蒼い星 さんの感想・評価

4.0
物語 : 4.0 作画 : 4.0 声優 : 5.0 音楽 : 3.0 キャラ : 4.0 状態：観終わった

とある科学のドラえもん。

【概要】

アニメーション制作：シンエイ動画
1984年03月17日に公開された98分間の劇場アニメ。
原作は、藤子不二雄が『月刊コロコロコミック』
にて連載していた「大長編ドラえもんシリーズ」作品。

監督は、芝山努。

【あらすじ】

のび太は庭掃除の最中に居眠りをして魔法使いとして大活躍する夢を見ていて、
ママに起されてさっさとやるよう叱られた。いくらのび太でも、
魔法なんてあるわけないと理解しながら魔法が使えたらと空想をして、
魔法を試してやっぱりダメだと思ったり、魔法を使える道具をドラえもんに尋ねてみたり。

のび太はドラえもんと一緒に古くなったカーペットを捨てに行ったゴミ捨て場で、
等身大のドラえもんそっくりの石像を見つけて、それを持ち帰ったドラえもん。

ジャイアンの命令で空き地での草野球に参加したのび太は、
試合中にも魔法を妄想して見逃し三振。（原作では更に痛恨のエラーも）
ジャイアンたちに責められ、ドラえもんからも試合中にぼんやりするのが悪いと、
言われたのび太は、ドラえもんとしずかに魔法が使えたらと思ってたことを打ち明けるが、
空想と現実を区別するように諭された。今度は出木杉に相談したのび太。
出木杉だけは真剣に答えてくれて、学問としての占星術と錬金術はかつてはあって、
魔法も化学も実は同じものだったが、キリスト教の異端審問の魔女狩りと、
科学の発達で魔法は迷信として廃れてしまったと教えられたのび太。

科学じゃなくて魔法が栄えた世界になればよかったと残念がるのび太は、
今度は自分そっくりの石像を見つけて持ち帰った。

夜中になっても魔法を諦めきれないのび太は、
「もしもボックス」で魔法の世界にすることを提案。
ちょっと魔法を使ったら元の世界に戻すのを条件に協力したドラえもん。
ところが魔法の世界にしても魔法が使えずに、
道具を使っても魔法なんて無くて無理だったとバカバカしくなって寝たふたり。

翌朝、のび太とドラえもんの石像は消えていて、見上げてみると人間が、
ほうきや絨毯で飛んでいて、本当に魔法の世界になっていた。

ところがその魔法の世界も学歴社会で、勉強しないと魔法が使えず、
進学や就職の手段として努力して魔法を覚えなくてはならず、
小学一年生の魔法すら使えないのび太は現実世界以上に落ちこぼれていて、
思ってた魔法で何でも出来るファンタジー世界と違っていて、あまり夢のない世界だった。

【感想】

大長編ドラえもんの第５作目。

のび太たちよりちょっとお姉さんなゲストヒロインの満月美夜子と、
昭和の人気アイドルの小泉今日子の主題歌「風のマジカル」で、
少年へのアピールが他のドラえもん映画より強めな気がします。

のび太たちが魔法の世界で大魔王に立ち向かう子供向けの夢とロマンのヒーローものと思えば、
夢を見るのは自由だけど、どんな夢でも努力しないと叶わないとの教訓を織り込むのは、
藤子・F・不二雄先生の児童誌としての責任感か親心でしょうか。

それでいて子供が観ていて楽しい魔法の世界の夢とワクワクとの両立。
アニメを含めた創作の魅力は現実世界で出来ないことを代わりに叶えてくれることに尽きるかもです。

今見てみると、シナリオがシンプルかつ展開が早い早い。
子供は熱しやすく飽きっぽいので、飽きる前に矢継ぎ早に次々と進行しているのと同時に、
序盤で伏線をばらまいて、後半に一気に伏線を回収して、
それが大魔王打倒という目標にすべてつながっていく構成の匠は、
エンタメのお手本と言って良くて、さすがは藤子先生です。

それにしてもドラえもんの道具が便利すぎて、大魔王含めた魔族の結末が気の毒ですが、
地球を護るために必要な犠牲でしょうか。子どものときは気にしなかったですが、
ナチュラルに怖いことを藤子先生はなさいますね。

DVD版ですと主題歌と一部BGMが差し替えられていますので、
オリジナルのままで楽しもうと思ったら、動画配信で観るのがオススメですが、
よくよく聴いてみると、「風のマジカル」も大した歌じゃないと思ったり、
アイドルソングってアイドル本人の魅力とかフレッシュな歌声が良いのであって、
アーティストとは別物ですよね。あたり前のことですけどね。
にしても、当時の大人気アイドルのキョンキョンが今じゃ残念な活動家おばさんになったことに、
時間の流れは残酷だという現実を思い知らされてしまいますね。


これにて感想を終わります。
読んで下さいまして、ありがとうございました。