「デス・パレード(TVアニメ動画)」

総合得点
73.0
感想・評価
1022
棚に入れた
5233
ランキング
1045
★★★★☆ 3.7 (1022)
物語
3.7
作画
3.7
声優
3.7
音楽
3.7
キャラ
3.6

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ネタバレ

退会済のユーザー さんの感想・評価

★★★★★ 4.1
物語 : 4.0 作画 : 4.0 声優 : 4.0 音楽 : 4.0 キャラ : 4.5 状態:観終わった

死してなお、今を生きる

「クイーンデキム」は同時間帯に死んだ二人の人間が招かれる場所。
二人はルーレットでゲームを選び、命を懸けてゲームに挑む。
そこは天国と地獄の裁定所。


あまり有名な作品ではないようですが、面白い作品です。知る人ぞ知る、っと言った感じでしょうか。この作品は2013年のアニメミライの一作として発表された「デス・ビリヤード」をアニメにした作品です。

キャラデザやクイーンデキムの内装がすごくかっこいいです。
(たまにキャラクターの顔がすごく伸びたように見えますが、、、わざとそうしているのでしょう)

OPは明るくノリがよく、いい曲です。

クイーンデキム、そしてその『裏側』も不思議な世界で、作品の中にぐっと引きつけられます。おすすめできる作品です。

デス・ビリヤードの評価も一番最後にしておきます。

第一話 デス・セブンダーツ
{netabare} 新婚夫婦のマチコとタカシがするのはダーツ。
ダーツの的がそれぞれの臓器にリンクしていて、当たるとそこが痛くなる使用。
デキムはタカシを「転生」(天国)、不貞を働いたマチコを「虚無」(地獄)に送る。

人間の愚かさを見せつけられるようなインパクトのあるストーリーでした。
ですが、デキムの裁定には違和感が、、、。
{/netabare}
クイーンデキムは非常にオシャレなバーで、落ち着いた雰囲気があります。
デキム、カッコイイですね。こういう寡黙なキャラクターは好きです。

第2話 デス・リバース
第1話を裁定者側から見る回。{netabare}
裁定者の卵である黒髪の女(名前はない)と裁定者のノーナがデキムが裁定を進める様子を見る。
マチコの不倫は一度きりの間違いでしたが、デキムはそれを見抜けずにマチコを地獄に送ってしまった。
ノーナ、怖いっ。デキムへのキレ方は半端じゃなかった。
はじめはデキムの同僚ぐらいかと思っていましたが、どうやら随分偉い方の様子。最後に向かった90階は最上階のようです。なかなか魅力的なキャラクターです。

{/netabare}
黒髪の女は感情豊かなキャラクターで、デキムやノーナと比べると親近感がわく、そんな感じのキャラクターです。
エレベータボーイのクラビィスも髪型、ピアスがすごくかっこいいです。


第3話 ローリング・バラード
{netabare}シゲルとマイは大学生。二人はボウリングをする。
二人は幼馴染で、マイは昔からシゲルのことが好きだったが、シゲルは引っ越していなくなってしまったもう一人の幼馴染のことが好きだった。
マイは自分をかわいい顔だと思えずだんだんシゲルから距離を置いてしまうが、高校卒業を機に自分を変えよう整形をする。
大学でマイが整形したことをシゲルは知り、バスの中でマイに話しかけるが、そのバスは暴走した対向車に追突され二人は死んでしまう。

二人はすべてを思い出し、天国と地獄に送られる前に恋人になり、時間いっぱいまで幸せな時間を過ごした。
そして二人は共に『転生』の裁定を下される。{/netabare}
シゲルとマイが幸せになることができてよかったです。
「では5分ほど・・・」デキムもジョークを飛ばすほどでした。
非常に雰囲気のいい回でしたが、ここからはシリアスな回が続きます。


第4話 デス・アーケード
{netabare} 今回招かれた二人は最近売れ始めたテレビタレント橘みさきとオタクゲーマー立石洋介。二人はテレビの企画と思いデキムの指示に従います。
二人はアーケードゲームで自分自身をもしたキャラクターを使って対戦します。
みさきは自分が勝てないと思うと逆上して洋介の顔を画面に何度もぶつけたりと短絡的な人間で、洋介は親の離婚によって心を閉ざしていましたが父親の再婚相手にもっと優しくなることができたと気づき、自殺したことを後悔します。みさきは虚無、洋介は転生でした。

デキムは裁定者が持つアイテムを使って二人の本性に迫っていきますが、黒髪の女は人間の汚い部分を無理やり引き出そうとする裁定のやり方を否定します。そしてデキムの中に裁定にたいする疑問が浮かんでいきます。
{/netabare}
この回あたりから、クイーンデキムにくる二人よりも、裁定をするデキム達の側に焦点が当たっていきます。

第5話 デス・マーチ
{netabare} 今回の二人は人間ではなく、片方は混濁した記憶を埋め込まれた人形で、もう一人は少年に扮した裁定者ギンティ。
「クイーンの記憶テスト」を行うためにノーナが準備しました。
テストは、デキムが裁定者としてルールを認識しているかをチェックするためのものでした。
全フロアを支配するオクルスが初めて登場しました。
裁定者には心がなく、裁定をやめることができないなど、裁定者についての情報が多く出た回でした。{/netabare}

第6話 クロス・ハート・アタック
{netabare} 今回はアイドルの原田と、そのファンのマユがギンティのいるフロアでツイスターゲームをする。
マユの死因は風呂場でこけて頭をうったこと。
原田の死因は別れた元カノが自殺し、それを恨んだ元カノの姉に爆弾を仕掛けられて爆殺される。(Д゚≡゚Д゚)
原田は生前女たらしで、ゲームの終盤で追い込まれたときにマユを犠牲にしようとすら考えたほどの自己中心的な思想をもっていたが、マユが原田を守るために自ら犠牲になろうとしたのを見て今までの行いを悔い、反省した。{/netabare}

第7話 アルコール・ポイズン
{netabare}今回は回想シーンがあり、デキムの前にクイーンデキムの裁定者をしていたクイーンが出てきました。
裁定者は一定期間で裁定した人間たちの記憶を失ってしまうので、デキムは今まで裁定した人間を忘れないために人形を作っていることがわかりました。
ノーナはデキムの人形を悪い趣味と言いましたが、実をとてもすばらしい行いだったことが分かり、いっそうデキムが好きになりました。

人間、自分が一番かわいいもの。人間を馬鹿にしてきたギンティには、原田をかばって犠牲になろうとしたマユの心理がわからず、裁定に悩む。

ノーナは現在の裁定方法に疑問を持ち、心をもった優しい裁定者を作ろうと、デキムに心を持たせた。そんなノーナにオクルスは探りを入れていき、、、。

そしてノーナは殺人を犯した人間をデキムの元に送る。{/netabare}

第8話  デス・ラリー
{netabare} 招かれた二人は島田と辰巳。
島田はクイーンデキムの出口を探す最中に鞄の中に血のついた包丁が入っていることに気づく。
辰巳は刑事。
二人はエア・ホッケーをすることになる。ホッケーのパックにはそれぞれの臓器が描かれている。
辰巳は自分の妻が殺されたことを思い出す。辰巳は犯人に復讐するために捜査をしていく。
島田は自分の妹を襲った男に復讐を誓ったことを思い出す。
二人はゆっくりゲームを進めていたために時間切れとなり、パックを落とすと描かれた臓器に痛みが走る連動型に切り替わる。{/netabare}

第9話 デス・カウンター
{netabare} 辰巳は妻を殺した犯人に復讐したことでおかしくなり、悪をなした人間に罰を与えていくようになる。
島田は妹を襲った犯人を殺したが、もう一人犯人がいたことを思い出す。
辰巳は悪人に罰を与える過程で悪人が悪をなす瞬間を確認してから殺すという工程を取っていた。
辰巳は島田の妹が襲われる様子を見ていたが、それを傍観していた。
辰巳は島田が探していたもう一人の犯人だった。(正確には島田の妹が辰巳を襲った男の仲間だと勘違いしていた。)
辰巳は島田の妹を襲った男に罰を与えるためにその男の家に行くが、先に来ていた島田がすでにその男を殺しており、後から入った辰巳を島田が男の仲間と思い、島田は辰巳を殺した。そして島田は男を殺したときに受けた反撃の傷によって死んだ。
島田は辰巳の臓器が描かれたパックを貫き痛みを与えることで、妹を助けなかった辰巳に復讐を果たした。
二人は共に虚無に落とされた。

現在の裁定方法は人間の心の闇を無理やり引き出しているだけと黒髪の女に指摘されたデキムの心は揺れ動き、デキムはやってくる人間の記憶を受け取ることをやめた。{/netabare}

第10話 ストーリー・テラー
{netabare} 黒髪の女は人間なので、クイーンデキムに長居することはできない。女の体は人形に変わり始めていた。
今回招かれたのはお婆さん一人で、黒髪の女と共に二人を裁定する。(ちなみにこの老婆はデス・ビリヤードに出てくるお爺さんの妻です。)
二人はババ抜きをすることになるが、二人ではできないのでデキムもゲームに加わる。トランプはお婆さんと黒髪の女の記憶が柄になっている。
お婆さんは漫画家で、自分の頭の中にしかないはずのキャラクターがトランプの柄になっていたことで自分がすでに死んでいることに気が付いた。
黒髪の女はついに自分の名前を思い出す。名前は知幸(ちゆき)だった。
お婆さんはデキムと知幸に多くのものを与え、二人は知幸の記憶に迫っていく。

デキムたちがゲームにしているそのとき、オクルスはクラビスの記憶からノーナがデキムに心を持たせ、裁定の形を変えようとしていることを知る。
{/netabare}

第11話 メメント・モリ
{netabare} ギンティはマユの裁定に迷い、マユを試す。ギンティはマユに原田の魂を取り戻すには変わりの魂を虚無に落とさなければならないと伝える。マユは原田のために別の人間を犠牲にする選択をした。マユは最後に自分の選択には意味があったとギンティに伝えるが、マユは原田と共に虚無に落とされ、二人は虚無で再会した。
知幸はクイーンデキムに来た時自分が死んだことを覚えていた。デキムはなぜかわからないが知幸の裁定は自分がしたいと思った。
知幸は自分がフィギュアスケーターであることを思い出した。知幸は用意されたステージで滑り、自分の人生を思い出すが、膝をけがしたことで選手生命が絶たれたことも思い出した。
知幸は自殺したが、スケートができなくなったことではなく、自分自身がわからなくなったことが原因だった。
デキムは知幸のことを知ることで、人の感情をもっと知りたいと思うようになる。
そしてデキムはメメント・モリというカクテルを知幸にふるまう。そのカクテルには睡眠薬が入っていた。{/netabare}

第12話 スーサイド・ツアー
{netabare} 裁定者は変わることができると主張するノーナ。裁定者はあくまで人形であるとするオクルス。二人は対立する。
デキムは知幸を連れて一番下の階に向かう。
知幸は目覚めるとデキムと共に自分の死から3か月後の世界の自宅にいた。
知幸は自分の死に悲しむ母親の姿を見る。そこでデキムは一人の人間の命と引き換えに知幸を生き返らせると告げる。知幸は母親と再会したいために生き返りたいと願うが、今までにクイーンデキムで出会った人たちのことを思い出し、生き返ることを躊躇する。誰かが誰かのことを思っている。自分の母親のような人を増やしたくない。矛盾する心に苦しむ知幸の姿にデキムのは悲しみ、自宅にいる母親はデキムの見せた幻であることを白状する。裁定のために知幸をだましていたデキムを知幸は許した。
人間に近づくほど裁定は苦しみを伴う。しかし苦しみ、抗うことが生きるということである。裁定者は確かに今を生きている。だからこそノーナはデキムに人間の心を与えたのだった。
ノーナは死にあこがれをもってしまった。オクルスはそうつぶやいた。
人間は死してなお今を生きようとする。デキムはそんな人間を尊敬している。生きてきてよかったといってもらえるような裁定者になることをデキムは誓う。
知幸は思い出の涙を流しながら転生した。
ギンティはマユのことを忘れないようにマユを模したこけしを作った。
そしてデキムたちの裁定は続く。
{/netabare}

デス・ビリヤード
{netabare} 時系列は第5話から第10話の間。
招かれたのはお爺さんと30代の男。(お爺さんは第10話のお婆さんの夫です)二人はビリヤードをする。ビリヤードの球はそれぞれの臓器を模している。
男は学生時代好きになった女性がビリヤードを得意としていたためにその字女性を彼女にするためにビリヤードを練習してうまくなっていた。しかし意外なことにお爺さんも昔ビリヤードの経験があり、男よりうまかった。男は落とされた球に描かれた臓器が機能を停止すると思い込み、お爺さんの心臓が描かれた球を無理に落とそうとして失敗する。男はゲームに負けると殺されると思い込み、お爺さんに襲い掛かる。しかしビリヤードの棒を使った殴り合いでもお爺さんに負けてしまう。お爺さんは生前の記憶を思い出し、その隙に男に反撃される。
男はお爺さんが死んだと思い込み、しかしそれは仕方がないことだと自分を納得させた。
お爺さんは最後まで死んだ記憶を取り戻さなかったが、男は浮気のせいで彼女に刺され殺された。
当然男の方が虚無だと思われたが、お爺さんの口添えで転生させられ、お爺さんは虚無へ向かった。お爺さんが何を言ったか分からなかったですが、おそらくお爺さんが伝えたのは、自分が昔人をいじめていた悪い人間だったこと、そして男が死の恐怖から行動したということをいったのだと思います。 {/netabare}


総評
{netabare}裁定には人間の心の闇をのぞくためにいろいろな仕掛けがありました。しかし人間はその場所や状況で行動を変えるもの。その人の暗い部分だけが真実ではありません。人が優しくもあり、同時に残酷でもある。そのようなことを、このアニメは伝えたかったのではないでしょうか。物事を一つの側面だけでなく、他の側面もないかと目を凝らしてみる。それが人のすべきことではないでしょうか。
暗い話が多かったですが、そこには人間の奥深さが表現されていたと思います。本当に多くの気づきを与えてくれるアニメでした。{/netabare}

投稿 : 2021/03/26
閲覧 : 322

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