戦いでオリジナルアニメーションなアニメOVAランキング 3

あにこれの全ユーザーがアニメOVAの戦いでオリジナルアニメーションな成分を投票してランキングにしました!
ランキングはあにこれのすごいAIが自動で毎日更新!はたして2024年05月13日の時点で一番の戦いでオリジナルアニメーションなアニメOVAは何なのでしょうか?
早速見ていきましょう!

73.4 1 戦いでオリジナルアニメーションなアニメランキング1位
FLCL フリクリ(OVA)

2000年4月26日
★★★★☆ 3.9 (580)
2468人が棚に入れました
後に「トップをねらえ!2」で監督を務める鶴巻和哉の初監督作品である。脚本は「少女革命ウテナ」「桜蘭高校ホスト部」の榎戸洋司、キャラクターデザインは「ふしぎの海のナディア」「新世紀エヴァンゲリオン」の貞本義行が担当した。

ベースギターを背負いベスパのバイクに乗ってやってきた謎の女・ハル子と彼女によって頭から変なモノが出てくるようになった小学生・ナオ太、彼と付かず離れずの関係で学校では孤立しているカメラ好きの女子高生・マミ美が主人公の不思議でサブカルな空気の実験的演出が多用された作品。

全編に渡ってthe pillowsの楽曲が使用され、物語の空気感を作る重要な要素となっている。
ネタバレ

フィリップ さんの感想・評価

★★★★★ 4.8

当たり前のことしか起こらない世界

喪失感とともに、バットを抱えたまま前に進めない少年。
恋人への想いにすがり、いじめを受ける少女。
川べりの街に建つ医療機器メーカーの工場。
同じ時刻に吐き出される煙は何かの狼煙のように見えた。
気怠い日常がただ過ぎていくはずだった。
ベスパに跨りベースギターを背負った
ハルハラ ハル子が来るまでは。

アニメーション製作Production I.G・GAINAX、
監督・原案:鶴巻和哉、脚本:榎戸洋司
キャラクターデザイン:貞本義行
音楽:光宗信吉、the pillows

エヴァンゲリオンを制作した後のガイナックスが
2000年にOVAとして手がけたSF青春アニメ。
クリエイターやコアなファンの間ではいまだに語り継がれる作品。
私はあにこれでキャッチしている人のレビューで初めて知った。
発表から20年近くも経って映画『フリクリ オルタナ』や
『フリクリ プログレ』が公開されたことからも、
OVAとして世に出たこの作品が、いかに幅広い人々から
支持されてきたのかが分かる。
ピロウズが海外で認知され、ライヴを行えたのも
この作品で音楽を担当したことが大きく影響した。

静かな展開は1話の序盤だけで、
ほかは全てがぶっ飛んでいる。
ギターリフが印象的なピロウズのロックがいつも流れ、
パロディやスラップスティックが展開されるなど、
クリエイターの遊び心が散りばめられている。
{netabare} バイクには轢かれるし、ギターではぶっ叩かれるし、
頭からロボットは出てくるし、人工衛星が降ってくる。 {/netabare}
エヴァンゲリオン特需のようなものがあったのか、
好きなことを好きなように作っている。

この作品を観ていると『うる星やつら』TVシリーズの
押井守時代後期の作風を思い出した。
優秀なクリエイターがどんどん集まり、
斬新なカットが次々と展開され、
『灰とダイヤモンド』や『2001年宇宙の旅』の
パロディが挿入される。子供に分かるわけがない。
また、タランティーノ監督の『キルビルVol.1』を
初めて映画館で観た時のことも頭に浮かんだ。

監督の趣味ともいえる分野を存分に押し出し、
危ういともいえる均衡を何とか保っている。
良し悪しは別にして、観ていてとても楽しい。

かと言って、過度なイメージとコメディが展開され、
そこにロックが流れるだけの
PVになっているかというとそんなことはない。
行き場のない心を抱えた少年少女を中心に据えた
青春ストーリーとして、しっかり成立させている。

平穏に見えた川べりの田舎町に起こる地球規模の災厄。
皆が色々な気持ちを抱えて生きている。
コメディの間に挟まれる詩的なイメージ。
この作品全体に流れている想いは
「振り切る」ことなのだろう。

私たちの世界では色々なことが起こるけれど、
日常は普通の顔をして、当たり前のように過ぎ去っていく。
鬱屈した心を抱えているだけでは何も変わらない。
バットを振らなきゃ話にならないのだ。
(2018年9月17日初投稿)

投稿 : 2024/05/11
♥ : 64
ネタバレ

shino さんの感想・評価

★★★★☆ 3.8

Jumpin' Jack Flash

鶴巻和哉監督作品、脚本榎戸洋司。
キャラクターデザイン貞本義行。
何と言っても吉成曜の参加が嬉しい。
アニメ界を牽引するIG×GAINAXの傑作。

退屈な日々を送る小学6年生のナオ太は、
謎の女が乗る愛車ベスパに轢かれてしまう。
{netabare}その日から、ナオ太のあり得ない日々が始まる。
頭から角が生えロボットが出現したのだ。{/netabare}
ベスパ女ハル子は世界を賑やかに改変し、
モヤついている少年の日常は彩られ始めた。

アートワーク、演出、オリジナリティ、
the pillowsのオルタナティブロック。
お洒落でポップな世界観が感性に響き、
超一流のクリエイターが、
遊び出すとこんなにも楽しい。
テキトーなセカイのテキトーなシナリオ、
アニメーションとはデタラメな夢なのだろう。

スゴイことなんてない、
当たり前のことしか起こらない。
少年は少年のままで成長を続けるのだ。

日常が少しづつ輝き始める、
楽しくて甘酸っぱい青春ワンダーランド。
きっと人生を色彩豊かにしてくれるはずだ。

投稿 : 2024/05/11
♥ : 43

takumi@ さんの感想・評価

★★★★★ 4.2

すごいこともいつのまにか慣れて当たり前になっていく

GAINAXとProduction I.Gにより製作された全6話のオリジナル作品。
全編に光宗信吉とthe Pillowsの曲が満載。
PVのようだと言われるのはそのせいもあるかもしれない。

1話から個性の強いキャストが、いきなりありえない行動をするし
悪夢のような展開に唖然としてしまい笑えなかったのだけれど
2話からはその強烈な世界と凝りまくった演出に惹き込まれ、
やがてストーリーもテーマも意外にしっかりしていることに気づかされた。
ジャンルとしてはセカイ系になるのかな。

主な登場人物は・・
小学6年生のナオ太(たっくんとも呼ばれる)
ナオ太の兄のガールフレンドで高校生のマミミ
ヴェスパに乗りギターを背負った自称宇宙人の女ハルコ
そのほか、ナオ太の父や祖父、学校の友達、特殊入国管理官などが登場。
それぞれのキャラがとても濃くて面白い。

テーマとしては・・
「思春期のはじまり」「成長」「挑戦」ってあたりがキーワードだろうか。
小学6年生というまだまだ子どもな時期に感じる年上の女の子への想いや照れは
ナオ太が嫌いだという酸っぱいものとしてレモンスカッシュに
揶揄されている気がするし、大人の男女への嫌悪感と妄想に対しては
ナオ太がもう1つの嫌いなものとして挙げる辛いもの、激辛スナックや
激辛カレーパン、明太子に揶揄されているのだと思う。

酸っぱさはなんとなくせつなく、ほのかな感覚。
辛いものはどこか生々しさとイラ立ちを感じずにはいられない。

ギターが武器になったり、バットがギターになったり
心情と現実が交錯したり、さまざまなアニメ作品への
オマージュともとれるセリフがあったりしてクスッと笑える。
ちなみに眉毛が独特の特殊入国管理官、モッズコートを着て
スクーターに乗っているサングラス姿につい
古い映画『さらば青春の光』を思い出してしまった(笑)

また、挿入曲含めてすべての音楽が好みだったが
特にEDの「Ride on shooting star」が良かった。

作品としては好き嫌いがものすごく分かれると思うし、
わけがわからない、という感想を持つ人も多いかもしれないけれど
世界観に入り込めたらかなり楽しめると思う。
なんでもないようないろんな人のセリフがけっこう深くて、僕は好きだった。
でも小難しいことを考えるのは観終えてからじっくりすればいい。
まずはそう・・小学生の頃のような気持ちで観ることをオススメする。

投稿 : 2024/05/11
♥ : 36

70.4 2 戦いでオリジナルアニメーションなアニメランキング2位
A.I.C.O. -Incarnation-(Webアニメ)

2018年4月1日
★★★★☆ 3.6 (236)
1022人が棚に入れました
2035年、近未来の日本。「人工生体」の研究中に起きた大事故“バースト”により、暴走した人工生命体“マター”が黒部峡谷一帯を侵蝕。 人類にとって希望の地と謳われた研究都市は、政府により立ち入りが禁じられた。 それから、2年後―。バーストで家族を失った15歳の橘アイコは、転校生の神崎雄哉から信じがたい事実を告げられる。それはアイコも知らなかった、自身の身体に隠された“秘密”だった。それを解く鍵は、バーストの中心地“プライマリーポイント”にあるという。アイコは、案内人の神崎雄哉と護衛部隊のダイバーたちと共に、封鎖されたエリアへの侵入を決意するが。人類の未来を背負う少年、少女が出会った時、明らかになる真実とは?

声優・キャラクター
白石晴香、小林裕介、古川慎、村田太志、名塚佳織、M・A・O、竹内良太、茅野愛衣、大川透、子安武人、田中敦子
ネタバレ

ぺー さんの感想・評価

★★★★☆ 3.9

黒部に大量

オリジナルアニメ NETFLIXのお下がり


ネトフリオリジナルを地上波で!ってパターン増えてますね。コロナ関係あるのかしら。全12話。
舞台は近未来2035年の日本。とある生体研究の成果物が暴走した後、あたり一帯封鎖されて早数年。
事態の解決に向けてその研究所を目指すことになるわけですが、人工生命体『マター』があたり一帯を侵食しており人間の侵入を阻みます。なかなかのサバイバルですね。そして明らかになってくる謎。

サスペンス・ミステリ色が強めのシリアス仕立て。キャラ原案:鳴子ハナハル氏ということで見た目は推して知るべし。面白かったです。ただ先に文句だけは言っとく。

■シリアスを削ぐもの①
{netabare}危険いっぱいの侵入作戦でボディスーツとか着てるわけですよ。で途中のチェックポイントで一休みする度に{netabare}なぜか“セーラー服”。{/netabare}
そんなに鳴子氏に気を遣わなくてもいいのに。いや視聴者サービスせんでもいいのに。バランスとるために♂に詰襟の学生服着させて笑いを獲りにいかなくても良かったのに、と残念でした。{/netabare}

■シリアスを削ぐもの② ※作品中盤のネタバレ
{netabare}詰襟が逆効果だったと思うのが、この主人公くんのクールで冷静沈着風設定でしょう。後にわかる諸事情のため、高校生らしからぬ佇まいを醸し出す神崎雄哉(CV小林裕介)クンその人です。そしてこの彼。顔色一つ変えず行動がへんちくりんだったりシリアスものにあるまじきブレブレさ。

どう考えても危険な作戦を課されるパーティメンバーにそれくらい言っとけよなリスクを伝えずに窮地に陥るある種の自傷行為。道中ばれてそこを質されると「バーストを収束させる為だ!(キリッ)」。いちおう前後関係あることなんですけど…回答になってません。しかしまわりはなんとなく納得してる。{/netabare}

これ、シリアスもので一番見たくない「キメたつもりがなんかギャグみたいになってますよ」パティーンです。興を削ぎますなぁ。

{netabare}そういったちぐはぐなのがいい感じで詰め合わせになってたのが第8話。
先述のリスク周知しとけよシーンもこの回。仲間が死んで悲しさのあまり嗚咽してと声優さんも演技素晴らしかったりするのですがいかんせん抗戦中。伏して泣くとか思いっきり仲間の足を引っ張ってます。これ戦い終わってからやれよと誰も突っ込まない優しい世界。{/netabare}

真面目な作風で心の機微に疎い作品は大きくマイナスです。おそらく嫌気さす方もいると思いますよ。


それでは一転して残りは褒めます。
目的の研究所のあるエリアは黒部峡谷内。場所的に黒部第四ダムに近接してるところ。ダムにピンとこない方も聞いたことあろうフレーズ“立山黒部アルペンルート”。そう風光明美な場所が舞台でロケハンがしっかりしてました。景色が綺麗。本社がご近所だし富山のP.A.Worksさんだったら面白いなと思いましたが制作はBONESです。
この景色をうまく活かしたのがEDですね。毎話飛ばさずクールダウンに利用してました。OPはTRUEさん。作品世界をうまく表したアニメーション。珍しくOPED飛ばさず堪能しておりました。

自然の美しさと対極にあるのは人工物の美しさ。黒部に点在する複数のダムは壮観です。その最奥に鎮座する第四ダムは壮観通り越して人間ってスゲーなと感動しますよ。難工事+ダムで検索すると真っ先に挙がってくるであろう黒部第四ダム(通称“くろよん”)。完成までに171人の殉職者を出した難工事でプロジェクトXにも取り上げられました。資材運搬のためのトンネル掘削も軟弱地盤やら破水帯やら困難がこれでもかと。なんでそこまでしてやるのか?

 関西の電力事情が逼迫

してたから。停電上等な大阪圏で安定した電力供給は至上命題。時代も時代ですから、戦争で死んでった者達のためにも/あいつらの想いに較べたら、と使命感に燃えてたわけです。石原裕次郎と三船敏郎とが組んだ映画『黒部の太陽』は大ヒットしました。


奇しくも“だいよん”にとある目的をもって向かう本作の主人公らパーティの苦難と“だいよん”に資材を運ぶためのトンネルを掘る漢達の物語が重なります。
『七人の侍』と『荒野の七人』の関係みたいなもんかしら。


なお、あれだけ足を引っ張る要素から視聴モチベーションを保てたのはどこかしら黒部にまつわる現実の物語と被るものがあったことが理由。それに加えてヒロイン橘アイコ(CV白石晴香)の熱演も。『ゴールデンカムイ』アシリパ役でも感じましたが抑えめトーンの時の白石さんはヤバいですね。
そんなこんなで最終12話まで完走。明かされる謎は納得感や驚きのあるもの。終わらせ方も良かったと思います。期待してなかったわりには前のめりで視聴できました。掘り出し物・良作です。



※ネタバレ所感

■南原顕子(CV田中敦子)

人工生体汚染災害対策庁(CAAC)対策局の局長。ブルゾンちえみをしゅっとしたような感じの役人です。

{netabare}すごい複雑な気分にさせられるお役人さん。
エリア内の人口生体“マター”をどう捉えるか南原と中央とで開きがありました。キーポジションのキャラなこともあり作品としては彼女サイドに寄ってます。どういう二項対立か?

【対マターへの態度】 

 偉い人:安全保障上の脅威
 南原:富を生み出す金の卵

チェックポイントは複数あるダム。第四ダムを起点に“マター”は増殖しながら下流にまで浸食してきて、最後の壁(ダム)を突破されて日本海へと流出してしまえば世界規模でのハザードへと発展してしまう局面です。とっとと駆逐する。“結晶化”壊死させる技術もあるにはあるが、殲滅できるか確証がない。むしろ逆に“活性化”させてさらなるハザード範囲の拡大にならんとも限らない。
要は決め手にかける状態。となると事態は膠着するものです。一方で“マター”は最先端技術の徒花のようなもんで研究開発用のサンプルを大量に保有しているとも考えられる。科学技術発展のアドバンテージを日本が有していると固く信じているのが南原の立場です。

 安全保障 VS 経済

迷うことなく前者なはずですが、南原は思いっきり後者に軸足を置いた行動をとります。またそれがかっこよく見えるんだな、これが(笑)
この二項対立の結末はエンタメらしく両者取りでしたが、安全保障を重視するお偉いさんの影がとーっても薄かったのが気になりました。{/netabare}

{netabare}安全保障軽視の風潮。根拠なく自分は大丈夫!ってクセがついてないか怖くなりますね。
決断遅くて逃げ遅れたりしませんように…{/netabare}



視聴時期:2020年7月~9月 リアタイ

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2020.09.29 初稿
2021.06.19 修正

投稿 : 2024/05/11
♥ : 41
ネタバレ

101匹足利尊氏 さんの感想・評価

★★★★☆ 3.7

バイオハザード黒部

近未来、黒部峡谷一帯は人工生命研究所の暴走事故「バースト」により、
異常増殖した人工生命体「マター」の赤い河と化していた……。

立ち入り禁止エリアに踏み込んだ訳ありな連中が
事故の爆心地「プライマリーポイント」を目指すNetflix配信アニメ。


ルート自体は1クール相当の尺に収めるためもあってか?
赤い峡谷を遡上するステージクリア型の一本道といった感じのシンプルな構成。

クライマックスに近付くに連れ、徐々に絡み合った真相が明らかになり、
各種機関等を巻き込みつつ事態が深化していく、盛り上げ方は典型的ですが良好。

特殊な人工生体スーツに身を包んだ戦闘要員が、
ローラースケート靴による高速移動や、ホバー移動。
さらには武装多脚移動車などを駆使して危険区域を攻略。

その他、学習&解析機能も備えた対「マター」用の各種特殊ガンなどをぶっ放しつつ、
飛び散る肉片と共に障害を排除して、次のステージを目指して突き進んでいく。

起こった災厄はディストピア転落の予感すら漂わせる大惨事ですが、
兵器&装備設定については、私のような一部の中二病罹患者などにとっては
誠にユートピアな夢のある設定。

視聴中幾度となくゲームパッドを握って操作したくなる衝動と共に、
モチベーションが継続します。


物語には多少ご都合主義的な展開も感じました。
その他、倫理感のブレによる感情移入の阻害も感じはしました。

例えば{netabare} 生命倫理の面で結構えげつないことしているキャラが、
俄に同行した仲間の死は悼んでみたりする。
心変わりするレベルのサバイバル経験を共有しているとは言え、
この精神は同一性を保てるのだろうか?と思うことがチョクチョクありました。{/netabare}

ただ、本作は今後、生命科学等を極めていくであろう人間社会が、
どんな価値観を選択していくのか?
問題提起をしている作品でもあると思うので、
ブレる倫理感で多角的に命や肉体の在処を問い掛けてみる。
思索の種と考えれば、登場人物たちの迷いも有意義な葛藤だったとも思います。


それにしても、最近また、本作のような、
生命や魂の在り方を問う物語に遭遇することが多くなっている気がします。
テーマ自体は前世紀からSF等で何度も提供されてきたものですが、
今、再提供されているのは、
再考の必要性を予感する時代の気運によるものなのかもしれません。

もう一点、氾濫する「マター」の濁流や、危機管理対応。
経済と安全を天秤に掛けて議論する様子などを見ていて、
本作もまた東日本大震災後の日本人ならではの作品だとも感じました。

本作は同時代性も強い近未来SFアクションアニメだと思います。

投稿 : 2024/05/11
♥ : 23
ネタバレ

〇ojima さんの感想・評価

★★★★★ 4.4

「A.i.c.o」 それとも 「a.I.C.O」

このような謎が多い作品は結構好きな部類です。
本作品は肝心なことは言わず一定の間合いをたもって物語に引っ張ってくれる良い作品です。
一歩間違えれば置いてけぼり作品と言われますけれど。
さて、すぐ登場するヒロインのアイコですが
{netabare}偽者でしょうか本物でしょうか?
正解は体が本物で脳が偽物でした。
普通に観ていたら体が偽物なのだから脳が本物で、
偽物の脳が黒部の奥から悪さをしてるのを本物の脳が本物の体を取り戻すのかと思っていたら、{/netabare}あれま、{netabare}違いました。
体が偽物と思いがちですが本物です。{/netabare}
{netabare}どうやらナノデバイスなんたらのお蔭でとても強度が増して交通事故にあった体も治癒できたみたいです。
偽物の体が偽物の脳を探し彷徨ってバーストを起こしマターになってしまいました。とさ。
アイコ自身の秘密はざっくりこんな感じで途中までミスリードに乗せられて心地好い違和感を感じながらの視聴でした。{/netabare}
それ以外は是非とも観ながら楽しんでいただくとして。
私的マイナスポイントはキャラ達の緊迫感の無さです。
マターに捕まったら死んでしまうのに、至近距離で闘う行為は明らかにおかしいと冷めて観てました。が、
それを補う程の最後の展開が気になるストーリーとなんと言っても鳴子ハナハル先生のキャラクターのお蔭で脱落せずに満足させていただきました。

OPは A.I.C.O TRUE
EPは 未知の彼方 白石晴香
それぞれ曲、映像共に作品の雰囲気と謎を感じさせる逸品です。

投稿 : 2024/05/11
♥ : 20

66.3 3 戦いでオリジナルアニメーションなアニメランキング3位
約束の七夜祭り(Webアニメ)

2018年8月3日
★★★★☆ 3.5 (38)
160人が棚に入れました
 高校一年生、三波羅星真の元に音信不通だった親友、敦史から三年半振りに連絡が来た。

「珍しい祭りがあるのだけど来ない?久し振りに会って話がしたいんだ」

 星真が居ても立ってもいられず向かったのは、山奥の廃村で行われる「棚機七夜祭り」だった。
 しかし、そこに敦史の姿は見当たらない。代わりに出会ったのは自分と同じく「会いたい人がいる」と言う瀬ノ沢志織だった。

「お祭りが終わるまでには、敦史様に御会い出来ると思われます」

 祭りの進行役、カンナに言われ、星真は祭りの準備を進めるのだが・・・

監督:村田和也

星真:斉藤壮馬

志織:山本希望

制作:XFLAG

アニメ制作:横浜アニメーションラボ


声優・キャラクター
斉藤壮馬、山本希望、嶺内ともみ、山下大輝、千本木彩花、福原綾香

Kuzuryujin さんの感想・評価

★★★★★ 4.2

七夕ならではの優しい一夜の夢

代表作「翠星のガルガンティア」同様、
原案と監督を担当した村田和也氏による62分のweb配信アニメ。

YouTubeのXFLAG ANIME公式チャンネルにて2018.8.4鑑賞。
(当初、題材に因み2018.7.7の七夕が配信開始予定だったが、
制作が間に合わず2018.8.3から配信可能となった)

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◎ スタッフ
原案・監督:村田和也
脚本・製作:XFLAG スタジオ
キャラクター原案:海島千本
キャラクターデザイン:まじろ
モンスターデザイン:飯島弘也
音楽:岩代太郎
アニメーション制作:横浜アニメーションラボ

◎ キャスト
三波羅星真:斉藤壮馬
瀬ノ沢志織:山本希望
カンナ:嶺内ともみ
藤井敦史:山下大輝
瀬ノ沢香織:千本木彩花
湖月姫:福原綾香

その他:豊崎愛生、大原さやか他

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「会いたい人に会える、奇跡のお祭り―。」

これはなかなかのオススメ。
無料配信なのでアニメ好きはチェックしないと勿体ない。

SFと和風ファンタジーの絶妙な融合で
開始早々話に引き込まれた。
(おそらくゲーム販促らしい)バトルものでもあり、
中弛みすることなく1時間で見事に完結。

村田和也氏の紡ぐ物語は、どこか儚なくも切ない。
しかし優しさと希望が感じられる。
そこに神道的な死生観が籠っていると感じた。

日本の伝統行事の灯篭流しにロマンを感じられるような方なら
魂レベルで深く共鳴できそう。

キャストも適材適所。
サントラもいい仕事してる。

投稿 : 2024/05/11
♥ : 12

Ka-ZZ(★) さんの感想・評価

★★★★☆ 3.9

みんな、会いたい人がいる…。

モンストのYOUTUBE公式HPで無料配信されている作品です。
モンストの公式HPに掲載されていたので、てっきりモンストと繋がりがあるとばかり思っていましたが、物語自体の設定は別々でした。
従って、本作品も単品で視聴して問題の無い作品です。
でも、ゲームをプレイされている方にとっては、連動コラボとして期間限定のイベントやキャラとして登場するようなので、チェックしても良いのかもしれません。

この物語の主人公は、高校1年生の三波羅星真。
物語は、小学校時代の親友から3年半ぶりに届いた連絡がきっかけでした。
「珍しいお祭りがあるんだけど来ない? 久しぶりに会って話がしたいんだ」

親友からこんな連絡を貰ったら動かない道理はありません。
早速指定された場所に向かうとそこは山奥にある廃村…
しかも連絡をくれた親友の敦史の姿は見当たりません。
代わりにその場所にいたのは志織という女の子でした。

ですがお祭り自体は本当に行われるようでした。
星真と志織はお祭りの進行役であるカンナという少女からお祭りの準備を依頼されたからです。
そしてカンナはこんなことも言っていました。
「お祭りが終わるまでには敦史様にお会いできると思われます」
こうして「会いたい人に会える、奇跡のお祭りの物語が動いていきます。

このお祭りに参加しているのは星真と志織の二人だけではありません。
たくさんの人がそれぞれの想いを胸に抱きながら、お祭りの準備を進めています。
お祭りが開催される廃村は、戦国時代には山城があったのですが不運にも落城したとか…
その後、農村として生きてきましたが人口の減少により無人化に至った、という場所です。

ここで行われるお祭りは、「ほしのめぐり棚機七夜祭り」という平安時代からこの地に伝わる伝統的なお祭りなんだそうです。
ですが由緒あるお祭りも廃村と同時に途絶えてしまいました。
そんな伝承を後世に伝えるべくお祭りの参加者によって支えられている土地とお祭りなんです。

その中で、星真と志織は今回のお祭りの彦星と織姫役に抜擢されます。
たくさんの参加者の中で何故二人が選ばれたのか…物語を進める中で明らかになっていきます。

廃村になった場所に赴き、たくさんの人がお祭りの開催の手伝いをする…
それはこのお祭りに参加した人しか得られない奇跡があるから…
その奇跡が喉から手が出るほど欲しくて、このお祭りに参加していると言っても過言ではありません。

お祭りはすんなりとは開催させて貰えません。
たくさんの歴史と人の思いが積み重なる場所ですから…
それでも何としてもこのお祭りだけは…という気持ちの後押しがあって開催に漕ぎ付ける事ができるのですが…

たくさんの提灯の灯りにほんのり照らされた奇跡に思わず目頭が熱くなってしまいました。
どれだけ言葉にできただろう…
どれだけ気持ちを伝えられただろう…
あぁ…だからみんなこのお祭りに集まったんだ…と納得のいく展開でした。

会いたい…七夕を絡めながら純粋にこの気持ちを追いかけた作品でしたが、その想いを視聴者の胸に刻み込むには十分だったのではないでしょうか。
約1時間の物語…気になる方は是非本編でご確認頂ければと思います。

モンストと物語上の接点があると思っていたので、モンスト3期の視聴を中断していましたが、これでようやく視聴が再開できそうです。

投稿 : 2024/05/11
♥ : 8

褐色の猪 さんの感想・評価

★★★★☆ 3.5

結構面白かった。

七夕を大幹に幾つかの小枝を設し一通り卒なく熟してます。

なんかSF風味と戦闘シーンは浮いてる様にも思えますが、ミクシィのスマホゲームと連動してる様なのでそーいうシーンが必要不可欠なのかな、
企画初頭にまずこの戦闘シーン在りきで前後に七夕ストーリーを付け加えたともいえるのかも(^-^;
終盤ラストはちょっと軽い感じがしました。

作画等は丁寧で60分強という中篇、web配信としては良い創りだったと思います。

投稿 : 2024/05/11
♥ : 8
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