多かったような印象です。
 これも音色を意識した演出なのでしょうか。

 キャラクターの話をすると、一番特徴があるのが、フユですね。
 顔も見えなければ、声も出せない。表現する方法が特殊な笛で3種類しかないというもの。この設定はかなり思い切ったと思います。
 なので、このキャラには他のキャラよりも多くジェスチャーのように動きによる演出が施されているように感じられました。俯いたり見上げたり、動身振り手振りがあったり、その速度が変わったり。
 こういった動きによっても表現される「色」を出せているというのもアニメの面白さを改めて認識させられた瞬間でもありました。

 物語についてはなるべく避けてレヴューしていますが、たった40分ちょっとの映画でもっと語りたいと思わされていることに驚愕しています。
 また、観たいと思いますし、まだ観たことない方々にも観ていただきたい作品となっていました。
 これ本当にBlu-rayで欲しいです。作ってくださぁああい。

 最後に一つだれか答えを知っていたら教えていただきたいのですが、なぜタイトルにある二つ目の‘CO’のフォントが違うのでしょうか。気になって夜しか眠れません。

投稿 : 2024/04/27
♥ : 7
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