妄想アニメ映画ランキング 12

あにこれの全ユーザーがアニメ映画の妄想成分を投票してランキングにしました!
ランキングはあにこれのすごいAIが自動で毎日更新!はたして2024年04月28日の時点で一番の妄想アニメ映画は何なのでしょうか?
早速見ていきましょう!

88.6 1 妄想アニメランキング1位
冴えない彼女の育てかた Fine(アニメ映画)

2019年10月26日
★★★★★ 4.3 (481)
2420人が棚に入れました
ある春の日、安芸倫也は桜舞う坂道で運命的に出会った少女・加藤恵をメインヒロインにした同人ゲームを制作することを思いつく。美術部に所属していながら、同人イラストレーターとして活動する澤村・スペンサー・英梨々と、学年一位の優等生でありながら、ライトノベル作家として活躍している霞ヶ丘詩羽を誘い、blessing software を結成。やっとのことで一作目を発表した――。英梨々と詩羽は大作ゲーム『フィールズ・クロニクル』を開発するために、人気クリエイターの紅坂朱音のもとへ。blessing software 代表の倫也はサークル活動を継続し、副代表の恵とともに新作の開発を開始した。イラストレーターに後輩・波島出海を起用、プロデューサーを出海の兄・伊織へ依頼し、氷堂美智留と彼女のバンド icy tail とともに新作の開発を進めるが……。英梨々と詩羽の大作はどうなるのか? 倫也と恵の関係に異変が? はたして blessing software の新作の行方は?

声優・キャラクター
松岡禎丞、安野希世乃、大西沙織、茅野愛衣、矢作紗友里、赤﨑千夏、柿原徹也
ネタバレ

元毛玉 さんの感想・評価

★★★★★ 4.9

これが本当のメインヒロイン

原作未読

いやぁー面白かったw

お話のざっくり概要
サークルで冬コミに向けてギャルゲー制作お話
1期2期で陰に潜んでた加藤恵が
その真の最終形態へ変貌!つ…強すぎるヒロイン力
あ~胸がキュンキュンするんじゃ~
だいたいそんな感じ

集大成となっているので1期2期を楽しめた方は
絶対に楽しめる内容になっていると思います。

見せ場の作画も凄い気合が入ってて綺麗だった
松岡さんの演技は相変わらずキモいけどw
なんていうかその分、シリアスな所が際立って
恵の可愛さを引き立てたように思います。

感想
{netabare}
まさかの冒頭からの飯テロ…
そして浮気をバラされるというテロwww
なんてか恵の満面の笑顔は少し怖いよね(苦笑)
うん。
お二人のスタッフロールは大分下になってたww

合鍵…朝食…
つーか、もう既に嫁だよね?

フィーネみてて思ったのは
1期2期と違い恵の表情バリエーションの多さ
それだけ感情を表に出すようになったって事かな
ハッキリ言わないめんどくささがリアリティあって
更に恵を愛おしい存在に押し上げてますね~

しかし、あの高坂茜というおばさん、劇場で
オ〇ニー、オ〇ニー連呼しすぎじゃないですかねw
隣に座ってた女性の方の反応が気になって
妙にソワソワしちゃうでしょw

涙の作画はどれも渾身の出来ですね。
恵のセリフで特に印象的だったのは
「特別じゃないから、いいと思った」
ってのです。めちゃくちゃ恵らしいと思った。

特別じゃないから自然に好きになって
好きになったから倫也に自分の他に特別があるのを
大切にしてあげたい気持ちと
自分を特別に思って欲しいという
両方の感情で揺れてます。切なくて愛おしくて
本当に本当のメインヒロインでした!

しかしスタッフロール後のドッキリには見事に
引っかかりましたw

え!?別れちゃうの??って困惑しました…
…ラブストーリーは突然にが流れるまではw
さらっと自分をメインヒロインに据えようとするw
その後の10秒ぐらいの下りとか
ウタハさん最後まで冴えカノらしさを貫きましたね

最後は笑顔で終われる良い構成でした~
{/netabare}

えーと、もともと恵は凄い可愛いかったですけど
ほんとにフィーネでは完全ヒロインですw
是非、劇場でキュンキュンして下さい♪

投稿 : 2024/04/27
♥ : 43

イムラ さんの感想・評価

★★★★★ 4.1

ラブコメ

<2019/11/4 追記>
映画館で配布された小冊子(原作者による超短編 第2話)読んで評点引き上げました。
↓の方で「物語はご都合主義でイマイチ」とか書いちゃいましたけど、原作の方はそこら辺もっと掘り下げてるのかも、と思えて。
原作読んでみようかな。

<2019/11/4 初投稿>
あにこれで軒並み高評価なので重い腰あげて観てきました。
映画館で映画見るのはいつ以来だろう?

テレビ版は二期まで視聴済み。
といっても本放送で観ただけなのでかなり忘れており。

始まってすぐ
「あれ?どういう状況なんだっけ?」
「このパワハラ姉さんはどういう人だっけ?」
「あれ?下の名前で呼び合ってるけどそんな関係だっけ?」
とクエスチョンマークだらけに。

それでもなんとか思い出して楽しんできました。

一期のレビューでも書きましたが
「冴えない彼女」という新しいヒロイン像が秀逸ですね。
気がついたら人ん家に居つく「ぬらりひょん」ヒロイン。
その魅力は余すところなく発揮されてたのではないでしょうか。

ところで映画館の帰りのエレベーターで
「加藤って面倒だよね。だから推しにできない」
とか盛り上がってる高校生ぐらいの男の子たちがいました。
彼らを横目に
「ラブコメではその面倒くささが美味しいのにわかってないなー」
と秋刀魚のハラワタの旨みのようなこと思ったり。
そう思ってしまうぐらいラブコメとしては◎でした。

ゲーム制作の物語そのものははっきりご都合主義で今ひとつなんですが、まあ観て欲しいのはそこじゃないんだろうな。
(私がギャルゲとかコミケとかに無縁なせいかもしれませんが)

映像は相変わらず綺麗です。

最後のエンドロール。
使用楽曲に「ラブストーリーは突然に」が入っててあれ?
とか思ってたら・・・ちょっと笑かされました。
使い古されたバラエティのコントのよう 笑。

やはり映画館で映画観ると楽しいですね。
良い一日になりました。。

投稿 : 2024/04/27
♥ : 37

KANO さんの感想・評価

★★★★★ 4.7

素晴らしいの一言

先日初見でTVシリーズを観てからの鑑賞

内容は触れませんが、素晴らしいの形容詞だけで充分だと思います。
3人のヒロインキャラ、特に恵ですがそれぞれの良さ、可愛らしさがしっかり描かれており、視聴者のツボも細かい部分も含めて押さえられています。
2期の終わり方に少し物足りなさを感じたので私にとっては尚更良かったです。完結編のお手本だと思います。

TVシリーズの続きという位置付けでしょうが、理解しやすく言えば、劇場版の為のTVシリーズと言っても過言では無い仕上がりだと思います、これだけ満足の行く作品を作られた、制作スタッフの方々に感謝です(^^)

私にとっては今年一番ぐらいの満足感を味合わせて頂きました。

投稿 : 2024/04/27
♥ : 21

82.9 2 妄想アニメランキング2位
この素晴らしい世界に祝福を!紅伝説(アニメ映画)

2019年8月30日
★★★★☆ 4.0 (480)
2271人が棚に入れました
交通事故(!?)によりあっけなく人生の幕を閉じるはずだったゲームを愛するひきこもり・佐藤和真(カズマ)は、ひょんなことから、女神・アクアを道ずれに異世界転生することに。「RPGゲームのような異世界で、憧れの冒険者生活エンジョイ!めざせ勇者!」と舞い上がったのも束の間、転生したカズマには厄介なことばかり降りかかる。トラブルメーカーの駄女神・アクア、中二病をこじらせた魔法使い・めぐみん、妄想ノンストップな女騎士・ダクネスという、能力だけは高いのにとんでもなく残念な3人とパーティを組むことになったり、借金で首が回らなくなったり、国家転覆罪の容疑で裁判にかけられたり、魔王軍の幹部を討伐したり、たまに死んだり……。そんなある日、駆け込んできた紅魔族の少女・ゆんゆんの爆弾発言にカズマたちは凍りつく。「私、カズマさんの子供が欲しい!」事情を聞けば、めぐみんとゆんゆんの生まれ故郷「紅魔の里」が、滅亡の危機に瀕しているという。里を救うために旅立ったゆんゆんを追いかけて、紅魔の里へ向かうカズマたちだが――!?カズマたちパーティを襲う最大の危機!平凡な冒険者カズマが過ごす、異世界ライフの未来はどっち!?

声優・キャラクター
福島潤、雨宮天、高橋李依、茅野愛衣、堀江由衣、豊崎愛生
ネタバレ

ぺー さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

なんだろねこの安定感

原作未読 1期2期視聴済

“伝説”ってここ30年くらいで一気に安っぽくなった単語じゃないですかね。にょろにょろ伝説…って見ただけでプークスクス不謹慎な私。
知らんうちにTV版があにこれランキングのTOP5位以内に。まぁそのうち収まるところに収まることでしょう。乱高下しているあにこれの歴代順位はどこ吹く風。外野の喧騒をよそにわりと堅実に作られたコメディの劇場版90分です。

2期まで放送済。その間、主人公カズマはフル稼働。パーティメンバーはそうでもないらしい。2期ではダクネスとアクアをしっかり掘り下げて、やや薄めむしろ一発芸担当だっためぐみん(CV高橋李依)が今回の主役。しっかり段階を踏んでますね。
めぐみんのペアというか同族のゆんゆん(CV豊崎愛生)もTV放送にて慣らし運転を完了するレディーパーフェクトリーぶり。彼女らの一族は紅魔族(こうまぞく)と呼ばれる魔術に長けたチート集団という設定。その紅魔族の皆さんは…


 {netabare}俺が見えないのか すぐそばにいるのに{/netabare}


あ、悲壮感みたいなのはありませんよ。隣人すら見ないか見えてないのかとにかく自由過ぎる人達でした。事前に楽しみにしてたのは3点、

1.声出して笑うところ1個でもあればOK

 ⇒ありました。充分×2

2.密かに進んでるアレはどう?

 ⇒{netabare}魔王軍の腹心がうっかり討伐されてるお約束。物語は匍匐前進してます。{/netabare}

3.劇場版ならではの…

 ⇒きっと映えますよね。爆裂魔法の作画。素晴らしかった。
 ⇒さらに舐めたようなぐだぐだな画を劇場で!と。この点は微妙…


ファン必見の劇場版でしょう。
パーティメンバーで今回めぐみんに白羽の矢があたりこれで仲良くみんな掘り下げられました。今後はアクア、めぐみん、ダクネスとその掘り下げられてきた人物像・家族・過去を使ってコントを作っていけばよいと妙に安心できる良作でございました。

おそらく今後はマンネリとの闘いになると思います。
そういえばTV版のレビューで、『このすば』は古典で王道のお笑いルールを踏襲、と述べてました。


 マンネリか? それとも 定番なのか?


やや後者寄りだと思ってます。「飽きたー」とかいいながら無ければ寂しい。知らんうちに紅…じゃなかった、、、『このすば』に染まってるのです。
そうやって染まったあなたをなぐさめるやつはもう…(自主規制)



※閑話休題

■受け継がれる駄女神

豊崎さんここで修行して『慎重勇者』に繋げたんだろうなぁ(適当)



視聴時期:2020年4月

-----


2020.05.16 初稿
2020.08.12 修正
2020.12.08 修正

投稿 : 2024/04/27
♥ : 69

けみかけ さんの感想・評価

★★★★★ 4.8

我が名はけみかけ!映画『このすば』の魅力を伝えし者!!一見してハーレムに見えども、決して煮えきれないヘタレに訪れたモテ期を語ろうぞ!!!

2016年冬期に第1期、2017年冬期に第2期がアニメ化された所謂“なろう系”異世界転生ラノベシリーズの初の劇場版
原作第5巻を題材にしつつテレビアニメと変わらぬスタッフが再集結
元請け制作はDEENからJ.C.STAFFに変更されました


事故死から異世界へ転生させられた引きこもりの少年カズマ
彼が転生先に特典として選んだのは、転生を司る水の女神アクアそのもの
神を旅の道連れにすることに成功したカズマだったが、実はこのアクアがとんでもないクセモノ
素行が悪く、口も悪いトラブルメーカーで、危機的状況をさらに悪化させるフラグを平気でバンバン立てる上でおまけに酒乱ときてる
能力が低いカズマは冒険を有利に進めるべくさらに仲間を集める
が、揃ったのは敵味方関係なく周囲をまるごと吹き飛ばす【爆裂魔法】しか使えない上に一発限りで行動不能に陥る女魔術師、めぐみん
打たれ強い強靭な肉体を持つが実はドMで敵に陵辱されることを妄想して全く剣が通らない女騎士、ダクネス
本来ならば魔王討伐の冒険を進める一行だが、実際は始まりの街に居座り続け、金儲けや私利私欲を満たす目先のクエストにしか興味が無い
稼いだ資産は毎夜豪遊しては散財、増えるのは借金ばかり
たまに生死を賭けた大きな戦いを制したかと思えば、国家転覆罪で裁判に掛けられる有様
そんな彼等がめぐみんの出身地である紅魔族の里へ、めぐみんを里帰りさせることからこの映画の物語は始まる…


今作冒頭の“マグロ漁船のクエスト”は金崎監督がコンテまで描き切ったのに尺の都合上お蔵入りになったそうですw
その苦渋の決断のおかげもあり、今作は非常にハイテンションなギャグがハイテンポに続くコメディ映画となっています
ギャグやコメディを映画化するのって難しいですよね
『プリズマファンタズマ』がボロクソにつまらなかったことからも良く解りますw
逆に『えいがのおそ松さん』は良く出来てた、あれもハイテンポでずっと笑ってられました


さて、『このすば』において一番大切な要素はシリーズ構成の上洲さんも仰ってますが【カズマ一行を恋仲にしてはイケナイ】ことです
一見してカズマは美女に囲まれたハーレムの真っ只中にいますが、実際のことろ彼女達は大方トラブルの原因か、もしくはトラブルを悪化させる要因となって世間的には厄介モノなんです
そんな彼女達とカズマがパーティーを組み続けるのは、単に【気の合う仲間だから】というところに尽きるでしょう
そこにガチの恋愛要素を絡めてしまうと“気の合う仲間と面白おかしく暮らすgdgd感”というモラトリアムを破壊してしまうわけです
歳を追うごとにわかりみが深まってくるのですが(笑)現実的には美女と付き合うのはメンドクサイw
気の合う仲間と戯れるのが、現代の現実的にはベストなのでは?という提案を剣と魔法の異世界ファンタジーに持ち込んでしまったのが『このすば』の魅力なのです


ところが今作冒頭、カズマにおもわぬ“モテ期”が到来します
モテてはイケナイ作品で、モテ期が発生するという矛盾がまず面白いのですがw実際には今作のクライマックスでカズマが最も惚れさせてしまい相思相愛の関係になる人物というのがとてもとても意外な人物
そのまさかのオチには度肝を抜かされ…いや、爆笑必至でしょうw


オチに選定されたキャラに僕が大好きな、とある大物声優が選ばれているのも仕掛けの1つ
彼女にしかこの役は出来ないんだ!という金崎監督の強いご指名だそうで、GJ!といわざるを得ません


あと今作の作画クオリティに関しては2019年公開の数多の映画でも“最高”と謳って問題無いと思う出来栄えです
とにかくテンションの高いお話である為、キャストの芝居もノリノリに盛り上がっていく
ですので、アフレコ後の芝居にリップシンクロするように作画リテイクを加えたそうで非常に手間と時間が掛かっています
崩すところ、動かすところ、纏めるところのバランスも完璧です


以前のテレビシリーズで描かれた細かなキャラ設定やサブキャラ達を覚えていると笑いどころはとても多くなるのですが、単純にボケとツッコミの応酬を剣と魔法の異世界ファンタジーでやる、っていうのが面白い作品ですので初見の方もこの機にチェックされることをオススメします

投稿 : 2024/04/27
♥ : 15
ネタバレ

ninin さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

この素晴らしい世界に笑いを!

原作未読 約90分

この素晴らしい世界に祝福を!1期・2期を事前に観ることをオススメします。

めぐみんとゆんゆんが出身の紅魔族の里でのお話です。もちろん、パーティーメンバーのカズマ・アクア・ダグネスも一緒です。

2期ではアクアのアクシズ教やダグネスの家のお話がありましたが、今回は紅魔族のことが色々と分かりますね。{netabare}(ポーズをとって名乗ったり、凄い武器を物干し竿にしたり、紅魔族の誕生秘話も適当すぎましたねw){/netabare}

最後はお約束でしたねw 今回の印象に残った言葉は、{netabare}「モ・テ・キ」「ス・キ」{/netabare}でしたw

色々なシーンで笑いが起こり(私も笑いました)、終始飽きさせないギューと詰まった楽しい90分でした。

主題歌はテレビ版OP/EDと同じで、前半Machikoさん、後半はアクア(雨宮天さん)、めぐみん(高橋李依さん)、ダクネス(茅野愛衣さん)が歌っていました。

最後に、本日朝8:40の回に観に行きましたが、ほぼ満員でしたね。

投稿 : 2024/04/27
♥ : 36

77.6 3 妄想アニメランキング3位
うる星やつら2 ビューティフル・ドリーマー(アニメ映画)

1984年2月11日
★★★★★ 4.1 (391)
1719人が棚に入れました
あたるの通う友引高校は、本番を明日にひかえて文化祭の準備に大わらわ。だが……翌日になってもやはりあたるたちは文化祭の準備をしていた。実は友引高校のみんなは同じ日を延々と繰り返していたのだ。事態に気付いた担任の温泉マークと養護教諭・サクラは原因を究明しようとみんなを下校させるが、無事帰り着けたのはあたるとラムだけ。みんなは何度帰ろうとしても、友引高校に戻ってきてしまう。その間にも異変は起こり続け、ついに財閥の御曹司・面堂終太郎が自家用ハリアーを持ち出して空から現状を確認する事態に。すると、なんとそこには友引町を甲羅に乗せて中空をさまよう、巨大な亀の姿が…!! 脚本・監督を、「攻殻機動隊」の押井守が務めた。本作品の特異な世界観やストーリーは、現在の押井守の世界の原形とも言われている。

声優・キャラクター
平野文、古川登志夫、島津冴子、神谷明、鷲尾真知子、田中真弓、千葉繁、村山明、藤岡琢也
ネタバレ

shino さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

さよならアニメーション

押井守監督作品、原作高橋留美子。

学園祭を明日に控えた友引高校、
学生は連日校舎に泊まり込みで準備に大忙し。
そんな折、夜食調達に出掛けた深夜の友引町で、
あたると面堂は、奇妙な体験をする。

通常アニメに限らず、
作り手と受け手の共犯関係が、
居心地良い「閉じた世界」を創るわけですが、
それを「おたく的なもの」と名付ければ、
その「おたく的なもの」を喜劇的に、
シニカルなメタ視点で描いてみせた傑作作品。
この共犯関係に噛み付いたのが、
エヴァの旧劇だったのだと思います。

終わりのない祝祭、
{netabare}永遠に繰り返される学園祭前日。
祝祭はノスタルジーと娯楽を提供し、
受け手も演者も居心地の良い空間を満喫するが、
何も始まらないし、何も終わらない。{/netabare}
押井守は確信犯である。

印象深い演出が終幕にあります。
{netabare}それは「夢から醒めてもまだ夢の中」ということ。
退屈な日常に戻らない地点で、
物語を着地させてみせたのです。
まだ胡蝶の夢は終わっていないのだ。{/netabare}

私たちは、次に来る朝に至らず、
未だ美しい夢の衝撃の内にあるのです。

投稿 : 2024/04/27
♥ : 84
ネタバレ

ワタ さんの感想・評価

★★★★★ 4.7

最高のBAD END

押井守の名を一躍有名にしたアニメ映画史上に残る大傑作。
アニメ好きなら、これは本当に観るべき。
私が生まれる前、もう30年近く前の作品だが、本作の持つ独創性は全く色褪せていないと感じる。
直撃世代でなくとも楽しめたからこそ、強くお勧めしたい。

学園祭前夜の喧騒から始まり、徐々に不穏な空気を漂わせていき、そして・・・
といった具合に、日常から異常な世界への持っていき方が抜群に上手い。
幻想的な映像を用いて、視聴者をごく自然に非現実的な世界へと誘い、惹き込んでいく。
声優の熱のこもった長台詞演技、主に変拍子を駆使した劇伴音楽も作品世界を引き立たせる。
物語中盤「友引町の真実」が浮き彫りにされるシーンには鳥肌が立った。
これといった中弛みもなく、終始濃密なストーリーである約100分があっという間。

本作は学園祭前日を描いたものだが、この「学園祭前日」というシチュエーションが良い。
祭りは本番よりも準備をしてる時が一番楽しい、とはよく言ったもので
夜の校舎で仲間達と共同作業する様子が実に楽しげに描かれていて、ふと懐かしさを覚えた。
エンドロールで哀愁感漂う名曲「愛はブーメラン」をバックに、
徐々に遠ざかって行く友引高校の校舎・・これまた強烈なノスタルジーを喚起させる心憎い演出。

そしてノスタルジー以外にも、エンディングの演出には目を見張るところがある。

{netabare}本作の結末を素直に受け止めれば
「ラムの見る夢(ループ)から脱出し現実へと帰還できたハッピーエンド」である。
私も最初はそう解釈した。だが事はそう単純なものではなかったのだ。
エンドロール後の校舎の鐘の音が不気味に感じたという個人的理由から、
何となしに結末の解釈をネットで調べてみると・・・驚愕。
作中の台詞から、本来の友引高校は3階建てである。しかしエンディングの校舎は2階建て。
つまり、エンディングの校舎は本来の友引高校の姿ではない・・・
本来なら冒頭に出るはずの作品タイトルをエンディング時に掲げたのは
ここからが物語の始まりであり、冒頭へと繋がることを示す。
その冒頭であたるが何故か憔悴した顔をしているのは、世界の真実に気付いてしまったから。
「結局あたる達は夢から抜け出せず、学園祭前日という最も楽しい時間を永遠にループし続ける」
と解釈できるのである。これはある意味”最高のBAD END”とも言えるだろう。

wikiによると、TV版では作画演出上あらゆる校舎の階数が存在しており
本作ではそれを逆手に取って「校舎がセットである」という演出意図もあったらしい。
本作は全編通じてメタフィクショナルな手法が散見され
「アニメはただの動く絵であり、キャラも所詮作り物でしかない」
という痛烈なメッセージが込められている。
エヴァにも同種のメッセージ性があるが、比較してみると面白い。
「アニメばっか見てないで現実に帰れ」と、オタクを親切に説教した庵野さんに対して
「アニメを捨てて現実に帰るもよし、永遠に夢の世界(アニメ)に居続けるもよし」
と、好きな方を選ばせたのが押井さん。そもそも両者に大した違いはないんだよ、とも。{/netabare}

原作のイメージとあまりにもかけ離れた作品であり
原作ファンには不評で、原作者が激怒したという話も聞く。
原作をよく知らない私としては何とも言い辛いところはあるけれど。
「うる星やつら」というコミカルな作品と、押井監督の虚実論溢れる理屈っぽさ全開の作風。
この両者のギャップが本作を傑作たらしめる要因の一つであることは間違いない、と思う。

最初に述べた通り、今観ても十分楽しめるし、100年後でも普通に評価されてそうな作品だが
当時劇場で観た人の衝撃はどれ程のものであったか・・・本気で羨ましいです。

投稿 : 2024/04/27
♥ : 58

たわし(爆豪) さんの感想・評価

★★★★★ 5.0

アニメとはこうあるべき

満点である。

キャラクター、シナリオ、演出。。どれをとっても30年以上前のアニメでありながら高品質である。

アニメーションとはこうあるべき。萌えキャラの元祖とも言われるラムちゃんが非常に可愛いし、何よりも押井守はこれ以上の作品を世に出していない。

押井守は青春時代をこういった晴れやかな恋愛とは程遠かった映画青年だったと言われる。

ゴダールやフェリーニ、ピンク映画を愛し、年に100本は映画を見ていたと公言している。

そのオタク知識をフル活用し、爆発させたのが「ビューティフルドリーマー」で
あり、ありとあらゆる映画のオマージュにあふれたモンタージュになっている。

原作者の高橋留美子は本作に激昂したらしいが、作品を解体されてしまった悔しさカラに違いない。

それほど強烈で凄まじい熱量と、映画に関わるものすべてを内包する賛歌とも言えるアニメである。

こういったアニメを他に作れるのは富野、庵野、宮崎監督くらいだろう。

新房昭之でもこのレベルには達していない。

ラストにおける、これはまだ「夢」の続きであり「現実」から抜け出せていないかもしれないという曖昧なエンディングはクリストファーノーランのインセプションでも頻繁に取り上げられている。

投稿 : 2024/04/27
♥ : 36

78.3 4 妄想アニメランキング4位
心が叫びたがってるんだ。(アニメ映画)

2015年9月19日
★★★★☆ 4.0 (1197)
6262人が棚に入れました
監督 長井龍雪
脚本 岡田麿里
キャラクターデザイン 田中将賀
制作 A-1 Pictures
青春群像劇 第2弾 劇場版完全新作オリジナルアニメーション 

幼い頃、何気なく発した言葉によって、家族がバラバラになってしまった少女・成瀬順。
そして突然現れた“玉子の妖精”に、二度と人を傷つけないようお喋りを封印され、言葉を発するとお腹が痛くなるという呪いをかけられる。それ以来トラウマを抱え、心も閉ざし、唯一のコミュニケーション手段は、携帯メールのみとなってしまった。高校2年生になった順はある日、担任から「地域ふれあい交流会」の実行委員に任命される。一緒に任命されたのは、全く接点のない3人のクラスメイト。本音を言わない、やる気のない少年・坂上拓実、甲子園を期待されながらヒジの故障で挫折した元エース・田崎大樹、恋に悩むチアリーダー部の優等生・仁藤菜月。彼らもそれぞれ心に傷を持っていた。

声優・キャラクター
水瀬いのり、内山昂輝、雨宮天、細谷佳正、藤原啓治、吉田羊
ネタバレ

素塔 さんの感想・評価

★★★★★ 4.5

始まりの言葉

言葉は誰かを傷つける。

このフレーズによって
すでに私たちは作品の世界に引き込まれている。

純粋で、ストレートであるがゆえに
傷つきやすい思春期の心の
その傷や痛みさえも美しく見せるものが青春だとすれば
青春という特権的な時間の中にのみ現れる
尖鋭化された、純粋な言葉へと
すでに定位はなされている。
言語一般に解消するのは誤りであると思う。

この作品で言葉は、テーマというよりはむしろ
もっと具体的な、マクロ的な機能を担って現れているようだ。
特に注目したいのは、ストーリーの展開の軸となる次の二つ、
「傷つける言葉」と「本当の言葉」。
これらを物語の展開に即して辿っていきたい。
そこには当然、この作品の主題も絡んでくるはずである。



{netabare}
「傷つける言葉」が現れるのは、物語の発端。
それが、ヒロインの成瀬順と田崎大樹とを結ぶ接点となる。

この二人は、反転させた相似図形のように
順は、メンタルな傷によるフィジカルな痛みを
田崎は、フィジカルな傷によるメンタルな痛みを抱えて
自分の殻に閉じこもって周囲から孤立している。

田崎は無神経かつ暴力的な言葉で順を傷つける。
その彼が、後輩の言葉で逆に傷つけられた時
「言葉は人を傷つける」ことを順が言語化する。
田崎にとってそれは、世界が一変するほどの衝撃だった。

田崎の「謝罪」から物語は動き出す。
彼の変化は、「傷つける言葉」を経験して
他者というものの存在を初めて意識したことによる。
はじめは拓実の苗字さえ知らなかった彼が
クラスの一人一人の個性に共感を示せるほど
今では周囲との関係の中に融和しているのである。

言葉を前景として展開されていく
この作品の中心主題とは、「関係の危機と回復」
そう捉えてよいのではないだろうか。
関係の危機に際して二人がとった対照的な態度が
このあとの展開の鍵となっているように思う。

順の場合、原因となった言葉を封印することで
不幸を回避しようとして、結果的に関係を遠ざける。
このネガティブな論法を、田崎はポジティブな行動で打ち破る。
彼は、言葉による関係の回復を証明してみせた。
それが彼の「謝罪」の意味である。

最初に田崎が殻を破り、関係の世界に踏み出した。
だから、本番直前に失踪という形でクラスの仲間を裏切り
順がふたたび関係の危機に陥った時、彼女のために
再起へのチャンスを懇願し、的確に方向性を示して
クラスの空気を一瞬で変えることができた。
田崎は先に進み、順が自分に追いつくのを待っている。



「本当の言葉」が現れるのは、物語の最終盤
順と坂上拓実との間に交わされる対話の中である。

拓実が失踪した順を探し当てた場所は
「すべての事のはじまり」の場所である
今は廃墟となった、山の上のお城(ラブホテル)だった。
不幸が繰り返された結果、原点に回帰して
すべての根源を断ち切りたいという無意識の願望が
おそらく順をここに誘ったのだろう。

二人の間に交わされる対話は、物語の最重要場面だが
短い時間の中に内面の動きが極度に凝縮されているため
観る側の解釈による補足がどうしても必要になる。
例えば、関係という補助線を引きつつ
二人の言葉を糸口に、経過を注視していくと
順と拓実との間で「本当の言葉」が交わされ、連鎖的に
二人の心に劇的な変化が生じてゆく過程が見えてくる。


まず、順から拓実へ。

無残な廃墟と化したホテルの部屋は
順の心の内部を象徴するものだろう。
童話風なステンドグラスの窓は、はじめは薄暗く
対話が進行するにつれて、徐々に明るい光が差し込んでくる。
宗教的な空間を想起させるこの場所で
彼女の魂の再生が行われることを暗示している。

絶望に駆られ、すべてを呪詛する順に
拓実は、「本当の言葉」を聞かせてくれ、とせまる。
順が怒りに任せて叩きつけた罵倒の言葉は
確かに「本当の言葉」だったかも知れないが
あっという間に種切れになった。
物語の少女とは違い、現実の彼女は
言葉で誰かを傷つけたことは一度もなかったからだ。

自分のおしゃべりが原因で家族が崩壊したという
あまりにも不幸な体験が再現しないよう
痛みを伴う強烈な自己暗示をかけて言葉を封印した。
その際、誰かを傷つけてしまうから、という
単純化した論理を用いて自分を戒めてきたのだろう。

その順を「傷つける言葉」へ誘導することで
意図せずして拓実が行ったことは
対話によって患者をトラウマの根源に導いていく
精神分析の治療法を想起させるものだ。
ただし、治癒は一方的なものではなく、相互的に進行する。
先に変化が生じたのは、拓実の方だった。


拓実から順へ。

順は、拓実の名前を繰り返して三度、呼んだ。
その時、思いがけず拓実の目から涙がこぼれ落ちた。
この呼びかけが、彼の心の一番奥深くにまで届いたのは
それが順の「本当の言葉」だったからだろう。

彼が順に打ち明けたのは、心に澱んだ虚しさだった。
自分には誰かに伝えたいことが失われてしまっている。
伝えたいことがない、という空虚感は
裏返せば、他者との関係の希薄さを意味している。
つまり、彼もまた順と同じように
心の殻に閉じこもってしまっていた。

伝えたいことで満ちあふれる順の心の躍動に触れ
何より、関係を諦めない順を通して
自分が渇望していたものを知ることができた。
本当の言葉を伝えることとは、言葉を介して相手を受け入れ
自らも相手に受け入れられようとする、関係への願いである。

いま、それが実現していた。
猛烈な勢いで罵倒されてもうれしかった。
名前を呼ばれた時には
空虚だった自分の存在が満たされる気がした。
そして彼の中に、伝えるべき本当の言葉が生まれた。
お前に会えてよかった、という感謝。
これが、ようやく拓実が伝えられた「本当の言葉」だった。


ふたたび、順から拓実へ。

拓実のストレートな心情の吐露が
すべての原点にまで遡って、順の中の固定観念を
転倒させることに成功する。

私のおかげ? 私のせいじゃなくて?

この時、順のトラウマの原因が、父親の言い放った
「お前のせいだ」という言葉だったことが明らかになり
自らにかけてきた、卵の呪縛から解き放たれる。
殻が破れた瞬間に見えてきたものはやはり
これまで育んできた仲間たちとの関係だった。
だから、彼女の中に感謝と後悔が自然に湧いてくる。
「みんな」が待っている場所へ行く。その決意とともに
物語は一気にフィナーレへと加速する。

その前にあと一つ、伝えなければならない
「本当の言葉」が順には残されていた。
それを伝え終えたあとの表情には、傷心よりもむしろ
自分に対して一つの決着をつけられた清々しさが勝っていて
順が生まれ変わったことを強く印象づける。
失恋は終わりではなく始まりとなった。
彼女は新しい世界へ踏み出していく。



フィナーレでは「言葉」は前景から退き
代わって「歌」が、順が踏み出した新しい「世界」の
メッセージを高らかに歌い上げる。

ここに、雀犬氏のレビューから一文を引用させて頂こう。

「この映画で最後に見せたかったものは
 自分の殻を破り外の世界に飛び出した成瀬順に対する
「新しい世界からの祝福」だと思われる。」

これは、ラストの田崎の告白に関してのご指摘だが
この卓見はフィナーレの全体にまで敷衍することができる。


思い返せば、ミュージカルの発端にあったものは
順がケータイで紡いだ物語と、拓実のピアノとの二つ。
そのいずれもが、閉ざされた内部に封印されてきた想いを
外の世界へ向けて解き放とうとするものだった。
それが周囲の多種多様な心を取り込んで、膨れ上がり
一つの作品にまで結晶する。

ラストの全員合唱のシーンにオーバーラップする
日常の片隅の、さりげない情景の数々。
日々繰り返される、何気ない
そしてかけがえのない「日常」の愛おしさ。
彼らの過ごしてきた日々が集約されている
誰もいない教室を写した一カットにはいつも胸を打たれる。

明らかにここには、「世界」の意味するものが
具体的なイメージとして重ねられている。それは
一人一人の内面の「小さな世界」を包みながら
同心円状に、クラス、学園、地域へと広がっていく
コミュニティと呼ばれる、古くて新しい私たちの「世界」だ。

集団のエネルギーの総和である、ミュージカル。
無数の関係の集積として成立する、コミュニティ。
アナロジーで結ばれたその二つの場が向かい合い
同一の空間を形成するのが、この作品のクライマックスである。
そして、物語の最大の焦点であった順と母の和解は
二人がそれぞれ、一方の場所からお互いを見出し
言葉を介さずに理解しあうという、象徴的な描き方がなされている。

個々人の葛藤が、共同性の中に止揚されるこの図式は
祝祭というものの本質的な機能に即している。したがってそれは
個と集団との対立のない、調和的な世界であって
甘さとして指摘できる部分だが、こうした批評的な掘り下げは
本作にはあまり似つかわしくないようにも思う。
「あの花」とは異なる、これがこの作品の独自性なのである。

青春のリアルな感触を伴った本作の魅力は
逆説的だが、一種のユートピア性にあるのではないだろうか。
同じ印象をかつて自分は、「耳をすませば」から受けた。
私たちの日常と隣り合った、いわば親密なユートピア。
アニメーションはこれを志向し、私たちもそれを憧憬する。
アニメがもたらす幸福感の源の一つが、確かにここにはある。
{/netabare}



言葉は誰かを傷つける。

そのことにまた傷つき、立ち止まり、それでもなお
「本当の言葉」を交わしあいながら、彼らは前へ進んでいく。

危機に瀕した関係を回復する「謝罪」も
相手を肯定し、関係を深化させる「感謝」も
新たな関係への願いである「告白」も
彼らの言葉は、ありったけの真情をこめた叫びのように
未知の可能性に向かって発せられる。

だから、青春の言葉はいつでも
「始まりの言葉」なのだ。


(初投稿 : 2020/08/02)

投稿 : 2024/04/27
♥ : 23
ネタバレ

ato00 さんの感想・評価

★★★★★ 4.9

この作品は、私の最高評価アニメ映画です。<地上波放送記念;少しだけ長めに修正>

すごい。
すごいとしかいいようがない。
話の途中から感動で涙がボロボロです。
その上ラストにさらに感動を。
さわやかな青春の鼓動に心を動かされまくりました。

{netabare}ヒロインは、幼少期のある言葉により傷つき言葉を失った順。
主人公拓実、元カノ菜月、野球部元エース大樹を含めた4人が地域交流会の委員へ。
彼らもまた、悩み傷ついた心を持っていたのです。
最初はギクシャクしますが、順の心からの行動によりうち解ける4人。
クラス全員を巻き込んでミュージカルの準備が進みます。
しかし、地域交流会前日のある事件により、順に変化が・・・{/netabare}

ホント言葉って怖い。
不用意に発した言葉は容易に人を傷つける。
でも、自分の溢れる気持ちを言葉に乗せれば、どんな心も溶かすことができる。
そして、奇跡だって・・・

一瞬も目を離せない119分間。
4人全員に感情移入して感動の嵐でした。
よって、私の最高評価の作品とさせていただきます。

投稿 : 2024/04/27
♥ : 63
ネタバレ

ぺー さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

若く明るい歌声で雪崩は消えるのかもー

劇場版オリジナルアニメ


監督:長井龍雪、脚本:岡田麿里、キャラクターデザイン・総作画監督:田中将賀。そして制作はA-1 Picturesさん。
と『あのはな』メンバーが再結集し、秩父を舞台に青春群像劇を作りましたとの前情報が視聴動機になりますよね?自分もそうです。

きっかけは岡田麿里さん。『あのはな』地上波再放送中。2019年夏期『荒ぶる季節の乙女どもよ。』でシリーズ構成担当中。新作映画『空の青さを知る人よ』も控えてる。氏の作品の露出が多くなってる最中で手を出してみました。


『あのはな』よりは演出控えめで『あのはな』より秩父のスポットが出ていたんじゃないか、な作品。
聖地巡礼ならこっちのほうが捗りそうな気がします。
共通するのは高校生の青春群像劇。味付けは彼らのトラウマであります。
主要キャストは2019年現在も一線で活躍されているこの方々↓

成瀬順(CV水瀬いのり)、坂上拓実(CV内山昴輝)、仁藤菜月(CV雨宮天)、田崎 大樹(CV細谷佳正)

劇場版ならではの作画と安心できる声優さんで占められており手堅さのようなものを感じます。客寄せ用の本業俳優(女優)さんは主要な役どころながらセリフ少なめの安心配置という配慮も見受けられます。
大筋の脚本や演出も飛び道具が出てくるわけでもなく全体としては以下の通り手堅い組み立てでした。手堅いのは良いことです。

 1.主役のトラウマ提示
 2.克服のためのあれやこれや
 3.実はみんなも何かしら抱えてるからの
 4.カタルシス的なもの

もちろん目を引く演出{netabare}(冒頭とミュージカル){/netabare}はあります。が、シンプルに “ ほろ苦い青春もの ” が好みであれば手を出して損はないでしょう。
・・・と、私がごちゃごちゃ言うよりも制作陣のメンツ買いでよろしいんじゃないでしょうか?



あらすじは省略。
なにげない一言が取り返しのつかない事態を招き、それ以来心を閉ざす。言葉は相手を傷つけもするし救いもするという題材を上手く調理していることに異論はありません。
だがしかし、若干違和感も。

 {netabare}母親が離婚後に娘のフォローしとけば一発解決じゃない?
 少なくともこの子と二人で生きていくと決めたのならば。{/netabare}

違和感をあげつらって叩きたいわけではありません。時間はかかりましたが前向きな結末を用意しているため不問にしたいところ。
むしろ、{netabare}「そんなこと思ってないのに(順の母)」{/netabare}言葉というキーワードに視点を向けさせながらもう少し深みを持たせるための必要な設定だったと捉えてます。

・言わないで伝わらないこと
・言わなくても伝わること
・言っても伝わらないこと
・言ったから伝わること

想いを伝えることの難しさや素晴らしさを、そして人との関わりを諦めちゃあいかんよということを、若さゆえの青臭さを交えながら訴えてくるものがあるのであって、そのさじ加減が抜群に上手いです。
私からはそんな青臭さに良い意味で震えた印象的な箇所を何個かご紹介。


■青臭さ4コンボ ※ネタバレです

{netabare}◆田崎の変わり身

ついさっきまで真逆だったじゃん?の田崎くんであります。
考え変わったら即実行。謝ったらノーカン。大人であれば段階的措置を踏みそうなものをそうはしません。自分が根に持たないから相手もそうだろうと思ってる節があるところがむず痒く感じます。若さの表れですね。{/netabare}


{netabare}◆成瀬の逃亡

実際の私の話ですがバイトをばっくれたことがあります。責任の所在云々は非難もあるでしょう。
オーバーフローを起こしたがきんちょの行動なんて似たり寄ったりでは?と思いながら眺めてました。
他人との関係を自ら断ってコミュニケーション能力を磨く訓練を怠ってきた娘さんです。かつ幼い頃夢見た “ 王子様が迎えに来てお城に連れてってくれる ” が原点の娘さんでもあります。 それが儚くも砕け散った直後の行動。極めて狭い世界が全てだった高二の娘ならやりかねんと思った次第です。
しかも、前の晩の出来事もはっきりと言ってたわけではない。先走って落ち込むなんてこれまた若さの表れでしょう。{/netabare}


{netabare}◆普段スカしていざとなればアツい

地域ふれあい交流会(ふれ交)でミュージカルをやると決めた瞬間がよい。推進役はモブたちであります。
・係を押し付けといて言いたい放題言ってる罪悪感めいたものがちょっぴりある
 →後ろめたさがあるのでもっともらしい「やらない理由」を言いつらう
・あの成瀬順が表舞台に立つということに好奇心も見え隠れしている
 →提案に乗ることは善行なんじゃないかという潜在意識あり
そこを突破したモブくん(誰だっけ?)たちがエライ! 坂上たちだけだったら対立構図あるまま成し得なかったことをフォロワー役が背中を押すわけです。流れが出来てから一気に固まる勢いもこれまた若さの表れですわな。
予算をチラ見させて誘導する担任の“しまっちょ”城嶋 一基(CV 藤原啓治)も策士だなあと。大人はこういう役回りで良いのです。{/netabare}


{netabare}◆ついでに

順の告白も田崎の告白も菜月の告白(未遂)もタイプの違う勢い余って系告白でした。

・順:言わなきゃあたしダメになる、の視野狭窄な告白
・田崎:共有する時間が長かったからという理由での勘違い告白
・菜月:相手がフリーと安心しきってたのにからの焦りで告白(・・・めいたもの)

身にあたることばかりです(汗){/netabare}



ネームバリューで釣られ、その期待通りの手堅い面白さがあり、しかと描かれた若さに目を細める。清々しい余韻の残る素敵な119分でした。

乃木坂も悪くなかったんじゃないかなあ。。。



視聴時期:2019年9月

-----

2019.09.13 初稿
2020.03.18 タイトル修正
2021.08.14 修正

投稿 : 2024/04/27
♥ : 81

84.0 5 妄想アニメランキング5位
天気の子(アニメ映画)

2019年7月19日
★★★★☆ 3.9 (703)
3028人が棚に入れました
「あの光の中に、行ってみたかった」高1の夏。離島から家出し、東京にやってきた帆高。しかし生活はすぐに困窮し、孤独な日々の果てにようやく見つけた仕事は、怪しげなオカルト雑誌のライター業だった。彼のこれからを示唆するかのように、連日降り続ける雨。そんな中、雑踏ひしめく都会の片隅で、帆高は一人の少女に出会う。ある事情を抱え、弟とふたりで明るくたくましく暮らす少女・陽菜。彼女には、不思議な能力があった。「ねぇ、今から晴れるよ」少しずつ雨が止み、美しく光り出す街並み。それは祈るだけで、空を晴れに出来る力だった――

声優・キャラクター
醍醐虎汰朗、森七菜、本田翼、吉柳咲良、平泉成、梶裕貴、倍賞千恵子、小栗旬
ネタバレ

でこぽん さんの感想・評価

★★★★★ 4.7

人の命は何事にも代えられない尊いものであると言い切った映画

この映画を一言で言い表すのは、とても難しいです。
しいていうならば、人の命は何事にも代えられない尊いものであると言いきった映画だと感じました。
ここまで言い切る新海監督は凄いです。尊敬しました。

物語は、
あるきっかけで、雨天を晴れに変える能力を身につけた少女、陽菜(ひな)。
離島から飛び出し、都会へとやって来た少年、帆高(ほだか)。
この二人が、都会で雨の日に出会います。
そして、帆高と陽菜は、雨天を晴天に変えるための仕事を始めます。

世の中には晴天を望む人が沢山いることを、二人は知ります。
そして、晴天を望む理由も、人それぞれで違うことを知ります。
その理由は、それぞれの依頼人にとって、とても大切なことなのです。
だから、空が晴れ渡ると、依頼人の顔が皆、笑顔になる。
二人は、依頼人の笑顔を見るのが好きでした。

仕事は一見、順調に進みますが、無理をして天気を変えると、それなりの『みかえり』があります。
そのみかえりとは・・・


作画はこの上なく美しい。
但し雨のシーンが多いので、美しさを感じる場面が少ないですが、だからこそ、晴れたときの青空は格別に綺麗に見えます。
音楽も大変すばらしい。
そして、帆高が陽菜をとても大切にしているのがわかるので、思わず応援したくなります。

ぜひ、映画館で鑑賞してください。良い思い出となります。

{netabare}
ところで、
陽菜(ひな)は、子供なのに、弟と二人で暮らしています。
都会で、子供だけで生きるのは、とてもつらいことです。
帆高も、都会で暮らし始めて、子供が一人で生きることの厳しさを知りました。

皆さんは、毎日三食を食べていると思います。
でも、子供が都会で一人で生活をすると、仕事にありつけず、食事もまともに食べられません。

おそらく、皆さんの中には、将来都会で暮らすことを計画されている人がいると思います。
都会は、お金を持っている人であれば、快適な生活が送れます。
但し、都会でお金を稼ぐためには、とても厳しい現実があることも、覚えておいてください。
そして、安易にお金を稼げる悪の道に入ることが無いように、切に願います。
{/netabare}

投稿 : 2024/04/27
♥ : 69
ネタバレ

ぺー さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

作品<商品の視点はそれなりに重要

オリジナルアニメ劇場版 114分


興収250億円。日本歴代4位の記録を打ち立てた『君の名は。』から3年。新海誠監督2019年の新作。
良くも悪くも『君の名は。』以前と以後で語られてしまうのはしかたないでしょう。
立ち位置もこの大作を起点にして、

 1.変わらず好き
 2.以前よりもっと好き
 3.昔のほうが良かった
 4.これを機に新海誠を知った
 5.一貫してネガティブ評価

ニワカな私は4.です。『君の名は。』で知って、『秒速…』や『言の葉…』に流れていった人。
余計なお世話は承知の上で放言しますけど、3.のスタンスの方、ヲタ村から一歩出た実社会では注意が必要です。メガヒット作品だと普段アニメを観ない一般国民の関心が低くありません。しかも好意的に作品を捉えたケースが当然ながら多い。それを事情を聞かずぶった切ってる方の多いこと多いこと。私はドトールで実際に遭遇しました。本人の狙いはともかく地下アイドル好きのキモオタ扱いされ撃沈するのが関の山です。5.も似たようなもんですが「一貫してるのね」と傷は少ない。
『けもフレ』の前と後がどうだ!とか、○○(制作会社)の新作があーだこーだとかは一般人にはどうでもいいことなんで彼らも他人事として聞いてられるのですがこのテの作品はその一般人のテリトリーに入ってることを十分意識しておきましょう。

声優を例にすると分かりやすいかもしれません。先日、民放ゴールデンタイムでの『聾の形』放送に際し、知り合いの非ヲタ一般人に出演声優を説明するにあたってはこうでした。

 主役→『千と千尋』のアシタカ役
 永束→ハリーポッターの中の人
 妹→『君の名は。』のさやちん役

彼らがイメージ湧くのはここまで。ヒロイン役の早見さんは残念ながら「誰?知らん」です。興行収入の多さと一般認知度は比例します。ハリポタは違いますが基本的にはディズニーかジブリ強し!という勢力図の中に割って入ってきた新海さんは凄いと思いますよ。

一般人と共有できるアニメ作品は貴重であると思うので、いつも以上に盛大に脱線しました。
作品単品での評価も気になりますが、マーケティング視点も少しばかり導入しつつ興収含めた一般社会での受け入れられ方も気になるそんな作品という前提で以下。

メガヒットの次に何をもってくるか?

『CROSS ROAD』でミリオン達成。シーンに認知されたMr.Childrenは次に年間チャート1位となる『innocent world』、その次にバンド史上最も売れた『Tomorrow never knows』をリリースしました。答えは簡単。名曲を出し続ければ良いという結論です。もちろんおいそれと真似は出来ません。
次にやらかしがちなパターン、特にここ最近顕著なのがヒットしたものをそのままなぞらえた模倣品を作ること。短期間に消費されること前提であり飽きられるのも早いのでクリエイターには不評。こればかりは会社だったりプロデュース側の方針に依ります。
というわけで最後。目先を変えてくパターン。すなわち王道な売り方。成功事例だとX JAPANが分かりやすい。『紅』でシーンに躍り出てからの次回作が『Endless rain』。前曲の激しい曲から一転してピアノのイントロが美しいバラードです。振り幅で勝負!人気を定着させました。
なお現在の音楽シーンはメディアミックスが複雑すぎて音楽単体評価が難しく該当事例ナシです。


そしてやっとこ作品そのものについての言及になるわけですが、
本作はだいぶ模倣品リリースに傾いてたと思われます。パッと見た感じは「模倣品」。中身は「異物」なんですけどおおむねパッと見た感じで判断しますもんね。別に「俺たちの新海戻っておいで」でもいいのですがせっかくドがつくほどのメジャーに踊り出たんでしばらくは居座っていて欲しいです。、
私は『秒速…』以降しか知りませんが、少なくとも全てボーイミーツガールです。お家芸となってる過去作品のキャラ登壇は本作に限らず伝統芸能といって差し支えないでしょう。実写より美しいともされる作画やモノローグを多用する心情描写は作家の色なので模倣品とまで言うのは酷ですが既視感あることは致し方なし。RADWIMPSの再起用はやり過ぎな感もあり。といったところでしょうか。

『ナウシカ』『ラビュタ』と連発。『未来少年コナン』以降の監督の得意分野である冒険活劇あるいはファンタジーを2本続けてから第3弾では2本立てにトライ。『火垂るの墓』で原作有り&別監督と目先を変えてきたジブリを無条件に賛美する意図はありませんが、早くチームか会社設立しちゃったほうが良い気がします。需要に対しての供給力が足りてないというか今のままでは監督への負担が大きいのではないかと思われます。
ボーイミーツガールの完成系を目指して試行錯誤しているクリエイター!? 技術的には積み重ねを感じる。例えば『言の葉の庭』で培った雨の表現をトレースしてたり違うものを見せたりと。そんな持ち味を楽しみにしているファンも大勢いるためガラッと変えるのは実際難しいところなんでしょうね。


して映画の肝心の中身は?

良いです。ボーイミーツガールは好物だしこの監督の演出する男女の営みも自分には合います。
特にツボにハマったのが新宿の繁華街の裏通りの雰囲気。終電逃してさあこれからって空気や、朝を迎えた時点での気だるさを感じさせるあの雰囲気がよく出ています。

これが家出少年の目にはどう映ったか?

宿無しの不安とおそらく束縛からの解放がないまぜになった心理状態。そんな者すら受け入れる街。“ここではないどこかへ”来た感がこれでもかと出ております。
ウチの中学生の倅が劇場で鑑賞し「面白かった」と感想を言ってましたが、メインストーリーとは別にこのちょっとした淫靡な空気に吸い寄せられたのかもしれないなぁ、と実際の作品を観て思いました。朝オープンしたてのカフェに昨晩オールした若もんがぐったりしてるでしょう?そういうところです。

そして不穏な街には不穏な物語が良く似合う。
当人たちの問題がそのまま世界の危機に直結する“セカイ系”に分類されそうな物語でした。


 “ボーイミーツガール”

 “怪しい街新宿”

 “セカイの危機”


難点はキャラの行動原理がわかりづらいところ。その点はけっこう狙っていたらしく、例えば主人公穂高の家出理由はわざとぼかしているとのこと。自分はあまり好きではないです。
総じて“良い”と感じてますが、行動原理に納得感がないからか主人公らがやや低年齢だったからかは定かではありませんが、結局キュンキュンしなかったので評価爆上がりには至らずでした。

マーケ視点としては合格。メガヒットの次という超絶難易度をクリアしてます。「あー結局アノ作品だけの監督だったんじゃん?」という声がない。充分でしょう。
これで次回作も一般人巻き込んでみんなで楽しめますね。ぜひデートの誘いに新海映画を!
ボーイミーツガールは不滅です。



※閑話休題

■人身御供

ちょいちょい日本文化のわりとコアな部分を突っついてくる作風は今回も。
本質的には巫女さんの役割のお話なんだと思います。

{netabare}現代版の卑弥呼{/netabare}

僕らの血肉に息づいてる感覚をモチーフにしているので賛否はともかくイメージはしやすい。
{netabare}※自然の怒りを収めるための人身御供という概念のことです。
相方が人身御供となることを良しとするか否とするか?本作での結論は観ての通りでしたがあの結論はアリだと思います。{/netabare}

↓ネタバレ
{netabare}今のこの時代に社会正義を捨ててヒロインを取ったる!とやったのは痛快でした。
公の精神は大切です。ただしポリコレ棒をぶん回しての昨今コロナ禍での自粛警察みたいなのとは似て非なるもの。{/netabare}



■東京

{netabare}「街の風景を自分の手で・・・」
「東京だっていつ消えてしまうかわからないと思うんです」{/netabare}

建設会社希望の某就活生の志望動機をふと思い出しました。
もしやこの伏線回収か!?と思いきやところがどっこい消えずにたくましく東京の人達は生きている。
むしろ「埋め立てる前はもともと海だったしね」のセリフにお台場はもちろん江東区あたりもイメージしてそりゃそうだと膝を打ちました。

{netabare}「東京だっていつ新しいものが生まれてくるかわからないと思うんです」にバージョンアップ{/netabare}

自然災害を無視できない風土。だからこそ生まれた“もののあはれ”なる概念。そんな諦観だけに留まらず対となる進取の気性との両輪でここまで続いてきた国なのにどうやら後者の気概が最近弱まっている模様。もう一度取り戻して前を向いて歩いてく。
なんだかんだそんな前向きさを感じるのはエンタメの良い部分が出てるのかもしれません。



視聴時期:2020年7月

-----

2020.08.22 初稿
2020.10.25 タイトル修正
2021.05.30 修正

投稿 : 2024/04/27
♥ : 64
ネタバレ

101匹足利尊氏 さんの感想・評価

★★★★★ 4.1

もう少し器用な賛否の割り方があるのでは?と思ってしまいました……。

主人公に共感できない人もいるかもしれない……。
もっと叱られる作品を目指す……。

事前にこうした新海監督の決意表明も拝見していた私にとっては、
賛否が分かれる内容も評判も想定内。

むしろ、国民的な大ヒットとなった『君の名は。』の次という
王道大衆娯楽作への期待と、
前作から制作スタッフが倍増し、工程がさらに大規模化し、
監督の個性を出し辛い体制が続く中、
よく怯まずに作家性を発揮して下さった。

ウリとなった天候の描写も、
人々の都合など知らずに天の気分でゲリラ豪雨を浴びせる、
監督らしい狂気も戻って来たように感じ、何だか嬉しくなりました。

ですが、それでも鑑賞していて、私は、
にしたって、もう少し一般大衆との折り合いも考えても良いんじゃないか?
などモヤモヤした感情が沸いてきてしまいました。


以下、ストーリーの重大なネタバレを含む辛口コメント
{netabare}
結局、主人公少年は東京や文明社会の安定より、少女を選択した本作。

そもそも新海作品においては大抵、
人間社会とは残酷で、大人たちは頑固で分からず屋で、
こんな人間たちや世界なんて知らない!と登場人物たちが青臭く思ったとしても許される。
こうしたムードが一つの形……と言うより前提であることが多い印象ですが、

今回の人間社会。すなわち東京は、
少女か皆かの天秤にかけるにはリアルで生々しかった印象。
SoftBankに、日清食品に、マクドナルドに、ヤフー知恵袋
とスポンサーの物量が凄まじく、
目に付く物の多くが実名で他人事とは思えませんでした。

だからこそ、東京に対する大した弁護もなく、ほぼ少年少女だけの秘密の内に、
東京を劇的に変えてしまう決断が成された点には、
審理不足の裁判を見せ付けられたような不条理さも感じてしまいました。

加えて、東京があんな風になってしまったら、
例え直接、被災して死ななくても、経済的損失等で、
きっと万単位の死者や自殺者が出てしまうと思うんですよ。
その辺りの描写が飛ばされたのもアンフェアだと感じました。

こうした不公正な刺々しさも新海作品らしいと言えばらしいのですが、
本作における圧倒的な東京の存在感故なのか、
私の嗜好が擦れたオッサン化してきているからなのか……。
今回はスルーしきれませんでした。

それでも、天への感謝も、天と交信する伝統も忘れ、世界の仕組みを知ろうともせず、
ちょっとした気候変動を“異常気象”と大騒ぎするのは
人間たちの身勝手と言えば身勝手と言うことなのでしょうが、
それにしたって世界の理を二人だけの秘密にされちゃ分らないでしょう。
与えられた常識に従って職務を遂行する警官たちが、
分ってない大人の代表格にされているようで少し可哀想に思えました。

一応、主人公少年は晴れ女ビジネス……晴れを願う東京都民への利他などを通じて、
捨てたもんじゃない人間社会の一端も知りはしますが、
家出少年らに審判を委ねたら、そりゃ人間社会の安定より大切なあの娘を取るでしょう。


少女か人間社会か世界か……これほど大きな決断を、
一人の主人公少年に背負わせ自己完結の内に結論を迫る。
このプロット構造にも、そろそろ限界を感じます。

これだと、主人公の拒絶が、作品の否定に直結しかねません。

私は代案として、少女に与する少年主人公に敵対する、
人間社会や“天気の巫女”の伝統を背負った側に
ラスボス役、ライバル役のキャラクターを確立し、
アンチの心情を代弁させ溜飲を下げさせる。
こんなパターンもあっても良いのかなとも思いました。

これなら、例え主人公に反感を覚えたとしても、
対立軸は作品の可否ではなく、主人公派かライバル派かに帰結し、
作品への支持は保たれると思われます。

いやいや、青臭い少年の心に諸々のジレンマを混在させてこそ新海作品。
心の葛藤を他のキャラクターとして外部化させるなど、
それこそ、大衆迎合による新海監督らしさの喪失だろうとお叱りも受けるかもしれませんが、
私は制作が大規模化しても個性を失わなかった新海監督には、
人物相関のパターンを変えても尖った表現ができる引き出しはあると思っています。{/netabare}


プロモーションについて……

スポンサーの物量に比例してコラボCMも盛りだくさんな本作。
これも、作品だけでなく、宣伝も評価も自分が完璧にコントロールしたい!
と言う新海監督の強烈な意志の賜物なのでしょうが、
今回、私は流石にしつこいと感じてしまいました。
私も危うく、みんなが観るゴリ押し作品は観たくないと言う天邪鬼が発症する所でしたよ。

特に本作みたいに賛否を割りに行く尖った作品では、
事前のメディアへの露出を敢えて控えて、
観たい欲求を煽ってみるのも有効な宣伝方法だと思います。

新海監督はもう既に黙って作品出しても観に来て貰える存在でしょうから。


色々と批判的な感想を書き連ねてしまいましたが、
作画、音楽などクオリティは高い本作。
劇場で体感する価値は十分にある映画だと思います。

今回、擦れた大人である私なんかはモヤモヤしてしまいましたが、
大人は分ってくれないとささくれ立っている青少年なんかには、
スッキリと背中を押してくれる勇気を与えてくれる作品になるのかもしれません。

是非、色んな人に体験してもらって、賛否を聞いてみたい一本です。


最後に、そう言えば、昨年の盆、墓参りをサボってしまった私……。
天や、先祖の方々にお叱りを受けないように、
今年は線香を上げて、行き帰りの道を確保して差し上げようと思い直しました。

投稿 : 2024/04/27
♥ : 45

77.9 6 妄想アニメランキング6位
PERFECT BLUE -パーフェクトブルー(アニメ映画)

1998年2月28日
★★★★☆ 3.9 (647)
3017人が棚に入れました
アイドルグループのチャムに所属する霧越未麻(きりごえ みま)は突如グループ脱退を宣言し、女優への転身を計る。かつてのアイドルからの脱却を目指すと自分を納得させ(つつも事務所の方針に流されるままに)、ドラマ出演でレイプシーンを演じる。さらにはヘアヌードのオファーが来るなど、アイドル時代からは考えられなかったような仕事をこなしてゆく未麻。しかし、人気とは裏腹に未麻は現状への不満を募らせ、アイドル時代の自分の幻影さえ見るようになる。

えりりん908 さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

エロくてグロくてつらくて。でも最後、スカッとします!

今敏監督、気にはなってたんですけど、
とうとう挑戦!視聴に及んでしまいました(*^▽^*)

結果は・・・・・・

面白かったです!凄く!!

お話自体はサイコホラーです。
怖いです。苦しくてつらいです。
リアルと虚構と悪夢と妄想が、
複雑に入れ子になっていて、
自分のいま見ている映像が、
誰のものでホントはどこにいるのか、
目眩のような混乱を感じて、
楽しいとか、ほのぼのとかとは正反対、
いつも何かに追い詰められているような、
そんな、安らぎとは無縁で、
ハードな展開が延々と続き、
見ているだけなのに精神を削り取って、
めちゃめちゃ暗い気分に追い込んでくれます。

エロチックは、もう全編エロいんで、
好きな人はそれだけを目当てに観賞するのもあり?
って思いましたが、
作品の根本的な「鬱感」が強すぎるので、
そんな短絡的な目論見は吹き飛ばしてくれる、
凄いパワーでした!



グロテスクがこの作品の真骨頂だと思いますが、
スプラッターではなくて、
心の闇とか病とかでの
精神攻撃がグングン迫って来ます!

ハイレベルなグロ、
凄く心に刺さります!

アイドルものって全然興味ないけど、
こういう
脱アイドルを目指したときの地獄!
めちゃめちゃドラマチックです!!!

投稿 : 2024/04/27
♥ : 28

阿紫カービィ さんの感想・評価

★★★★★ 4.9

閲覧要注意

何年かぶりに 観かえしました。

正直、今敏監督は苦手です。

が、この作品は、『原作者』の叫びが聴こえてくるようで好きです。(キャラクター原案、江口寿。最高です。)


お話としては、『あなた、誰なの?』に始まり『私は私よ』で終る。



まず、
未麻子の部屋が 強烈に目に飛び込んできます。

きっと
普通の女の子の普通の部屋。

まるで『覗き』をしているかの様な錯覚を覚えます。
(いいよ、狙いにハマってあげましょう…)

私は覗き魔になる。


そして
女優としての未麻の初の濡れ場のシーン。

レイ◎される未麻はとても美しい。ゾクッとする。

デフォルメのない、正確な躰のライン、
男の『in out in out』の動き…リアルでエロティック。

私は未麻を犯す男優になる。



どんどん不安定になって行く未麻

『解離性障害』という病

『ストーキング』(あえてあたしは偏愛と言いたい)


それらの『不安要素』が絡みあっての
ラストへの疾走。


私は思うのです、
この作品は、誰にでも有り得るであろう『迷い』からの脱出劇ではないの?と。



この作品を、『グロ』と思って欲しくない。

先入観で敬遠して欲しくない。

心の話、愛の話、そう思う人が一人でも多くいて欲しい。


『罪』を
人は 気づかないうちに犯している。

『こうあって欲しい』という願いが高じて

人を傷つけたり
無意識に自分を傷つけたり



今 自分に
『私、誰なの?』と問う
『解らない』と応えることしかできない


一生
応えられないかもしれない

それでいいと 思ってる




今監督の短編映画『オハヨウ』
こちらも合わせて視聴してみてください。


人の中に潜む、複数の『私』


複数が『ひとつ』になって
『自分』が完成する。




さて
今日の『私』はどの子とどの子?

投稿 : 2024/04/27
♥ : 59

shisune さんの感想・評価

★★★★★ 4.4

あなた、誰なの?

サイコホラーのアニメ。始めてみました。
まさに衝撃。アニメでしか表現できない、というのは
まさにこれのこと言うのでしょう。

アイドル界が舞台のサイコホラー。
現実なのか、幻想なのか混乱させる二重人格の演出。新鮮ですが
このアニメだととても怖い。

あらすじを見ればわかりますが、なるべく一人でみるように…。

しかし、岩男潤子さんだと声がアイドルより過ぎる気がしましたね。
内容が内容なんでどうなんだろう。
内容とギャップがあって逆によかったのかな。


私はこのアニメを見て、影響されてしまい
今敏監督のパプリカ、千年女優などをみました。

監督の作った作品、一つも外れがありません。

投稿 : 2024/04/27
♥ : 8

75.2 7 妄想アニメランキング7位
ご注文はうさぎですか?? ~Dear My Sister~(アニメ映画)

2017年11月11日
★★★★☆ 4.0 (262)
1320人が棚に入れました
詳細不明

声優・キャラクター
佐倉綾音、水瀬いのり、種田梨沙、佐藤聡美、内田真礼、徳井青空、村川梨衣、茅野愛衣、早見沙織、速水奨

ねごしエイタ さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

呪文は、カフェラテ、カフェモカ、カプチーノ

 ココアちゃんが一週間帰省している間のココアサイド、チノ、リゼ達サイドのお話だったです。

 最初にお別れのような大げさなエピソードから始まるけど、今までのごちうさを見ているとこれは、いつも通りのココアを中心とした展開であることは容易に想像がついてしまうです。

 チノの持っているぬいぐるみの謎も、注目です。

 帰省したココアと親子の絡みは、甘えん坊ココアを引き出した展開だったです。

 一方、チノ、リゼ達の方もココアの来る前のお話は、リゼの女の子らしさが出た一面が少し見られたです。ココアからの連絡にソワソワするように気にしているチノもやっぱり寂しいんだだったです。

 モカのアイデアのサプライズパンなどサプライズも見所かなぁです。

 どうやって帰省するココアがチノたちの前に現れるのかも、お楽しみです。

 自分としては、シャロや、マヤとかももっと活躍するところも見たかったです。ごちうさは、2期のほうが今のところ面白いかなぁと思ったでです。

投稿 : 2024/04/27
♥ : 13

ようす さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

君と離れて過ごす時間が、こうも落ち着かないものだったなんて。

「ご注文はうさぎですか?」、
通称「ごちうさ」のスペシャルアニメです。

時間も長くないので、
1期や2期がお気に入りだった人たちへのおまけエピソードな感覚でした。

相変わらず可愛さと萌えがぎっしりなので、
心ぴょんぴょんしたい方にはおすすめですよ♪

2期の続編に位置付けられるエピソードなので、
まずはTVシリーズを見てから視聴することをおすすめします^^

60分の作品です。


● ストーリー
喫茶店・ラビットハウスに下宿しているココアは、
しばらく実家に帰ることになった。

久しぶりに家族との時間を過ごすココアと、
ココアのいないラビットハウスで過ごすチノたち。

ココアがいない。
いつもとなんだか違っていて、落ち着かない時間がチノを包む。


今回は、
・家族と過ごすココアの故郷
・ココア以外のメンバーが過ごすラビットハウス
の2つの場所での物語があります。

大きく盛り上がるようなストーリーではありませんが、
相変わらず可愛さぎっしりです(*´ω`*)

きっとTVシリーズで心がぴょんぴょんしていた人たちは、
この作品でも心ぴょんぴょんできると思います♪

ココアの母も姉もお茶目だし、
さらにココア家3人の関係も可愛くて微笑ましいし、

ココアがいなくて寂しそうなチノちゃんも可愛いし、

チマメ隊(チノ・マヤ・メグ)3人の連携は
ロリコンに目覚めさせるほどの萌え力があるし、

相変わらずキャラの個性が
あらゆる可愛さと萌えに変換されています!恐ろしい!笑

時間が60分なので、
「あれ、もう終わり?」とあっという間でした。

十分心ぴょんぴょんしたけれど、
もっと心ぴょんぴょんしていたかった!


● キャラクター
みんなそれぞれ可愛くて、萌える(*´Д`)

キャラに関しては、
「可愛い!」の一言で片付いちゃうんだよなあ。笑

可愛いところに萌えたり、
おとぼけなところにクスッと笑えたり、

笑顔でおしゃべりしているだけですべてが可愛くなる。
なんと平和で幸せな世界!

キャラが完成された作品だと改めて思いました。笑

ティッピーは今回ももふもふしていたよ!もふもふ♪


● 音楽
【 主題歌「セカイがカフェになっちゃった!」/ Petit Rabbit's with beans 】

「Petit Rabbit's」は、メインキャラ5人によるユニット。
今回も彼女たちらしいな~と感じる曲でした。

でも今までの曲と似ているわけではなく、
また新しい魅力を楽しめました♪

そこに加わった「beans」とは、そう、“マメ”!

チマメ隊じゃなくて?と思ったら、
「Petit Rabbit's」にチノは初めから参加しているので、
加わるのはマヤ&メグの“マメ”だけか!と気付き。

このネーミングセンス、気に入りました♪笑


● まとめ
確かに“劇場版”と言うより、
“スペシャルアニメ”という表現の方がふさわしい作品でした。

でも内容が薄いわけではなく、
2期の延長の新作として、十分楽しめる内容でした^^

可愛さだけがブレンドされた世界で、
心ぴょんぴょん癒されるのはいかがですか?(*´ω`*)

投稿 : 2024/04/27
♥ : 29

ジョガマヤ さんの感想・評価

★★★★★ 5.0

意味のある1時間!

ココアさんの実家帰省というイベントを通して「姉妹」や「魔法使い」というテーマについて十分に考えさせてくれる作品だ。
原作そっくりではなく、オリジナルのストーリーでファンも満足できる。
新規獲得に躍起にならず、ファンを楽しませる作品に仕上げていることは評価が高い。
実は物語を裏で動かしていたのは青山さんやチノ父、リゼ父たち大人である。ストーリーがしっかりしていて、OVAとしては短めながらも印象に残りやすくなっている。
帰省先の街(海沿い)は、いつにも増してきれいだった。
作画ミスも見当たらなかった。
また、みんなの髪型の変化が大きく、そこも見どころである。
主題歌「セカイがカフェになっちゃった!」がまさに第二のDaydream café。ごちうさのテーマ曲ともいえるほど大きな意味をもった曲だと思う。(私はこの曲で長ったらしい歌詞考察を書いた)
今作は「セカイをカフェに」というごちうさ全てに通底するテーマ(もちろん暗喩である。セカイ→未知領域、カフェ→既知領域,または家族、と簡単に考えてもらうと雰囲気は掴み取れるはずだ)の始まりであると言えるだろう。
OPとして使われた「ハピネスアンコール」だが、これも良かった。内容としては、端的に言うといつものごちうさが帰ってきたというものだ。
さらに、よくよく思えば、この曲はの曲調はEDっぽいのである。前述の「セカイがカフェになっちゃった!」はOPらしい曲調だ。このように曲調と実際の配置を逆にすることで、「始まりと終わりの混在」や「果てしなさ」を感じるというのは自分だけだろうか。
また、ココアさんとチノちゃんの姉妹としての仲は十分に熟してきている。「姉妹」というテーマは終わりを迎えようとしている。次は「家族」の段階に入ることが予想される。(原作を読むと分かる)
ココアさんという魔法使い、エイプリルフール企画の回収も兼ねたチノちゃんという魔法使い、どちらも考えさせられるものがあるだろう。
最後の流れでは、かなりファンを楽しませる要素が詰め込まれている。怒涛のラッシュで感情が積み重なり涙を流した。
定期的に見直したい作品といえる。

これ以外にも全作に通じて存在する概念があるのだが、それは1期のレビューに書いているので興味のある御人は確認してほしい。
※私のツイッターアカウント(@blacktea_zygmy)を見ていただくと他にも感想考察を読むことが出来ます。イベント前後や原作の更新日などはうるさいです。一通り原作を読み終わった方はどうぞ。また、別の記事(https://note.com/fitt_gset/n/n96b63f612f52)でも魅力を紹介しているのでそちらもどうぞ。

投稿 : 2024/04/27
♥ : 4

66.7 8 妄想アニメランキング8位
クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶ 栄光のヤキニクロード(アニメ映画)

2003年4月19日
★★★★☆ 3.7 (161)
895人が棚に入れました
ある朝の野原家、いつもに輪をかけて貧相な朝食に、とてもご機嫌斜めなしんのすけ達。だがそれは、夕食の最高級焼肉の為であった。
しかしそこへ突然謎の男が助けを求めて転がり込んでくる。それを追撃してきた謎の一団に危険を感じた野原一家は、冷蔵庫に入っている最高級焼肉を残して、その場から逃げ出した。
何とか謎の一団の追跡を振り切った野原一家だったが、どういうわけか突然警察やマスコミから凶悪犯一味と断定され、追われる事になってしまう。近所のおばさんやミッチー&ヨシリン夫婦は報奨金目当てに野原一家に襲い掛かり、かすかべ防衛隊やひろしの会社の同僚など親しい人達は一家を拒絶、やむなく野原一家は春日部から逃亡することになる。

声優・キャラクター
矢島晶子、ならはしみき、藤原啓治、こおろぎさとみ、真柴摩利、林玉緒、一龍斎貞友、佐藤智恵、高田由美、富沢美智恵、三石琴乃、納谷六朗、阪口大助、草地章江、鈴木れい子、紗ゆり、玄田哲章、小桜エツコ、真殿光昭、堀越真己、江川央生、宇垣秀成、大西健晴、遊佐浩二、池澤春菜、松岡由貴、石丸博也、江原正士、西川宏美、皆川純子、徳弘夏生、石塚運昇、華原朋美

Dkn さんの感想・評価

★★★★★ 4.2

WANTED!!!!!!

全国指名手配された凶悪犯、“野原一家”



罪状は、



野原ひろし!   ――異臭物陳列罪

野原みさえ!   ――年齢詐称

野原しんのすけ! ――幼児変態罪

野原ひまわり!  ――結婚詐欺

シロ!      ――集団暴走行為及び飲酒運転



『逃げ切って、皆で家に帰るんだ!!!』



   逃走劇は苦難の連続


  襲いかかる刺客達!


ヒーロー達に用意されたギャグ空間


息もつかせぬロードームービー!





・・・すべては・・・・・・・





家族揃って『焼き肉』を食べるため・・!!!!!





〈感想〉

これと嵐を呼ぶジャングルが好きでなぁ・・。

しんちゃん劇場版でギャグならBEST3に入る安定感です。

投稿 : 2024/04/27
♥ : 10
ネタバレ

ようす さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

家族がそろって焼肉を食べる!そのためなら、どんな困難も乗り越えてみせる!

劇場版クレヨンしんちゃん・第11作目。

これまでの原恵一監督から、
水島努監督へバトンタッチされた作品でもあります。

クレしん映画ファンの友人から、
「クレしんのギャグならこれ」と勧められた作品です。

見てみて…なるほどと思いましたw
(詳しくは後ほど。)

90分ほどの作品です。


● ストーリー
野原一家の質素すぎる朝食。

その理由は、
夕ご飯に用意した高級焼肉!

焼肉を楽しみに朝食をとろうとしたところへ、
謎の男が「助けてくれ!」とあがりこんでくる。

巻き込まれた野原一家はなぜか指名手配され、
謎の集団から追われることに!


追ってくる人たちから逃げまくる、
そんな野原一家のドタバタがずーっと続きますw

キャラのギャグネタが豊富で、
ストーリーが進まなくても気にならない。笑

“逃走”が舞台のギャグ劇場。
逃走劇だけでここまで楽しませられる作品、すごいです。


≪ 演出がすごい ≫

印象的だったり爆笑したりしたシーンが
1つの作品に1つでもあれば十分だと思っていますが、

この作品では印象的で爆笑したシーンが数えきれない。笑

定番のひろしの足臭いネタも何度も使われますが、
いろんな演出があり、しかも型破りで笑ったww

たとえば、雑魚たちを一掃するシーン。
{netabare}
みさえがひろし抱えて振り回すとかw
ひろしも自信を持って堂々とたたずんでいる姿にも爆笑w
{/netabare}

単なる足臭い攻撃でも、いろんな演出があるんだなあと、
むしろ感心しましたww

他にも印象的だったのは、
・みさえとひろしのヒッチハイク
・春日部防衛隊の遊園地での動き
・すべてが終わったあとに焼肉を食べる妄想をする野原一家
・しんちゃん、自転車を乗りこなす

見た時のインパクトを削ってしまいそうなところは、
ネタバレとして省きましたが、それでもこんなに…。

というか、結論としては、
それぞれのシーン全部が見どころあってすごかったのよねw

私の中で一番インパクトが強かったのは、
焼肉を食べる妄想ですね。

{netabare}
まさかのリアルな描写ww

シロが本物の犬と化しているし、
しんちゃんが、しんちゃんじゃなくて誰だよ状態だしww

しんちゃんの中ではかっこいい=金髪なのかな?
その辺、単純で年相応でかわいいよなw
{/netabare}

このシーンは度胆を抜かれましたww


総合的にまとめると、
つまり、ギャグの演出がすごいのです。

このギャグに、ここまで全力をこめる!?という、
制作側の気迫が感じられる攻めまくりな演出ww

作画の☆4.5は、
映像の美しさというよりも、この演出たちに敬意を評して、です。


● キャラクター
やはり野原一家のキャラは素晴らしい。

ピンチだけど、面白おかしく切り抜けていくし、
どうせなら真正面からぶつかってやれ!なかっこよさもあるし。

何より家族の絆が素敵!

大人になるにつれて、
野原一家は理想の家族だよなあと思うようになりました。

根っこが似た者同士なんだよね、この一家w


しんちゃんの友だちである、
春日部防衛隊。

幼稚園児だけど、
ただの幼稚園児じゃない。

彼らなら、何か起こしてくれるという期待と、
その期待を軽々と超えていく面白さが大好きですw


レギュラーメンバーへは高評価なのですが、
反対に低評価となったのが、敵キャラ。

いまひとつパッとせず、
大した見せ場もなく、残念でした。

結果、キャラはプラスマイナスで☆4です。


● 音楽
【 OP「PLEASURE」/ 華原朋美 】

久しぶりに聴いて懐かしい!となったけど、
今聴くと、より好きだなーと思った♪

名曲!


【 ED「こんな時こそ焼肉がある」/ のはら家オールスターズ 】

野原一家が旅行帰りの描写を歌った曲。
すべてが終わったのんびり具合がいい♪

EDに合わせて野原一家が
普通の日常に戻っていく様子が流れるのもナイスだわ♪

旅行帰りの車の中で、家族で聴きたい!
そして焼肉が食べたい!笑


● まとめ
今までに見たクレしん映画はこれで3作目。

今のところ、私の中ではこの作品が一番好きかな♪
いやー笑ったw

ストーリーはあってないようなもの。
これはギャグを楽しむための作品ですね。

ありえない動きばかりだけど、しんちゃん達ならありえる。
そう思わせた方の勝利です。笑

投稿 : 2024/04/27
♥ : 10
ネタバレ

さんの感想・評価

★★★★★ 4.9

水島×原×クレヨンしんちゃん=∞

オトナ帝国・戦国大合戦でノスタルジーそして悲哀の感動ストーリーを当ててきたかと思えば、今度はまさかのギャグ路線…!

しんちゃん映画のコメディがここに集約されていて、どこを切り取っても面白い。駄目なところが全く見つからない。

シナリオを超えてくるギャグ演出とそれに全力で答える作画陣が神。
そしてGW公開のクレヨンしんちゃん映画で見に来た人たちのあるあるを誘うEDがいい味を出している。

以下ツボだったところ一覧
{netabare}
・まさお、裏切りからの特攻、そして犬死。
・野原一家、リアルキャラ化のグルメ描写。
・しんのすけ、いきなり自転車に乗りこなす。
・みさえ、怒涛のバタフライ。
・ヒロシ、槍化。
・滑らかに動くカスカベ防衛隊の団体行動。
・酷使されるみさえの尻。
・凍てつくヒッチハイクアピール。{/netabare}


やばい。深夜に観るアニメじゃなかった。
明日安〇亭で焼き肉してこようかな。。

投稿 : 2024/04/27
♥ : 3

63.0 9 妄想アニメランキング9位
花とアリス 殺人事件(アニメ映画)

2015年2月1日
★★★★☆ 3.6 (142)
535人が棚に入れました
2004年に岩井俊二自身が原作・脚本・監督を務めた、ふたりの少女を描いた映画『花とアリス』の新たなストーリーをアニメで描くことになる。

『花とアリス』の前日譚となり、史上最強の転校生のアリスと史上最強のひきこもり 花が出逢ったとき、世界で一番小さな殺人事件が起こった、とのストーリーになるという。ふたりの出会いの物語だ。

アニメ映画では、鈴木杏と蒼井優を彷彿させるデザインのキャラクターが登場し、さらにふたりがこの声を演じることで10年ぶりに競演するのもみどころだ。

ちなみに映画は先に声を録音するプレスコを採用している。

声優・キャラクター
蒼井優、鈴木杏、勝地涼、黒木華、木村多江、平泉成、相田翔子、鈴木蘭々、郭智博、キムラ緑子

けみかけ さんの感想・評価

★★★★★ 4.9

【今作があればもう日本には“アニメも邦画もイラネ”ってなる!!!】「いやぁ~どぉだろぉかぁ~σ(^^;)」【第3の映画誕生の瞬間を目にした!!!】

『Love Letter』や『スワロウテイル』で有名な天才邦画監督、岩井俊二が初めてアニメ長編に挑んだ意欲作
『サイコパス』の本広克行など、最近有名映画監督がアニメに乗り込んできたことをオイラの友人は「アニメが売れると分かってシャシャり出てきてる」と批判しました
ソイツの気持ちもワカランでも無いですが、今作に関しちゃ技術的にも物語的にも完成度的にもとても素晴らしい歴史的傑作に仕上がったと思っています
どうか【食わず嫌いだけはしないで欲しい】という気持ちで今作を応援させていただきたい


事の始まりは2003年にネスレKitKat(キットカット)のホームページ上で配信された連続webドラマ
所謂「続きはwebで」と銘打ったCMドラマです
蒼井優が演じる天真爛漫な元気娘“アリス”
鈴木杏が演じるアリスに振り回されがちな内気で惚れっぽい“花”
この二人を軸に描かれる受験生応援&青春恋愛ドラマでした


webドラマが思いのほか人気だったので2004年には続編となる長編映画が公開
映画の1年後には今作のプロットが出来ていたらしいですがお蔵入りになってしまい10年の月日が経った・・・そしてまさかの10年越しの復活、それもアニメで、という斜め上に意表を突いたのが今作なんですね


さて、なんでよりにもよってアニメ?
となるところですが、コレ物語が中学3年生の花とアリスの“出会い”が描かれるという前作の前日譚になってるんです
つまり10年越しに【鈴木杏と蒼井優】を10代の【花とアリス】に若返らせる為に「残された手段はアニメしかねー!」ってワケでオリジナルキャストを尊重した結果の決断なんですね


だから演出方法は基本的に実写と同じで、実写では普通に出来るカメラワークを純粋にアニメへ落とし込むためには・・・って努力がアニメ初挑戦の岩井監督ながらとにかく凄い
3本柱となる技術がロトスコープ、トゥーンシェード、背景をパーツ化してのモーフィング


監督自らデジタルコミック作成ツールを使って絵コンテを起こす

蒼井優ら前作オリジナルキャストが集結しプレスコ録音

実写ロケハン&ロトスコ撮影専門キャストで演技撮影

撮影した実写を元にロトスコープ作画&トゥーンシェード3DCGによるアニメート
(ロトスコとCGはカットごとに使い分けてます)


すんげぇ手間が掛かってるんですよ
2013年の『悪の華』が全編ロトスコだったり、最近でもトゥーンシェードのアニメが注目を浴びたりしてますが、今作は現代映像技術で出来ること全てを投入した結果といえる
魅せる動きのカットはスーパースローで、という演出の再現は基本中の基本
すごいのがアニメではまずやらない、ってか出来ない“フォローパン”を背景の立体化も含めた技術で完全にアニメートしてること
この背景自体も美監が滝口比呂志でコミックスウェーブフィルムも関わっていたりとあの『言の葉の庭』のスタッフが集結し“超美麗”っす
つまりあの『言の葉の庭』の美麗背景がシームレスに動いてるんですよ!?
その映像はまさに目からウロコ


もちろんこの作品を手放しで賞賛する気はオイラにも無く、まだ課題が残ってたりもします
『悪の華』では実写キャストにとにかく似せよう、というスーパーリアル調なキャラデザが賛否両論となりましたが、今作の場合は岩井監督の“ヘタウマ”な絵コンテが全てのベースになっている為、表情の描き込み等が乏しいのがタマにキズ
この岩井監督の絵を、「可愛い」と取るか「単に下手」と取るかで賛否は真っ二つでしょう
目が単なる棒線になってしまっているカットとか(こんな感じの→ |0| )、みんな同じ顔してるモブキャラとか、端的に粗末でもっと作り込めたな・・・ってカットが多々あったのは残念ですかね
もっと作画監督とか立てても良かったのでは?と


さてここまでは技術の話ばっかでしたが、物語的にもホント素晴らしい


転校生のアリスはクラスメートから何もしてないのになぜか無視をされ続けている
どうも1年前に同じ教室で“ユダ”なる人物が殺され、ユダの呪いが封印された座席に転校してきたアリスが座って封印を破ってしまったらしい
アリスは謎だらけのユダ殺人事件の詳細を唯一知る人物で、1年前から不登校を続ける花に接触を図る・・・


ユダとか殺人とか謎だらけのキーワードが物語を力強く引っ張り、コージーミステリとしてとてもよく出来ています
さらに中盤からユダの謎が徐々に解け、やがて思春期特有の淡い感情が生んだ小さな事件であることが明かされる・・・


プレスコによって伸び伸びとした演技が出来たキャスト陣が個性溢れる濃ゅいキャラクター達をより生き生きとさせており、小気味良いマシンガントークのさながら撃ち合いがテンポよくお話を進める
よく「非声優をアニメに出すな下手だから」とかいう人がいますが、それはアテレコの話であってプレスコの今作はむしろ本領発揮なワケです
そういった意味でも安心して楽しめると思います


とにかくずっと笑っていられる、そんな生暖かい目で観れる青春ミステリー傑作と呼べるでしょう
『氷菓』とか好きな人は絶対観るべきです、素晴らしかった


何気に作画協力に磯光雄が携わっていて“磯さんの生存が確認出来た(笑)”ことも個人的には面白かった


今作で用いられた技法は決して安易に作品を量産出来るものではありません
しかしながらこの技法の確立によってアニメでも実写でもない【第3の映画】が生まれたんじゃないか、とオイラ思ってます
岩井俊二ってだけでアニヲタドン退き、アニメってだけで大衆ドン退き、ってことで今作はイマイチ注目度が低いようです
けみかけは『花とアリス殺人事件』を全力で応援していきます

投稿 : 2024/04/27
♥ : 39
ネタバレ

さんの感想・評価

★★★★★ 4.6

キャラが良い

あらすじ
{netabare}有栖川徹子が転校した先の学校では「ユダが4人のユダに殺された」という逸話が残されていた。

そして、そのクラスでは彼女を取り巻く雰囲気がどうも冷たい。

納得がいかない徹子は、訳を聞いて回る。すると、
「ユダって去年の3年2組にいた生徒。ユダには4人の妻が居たの。そのことをそれぞれの妻に秘密にしていたの。ある日その秘密が4人の妻の知ることとなったの。彼は毒を盛られたの、アナフィラキシーという名の毒。誰がもったかは分からない。」
という話を聞いた。{/netabare}


まるでアナザーみたい

と思っていたら後半で謎が解けて大爆笑。
前振りの仰々しさからは想像できないほど中学生の範疇を遺脱していないちっぽけないたずらだった。


特に印象深かったのはやはりキャラの濃いい登場人物たち。

主人公
有栖川徹子{netabare}(旧姓:黒柳)
かなり気性が荒く深く考えず突っ走る傾向がある。
印象的なセリフはからかってきた男子を顔面パンチした後に発したセリフ「転校生なめんじゃねぇぞこら、場数が違うんだよ、わかってんのかおら!良い気になってんじゃねぇぞ、コノヤロー」
大人しくしていれば可愛いのにな・・・

もう一人の主人公
荒井花
引きこもりの少女。年は徹子よりも一つ上。ユダの幼馴染である。
惡の華の中村さんに近いものを感じたけど、違った。
思ったよりしっかりしていて、自分のしたことに負い目を感じている律儀な様子や、好きな人に毎年誕生日プレゼントとバレンタインのチョコレートをあげるひた向きさと恋心による嫉妬心が描かれていて可愛いなと思った。

徹子の母(cv相田翔子)
若作りをしている。というか実際に若い。
イケメンを食い物にしていそうな女性。女の友達はいないらしい。
仕事で小説を書いている。
声の人のイメージそのままと言う感じだった。

徹子の父(cv平泉成)
平泉成さんが声をあてているのに漂うエロ親父臭、思わず笑ってしまった。
ところで、ユダ父の上司も平泉さん?
徹子の勘違いで病院までついてきてしまった徹子にご飯おごってくれたり、駅まで送ってくれたり、殺伐としたこの作品で唯一癒しを与えてくれた良いキャラクターだった。

陸奥睦美
教室の床に魔法陣を描いたり、怪しいおまじないを駆けたり、授業中に錯乱したり、イタイ子なのかなと思ったら思ったより現実を見据えていてまともな子だったので笑った。{/netabare}


作画に関して
背景は言の葉の庭で美術監督を務めた滝口比呂志氏。
特徴的な赤と青の光の入れ方に再現された街並みと光の反射が美しい。
なお、人物作画は惡の華で用いられたロトスコープと3DCGが切り替わりで使われている模様。

岩井俊二監督ってアニメも出来るんだなと思った。

投稿 : 2024/04/27
♥ : 16
ネタバレ

えりりん908 さんの感想・評価

★★★★★ 4.5

これは、岩井俊二さん好きな人向けかも?です

映画監督の岩井俊二さんが、
バリバリ活躍されていた頃からは落ち着いて、
名作(だと、私は思います)「花とアリス」の前日譚を作ろう!
って思い立ったときに作られた、アニメ作品です。

何故、蒼井優さんと鈴木杏さんをダブルヒロインに登用しながら、
アニメにしたか?{netabare}と言うと、
お二人が「花とアリス」の頃からはすっかり成長してしまって、
実写映画で中学生を演じるのはムリ!
でも他の、中学生役を演じられるってだけの女優さんでは
この作品、作りたくない!
ってことでアニメにしただけなんです。
(と、私は思っていますww)

岩井監督作品が大好きで全部観て来たのに、
この作品だけはずうっとあと回しにしちゃったのは、
制作された当時、私がアニメ好きでなかったことと、
タイトルの不穏さに、
「なんかこれ観たら、花とアリスの素敵な記憶まで嫌いになるかも・・・」って思ってしまったから。

でも。
アニメを観るようになって。
あらためて鑑賞したら、

ヒロイン二人の、等身大よりすこし斜め下な感じの声の演技。

不穏なタイトルを、鮮やかに裏切ってくれるストーリー展開。

ファンタジー卒業後の岩井監督ならではの、独特な味のある演出。


大作。というのとは大分違うけど、
とても素敵な映画です。

{/netabare}アニメ好きというより、
タイトルの怖さとか、岩井監督が撮ったアニメ作品だからとかで、
鑑賞するのを躊躇している岩井俊二映画の好きな方には、
ぜひ観ていただきたいって思う作品です!

もちろんアニメ好きの方にもお勧めしたいんですけど、
そのときには、実写版「花とアリス」を先に観てから。

その方が、きっと楽しめると思います(≧▽≦)

投稿 : 2024/04/27
♥ : 17

62.4 10 妄想アニメランキング10位
陽なたのアオシグレ(アニメ映画)

2013年11月9日
★★★★☆ 3.7 (75)
264人が棚に入れました
内気な小学4年生(ヒナタ)は、クラスで人気者の女の子(シグレ)のことが大好きな男の子。でもシグレと話をすることも出来ないヒナタは、彼女のことを思い描きながら妄想する日々を送っていた。そんなある日、突然シグレが転校してしまうことに…。悲しみに暮れるヒナタ、クラスメイトに見送られ去っていくシグレ。「僕はシグレちゃんに想いを伝えるんだ!」決心したヒナタは走り出す。

声優・キャラクター
伊波杏樹、早見沙織
ネタバレ

さんの感想・評価

★★★★★ 4.8

西壁に刺さります

監督は石田祐康氏
学生の時に制作したフミコの告白で文化庁メディア芸術祭アニメーション部門優秀賞を獲得した若手のアニメーターにして演出家。

この人の作品の良さはとにかく場面展開が気持ち良いところ。
設定の面白さや物語の深さに重きを置いている方は合わない可能性もある。
しかし、この気持ちの良さは、出そうと思っても簡単に出せるものでは無いし、観る人にちゃんと気持ち良いと感じさせるのは更に難しいはず。
それが出来てしまうのは、監督自身の鋭く磨かれた感性、そして研究の成果もあるだろうけれど、丁寧な作品作りがあってこそなんだろうなー
これは短い作品だから出来た事かもしれないけれど、妥協することなく手間暇をかけて制作したからこその結果なのだと思った。

フミコの告白から引き継がれたドジな主人公に、精一杯の走り描写。
最初は随分ませた小学生だなあなんて思っていたけれど、ひなたくんの一生懸命過ぎる想いに、次第に目が離せ無くなって、最後はボロ泣き。

涙脆くなったよなあ…前はそんなでも無かったのになあ…と思いつつ円盤をポチった。
そして限定版を持ってるのにも関わらず、ゲオでレンタル版を借りるという奇行に走る。

声優の演技力も凄いし、作画の演技力も高いし、スピッツの曲「不思議」もピッタリで感動する。
セリフの半分くらいを「ひなたくん」「しぐれちゃん!」で占めていても良いと思う。ジョンレノンとオノヨーコだって二人の名前を呼びあうだけのCDを出してるし、語彙が無くても想いは伝わるもの。


たった18分の物語。是非多くの方に見てもらいたい。


そういえば、物語の内容について{netabare}しぐれちゃんが行ってしまう時の演出で、なぜ電車が飛んでいるのだろう?鳥を魅せたいための演出かな?と勘ぐっていたら、もう一重重ねた設定になっていたのには驚かされた。{/netabare}
根幹は凄くシンプル。
しかし、さりげなく散りばめられたイベントが面白いかったり、盲点を突いていたりするから面白く感じるのかもしれない。

投稿 : 2024/04/27
♥ : 21

けみかけ さんの感想・評価

★★★★★ 4.2

【妄想】と【淡い想い】と【スピッツ】が東京の空を駆け巡る18分のトリップムービー

『フミコの告白』、『rain town』で世界を震撼させた新鋭、石田祐康の最新作


内気で妄想と絵を描くことが好きな小学4年生、ヒナタ
彼が想いを寄せる同級生の少女、シグレちゃん


小学校の鳥小屋を世話するシグレちゃんに、ヒナタは鳥達と戯れる彼女の姿を妄想し絵に残すことを密かな趣味としていたのだが、ある日突然シグレちゃんの転校が決まる


胸に抱いた想いを伝えられぬまま別れの日を迎えたヒナタ
葛藤の末に決意した彼はシグレちゃんの乗ったタクシーを追いかけて走り出す
やがて「妄想」は美しい一羽の「白鳥」の姿となってヒナタを乗せて飛び立つ
東京の空を、シグレちゃん目掛けて駆け巡っていく・・・









石田監督にとっては初の商業作品
ぶっちゃけるとお金の掛かった『フミコの告白』豪華版といってしまっていいと思います
裏を返せばあのフミコの高揚感、浮遊感、疾走感が再び帰ってきたわけです
声優に早見沙織、挿入歌にスピッツを使用するなど商業作品ならではの贅沢っぷりもあります
そしてフミコにも増しての圧倒的スピード感が最大の見どころ
新宿西口を目にも止まらぬ速度で飛んでいく映像の興奮、カタルシスは2013年どの映画にも負けてません


まあオチどころが「日野」なのはワケワカメでしたがw
2013年、最高の短編映画でした、拍手です

投稿 : 2024/04/27
♥ : 25

ヲリノコトリ さんの感想・評価

★★★★★ 4.5

ああ、そういえばアニメってこういうことだったなあ。

「ああ、そうえいばアニメってこういうことだったなあ。」
 このサイトでおすすめされて視聴。普段無駄に長めの感想を書く私ですが、この作品にはこの言葉で十分です。観ればわかります。

 と、思いましたが一応概要を。
 これはアニメ映画ですが、15分くらいのショートムービーです。ストーリーとしては小学生の男の子が女の子に恋をするんだけど、その子が転校することになっちゃった。というお話。あとは観ればわかります。観ればわかります。

 監督は石田祐康氏。これのひとつ前の作品「フミコの告白」とこれの次の作品「台風のノルダ」も見ました。そして言いたい!「ノルダ」はこの人の良さが死んでる!次はもっとこう、なんだ、あれだ。もっと赴くままのアニメを作ってほしい!ストーリーとか設定とかセリフとか気にしないで石田さん!この作画はそういうの抜きでも人を惹きつけます!

投稿 : 2024/04/27
♥ : 21

66.1 11 妄想アニメランキング11位
うる星やつら4 ラム・ザ・フォーエバー(アニメ映画)

1986年2月22日
★★★★☆ 3.7 (48)
255人が棚に入れました
キュートな異星人・ラムと、超女好き高校生・あたるが巻き込まれる、荒唐無稽でバカバカしい事件や超常現象を描くハイパーテンション・SFラブコメディ。原作は高橋留美子の同名漫画。監督は前作と同じくやまざきかずお。劇場用作品、第4弾。あたるたちは大財閥・面堂家に伝わる鬼姫伝説をモチーフにして自主製作映画を撮っていた。主役はラム。だが、撮影の都合で面堂家の守り神とも言われる老木・太郎桜を切り倒してから、ラムの身に次々と異変が起こり始める。まずラムの電撃のパワーが落ち、角がなくなり、飛行能力まで失ってしまったのだ。そればかりか、みんなの心の中からもラムの存在が消えつつあった。そのうえ、友引町自体にも奇妙な現象が発生。事件の真相を調べ始めたあたるたちは、太郎桜の根から鬼姫の遺骨を見つける…。

声優・キャラクター
平野文、古川登志夫、神谷明、島津冴子、鷲尾真知子、千葉繁

みり仔 さんの感想・評価

★★★★★ 4.3

わかりにくいかも

この作品、2のビューティフルドリーマーに影響された作品で、正直わかりにくい。
押井守監督のすごさがわかります。
見比べるといいですよ。

単体としても、まぁおもしろいですよ。
ラムちゃんの能力が弱っちゃうみたいなー
でも無理しすぎてます。
だから内容は低めです。
歌は玉置作曲ですきです。

うる星が好きな人だけ見ればいいと思います。
興味ない人がみても低評価で終わると思います。

投稿 : 2024/04/27
♥ : 3

65.4 12 妄想アニメランキング12位
BLOOD THE LAST VAMPIRE -ブラッドザ・ラスト・ヴァンパイア(アニメ映画)

2000年11月18日
★★★★☆ 3.6 (185)
846人が棚に入れました
『BLOOD THE LAST VAMPIRE』(ブラッド ザ ラスト ヴァンパイア)は2000年から展開された、Production I.G制作のメディアミックス作品群。少女と怪物が繰り広げる戦いを描いたホラーアクション作品。
【ストーリー】1966年ヴェトナム戦争のさなか、日本の横田米軍基地内のアメリカン・スクールに、ひとりの日本人少女・小夜が転校してきた。彼女の正体は、闇に生き暗躍するヴァンパイア・キラーであった…。
ネタバレ

四文字屋 さんの感想・評価

★★★★★ 4.4

BLOODシリーズの原点にして、最高にクールなこの劇場版は、押井カラーの暗さ残しつつ、神山健治脚本が、シンプルでスピーディで上出来なアクションホラーで、

本編自体が短いから、息つく暇もないぐらいの早さで、
ベトナム戦争当時の東京郊外の夜の闇の中、
異形のヴァンパイアと太刀もつ小夜の肉弾戦が、
リアルかつグロテスクに繰り広げられる。

日本刀を振り回す、決して美形でない女の子(?)が好きなら、
そして当然だけど、血が飛び散るのがOKなら、
これは一度は見ておかないと。

何しろ、私の場合、最初に大スクリーンでこれ見ちゃったせいで、
のちの、このシリーズの実写版もTVアニメ版も、
全然心に響かないぐらい、
強いインパクトをくれた傑作で、
最近では、意外と公開当時ほどには評価されていないのが残念。

特にTVアニメ版では、
{netabare}主人公にいろいろ伏線盛り過ぎたうえに、
TVスタイルに小奇麗なキャラデザになっちゃって、
さらには当然のように日本刀とか血とかに意味づけしたりで、
アニメ的お約束な中二設定しまくって、{/netabare}
まあ随分とシラけさせられた。

作品中では、日本刀を使う旨味が実によく描かれているのが秀逸で、
サーベルや銃の攻撃が点の殺傷力であるのに対して、
{netabare}日本刀の強みである、線または面の攻撃力、すなわち、
敵の急所を突けなくても、切り払うことで破断面積が多く稼げるならば、
結局失血死に至らしめられる、という、
戦国殺法=実際、日本刀での斬撃には、腿とか腕とかを狙って刃こぼれを抑えながら敵を出血で撃退する、というのがあって、
この殺法にのっとった、大量出血をさせることによって敵を殲滅する殺し方が、
ヴァンパイア相手には有効だというところがきれいに描かれていて、
これが活劇としてもみごとに作画に反映されて、{/netabare}
画面を引き締めてくれるので余計に気持ちいい。

ほとんど唯一のギャグシーンである、
{netabare}「Fake!!」って小夜が叫ぶシーンも、
対敵中でのんびりしてる間もないんで、
見てるこっちも一緒になって前のめりになる始末で、{/netabare}
まあとにかく、オチも含めて、スタイリッシュでクールなんである。

実写版やTVシリーズ見た方には、
ぜひこの世界観を味わって頂きたい作品。

投稿 : 2024/04/27
♥ : 18

イカちゃん☆休止中 さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

☆バイオレンスホラー

BLOODシリーズの最初の作品になる劇場版。全体に攻殻のような作画(フル・デジタル)でかなりバイオレンス色が濃いです。

この後のBLOOD + とは物語の繋がりがあるのかないのか?
関連なさそうです。同じ小夜という名前ですけどキャラクターの
雰囲気が違います。(こちらの小夜は恐いです)


海外向けを意識した作りになっている感じです。実写映画もあるそうです。


監督/北久保弘之


制作:Production I .G


2000年11月18日公開

投稿 : 2024/04/27
♥ : 5

セメント さんの感想・評価

★★★★★ 4.1

小夜

BLOODシリーズの原点にして、ProductionIGの初オリジナル作品です。
第4回文化庁アニメ芸術祭アニメーション部門大賞の他、色々な賞を受賞してます。


<物語>
アニメ映画史上最高水準にあると言っても過言ではないでしょう。
開始2分も見れば、この作品が秘めたポテンシャルを嫌でも痛感すると思います。
"怪物と戦う少女"というベタなジャンルでありながら、圧倒的なまでの展開力と重厚な作画で、至高の作品に昇華させています。
舞台がベトナム戦争中の横田基地周辺のアメリカンスクールということもあって、最初はほぼ英語で展開していくのも質感を増している要因でしょうか。
作品全体を包み込む雰囲気が何しろ尖っていて、始終圧巻されました。

<作画>
まず、この作品はIG内で発足した"押井塾"と呼ばれるチームで企画が誕生しました。
この"押井塾"は、押井守さんが新人クリエーターを集め、週一でテーマを決めて企画立案させて、それを押井さんが評価するという、内輪の倶楽部のようなものでした。
"押井塾"には神山健治さん、藤咲淳一さん、荒川真嗣さん、岡村天斎さんなどが在籍して、それはそれはタフネスな現場だった様子です。
元々内輪向けの作品で終わらせるはずが、IGが自社版権の作品を欲していたという事情もあり、長編映画として発表された経緯があります。
作画は当時にしても群を抜いていて、井上俊之さん、西尾鉄也さん、小池建さん、磯光雄さん、松本憲生さん、中村豊さん、吉成鋼さん、沖浦啓之さんなど豪華な顔ぶれで、一人一人の担当パートが多いことも特徴です。
作画への評価は正直天元突破しています、間違いなく本作一番の魅力でしょう。

<声優>
小夜を演じられたのは女優の方ですね、悪くなかったと思います。
英語で会話するシーンが多いという事で、外人声優を起用してたのが斬新でした。

<音楽>
主題歌のようなものはありません。BGMは申し分ないです。

<キャラ>
BLOODシリーズでは、キャラの名前は同じでも、それぞれの世界観は断片的で繋がりはありません。
本作の小夜は、達観したかのような超サバサバ系で、冷たく人間的な感じがしないですね。
そこが良いんだよと思われる方も多いかも。


テレビ版に比べてかなりマイナーな気がします、が化物のような迫力のアニメ映画です!
見られる機会があったら是非。

投稿 : 2024/04/27
♥ : 4
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