「坂道のアポロン(TVアニメ動画)」

総合得点
86.3
感想・評価
2171
棚に入れた
10044
ランキング
202
★★★★☆ 4.0 (2171)
物語
4.0
作画
3.9
声優
3.8
音楽
4.4
キャラ
3.9

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ぶっかけ さんの感想・評価

★★★★★ 4.7
物語 : 4.5 作画 : 5.0 声優 : 4.5 音楽 : 5.0 キャラ : 4.5 状態:観終わった

アニメを観て痺れることなど稀。そしてこれはその稀

本作の特徴を語る時、何としても真っ先に触れるべきは
「演奏時の作画」これに尽きるだろう
各所で評価されているように作中のそれは凄まじいものがある
関係者ではないので作り手が手法としてどれほど緻密なことをしたのか
そんなことは知る由もないが、この作画を体験することは
本作を観る価値と直結してると言っても過言ではない

個人的にはアニメを視聴する上で「作画」に関するプライオリティーは低い
作品を彩る中で重要なカテゴリーであることは間違いないのだが
最終的に面白かったかどうかの判断で、通常ここに重きを置くことはない
これはゲームのそれに似た感覚と言えばわかり易いだろうか
美しい映像は素晴らしい。作り物として衝撃を与えるという意味では目を見張るものもある
しかし、中身がお粗末では「だからどうした?」ということになってしまい
無駄ではないが、労力に見合わない頑張りと評価せざるを得ないことがままある
要は総合的に評価をする上で、ある一つのファクターのみが調和を取れず
一人歩きすることから来る弊害だと思うが、「アポロン」においてこれは発生していない
ストーリー、世界観、音楽、全てが見事に調和・融合を図れており
少なくとも労力に見合わない頑張りで終わっていないことは断言できるからだ

音楽との融合と言えば最近のアニメはその辺りも騒がしく
ここでも話題にしたが、頻繁に見かけるようになった「アニメの演奏シーン」
これについて以下少し触れようと思う

思えばこれが話題になったのはハルヒの文化祭でのシーンがハシリか
ここを叩いたから、ここを触ったからこの音が出ているんだと
これ以降は演奏描写への合理性が追求され始め
「けいおん」「エンジェルビーツ」が後発としてこれに続いた
これも元々はリアリティの追求から発生した
作り手側の遊びと捉えているが定かではない

何故定かではないのか?
こうした描写が多用されるようになった背景に事情を感じずにはいられないからだ
制作コストの回収に関連音楽ソフトの売上が一役かっているのは周知の事実
近年確立されたアニソン系の音楽フェスの影響なども皆無ではあるまい
仮説としては怪しいが、この現象はそうした中で劇中のキャラ自身が演奏していることを精巧な作画によって
視聴者によりバーチャルなものとして感じてもらい、資金源様達のお熱を上昇させることの一助として
発生した一つの潮流と私は捉えている

それにしてもこの流れはなんだ?
利益の対価とは言えアニメーターが自らの首を絞めるような行為で
現状、この描写に臨む為にはハードルが上がり過ぎている気がするし
普通にアニメを楽しんでいる人の中には、違和感を抱いている方も少なくないだろう
勿論私自身もその一人だ
アニメとは毒を食らうこと含め、ここまで心血を注がないと成立しないのか?
注いだ心血の量は必ずしもエンターテイメントに直結しないのに…
そもそも日本人には「技の追求」を美徳とするメンタリティがあるので
この一見殊勝な道程に異を唱えることはいささか苦しくもあるのだが
どうしても危うさを感じずにはいられない

が、アポロンはこれに当てはまらない。またしても例外なのである
本作に限っては、おそらくそんな些末な理由でものを作ってはいまい。
根拠をあげるなら二点。一点は「萌え」が皆無であること
これでは普通に映像ソフトを買う以外に、金をぶっ込む所が見当たらない。
サントラも出るようだが、これは作品が一貫して貫いたテーマを思えば至極真っ当な商売であり
「萌え」を武器に展開するそれらとは明らかに異質
もう一点は「技の追求」がエンタテイメントに直結していること
つまり前述したような「事情」を抱える連中をいろんな意味で震え上がらせる作品であって
こう言う言葉はあまり使いたくないのだが、作品としてちょっと[崇高]
そのタイトルが示すように神々しい存在と言えるのではないだろうか

投稿 : 2012/08/06
閲覧 : 322
サンキュー:

26

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