「戦闘メカ ザブングル[Xabungle](TVアニメ動画)」

総合得点
66.3
感想・評価
51
棚に入れた
241
ランキング
2863
★★★★☆ 3.7 (51)
物語
3.7
作画
3.3
声優
3.6
音楽
3.9
キャラ
3.8

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ネタバレ

どらむろ さんの感想・評価

★★★★★ 4.3
物語 : 4.0 作画 : 3.5 声優 : 4.5 音楽 : 5.0 キャラ : 4.5 状態:観終わった

明るく活力に溢れる、富野監督のロボットアニメ

「機動戦士ガンダム」の富野監督が「機動戦士Zガンダム」までに制作した三作品(重戦記エルガイム、聖戦士ダンバイン)の一角。
西部劇風の世界観で、個性的かつ野性味溢れるキャラ達がドタバタと前向きに旅を続ける、富野作品の中でも明るい作風。
ガンダム~Zガンダム間の三部作の中では、一番安定したテンポの観易い世界観、殆ど鬱展開も無し、古いですが割とオススメです。


{netabare}『物語』
惑星ゾラという、荒廃した西部劇ウエスタン風味の世界を舞台に、ガソリン燃料で動きハンドルとペダルで自動車みたいに操縦出来る人型ロボット「ウォーカーマシン」が主役の世界観。
ホバー推進で荒野をゆく巨大陸上戦艦「ランドシップ・アイアンギアー」を拠点にして、主人公ジロン・アモス一行は交易したり戦闘に巻き込まれながら、旅を続けていく…。

「三日の掟」という「どんな恨みも三日で晴らせなければ諦めねばならない」ルールが本作の軸になっていて、父の敵討ちを決して諦めない主人公ジロンの生き方に、いつの間にか交易商人一家のお嬢様エルチ(ランドシップ・アイアンギアーのオーナー)や女盗賊のラグ一味も巻き込まれていく。
のだが、その過程が西部劇調かつドタバタ劇の連続!
本当に、いつの間にやらジロン一派が抗争に巻き込まれちゃう感じで、息つく暇も無いハイテンポで面白いです。
…何気にハーレム作品?でもあり?
チル、ラグ、エルチ…後半にも結構可愛い子登場。
ブサイクだけど頑張るジロンの魅力あるので自然ですとも!
あんまりラブコメの波動を感じる作風では無いですが、若干のそんな要素も見所。

一見すると大きな目標も無しに気ままに陸上戦艦で旅している風に見えて、序盤から裏では着々と本作のメインテーマ(惑星ゾラの支配者の思惑)が構築されていく構成の巧さも見所。
ジロン達が執拗に攻撃される理由、ゾラの支配階級イノセントが被支配者階級シビリアンのジロン達を敵視する理由がポイントになっていく。
ここら辺の世界観や物語設定の完成度は非常に高く、全50話通してSF作品としても成立しています。
荒廃した惑星の未来を担う支配者階級イノセントと被支配者シビリアンの関係や思惑が絡み合い、複数勢力の抗争劇に。
複数勢力の大戦争、流石に富野監督作品らしいですが、敵味方関係は非常に分かり易いのが良い。
※最初主人公達に自覚は無くて、成り行きで支配階級に反抗する勢力の中心になっていく流れ、後世の「グレンラガン」にも受け継がれているかも?

総じて
1話1話のテンポの良さは富野作品の中でも「オーバーマンキングゲイナー」に準ずるレベル、全50話の長丁場の割に序盤から最後まで飽きさせない見事なシナリオです。
世界観が良い&分かり易い、一見行き当たりばったりに見えて、きちんと収束していく。
「人類が荒廃させてしまった地球環境、再生させる為の人類の在り方」という「ガンダム」以来の富野監督作品の大テーマもしっかりと盛り込まれている上で、陰気にならずに終始明るく前向きなテンションで駆け抜けた快作です。
キングゲイナーは本作の系譜なのかも。(拠点を移動させて旅するし)
…物語評価は4.5点か迷います。
流石に全50話だと中盤以降の泥沼の抗争劇や、洗脳されたヒロインと向き合ったりする際に若干の中だるみは否めないかも?
とはいえ全50話もある割には、かなり観易いロボットアニメです。


『作画』
流石にキャラデザは決して綺麗とは言い難いが、慣れれば魅力はあります。
ジロンはアニメ史上でも指折りの「ブサイク主人公」だけど、次第にカッコ良く見える!
ヒロイン三人(チルもヒロインでしょう!)は現代基準だと決して美少女とは言い難いが、非常に魅力あり。
エルチは今みてもそこそこ美少女っぽいと思う。

メカデザインは好み次第?個人的にはザブングルはカッコ良いと思うし(ウォーカーギャリアよりザブングルのが好き)、アイアンギアーが人型に変形して巨体で格闘戦やったり、戦闘は大いに燃えました!
確かに最近のロボットアニメに比べ華麗さは無いけれど、本作やこの時代ならではの熱さを感じる。
※2000年代のアニメだと「天元突破グレンラガン」みたいな、理屈抜きの燃え。

ウエスタンな世界観描写も魅力あり。
また実在の銃火器をしっかりと描いたディテールの細かさも魅力。
…決して綺麗でも華麗でも無いけれど、戦闘や移動の演出含めて全話通して魅力を感じるので、あえて高評価。


『声優』
小滝進(大滝進矢)さんのジロンはじめ、全員イメージばっちりの好演。
ラグの島津冴子さんはZガンダムのフォウの前の富野ヒロインを活き活きと好演。
エルチの横尾まりさんやブルメの古川登志夫さんも良かった。
チルのTARAKOさんの演技がかわいい♪ちびまる子ちゃんよりずっと昔のTARAKOさんキャラです。
三枚目のライバル・ギッドホーラは故・二又一成さん。
他にも今は亡き豪華声優多数。
イノセントの指導者の美青年アーサー役の、塩沢兼人さんが印象的でした。

『音楽』
OP「疾風ザブングル」がめっちゃカッコイイ!大好きでカラオケ行けばダンバイン飛ぶと並び必ず歌います♪
また作中BGMもバツグンに素晴らしいです。
陸上戦艦アイアンギアーが荒野を突き進む雄大なテーマから一転してトラブルで慌てた感じの曲に転調したり、終始ハラハラドキドキさせてくれる。
名作アニメは音楽も名曲揃いです!

『キャラ』
ジロン・アモスは「アニメ主人公はイケメン」というお約束を破るブサイク主人公だが、これがカッコイイです。
※近年では「アクセルワールド」のハルユキ君くらいしか思い当たらないブサイク主人公、やっぱり不人気なんですかねぇ。
けど、男は顔じゃないよ~!

全般に明るく前向きで野性味溢れる活力に満ちたキャラクター達が魅力的かつ、親しみ易い。
悪く言うと野蛮というか粗野というか。けれど、そこが本作の魅力になっています。
トリプルヒロイン(ラグ・ウラロ、エルチ・カーゴ、そしてチル)いずれも可愛い。
幼女チルは幼いながらジロンの女房役をこなしたしっかり者かわいい。
エルチお嬢様はZガンダムのフォウに先駆けての洗脳・強化人間ヒロインだったが、最後は大勝利♪
最終話、Vガンダムのカテジナさんに先駆けての失明だけど、幸せ掴めて良かった。
ビリン・ナダとマリア・マリアも可愛い。特にマリアちゃんは結構天使♪

ライバルのキッド・ホーラは三枚目な敵役であったが、しぶとくジロンに食い下がる良きライバルでした。
キッドよりもティンプの方が油断のならない名敵役でした。

敵味方含めていずれも個性的なキャラ多数入り乱れての大抗争。
夫の敵討ちで迫るグレタ・カラスはガンダムのハモンさんポジかも。
敵側の指導者層に実力を感じさせるキャラ居たのも良い。

5.0点か迷った…!
文句無しの役者達揃ってますが、ダンバインのシーラ様やバーン・バニングスに匹敵する程に好きとまではいかないので。{/netabare}

投稿 : 2015/03/06
閲覧 : 409
サンキュー:

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