「機動戦士ガンダム THE ORIGIN 誕生 赤い彗星(アニメ映画)」

総合得点
71.3
感想・評価
90
棚に入れた
485
ランキング
1327
★★★★☆ 3.8 (90)
物語
3.7
作画
4.0
声優
3.8
音楽
3.6
キャラ
3.8

U-NEXTとは?(31日間無料トライアル)

ネタバレ

退会済のユーザー さんの感想・評価

★★★★★ 4.4
物語 : 4.5 作画 : 5.0 声優 : 4.0 音楽 : 4.0 キャラ : 4.5 状態:観終わった

ダイクンの光を眼に宿して…

2018/05/26

マンガ原作未読。

このシリーズは一年戦争前夜を詳らかにする前日譚であると同時に,あるいはそれ以上に,安彦良和という人物とガンダムシリーズとの関わり方を知るための媒体でもあると思う。富野と安彦の間に優劣をつけるなどという僭越至極を犯すことは僕にはできないが,少なくとも,“安彦立ち”や,彼独特の流し目や眼光の描き方に惚れ込んだ僕としては,それらが現代のアニメーション技術によって生き生きと描写されたことはこの上なく嬉しい。この作品は“安彦キャラ祭り”でもある。

ところで,シャア・ザクの色が「ファースト」と違うことにもいろいろな意見があるかもしれない。僕もこれまで“シャア専用うんちゃら”的な商品が出るたびに「色が違う!」と言って嘆いてきたクチだが,事本作のあの色に関しては,より深紅に近い機体が宇宙空間を乱舞する姿には納得してしまった。ルウム戦役の戦闘シーンでは本当に涙が出たくらいだ(バトルシーンで泣いたのは初めてかもしれない)。やはり漆黒の宇宙を舞うのはシャケではなく燃える炎でなければいけない。これは「ファースト」再解釈の一端と考えられる変更かもしれない。

本作で名実ともに「赤い彗星のシャア」となったキャスバルは,もはやマスクを外してその青い瞳を晒すことはない。もう彼の美しくも強い眼光を目にすることはできないのかと,やや寂しい気持ちを抱きながら迎えるラストシーン。レビルの演説を聞きながらチンピラをあしらう「セイラ」の瞳に,キャスバルと同じ光が宿る。チンピラも,かつてキャスバルの瞳に射貫かれた雑魚と同じように怯えて去る。この演出にははっとさせられた。「ファースト」の一年戦争以降の「セイラ」しか知らない僕らは,淡々とオペレーションをこなす「セイラ」の瞳にあのような好戦的な光が宿るのを見たことがない。しかし,講和の可能性が打ち砕かれたその刹那,彼女が兄と同様に燃える心で戦う決意をし,兄と同じ光を眼に宿したという解釈には,大きな説得力があると僕は思う。

2015年1作目の「青い瞳のキャスバル」から劇場での鑑賞を完走した僕としては,最終章の鑑賞は感慨深かった。ⅠからⅤまでのレビューは,BD鑑賞後に改めて認めたいと思う。

投稿 : 2018/05/26
閲覧 : 268

機動戦士ガンダム THE ORIGIN 誕生 赤い彗星のレビュー・感想/評価は、ユーザーの主観的なご意見・ご感想です。 あくまでも一つの参考としてご活用ください。 詳しくはこちら
機動戦士ガンダム THE ORIGIN 誕生 赤い彗星のレビュー・感想/評価に関する疑問点、ご質問などがございましたら こちらのフォーム よりお問い合わせください。

ページの先頭へ