「劇場版 魔法少女まどか☆マギカ 新編 叛逆の物語(アニメ映画)」

総合得点
86.6
感想・評価
1953
棚に入れた
9921
ランキング
190
★★★★★ 4.2 (1953)
物語
4.2
作画
4.3
声優
4.2
音楽
4.3
キャラ
4.2

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ネタバレ

ブリキ男 さんの感想・評価

★★★★★ 5.0
物語 : 5.0 作画 : 5.0 声優 : 5.0 音楽 : 5.0 キャラ : 5.0 状態:観終わった

ほむほむの愛のゆくえ

テレビシリーズではほむらちゃんのまどかに向ける愛の性質が友情なのか恋愛なのか漠然としか分かりませんでしたが、本作叛逆の物語で少しだけ明らかになった様に思いました。

!以下あからさまなネタバレがあります。読む前に必ずテレビシリーズ全12話および「叛逆の物語」本編を御視聴下さい。(出来れば劇場版前編始まりの物語と後編永遠の物語も)
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ほむらちゃんとまどかの最初の出会い(1周目)では、ほむらちゃんにとってまどかは初めて出来た友達であり、自分の事を無条件で受け入れてくれるお母さんの様な存在でした。(さしずめマミさんは親切で優しい親戚の叔母さんと言った所かも知れない。)そんなまどかを悲惨な運命から助け出そうとほむらちゃんは同じ時間を何度も何度も繰り返します。私はこの過程で二人の母子の立場が逆転してしまったのではないかと思っています。

ほむらちゃんのまどかに対するお母さんの様な言動や振舞いはテレビ版、映画版問わず、多くの場面で見受けられます。「そいつの言葉に耳を貸しちゃだめ」とか、マミさんに対してまどか(とさやか)を戦いに巻き込まない様に忠告するとか、「その必要はないわ」とか、枚挙にいとまがありません。挙句、まどかに対して「どこまであなたは愚かなの」とか言い放ってしまったり‥。この時のほむらちゃんはかなり過保護で厳しいお母さん的立場の存在になってしまっていたのではないでしょうか?

自分の子供を愛していればという前提ですが(ほむらちゃんの場合この前提は満点でクリアー)親はいつまでも自分の子供を傍に置いておきたいもので、ほむらちゃんはまどかの命を救うという前提の元、同時にまどかの自立、すなわち魔法少女になる事を、あの手この手を使ってことごとく阻みます。テレビ版最終回では(ここでまた母子の立場が逆転する。)まどかとの別れが描かれましたが、これは母であり子でもあった存在との死別に近い意味を持っていたのだと私は解釈しました。{/netabare}

以下は叛逆の物語について。未視聴の方は絶対に読んではいけない。
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叛逆の物語では再びまどかが姿を現しますが、ここで登場するまどかはほむらちゃんが最初に出逢ったまどかに限り無く近い存在でありながら、それは有り得ない訳で、ほむらちゃんにとっては死別した最初のまどかの後に生まれたもう一人の子供という感覚なのではないかと思われます。故にほむらちゃんはまたもや母性の様なものを燃え上がらせ、このまどかを自分の傍に留めようと、自らを異質な存在に変貌させながら、飽く無き願望を成就させようと暴走します。これは今までの二人の間に有った関係とは少し異なり、第二のまどかの分身でもあり、彼女の本当の母親とも言える円環の理との対立を意味しています。

ほむらちゃんにとって愛すべき対象は人間のまどかであって、それを手に入れる為には円環の理が非常に邪魔なので、かと言って消し去る事(多分出来ないと思いますが)はまどかの存在の消失を意味しており、結局の所、その一部(人間のまどか+)をもぎ取って自分に都合の良い世界を作ってしまったのだと思います。ほむらちゃんの思惑通りに事が進んだかに見えたエピローグでしたが、唐突にこの第二の子とも決別の兆しが表れます。

それでもほむらちゃんは月夜を背景にご機嫌にダンスなんか踊っちゃって、自分の手に入れた世界にそれなりに満足している様でした。落ちたけど大丈夫だよね。

円環の理との衝突は避けられない筈ですのでほむらちゃんの今後が心配です。
{/netabare}
書きたい事をかなり絞りましたが、まどマギ考察の一助になれば幸いです。あくまでも無数に存在するであろう解釈の一つですので、一歩引いた目で読んで頂く事を推奨します。

※ほむほむは半公式の愛称です。親しみを込めてタイトルに入れさせて頂きました。

投稿 : 2016/05/16
閲覧 : 423
サンキュー:

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