「機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ(TVアニメ動画)」

総合得点
72.3
感想・評価
739
棚に入れた
3403
ランキング
1139
★★★★☆ 3.9 (739)
物語
3.8
作画
3.9
声優
3.8
音楽
3.9
キャラ
3.8

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ネタバレ

STONE さんの感想・評価

★★★★★ 4.3
物語 : 4.5 作画 : 4.5 声優 : 4.0 音楽 : 4.0 キャラ : 4.5 状態:観終わった

進むことしかできない

 後編視聴済みですが、未視聴の体で書いてます。
 作品全体に感じるのは殺伐とした空気感で、歪んだ社会体制と、それによって生まれた貧困や
差別、命そのものが軽視されているような風潮、理想ではなく生きるために戦わざる負えない
状況などが醸し出していたような。
 ストーリー的にはオルガ・イツカを中心とした少年兵達が鉄華団を結成して、のしあがって
いく過程が描かれるが、その行動は行き場のない彼らゆえに進むしかないという中、少年ゆえの
真っ直ぐさや一度流れに乗ったらもう後戻りできない感じなどにある種の怖さも感じる。
 その戦いも危機に陥った際に意表を付くような方法で打開することが多かったが、この方法
自体が奇策といったスマートなものではなく、命を投げ出すような危険なやり方といった印象が
強い。
 鉄華団がテイワズ傘下になってからはヤクザものの様相を帯びてくるが、ヤクザものにある
不良少年グループが暴力団組織に取り込まれていく展開を思わせるものがある。他にも歴史
ものでよくある、動乱期に身分の差を超えて、実力でのしあがっていく存在に似たような感も。

 行き場のない少年達により結成された鉄華団だけに、団員達はこの鉄華団自体を家族として
認識しているようだが、本作では「互いに寄り添い、助け合う者達を家族とする」考え方が
印象的で、こういった考え方の家族は三日月・オーガス、クーデリア・藍那・バーンスタイン、
アトラ・ミクスタの関係性や、名瀬・タービン率いるタービンズにも同じものを感じる。
 その他にも昭弘・アルトランドやビスケット・グリフォンのそれぞれの兄弟のエピソード
など、家族というものが本作の大きなキーワードになっているような感があった。

 ロボットバトルものという点では、ビーム兵器のないモビルスーツ戦というのが印象的。
 更に実弾にしろ遠距離射撃はあまり効果的ではないとのことで接近戦主体となるが、この
接近戦もビームサーベルのようにきれいに斬るといったものではなく、ぶん殴るといった形容が
相応しい無骨で泥臭いもの。個人的にはかなり好みでしたが。
 それゆえに搭乗員の死も圧死といった描写が多いためにある種の残虐性も感じるが、過去作に
多い爆発するメカというものは人が死ぬという部分が緩和されていた感があり、改めて搭乗員の
死という部分を強く認識したりもした。

 最近のロボットバトルものは昔のように毎話バトルをすることも無くなってきた感があるが、
それと較べても本作はかなりバトルシーンが少なく、その分人間ドラマ、更に政治ドラマ主体と
いった印象。
 それゆえに印象的なキャラが多かったが、その中でも特異性で目を引いたのが主人公の
三日月。
 ガンダムシリーズは作品が多いゆえに多彩な主人公がいるが、その中でもここまでドライな
主人公は珍しく、それが最後までぶれなかった。ドライと言っても、それは身内外に対しての
もので身内に対する愛情はかなり深いものがあったけど。
 行動原理がオルガの意向に従うという点のみでそこに自身の思考はなく、ある種の狂気も
感じるが、一方のオルガも三日月に突き動かされている感があり、共に破滅的なものを感じる。
 狂気という点では、クランク・ゼントの仇討ちを行動原理とするアイン・ダルトンも次第に
狂気を帯びていくが、終盤での三日月との戦いは狂気と狂気のぶつかり合いといった印象。

 主人公である三日月だが、いわゆる三日月視点というものが少なく、そういう意味では
群像劇といった趣きも感じる。
 主人公サイドは少年少女が多いため、ストーリーの中で成長していく描写が多く、特に
クーデリアの成長が印象的。
 少年少女が素直な反面、大人キャラは裏で何を考えているのか判らないキャラが多く、本作
時点での敵味方の立ち位置さえ、後編でどう変貌するのか読めない感があった。

投稿 : 2017/05/07
閲覧 : 253
サンキュー:

2

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