「月がきれい(TVアニメ動画)」

総合得点
93.7
感想・評価
1797
棚に入れた
7562
ランキング
9
★★★★☆ 4.0 (1797)
物語
4.1
作画
4.0
声優
4.0
音楽
4.0
キャラ
4.0

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ネタバレ

戸愚呂(青春) さんの感想・評価

★★★★★ 4.9
物語 : 5.0 作画 : 4.5 声優 : 5.0 音楽 : 5.0 キャラ : 5.0 状態:観終わった

純愛大吟醸

私が英語の教師だったころに、ある生徒が「I love you」を
「わたしはあなたを愛しています」と訳していました。

それを見て私はその生徒に言ったんです。
「脚がきれいですね」って。

それが、私の教師人生最後の言葉でした。

ちなみにその生徒には

「死んだ方がいいわ」

といわれました。


いやー懐かしい夢です。



さて、まじめにレビュー書きます。

「月がきれい」これは、久々に絶好調な作品でした。
画面越しにここまで心を突く作品は貴重です。
久しぶりにだらだらと書いていきます。

中学3年生の繊細な心情を丁寧にすくい上げた、あらゆる面で美しい作品でした。


■物語の構成と演出の美しさ
{netabare}
物語の内容には派手さはない、キャラクターデザインも全体的に派手ではない。それが作品の味を引き立てています。
この青春物語に、そういった派手な要素はいりません。
日本酒のつまみにスパイシーポテトがいらないのと一緒です。一緒ですよ。
このような全体的な調和、バランスがとても良い。
この作品が美しくまとまっている要素の肝であると思います。

・きめ細かい静の演出
 基本的にはこういった細かい演出が光ります。
 視線や表情、声色などで丁寧に心情の表現をしています。
 会話の自然さや間、会話における余白の美とでも言いましょう
 か。不思議と心奪われます。
 人物間の関係の表現も巧いです。
 物理的な距離の詰まり方、開け方、会話の増え方など物凄く自然でした。

 時折垣間見えるこの時代の闇部分もまた一興。
 例えば、運動会のリレーでバトンを落とした茜に対して、表向きはいい
 顔しているのに裏ではトイレで「あれはねーよw」的なことを言って笑
 う同グループの女子達。

 この作品においてはそういう部分を見せないでも見せすぎるでもなく、
 少しだけ「覗かせている」という点が非常に良いです。

 その点でひとつ気になったことが、卒業式の教室で4人が自撮りをする
 シーン。
 あの位置だとどう考えても茜映らないんじゃ!?って思うのですが、ど
 うなんでしょう。
 あれを上で言う闇ととるか、ただの構図ミスととるか、、、。

・挿入歌を使った演出
 印象的なのはやはりこれでしょうか。挿入歌を使った演出は、ポイント
 を絞って当てないと響かないし、使いすぎてもあんまり効果がないとい
 うイメージです。

 本作に関しては挿入歌が多くありましたが、どれも素晴らしいタイ
 ミングと選曲でした。
 後述するノスタルジック要素にも非常に有効なアクセントになってい
 ます。

 個人的に1番良かったのは「やさしい気持ち」です。
 てぇぇぇぇぇをぉぉぉぉ!!!ってなります。

・ラストの演出
 本作きっての動の演出。
 ドラマチックで、心をズイと押し上げてくる。
 畳み掛けるような展開、これまでの静の演出があったからこそ、
 この爆発力。
 小太郎の叫びで涙腺吹っ飛びました。

・エンディング
 そしてこのエンディングの演出。
 毎回EDで流れていたLINEはただの「男女あるあるLINE」ではなかったん
 ですね。
 お見事です。エンディングずーっと泣いてました。

{/netabare}

■共感とノスタルジック
{netabare}
共感できる部分、恥ずかし懐かしいと感じるところが多いはず。
私は悶絶して度々変な声出ました。
あー、こんなことあったなぁと思い馳せたり、見ているこっちが恥ずかしくなるのはきっと、それに近いことを経験しているから、その表現が妙にリアリティ溢れているから、この2点に尽きると思います。

直接は話せないが、LINE(メール)だと饒舌になる(特にこたろ)
返信が来るたびにやたらと高揚す(特にこたろ)
電気の紐でボクシングしちゃう
他人の恋愛事情に余計に首を突っ込む(茜の周囲)
ちょっとしたことで嫉妬する(こた&茜)
電気の紐でボクシングしちゃう
グループ内でなんとなく無理して生活する(茜)
電気の紐でボクシングしちゃう

まぁ挙げ始めたらキリがないのですが、どこかしらに共感し、あの頃を振り返らせてくれることは間違いないのではないでしょうか。

また、挿入歌の選曲もいい意味でいやらしいですね。
選曲がずるい。

LINEでの会話が多いですが、私の時代はもっぱらメールでした。
人によって着信音変えたりして、ある曲が流れるとテンションあがったり、、、。あー、懐かしい。

{/netabare}

■全体的な構成
{netabare}
OPはその回の映像を組み込んだ私好みのものでした。
7話あたりからOP映像が変わり、そこから毎回同じになりましたが、なぜでしょう。

EDは謎のLINEが毎回映っていました。上で少し書いたように、「男女LINEあるある」みたいなものかと思っていましたが、、、。
もちろん、最初はこの作品の登場人物のものと思いましたが、どうもそれも違うな、、、という感じで、結局最後の最後まで気付かなかったので、まんまとやられました。

後はED後の短編。
これ、凄く良かったです。
本編にはないコメディ要素をベタベタな感じで描かれています。
「THE俺様男子」とか「THEめんどくさい彼女」とか「THE妄想女子」
などなど、先生とろまんのその後が気になります。
節子の話の「京都追憶編」はまさかのるろ剣ネタで「!」ってなりましたが放送当時はまだ大丈夫でしたもんね、、、。

1番好きなのは「美羽と稲葉」シリーズですねー。

この短編をくっつけることで、普段は飛ばしちゃう人にEDを観させる働きも少しはしているのかななんて思ったりします。

あのLINEを毎回みていたか否かで最終話の感動がかなり違うはず。

あ、ちなみにOPよりエンディングの曲の方が好きです。
{/netabare}

■まとめ

 OPやEDの演出や、考えさせる魅力と表現方法。私のツボを的確に押さえてきたとんでもない作品でした。

磨きに磨き、極限まで雑味を削り、こだわりにこだわって作り上げた逸品。

スーッと入ってきてふわっと香る青春。

きめ細かく透き通り、それでいて味わい深い。

心も体もポッと暖かくなります。


純愛大吟醸「月」


青春恋愛ものとして極上であると、はっきりそう言えます。


是非一度ご賞味あれ。


◼︎断片(ゴミ)
{netabare}

断片?
{netabare}
今回のレビューから始めました。
完全に突発的なアレです。

アニメ観るときは1話毎に、観ながらだったり1話観終わるごとだったりにかる〜くメモ残してます。
そして、全部観終わった後にそのメモ見返したり、ぼーっと考えたりしながらレビュー書きます。
まずその時に湧いてくるワードを起こしていくのですが、それがこれです。笑
いや、なんで載っけるかって言われたらそりゃなんとなく面白そうだったからですよ。

{/netabare}

脚がきれいですね
純・青春(恋愛)
OPの演出
EDの演出
作中の演出、挿入歌
その時代を想起させる選曲
セリフの間
言葉にならない言葉の表現
LINEというツール
会話における余白の美
声色での表現
表情、視線での表現
心理的距離感と物理的距離感

親の愛
最後の叫び

LINEの回収

あるある集約

純愛大吟醸「月」


(え、これ全然面白くない)
、、、大好評だった断片のコーナーですが、今回をもって最終回とさせていただきます。

{/netabare}

投稿 : 2017/12/20
閲覧 : 310
サンキュー:

34

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