「MONSTERモンスター(TVアニメ動画)」

総合得点
77.5
感想・評価
632
棚に入れた
3492
ランキング
602
★★★★☆ 4.0 (632)
物語
4.3
作画
3.8
声優
3.9
音楽
3.8
キャラ
4.0

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ネタバレ

yoh123 さんの感想・評価

★★★★★ 4.5
物語 : 4.5 作画 : 4.5 声優 : 4.5 音楽 : 4.5 キャラ : 4.5 状態:観終わった

面白いが長い、集中力が続かないかも?

鏡に映った虚像が怪物の姿を映しとり、怪物は自分を始末する
基本コンセプトはシンプルに子供と愛情
でも人はいつも其れを忘れる
そういう話

愛だの友情だのを解決者然として安っぽく持ち出すフィクション程酷いものはない
此の世にそんな都合の良い魔法は存在しないし、肝心な所を其の非現実性に逃げながら描かれた物語は酷い出来である事が殆どだ
MONSTERは其の僅かな例外か、安っぽくないかのどちらかなのかも知れない

怪物は苦界を彷徨し似た手触りの円環を幾つも作っては壊していく
あれでもない此れでもないと世界を食い散らしながら彷徨い、残骸と食い残しからはやがて芽が生える

人の覚悟や想いは、其れが当初どれ程のものであれ、必ず錆付き腐って落ちる
意志や意欲や意図は波の様に寄せては返しを繰り返しながら遠退いていく

ヨハンの中にはニナが、ニナの中にはヨハンがいる
かつてニナに芽生えた怪物をヨハンは一緒に食べた
二人が混ざれば、少なくとも怪物は世界に一人ではなくなる

ニナが薔薇の屋敷行きに選ばれたのはヨハンの所為ではないし、ヨハンが511孤児院行きに選ばれたのはニナの所為ではない
双方の事情に違いがあるとするなら、ヨハンの怪物が解き放たれた時、ニナの怪物は鎮められていた事だけ
双方に共通する事は、最早耐えられず二人の手を離してしまった哀れな母が昔いたという事くらいだ

そしてニナはヨハンに怪物を見て、赦す事すら思いつかず怪物を撃つ
怪物のいない世界をニナは手に入れる
「全部アンナのもの」此れはそういう意味だろう

報われない話としか言い様がないが、物語が此れで終わらなかった事からMONSTERという物語は始まる
作中ヨハンの事件は様々に起こるのだが基本的に上記を同類形に反復する
無論、状況や事情はそれぞれに異なるが

個人的に混乱したのは2つ
1つ目は、ヨハンの中に折り重なっていた絵本は2~3では無い事
時を経る毎に大量の絵本を取り払っていき、其の度に方向性を変えるという事
恐らく最後に重なっていたのがニナ

吸血鬼の家でニナの方にその原型の描写がある
赤い薔薇の屋敷で折り重なる死体の様に、双子のスケッチがばら撒かれていて、かつてと同じ様にその間際に立ち、ニナの語りがぶれ始めヨハンとの境界が滲むシーンだ
雨の描写で二度書きしながら怪物が泣いており、ヨハンも其処で最後の重なりを解いた事が解る
其の下にあったのが、母の込めた憎しみか、名前に込めた祈りだったのかは解らない

2つ目は、怪物に食われた者と、怪物に食われる事を望む信者とがおり、双方は全く違うという事
食われた者は別ものになる、ニナ、テンマなど(将軍も?)
信者の方は自分の思い描く怪物を頂き、その影響を勝手に追従して破滅していく、こちらは例を挙げればキリが無い

原作者は、読者の中にも後者の如く展開に大きな破滅の様なものを期待する人間のいる事を、解しながら描いたとしか思えない、そんな節すらある

なお、前者の原型は双子の母がポッペの怪物を食った事かも知れない

教育や矯正は人の性質全てを覆う事など到底出来ない
当たり前の話だが、いつも人は其れを忘れる
御大層な誰かの円環を頭上に頂き、其れに成った積りで自分も円環をどこぞの誰かに授けたり、方法論を論ったり…
いつの時代の人間も、あれも此れも何もかも~すべきだと喚くのだ

其の輪廻の途切れない事を最後のシーンで見た気がした
勿論、私の方も勝手にそう思ったという話だが

因みに、EDをフジコ・ヘミングが歌ってたりする^^

投稿 : 2013/09/21
閲覧 : 259
サンキュー:

3

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