「十二国記(TVアニメ動画)」

総合得点
88.1
感想・評価
1680
棚に入れた
9089
ランキング
130
★★★★☆ 4.0 (1680)
物語
4.3
作画
3.7
声優
3.9
音楽
3.9
キャラ
4.0

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ネタバレ

イシカワ(辻斬り) さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0
物語 : 4.5 作画 : 3.5 声優 : 4.0 音楽 : 4.5 キャラ : 3.5 状態:観終わった

神様がいるとしたら、このような世界になる

記載されているレビューに対する反論・論戦を行いたい人は、メッセージ欄やメールで送りつけるのではなく、正しいと思う主張を自らのレビューに記載する形で行ってもらいたい。したくない時、受諾しない時は以降の文章を読み進めないこと。受諾する方のみ文面を読んでもらいたい。参考になったと思うときのみ、参キューしてほしい。

十二国の領土が同じ面積であるのはなぜか?
小国が大国によって隷属化、または植民地化してしまう過去があった。未だに米帝辺りは周辺諸国からの搾取によってその経済を成り立たせており、えげつない行動に出ることも辞さない。現実に神がいるとしたらのなら、どうなるのか。公平にするため、領土を綺麗に均等分する。というのが作者である小野神天帝の意見なのだろう。そして、神自身は自らを完璧な存在ではないとはっきり作中でわかるよう、演劇のシナリオという形で伝えている。一度世界を破壊して作り直したというのである。完璧ならば作り直す必要性などないだろう。元々完璧ではなかったのである。
機会の平等をしようとした痕跡。それが十二国の領土の均等だ。

以下wikiからの転載。
他国への軍事的干渉は、その国の国主が助力を求めてこない限り天意によって厳しく禁止されており、理由の如何を問わず破った国は王・麒麟ともに悲惨な死に方をし国氏も変わる(覿面の罪)。王とそれを選ぶ麒麟、そして天意とは何なのかという問いが、作品全体の主題となっている。さらに、サイドストーリーとして最初に執筆された『魔性の子』では、この異世界が我々の暮らす現実世界に干渉したときに起こる脅威がホラー小説として描かれている。

天帝はその名を知られるのに、目に余る罪を見てみぬ振りをしているように思える。なぜか?
王や麒麟は、実質的に統治しているが、麒麟は神側からのサポート役である。慈悲深い性格であり、血の匂いを嗅ぐだけで失神してしまうような、清らかさを保つことを必要とさせる聖獣だ。
しかし、各種の能力を与えられているにも関わらず、まったく無能である。
景麒(けいき)のしたことは、陽子にいきなり言い寄り、説明もせずに、王様になるよう強要、危険が迫っているからといって、周囲に説明もせずに連れ去った。おかげで学校も両親も大混乱である。次は景麒自身が拘束されてしまう。結局陽子に助けられ、国政がはじまったら、ぜんぜん状況把握ができていなかった事実が発覚する。つまりまるで駄目男としかいいようがない。
最初に視聴したとき、なぜここまで無能な人物にしたのか。筆者なら首にし兼ねないと意見した覚えすらあった。
それに答えてくれた人曰く、有能であっては王のいる理由がないため、だった。
確かにその通りである。なら、王が居なければならない理由とは何か。天帝自身が国を治めない理由は何なのかである。世の中で最も優れた者が統治すればいい、という考えでないのは明白である。
人間は、不完全でも、良くも悪くも、独立してやっていってほしい。それが答えだと筆者は考えている。一人の人間として独立する。その独立した人間が集まって国を建てる。国もまた独立し、属国とはならないのだ。陽子が王に即位したときの初勅では、伏礼を廃すといっている。
他人に頼って生活するだけ、お偉いさんに政治は任せて、俺たちは自分のことだけしていればいい、そういう考えにならないでほしいということである。だから、へりくだるような礼をする必要はない。王も民も立場の違いだけで、独立した存在だ。独立した対等の立場なのだから、頭を地べたにこすり付けるような礼は要らない。これもまた、独立を意味しているのだ。人は拙くとも、例え無能でも、独立して生きていくことを望んでいるのだろう。

里木と呼ばれる木になる実。卵果に宿る人。
wikiより転載
十二国世界の人々は血筋に対する執着が薄いため、婚姻には子供を望むか否か以外の意義を見出されず、故に頻繁に離縁しては婚姻し、他人の子供でも嫌がらずに育てる。むしろ子連れの再婚は歓迎され、子供は卵果と言う形で天から賜ると言う考えから子供が多ければ多いほど親の資格があったのだから出来た人物だろう、と喜ばれる。子供が欲しくない場合は籍を入れない野合という選択をする場合も多い。
これが何を意味しているのかといえば、資格のない人間が結果として親になるような社会システムを構築しない、ということだろう。現実世界での人類は増殖の結果として争いを起こし、自然を破壊し、食い尽くして滅亡する。これは予測できる事態である。増減が一定化するような社会システムを構築しているものと推測される。
獣たちにしても乱獲で獣が絶滅種になったりすることがないように仕組まれているのだ。

野木(やぼく)について
wikiより転載
里木より小さい。枝は細いが堅牢で剣を以ってしても断ち切れない。枝に付いた黄金の実は溶接されたように取る事ができない。野木には勝手に卵果が実り、勝手に孵る。魚などの水棲動物の場合は水の中に野木がある。野木の下では殺生ができないことを利用して野宿する者の寝床にされる。

野木の周囲でなぜ殺生が不可能なのか。普通自然界では、親が子を守る形で生態系が作られる。しかしこの世界の動物の場合、親は木なのだから、独りで生きていかねばならない。つまり木は親代わりなのだ。だからこそ殺生ができない。独りで生きていく、つまり独立である。この世界では性交と生殖が結びついていないことが理解できる。
エルゴ・プラクシィというSFアニメでも、人工子宮による「生産ライン」という形で人類は管理されていた。
減りすぎず増えすぎずの調整が可能なのだ。
それをファンタジーでやるとこうなったという図式だ。

二人の同級生について。
杉本由香と浅野郁也の二人はなぜ存在しているのか。
杉本由香は現世が嫌で、ゲーム世界に行きたがっている子供の分身が、悪役の王様に操られているということを指している。浅野も十二国がゲームの世界だと思い込み、いつか現世に帰れると思い込んでいる。実際言葉も通じず、老人になるまで何もできないという登場人物もいる。
元々、作者である小野不由美が最初に書いた十二国記の最初の物語は、ファンタジーな世界が現世に浸蝕してきたことをリアルに描いたホラーものだった。ゲームと現実の垣根がなくなればいいと思い込んでいる学生に、本当にそんなことが起きたらどうなるのかを知らしめるため、記載した作品といっていいだろう。つまり、ゼロの使い魔のように、異世界にいったからといっても活躍もできなければハーレムでもない、それどころか、忌み嫌われる海客・難民として扱われ、老人になるまで何もできないという現実的なものを知らしめさせている。

大風呂敷を広げて、収拾不能のようにも一見して見える作品だが、実際作者の中ではきちんとまとまり、解決しているのではないだろうか。

wikiには、王とそれを選ぶ麒麟、そして天意とは何なのかという問いが、作品全体の主題となっている。と記載されてあるが、その天意の指し示すことは、政治家任せにして自らの生活の豊かさや享楽にのみ目を向けず、仮に不完全で失敗続きであったとしても、酷い有様になったとしても、自主独立の精神をもって行動し、政治にも目を向けて生きていくべきであるということだろう。

追記
レビューに記載された言論を規制したい人は、個人の意見を以てするのではなく、あにこれの法的論拠に基づいて規約に記載する必要がある。
運営諸氏に連絡し、説得し、規制を規約に付け加えてもらうこと。

投稿 : 2014/07/27
閲覧 : 880
サンキュー:

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