「COPPELION コッペリオン(TVアニメ動画)」

総合得点
63.0
感想・評価
770
棚に入れた
3787
ランキング
4490
★★★★☆ 3.2 (770)
物語
3.1
作画
3.3
声優
3.3
音楽
3.3
キャラ
3.2

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ネタバレ

退会済のユーザー さんの感想・評価

★★★★☆ 3.6
物語 : 4.0 作画 : 5.0 声優 : 3.0 音楽 : 3.0 キャラ : 3.0 状態:観終わった

タイトルなし

【汚染】された都市に派遣されたコッペリオンの三人と、そこで出会った様々な人との交流を描いた重厚なSFドラマ……に見せかけたSFアクションモノ。

そう、本作はアクションモノである。震災後での製作となってしまったが為に社会派な雰囲気にしなくてはならなくなったという背景があるように思える。
1~4話までのドラマは、あくまでも世界観とかコッペリオンといった設定を順序を追って提示していく為のものでしかない。本作がやりたいことは、5話以降のようなチープなSFアクションなのだろう。
事実、原作では4話までのエピソードは第一部、5話~最終話までが第二部という括りになっている。

キャラクター造形も基本的には、葵に代表されるような誇張の効いた漫画チックなものが多い。キャラクターの掛け合いが面白くなってくるのもまた、5話以降となっている。なので、前半は退屈。

しかし、かといってアクションが面白いかというと、これまた微妙な出来だ。なんせ地味。
作中で一番派手なのが電気の能力者。と言っても【とある魔術の禁書目録】の御坂美琴と比べて、なんとショボイことか……。
主人公は銃や火器を扱えて高い身体能力を有するが、それだけ。鉄グモという巨大ロボットは登場するものの、そもそも演出の出来があまり褒められたものではないので、見どころとは言い難い。


しかし、結論から言うと僕は、この作品をかなり気に入っている。単発のエピソードは微妙に思えても、ストーリーの構成は結構優れている。
演出こそアレなものの(場面に比べて演出が大袈裟すぎてチープに見えてしまう場面が多く、ツッコまずにはいられないシーンも少なくない。キャラの位置関係に疑問を覚えること多数)、美術背景と色彩の出来は素晴らしく、これを眺めているだけでも本編の視聴を苦に感じることはない。雲の流れとかスゲー良い。
戦車が手描きだったり、鉄グモの違和感の無さにも昂揚を覚えた。(恥ずかしい話、パッと見てCGなのか手描きなのか分からんかった)

そして、冒頭にも書いたように、作中の人物が弱者揃いであること。これが個人的に面白かった点だ。
未来の為に人は今を生きる。生きたその先に、未来になにかしらの希望を抱いて。
しかし、コッペリオンに未来はない。
だからイバラは、今に希望を抱く。いつか分かり合えるとか、そういう風に未来を見て動くのではなく、今動く。
彼女は、人を救う為だけに生み出された。つまり、未来のない彼女は人を救わなければ生きている意味が無くなってしまう。
誰かを救うことが、ひいては自分を救うことに繋がる。救いたいのではなく、救わなければならない。その為ならば、泣いて懇願だってするんだ。なんて弱いんだろう。
救うことでしか救われないという、この救われ難さ。

救助される人々も、コッペリオンも、敵対勢力であった第一師団も、そして最後の敵であった小津姉妹も、一人残らず弱者だった。誰も彼もが、救われない。漫画らしいキャラ造詣でありながら、キャラの行動原理が実に人間らしい。
そんな弱い者同士が弱い部分を曝け出し、住処を共にしたり、時に衝突を繰り返し、少しずつ、強くなっていく。全てが変わるワケじゃない。でも、少しだけ変わる。弱さの中に、芯が生まれる。本作の登場人物に芯が生まれていく過程が、本作ではよく作られていたように思う。
一方的に救われるだけの人物も、救うだけの存在もいない。皆が皆、救い救われる関係であり、双方がいて初めて救われるんだ。(こういう感じのお話が戦姫絶唱シンフォギアという作品にもあったけど、だから僕はこの作品にもハマったのかもしれないなぁなんて考えたり)
それが、僕にとってこの作品が胸に残る良作となった大きな理由なんだろうなぁ。

保健係のイバラは当初こそ救うという行為自体を目的としていたが、人との交流を経て次第に救うことに意味を見出していく。
それが実を結んだのが小津姉妹とのやり取りだ。
そして、そんな救われない世界を、未来を生きる子供の誕生で締めくくったのは、感慨深いラストだった。
今を生きる人々が、未来を生きるであろう子どもを抱いて、その誕生の喜びを分かち合う。衝突していた人達も含めた大勢で。
散々引っ張ってきただけあって、視聴後の気持ち良さが五割増しぐらいしてる。


ここまでされたら、恥ずかしい演出も、イバラを演じた戸松さんの似非関西弁も、許すしかないじゃないか。いいじゃん、「すまんやで」とか使われないだけマシだと考えよう。
野生の犬が狼になったっていいじゃん。ステルス爆撃機に追従できるカラスがいてもいいじゃん。……いや、よくねぇな。
原作の段階から科学考証を誰かに担当させてさえいえば、大化けしてただろうに。

投稿 : 2015/07/24
閲覧 : 277

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