「かぐや姫の物語(アニメ映画)」

総合得点
65.0
感想・評価
289
棚に入れた
1186
ランキング
3450
★★★★☆ 3.8 (289)
物語
3.6
作画
4.2
声優
3.7
音楽
3.8
キャラ
3.6

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ネタバレ

かしろん さんの感想・評価

★★★★★ 4.3
物語 : 4.5 作画 : 5.0 声優 : 4.0 音楽 : 4.0 キャラ : 4.0 状態:観終わった

十二分に面白かった

正直「竹取物語」を覚えてないし、ちゃんと読んだかどうかの記憶も曖昧。
子供用に直された「かぐや姫」としての覚えはあるんだが。
そういう人の感想として。

{netabare}劇場公開時の評判のイマイチさから、自分の視聴ハードルを下げてたせいもあるのか、十分に楽しめた。
いや、おもいっきり楽しめた。

もともと、ジブリ鈴木プロデューサーは「風立ちぬ」との同時公開を企画してたのは周知の事実。
それを聞いて
「ライバル対決させたいんだな」
とか思ってた。

見て思った。
「そりゃ同時公開したくなるわ」
と。
美しいものに魅了された男が、才能のままに、純粋な狂気で、周りがどうなろうとも突き進んでいく、風立ちぬ。
魅了という才能を持った女が、関わる男を狂わせ、その状況に絶望していく、かぐや姫。
どちらも「持ってる人間とその周辺の人々」を描いてるんだね。


かぐや姫では、持ってしまった人間の苦悩と、持った人間により狂わされていく人々を描いている。
男を魅了する、という才能を持ったかぐや姫。
竹取の翁を、子供の幸せという名目を被った出世欲に狂わせ、
名付けの爺を、ロリの世界に狂わせ、
お偉い五人衆を、色欲独占欲に狂わせ、
帝をも、色欲独占欲に狂わせる。
挙句には、幼なじみにしてすでに妻子持ちの捨丸をも、色欲に狂わせる。

これを自覚的にやってたらただの性悪女ですむのだが、無自覚のうちに周りが狂わされていき、狂った人々の醜悪な心に触れ、それの事実に気がついて八つ当たり的に行った行動が更に周りを狂わしていき、となれば、そりゃ
「もういやだーっ!」
ってなるわなぁ。
風立ちぬだと
「どんな周りが狂おうとも、僕は美しいものを作るんです」
となるんだが、かぐや姫は常識人でした。


罪と罰
この映画のキャッチコピーであり、功罪であり。
「罪と罰って何なの?かぐや姫にどんな新解釈を加えて描いたの?」
と興味を惹かせることには成功したが、
「結局なんなんだよ。普通にかぐや姫じゃん」
と不満を持たせることになったこれ。
普通にストーリーを追うと
罪:地球に行ってみたいなと憧れたこと
罰:実際に行ってみたらとってもドロドロだった苦悩体験
がそれなんでしょうね。
あえて、捻くれた見方をするならば、
男を魅了してしまう才能
が罪であり罰であり、なのかな、と。


艶っぽさとエロ
ちょいちょい妙に艶っぽく描かれるかぐや姫。初の都行きの時に牛車で眠ってしまったかぐや姫が起きるシーンなんかはドキッとさせられますね。
その極みがラスト前に描かれる捨丸との飛行シーン。爽快に、爽やかに描かれるこのシーン。
いや、もう、ドエロですわ。
空を飛ぶ=自由、束縛からの解放のモチーフ。
男女が、2人で仲良く、全てから解放されて、何者でもない男と女になる、って言ったら唯一つ。
そして、絶頂へと向かっていくーーーーー、って時に月が邪魔する。
「かぐや姫さん、そいつ、妻子持ちですよ」
数少ない心の支えだった捨丸すらも既に汚れだったことを知り、かぐや姫墜落。
道行く牛車の寂しそうなこと。
可哀想に。


振り返り
見てて一番モヤモヤを抱えて気持ちが悪かったのがラスト。
月へと帰るかぐや姫を見ながら
「振り向くかなぁ、振り向かないかなぁ。
 高畑監督なら振り向かせないだろうなぁ・・・・って振り向いた!」
とびっくりすると同時に、妙な腑に落ちなさ加減。
なんだろう。なんで振り返らせたんだろう。
無理無理に考えるなら、アニメーション製作に対する足掻きや未練なのかなぁ、と。



なんやかんやで楽しめました。
長編引退宣言した宮崎監督。
特に宣言してないけど高畑監督。
多分、次は無いんでしょう。
米林監督すらいなくなったジブリにどんな次が待っているのか分かりません。
将来、そんなアニメ会社もあったなぁ・・・って振り返るには惜しいです。{/netabare}

投稿 : 2015/03/16
閲覧 : 295
サンキュー:

11

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