「聲の形(アニメ映画)」

総合得点
88.8
感想・評価
1499
棚に入れた
7407
ランキング
96
★★★★★ 4.1 (1499)
物語
4.2
作画
4.3
声優
4.2
音楽
3.9
キャラ
4.1

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ネタバレ

STONE さんの感想・評価

★★★★★ 4.3
物語 : 4.5 作画 : 4.5 声優 : 5.0 音楽 : 3.5 キャラ : 4.0 状態:観終わった

単なる障害者感動モノではなく。。。

 原作は未読。
 ネタバレ分類してありますが、ストーリーに関わるネタバレは更に一階層下にしてあります。

 のっけからThe Whoの「My Generation」から始まったのはちょっとした驚き。
 個人的にThe Whoは大好きなバンドの一つなのでテンションが上がってしまったが、
The Whoに関しては「けいおん!」でキース・ムーンの名前が出てきたり、
「映画けいおん!」ではThe Whoのドキュメンタリー映画「The Kids Are Alright」と同じ
ような構図があったり、やはりThe Whoの映画「Quadrophenia」と同じロケ地が出て
きたりで、同じ山田 尚子監督がThe Whoを好きだったりするのかな?。
 どちらにしてもモッズ賛歌とも言えそうな「My Generation」だけに、モッズの傍若無人さと
序盤に登場した石田 将也らの悪ガキ感が相通じるものがあり、なかなか良い出だし。

 凄く繊細でていねいな作画、さりげない所作のきっちりとした描写など、こういうのは
京アニの得意とするところだが、劇場版クオリティということでテレビ作品以上に魅せて
くれる。
 作画が凄いと思うスタジオは他にもあるが、京アニに関しては全体に優しさや上品さが
感じられ、この作品などはそれが見事にはまった印象。
 また×印などのシンボルを使用した心象表現の演出もなかなか面白い。

 演技に関しては全体的に素晴らしかったが、やはり石田 将也役の入野 自由、西宮 硝子の
早見 沙織は印象的。元々この二人に関しては元々、演技力のある人という印象があったが、
本作で更にそれが強まった。

 ただ、やはり最近公開された「君の名は。」でも感じたことだが、内容に対しての尺は
足りない印象があり、まだまだ描ききれない部分は相当にありそう。


 ストーリーのレビューは以下。

{netabare}
 最近、感動ポルノなる言葉がよく聞かれるが、当初は頑張る聴覚障害者を描いた感動モノ
なのかと思っていたら、見事に外れた。
 これは主に将也視点で描いたためで、将也と硝子の、特に将也心の救済を描いた作品といった
印象。
 将也の場合、「硝子へのいじめを反省しました」というレベルではなく、贖罪意識が相当に
強く、一方の硝子も障害者であること自体に自分に非がなくとも、結果として周りの状況を
めちゃくちゃにしている点で罪の意識があるようで、そんな二人が自分に、そして相手に
向き合うようになる過程がよく描かれていたように思える。

 序盤のいじめ、及び将也の罪の意識に関しては個人的にはかなりきた。
 実は小学生の頃、クラスメイトに障害者がいて、その子をからかうような風潮がありました。
 幸い担任がすぐに気付き、学級会が開かれるなどして、いじめに発展することもなく、終息
しましたが、あの時のことを思うと未だに心苦しくなります。
 こういうことは風化することなく、罪の意識はむしろ強くなっていくようで、これは自分
だけでなく、同窓会などで当時のクラスメイトに会うと皆が同じ気持ちみたい。
 この当時は単に気に入らないとかではなく、円滑にコミュニケーションが取れないことに
対する苛立ちや、健常者とは異なる行動がクラスの雰囲気を壊すなどから始まっており、
その辺はまさに本作そのものといった感じで、とりわけ生々しく感じられた。

 あと硝子を取り立てて障害に負けずに頑張る人という描き方をせずに、一人の女の子として
描いていたのも大きいように思えた。
 先天的障害者と話したことがあるが、元々がその状況であったため、本人にとってはそれが
普通で、「頑張っている」、「偉い」と言われることがピンと来ないみたい。
 一人の女の子という部分では、植野 直花という存在も忘れがたい。面と向かって硝子を
嫌いと言えるのは、硝子を障害者として特別視しておらず、対等な一人の人間として見ている
ためなのでは。
 この直花を含めた将也と硝子の回りにできるコミュニティも変にきれいごとで済まさず、
それぞれにちょっとした問題があったりで、その辺のリアリティも個人的には好きでした。
{/netabare}

投稿 : 2016/09/18
閲覧 : 190
サンキュー:

16

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