「PERSONA3 THE MOVIE #4 Winter of Rebirth(アニメ映画)」

総合得点
66.0
感想・評価
77
棚に入れた
464
ランキング
2989
★★★★☆ 3.8 (77)
物語
3.7
作画
3.9
声優
3.8
音楽
3.9
キャラ
3.8

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ネタバレ

TAKARU1996 さんの感想・評価

★★★★★ 4.4
物語 : 4.5 作画 : 4.0 声優 : 4.5 音楽 : 4.0 キャラ : 5.0 状態:観終わった

ほがらかに死んでいくために、私は生きようと思う。

本作を語るにおいて、ネタバレは避けられません。
観てない方は、全4作を観てから読む事を推奨します。





この『ペルソナ3』と言うアニメ映画は、最終章で正に真価を発揮した作品
正直、本作以前の章では手放しに褒められない部分も多々ありましょう。
しかしこの最終章だけで、今まで見た時間全てに、強烈な「意味」が生まれるんです。


主人公が死ぬ作品と言うのは、数を上げれば枚挙に暇がありません。
しかし、この作品は「死」をネガティブの対象としてのみならず、幸福に生きた証として用いています。
死を通して、素晴らしき生を伝える作品は多い中、本作は其処から更に一歩踏み込んで、いずれ必ず死んでしまう真理を通して、「生の素晴らしさ」と「幸福な死」を伝えています。
世間的通念では、死とは決して素晴らしいモノでなく、むしろ忌避の目を向けられる確定事項
しかし、素晴らしき生を掴み取った事で生まれた人生は、その人が終える事の出来る「死」をも素晴らしきものとさせ、それは1人の男が生きた証を全肯定させるまでに至るのです。


だから僕の中で、彼の今後に「復活」を望む心はありません。
人生を最大限全うし、懸命に生き抜いた彼は、もう既に彼女と仲間達に救われたから。

1番大切な人の膝の上で、片目に心強い仲間達の面影を見ながら、心赴くまま逝く事が出来る。
これ以上の幸せが、一体何処にあるんだろう。

彼は精一杯生きて、そして、安らかに死んでいった。
それ以上の幸福が、一体何処にあると言うのだろう。

私達が、生と言う切符を握り締めている以上、確実に訪れるもの、それは死
しかしその結末をも肯定出来たら、世界は全てを受け入れてくれる。
自己犠牲を通じて、世界と和解できる。
宮沢賢治みたいな生き方、僕も凄く惹かれる生き方
それを伝えてくれた本作は、1人の男の中に最高の傑作として、今も生き続けている次第

今日は約束の日です。
彼のように生きて、彼のように死にたくなった、クリア後にそう感じた運命の日
ここからまた、決意を新たに。
ほがらかに死んでいく為、生きようと思えたら、誰もが自ずと答えを見つけられる。
自分にとってかけがえのない「命のこたえ」を見つけられる。

「命のこたえ」が見つけられたら、使命を持てたら、抗いようのない運命の中で、自らを犠牲に出来る程の大切なものと出会えたなら、
僕はやっと、幸福な気持ちで全てを肯定出来るでしょう。
そんな戯言と期待と希望を抱きながら、今日も生きていこうと偏に思うのです。

本作へ巡り会えた事に、最大級の感謝を。
駆け抜けたあの夜と、それを越えた先に辿り着いた屋上の光を、僕は一生忘れません。

投稿 : 2020/03/05
閲覧 : 280
サンキュー:

1

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