「デジモンアドベンチャー02(TVアニメ動画)」

総合得点
66.1
感想・評価
260
棚に入れた
1771
ランキング
2939
★★★★☆ 3.6 (260)
物語
3.6
作画
3.5
声優
3.5
音楽
3.8
キャラ
3.6

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ネタバレ

Tomtom, さんの感想・評価

★★★★★ 4.2
物語 : 4.0 作画 : 3.5 声優 : 4.0 音楽 : 5.0 キャラ : 4.5 状態:観終わった

放課後アドベンチャー

リアルタイム小学生で視聴していた、京と同じ世代の人間です。
高校のときにお年玉叩いて、無印と合わせ、DVD-BOXを買って観直しました。
初代(無印)はよかった、という声をよく聞きます。確かに、物語の一貫性と冒険の高揚感としては比べるべくもないのでしょうが、私は02にも多分に思い入れがあります。

無印の一本筋の通ったストーリーに比べれば、特に、一話完結型のバラエティー感が多くまとまりのなかった前半のgdgd感は確かに否めません。
しかし無印の非日常の冒険より、日常の中にピクニック感覚で溶け込む冒険は、現実世界を普通に生きる子どもだった当時の自分にとって、より身近で感情移入はしやすかったように思います。

無印は異世界にトリップしてサバイバルするストーリー。現実とは切り離された別の世界、パラレルワールドとして、二つの世界の間には簡単に行き来できない空間的、時間的な壁が厳然として存在していました。それは単に設定というだけではなく、無印では当初デジモンワールドと称していたように、二つの世界の関係性や捉え方、デジタルワールドという概念が製作側でも発展途上で定まっていなかったのかもしれません。
異世界を冒険する、というアドベンチャー性の強かった前作に比べて、02ではデジタルワールドが、人間側からアクセス可能なネット世界として、現実世界寄りの存在になりました。ストーリー描写も、現実世界側に地をついて、より人間の心理描写に重きが置かれることになります。また、個々が独立して動いて敵を倒す場面も多かった無印に比べると、02では比較的5,6人揃っての、チームの意思を一致させての行動をとったため、人と人との関係性にもスポットを当てられたのではないでしょうか。
世界観がより強く現実と繋がっていたため、デジモン、02の登場人物たちが、どこかで息をして、自分と同じように年を重ねている…今でもそんな錯覚を抱いてしまいます。
オトナになって見れば、何としてもデジタルワールドへ行きたかった及川への見方や感情も、きっと変わってくるのでしょう。

またキャラクター面では、他の方も仰るように、本編を通して著しい成長が見られたのは、間違いなく大輔と賢ちゃんでしょう。
大輔で印象的だったのは、友情の紋章を発動する回、「俺って情けねぇー!」の叫び。同じ斬り込み隊長でありながらも、前作の常に強くあろうとしたカリスマ主人公、太一とはまた違った、自分の弱さを素直に認める強さを持った、新しい主人公像を示してくれました。改心した賢ちゃんを真っ先に受け入れる懐の広さも合わせて、勇気と友情の人に相応しく、後々化けていってくれます。
賢ちゃんに至っては、なんというかもう…別人28号、悪役からヒロインのように変貌を遂げることに。ワームモンのデジタマを探しに行く回では泣かされましたとも。
伊織は…うーん、あの頑ななまでの真っ直ぐさだと世の中とっても生き辛そうなのに、及川の生き様を目にしたことで、あえてあの職を選んだというところが興味深いです。
京は…電車で隣に座っていてもおかしくない、ある意味普通を体現してくれた強い女の子(強い!は女の子の基本スキル)なのかもしれないなと。いるいる、友達にもあんな感じのパソコン扱える元気な感じの子。
普通にいてもおかしくない子が登場人物として出ているというのは、案外と視聴者に希望や親近感を与えてくれるものです。そういう意味では、大輔もちょっと元気なお調子者の普通の子だったのが、思ったより大きな器に成長してくれちゃった感じかな。

無印が命懸けの冒険とすれば、こちらは放課後アドベンチャー。
突然デジモンの世界の真ん中に投げ出された前作と違って、むしろ日常の世界の中にデジモンが降って来た感じで、戦いも周りの手厚いサポートが受けられる。
カイザーだって、ゲーム感覚でいたけど、新参の子どもたちも、当初新しくやり甲斐のある遊び場を見つけたような感覚は拭えなかったはず。
その違いが、あのメンバーの中においては、前回のハードな冒険を経験したタケルやヒカリを一見、年不相応な程に達観した印象に見せていたのでは。
無印の敵デジモンが倒すべき「悪」として存在していたのに対して、光と闇がフィーチャーされつつも、子どもたちが「敵」デジモンも命を有する存在として、戦うことや殺すことに躊躇いを見せるのは、日常感覚に織り込まれた戦いの中では、ある意味現実的な葛藤だったのではないかと思います。


以下、最重要なネタバレ含みます。最終回まで未視聴の人いましたら回れ右でお願いします。


無印好きとしても02に感謝したい点。
02の最終回で、無印〜02の物語は全て、25年後、小説家になったタケルが、少年時代の冒険を回想して書いたノンフィクション小説であったことが明かされます。
これは当初、無印の最終回に挿入されるはずだったものが、無印放送中に、人気のため続編の製作が決まり、このネタバラしが02の最後に持ち越されることになりました。
つまり、02がなければあの無印のミミちゃんの帽子にButter-fly無双と、デジヴァイスの音が耳に余韻を残す感動のエンディングはなかったわけで。無印が伝説的に綺麗な終わりで締め括られたのも、02あってのもの。
そしてあの哀愁漂うナレーションは、全てタケルのノスタルジックな気持ちの込められた地の文だったのです。そう、25年後のタケルの声は平田さんです。
その視点を取れば、どこか裏を感じさせるような、あの物事を一歩引いて眺めるような態度、あまり語られることのない内面描写(自分の心情なんて小っ恥ずかしくて客観的に書けない、あるいは書かない)も、語り手としての立ち位置にいるタケルだったのかなーなんて過ぎた考察に耽ることも…。

投稿 : 2015/04/03
閲覧 : 243
サンキュー:

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