踊り子で恋愛なおすすめアニメランキング 2

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66.5 1 踊り子で恋愛なアニメランキング1位
明日のナージャ(TVアニメ動画)

2003年冬アニメ
★★★★☆ 3.7 (146)
1143人が棚に入れました
1900年初頭のイギリス、ロンドン近郊のアップルフィールド孤児院で育った少女ナージャは、13歳の誕生日を迎えようとする頃に母親が生きていることを知らされ、母が初めての舞踏会で身に着けたドレスと、家紋の入ったブローチを譲り受ける。孤児院を飛び出したナージャは、踊り子として旅芸人のダンデライオン一座に加わる。旅の途中でナージャは彼女のブローチを付け狙う2人組の探偵ロッソとビアンコ、ナージャが「星の瞳のナイト」と名付けたハーコート侯爵家の令息フランシス、そして世間を騒がせている仮面の怪盗黒バラと遭遇する…。


声優・キャラクター
小清水亜美、一条和矢、山崎たくみ、折笠富美子、岸尾だいすけ、木内レイコ、大谷育江、京田尚子、斎賀みつき、小栗雄介、津田健次郎、甲斐田ゆき、鈴村健一、堀川りょう、山本耕史、矢薙直樹、橘U子、安原麗子、関智一、二又一成、乃村健次、小嶋一成

ようす さんの感想・評価

★★★★☆ 3.7

「これは、運命の扉の向こう側を旅した女の子のお話。」

「おジャ魔女シリーズ」や「プリキュアシリーズ」が有名な東堂いづみ原作の作品。

東堂いづみさんという人がいるのかと思っていたら、
東映アニメーションが用いる共同ペンネームだったんですね。

この作品を観ているときに調べてみて、
初めて知りました。

日曜の朝8時30分のアニメとしては視聴率過去最低を記録してしまったようですが、

内容はよくできている名作なんだよね。
子ども向けとしてはちょっと難しかった?

舞台が20世紀初頭のヨーロッパだし、
貴族やら平民やらのお話だし。

「おジャ魔女」と比べると、
ぱっと心をつかむ要素が足りなかったのかもしれません。
自分自身に投影できる部分も少ないですし。

全50話です。


● ストーリー
アップルフィールド孤児院で育ったナージャはもうすぐ13歳。

ナージャの持つブローチを狙う男たちのせいで孤児院が火事になり、
ナージャは孤児院を自ら離れることにする。

旅芸人一座・ダンデライオンの踊り子として旅をしながら、
死んだと思っていた母親を探す。


旅芸人の一員としてヨーロッパ周辺を旅しながら、
いろんな人と出会い、
母親へとつながるヒントを探す。

明るくて元気いっぱい、前向きなナージャだけど、
まだまだ子ども。

周りの人たちは突っ走るナージャに助けられることも多いけれど、
ナージャが前向きに考えるような簡単な話じゃないこともあったり、

そのあたりの大人(現実)との対比も、
大人目線だとよく理解できて面白い。

また、ナージャが旅するヨーロッパの国々は貴族と平民という身分の違いがはっきりしている社会であり、

ナージャが所属する旅芸人は、
芸をしてお金を稼がないと暮らしていけない。

さらに、ナージャが出会う人たちの中には、
お金がないことによって苦しむ人も多くいた。

その一方で貴族たちは夜な夜なパーティーをし、
贅沢な暮らし。

だけどお金があるだけで、
自由はないという悩みが貴族にはある。

そんな、平民と貴族の対比もうまく描かれていました。

ナージャが想いを寄せる“星の瞳のナイト”フランシスも、
貴族としての悩みや苦しみを表現するキャラでした。


50話という長い話でしたが、
その分たっぷり丁寧に描かれたことで、

ナージャとキャラたちの絆もしっかり感じられ、
ゴールにはじーんとくるものがありました。

毎週1話ずつだらだら見ていると、
途中で飽きたかもしれませんが^^;


● キャラクター
ナージャ、ダンデライオン一座、
そしてナージャが出会う人たち。

いい人が多いけれど、
そうじゃない人もいるのがポイント。

どのキャラでもエピソードを作れそうなほど、
一人ひとりのキャラがしっかりしていますね。

ナージャのようなまっすぐな女の子も好きですが
(周りのことを顧みなさすぎるところもありますが)

なんだかんだ、私は新聞記者のハービーが一番好きだったかもしれません。

ポンコツ新聞記者のような印象からスタートだったのが、
最後の方で彼の本当の信念が明らかになり、

「なんだこの胸アツな展開は!!」とワクワクしました^^

終始ナージャの力になろうとしてくれるところも、
優しい大人でしたね。


● 音楽
【 OP「明日のナージャ」/ 本田美奈子 】

これは名曲。

明るいだけじゃない、
人生にはつらいこともあるけど強く乗り越えていこうと、
そんな芯の強さを感じる要素がこの作品によく合っています。


【 ED「けせら・せら」/ 小清水亜美(作中ではナージャ役) 】

この曲も特徴的ですが、
歌詞が意味不明w

個人的にはそんなに好みではないけど、どうも嫌いにはなれないし、不思議な魅力のある曲です。笑


● まとめ
50話という長編ですが、いつか観たいと思っていた作品だったので、
完走することができて満足です♪

当時は人気が出なくて残念だった作品ですが、
時間帯や狙いとした層がよくなかったのかな。

でも良い作品なのは間違いないと思います。

自分の境遇に負けない、運命に立ち向かっていく女の子が好きなら、きっと好みに合うと思います^^

投稿 : 2024/05/11
♥ : 9

さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

紳士がいっぱい

ドラマ性を重要視し人気をはくしたおジャ魔女どれみ、そしてアクションを取り入れ新しい魔法少女の形を形成したプリキュアシリーズ、その間の1年に放送されくしくも緩衝剤となってしまった名作があることを私達は忘れてはいけない。


舞台は20世紀初頭のヨーロッパ
親を知らず、孤児院で生活していたヒロインのナージャの元へある日、母が使用していた日記帳と舞踏会のドレス、届母親が生きているかもしれないという趣旨の手紙が届けられる。
母の存在に胸躍らせられるナージャであったが、その晩、孤児院が火事に見舞われ、更には不審な二人の男に襲撃を受ける事案が発生。行き場を失ってしまう。
旅芸人の一座に拾われたナージャはヨーロッパ諸国を旅しながら母を探していく。


親友であったローズマリーが、ナージャに成り代わり貴族のご令嬢になりナージャに迫るさまはとても女児向けとは思えないディープな雰囲気。

対象年齢が高いことはナージャを取り巻く男性キャラの年齢が13~20代と高いことからもうかがえる。

個人的に好きなのは新聞記者のハービー
ツダケンの落ち着いた色ボイスと、キャラのくたびれた容姿が最高です。それでいてピンチの時に頼りになる、良い兄貴キャラです。
(推定年齢25)

考古学を学ぶ大学生、クリスチャン
ナージャに一目ぼれするが、なかなか告白することができない奥手な青年。
ドジなところや、ナージャを思う一途さが可愛いです。
(推定年齢19)

天才ピアニスト、ジョン
ピアニストとして活躍するために上京してきたが、スランプに陥り芸術家の集まるコミュニティにやってきたナージャにあたる。しかし、ナージャの演技をみたのち謝罪し、ナージャを一目置くように。ただのツンデレであった。
(推定年齢20)

その他にも貴族のお坊ちゃまや、アーティスト諸君、若い企業家などより取り見取り。
いい年したお兄さんたちが、14歳の女の子に言い寄る訳ですよ
ロリコン最高

もちろんナージャと同じくらいの少年もいますが、相手にされていないのが不憫ですね。


声優に関しては、若干評価低めです。
ナージャを担当されたのは今作で主演デビューした小清水亜美さん。
序盤は若干違和感を感じるのですが、後半ではナチュラルな演技になっていました。
また、吟遊詩人のラファエロを担当された山本耕史さんが…残念でしたね。
その他大勢の方たちは落ち着いていて、今見るとかなり豪華な顔ぶれになっていると思います。


作画は、あまり良いとは言えないです。
背景はストロークがかったような感じで良い雰囲気が出ているのですが、
キャラの絵柄が1世代前の少女漫画みたいな絵柄ですし、顔が崩れてイケメンを損ねているシーンもちらほら。
女の子は安定してるんですけどね。イケメンに恨みでもあるかのようです。


音楽
OP「ナージャ!!」
歌は本田美奈子さん。
抜群の歌唱力に澄み切った歌声、高らかに歌い上げるサビが美しいです。
OP映像の「いつかまた 出会える人たちに 手をふりながら 時には ブルーになる日もあるけど」
のところが好きです。
階段を上り下りしてジャンプ→イケメン集合絵→海の底へドボン→黒バラがナージャを拾い上げてフランシスと交互に入れ替わる場面展開を、上手につなげていることも凄いと思うし、歌声も時にはから暗くなっていることを画面でも上手く表現していて完成されたOPだと思います。

一方、EDの「けせら・せら」は意味のない語呂合わせの歌詞で、とても良く頭に残るし安心しますね。

また、作中で登場する曲も地域の特色の出る曲を使用しており、雰囲気作りに何役もかっている印象です。



リアルタイムで見て以来、何度も見返したいと思っていたのですが、DVD BOX発売を機に再視聴しました。
全50話とボリュームはありますが、今見ても面白く時間を忘れて観てしまう魅力があります。それは単にイケメンが多いからと言うだけでなく、物語のハラハラドキドキ感を味わっていえることです。
人にお勧めしやすい内容ではありませんが、日アサに存在した作品の一つとして、より多くの人に知っていただきたい名作だと私は思います。

投稿 : 2024/05/11
♥ : 8

ふじき さんの感想・評価

★★★★★ 4.5

背景と音楽がとても魅力的で、悪役に共感しちゃう少女向け(?)アニメ

テレ朝日曜8時半枠で、確かクレヨン王国とおジャ魔女の間に1年ひっそりとやってたと思います。
20世紀初頭、孤児院育ちの主人公ナージャが、母を探す旅に出るお話。前半は旅の先々で出会う人々との明るいお話、後半は、ナージャの前に立ち向かう「悪」サイドとの深刻な雰囲気で物語は進みます。

毎週姉とテレビにかぶりついて見てました。が、主人公ナージャ、ナージャの恋のお相手となる男性陣含め、「ナージャサイド」の人物が軒並嫌いでした。

ナージャは聡明でとても優しい女の子ですが、小学校低学年だった当時の私から見ても、孤児として世知辛い世の中を生きていくには脇が甘すぎて同じような過ちを何度も繰り返すので、正直私は「ナージャあほちゃう?」とずっと思ってました。

私は特にひねくれてない素直な子どもだったので、なんで当時の私そんなシビアだったのかなー?と不思議ですが、今考えるとそういう「シビアさ」をリアルに感じられる程、このアニメの背景描写が完成されていたためだと思います。
当時のヨーロッパ社会、風俗を非常に細やかに描写しており、貧富の差などもきちんと描いています。
そのリアルさによって、子供向け番組主人公(ナージャ)が備える「素直さ、正直さ、優しさ」が悪目立ちしたんだろうな、と思います。

もちろん今なら物語中の登場人物の「失敗」は、物語の「起」であり必要な要素、ということはわかるのですが、当時熱心な視聴者だった私にはそんなことは関係ありません。ナージャを熱心に応援すればするほど、「お母さんに会いたい!」と言いながら信頼できる仲間を持ちながらも、同じ原因(ナージャの優しさ)で何度も足元をすくわれる主人公が非常にふらふらして見えて、苛立ちが募りました。
一方、自らの目標のためには手段を選ばない冷酷なライバル(ローズマリー)はキャラクターが非常にはっきりしており、幼心に「なにかを成し遂げるにはこのぐらいの心持ちで物事に取り組まなくちゃいけないんだよ、ナージャ!」と思いながら観ていました。

「ノブレスオブリージュ」や「ジプシー」、ドビュッシーの音楽などを始めて知ったのも、この番組だったと思います。音楽や背景の緻密さと、「少女向け」番組故のキャラクター造形(特に主人公)とのアンマッチが非常にもったいない番組だと思います。主人公をこういう感じにするなら、社会描写ももっと甘くしなくちゃバランスがとれません。

ナージャの一張羅ドレスも、またダサい。玩具化しやすいデザイン、という制約があったんだろうなとは思いますが…。
もっと、いろんな要素がピタっとハマれば、名作として語り継がれる作品になったであろうに、とてももったいないと思う作品です。
私は全50話のうち、第26話「フランシスの向こう側」が大好きで、録画したビデオを中学生になっても見返していました。なので、シリーズとしては過去1度しか観ていない作品ではありますが、とても印象が強いです。

投稿 : 2024/05/11
♥ : 5

69.1 2 踊り子で恋愛なアニメランキング2位
魔法陣グルグル(TVアニメ動画)

1994年秋アニメ
★★★★☆ 3.7 (221)
1416人が棚に入れました
 壮大なストーリーにちりばめられたギャグ、可愛くてとぼけたキャラクターで人気を集めた衛藤ヒロユキのヒットコミック『魔法陣グルグル』のTVシリーズ第2弾。第1弾はコミックと同名で1994年に放映された。12歳の少女ククリは、伝説の闇魔法グルグルを操るミグミグ族の生き残り。ジミナ村の魔法オババの家で密かに育てられていた彼女は、魔王ギリを倒すために、憧れの勇者ニケと旅立った。以前はちょっと頼りないところのあったニケだったが、光魔法を覚えてからは精神的にも成長。そんな彼にククリの恋心はますます募っていくばかりで…。

声優・キャラクター
瀧本富士子、吉田小南美、緒方賢一、高乃麗、高木渉、萩原果林、西川幾雄、松井菜桜子、山本圭子、石川寛美、こおろぎさとみ、神代知衣、千葉耕市、天野由梨、安西正弘、鳥海勝美、横尾まり

お茶 さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

オタク教養的な?

いきなりなんですが、私は副業でせどりをしていたことがありました。簡単に言うとレアものを安く買って高く売るという商売です。そのレアものとかは、いわゆるセドラーの中でも自分の詳しいジャンルになってくるのですが、私の場合オタクもので、よく秋葉原の詳しい連中と談義する際、色々と勉強させてもらいました。

こんな事レビューに書くのもアレなんですがwオタク文化ってゲームなどを始め色々な文化や時代背景に影響し合っている事は存知だと思いますが、幾つものメディアを超えて育っていくものがオタク文化何て話をよくしていました。

VHSの時代とか撮れる時間が今よりもっと短いから、超工夫して録音したり、擦り切れる程見て暗記したセリフを張り合ったり、性能が悪いけどコマ送りの部分のトリビアなんかを張り合っていた、なんてことも。

そんなこんなで、オタクはオタクとして修業を重ねていて、制作側の方もそれに対抗するように、色々と切磋琢磨し合って今日の歪んだオタク世界が出来上がったと、談義しておりました。

そんな中で、本作魔法陣グルグルはパッと見子供向けなんだけども、そんな歪んだ世界を意識しているのかは知りませんがwオタク心をくすぐる作品です。エニックスが絡んでいることも合って、物語は勇者ニケと伝説のグルグル魔法使いククリとのRPG風ギャグファンタジーなんですが、ここにドラクエを始めとするパロがふんだんに取り入れられていて、分かりやすいパロから、上級者向けと、オタクを煽るように笑わせてくる。

それはゲームからある種一般教養的なモノまで多岐に渡って。このネタ分かるか?これはどうだ?ってな感じで、グルグルを始めとして、今ある不思議な日本のアニメは、単にアニメだけではなく広く知識を有しないと読みとけない、いわば知的な娯楽なのではないでしょうかw

投稿 : 2024/05/11
♥ : 42
ネタバレ

剣道部 さんの感想・評価

★★★☆☆ 3.0

どうにもならない今日は せめて 笑い話に変えられますように♪

[文量→中盛り・内容→雑談系]

【総括】
ジャンルはギャグ。大体、(昭和のw)小4が笑うレベル。

まあ、そんなことはどうでもいいんすよ。

奥井亜紀さんの「Wind Climbing 〜風にあそばれて〜」。

アニソン史に残る名曲と思ってます。まだ聴いたことない人はぜひ、聴いてみてほしいっす♪

《以下ネタバレ》

【視聴終了(レビュー)】
{netabare}
1メロから、歌詞が深くてね~。

「誕生日を迎える度に、何を祝うのかがずっとナゾだった。見えなくなってしまったものは、二度とかえらないと知ったとき。年を経ることに後悔と、一日が過ぎていく恐怖を感じた」

って、子供が分かる歌詞じゃない(笑)

サビがまた良い。

「どうにもならない今日だけど、平坦な道じゃきっとつまらない。きみと生きてく明日だから、這いあがるくらいでちょうどいい」

いやいや、人生の挫折を知らんと分からんて(笑)

んで、Bメロ。

「脇道を独り歩く。そんな自分にみとれてみたり。歩き疲れたあの人へ、冷たい言葉を平気で放つ。調子づいてた小さな自分、風にあそばれて、やっとここに立っていた(中略)転んでできた、傷のいたみにみあう何かを求めたなら幻」

って、どんだけネガティブなんだよ(笑) でも、今なら分かる。世界は何処までも理不尽で、整合性がなく、無慈悲だ。

そこにきて、私が一番好きな歌詞。

「どうにもならない今日はせめて、笑い話にかえられますように」

今でもなんか仕事に失敗したり、辛いことあった時に、思わず口ずさんでしまうフレーズ。ここだけ、メロディも変わるんだよね。

あまり、「神曲」という表現は安易に使いたくないんですが、これは「神曲」と言いたい曲です。

しかもこのアニメ、「神曲」が2曲もあります。そう、同じく奥井さんの「晴れてハレルヤ」です。

「世界中の大好きを集めても、君に届けたい、思いに足りない」

なんて、素敵すぎるでしょ。

2つの曲に共通するのは、「つまらない世界も、君と共に生きられば、なんとかなる」という、力強いメッセージ。

このアニメ、ボーイミーツガールというか、ガールミーツボーイというか。

不完全でダメダメな二人が出逢って、共に旅してナンダカンダアリナガラモ、ナントカカントカしていくんです(笑)

ギャグですが、笑えるとか笑えないとかそんなことじゃなくて、微笑ましいし、癒されるんですよね。

郷愁なんです。心象風景の1つなんです。
{/netabare}

投稿 : 2024/05/11
♥ : 40

ヒロトシ さんの感想・評価

★★★★★ 4.6

くっさ!くっさああああああああああ!

作者の衛藤ヒロユキはドラクエ四コマ漫画も手掛けており、そのノリを継承して作られたのが、この『魔方陣グルグル』という作品です。RPG形式の世界観に対し、個性豊かなキャラがギャグをぶっこむ、RPGのお約束への現実的な視点からのツッコミ(例えば、民家に入ってタンスや壺を漁る等の行為への批判とか、他人が入ったダンジョンは既に宝箱が開けられているので、探索しても意味が無い!とか)も忘れてはおりません。今冷静になって考えると『とてつもなく、くっだらない作品』だったんですが・・・・w ギャグ主導の作品にしては設定が無駄に細かいのがまーた良いんですよね。あえてバカな展開で突き通すこだわりがあるというか。RPGでよく使われるメッセージボードがナレーションの役割を果たしていて、そこで笑わせるという手法も、テレビ番組でよくあるテロップみたいな感じで新鮮に映りました。今まであるようでなかったので、HITした理由も分かるような気がします。

下らなさが目立ってますが、前述した現実的な視点という特徴が活かされていて、ニケとククリの2人の関係が一番その恩恵を受けていますね。最初はそれこそちょっとしたハイキング気分で魔王討伐の旅に出かける2人ですが、色々な人との出会いと別れを経て、いつしか同じ時間を共有する事で、時にお互いの成長を確かめあったりするんです。その代表例として、私が一番心に突き刺さったのは、ククリのこの台詞ですね。

『せ、のびたよね、レベルアップ!
さいしょはおなじくらいだったけど、いつククリを追い越したか知ってる?』

グルグルの世界でもちゃんと時間が流れていて、ニケもククリも精神的には勿論、身体的にも立派に成長しているんだな~とちょっと、『はっ』とさせられたシーンでした。私自身ギャグが強い故に時折登場人物から発せられる会話に感情を揺さぶられて不意に現実に戻ることがたまにありました。これもグルグルの魅力です。子供の時には分からなかったんですけどねw

有名な話ですが、主題歌・ED共に素晴らしい曲揃いですね。メロディーが良いというよりかは歌詞がニケとククリの旅で経験した物語を、そして2人の希望に満ちた未来を表現しているのが、評価が高い要因かもしれません。

ふざけたイメージとは裏腹に、しっかりした作品です。

投稿 : 2024/05/11
♥ : 27
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