天上人おすすめアニメランキング 3

あにこれの全ユーザーがおすすめアニメの天上人成分を投票してランキングにしました!
ランキングはあにこれのすごいAIが自動で毎日更新!はたして2024年06月01日の時点で一番の天上人おすすめアニメは何なのでしょうか?
早速見ていきましょう!

64.8 1 天上人アニメランキング1位
かぐや姫の物語(アニメ映画)

2013年10月1日
★★★★☆ 3.8 (291)
1189人が棚に入れました
原作:「竹取物語」、原案:高畑勲 監督:高畑勲 製作:氏家齊一郎、脚本:高畑勲/坂口理子、音楽:池辺晋一郎

声優・キャラクター
朝倉あき、高良健吾、地井武男、宮本信子、高畑淳子、田畑智子、立川志の輔、上川隆也、伊集院光、宇崎竜童、中村七之助、橋爪功、朝丘雪路、仲代達矢、三宅裕司

薄雪草 さんの感想・評価

★★★★★ 4.8

私訳・竹取物語

姫の犯した罪と罰 。

いささか仰々しいキャッチコピーですが、原典に従えば、地球の男たちを愚弄したことの罪、彼女がしでかした所業への罰。
そんな評定ができようものと思います。

本作品を、原典のトレース、ストーリーの焼き直しと見るなら、底の浅い二番煎じと受け取られても仕方ないでしょう。
でも、高畑氏がそのように銘打ったからには、別の意図が付され、新しい解釈ができるかも知れません。

原作者と高畑氏との間には、どのような共通点と相違点があるのだろう。
かぐや姫と私たちを対比させながら、時代マターに通底する罪と罰を俯瞰してみたいと思います。





1000年も前の物語が伝承されているのは、誰にとっても普遍的な価値が見いだせるからで、体裁としては、私はシンプルに "転生もの+なろう系" と評価しています。

私のアプローチは、次の二つの視点です。
「なぜ天上に住む高貴な女性が、わざわざ地球に下り、ひなびた古老の家を選んだのか。」
「いったい彼女は、どんな暮らしを願い、そして彼女はそれをやりきったのか。」

彼女は、地位や名声、財宝や権威には一切関心を示さず、おもねることもなかった。男たちの求婚には目もくれず、育ての老親への孝行も念頭になかった。
およそ人の幸せに類するものへの無関心なさまは、あらゆる世俗を諸行無常と達観する "解脱者" のようです。

そんな彼女に、高畑氏は、幼馴染への恋ごころを濃密にトッピングし、妻帯者に対して彼女に心火を燃やさせ激情を逸らせました。
解脱と陶酔。このアンバランスさに私は混乱し、一つの疑念をいだくに至りました。

もしかしたら、高畑氏はかぐや姫のイメージを、根底から覆そうとしているのではないかと。





私は、本作(原典)を、転生願望をテーマにした日本文学のフォーマット、なろう願望の裏表を詳らかにしたテンプレートと思っています。

月は精神を、地球は肉体を象徴しています。
ひと気のない宮居から、真っ暗な宇宙空間に浮かぶ地球に思いふける彼女は、おぼろな霊体としての存在でしょう。

転生&なろうの文脈に落とすなら、地球に憧れる=肉体を得ることが彼女の最初の願望。
ですが、肉体を得た彼女の振る舞いは、1000年も語り継がれる稀代の剛愎ぶりでした。

だから私のかぐや姫の第一印象は、我儘と傲慢を併せ持った桁外れのエゴイストです。
お母さんの子宮ではなく、竹から生まれること自体が、そもそも大きな矛盾(罪と罰の素因)を孕んでいることを暗喩しているのですね。





そこで仮説を立てたのが、一つには、月の世界は、男をかぐわせる魔性の女を閉じ込める "牢獄" 。地球は、己が重罪に気づかせるための "保護観察付きの仮釈放" というシュールです。
そんな切り取りはなんとも悲しすぎますが、転生&なろうの彼女の動機は、牢獄という罰からの逃避とも、そこに収監された罪への慚愧の念から、とも取れそうです。

ですが、もう一つの仮説もあります。
それは、月の世界は、女性の社会的自立を抑制する "ガラスの天井" で、地球は女性性の "解放区" という真逆のシチュエーションです。
その観点でかぐや姫の心情に触れるなら、人恋しさを満喫し自由奔放な恋をエンジョイしたかっただけ、あるいは男を伸(の)してでも女性のジェンダーを周知向上したかったからとも感じ取れます。

平安時代の貴族女性は、親の一存や政略として定められた人生を選択する(押しつけられる)のが "普通" でした。
月の女性はかぐや姫の前世霊でもあるわけですから、それじゃない何か、どうしても選びたかった何かを果たしたかったのではないかと思えるのです。

そう考えると、かぐや姫の振る舞いや生きざまは、表層的な評価にはとどまらない、多重的、多角的、多面的な解釈ができそうです。
言うなら "いかなる因果律にも縛られない超法規的措置" 、"正夢にもすがりたい虚妄、逆夢さえねじ返したい本願" です。
そしてそれは "誰にとっても地平続きである感覚" に驚かされます。

わたし的には、この気づきが、この物語に秘められたアレゴリー(寓意)であり、アイロニー(皮肉)なのかもと思います。
1000年前の彼女の人となりは、今の人間と少しも違わない。
彼女の罪を咎めることも、罰を嗤ったりすることもできない。
そう胸に問い返し、「ではどうすればよかったのか?」を自問自答させるのです。





高畑氏の作風は、エンタメに笑いを見せながら、毒針を暗喩としてチクリと含ませたり、世相を皮肉で捩(もじ)ったりする一面があります。
原典も本作も、そんな矜持を一人の若者(かぐや姫)の境遇に盛り込んでいます。

自分らしく生きることの難しさ、社会が変わらないことの悔しさ。
そこには、男と女の性的格差(ジェンダーとセクシャリティー)。自由奔放とルール社会との衝突。貧富、能力、容姿などの超えがたい相差が見て取れます。

これらのコントラストは、バイアスによる誹謗中傷、それぞれの正義感の押し付け合い、不合理や不条理の支配構造を生み出しています。
そんなバトルが目の前の現実であり、人間に生まれることの由縁と必然です。

だからこそ、安直な転生&流行りのなろう系とは全く異質のシナリオが、1000年変わらぬ土台なのです。
おとぎ話に心を遊ばせても、その主人公を自分のリアルに当てはめるな、と。
現実の世界で懸命に足掻き、その主人公として今生の自分を確立させよ、と。

どんなにかぐわしい人生であっても、どれほど生臭い境遇であっても、いつ知れずお迎えの時期は来るのだと。





私は、高畑氏が描く月の女性は、魂の輪廻のなかに存在していると捉えています。
これは "転生同魂" 的な演出で、昨今の転生&なろう系作品とほぼ同じ構造です。
ですが、原典には、記憶の継続性は少しも設定されていません。

作中、かぐや姫が、わらべ歌に不思議を感じる演出があります。
これは、転生&なろう系のアニメ作品に親しむファンへの歩み寄りでもありますが、同時にアンチテーゼを匂わせているように感じます。

前世、今世、来世に貫通する想いは、地球と月とを行き来したくなるほどの強い焦燥です。
それはおそらく、叶わなかったことの悔恨、叶えられなかったことへの呵責です。
仏教ではそこに輪廻転生を説法し、SFではここでタイムリープを起動させます。
あたかも今の自分の意識と肉体が、一旦は別の次元界に行き、追ってこの世に戻ってくるかのように錯覚させるのです。

しかし、実際は、前世の記憶=自我を保ったままで生まれないことは誰にも分ることです。
また、一つの身体に複数の記憶を持つとか、心と体を時間跳躍させることもあり得ないと分かりきっています。
それが現実なのに、宗教的に "転生同魂" に期待したり、文化的に "転生&なろうアニメ" に親しんだりするのは、言うなら一時的な魂の救済であるのかも知れないし、25分程度の現実への慰めと癒しなのかも知れません。

ただ、それではかぐや姫と同じ穴の狢(むじな)です。
前世と同じ生き方を選択するのなら、俺TUEEE!と変わりません。
今世にノーチャレンジなら、アニメのキャラに何を投影するでしょう。
魂の歓喜と責任を来世にスルーするなら、それはチートすぎるでしょう。

内心を誤魔化すことはとても簡単ですけれど、魂のレベルでは輪廻転生するプロセスに、罪にも罰にもと刻みつけられるのが、この世のしきたりなのですね。





誰にとっても地球にいられる時間は有限で、月に帰ることが予め決められているなら、せっかくの命を何に使うのか、魂をどんなふうに活かしきるのかという問いかけが、本作品への寄り添い方なんだと思います。

そんな当たり前のことが、あまりにも当たり前すぎて、気がつかない、気にも留めないのが、かぐや姫の役回りであり、同時に人間のさがというわけなのでしょう。

最終のシーンで屈強な武士らが描かれますが、これもちょっとしたアレゴリーでしょう。
どんなに虎の威を借りようとも、時間の審判には抗うことなどできないとクギを刺す作者のメンタリティーなんですね。

月の住人の立場なら、地球への転生は、言わば「ショートバケーション&ワーカーズビザ」の付与。
あるいは、自分磨きのための「星間留学体験」なんて解釈も面白そうです。
くれぐれも元の木阿弥(前世の焼き直し)にはならぬようにとの注釈付きですけれど。

ただ、その警句は、当人には分かりようもないし、教科書にも説かれていません。
何もやりきっていない私だから、誰でもいいから若竹でつくった警覚策励でシバキ挙げてくれないかしら。
いえ、それも自分から求めないといけないのでしょうね。





月の女性は、"自らの意志" で地球に転生しています。

であるなら、どうして彼女は、自身の顔を可愛らしく、美しいままに転生したのか。
どうして彼女は、平凡な顔立ちを良しとしなかったのか。

無意識、無自覚なその自我は、彼女の罪とは言えまいか。


いいえ、もしかしたら、彼女は譲れなかった、譲らなかったのかもとも疑います。
転生だけでも十分な特赦なのに、そこまで依怙地を通すなら、罰を受けざるを得ない人生になっても仕方ないかなぁとため息がでます。

ですが、神仏が "敢えて許した" と致すなら、話はがらりと変わってきます。


美人薄命。
それは罪をつくるから? それとも罰を負っているから?
なんとも、どうにも難しいものです。





「竹取」は、長けを取ること。
それは、自分の長所に胡坐をかいてばかりではいけないことを示唆しています。

あるいは、長けを獲ること。
それは、自分を竹のように伸ばし、節を乗り越え、節を味方につけて、高みを目指すとも解釈できます。

さらには、丈を取る、でしょうか。
丈は、物の長さを測る単位ですが、支えること、支えあうことの意味もあります。

日本は言霊の国ですから、「竹取」の二文字にそういう精神性を秘め、長く言い伝えようとしてきたとも言えそうです。


仏教では、人は誰でもが、前世の劫を携えて生まれてくると語られます。
そして今世でも、知って犯す罪、知らずに積む業があるとも言われます。
それでも人は良かれと信じて徳を積み、意を尽くして天命を受け容れるしかないのかもしれません。

だから、かぐや姫は、彼女なりの生をやりきったのだと思います。
それなら、次のかぐや姫の役は、あなたです。

原典と高畑氏の作品は、それを後世に伝えていく役割なのだろうと思います。
それはまた、私訳・竹取物語でお伝えしたいことなのです。

投稿 : 2024/06/01
♥ : 14
ネタバレ

ろき夫 さんの感想・評価

★★★★★ 4.1

かぐや姫の物語に想いを寄せた一人の翁

学校で習ったことはありますが、大昔のことなのでぼんやり。
大方のあらすじを覚えてる程度、詳しくは把握してません。
まぁ、でも大丈夫な作りになっているでしょー。一応、ジブリだしw
てな感じで見に行きました。

けど、十分楽しめました。それで良かったということなのかな?

冒頭、竹取物語お馴染みのフレーズから始まるのが、とても懐かしい気持ちにさせてくれます。
全体的に忠実に再現されていて、見ていく内に原作の内容が頭の中に蘇っていきました。

原作をベースにした刺激的なアレンジなどを期待するような内容ではありませんでしたが、かぐや姫やその周囲の人々の心情を細やかに描くという+αの要素は加わっています。
人々の交流の温かみを、幻想的に心豊かに表現するのが高畑作品の魅力だと思います。
心を解きほぐすかのような墨画テイストの柔らかい絵はそんな雰囲気を出すのにピッタリでした。
でも、斬新さを求めると拍子抜けだし、退屈な部分も多いので万人受けとは言えない気がします。


いきなりですが、高畑勲という人物像に思いを馳せたことはありますか?
高畑作品って苦手な人も多そうなので、どこに魅力を感じているのか自分なりに紹介したいと思います。


割とストレートなメッセージ性を込めて作品を作ってきた人。
という、イメージでしょうか。

説明的な表現が作中に多くあり、宮崎駿作品と比べるとそれが露骨に伝わってくる。
自然を、家族を、心のゆとりを慈しみなさい。そんな言葉が。どの作品にも共通して。
別に意識して尖った見方をしなくても、向こうが意識させてくる。
それを言いたいがためだけに題材選んでるでしょ!そーでしょ!w なんて、言いたくなるような。
言ってることが間違ってるわけじゃないけれど…上澄みだけで底の泥には触れてないような。
少し一方通行な胡散臭さが拭いきれないもんだから、余計鼻についてしまう。
一生懸命そんな考えを振り払おうとするのですがw

けれど、そんな不満を抱えつつも、結局いつも見てしまう。
それはやっぱり映像面・演出面で、良いものを見せられたとき「面白いっ!」
って感じる気持ちの方が強いからなんだろうなぁ、と思う。
もちろん説明的で退屈な部分や、掘り下げたりない部分、ツッコミどころも多い。
でも、ここが見せ場だ!ってなるときの極上の映像にはそんな不満が些細なことのように思えてしまう。
頭の中でごちゃごちゃ考えていたことがすべて吹き飛んで、物語に一気に引き込んでくれる!
それが高畑作品を見る上で快感でもあります。キターッ!ってなるわけですw
(こういうことを書くと、通ぶったヤローだと思われてしまい抵抗があるのですが・・・
気持ちに嘘は付けないから仕方がない!w)


でも、これまでの作品からすると今作の表現は相当控えめだったように感じます。
悪くはなかったはずですが、印象的なシーンが見当たらない。
「うわぁ、すごい良いなぁ」が、けっこう連発するはずなんですが・・・。
もっと挑戦的なものを期待していた分、正直、ちょっとがっかりしました。
高畑監督の年齢を考慮するとだいぶ挑戦的ではあるんですがw

そんな期待はずれな映像に・・・
この作品を、どんな意図があってこのタイミングで映像化したのか?
なんて、心の片隅あった想いが案の定、暴れだしてしまいましたw

「この人がこんな忠実にかぐや姫を映像化するわけないっ!」
「マジかよー、これなら観るの映画館じゃなくても良かったかな?」
「評判良かったから友達も誘ったのに・・・。寝てないかなー?」
「50億もどんな使い方したんだろう・・・。言い訳くせぇ墨画だなぁ」
「これなら…パフィーも出るゾ!ひまわりのかぐや姫だぞ。の方が面白いわっ」
「原作としっかり見比べてみようかなぁー」
・・・
なんて心の声が次第に増えてきて、集中が続かなくなっていくのが分かりました。
高畑作品にこんな感想を抱いてしまったことに自分で驚いてしまいました。

いや、多分いつものことだったんです。
この作品も例外ではありませんでした。

ラスト20分あたりからでしょうか。

{netabare}かぐや姫が、幼い頃に育った故郷を訪ね、そこで捨丸と再会する。
このとき、彼女の思いがグッと溢れ、彼を抱きしめるわけです。
そしてそのまま、二人は宙へと舞い上がり、つかの間の愛を確かめ合う。

この幻想的な映像に、あっという間に引き込まれてしまったのです。
その瞬間・・・
「あ、そうか。これはやっぱり彼女の物語なんだな」
って思わず、ハッとなった。

彼らが宙へと舞い上がったのは、かぐや姫の持つ不思議な力のおかげなんかじゃ決してない。
あれは彼女の強い想いが生んだ幻想だったのだ。
(だから、厳密に言うと捨丸は浮気していないハズw)
実は何度か、そういったシーンが見られる。
彼女が「かぐや姫」という名前を頂いた際に催された宴の席。
そこでも彼女は、現状に不満を募らせ、古里に向かって屋敷を飛び出す。
凄まじい形相で無我夢中に走る彼女。
けれど、馴染みの仲間たちの姿はなく・・・。
「また春が来るよ」その言葉が彼女を安心させた。
目が覚めると、結局屋敷の中。

そう、彼女は決して自分勝手に屋敷を飛び出したりはしていなかった。
今まで、ただの一度も。

特別な力など、本当はなにも持っていなかったのだ。

父の言うことをよく聞く、母の言うことをよく聞く、器量の良い、とても良い子。
当時の時代背景もあって、自分の想いを押し殺して生きていた。
そうすればそうするほど自由を願う想いが強くなっていった。
けれど、想うだけで結局何も叶わなかったのだ。

月よりの使者が自分を迎えに来てくれて、きっと自由にしてくれる。
ついにはそう考え、助けを求めるようになった。この世は罰なんだと。
冥土の闇に輝く月が、限りなく眩しく見えたに違いない。
そして身を絶ってしまった。

最後のシーンで、使者が菩薩の姿をしていたのは、そういうことなんだと思う。
悲しい別れにも関わらず、使者たちはそれを気にかける様子もなく楽しげに音楽を鳴り響かせる。
それは、決して待ってはくれないあの世への旅立ちを無情に鳴り響かせているようにも見えた。
かぐや姫の両親が眠りから覚め起き上がり、宙に浮きあがってまで彼女を追いかける姿。
未練を断ち切れずにこの世を去ってしまった彼女の、最期に見た幻想だったのかと思うと悲しすぎて泣けてくる。

つまり、最初から最後まで彼女の精神世界を描いた。「かぐや姫の物語」だったのだ。

しなやかな竹から生まれ、山や野を愛し、身分にとらわれず、一人の男性を想い続けた。
そんな女性像に憧れを抱き、月に想いを寄せた、か弱き少女の描いた儚く悲しい物語。{/netabare}

・・・原作者が不明なのをいい事に色々と想像しまくりなのですがw
大昔に、その想いをこのような美しい作品に仕上げた人がいたのかと思うと感慨深い。
そういった意味で、今作によってこの物語への理解をより一層深められた気がする。

これを映像として完成させた高畑勲はやっぱりすごいなぁーとしみじみとていたら、抱えていた不満もいつの間にか綺麗サッパリなくなっているのでした。
これだよ、これ!なんてw

そんなわけで今回の作品も期待に十分応えてくれているので、
この監督の作品が好きな方にはオススメできるんじゃないかと。
退屈な部分もありましたが、無駄なシーンは無かったように思います。
基本的に、映画館に行くと「時間とお金を無駄にしたくない!」などの思いから、
映画を最大限楽しもうと努力するので、良く見すぎていて客観的じゃない部分もあると思います。
なので、この文章が参考になっている自信はかけらもありませんw

別に上から物言ってるわけではないけれど、高畑作品ってそんなもんだよなぁー、という
心構え?みたいなものを持っておくと怪我せずに済むような気もします。
どっか抜けていて、手放しで絶賛できるようなものではないけれど、魅せるときは魅せる!
そんな振り幅がクセになってしまっているのかもしれません。
ホントは全シーンにわたって、そうあって欲しいのですがw

ただひとつ・・・
{netabare} 「姫の犯した罪と罰」というキャッチコピーには疑問を感じますね。

劇中そこまでそれについて掘り下げられなかったし、強調されていません。
視聴後にこのキャッチコピーを目にしたので、違和感しか感じませんでした。
周囲の情報にとらわれるよりも、素直に受けとって見れた方がより集中できて良いかもしれません。
現に、一緒に見に行った友達は、高畑勲はおろか原作に関しても全然知りませんでした。
けど、期待していたよりも良かった。感動して泣いたと言っていました。

あー、だったら我慢せず自分も泣いときゃ良かったなぁ・・・。チクショウ!w{/netabare}

ここまでお付き合い頂き本当にありがとうございました!

投稿 : 2024/06/01
♥ : 17
ネタバレ

タナボソ さんの感想・評価

★★★☆☆ 3.0

見方間違ったかな…

とりあえず2ch見にいったら賛なレス目立つのが少し驚きでした。

新しい解釈に期待したせいなのか、
「姫の犯した罪と罰」なるコピーに煽られて真に受けすぎたせいなのか。
正直、肩透かしを食った感じ。

まんま『竹取物語』だし、罪と罰に関しては
{netabare}かぐや姫が地上で生活したいと願ったことが罪で、罰として地球に降ろされた、{/netabare}って別になあ…。

{netabare}かぐや姫にとっては罪で罰にあたるにも関わらず、求めてやまない、
喜怒哀楽に身を焦がして、愛別離苦の情に振り回され、生老病死に苦しめられながらも、
この世界で生きることは尊いのだと言いたいらしいのだけど…。
いや、そりゃ無味乾燥な月世界で生きたいなんて思わないよ。でも…

この世は生きるに値する、ってテーマがどうも。
そのテーマけっこう見る気がするし、うーん…。
そもそも、みんなそんなに生きる価値ないと思ってんの?
或いは作り手は生きる価値ないと感じてる人が多いと思ってるんだろうか?
ピンと来ないおれがズレてるだけなんだろうか。

この手の話に触れるにつけ、もし自分がお話作る立場だったら、
生きる価値云々てより、お前ら夢ばっか見て高望みしすぎじゃね?、
今の現状をありのまま受け入れて楽しみを見出だせよ、
もし気に食わないんだったら努力せいよ、って話にするなあといつも思うんですよね。
とりあえずぼくアニメ観るの楽しいですぅ(゜▽゜)叛逆の物語観に行くの毎回楽しいですぅ{/netabare}


登場人物は生き生きと描かれてたと思います。
すごく良く動いてたし、翁も媼も楽しそうに見えました。
子供がいる方なら楽しく見られるのかもです。
子供を得ることによる喜びの部分で共感できそう。


しかし私的にあまり好ましく映らなかったキャラがいたのもまた事実で。
かぐや姫、ただのわがまま娘じゃないですかね。

予告編に着物脱ぎ捨てながら猛疾走する場面ありましたが、
そんな理由で鬼の形相でダッシュしたんかとツッコミ不可避ですわw

それ以上にアカンと思ったのが捨丸。
{netabare}劇中2回盗みを働くわけですが、肯定的とも取られかねない描写、どうなの。
露見して捕まってもボコボコに殴られただけ。
時代背景、状況がまるで違うことを百も承知で書きますが、
人のモノ奪ったり傷つけたりして、損害を負わせる行為を
自慢する輩が現れて問題になる現状的に、いかがなものかと。

で、突然再開した幼なじみのタケノコ=かぐや姫と愛の逃避行。
妻子をほったらかしにして、ですよ?
いない設定にすれば全く問題ないのに。
空を一緒に飛び回っていったいナニをしてるんですかねえ。{/netabare}


もし竹取物語知らない人なら楽しめる可能性は高まるだろうし、
竹取物語の映像としては決定版と言って良さそうな気がしました。
画は凄いですよね。演技も良いと思いました。
故ちいさんも熱演。「ひーめ、おーいで!」「ひめー!!!」
て実際見たら微笑ましいと同時にうざいだろうけどw
電車で孫と一緒になってアイス持ってはしゃぐ爺さんのエピソードがある町田康の小説思い出した。


映画館で鑑賞して良かったと思えたか:3/5
設定・世界観の好悪:2/5
OP曲の好悪:2/5
ED曲の好悪:2/5(二階堂和美 / いのちの記憶)
(2013/11/25初up)



直接の関係はないのでタグ使って『夢と狂気の王国』の感想
{netabare}
ジブリを題材にした実写ドキュメンタリー映画。
『風立ちぬ』のネタバレがある、と言うか鑑賞してないと
いまいち解らないのはまず注意。


期待値めっちゃ低かったんですが、意外や楽しめました。
だって最速上映イベ行ったら宮崎駿のそっくりさん芸人いるんですよ。色物だったのかよと。
そのイベのチケット取れたのも、自分が開催に気づいた時点で
チケット発売日から丸二日経ってたけど普通に席空いてたからだし。
ニコ生でも配信されたトークセッションでは即完売ムード醸してたけど、半ば嘘ですw

で、その意外や楽しめた本編、
まず、時折差し込まれる風景など映像が綺麗だし、音楽(高木正勝!)が良い。
ドキュメンタリー作品全般あまり観たことないんですが、
表層部分だけでこんなに楽しめるとは、ドキュメントなんて退屈だろ的先入観を壊してくれました。

猫の牛子がドアの向こうで半身を見せて覗き込んでいるように見せる描写を
挟み込むユーモア、ほっこり感も良くて、いや、実際この猫、人の話聞いてるらしいのですけど。
押しつけがましさがあまり無くて、スタジオジブリの空気感を捉えることに
注力してるのも好印象でした。

スタジオジブリってヘンみたいです。
一見普通のおじさんおばさんなスタッフが沢山出てくるけど、少なくとも精神年齢はみな年齢不詳。
パンフ掲載の高木正勝によれば学校、ってことになるけど、
それだけじゃなくて。
例えこの映画の中だけの作りごとだとしても、すげえなと思いました。


文字通りジブリの夢と狂気を描いているわけですが、狂気成分は少なめ。
例えば宮崎吾朗のシ-ンが狂気だったらしいけど、取って付けた感ありありだし。
前触れもなく唐突に出てきてプロデューサーにキレて狂気でござい、ってそれはうーん。
詳細解らなくてもどんな話してるかはまあ判るけども別になくていいような。
もっと金の話すればよかったのに。鈴木Pが暗躍するドロドロのマネートーク。
宮崎駿が語るところの創る自由には金が必要なんだし。

しかし同時に金の話はこの映画には必要ないとも思うんですよね。
上映前、鈴木Pが0時予定時刻を押してまで語るところに、
この映画に真実はない、とのことだけど、まあキレイゴトが多すぎではありながら、
それで良いと思えてしまいました。
少なくとも宮崎駿が自分のために映画を作ってるのではない、人のために作っているのだ
と信じていることには真実味を感じました。

興味深いネタも色々ありました。
↓『夢と狂気の王国』以外に『風立ちぬ』のネタバレもありm(_ _)m
{netabare}
『風立ちぬ』は宮崎駿自身の自叙伝でもあった、とこの映画では描いてる。
「生きて」は反戦派でありながら兵器を愛してやまず、
呪われた仕事とした映画作りに従事するなど様々な矛盾を抱えながら
「生きねば」で、鑑賞会で自身観て泣くのかとも思うわけですがw

一方、鈴木Pと庵野秀明との車中での会話では、
庵野自身にとってもっと生きて、もっと良い作品を作らなければ、
とのエールとして受け取ったと思しきやりとりもありました。

最初思いついたラストと真逆のラストにしたってエピソードには驚き。
当初は菜穂子にこちらに来て、と言われて天国に導かれる結末だったらしい。


高畑勲は謎。
私が知らないだけとは言え宮崎駿が良くも悪くもよく話題にする。
もの凄く影響を与えた人物として語られる割に
結局、本人登場は実際の唐突な出現時を捉えたシーンのみって言う。

あと駿、身内映像ぽい中宴会かなんかで浪々と歌い上げてたけど、
やっぱサービス精神あるんだなあとか。

つうか、引退会見の直前、ホテルの窓から外を眺めて、
建物の屋上を渡ってあるく空想から作品創りに繋がるような話をするとか
ホント引退する気あるんか?って感じ。
{/netabare}

映画館で鑑賞して良かったと思えたか:3/5
設定・世界観の好悪:3/5
OP・ED曲の好悪:記憶に薄く判断出来ず
{/netabare}

投稿 : 2024/06/01
♥ : 5

58.1 2 天上人アニメランキング2位
MUNTO ムント(OVA)

2004年2月26日
★★★★☆ 3.3 (27)
185人が棚に入れました
『MUNTO』(ムント)とは日本のアニメ制作会社である京都アニメーションが自主制作したOVA作品。
【ストーリー】ユメミとムントがもたらした力(アクト)により、ふたつの世界は救われた。
しかし、神の力を取り戻した天上の王達は、賢者の知恵を否定し、次々と連合を離脱。それぞれの野心赴くまま、因縁ある国へ戦を仕掛け、天上の秩序は失われる。神々の戦は天と地と震わせ、その影響は時空を越えて現代世界へも及ぶ。世界各地で天変地異が頻発し、現代は未曾有の危機に陥った。
すべての未来が逃れようのない死を目前にした時、ムントは再びユメミの前に立った。魔導国へ襲い来る天上の王達。未来を懸け闘いながら、ユメミ召還を急ぐムント。異空の力を得るため、沈下する異下界の引き上げを敢行するグンタール。局外者としての使命を放棄したガスを襲う、呪われた異変。
理解を超えたユメミの行動に困惑しながらも、共に走る事を決意するイチコとスズメ。はたしてユメミは遥かな時空を渡り、ムントの待つ地へ行くことが出来るのか。
異空世界を巻き込んだ巨大な破滅が迫り、世界の未来は少女達に委ねられた。

Smog さんの感想・評価

★★★☆☆ 2.6

京アニの黒歴史。オリジナルが心配されるのがよくわかる作品。【酷評注意】

京都アニメーションのオリジナル作品。
OVA2話+アニメ全9話+劇場版。
OVA1作のみのレビューです。

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酷評となってしまいましたので、ご承知おきいただいた上で先を読んでいただければと思います。
断るまでもありませんが、あくまで個人の感想です。
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不思議な力を持つ少女と、異世界の王が世界を救うというファンタジー。
京アニ大好きだから見ておかねば!と思い視聴を決意した作品です。

一番の見所は、作画でしょうか。
キャラデザ、カメラワーク、レンズ効果、光の加減など、2003年公開の視聴済他作品と比較して、遜色はなかったと思います。
リアルタイムで見られていればまた違った感想を持ったのかもしれませんが、作画の演出には工夫が見られました。
そこに京アニの原点を見た気がします。
ただし、はっきり言って他に楽しめる点は全くありませんでした。

ストーリーについて、終始抽象的な展開です。
本当に登場させる必要があるのかどうかわからない登場人物や、それにまつわるエピソードなど、非現実的すぎてついていくことができませんでした。
ファンタジーとして、いろいろ文言を並べて解説しているセリフが多くありますが、少しも魅力的ではありませんし、納得できません。
「視聴者に投げる」という演出はよく見られる手法ですが、投げるための材料が少なすぎ、また材料が何かもさっぱりわからないような状態ですので、視聴者が考える余地が全くないと感じました。
唯一感じられた感想としては、「某ジブリ作品っぽい演出を取り入れたかったのだろうか」というものでしょうか。
それすらも明確ではありませんでしたので、結局何を伝えたいのかさっぱりわかりませんでした。
55分弱のアニメですが、終始疑問符が浮かんで回収されないままの作品でした。

音楽について、特筆すべき点はありません。
BGMや効果音の演出に違和感はありませんでした。
音楽も某ジブリ作品っぽい演出を狙った印象がありました。

声優さんについて、OVA1作に限って言えば、ほとんど棒読みです。
京アニは新人を起用することで有名だと思いますが、この頃から京アニの新人発掘精神が培われていたのでしょうか。
そうだとしたらすばらしい文化形成としてとても評価できます。
しかし、単に予算の問題だとしたらとてつもなく残念です。

自分は感情移入しやすいタイプだと思いますし、京アニは大好きな制作会社です。
個人的に酷評するくらいならレビューは書かない方がいいと思っていましたが、今や一定の評価を得ている京アニだからこそ、また本作のレビュー数が少ないようでしたので、酷評気味でも書かせていただきました。
酷評したからこそ、OVA2作、TVシリーズ9話もきちんと完走したいと思います。
ただ、良い方向に軌道修正されない限り、レビューは投稿しませんし、更新もしないつもりです。
さりげなく☆評価のみ投稿されていたらお察しいただければと思います。

「京アニオリジナルは大丈夫なの?」と不安視される理由がよくわかりました。
京アニにもこんな歴史があったということを知りたい方のみ見ていただきたい作品です。

投稿 : 2024/06/01
♥ : 30

月夜の猫 さんの感想・評価

★★★★☆ 3.4

何時かきっと♪

京都アニメーションスタッフがオリジナル企画を
立ち上げ、製作・販売までのすべてを自社で行う
「京アニプロジェクト」の第1弾として製作された。
2003年3月18日。

好評?2005年に第2作の「MUNTO 時の壁を越えて」発売。
2009年1月にTV版「空を見上げる少女の瞳に映る世界」
放送開始など、或はヒットした可能性もあった様です。

キャラデザは・・何とも微妙・・作はも微妙・・
10年前ならもっと凄くても良さそう・・と思いつつ・・
1作目だしね・・可也立体感のある造形や背景なども
確り描かれて入るようです。
主人公のデザインが失敗なんじゃないかな・・

如何にもRPGゲーム風の世界観のファンタジーな作風。
地上界(現実の世界)ともうひとつの世界である天上界。

世界観は、盲目の巫女リュエリと弟子トーチェにより、
序盤から説明台詞として提示される。

アクト危機・・天上界は崩壊し、地上に降り注ぐ時・・
地上界も又滅んでしまうという・・その危機を防ぐ為、
重要な鍵となる人物を探し、ムントは地上界を目指す。

天上界は危機に対する対応が違うふたつの勢力によって
戦争状態のような抗争や政治的な描写が世界観を補う。

他の人とは違う空が見えてしまう中学生ユメミのもとに、
天上世界の魔導王を名乗るムントという男が現れるが・・
突如ふたつの世界を救えと言われ・・

序盤はなかなか自覚がないユメミと、時空の壁によって
上手く接触できないムントとの展開とは別に、学園での
友達との交流が描かれている。

構成は普通・・演出はそれなり・・やはり・・キャラが
弱いのかなぁ~・・
それでもユメミの仲の良い友達、涼芽と和也のエピソード
から、天上界・地上界での其々の出来事が並行して急展開。

ユメミの心にも変化が現れるのか・・

その前に破滅の時が来てしまうのか・・



至る所に「惜しい」と感じてしまう部分があった。
まぁそうでなければ次の作品は当然できなかった筈だしw

川を渡る二人がとても解りやすくて良かった♪
だって・・現実が直接変わることではないよね・・それは
二人も解ってることだし・・でも何か欲しかったんだよね。
二人だけでも乗り越えられる何かが・・と感じた。

地上界
日高ユメミ 三間はるな
小野以知子 里井佳代子
今村涼芽 佐々木彩乃
高森和也 松井尚吾
日高望     久里きなこ
日高力     浜田真瑞
日高シゲル   平松広和

天上界
ムント     肥後雅一
ガス     島よしのり
イリータ 佐々木彩乃
リュエリ 沢井則江
トーチェ 浜田真瑞
グンタール 川島宏知
ライカ     かわたそのこ
長老     竹房敦司

投稿 : 2024/06/01
♥ : 2

リーク さんの感想・評価

★★★☆☆ 3.0

京アニ初のアニメ作品 木上益治監督とその他の京アニスタッフのご冥福をお祈りします

京アニ初のアニメ作品
監督は昨日の火災で亡くなられた木上益治監督
実は僕はこの作品を見たことがない
約2年前アニオタだった僕は京アニが特に大好きでこの作品をいつか観ようと考えていた。ところが時間が流れて気付いたらアニメに飽き始めてきてこのアニメを見る機会が無くなった。
そして7月18日戦後最悪となる大量殺人が京アニ第一スタジオで起きました。その犠牲者の中にこのアニメの監督の木上益治監督がいた。
このニュースを聞いて僕は今でも悲しさと自分が何もできない無力さと犯人に対する憎しみが心の中でいっぱいです。
亡くなられた方々のご冥福をお祈りします。
また、怪我をされた方々が回復することを祈ります。
犯人は絶対に許しません
最後にこのサイトではアニメの感想を書くためのサイトなのにこのアニメについて何も書いてなくてすみませんでした。
いつかこのアニメを近いうちに観ようと思います。

投稿 : 2024/06/01
♥ : 9

68.2 3 天上人アニメランキング3位
ドラえもん のび太と雲の王国(アニメ映画)

1992年3月7日
★★★★☆ 3.7 (105)
610人が棚に入れました
天国の存在を信じるのび太は皆にバカにされてしまい、ドラえもんの力を借りて天空に雲の王国を作り上げる。ところが空には別の王国があり、ドラえもん達はその王国に迷い込む。絶滅した動物が集められたその王国で、パルパルという少女と出会い、宿舎に案内されるが、素晴らしくもどこか怪しい世界に不安になってドラえもん達は脱出する。ところがしずか達が追っ手に捕まり、地上征服を企むグリオのノア計画の裁判で地球人代表として裁かれることに。

声優・キャラクター
大山のぶ代、小原乃梨子、野村道子、肝付兼太、たてかべ和也、加藤正之、千々松幸子、田中亮一、伊藤美紀、村山明、高乃麗、松尾佳子
ネタバレ

いっき さんの感想・評価

★★★★★ 4.4

このアニメは子供にも見てもらいたいアニメです。

ドラえもんといえば子供アニメという印象ですが、昔のドラえもんはとてもシュールなのは分かる人には分かると思います。

この映画は不二子さんが得意とする環境問題を前面に出した作品です。

雲の上には、人間(天上人)がすでに暮らしていて、文明を栄えている。それよりか地上の人間の蛮行な振る舞いを見かねて、地上一掃計画まで立てている。そんなSFな物語。

このような環境、人間のしてきたことの償いをハッキリと描いたドラえもんアニメは無いんじゃないかというくらい、今では出来ない、描写が沢山あります。

この頃から今では有名になった''京都アニメーション''の代表八田陽子さんが下請けとして現役の時に仕上げをしています。

それによって描写はすごくリアルです。これぞ日本アニメという感じです。

ジャイアンが雲の王国でバッティングをするときなんか涼宮ハルヒの野球シーンの躍動感があります。

今では、ドラえもんがガスタンクに突っ込んで爆発とか出来無そうです。水害で町もろとも流○すとかも・・・

そういう極限の、人間模様と、問題に直面した描写はこの旧ドラえもん映画ならではではないでしょうか?

大人向けですが、小さかった頃の自分にはとても参考になった作品でした。

{netabare}

ドンジャラ村とか、キー坊のパロディーなどドラえもん映画やりたい放題ですw

そういったら、不二子さんが無くなった後の映画も南海大冒険や、ワンニャンなんかもすでに原作あったものですけどねw


このアニメは、アニメも素晴らしいですが、歌も素晴らしかったのが印象です。

この「雲のゆくのは」は名曲でした。

この歌は武田さんを知らなくても思い出に残っている。もう世代がばれそうですがw

しいて言えば、ドラえもんの名曲といえば、堀江さんの「ごーらんよ、あのー空が・・・」とか気球とか・・・もうやめておきます。

このアルバムを買ったことはとても良かったとおもいます。日本誕生や、宇宙小戦争などの歌が集録されています。

この頃の''死''とか''直面する事実''を描いているドラえもんこそがアニメ会社にも恵まれたドラえもんでした。

{/netabare}

投稿 : 2024/06/01
♥ : 2
ネタバレ

アリス★彡 さんの感想・評価

★★★★☆ 3.9

環境問題を扱った作品です。少しばかり押し付けがましいところがポイントですね。

子供の頃に観た作品です。
ドラえもんの映画は、子供向けに作られていますが、親子と観る事が多いだろうと予想されているので、意外とディープなテーマが描かれています。
本作については、環境問題をテーマとして扱っており、人類の行動が地球温暖化へと繋がっているという作者のメッセージが強く作品に表れています。

この押し付けがましいほどのテーマ性が本作の魅力で、とにかくこれを描くために{netabare} 地上を洪水にさせたり{/netabare}だとか、{netabare} 天空の人々と地上の人々の対立{/netabare}を描いたりとか、そのテーマについて徹底的に掘り下げられています。

しかし、少しだけ現実味の無い話が多いので{netabare} (天空が地上を洪水にさせる理由、心理だとか){/netabare}、その辺りに疑問を感じると、真剣に観れなくなるかもしれません。この辺は、個人の価値観ですね。
EDの「雲がゆくのは」からは、渋くて作品全体のイメージとしてはぴったりだと思いました。

なんだかんだで、地球温暖化について考えさせられるアニメです....。
地球に生かされているんだなぁって、そういうものをグッと感じるアニメ映画でした。

序盤で、{netabare} 夢の雲の王国{/netabare}をのび太たちが作って、それを壊すように厳しい現実が襲いかかるというのがポイントなんですよね。
そういうギャップで、「現実はそう上手くはいかない、こういう問題もあるんだよ?」ということを表現しています。
ストーリーを観ても起承転結はしっかりしています。はらはらドキドキ感がありますから、エンタメとしても、なかなか面白かったです。

投稿 : 2024/06/01
♥ : 11

めたぼん さんの感想・評価

★★★★☆ 3.2

旧ドラ映画の中でも一、二を争う教育色の強い作品

物語前半の「雲の王国」建設の過程は子供の夢を大いにくすぐる見事な設定だったと思います。
しかし、中盤「天上人」との接触以降、物語は大きく「説教」へと舵を切ります。また他作品では見られない「天国の誕生」というノアの箱舟を模した劇中劇を長々と見せられます。正直「ドラえもん」を見ている気になれません。

ドラ映画が環境問題を取り扱うのはこの作品が初めてというわけではありません。この3作品前「のび太のアニマル惑星」でも似たようなテーマを扱っていました。さらにF先生の最後の原作映画である「のび太のねじ巻き都市冒険記」にも同様のテーマが込められています。

ドラえもんが持つ子供に対する影響力を考えるとそういったことに対する意識を高める効果は大いに期待できますし、子供向けの作品にとってそれは大切なことだと思います。

しかし、あまりにもそれが前面に押し出されすぎてしまうと作品としては面白さがそがれてしまうと思います。雲の王国はその一番の典型かもしれません。

F先生原作の映画の中では僕はこの作品をワーストに持ってきますが、それでも何十回も見てます。それにテレビシリーズ(原作の連載漫画)に登場したゲストキャラたちが出てくるというこれまたドラ映画の中で珍しいシーンもありますし。武田鉄矢さんの主題歌もいい曲だと思います。

ただ惜しむらくは、この作品ドラえもんの声なんですが、非常に調子が悪いです。聞き苦しく感じるかもしれません。

とにかくいろいろとレアな作品ですので、他作品と比較してみるのがおススメです。

投稿 : 2024/06/01
♥ : 4
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