「orange(TVアニメ動画)」

総合得点
67.3
感想・評価
618
棚に入れた
2900
ランキング
2445
★★★★☆ 3.3 (618)
物語
3.2
作画
3.2
声優
3.5
音楽
3.5
キャラ
3.2

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ネタバレ

なる@c さんの感想・評価

★★★☆☆ 2.5
物語 : 2.0 作画 : 1.5 声優 : 3.5 音楽 : 3.0 キャラ : 2.5 状態:観終わった

良作−整合性=orange

2016/10/25

主人公・菜穂の元に、未来の自分から手紙が届く。
その内容は、これからの自分に起こることと、過去の自分が起こした行動、そしてその選択に後悔しているかどうか。
今作のメインストーリーは、未来の自分の助言を頼りに黒髪の転校生・翔(かける)を何らかの悲劇から救うことだ。

作中でたびたび未来の菜穂たちが描かれる。まだ1話しか見ていないので全容がわからないが、もし翔が生き続ける未来になったとしたら彼女らは『バック・トゥ・ザ・フューチャー』よろしく消失してしまうのだろうか。それとも、数多あるパラレルワールドの1つとして生き残るのだろうか。はたまた別の展開を迎えるのだろうか。前者だとして、未来の菜穂がそれを理解しながらも現在の菜穂に助言を与えているとしたら、それは自己犠牲の果ての愛ということになる。
妄想はここら辺でやめておこう。

1話
{netabare}冒頭の会話は学生時代の自分を思い出して少し恥ずかしい気持ちになる。
他人の発言を遮ってしまっても構わず話し続けたり(2話アバンの間違いでした)、オチの無い話を無意味に引っ張ったり。
基本的に1人1人がセリフを話すアニメーションで、2〜3人が同時に話すシーンは珍しく感じた。最近だと『迷家』でよく見られたシーンである
前述の無意味な会話のきっかけにもなったパン屋の娘のあずさは底抜けに明るい印象で好感を持った。女の子らしさを求める方にはウケが悪いかもしれないが、あけすけにも見える彼女の言動は一緒にいる仲間を信頼してのことなのかもしれない。もちろん、底抜けな明るさは表向きの印象で、裏に抱えているものもあるかもしれない。見た目とのギャップは現代アニメのトレンドでもある。なので、キャラクターの掘り下げに期待したい(ありませんでした)。
あ。あと、もう一つ。未来がわかるということは、苦悩の種にもなると思う。ゲームの攻略法を事前に知っている感覚というか。たった一度きりの人生の高校生活、ネタバレされたくないだろう。わかったとしても、自分で決めたい選択肢もある。そこのところを注視していきたい。{/netabare}

2、3話
{netabare}見れば見るほどハイライト強めな背景に青春を感じる。冬の恋愛も良いものだと思うけど、青春というと青と白だ。
それはともかく、この手紙を書いた時の未来菜穂の心境はどのようなものなのか。伝えるべき情報の取捨選択ができないほど頭が回らない子とは思えない。思うに、本当に過去に届くとは思っていなかったのだと思う。自分自身の心にけじめをつけるための儀式的行為かなと。だから情報としてあまりに断片的で、そのためこういう結果になった。後悔しないための手紙のはずが、また新しい後悔を生んだのだ。まあ、そもそも後悔のない完璧な人生というものは現実的でないのでこういうこともあるとは思っていた。
当たり前の話だが、手紙で助言できるのは未来菜穂が選択したルートの内容だけ。未来菜穂と違う選択をして大きく違うルートに入った場合、その後の選択は現在菜穂に委ねられる。その時に現在菜穂が何を思って行動するかが大事なのだと思う。{/netabare}

4話 
{netabare}純粋に翔の生存を願うのであれば、彼女になった上田先輩が彼の心の傷を癒やすことに期待しても良いだろう。しかし、心はシステマチックにできてはいない。それに須和のアドバイスが足され、4話は物語が大きく動く回になった。
「こんなの手紙に書いてない」という現在菜穂のセリフは、主体性の無さを象徴するセリフだ。手紙の通りにしても未来は変わることがある。今まで積み上げてきた関係性のものとも、別の細かい要因が重なったせいとも思える。バタフライエフェクトという言葉は、今となっては有名な言葉だ。今回は良い結果に繋がったとはいえ、どんなに詳細な助言が書いてあっても完全な再現は難しいのだ。{/netabare}

5〜6話 
{netabare}文化祭→祭り
授業はサッと流れる程度のシーンだったのだが、今回の物理(?)の時間、教師はブラックホールの説明をする中で、タイムトラベルにおけるタイムパラドックスの説明をした。やはりパラレルワールドの翔を救う話になるようだ。
印象的なシーンは、翔が過去か未来なら過去に行って後悔を消したいと答えたところ。奇しくも未来菜穂と同じことを思っているのが面白い。
あともう一つ。恋愛を応援してくれる友人は嬉しいけど、そこであまりやる気を出されても当人が引いてしまうものだ。経験則。

行き急ぎ過ぎだ。。。そう思った方も多いだろう。ここで翔の母について聞くことについて。
現在菜穂も、視聴者共々、手紙のお陰である種のカンニング行為ができている。衝撃的な事実も事前に知っていればいくらか飲み込みやすい。しかし彼はどうか。まだ数ヶ月しか経っていないのだ。鮮烈な記憶が焼き付いていて、血も固まっていないような傷を心に負っている。これからどうしていくのか。。。。。{/netabare}

7、8話
{netabare}誕生会→全てを仲間に伝える
と思ったらまさかの真実。須和も同じく未来須和から手紙を受け取っていたのだ。なるほど、サッカー部に誘ったことにも納得。
とても心強い。現在菜穂が取られてしまう嫉妬は後悔に変わってしまうことを彼は知っている。そして、どうしたら良いかをその身で見せた。

8話では、須和が手紙の指示に対する不安を口にする。未来菜穂の世界で起こらなかった多くのことがこの世界で起こっている。その要因が重なり、手紙が全てではなくなってきたのだ。そして、体育祭のリレーにいつものメンツで立候補することになる。翔に体育祭を楽しんでもらうためだ。アドリブでの立候補だったが、そこに消極的な菜穂はいない。自分から立候補して、手紙に書かれていない未来に導いてみせた。あと早く手を繋いでください。

須和以外の仲間も10年後の自分から手紙をもらっていたとのこと。
なんというか。信じてもらえないと思うのは当たり前だが、もう少し早く団結できなかったかなと。
あと、人狼ゲームで人狼どうしが認識し合うと逆に不自然になってしまうように、これまである程度自然だった女性陣まで不自然になってしまった気がする。当たり前だが5人で話している内は翔が輪に入れないわけで、それもどうかなと思う。
{/netabare}

9、10話
{netabare}体育祭
須和は完全に翔の嫉妬心を引き出そうとしている。ただ、あまりやり過ぎると譲られてしまう可能性があるのでほどほどにした方が良いと思った。
ハッピーな締めだったが、得られるカタルシスは少ない。その理由は言わずもがな、仲間との未来の共有だ。団結力は高まったかもしれないが、緊張感はどうだろうか。もう安心、とまではいかないが、心に余裕ができ過ぎてたるんでしまった感が否めない。ここからどう一波乱が起きるのか。そもそも起こるのか。{/netabare}

11話
{netabare}大晦日
須和は本当にあるはずの未来を諦めていいのか。実際に別世界で夫婦になれているという事実が、余計辛い。
……まあしかし、須和なら自分でけじめをつけられるだろうというのが正直なところだ。
これまでの話で翔と対比した須和の強さが表現され過ぎている。

翔と菜穂の喧嘩は、脚本が喧嘩ありきでセリフを作ってしまったようだ。デリケートな話題で言葉を選ぶべきだということを、祭りで学ばなかったのだろうか。原作のこのシーンはどうなっているのかわからないが、ここで迂闊な発言(おばあちゃんは大丈夫)をするのであれば「消極的な泣き虫」から「迂闊な言動をする泣き虫」になったという印象にしかならない。それなら前者の方がマシではないか。{/netabare}

12話
{netabare}もしもの世界
ルートは、変えることができる。
菜穂1人でもできるし、5人ならリレーで奇跡も起こせる。
しかし、その逆もある。ひょんなことからバッドエンドルートに戻ってしまうこともあるのだ。
というメッセージは果たして視聴者の心に届くことはなかった。
視聴者の頭の中にあるのは、翔はファミレスのような場所でも友人にやすやすと母の死を話すのか、である。

パラレルワールドといっても、翔であることに変わりはない。
精神的に不安定とはいえ、翔はこういうことができてしまう人間なのだ。
このメッセージは多くの人に届いたことだろう。{/netabare}

13話
最終回
近年だと『くまみこ』以来の衝撃でした。


作画
前半は丁寧に作画されている。
それ以降は作画崩壊とはいかないまでも、作画崩れといえるような作画になる。
作画至上主義者ではないので作品全体の評価を極端に下げたりはしないが、正直、あんなにひどいキスシーンは初めてだ。キスに限らず、人の肌と肌が密着するところはきちんと見せるべき。カメラが撮るのと反対の頬にするなど論外だと思った。
また、翔は自分の心を押し殺して笑顔を作るくせがあるのだが、愛想笑いか心からの笑顔か判別がつかないレベルの作画なので、分かりづらかった。


残念だ。
さあ、過ぎたことは忘れて、また中盤までの楽しかった『orange』を見返そう。溜まったアニメを消化して、次のクールに思いを馳せよう。失恋は立ち直りが早いほどダメージが少ないのだ。

投稿 : 2016/10/26
閲覧 : 219
サンキュー:

8

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