「風立ちぬ(アニメ映画)」

総合得点
71.7
感想・評価
812
棚に入れた
4280
ランキング
1252
★★★★☆ 3.8 (812)
物語
3.9
作画
4.3
声優
3.3
音楽
4.0
キャラ
3.7

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ネタバレ

sherlock さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0
物語 : 3.5 作画 : 4.5 声優 : 3.5 音楽 : 4.5 キャラ : 4.0 状態:観終わった

生涯最後の作品に込めた願い…

まず初めに…
宮崎駿監督、35年間映画監督業お疲れ様でした

実のところ、風立ちぬのレビューを書くつもりはなかったのですが
9月6日に宮崎駿引退ということで書かせていただきます

本作の主人公は堀越二郎
彼はある日夢の中で、彼が最も尊敬する人物…ジャン・カプローニ伯爵と出会い
近眼で飛行機の操縦ができない二郎に『飛行機の設計』という夢をカタチにする仕事の素晴らしさを説く
そこから彼の飛行機の設計人生は始まる…

1923年
彼は関東大震災という悲惨な大災害が契機となって
後に生涯を共にする相手、菜穂子と出会う
これを観たとき僕は
良い出会いが必ずしも良い巡りあわせから生まれるとは限らないのだなと感じた

次に登場するのは二郎と同じ大学の航空学科、本庄である
彼は映画の中で日本と世界の技術格差を強く主張し
仕事の同僚として二郎のライバルであり仲間で、切磋琢磨して互いを高めあう存在であった

この後はしばらく二郎の飛行機設計への奮闘が続く
さらに、ここで同時に映されていく時代背景によって
貧しい人々がいる時代で大金を注ぎ込み人殺しのための道具を造っている悲しい現実を深く印象づけた
そして、ただ美しい飛行機を造りたいだけの二郎に対して
彼の夢の中で出会ったカプローニ伯爵は
素晴らしい飛行機を殺戮や破壊の道具として利用しているのだと呪われた現実をつきつける

ある日、二郎は風のおかげで菜穂子との再会を果たす
またその日の夜、レストランにてソ連のスパイ『リヒャルト・ゾルゲ』をモデルとしたカストルプが登場するが
僕は最初、このシーンがこの作品においてなぜ重要なのかを理解できていなかった
しかし今考えると、彼は今まで呪われた現実を嘆いていた二郎が結核と必死に闘っている菜穂子との交際で
前向きに生きていくことを決意したことを示唆するために非常に重要な役割を果たしているのではないかと思う

ここからは主に二郎と菜穂子の恋愛模様が描かれる
ただし、この作品はノンフィクションならではストーリー展開で
二郎は菜穂子を大切に想っている一方、仕事にも一生懸命で
彼女もそんな彼を理解し、一人で闘病生活を送っていた
ただある時、彼女は自分の余命を悟りサナトリウムを抜け出し二郎の元へ会いに行った
この後からがこの作品の僕の好きなところで
彼女は自分の死を覚悟し、残りの人生を好きな人と一緒に一日一日大切に生きることを決意した

そして…最後に美しいところだけを好きな人に見てもらって山へ帰って行った…

この作品はスタジオジブリの長編作品で初めて実在の人物をモデルとし、約三十年という半生を取り上げている
また、派手な戦闘シーンはなく大人の純愛をクライマックスとしている
だから僕は、この作品には今までのジブリ作品とは違うメッセージ性を深く感じた
従って、完全に大人向けのアニメとして製作した意図を考えるとやはり
【Le vent se lève, il faut tenter de vivre.】(風が吹いている。私たちは、生きる努力をしなければならない)
が大きなテーマなのだと僕は思う
我々は現在の平和な世界を当たり前だと考え命を粗末に考えすぎているが
二郎の時代には国のために死を選ぶ人や愛する者のために生きたくても生きられない人がいたことを忘れてはならない

{netabare}現在の幸せがあるのはこのような昔の人の辛い過去があることを理解し
これを受け止め力を尽くして生き続け、後生に受け継いでいくべきだ{/netabare}ということこそが

この作品へ込めた『想い』ではないかと思う

は~い、少し重い雰囲気になってしまいましたが
この作品は学ぶべきことが多く後生の人たちにも観てもらいたい作品なので
興味がある方はぜひ観てみてください!!(*´ω`)
(ちなみに僕はまだ20歳で、考えが浅はかかもしれないので何か至らない点があれば気軽にメッセージ下さい!!(^O^)/)

投稿 : 2013/09/06
閲覧 : 264
サンキュー:

17

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