任務で異世界なおすすめアニメランキング 6

あにこれの全ユーザーがおすすめアニメの任務で異世界な成分を投票してランキングにしました!
ランキングはあにこれのすごいAIが自動で毎日更新!はたして2024年05月07日の時点で一番の任務で異世界なおすすめアニメは何なのでしょうか?
早速見ていきましょう!

93.7 1 任務で異世界なアニメランキング1位
幼女戦記(TVアニメ動画)

2017年冬アニメ
★★★★☆ 3.9 (2173)
10452人が棚に入れました
統一暦1923年6月。
金髪碧眼の幼女、ターニャ・デグレチャフは帝国軍士官学校の最終課程、
部隊勤務の一環として北方軍管区ノルデン戦区の第三哨戒線で研修に励んでいた。
航空魔導師として輝かしいキャリアを踏み出すための第一歩である研修は
何事もなく無事に終わるはずだった。

しかし事態は思わぬ方向へ転がっていく。
協商連合の越境侵犯をきっかけに帝国と協商連合は戦争状態に突入。
戦時体制への移行に伴い、観測任務が割り当てられるも、
協商連合軍による奇襲が発生し、
ターニャは敵の魔導師中隊と単独で交戦しなければならない事態に陥ってしまう。
多勢に無勢で味方が到着するまで持ちこたえることなどできるわけもなく、
しかし逃げようものなら敵前逃亡で死罪は免れないという絶望的な状況。
何としても生き延び、上層部に対して最善を尽くしたとアピールするため、
ターニャはとある作戦に打って出るのだが……。

“其れは、幼女の皮をかぶった化物――。”

声優・キャラクター
悠木碧、早見沙織、三木眞一郎、玄田哲章、大塚芳忠
ネタバレ

ossan_2014 さんの感想・評価

★★★☆☆ 2.7

神と子供と会社員

【追記に蛇足追加  再読には及びません】


一見かわいらしい見せかけの幼女が、圧倒的な魔力で戦場を蹂躙する異世界の戦争。

タイトルに挿入された「the Evil」そのままに、まさしく邪悪の権化として死を振りまく主人公が「幼女」の姿をしているのは、ひょっとすると「妖女」の含意であるのかもしれない。

この無情な戦場に、殊更に非情に君臨する「幼女」とはいったい何なのだろう。



{netabare}といった緊迫感は、早々に「幼女」の中身が現代日本から転生したサラリーマンであることが暴露され、霧散する。

主人公に寄り添って物語を追えば、転生したサラリーマンの異世界でのサバイバルであり、「幼女」であることにほとんど意味は無い。

無常な「世界」の意味を問うような緊迫感の消失は、物語の焦点が主人公に「罰」あるいは「挑戦」を仕掛ける〈神〉と主人公の抗争にあって、「世界」自体が興味の対象から外されていることによる。

この視点の「矮小化」は、世界観の設定と主人公の設定の、二方面から生じているようだ。


神に逆らうというテーマはアニメやラノベでしばしば見受けられるが、何故かキリスト教の神を特権化して「神なるもの」全般を代理させることが多い。

「神なるもの」に運命や制度や抑圧を象徴させて「敵」として描こうとする意気込みに対して、日本社会に根付いているとは言えないキリスト教的な神をわざわざモデル化することで、たいていの場合、実体的な超越者ではなく、顔に「神」と書いた案山子を相手にシャドーボクシングを仕掛けているような、空回りした空想性が目立つことになる傾向があるようだ。

本作においても、罰や試練を与える抑圧者として〈神〉が一面化されているのは、主人公あるいは製作者が、自分の身の丈に合わせて「神なるもの」を切り縮めている結果だろう。

主人公が神を「存在X」と呼ぶのは、ある程度この空想性に自覚的であるのかもしれないが、この「世界」が超越者の創作であるという世界観の意味に迫ることなく、ただ「試練」との格闘だけに物語のスケールは切り縮められてゆく。

そして、このスケール感は、この「世界」に投げ出される主人公の、視野の狭さの反映でもある。


転生前の自分を有能な人材であったと自己認識する主人公は、転生先の異世界においても、現代日本で有効であったノウハウで「有能な」人間に相応しいエリートコースに乗ろうとする。

が、「生前」のエリート性の実態が、有能な「サラリーマン」=株主でも経営者でも無い「使用人」であったことに自覚的ではない。
主人公の考える有能な「エリート」性とは、「ご主人様」に命じられた課題と「ルール」をいかに忠実になぞるかという一点に焦点化されていて、自らがルールを創造して「ご主人様」になるような「有能」性は、視野の外に追いやられている。

劇中の描写からは、どうやら、自分の「死」は「ルール」に記載されていない「敬虔」や「慈悲」という無価値な美徳を欠いた結果、「存在X」に与えられた「罰」であると、主人公は捉えているらしい。
ルールに忠実な「意識の高い」自分が、インチキな基準で断罪されるのは不当であると。

が、普通に観ている視聴者には、「殺される」という事態を招いたこと自体が、適切に職務を遂行できていなかった「無能」の結果としか見えないのだが、自分の姿を相対化できない視野狭窄としか思えない。

この視野狭窄の一面性が、戦争状態の異世界へ放り込まれても平然と「出世コース」を探るという「牧歌的」な主人公の精神状態と、抑圧者として一面的に描かれる〈神〉との抗争という物語の基礎となっている。


極めて人工的な恣意性を感じさせる「異世界」が、それでも不思議に空想的な印象が希薄なのは、この視野の狭い主人公の設定が奇妙な整合性を感じさせるからだ。
「不思議」と感じるのは、どうも、この「整合性」が作者や製作者の計算によるものとは思えない印象が強いせいだろう。


会社員として身に着けた世間知と異常な魔力を元手に「出世街道」を上ろうとする主人公だが、これほどの「武器」があれば既存の秩序(の少なくとも一部)を自分の都合よくひっくり返して、造り変えることも可能だ。
しかし、既存体制での「出世」以外の選択肢は、主人公にはない。

あくまで「ルール」の「外」を発想しない思考様式は、「生前」に執心であったシカゴ学派のネオリベ理論と奇妙に符合する。
「ルール」がすべて=ルールに載っていないことは何でも「許される」というネオリベの世界把握は、ある意味では子供の理屈だ。

人間の行動を律するものは、法律や明文化された「ルール」のほかにも、社会倫理や自己倫理、単なる因習や気まぐれなど多様にある。

が、子供の世界には「ルール」しかない。
定義として、自己の核としての内的倫理や、共同体の社会倫理を獲得するという成長過程の途上にある者こそが「子供」であるからだ。

子供の行動を定めるものは、「ルール」という与えられた枠と、そこからはみ出せば「怒られる」という他律的な基準しかない。
「廊下を走ってはいけません」「上履きで校庭に出てはいけません」といったルールに過剰に敏感で、一歩でも「校庭に踏み出した」生徒を学級会でルール違反者として吊し上げる下らない規範意識は、「子供じみた」態度の典型例として定番だ。
一方で、「座って読んでいるから立ち読みではない」と「ルール」の言葉じりをとらえて「違反」から逃がれたつもりになる猿知恵もまた。

「怒られない」限り何でもしてもいいのだ、という子供の行動原理が、主人公と重なる。
「いい年をして」子供じみている主人公の行動原理は、単一のルールブックに反していない限りどのような競争も正当であるというネオリベ理論「しか」行動律のない反映でもある。
あるいは、「幼女」の外見は、子供じみた内面の表現であるのか。

多様な基準を貫いて自身の行動を決定する「自己」を持つものが「大人」であるならば、単一の基準しか知らないのが「子供」であるとはいえるが、「この基準が絶対で、それ以外は守る必要などない」と強制するのがネオリベ理論であって、この「強制」にさらされていた主人公の視野の狭さには、確かに整合性がある。

実質的な軍事体制下にある「異世界」が、ソビエト連邦を連想させるくせに殆んど抑圧性を感じさせることなく主人公になじんでいるのは、主人公ご執心のネオリベ理論が、ある意味で(ニワトリと卵のように)平時の日常世界に戦時の非常事態性を持ち込んで固定化する原因でもあり/結果でもあるものだからだろうか。
ここでも、現代日本と同じ方法論で異世界を「世渡り」する主人公の描写は、やはり整合性があり、現代日本が一種の戦争状態であると表現されている、かのように見える。


だが、〈神〉のスケールの小ささが、やはりこの整合性が計算の結果であるのかを怪しくさせる。

「死」の瞬間、「敬虔」や「慈悲」の欠如を指摘された主人公だが、本来、それらは人の行動律として異常なものではない。

時には矛盾も衝突もする多様な規範の中から、その時「自分が」どう行動するか判断できるのが一般的な普通の大人であり、大人としての能力だが、シカゴ学派のネオリベ理論とやらの唯一の「ルール」しか所有していないことが、主人公の過剰な反発の根源だ。

「敬虔」や「慈悲」が数千年にわたって人類社会に「生存戦略」として機能してきたことに対して、崩壊が目前に迫っているネオリベ理論は余りにも貧弱で勝負にはなりそうもない。

が、〈神〉は「存在X」に切り縮められる。

「敬虔」を象徴するイコンであるはずの〈神〉は、単に自分の教えに拝跪することを強制し、従わないものに「罰」を与える、「存在X」という抑圧者に一面化されてしまう。

「生存戦略」の人格化であった〈神〉は、信仰心と「引き換え」に恩寵を与える「契約者」のごときものとして、契約を拒むものに脅迫で契約を迫る悪徳リフォーム業者のごときものとして、「存在X」に変貌してしまう。

主人公を超越するものとして登場したはずの〈神〉が、まさしく主人公の子供の世界観に適合してしまう展開は、果たして作中で何が争われているのかを曖昧化してしまう。
自分に従わなければ「罰」を与えると迫る超越者は、外観上は主人公の価値観と差異が無い。
主人公の「罪」を鳴らして「罰」を与える根拠は、互いの力関係の大小というだけで、両者が争うことに説得的な理由を見出すことが出来なくなる。

一見して整合性が生じているように見える「世界」は、整合性と引き換えに、そもそもの「世界」の意味が混濁していくかのようだ。

一体、主人公は何と戦っているのだろうか。


劇中の「戦場」で、敵も味方も区別せずに死を振りまく主人公が、情実に惑わされずに状況に応じた冷徹な決断を下している、と見える視聴者がもしも居るならば、おそらく「社畜」の素質があるだろう。

そうでないなら、他者に死を与えるたびに主人公が振りかざす「祖国の為」といった理屈を、主人公自身は全く「信じてはいない」事をどう捉えているのか。
それらの理屈は、自分が他者に君臨するための「いいわけ」でしかなく、理屈の実践のために他者を支配するのではなく、生殺与奪という究極的な他者の支配を正当化するために持ち出されている「口実」に過ぎない。
全く信じていない大義名分を持ち出すのは、自分の生存のためですらなく、安楽を手に入れる「出世」のために他者を殺す口実に「使える」からだ。
もっともらしい「大義名分」の下に殺される敵・味方の兵士は、主人公の出世のための犠牲でしかない。

反道徳的な言動で他者を踏みにじる姿は、ニーチェを誤読した中二病患者の妄想する「超人」をモデル化したかのようだが、ルサンチマンを超越する意思もなく、既存の支配的規範の「威を借りて」恣意的な暴力を行使する主人公は、いわばウルトラ化したルサンチマンの権化であり、こんなものを超人と同一視すれば墓の中でニーチェが激怒することだろう。

言ってみれば、ブラック企業の中間管理職が「会社の為」と称して精神や健康を破壊する過剰労働を強制しているのと同じ姑息さに過ぎない。

戦場に君臨する幼女の皮をかぶった「化け物」というよりも、タイトル通りEvil=「邪悪」が相応しく思えるのは、ブラック企業の管理職のように、「信じてもいない」タテマエを持ち出して、自分の安泰のために他者を踏みつけることを正当化している薄汚さのためだ。
ブラック企業においてすら、「会社が絶対」というタテマエを本気で信じているようなら「管理職」にはなれないだろう。


戦時下の「異世界」では、死にたくなければ戦時下の規範を受け入れる他ない。
自分の「死を避ける」ためには、他者に死を「押し付ける」しかない。

主人公の主観では、このように自分の行動は「現実的」なだけだと自己了解されているようだ。
戦争を終わらせ、死なずに済む「平和」をもたらす為には、戦闘で大勝利することが「現実的」な手段であるのだと。

この主人公の自己了解を真に受けて「冷徹な決断」者だと肯定的に見てしまう感性は、「会社の為」というタテマエを真に受けて奴隷労働を受け入れる社畜根性と同型的に見える。

平和を望むのは、自身が「勝者」として生きるために過ぎない。
戦争が終結しなければ=勝敗が決定しなければ「勝者」になりようがないからで、他者の「平和」に関心はない。
「冷徹な決断」は、ようするに自己保身の理論化だ。

押し付けられた規範に嫌々「妥協」しているのではなく、進んで「同化」する態度は、「現実」の日本社会から引きずられて持ち込まれたものだ。
その意味で、この異世界は現代日本を表現するために創作されたかのような整合性は、確かに感じられるとは言えるだろう。

ネオリベ理論を内面化して抑圧的な権力に同化しようとする「生前」の態度は、ミシェル・フーコーが言及した、遍在する微小な権力が統合されて大きな抑圧権力を構成する「生権力」の姿に過不足なく適合する。

抑圧的な権力に支配されることを承認すれば、自分がより弱いものを抑圧して踏みつける行為もまた、許される。
「ルール」に支配される子供が、「学級会の吊るし上げ」リンチを内心で楽しむように。
そのような微細な「権力」を吸い上げて統合するものとして利用されるのが、一つにはネオリベ理論だ。

従って、視野狭窄の主人公の、〈神〉の存在を否定する動機が「合理性」の有無であるという言葉は、鵜呑みにすることはできない。

主人公にとって身体化されている「生権力」の体系を脅かすものであるから、〈神〉は否定されなければならない。
抑圧の根拠たる生権力が揺らぐことは、自身が微小な「権力」を行使する根拠の消滅を招くことになるからだ。
いや、意思的に否定を「決断」しているのではない。
拒絶の根拠は、〈神〉という属性がどうこうという問題ではなく、「身体化」が必然とする思考以前の「脊髄反射」だ。

ネオリベを基礎づける市場原理主義が「世界」を支配出来るのは、「(生存のためのあらゆる必需品を含め)全ての」モノやサービスは「貨幣を媒介とした」交換によって入手しなければ「ならない」、というドグマを確立したからだ。
生存のための手段は、したがって「金銭を稼ぐ」というただ一つの行為に制約され、金儲けの「ルール」が世界を支配するルールにすり替わる。

このようなドグマは、別に自然法則に根拠づけられているわけではない。
もしも金銭以外の価値や、生存を超える価値が承認されたとしたなら、「ルール」の支配性は崩れるだろう。
市場原理ベースの「生権力」の体系は混乱し、これに迎合することで他者を抑圧支配させていた主人公の微小な「権力」もまた、消滅してしまう。
単一の「ルール」しか持たない空虚な人格であるがゆえに、代替えの基準を持たない主人公は、「ルール」の否定性に過剰に反発せざるを得ない。


だが、ネオリベ/市場原理主義の否定性を〈神〉として導入した安易さが、このような主題化を不可能にしているようだ。
いや、「存在X」が、真の意味で〈神〉であったなら、違っていたのかもしれない。

自身が他者の上に立つ「権力」性の確保を目的として支配的な規範/権力にすり寄る、という意味で、主人公の態度は現代日本でも「異世界」でも変らずに一貫している。

「生きたい」を「金銭を稼ぐ」に一面化する市場原理の生権力と、「死にたくない」から軍政に従わせる「異世界」の抑圧性は、外見的には双子のように似ている。
異世界の「戦争」が、拝跪を強制する理不尽な「契約者」に矮小化された〈神〉=「存在X」によって一方的に押し付けられた「試練」であると設定することで、一方の「生権力」もまた、超越的に「押し付けられた」ものであるかのように見せかけてしまう。

両者が曖昧に混濁して見えてしまう結果、主人公の行動原理の深層も曖昧化したままだ。
主人公の、他者を踏みつける「権力」を欲する欲望が、自身をも踏みつける「ルール」に接近させるという倒錯した深層も。

「ルールには従わなければならない」という行動原理は、いささかも変化していない。
主人公の「敵意」は、実行に伴う「苦労」の多さに向けられるだけで、「従う」という行動原理自体への懐疑は全く生じない。
それゆえに、主人公に「罰」を加える理由も、この「異世界」が果たして「罰」として機能しているのかも全く意味不明にする。

そうして、「生前」も「転生」後も他者を踏みにじり続ける主人公の、「生前」も「転生」後も強圧的な「ルール」に翻弄されているかのような「被害者面」を不自然に感じない視聴者も出てくるのだろう。

このように単純な抑圧者「存在X」が、主人公との対立軸をも単調化する。
いや、現代社会の抑圧に対抗するものを、〈神〉という名の別種の抑圧者の形でしか発想できなかった限界性なのだろうか。


主人公の「本音」が見えない作中の兵士たちはともかく、視聴者の立場で、主人公が冷徹な現場指揮官のように見えてしまう屈折した視聴は、この「世界」が「物語」の舞台として緻密に構築されたものではなく、「マジック・ワード」に依存した一種のゲーム空間に過ぎない印象しか視聴者に与えることが出来ていない事を示しているようだ。

アニメを視聴するとき(フィクションを鑑賞するとき)、たいていの視聴者は、何処か虚空に自立して「実在」している別「世界」に入り込んでいるように看做していることが殆どだろう。
作り手は、なんとか「実在」感を生み出し、視聴者の現実感に接続しようとあの手この手で四苦八苦する。
一方で、ゲームにおいては、プレーヤーを引き込む「実在」感は問題にされず、何処までも恣意的に制作される仮想空間として了解されるようだ。

その意味で、存在X=〈神〉という創造主兼管理者のいる「世界」は、架空の時空間に「自生した」固有の歴史性を持つ異世界ではなく、「運営」が恣意的に作るオンラインゲームのステージと同質と言える。
もっともらしい「戦争」は、創造主に「創造」されたゲーム世界の「設定」に過ぎず、死んでいく兵士や市民も、「創造主」に創造されコントロールされているという意味でNPCと同質であると言えるかもしれない。
本作内の戦争について、その是非や悲惨について考慮するのは、この「ゲーム」空間の恣意的な「設定」に合わせてあちこちから引用してきた「背景」に過ぎない以上、あまり意味がないだろうと感じさせる。
主人公の殺戮は、異「世界」での殺人ではなく、ゲーム空間の「無双」ではないかと。


キリスト教的な、世界の「造物主」としての唯一の〈神〉は、絶対的に「世界」の「外部」に在る、「世界-内」存在である人間にとって絶対的な不可知の存在だ。
何であれ不可知のものは、人間が認識できた瞬間に〈世界-内〉に取り込まれる。
どこまでも〈内〉化できない非・認識の絶対性が、神を定義する。
日本の〈カミ〉のように、お供えやお祈りによってご利益を与える、人間と同次元にいる交渉可能な〈世界-内〉に存在する〈神〉とは異なる絶対性が、造物主としての唯一神だ。

決して〈世界―内〉に降りてこない不在としての神、絶対的な「外部」の存在との契約の不可能性と可能性、このような不条理と信仰の絶対性、などなどの難問は、西欧では数百年にわたって考え抜かれている。
日本においても、遠藤周作が『沈黙』を書いたのは50年以上も前だ。

人間の眼前にある案山子に『神』と書き込んであれば〈神〉扱いして疑問を持たない、というのはラノベ/アニメ周辺のローカル・ルールに過ぎない。
〈世界-内〉に入り込んで「世界」に自由に干渉する「造物主」は、ラノベ/アニメの外では存在矛盾として成立できないだろう。
案山子の〈神〉は、「全能の」神という一種の「マジック・ワード」として、製作者の代理として「世界」の創造や改変を容易化してくれるものとして導入される。

しかし、容易化は安易化として、創造された作品「世界」を、人為的なゲーム空間に矮小化してしまう。
「存在X」と呼称する、〈神〉性を引きずった、「世界」内に立ち入って自在に干渉する「造物主」を導入することで、「運営」が作り自在にコントロールする人工的な「ゲーム空間」に、異「世界」は同質化することになる。

主人公の利己的な行動が爽快に見えてしまうのは、主人公が「物語」の登場「人物」ではなく、単なるゲームのキャラとして、「ゲーム空間」で都合よく無双をしているに過ぎないと無意識で解釈されている結果ではないか。
主人公が現代日本から「異世界」に転生したという設定も、単に、初めて絶滅戦争という異様な形態の戦争を経験しようとしている「異世界」にやってきた、すでに絶滅戦争の世界大戦を経験している現代日本人という、一種のチート的な優位性で「無双」をするネタに過ぎないものに、これまた矮小化されている。


【追記】
敗者が抵抗をあきらめずに「復讐」する不合理な感情が、「戦争」を終わらせようとする「合理的な」行動を無駄にすると語る主人公だが、勝者の立場に立ち、他者の反抗を認めない傲慢からくる事実誤認に過ぎない。

敗者の抵抗が続くのは、この「戦争」が現実の世界大戦同様に「絶滅戦争」=どちらかの国家が絶滅するまで終わらない異様な性質のものであるからだ。
作中での、後方の民間人の殺戮も、この性質から余儀なく生じている。

相手が絶滅するまで、あるいは国体が完全崩壊する=敵「国家」が「死滅」するまで戦闘が継続されるということは、死滅しない限り敵への反撃を止めては「ならない」ということでもある。
感情的に「もう戦争は嫌だ」と思っていても、息がある限り「理論上」反抗を止めることが出来ない。

敵の執拗な抵抗は、感情に駆られているのではなく、主人公が敵国家の完全壊滅を完遂しようとするのと正に同じ「論理」の裏返しとして、選択の余地なく発生してくる。
自分が優秀な「合理主義者」で、馬鹿な敵が感情に任せて抵抗してくるという主人公の自己認識は、全くの的外れで、視野の狭さからくる「合理性」の不徹底さを露呈しているに過ぎない。
視聴者までが、この自己認識を真に受けて、優秀な合理主義者だと看做してやるいわれはないだろう。

そもそも転生の原因となった「死」も、一方的な逆恨みの被害であると疑われていないが、普通の企業であれば、職務の遂行において「殺される」ほどのトラブルを発生させることは、直ちに「無能」とみなされる。

逆恨みされて転生した「エリート」が「優秀な合理主義者」として戦争を生き抜こうとしているという主人公の自己認識は妄想的で、「認知のゆがみ」を引き起こしているのではないのか、と疑ってみるほうが自然な気がする。



労を惜しまずに設定を積み重ねれば、「存在X」という案山子の〈神〉など導入しなくても、このような「異世界」とサラリーマンの「転生」を創造することは可能だったろう。
世界を支配するルールと人間の対決を描く為には、〈神〉は必要条件ではない。

設定の土台を、案山子の〈神〉=作者の傀儡に過ぎない造物主に置いてしまった安易さが、「異世界」につづられる「物語」なのか、ゲーム空間での妄想的な無双であるのか、分裂して中途半端に揺れる視聴感になって現れてくる。

一見、現代日本を批判的に再現したような「世界」と「物語」は、結局、オンラインゲームに閉じ込められたトッチャン坊やのクエストと同型だという印象しか与えることが出来ていないようだ。

これだけの道具立てをそろえながら、幼女の外見とサラリーマンの内面のギャップの笑いと、「無双」で破壊されるビジュアルの派手さだけが見どころであるというのは、なんとも勿体ない気がする。{/netabare}



それにしても、アニメ作品の評価に「声優」を独立した項目として入れるのは妥当なのだろうか。

確かに、声優はキャラクターに生命感を与える重要なパートではある。
しかし、世界観の破綻や、脚本上の不備を修正できる立場にいるわけではない。
そのような作品でキャラに生命を吹き込んでも、「不条理な世界にも関わらず『生きいきと』生活する狂人」が生まれるだけだろう。

そんな立場である声優に評価の一端を背負わせるのは、余りに気の毒な気がする。

投稿 : 2024/05/04
♥ : 15
ネタバレ

明日は明日の風 さんの感想・評価

★★★★★ 4.2

現代のリーマンが少女に生まれ変わって戦争を生き抜く物語

原作未読。予告でかなり気になったので視聴です。1話見て、最後まで見ようと決めました。

今期の戦争もの。ヨーロッパを下地にしているのかな。魔導を使ってガンガン撃っていく、そして主人公は厳しい性格。キャラデザインも含め、イゼッタよりハードな感じがします。


1話…いきなり前線での戦い
{netabare}最近の戦争ものは、顔見せや世界観を知るためにゆっくりした始まりなるものが多いのですが、これはガンガンやり合いで始まりました。

主人公のターニャは少女というよりは幼女。が、強すぎる戦力。頭も切れるし、非情な性格。この子を軸に、大人たちの思惑が交錯し、戦いと世界の秩序が形成されていくのでしょうか。

BGMは重厚、中の人たちも厚いです。悠木さんの声が良いですね。早見さんは今期も戦争ものですか。フィーネと容姿が全く違うのでいいか…{/netabare}

2話…悪魔はいかにして生まれたのか
{netabare}いきなり現代の話。チャンネル間違ったのか?と思いきや、幼女戦記だった。やり手のサラリーマン、会社のため…というより、自分のためにリストラ言い渡しも容赦ない。その帰りの電車待ちの時に、リストラ言い渡した社員にホームから突き落とされる。時間が止まる。神とおぼしき者と会話をする。噛み合わない会話、神とおぼしき者からそのリーマンは転生を余儀なくされる。飛ばされたのは戦争間近な国の孤児院。リーマン時代の意識を意識を残したままの転生だった。
魔導の能力があり、進んで士官に。上級官として下級へのあたりはリーマン時代のまま、愛情の欠片もない。訓練に向かうと戦闘に巻き込まれるが、能力と思いだけで乗り切る。思いとは…「離脱して後方にまわれる」というものだった。しかし、その戦績が高く評価され、思いとは別に軍の顔とされるのだった。

面白い。2話にしてこれはちょっと異例なほど面白いと感じました。これはなかなかない世界観で引き込まれます。後半、ちょっと吹き出すようなセリフぶちこんできて、ターニャの中身や本当の考えが少しずつ分かるようになっていたのも良かったです。
何より悠木さんが良いです。ターニャの怖さと裏側のリーマン的考えを上手く表現しているし、可愛いところも存分に伝わってきます。
これは本当に面白そうだ。{/netabare}

3話…アナタハカミヲシンジマスカ
{netabare}今回も過去の話が中心。
前線から離れることを目論むターニャ。試験飛行に参加するが、失敗の繰り返し。開発担当者はターニャと同じような性格。当然、ぶつかってばかり。そんなときに神とおぼしき者からまた会話を求められる。信仰云々言ってくる。それを追い払うターニャ。
翌日、試験飛行は成功する。担当者は言った。神の存在など信じなかったが、神に祈り成功したと。ターニャは戸惑った。

ターニャは変わり始めているのだろうか。いや、性格は品曲がったままだと思う。{/netabare}

4話…策士、策に溺れてドボン
{netabare}大学生活を謳歌するターニャ。そんな中、軍の幹部と接触する機会も増え、感触が良いと感じる。一人の幹部から先の見通しについて質問を受け、相手の考えを探りながら答える。それが論文となって上層部に伝わるとも知らずに。
ターニャは大学生活で得た感触から後方だと信じていた。が、目論見は脆くも崩れる。ターニャが語った魔導士大隊の責任者に選ばれたのだ。最前線である。愕然としながらも仕事をこなす、しかもわざと遅れるように。が、助っ人参上でそれも叶いそうにない感じで…。

流れるような話の回でした。戦闘シーンはないけど、ターニャの心の中が見えて面白いです。策に溺れて最前線、自分の評価を見誤ったという感じかも…{/netabare}

5話…吹いたビールを返してほしい
{netabare}ターニャのもとを訪れたのはヴィーシャだった。ターニャの目論みが外れ、どんどんと進む面接。しかし、基準が高く、とても大隊を作れるような人材は集まらず。しかし、基準を下げろと言われ、またしても目論みとは違う方向に。
人材は揃ったものの、とても強い隊を作れるような強さはないということで、鍛えることに。しかも1ヶ月で。ターニャの厳しいというより、脱落させるとしか言いようがないほどの訓練に耐え、脱落どころか、強い隊になってしまった。
南東に向かうように指示を受けるが、その先にはダリア公国があった。ダキアは国境付近を探っているようだが、ターニャが掴む情報はとても近代戦のものとは思えないものばかりだった。ターニャは実弾訓練と称し、隊を引き連れ向かう。ダキアの軍はまさに前時代的な戦いだった。魔導隊には全く歯が立たず、壊滅。ターニャは狙いを首都にした。軍事工場をねらい、宣誓を行う「しぇんせぇ~わ僕たち、私たちは…」(幼女風に)。圧倒した。

やることなすこと裏目に出てしまうターニャに笑わせてもらいました。でも最後の幼女宣誓は卑怯です。ビール吹いて拭くの大変だった…。
ヴィーシャの存在が良いです。ターニャのこと分かっているから、とっとと坑を掘りにいった場面は笑いました。キャラデザインどうかとも思いましたが、慣れると可愛くさえ思えます。
ダキアはルーマニアのことか。世界大戦の前だからこんな感じか。{/netabare}

6話…世界大戦はすぐそこまで
{netabare}帝国は2つの戦線を抱えていた。特に協商連合との戦いには苦戦、そこにターニャの軍が送られることになった。
協商のバックには帝国と敵対する列強諸国が加勢し、飛行機はじめ近代兵器が揃っており、帝国は押されていた。そこにターニャの軍がやって来た。ターニャは隊を鼓舞し(25年ものをかけて)、戦う。
ターニャの軍は協商連合の想定を越えていて、協商連合の軍は引かざるを得なかった。ターニャが落とした飛行機に行くと、存在Xがターニャに語りかける。ターニャは振り払うしかなかった。その後、ターニャは協商連合の通信基地を破壊した。

先頭シーンが多くなってきました。戦争が始まるという感じです。ターニャは敵の他に神様的な存在と戦っていかなければなりません。
ターニャの存在が世界大戦を早めてしまっている気がするんだが…{/netabare}

7話…まさに悪魔
{netabare}協商のスー大佐が港で家族を見送る。娘から早めのクリスマスプレゼント(銃)をもらい、どう見てもフラグ。
ターニャは軍幹部と会談中。意見の相違でイライラ。その後、作戦指令が出されるが腑に落ちない。その指令は港の砲台を潰すこと。ターニャは気づく、これは艦隊を寄せ上陸作戦の前段階のことだと。
時間は限られていた。ターニャの部隊は次々と砲台を潰していくが、協商の軍も抵抗する。そして砲台がすべて潰され、協商の軍は作戦の真の狙いに気づくが時すでに遅し。帝国の軍は艦隊とともに現れ、上陸が始まった。最後のあがきとスー大佐が突っ込んでくる。そこには因縁のターニャがいた。ターニャは大佐を撃ち、ライフルを取り上げ、大佐は落ちていった。ターニャは奪った銃を持ち、自分へのクリスマスプレゼントだと言い放った。

1週分すっ飛んで再開。総集編は要らないです…。
ハードな展開にぞくぞくです。ターニャの悪魔さ加減は相変わらずで、容赦なし。ターニャが進む道は天国か地獄か? 天国ではないさね…{/netabare}

8話…これは戦争である
{netabare}協商との戦闘が終わり、ピクシー隊は新たな戦闘員も加わって、ライン戦線で戦っていた。
ターニャに新たな命令が下る。共和国からぶんどった領地の市民が共和国軍をバックに蜂起して帝国軍がガタガタになっており、これを抑えるというものだ。しかし、バックに軍がいるとはいえ市民であり、無差別には攻撃できない。そこで市民の避難勧告を行い、残ったものは共和国軍と見なして殲滅するという非常な作戦だった(しかも、この作戦の原案を構築したのはターニャの論文だった)。
この作戦を部隊に伝えると、部隊はざわついた。民間人を巻き込むことが必至だったからだ。作戦が開始され、街はめちゃくちゃに。市民も多くの犠牲が出ている。それを見た隊のウォーレン少尉はターニャに意見するも、ターニャは言い返す。ウォーレンは頭を壊しながら街を撃つのだった…。
その頃、撃たれて海に沈んだはずのスー大佐が意識を取り戻した。彼が見たのは神で、ターニャを滅してやると誓う。

今週からEDが変わりました。物語はいよいよ佳境に入るということでしょうね。
ターニャの悪魔度が更に増した感じですが、根本はリーマン時代のままなんですよね。上の命令は絶対、義務を果たす、下が上に逆らうことは許されない…。戦争だろうがなんだろうが、自分の仕事をこなすだけ、そこには人の命の重みなど感じてはならないし、自分がこなした仕事の成果が上がれば良いだけである。鬼畜だが、ターニャのような考えを持った人はいる。戦争なら貴重な戦力なのも分かります。すごい重い話です。{/netabare}

9話…もはや人間兵器である
{netabare}列車で本部に向かうなか、ターニャは鉄道部の少佐から今後行うであろう作戦のことを聞く。ライン戦線を捨てる振りをして包囲する作戦だった。
本部では作戦をめぐって意見を交わしていた。そして作戦が実行される。ターニャたちは撤退の殿を努めていた。厳しい状況で負傷者も大勢だった。中には腹が割かれた感じのものもいた。
作戦には新たな兵器が投入されることになった。それを開発したのはターニャの天敵、あのドクトルである。ろくなものじゃないことは察していたターニャだったが、今度の兵器は魔導士入りロケットで、敵の中枢まで飛んでいき、一気に壊滅させるというものだ。本当にろくなものではなかった…そして作戦が実行される。

まさかの人間ロケット…。飛んでいくときのターニャの叫びが非常に…おかしくて(かなり真面目なシーンなんだけど)。隊員たちが緊張するなか堂々と寝ているヴーチャの大物ぶり、Cパートでの腹痛のオチなど、重い話しのなかにちょこちょこ笑いを差し込んでくるところがこの作品の好きなところです。
どんどん厳しい戦いになっていきますが、ターニャは存在Xに一泡ふかせることができるのだろうか?{/netabare}

10話…戦いは終わらない
{netabare}ロケットで敵中枢にぶっ飛んでいったターニャの部隊。電撃作戦であり、時間は限られていた。その頃、帝国では軍と行政官たちが会議を開いていた。戦いの状況が思わしくないことに責める行政側、作戦を隠してのらりくらりの軍部。その時、一報が届く、作戦が成功したと。一気に盛り上がる軍部に対して、呆気にとられる官僚たち。
作戦を成功させたターニャたちは潜水艦で移動した。その頃、帝国の作戦は執行され、次々に成功し、共和国軍を追い詰めようとしていた。ターニャたちは最後の戦いに加わるべく向かったが、謎の魔導軍が現れたという。ターニャの頭に戦後の生活が頭をよぎった瞬間、グランツが撃ち落とされる。相手は海に落としたらはずのスー大佐だった。

このアニメは戦闘のシーンをしっかり描きます。グロいと感じる場面もね。
軍部内の会話も本当に面白いというか、良い声の男たちの競演なので、しっかりした厚みある感じがとても良いです。
それからCパートでのオチ、毎回笑わせてもらいますが、今回は特に可笑しかったです。ヴィーシャ、君は女の子だ…いちおう…{/netabare}

11話…戦後を夢見て
{netabare}協商と共和国の魔導士たちに襲われるターニャたち。苦戦というより、ヤバイ状況。次々落とされ焦るターニャだが、部下たちを見て怒りが湧いてくる感じである。部下をかばい、スー大佐と正面激突、大佐は存在Xとなっており、ターニャはピンチに陥る。激ヴィーシャの機転の利いた一撃で難を逃れたターニャは存在Xを撃ち落とす。
危機を脱出したターニャたちに届いた連絡は共和国軍の掃討作戦で、帝国の勝利が確定したことを伝えるものだった。
共和国は首都を捨てるように無血明け渡ししたが、実は裏があった。それに気付いたターニャは敵の作戦を断とうとするが、帝国軍は聞き流すのだった。

戦後を夢見ていたターニャに追い討ちをかける展開が何とも戦争ものっぽいです。
ここにきてヴィーシャの存在が大きくなってきた気がするんですが、どうなんでしょう。話が続いたらターニャの敵になるんですけどね、パターン的に。
それから、おっさん時代には考えられなかった、部下を気にしたり、かばったりするところ。神を信じる云々より大きな変わり目のように感じました。
いよいよラストです。どうまとめるのでしょうか。{/netabare}

12話…戦争は終わらない、物語も終わらない
{netabare}ターニャが危惧していたことは軍中枢には伝わらない。勝利が軍全体を浮かれさせてしまっていた。ターニャは人の感情が狂わすこと訴えたのだ。
ターニャの危惧していたとおり、共和国軍は着々と反攻の準備を進め、帝国に恨みを持ったり、力を恐れたりした国々が帝国を討とうと加わってきた。それにようやく気付いた軍部は焦った。焦ったところでまともな作戦も立てられない。とりあえずはゴドール率いる共和国軍の集まる港を討とうと進め、その役目をターニャの軍に負わせた。
合衆国では軍への志願者を募っていた。そこに、スー大佐の娘が志願してきた。理由は「憎き帝国を討つ」ことだった。憎しみは憎しみを生み出す。終わらない戦いが続く。
ターニャは隊で檄を飛ばす。神に反抗する、神のごとく戦うことを祈り。

ここで終わりとは…続きが気になります。戦いの続きに存在Xとの決着、ターニャの最大の敵になりそうなスー大佐の娘との因縁等々。スー大佐の娘のシーンで終わったらもっとモヤモヤだったかも。とりあえずはまとめましたということかもしれませんね。
ターニャはなんだかんだ言いながらも、リーマン時代より人間的に大きくなった気がするんですが。部下を守ったり、上司に意見したり、人の感情について考えたりと、リーマン時代には考えられなかったのではないかと思います。でもやっぱり続きが見たい…{/netabare}

少女が主役になるという、しかも裏方ではなく兵士として。異色の戦争ものでした。戦いのこともそうですが、ターニャの人生観や思考について、いろいろ考えるように設定していて、たいへん面白かったです。また、存在Xとターニャの会話の対決も興味深いものでした。

笑いやホッとする場面を所々にぶっ込み(ヴィーシャの存在も)、重くなりすぎないようにしているところが良いです。戦争ものなだけに、どうしても重い話を入れざるを得ません。人が死んでいる場面もキチンと投げずに描写していたと思います。

中の人については文句のつけようがありません。渋い声だらけの重い演技の中に混じっても、跳ね返すだけの迫力と可愛さ、ひときわ存在感が際立っていたように感じました。また、作画も戦いの場面は中々のものでしたし、ロケットで突っ込むシーンも迫力ありました。

戦争ものではありますが、人の感情や考えを捉えるような話が中心になっています。最後まで飽きさせない作品でした。

投稿 : 2024/05/04
♥ : 68
ネタバレ

pister さんの感想・評価

★★☆☆☆ 1.8

やっぱりダメだったよ

自分頭悪いんでイマイチ理解できない…。
ってことで整理のためメモ。

4話までの感想
{netabare}えーっとまず大前提として、リストラ社員に駅で線路に突き落とされたのは「信仰心が無かったから」。
逆に言えば信仰心があれば回避できた事件というワケで、たまたま運悪く頭のおかしい社員の首切り担当をさせられたということではない。
(もしその場合は存在Xも「不運だったね」で話しかけてくることはなかったであろう)

が、この大前提はあくまで存在Xの見立て。
それに対し主人公は「その通り」と思ってるのか「そうではない」と思ってるのか、どっちなんだ?
前者であるなら存在Xの言ってることを信じることとなり、既に信仰してるのと変わりないような?
または後者であるなら、じゃあ突き落とされた原因は何だったのか・どうすれば回避できたかという追及はしないのだろうか?

2話見てから1話を思い返して「あれ?」と思ったのだけど、命令を聞かない部下を死地送りにしたのは単に性格が悪いから、と描かれてるように見えるけど、
実は前世の体験から「使えない部下は生かしておくとこっちが後ろから撃たれる」というトラウマに因り出た行動だったのでは?と思ってしまったり(好意的解釈)。
けど話を見てくとそうではない?

で、4話で違和感がいよいよ看過できないレベルに来たのだけど、「前世で殺害されるほどのことをやらかしたことの反省・教訓」は全く踏まえてない?
学校にライフル携帯して通うのはてっきり味方からの闇討ちを警戒してかと思ったら…え?そうじゃないの?
なんか優秀っぽい振舞いをしてるけど、全然教訓にしてないってのはどうなんだろ?
あくまで突き落としたリストラ社員が特別に異常者なだけだったと思ってるのだろうか?
まぁこれは自分が「存在Xを否定したいのなら“信仰ナシでも誰からも恨まれることのない振舞いをする”が正解じゃね?」って思ってるせいもあるんだろうけどさ(正解は1つだけじゃないからね)、そう考えると軍に入って戦争に参加して人殺した時点で詰みなんじゃねーかなぁと思ったり。
どんなに順風満帆な生涯を送ったところで人である以上いつかは死ぬワケで、転生も1回で終わらせてくれるとは言われてないワケで(※)…。

因みに※部分の考えに至ったのは、3話で、普通に考えたら畜生や虫ケラに転生させるなり地獄落とせばいいのに、何で特別な力与えた上に更にレアアイテムまでプレゼントするんだろ、アホなんかな?と思ったから。
これってむしろ前世で善行積んだものが受ける処遇じゃね?と。
あの世界で魔法も持たず、他に才能もなくミジメな生活をしてる人は前世でどんな悪行したのよ?と、どうしても思ってしまうのよねぇ。
で思ったのが、既に転生は何万回何億回と繰り返すのが予定済みで(異教徒がちょっとやそっとで改宗することはない、ってのはXも承知してるでしょう。拷問にかけて100回殺しても改宗しないぞ、多分)、「一周くらいボーナスステージ与えてもいいかな~?そっちのほうがその次の転生でダメージ大だし」ってことで能力やレアアイテム授けたのかな?って解釈。
つか“命令違反した部下を死地送り”したヤツが“不信心者を能力持ちで転生させた”者に不平不満を述べても説得力が無いしのう。

あーそれとこれは文句じゃなくて、自分みたいな頭カタい人はどう解釈したらこの作品を違和感なく受け入れられるだろう?っていう視聴姿勢の模索です。
こういう見方もあるんだなー程度に捉えてくれるとありがたい。
これでラストが「実は神に寵愛されてた」ってオチなら笑えるけど、果たして…{/netabare}

2月4日追記{netabare}
上でゴチャゴチャと書いたけど、おかげで整理が付き始めました。
存在Xが信仰の無いことが原因だと断じてた「前世で殺された理由」、信仰どうこうは置いておいてもっと直截にいうなれば「人間性の欠如」ではなかろうか、と。
前世で殺される直前まで勝ち組めいたことを嘯いてたけど、家族も友人も居なさそうでとても勝ち組には映らなかったんだよねー、自分の目には。
それに対して何も感じてない辺りただのコミュ障以上に病状は深刻で、ある意味私がモテないのはどう考えても~のもこっち(※)以上に見てて痛々しい。
これは性格悪そうに描かれてる通り、作り手も狙ってそうしてることなので読み間違いとか重箱の隅とかではない…と思いたい。
そして転生後に墓穴を掘るのも、結局は「人間性の欠如→他人の感情を読めない→誤解される・足元を掬われる」ってことかと。

ぶっちゃけオチはどうなるかのネタバレは聞いてます、但しあくまで大雑把なものだけど。
ということでオチは知ってるけどアニメでそこまでやるか知らないし、問題はオチそのものではなくそこへ至る途中で「人間性の回復」があるのかどうか?
ってのが自分的な興味の対象なんだな~と気づきました。
別に人間性の回復といっても大仰なことでなく、合理的ではない感情的な理由で「友達っていいなー」とか「この部下は失いたくないなー」とかその程度に思うことね。
ヴィーシャとかそのための配役なんじゃないかなー、なーんて思ったり。
まぁ一番は前世で殺されるに至った自分の行いを省みることだけど、そこまでは行かない予感がする。
それをしない時点でエリートリーマンにはとても見えないし、自覚症状すらないコミュ障がただ無双するだけの作品に終わる可能性は高い気がするけど…果たしてどうなるであろう。

※コミュ障って言葉を使ったけど、アニメなどで見るコミュ障の大半は対人恐怖症的なものが多いけど、決してそれだけではないかと。
私がモテないのはどう考えても~のもこっちでいえば同級生相手にはオドオドしてたけど、目下の小学生相手には大きな態度をとっていました(カードの回とか)。
ターニャも同様、前世で歴史を知ってるというアドバンテージを引っ提げて他人を下に見てるからこそあんな態度でいられるのであり、前世も会社を笠に着てたキライがある。{/netabare}

5話感想{netabare}
と、やっとこさ見方の整理が付いたところで5話感想。

お?不採用言い渡す時に幻影(?)使って自身の姿は見えないようにしてるのって、前世の教訓を生かしてる?
やっぱ気にしてる…のかな?
おお、これだよこれ、こういうのを見たかった。
今後もこんな感じで、失敗したことを対処→ダメだった部分を改善し続けていったらいつの間にか真人間になってたって流れ(実際にそうはならずとも、そう匂わす程度でいい)になってくれると良いんだけど…。
但しこの場合「どうしてこうなった」に繋がるネタは同じものは二回と繰り返せない、引き出し大丈夫かのう。
んで訓練では例によってコミュ障ゆえの読み違いで士気を高める結果に。
う~ん、言ったそばから同じネタ使い始めてるような気がしないでもないけど…これで恨みを買って後ろから撃たれたら前世の二の舞のような?
今回は見た目が幼女なのと絶大な魔法力を背景に造反は抑え込めると思ってるってことだろうか。

後半の戦闘(虐殺)シーンは、まぁこれはこれで。
侵攻してきたのは向こうだもーん、ってことで虐殺でも何でもどうぞご自由に。
ただ首都まで攻めてしまったので、その功績が思った以上に認められて「どうしてこうなった」に繋がりそうな予感はするけど…。{/netabare}

9話までの感想{netabare}
虐殺だ戦争の悲劇だ、っていう側面についてはこの作品に関しては自分はこれといった感情(良印象も悪印象も)は沸きません。
デグはあの世界の住人を「憎き存在Xの徒」として捉えてて、犯罪でない手段でもって一人でも多く殺したいと思ってるのだろう、と解釈すれば違和感ないかと。
というか何話だったっけ、手にかけた人間が目の前で起き上がって喋り出すなんてことされたらもう人間をゾンビかなんかとしか見ない、人を人と思わなくなっても仕方ないかと。
そういう意味では相変わらず存在Xは何をしたいのかサッパリですね、実は悪魔で殺戮者を育成してるってのが一番シックリ来るような?
ただそうするとデグはまんまと掌の上で踊らされてることになり、それはそれでどうなんだ?という疑問が。
それ以前にあんなんな体験したらトラウマもんな気もするけどねー。

と、そんな感じで殺戮シーン(戦闘シーン)は興味ナシ、関心はデグはいつまで心を閉ざしたまんま突き進むんだろう?って点で見続けてたのだけど9話でビックリ。
存在Xに対し市場原理を叩き込むって、え?まだそんなこと言ってるの!?
しかも前世で突き落とされたのも存在Xのせいってことになってるニュアンス。
あれ、そんな話だったっけ?
無能リーマンが調子フカして部下を煽って、護衛もつけずに無防備にホームに一人で立ったという己のアホ行為を…反省してない!?
前も書いたけど突き落としたヤツが特別に異常ってことでもないみたいだし、もしそうだとしてもその責任は10-0じゃあないかと。
鍵もかけずに家を留守にして空き巣に入られた後で「泥棒がこの世に居るのが悪い」と怒ってもなんだかなぁって感じでしょ。
己の至らない部分を全て他人のせいに押し付けちゃうのはちょっといただけないなぁ。
ってか突き落としたヤツは何か信仰してたのかどうかも不明だし…もしかしたらそいつ自身も市場原理主義者だったりして。
見落としでもしてるのかな?存在Xが操ってた描写でもあったりしたっけ…?

一方8話から続くグランツの描写。
お、これって…前世でクビを言い渡した時と同じ構図やね、非情な命令を下すって。
ただ前世と違うのはヴィーシャが後でフォローをしてくれてる点。
もしヴィーシャが居なければ背中から撃たれるという前世と同じ轍を踏み、学習しねーなこのバカと呆れる展開になってたところだったかと。
今後もこの違いにより救われるって方向に行くのかね?
ただ問題はデグは意図的にフォロー役としてヴィーシャを傍に置いてるってことではなさそう、たまたま偶然というか成り行き。
要は市場原理とは無関係な「人の縁」に支えられてるワケで、デグはそれに気付くことになるのかどうかが今後の見所になるのかなー?
まさか人の巡りあわせすらも存在Xが仕組んだことだったなんてオチは…ないよね?{/netabare}

全話見ての感想
{netabare}11話、最大のピンチ?を救ったのはやっぱりヴィーシャでした。
上司に追撃を進言するも一蹴され、ぐぬぬするシーン、自分としては「日頃の行いのせい」としか思えなかった。

う~ん、結局なんだったんだろう?
幼女「なのに」ではなく、幼女「だから」が無いってのは一体…。
前世で恨みを買って殺される目に遭いながら、それに対して何も反省はしてない、と。
むしろ存在Xという都合のいい怒りのぶつけ先を用意してもらい、事実から目を背けてるだけのような…?
そのうち自分の思った通りに人が動かないのも存在Xのせいだって言いそう。
前世と今世では何が違うのか分からない。
周囲の人間が違うってことで、その巡り合わせは人によっては「神の思し召し」と言わせしめるもので、それにどう答えるのかくらいは期待したんだがのう。
神が嫌いなら代わりの宗教立ち上げるくらいしないと…霊剣山に負けてるじゃないの。
コミュ障が賞賛されるってのはやっぱり無茶があるような…リアルで成功してる人なんて大概コミュ強っすよ、市場原理であろうとも。
全人類と面接し選別できる状況でなければ完全な市場原理なんて無理だと思うんだがのう。
なのはの二次創作…っていうか戦記モノの二次創作であるのに係わらずメアリースーとか出しても皮肉になってない。
トワプリのミドナは好きだが、これによって“それ系”にケチが付くのは勘弁願いたい。{/netabare}

投稿 : 2024/05/04
♥ : 18

85.8 2 任務で異世界なアニメランキング2位
劇場版「幼女戦記」(アニメ映画)

2019年2月8日
★★★★★ 4.1 (472)
2471人が棚に入れました
統一暦1926年。ターニャ・フォン・デグレチャフ少佐率いる、帝国軍第二〇三航空魔導大隊は、南方大陸にて共和国軍残党を相手取る戦役を征す。凱旋休暇を期待していた彼らだが、本国で待ち受けていたのは、参謀本部の特命であった。曰く、『連邦国境付近にて、大規模動員の兆しあり』。新たな巨人の目覚めを前に、なりふり構わぬ帝国軍は、自ずと戦果を拡大してゆく……時を同じく、連邦内部に連合王国主導の多国籍義勇軍が足を踏み入れる。敵の敵は、親愛なる友。国家理性に導かれ、数奇な運命をたどる彼らの中には、一人の少女がいた。メアリー・スー准尉。父を殺した帝国に対する正義を求め、彼女は銃を取る。

声優・キャラクター
悠木碧、早見沙織、三木眞一郎、玄田哲章、大塚芳忠、飛田展男、濱野大輝、笠間淳、林大地、小林裕介、土師孝也、小柳良寛、高岡瓶々、森川智之、福島潤、田村睦心、戸松遥、チョー、稲垣隆史

けみかけ さんの感想・評価

★★★★★ 4.5

メアリー・スーがメアリー・スーを名乗る限りメアリー・スーたるのであれば改めてメアリー・スーとは何なのか模索してみた

Arcadia投稿の小説が原作のラノベアニメとして2017年冬にテレビシリーズが全12話放映されたのも記憶に新しい異世界転生ファンタジー×架空戦記モノの直接的な続編


狡猾な性格のサラリーマンが逆恨みが原因で死亡
不神信者が故に神=存在Xの怒りを買い、魔法が実在し世界大戦を控えたヨーロッパに似た異世界に金髪碧眼の幼女「ターニャ・デグレチャフ」として転生させられる
ターニャは不可避の大戦を前に無力な幼女のまま死ぬわけにもいかず、自ら志願兵として戦線へ打って出る
ターニャの思惑は溢れ出る魔力と機知に富んだ頭脳と平滑流暢な弁舌で部下達の士気と戦果を上げ、出世してから安全な後方任務に就くことだった
ターニャの活躍で属する“帝国”は“協商連合”や“共和国”との戦いには順調に勝利を収めていく
が、そんな矢先に帝国へ牙を向いたのは徹底した共産主義を掲げる大国の“連邦”であり、ターニャと部下達もその戦線へ送られることとなる
理不尽さを感じていたターニャだったが、徹底的に嫌悪していた共産主義者への憤りをぶつけるべく、連邦の政治的面子を徹底的に破壊する【連邦首都襲撃】を立案する
そんな前代未聞の作戦を目撃したのが、ターニャ達を苦しめたあのアンソン・スーの愛娘にして、アンソンの死をきっかけに義勇兵に志願した「メアリー・スー」だった…


と、いうわけで今作が題材にしてるのは人類史上もっとも悲惨な戦争として著名な“独ソ戦”であることは明らか
さらに原作ではどうなのかよく存じませんがテレビアニメ版では極力オミットされていた政治や思想や宗教感の対立が物語の構造上、強く押し出された一作にもなっており、架空戦記モノでありながら立派な戦争映画に仕上がっています


そもそも戦争という非生産的な行いに対して否定的な立場であるターニャでしたが、今作中では共産主義者=コミーを徹底的に批判、罵っており、その感情的な動機で作戦を進めた結果、皮肉にも戦争が泥沼化するキッカケを自ら作ってしまうことになります
映画の冒頭でシューゲルは戦争を加速させるのは“感情”だと言っていますが、ターニャはコミュニストアレルギーという個人的な“感情”で連邦首都を破壊します
さらにこの後のクライマックス“感情”を爆発させて戦う敵に対して冷静さを取り戻したターニャが“感情”を廃して戦えば勝てることに気付くのが面白い
まずココが一番目の観どころとなるでしょう


そして今作、遂にターニャにとって最大の障壁となる“この世界で最強の魔導師=メアリー・スー”がとうとう戦線に登場することとなるのです


テレビシリーズでは群像劇を彩る、戦線とは別の国に生きるサブヒロインの一人…ぐらいにしか思ってませんでしたが全く持って迂闊でした;
そもそもメアリー・スーという名前の時点で気付くべきでしたが、この娘は【実質的にこの世界における真の主人公】と言ってもいいかもしれません


実はメアリー・スーという呼称そのものが英語文学圏、特に二次創作界隈において本家本元のキャラクターを食ってしまいかねない、<THE 厨二病設定なチートキャラ>を揶揄する隠語として機能しています
そして同時にメアリー・スーとは作者の願望の自己投影である、と常に批判に晒される、言うなれば“痛いキャラ”のことを指すのです
具体的には極端に若く、劇中のどのキャラよりも秀でており、孤軍奮闘の大活躍の後に、その死に皆が涙する…というのがテンプレートです


今作のメアリー・スーは父を愛し、祖国を愛し、慈愛に溢れ、何より信心深く神を愛したことで神=存在Xから愛された者なのです
で、あるがゆえ今作世界中では桁外れの魔力と加護を行使することが出来るのです
観る前は『ガルパン』ぐらいのアクションシーケンスを期待してたのですが、メアリー・スーが戦線に登場してから『ガンダム』か『魔法科高校の劣等生』が始まったのかとすら思いました
その圧倒的パワーで亡き父の仇であるターニャを執拗に追い詰め、彼女が思うところの【正義】の名の下にターニャを討ち取らんとし鬼気迫る表情と戸松遥渾身の芝居で襲いくるシーケンスは背筋凍る圧巻の迫力です


王道で行けば残忍で冷酷なターニャこそがヒールで、父の仇を取ろうとするメアリー・スーがヒーローなのでしょう
だからメアリー・スーは“実質的に主人公”なのです


とwこwろwがw


このメアリー・スーはやっぱり主人公のなりそこないかもしれないのですw
ターニャに固執する身勝手さ、歳相応の思慮の浅はかさ、政治や戦略への無配慮、直情的な独断専攻などが目立って描かれ、ターニャと相対的に全く持って知性を感じない【劇中最大最強最低最悪のバカ】であることは明白


『オーバーロード』や『ゴブリンスレイヤー』といった昨今のラノベ原作アニメを見渡すと、このようなメアリー・スー的なポジションのキャラをあえて登場させ、イキって出て来たは良いがバカをみたあげく散々酷い目にあってから死ぬ、という展開がトレンドなのは間違いないでしょう


たぶんこーゆーのを流行らせてしまったのは『ガンダムSEED DESTINY』が一因だと思います


逆に『サイコパスSS1』では明らかにこのシリーズのメアリー・スーとして登場した霜月美佳を、これが上手く成長する姿を描いたことでヒロイックな作品に軌道修正したのが印象的でした
メアリー・スーはぶっ殺すのがトレンドかもしれないが、あえてコレを一段階上にレベルアップさせてやるのも選択肢というわけです


さて今作のメアリー・スーそのものですが、こうもあからさまにメアリー・スーを名乗る以上、今後はその有り余る力で散々ターニャを追い掛け回した挙句、最後の最後でターニャに勝利を収めるか、一矢報いてから盛大な死を遂げてもらうと大変個人的には望む展開であります(笑)


正直とても面白い映画ではあったものの、当初あまりレビュ執筆には乗り気ではなかったのです
が、三日三晩メアリー・スーのことが頭から離れず、なんとかしてオイラのこのバカ野郎愛を記したい
と、こうしてキーボードの前に座った次第であります


まあクライマックス、数で勝る連邦があの戦線から手を引いた理由がほとんど描かれてなかったのが不満なのですが、それに付けてもメアリー・スーの装備する演算宝珠がまさかのスキー板で“アニメ史上初じゃないか?と思うほど丁寧にスキーのエアトリックで戦う姿が描かれた”のには思わず感無量でした
この時期の楽しみはFISの中継観戦か雪山アクティビティと相場が決まってますから(お
ですからその辺はもはやプラマイゼロといったところですよ
是非このシリーズの続きを、というかメアリー・スーの行く末をオイラはゆっくり眺めたいと願っております


1回目は新宿のEJアニメシアター(旧角川シネマ新宿)で観たのですが、2回目は立川シネマシティのシネマツーcスタジオの「幼女の皮を被った極上(化け物)音響上映」で鑑賞
岩浪音響監督も絶賛の太鼓判を押すほどの仕上がりで、それもそのはず
魔導士が飛ぶ度に強烈に歪んだ低音がサラウンドでうねりを効かせて飛び交いまくるし、貫通術式が放たれる度にそれはそれは凄まじい破裂音を浴びせられます
これまでの爆音上映の類の中でも1,2を争うのではないかという、ちょっと他の映画では体感出来ない音でしたね


3回目観ました
立川シネマシティ、シネマツーaスタジオでの極上爆音上映「限定魔導爆音上映」です
これで確信しましたが間違いなくオイラが今まで観てきた全ての映画の中で最も音圧が強く、尚且つそれがずっと続く映画が今作ですね
ティゲンホーフ戦線での大砲の炸裂音の連続、ターニャとメアリーの空中戦での歪んでうねる低音、そして戦闘機の地響きのようなエンジン音
このようなデカくて歪んだ音がずっと続く映画ってのは今作以外には無いでしょう
少なくてもアニメとしては世界的に見ても唯一無二だと思います
是非とも劇場で、可能であれば岩浪音響監督がオススメする劇場でご覧になって欲しい


4回目の鑑賞はイオンシネマ幕張新都心の8番スクリーン
幼女の皮を被った ULTIRA(化け物)9.1ch
ULTIRAとはイオンシネマの独自規格でIMAX程でないものの、他のスクリーンに比べ非常に大きいシルバースクリーンとDolbyATMOSにも対応した高品質な音響設備を持ったイオンシネマとしては最高峰のスクリーンです
これに近いのがTOHOシネマズの独自規格のTCXですね
まず画面なんですがこれは3D上映に対応する為のシルバースクリーンってことで若干色合いがくすんで見えます
正直これに関しては致し方ない
で、音響面ですがウーファーがスクリーン下で剥き出しになっているせいか、やや低音が強めに感じます
そして9.1ch仕様の恩恵を最も強く感じる(通常は5.1ch)のは背面スピーカーから台詞が聴こえてくるような場面です
具体的には第二〇三航空魔導大隊のモブ兵士達がざわめくようなカットや、モスコー襲撃の際にヴィーシャが公共放送をジャックした時など、後ろから聴こえてくるセリフがハッキリと聴こえました
細かいセリフを聴き取り方には最もオススメ出来るスクリーンですね


5回目の鑑賞はユナイテッドシネマ豊洲の4DX
劇中、空中を漂っているシークエンスが多いので結構な割合で座席モーションがフワフワと揺れていることが多いのと風がずっと靡いてるのも多かったです
冒頭のメインタイトルバックで泡による降雪の表現があったのには笑いましたw
宝珠が発動するたびにストロボによる眩い光が入るのもカッコよかったです
爆炎に呼応するスモークの演出はやたら濃い目でしたね
ユナイテッド豊洲は特にアナウンスしてませんでしたがこれはシネマサンシャイン平和島が言うところの所謂「効果マシマシ上映」に相当すると思いました
ロリヤが唾を飛ばすシークエンスで水飛沫を期待してたのですがソレは無かったです(笑)

投稿 : 2024/05/04
♥ : 28
ネタバレ

ぺー さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

今さらタイトルで敬遠もなかろうて

原作未読 TV版視聴済み


“存在X”とか説明なしに語られてるためTV版を視聴済みであることはお作法といってよいでしょう。
あいかわらず主人公が幼女である意味がわからない『幼女戦記』の劇場版となります。

たいしたこと書いてないけどミリタリ的見解はTV版のレビューに載せとります。
俺たたENDなTV版の最後覚えてます?※一応隠しときます。

{netabare}砂漠みたいな南方戦線に飛ばされて「どうしてこうなったー!?」ENDでした。
存在Xに対峙するには、信仰にすがるのではなくあくまで合理性で勝負する路線を突き進むのかどうなのか?と続編の注目ポイントをわたくしレビューで書いてますね。このモノの見方はブレてないです。{/netabare}

続きが気になる終わり方だったのでおおむね劇場版に期待するのはこんなところ↓
Q
1.答え出るん?
2.戦闘は派手になる? ※そこはホラ、、、映画だし(^^)

ざっくり回答は↓
A
1.出ません。
2.派手になります。市街戦闘ではぬるぬる変態的な動きをしてます。

スタッフや声優を引き継いで制作してるので大外しはありえません。安定して面白かったです。
ついでに、“信仰心と合理性”なのか“感情と理性”なのか?
“存在X”とターニャが対峙しての二項対立のような図式に見えてたけっこう重要な部分。
ターニャの対立軸として、この“信仰心”ないし“感情”を体現する存在が登場したこともファインプレー。もちろん{netabare}ターニャとの死闘の末戦死したアンソニーの娘。メアリー・スー(CV戸松遥){/netabare}のことです。

これで見やすくなりました。神VS人間よりも対立する両極端な人間同士のほうが物語が破綻しにくい。
己が正義とのぶつかり合いになって譲れない争いになりますし、元はといえば存在Xという同じ親から生まれた相反する二つの概念であるという深みとコクも出てきます。

【作品テーマ】

 存在Xとの落とし前をどうつけるのか?

⇒これは道半ばです。

【劇場版の面白いとこ】

 ◎ ターニャ VS メアリー・スー
 ○ 市街戦闘

きわめて劇場版らしい。劇場版に期待するところを満たした『劇場版幼女戦記』でありました。



※ネタバレ(もある)雑感

■世界観の意図

既視感のある国・人・軍事パーツを素直に楽しめる一方で、WWⅠとⅡをごっちゃにして~の史実との乖離や魔導部隊なる設定。純歴ヲタだとアレルギー出そうなのもわからなくもない。なんせ空飛ぶ人間が銃剣で戦闘機の翼をたたっ斬ることができちゃう世界ですから。これには一家言あって、


 これ外国でも流すんですよね?


アニメ大好きフランス・イタリアやアメリカ。ドイツも例外ではありません。それらの国を配慮して…なんてアホなことは言いませんよ。

 {netabare}ガチ史実ベースの世界作ってアナザーストーリー{/netabare} 

それに欧米人が耐えられるか?って無理だからちょっと外した世界観なのだと劇場版観て思いました。

選挙で選び渦中は熱狂した事実に蓋をして全部ナチスに罪を被せて、ニュルンベルク裁判の前と後とで分断を図り逃げ切ったドイツ。
反省したドイツを見倣え!って彼ら反省なんて微塵もしてませんけどね。「我々とは別のナチスなるもの」を作っておっかぶせただけです。もちろん賠償には応じてません。

次にアメリカ。原爆投下を正当化するストーリーは皆さん耳タコでしょう。自らの罪に向き合ってない点ではドイツと一緒。

イデオロギーにしちゃうのはどうぞご自由に!彼らの意見に乗ろうがかまいませんが、少なくとも私は日本国籍を有する者なら「違うだろ」と指摘し続けることがお作法であるとの考えです。

何が言いたいかっていうと、彼らのン百倍は反省している、なんなら反省しなくてもいいことまで、それにおかわりで“俺たちの反省はこれからだ”の勢いで反省している我々からすれば、

 {netabare}正当化だらけのお前らの豆腐メンタルじゃ受け止めるのは無理!{/netabare}

と思っちゃうんですよね。世界広しといえどもドイツ第三帝国を茶化せるくらいの表現の自由が認められてるのは我が国くらいなもんです。
ぶっちゃけ仮想ナ○スが活躍する作品なんてリアルに寄せすぎると×。これくらいのファンタジーっぷりでちょうどよいと思えるのです。そのうえでやや無理筋な作品設定については流れてる哲学が荒唐無稽でなければ無問題と考えます。


其の一:{netabare}「コミー(commie)」と共産主義者を忌避/軽蔑する単語をターニャ筆頭にガンガン発してます。

「なんでお前らソ連と組んでんねん?」みたいな。
日本に視点移せば、大日本帝国が必死でソ連食い止めてんのに何してくれてんだ?の心境です。レイトカマーのアメリカがアジア利権にちょっかい出すために日本を外そうとして失敗。中華人民共和国成立など共産国家の台頭を許し、朝鮮戦争からのベトナム戦争と余計な結果になったよな、と。
やや盛ってこれくらい言ったうえで、「でも今は仲いいよな」とするくらいでちょうどよいのです。{/netabare}


其の二:{netabare}義勇軍?メアリー・スーも狂気を帯びたちょっと危ない人設定です。

「正義を振りかざしてどんだけ無茶してきてん?」みたいな。
仮想連合国の象徴みたいな存在にメアリーを持ってきた意図。合わせ鏡と思いなさい!{/netabare}



■ドキッとくる至言

トンデモ設定もあるにはあるけど底流がしゃんとしてると私は思います。
たまにグサリとくる高速ストレートありませんでしたか?

・{netabare}「無能な働き者か…やっかいだな」

序盤。メアリー・スーの上官がメアリーを指しての一言。

 1.有能でやる気のある
 2.有能でやる気のない
 3.無能でやる気のある
 4.無能でやる気のない

リアルの現場でも3.が最も厄介であり、組織を破綻に導く存在として心にとどめて置かねばなりません。覚醒するまではひどかったですからね、彼女。{/netabare}


・{netabare}「まずもって勝つことが大事 正しく勝たねばなりません」
 「でなければいずれ歴史に笑われます」

参謀本部にて後方勤務の希望を伝えた時のターニャ。
勝ったほうが歴史を作るのはまさにまざまざと見せつけられているのが我々現代日本人でしょう。つまり転生前のおっさんターニャの知ってる歴史。賢者は歴史に学ぶ。よって、次は勝たねばなりません。
「思考放棄した俺の勝ちね」くらいの程度の低さを露わにしてるのが我が国です。軍事研究なぞしませんとドヤ顔で発表してる横で北朝鮮の核開発のために亡命する教授を輩出した某帝国大学とかなんのブラックジョークでしょう。「勝つために考えること」と「行使すること」は違います。

ガラスを拳で叩き息巻くお偉いさんに戦の収め方のプランはあるか?と問うたターニャさん。正しく勝たねばなりません。先述、日本を叩き潰したことでソ連の増長や朝鮮戦争ベトナム戦争へと発展した結果を見るにアメリカにとって正しい勝利だったのでしょうか?

リアルではこれがなかったのが大日本帝国の最大のやらかしです。正確には正しい勝利ならぬ正しい敗北のプランニング。戦闘で敗北しても戦争目的を果たす困難な作業をです。ぎりぎりで國體が守れたものの結果オーライ。次は結果オーライにならないように真剣に考えましょう。

でなければいずれ歴史に笑われます。
令和初頭の日本人が未来の日本史の教科書でどう書かれているかみものですね。{/netabare}



■(オマケ)主題歌について

{netabare}TV版の主題歌をアレンジ加えてもってくる演出にしびれます。
ターニャ役悠木さんが歌う「Los! Los! Los!」。このへん「トラ!トラ!トラ!」をなんかしら意識したのだろうと、“LOS”を調べてみましたが、スタジアムの名前だったりタイ王国の愛称だったりビンゴそうなのはなく、そのまま“LOST(喪失)”くらいの意味合いで受け取りました。

注)他のレビュアーさんからの指摘でLOSはドイツ語で別の意味があるらしいです。{/netabare}



これ2期ないと詐欺ですよ。待ってます!



視聴時期:2020年2月 

-------


2020.02.26 初稿
2020.09.21 修正

投稿 : 2024/05/04
♥ : 59
ネタバレ

waon.n さんの感想・評価

★★★★★ 4.2

超贅沢な一品(一部ネタバレタグで隠してます)

 語り出し。

 映画の中でも戦争映画は好まれて題材にされる.
 なんでかって今を生きる全ての人にとって、かつて戦争があった。その土台の上で私たちが生きているという事を大小はあれど認識を共有しているからに他ならない。まぁ現在でも内戦やテロとの戦いで命を落としている人もいるだろう。そんな誰しもに共有される戦争と私達は無関係ではありえない。

 アニメ化から劇場版までの感想(ざっくり)。

 この作品は原作は小説、それからアニメ化して映画化されたという流れではあります。
 アニメでしか知らないのでそちらからの視点で語ります。
 この物語の時代背景はおそらくリアルの世界でいう、第二次世界大戦をモチーフにしてもし、魔法という技術が発達していたらといったある意味SFではありますが、その魔法という設定においては神秘性があり神の力という形で表現されているのでファンタジーの枠を出れていない。
 ただ、この物語の良かった部分というのは、魔法でなんでも解決できるねよかったね。という所ではなく、むしろ魔法が使えない者たちの描き方が良くできている。これはリアルをなぞった形ではあるので、ファンタジーだけれどどこかリアルとの結びつきを感じる。戦争というものを詳しく知らない人(私)でさえどこかリアルに感じられる空気感が作品全体にあります。これはひとえに小説の著者の世界観の構築の上手さでもあると思うし、それをしっかりと映像化している製作者の人達の力も大きい。そんな恵まれた作品だと私は思う。

 ここまでは実際にテレビシリーズから劇場版までを見たざっくりした感想です。アニメ版の方のレビューはしてないしするつもりも今のところないので。まとめてやってみました。
 
 劇場版としての出来はどうなんだ。
 最高級ですね。
 
 映画としての構成が良い。
 映画は時間が限られるので、変に登場人物を増やして、感情移入を誘うことに時間を取られていると作品全体のスピードが損なわれてしまうので、なかなか見るに堪えないものになりやすい。
 新キャラはいるし、スポットライトを当てているけれど、アニメ版を見ている人にとってはどういう動機で行動しているのかというのがはっきりわかるようになっているし、久しぶりに視聴した私でも、あの時と関係あるんだなと分かるようにフラッシュバックを上手に使っている。これは演出が良く機能しているのでストーリーのスピードを落とさずに楽しめる工夫がしっかりある。
 映像作品としての掴みが素晴らしく最初から全開です。
 個人的に映画で最高の構成をしてるなと思っているのがクリストファー・ノーランの「ダークナイト」です。みんな好きだと思います。シーンに次ぐシーンの連続で息もつかせぬ展開力は素晴らしい作品なんですが、この劇場版幼女戦記も同じように良い構成と展開力を持っている。

 キャラの評価と物語の評価それと演出について。
 ここからは少しネタバレが激しいのでチョキチョキします。
 {netabare}キャラと物語の評価が低くなっている点についてです。これまでの物語ならば文句なく☆4か5くらいはつけているのですが、今回はちょっと映画という事で戦闘シーンが凄いんですが、もの凄いんですが…やりすぎたよねw
 デグレチャフを親の仇とするメアリさんはキャラとしてちょっと強すぎます。魔力の高さだけで、デグレチャフの練度を凌ぐというやり方をしなければならなかったのは分かるんですが、街中にビームどーんを連発しまくってさらに、近距離での被弾でも生き残る強さについてびっちゃけやりすぎて物語の根幹を揺るがしている。
 何で揺るがされるかって、最初に書いたように、この物語は基本的にデグレチャフの魔法無双なんですが、その他の要素をリアルにする事で見れるものにしてうるというバランス感覚が実は非常に難しいのではないかと感じております。
 魔法が技術や戦略の枠内のハマっている段階までは良いと思いますが、それをはみ出ると一気にただの無双ものに成り下がる。デグレチャフの対抗馬として、ライバルとして出すにしても今後脅かされる脅威位が妥当なのではないかと思いました。残念ながら単純な力ではすでに圧倒しているわけで、今後メアリさんが兵士として成長するという余白がもう無いよなーってなりました(あっても描くのが難しい)。そういう意味で、キャラの描き方と物語の評価が下がりました。んでもって演出も過剰になっていると思われます。
{/netabare}

 背景がメチャクチャすごい!!パーツの作りがスゴイ細かい!!
 もうね、見てほしいです!マジですごい。
 しかもね、戦闘中のカットでちゃんと背景をカメラ(便宜上)動かして映像から伝わるスピード感を演出している。めちゃカッコいい。進撃の巨人越えたなってなってます。街中の戦闘の素晴らしさは見なければ損です。
 さらにこれまで以上に飛行機や大砲の書き込みが素晴らしいんです。さらに大規模空中戦をしているシーンなんかはもう圧巻です。
 第1次世界大戦でおなじみ塹壕戦での戦い方など、しっかりと書き込まれていて映画見てるなーってなります。アニメならではの絶望的な物量で攻められている感の出し方が上手いなと感じた次第です。

 脚本に関して
 タバコや酒の話をしっかり描いて良かった。個人的には戦争映画(アニメとは違う)に特にタバコは欠かせないものだと思っている(私は吸わないけれど)。
 セリフも良いんだけれど、細く入る感嘆語、感動詞ともいうのが良くて、こういうのが入るだけで、キャラクターの肉付きが良くなる。
 デグレチャフ演じる悠木碧さんの小さく鼻で笑ったような声が面白いし可愛い。他のキャラも同じことが言えますね。セレブリャコーフ演じる早見さんのため息とかも最高です。はい。

 かなり自分の趣味に寄ったレビューですが、まぁそういうもんですよねw
 個人的にすごく楽しめた映画でした。
 作画や背景、各パーツの書き込み。ネタバレのところでも書きましたが、市街戦の作画は本当に凄くて、それだけでなく、大規模空中戦も凄い。
 ストーリーが…とかそんな事はどうでもよくなる位には圧巻です。
 見ないと損です。ぜひ見てみてほしい。ストーリーも追いかけたくなったらアニメ版も見てみると良いかもしれません。そっちはそこまで保証はできないですけれどね。

投稿 : 2024/05/04
♥ : 12

69.2 3 任務で異世界なアニメランキング3位
勇者、辞めます(TVアニメ動画)

2022年春アニメ
★★★★☆ 3.3 (291)
942人が棚に入れました
魔王軍の侵攻から世界を救った勇者レオ。 しかしその強さは平和な世を迎えた人間にとっても脅威となり、ついには聖都から追放されてしまった。 地位も名誉も居場所も失い、彷徨う勇者が行き着いた先は――ボロボロの魔王軍!? 人への恨みか自暴自棄か、魔王に正体を隠しつつ、四天王と共に軍の立て直しに挑むレオ。 引退勇者の大仕事、その先に待つものは......?
ネタバレ

CiRk さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

タイトルのダブルミーニングが良かった。

{netabare}
前半は日常モノなので、後半は設定が明かされて、良パートとも面白かった。

序盤は割と否定的な意見が多かったみたいだけど、普通に自分は楽しめたかな。
説教臭いというのもわかるけど、実際に的確なアドバイスではあるし、脚本自体は中身が合ってよかったと思う。
基本的に主人公も魔王幹部たちのことを考えての行動をするので印象が良かったし、勇者と幹部との交流、会話に重きが置かれている作品なので、日常系作品としての面白さもあった。キャラも各々個性もあって型にはまっていなかったし、全員何か駄目な点があり、それを改善していくという流れなので印象に残りやすかった。

後半パートは予想外な設定も多く明かされていき、どんでん返しもあったりで意外性があり良かった。
勇者の過去以外にも、魔族と人間の対立関係も、実は人間が悪でしたみたいな陳腐なものではなかったし、これ系の作品では珍しくテンプレからの流用ではない、独自の設定で世界観を作りこめていた印象。
後半は勇者の過去回想を多く挟んだりで、内面の描写も丁寧だったので、勇者として生きることの辛さが伝わってきてレオの自殺願望にも共感できた。
タイトルのダブルミーニングも過去回を見た後だと響くものがある。
勇者の過去編辺りからEDが雰囲気に合ったものに変わるのも良かった。
両方とも曲自体は個人的にはイマイチだが、作品の空気感が表現できているし、EDが二つ用意されているという事実自体に気合の入れようが伝わってきて作品に対するイメージは上がる。

前半は勇者が魔王幹部を正していく、と言うものだったのに対して、後半はその逆の構図。お互いのダメな部分を互いに修正していくというストーリー構成が、両者の成長モノとして出来が高かった。
なろう系だと主人公が他人から何かを教わるみたいなものはあまりないしね。

一か所残念だったのが、メインのプロット自体はいいものの見せ方が下手なせいで茶番みたいになってたところがあったことかな。レオがいきなり豹変して襲い掛かるパートは絶対に不要だった。

賢者の石に関しては結局保留と言う形になったが、最後は勇者や魔王幹部など、キャラ関連の話に関しては綺麗にまとまった終わり方。
2期をやってもたぶん蛇足になるだけだからここで終わりでいいかな。

↓一話毎メモ
{netabare}
1話 ☆7
こういう系、王道とは反対をいってるつもりなんだろうけど、それすらもう寒いと思えるレベルにまでありふれてるんだよな。少しは疑えやw
いや、意外とギャグ調なら面白いかも? そんな恐れられることか?
そうはならんやろ。魔王になっとるやんけ。
ハーレムじゃないし意外といいのでは。

2話 ☆7
やっぱこのアニメ普通に面白いな。服透けそう。
これ系ならそれなりには楽しめるわ。

3話 ☆7
溺死しそう。どうせ自分で見つける。ガバガバ。
どうやってそこに行ったんだよw

4話 ☆9
随分と現代的な街だな。最初から顔変えられるなら変えとけ。
エキドナかわいい。いや、飲みすぎだろ。体死ぬぞ。
まだ切れてて草。やっぱ結構面白いなこれ。
人間が実は悪みたいな単純な二分法でもなくて、一応魔族が悪だけど、魔族を救うためには致し方ないみたいなどっちにも納得できる理由があるのがいい。

5話 ☆8
退職か。メルネスさんはコミュ障です イキリオタク感がすごいw
これ結構面白いのでは。魔界のお仕事モノ。

6話 ☆8
こいつ見た目サイコパス感あるよな。シリアス路線面白くない。草。
文明が発達した異世界じゃなくて地球なのかよw この設定いるんか?w
銃あれば殺せそう。いや負けるか?普通 核使え。それで数百年たったのか。
これなら魔術要素いるのかなぁ。けど正直この設定いらないよな。
形勢逆転。結構真面目な雰囲気があるのはいい。

7話 ☆8
結局才能だよな。他の幹部にそのこと喋っちゃうんかよ。
最終回で逆に助ける流れかな。こっちもロボアニメ始まる? 体育会系...。
エドヴァルト本人が戦ったら意味ないのでは。
魔王幹部をこんなに圧倒するメカを作れたなら普通に魔物殲滅出来ただろw
説教系主人公。

8話 ☆10
ん? 結局こいつ裏切るつもりではないのか? めっちゃ喋るじゃん。
会話シーンのみながらセリフの一つ一つがいいな。
主人公が誰かを救う話と思ってたけど、本当は逆なのか?
けど結局死ねないんだよね。特殊ED?

9話 ☆10
ほとんど人間なのかよw 何のために魔族側に? 国が気に入らないの?
茶番感。天然可愛い。カップルかよ。
賢者の石手に入れた後のことを自分がいない前提で喋ってるってことは。
まあそうなるわな。久々に好みに合ったなろうかもしれん。
勇者辞めますのタイトルの意味が良かったな。

10話 ☆2
いや、さすがに豹変しすぎだな。
あの一瞬で狂ったってことならいいけど、ここまでなら少し茶番感があるな。
最高な引きから微妙な展開って珍しいな。
何もせずに殺されたらいいじゃん。何か微妙だな。
前回でハードルを上げすぎた感がある。
さすがに主人公を豹変させすぎてギャグアニメになってる。
いや、世界を滅ぼしたかったからってのは魔王幹部にアドバイスしてたことの理由はなってないんだよ。男女平等パンチ 違うんだよな。

11話 ☆8
今回よさげ。やっぱ設定はいいよね。作者の妄想って感じじゃなくてちゃんと話作られてていい。
前回微妙だったのに今回結構良かった

12話 ☆8
プロットはいいけど見せ方が悪い気がする。結局根本の段々と人の心が失われていく問題解決しなくない?
俯瞰 欠陥プログラム。エイブラッドのセリフが回収されるのもいいな。
強固な自我とやらで自害も出来そうだなw 結局賢者の石はw
まあ綺麗に主人公周りの話は纏まっていたのでヨシ。

曲評価(好み)
OP「BROKEN IDENTITY」☆8
ED1「Growing」☆5.5
ED2「de messiah」☆6
{/netabare}
{/netabare}

投稿 : 2024/05/04
♥ : 9
ネタバレ

ヘラチオ さんの感想・評価

★★★★☆ 3.7

そういう感じですか

とあるフォロワーさんのレビューで慎重勇者に似た作品だ的なものを見たので、気になって視聴してみた。

結果、おおむねその通りであった。

勇者辞めますってそういうことねっていう。現在の話と過去回想を織り交ぜながら伏線回収?と言っていいのかラストに繋がる話を断片的に拾っていく感じ。
最初のほうは強すぎて一般人に忌避されたことにうんざりして自分が倒したはずの魔王軍になんとか取り入って人材育成するだけの話に見えてうんざりするような内容にも思えるが、個人的には段々と目が離せなくなった印象。
理想を語る魔王がかっこいい。貢献したい気持ちにもなるかも。

{netabare}実は3000年も生きていて機械文明の出身。人間を守るために生み出された人工生命体の最後の生き残り。伝説の人物との交流もある。超成長が売りで今まで戦った全ての敵の能力を吸収している。人間を守ることをプログラムされたため、平和な世界に違和感があり、自ら世界を滅ぼす行動をして人間を守る環境を生み出すのではないかと予期不安に襲われて魔王軍に殺してもらいたいと考えていた。自分の命を託せるか見極めるために魔王軍に入ったというわけ。心臓が賢者の石だったとはね。まあ限界あるでしょうね。
魔王が最後の力を振り絞ることで発動した勇者封じの術でもってようやく行動を停止し、やっと死ねると安堵するも情もあってか魔王は死なせないと決意。プログラムに実際逆らえる能力あるわけだから、勇者辞めるようにやってみろと。見事辞められましたね!最後の最後にやっぱ死にたくないとはなるんすね。{/netabare}

予期不安から行動に移せないけど、やってみたら案外いけました。
案ずるより生むが易しとはまさにこのことな作品。


OP
BROKEN IDENTITY 鈴木みのり
ED
Growing 東山奈央
de messiah 東山奈央
主題歌は地味に良かったぞ。
EDの2曲目が凄いTK感溢れすぎ。


以下はアマゾンプライムから引用のあらすじ。
魔王軍の侵攻から世界を救った勇者レオ。しかしその強さは平和な世を迎えた人間にとっても脅威となり、ついには聖都から追放されてしまった。地位も名誉も居場所も失い、彷徨う勇者が行き着いた先は--ボロボロの魔王軍!?人への恨みか自暴自棄か、魔王に正体を隠しつつ、四天王と共に軍の立て直しに挑むレオ。引退勇者の大仕事、その先に待つものは......?


1. 次の職場は魔王城
世界を救ったにも関わらず、その強さ故に人々から恐れられ、居場所を失った勇者レオ。彷徨の末に辿り着いたのは、自ら半壊滅に追いやった魔王軍だった。レオは元勇者として採用面接に挑むが、魔王エキドナに追い返されてしまう。それでも諦めないレオが頼ったのは、かつて戦った四天王たちだった。

2. 明日の自分が楽になる仕事をしろ
魔王軍に仮採用された勇者レオ。正規採用のためには、正体を隠しつつ魔王軍復興に貢献し、四天王の推薦を得なければならない。手始めに、四天王の中で最も頭脳明晰な魔将軍シュティーナを手伝うことにしたレオは、黒騎士オニキスを名乗って行動することにする。しかし、シュティーナの仕事量は完全に限度を超えていて……

3. ちょっとした気付きが仕事の効率をあげる
魔王軍にとって最重要任務の一つである兵站を任された獣将軍リリ。その大らか過ぎる性格のせいで、仕事の効率はまったくあがらず、部下も困惑するばかり。そんなリリのサポートをすることになったレオは、頭ごなしに注意するのは効果的ではないと判断。なんとかリリ自身が状況改善の必要性に思い至るよう一計を案じることに……

4. 地獄の飲み会

5. 仕事を辞めたくなったら一度相談しろ
突如として魔王軍にもたらされた衝撃的な二つの報告。なんと竜将軍エドヴァルトが自刃を申し出る一方で、無影将軍メルネスは旅に出てしまったという。ひとまずメルネスの対応を引き受け、その後を追うレオ。なんとかメルネスに追い付いて旅の理由を尋ねると、思わぬ答えが返ってきて……

6. 勇者、長年の悩みを聞いてもらう

7. 良い戦士が良い上司になるとは限らない

8. A.D.2060東京某所にて
魔王軍の侵攻から世界を救った勇者レオ。しかしその強さは平和な世を迎えた人間にとっても脅威となり、ついには聖都から追放されてしまった。地位も名誉も居場所も失い、彷徨う勇者が行き着いた先は--ボロボロの魔王軍!?人への恨みか自暴自棄か、魔王に正体を隠しつつ、四天王と共に軍の立て直しに挑むレオ。引退勇者の大仕事、その先に待つものは......?

9. 勇者、辞めたい

10. 世界を滅ぼしてでも、世界を救おう
エキドナと四天王に対し、自らが『賢者の石』の持ち主であると明かしたレオ。さらにエキドナが守ろうとした世界を滅ぼすと宣言し、石を手に入れたくば自分を止めてみろと言い放つ。突如として勇者と魔王の立場が逆転した状況に動揺を隠せないエキドナと四天王。幾度となく魔王を打ち倒してきたレオの力が、エキドナたちに牙を剥く。

11. 勇者の資格
3000年前、魔族から人々を守るために生み出されたレオにとって、仲間と共に強敵を倒し、勇者として世界を救うことが唯一の存在意義だった。しかし長きに渡る平穏の中で、それは刻一刻と薄れゆき、失われていく。自らの存在意義を保つため、レオの頭の中に一つの計画が思い浮かぶ。それが、この物語の始まりだった--

12. 勇者、辞めます

投稿 : 2024/05/04
♥ : 11
ネタバレ

nyaro さんの感想・評価

★★★★☆ 3.7

挑戦的な取り組みで、完結するのも良いです。エンタメが弱いかなあ。

 まず、完結する物語だったのは大変良かったです。こんなことで喜ぶのも何ですが、完結している物語は読み取れるものが多い気がします。だからこそ記憶に残ります。

 本作は加えて、SF的な発想と異世界を組み合わせて面白い話にしたてました。演出やエピソードが必ずしも優れているとはいいません。実際、単なる異世界ものとして見たときには「つまんなさそう」と2話切りしました。構成あるいは惹きつける何かが初期にあれば、もっと評価が変わっていた気がします。
 ただ、一方で意外性という点ではいい意味で騙されたということですね。冒頭のシーンの意味とか見返すと、なるほど…結構伏線もあるしがんばってたんだ…と分かりますが、ちょっとこの異世界ものが氾濫している中で誤解を受けやすいというか、私が実際見誤りました。

 ライトノベル等なら表紙や帯の情報で、おそらく読み進めるだろう話も、アニメになると1~3話でがまんできなくなりますから、その点では過小評価されやすいでしょう。もうちょっとアニメ化に際して工夫がなかったのかなあと思います。

 結果的にストーリーは面白かったと思います…知的には。あるいは、感心するとか興味深いという意味ですね。「人魚」「バンパイヤ」等の不老不死の退屈、AI的な使命の問題、火の鳥のような「文明」の栄枯盛衰など沢山の要素が盛り込まれていました。それが上手くマッチしていい話になっていたと思います。

 感覚的…つまりエンタメ的には若干弱いと思います。ギャグが弱い、演出が弱いので面白さ、バトルのワクワク、ピンチのドキドキがないですね。仕掛けのせいでダブル主役の2人の内面描写が弱くて、感情移入の相手先がブレブレだったので、没入感がなかったせいかもしれません。

 で、結末ですね。{netabare} 本作はバッドエンドをいかにうまく昇華して勇者と魔王の生きざまの集大成として死を選択するか、が作品の意味かなと思っていました。寂しいけど死をハッピーエンドとして処理する流れがどうなるのかが楽しみでしたが、違っていましたね。必死の魔王のワザが「命と引き換えじゃないんかい」という突っ込みをしたくなります。
 結果的にわかりやすい方のハッピーエンドにしました。これはこれでマイルドで楽しいですが、勇者や魔王のキャラと人生に込めた意味性が希薄になった気もします。その点で肩透かしでしたが、死を選ぶのも安易と言えば安易ですので、{/netabare}ここは原作者の選択を尊重すればいいと思います。

 ということで、想像以上に話は良かったと思います。エンタメが弱いのと、昨今の異世界モノの御多分に漏れず、アニメはちょっと安っぽかったのが残念でしたが、こういう挑戦的でしかも1クールで完結させる作品は嫌いじゃないです。

 このサイト基準の評価は低いですが、話の内容は80点くらいあげてもいいかも。


以下 視聴時のレビュー

{netabare} 1話 ストーリーというか設定を見る限りでは、面白くなるかもしれないと思いました。歴史ものでは強者に対する支配者の疑心暗鬼はよくある話ですし、魔王と勇者の組み合わせは「まおゆう魔王勇者」という例もあります。ギャグに振るなら「はたらく魔王さま」的な構造もあり得ます。

 ただ、実際作品を見ると、不思議なくらい作品の雰囲気に面白くなる可能性を感じません。演出なのか設定なのかキャラなのかストーリーなのか…全部?うーん。なんか違う感じが…感覚的で申し訳ないです。
 あんまり語ってもしょうがないですが、肝心の「強さ」と人間VS魔王の設定に関して世界感の作り込みが甘い気がします。あるいは主人公の造形なのかキャラ作りなのか。

 ぜひぜひこの感覚を裏切って欲しいところです。 

 作画から言ってさほど手抜きというわけでもなさそうなので、チェックはすると思います。


11話 あれ、SFだった?ちょっと再検討中です。 

 2話切りしてましたが、なんか皆さんのレビューが不穏なコメントが多いので興味でて10話、11話チェックしました。結構面白そう?SF?しかも、結構、テーマ性がある?ちょっとチェックします。


11話 なるほど…アイデンティティの問題かあ。

 つまり仕事の話をしていたのは、有用性の話ですね。一見、勇者の持つ宿命の話と乖離したお気楽な話で進行します。が、これって、自分が常に何かの役に立っていなければという勇者の行動原理の表れだったということでしょう。

 昔の話で出てきた悪魔とのやり取りがなかなかいいシーンで、10話につながります。
 不老不死の退屈、強すぎる故の孤独、やりがい、自己肯定…いろんなことが入っていますし、AIアンドロイド的な面白さが感じ取れます。
 善悪の相対化はちょっと陳腐な面もありますが、魔王がなかなか可愛いいし、四天王のキャラが立っているので、ちゃんと成立しています。

 ストーリーも設定もテーマも入り込めればかなり良作だと思いますが、エンタメの部分が置き去りだったというか、伏線の工夫が足りなくて、せっかくのいい話、いい設定が活かしきれなかったか…うまくいけば「慎重勇者」のようなカタルシスがある作品になりそうですが、どうでしょう?最終回、結構楽しみです。

 多分次回で最終回ですよね。見終えたらレビューします。{/netabare}

 

 

投稿 : 2024/05/04
♥ : 19

63.2 4 任務で異世界なアニメランキング4位
エガオノダイカ(TVアニメ動画)

2019年冬アニメ
★★★☆☆ 3.0 (202)
701人が棚に入れました
地球より遥かかなたの星にある、笑顔に溢れた王国。王女のユウキは十二歳、そろそろ多感なお年頃。毎日泣き、笑い、時にはときめいたり…?しながら、王宮で楽しく暮らしている。日々を彩るのは、忠実な家臣たち。教育役のレイラ、政治を補佐するイザナ、騎士団長ハロルド、そして……幼馴染の側近、ヨシュア。「ユウキ!気合と根性さえあれば、何だってできる!」「……もうっ。またそれ~!?ヨシュア、もっと貴族らしくしてっ!」ステラは十七歳、有能かつクールな軍人。けれど微笑みはいつも絶やさない……笑顔は生きるためには、欠かせないから。これは、遠い星に生まれた、二人の少女の物語。

声優・キャラクター
花守ゆみり、早見沙織、松岡禎丞、佐藤利奈、神奈延年、置鮎龍太郎、小市眞琴、榎木淳弥、松山鷹志、長久友紀、増田俊樹、石谷春貴、白石稔
ネタバレ

剣道部 さんの感想・評価

★★☆☆☆ 2.0

エガオニナルカ?

[文量→大盛り・内容→酷評系]

【総括】
アニオリのロボアニメのダメなパターンの方、って感じですかね。

雰囲気や出だしの感じはかなり良かったんですが、肝心のストーリーでおおこけしました。ロボットアニメ自体は大好物なので、期待はしてたんですけどね。

【視聴終了(レビュー)】
{netabare}
まず一番の問題は、「クラルスの停止=文明の崩壊」みたいな論調で物語を進めてきたのに、最終話Cパートでいきなり、「え? 結構、普通に文明を維持できるんじゃん」となったところ。あれはズルいと思う。話が違う。

という事で、あくまで、「クラルスの停止=文明の崩壊」と考えてレビューを進めていきたいと思う。そうじゃないと、ユウキの行動に是も非も言えないから(兵器だけが停止し、文明が維持できるならば、そりゃ理想的だから)。

ユウキのとった行動は控えめにいっても最悪で、まさかただの箱入りワガママ王女様のままで最終話までいくとは思わなかった。じゃあ、縄文時代や弥生時代は争いが無かったのか? 充分な食料や医療がない中で、幸せに長生きできたのか? など、たくさん疑問が浮かぶ。

もしこういう「ハッピーエンド」を目指すなら、「クラルスの軍事転用だけを止めるウィルスを流す(ナノマシンの改造)」とかにすりゃ良い(勿論葛藤は生まれないが)。

構成的にも、とてもとても疑問が残る。

本作はダブル主人公の形式をとり、相互にそれぞれの陣営を見せていた。その中で、敵味方に分かれた二人の主人公が出会い、どう平和に導くかが見処になる作品だったはずだ。

そんな二人の大切な「邂逅」を、まさか最終話の終盤にもってきて、しかも、一方(ユウキ)の考えに全のっかりとか、マジか?と思った。もう一人の主人公であったステラのとった行動は、「止めない」という消極的なものだけで、だったらなぜ、主人公を二人にしたのか分からない。

ダブル主人公のメリットは、立場や境遇などの違いから、見える風景が変わり、異なる主張をもった者同士がぶつかり合い、それでも互いを認め、異なる二人だからこそ辿り着けるゴールを見つけるところにあると、私は考えている。

例えば、ダブル主人公×戦争 モノの金字塔、「銀河英雄伝説」は、ラインハルトとヤンという二人の天才が、直接顔は見合わせずとも、常に相手を意識し、敵の味方以上に相手のことを深い部分で理解していからこそ、感動が生まれた。

けれど本作は、二人が直接顔を合わすまでは、互いから何かを受けとるのではなく(というかユウキに関しては、ステラを個人として認識すらしてないと思うし)、むしろ、自分の味方から多くを学び、たくさんのものを受けとってきた。だから、最後に敵側についたステラには、裏切り者のような印象をもってしまった。会って数十秒の敵国の姫のありきたりな台詞に感動し、祖国をあっさり裏切った、そんな風に捉えられてしまわないだろうか?

ダブル主人公のデメリットは、片方を深める時間が半分になることだ(だから銀英伝は長大だった)。これだけ、ユウキのやりたいことを100%叶えるなら、普通に王国サイドのエピソードだけで充分だった。また、ダブル主人公の良さを生かすなら、7話くらいで二人を出会わせ、二人がそれぞれに1つのゴール地点に向かっていくような構成の方が良かったと思う。

さらに、普通に考えて「クラルスの全停止」というのは、愚作としか思えない。ナノマシンを使いきり、人が住めない環境になるのが、明日明後日の危機でないのなら、まずはこの情報を全世界に公表し、王国は帝国に即事降伏(敵対勢力がなくなることで、兵器によるナノマシンの浪費は防げる)。日常生活におけるクラルスの使用も最低限に抑えつつ、代替のエネルギー開発か、ナノマシンの発明・生産に全力を尽くす。その上で、全て上手くいかなかった場合は、一次産業の推進(人力での農業指導や農具の生産、家畜を充分に増やすなど)や治安機関などをしっかり整備した上で、今回のユウキのように、クラルスの全停止を行う。そのぐらいのことをやった上で行わないと、限られた食料や文明の遺産を巡り、間違いなく略奪が横行し、戦争以上の被害を生んでしまう可能性もある。マジで、雑だと思う。

これだけの悪さがある作品なので、視聴後の感覚的には☆1でも良いのだが、1~4話くらいまではしっかり楽しめるなど、良さもあったので、まあ、☆2かな。

あと、ネタバレに繋がるようなOPをつくるのは、特にアニオリならやめてほしいと思った。
{/netabare}

【視聴終了(要約バージョン小盛りレビュー)】
{netabare}
クラルスの全停止=文明の崩壊みたいな論調で物語を進めてきたのに、最終回Cパートで、わりと普通に生活出来ているようなので、話が違うと思った。

ダブル主人公の良さを全く生かさず、最終回になってようやく邂逅し、すぐに意気投合する二人がよくわからん。

てか、クラルス全停止、兵器が止まって世界が平和になりましためでたしめでたしとか、頭お花畑かよ(向日葵だけに)w

☆1でも良いが、序盤はまあ楽しめたので、☆2で。
{/netabare}


【1話ごとの感想(視聴時毎回更新)】
{netabare}
1話目「ソレイユの少女」☆3
{netabare}
器の大きさをみせる、主人公。なんか、好きな世界観っぽい。

《今後の展望》
王女が有能且つ良い人なので、彼女の成長を描くというより、理想と現実のギャップに悩みつつも、それを乗り越える様子を描くんだろうな。笑顔の代価、というタイトルが気になるな。ヨシュアかユウキのどちらかが死んだりする?
{/netabare}

2話目「戦乱の真実」☆4
{netabare}
なんか、OPが盛大なネタバレになっているような、、、。ヨシュアの死亡、思ったより早かった。

《今後の展望》
こうなると、王女の闇堕ち、本領発揮で帝国を蹂躙することもありそうだけど、多分、爽やか路線だな。OP観る限り(苦笑)
{/netabare}

3話目「微笑みの戦士」☆4
{netabare}
戦場で親を殺した(かもしれない)兵士が、その子供に桃缶を配る。そして、家を爆破に巻き込み、助け、罵倒される。しっかり「人間」を描いているな。

《今後の展望》
1話ごとに主人公サイドを変えていく、ダブル主人公構成でいくのかな。銀英伝もそないな感じだし、好きな構成ではあるかな。
{/netabare}

4話目「希望の選択」☆4
{netabare}
王女の素人判断で最悪の結果を招く。なかなかちゃんとドラマを作る気があるな。

《今後の展望》
科学力と経済力、地の理は王国にあるが、戦力(物量)と勢いは完全に帝国にある中、やはり逆転の一手は、ユウキの覚醒しかないでしょうね。ただ、最終的には和解、和平だろうから、互角まで戻せば良いわけだけど。帝国に物資は無さそうだし。
{/netabare}

5話目「分隊の一夜」☆3
{netabare}
昔世話になった先輩軍人、、、わっかりやすい、死亡フラグ(笑)

《今後の展望》
リリィもいつか死にそうですね。ユウキにとってのヨシュアの死に釣り合う存在が、ステラにとってのリリィっぽいし。
{/netabare}

6話目「運命の岐路」☆3
{netabare}
総数五万!? かなり大規模なロボット軍団がいるんだな。いくら士気を上げるためとはいえ、戦術を考える人が前線に出るの? ユウキが指揮をとる(覚醒する)きっかけ作りか。

《今後の展望》
やはり、ユウキ無双の展開かな。今回追い討ちをしなかったことが、後々、ステラとの和解、共感の種になるのかな?
{/netabare}

7話目「王宮のひまわり」☆2
{netabare}
退役、メデタイ、メデタクナイは、微妙なところだな。こっちのチームも、かなりキャラは深まったな。ピアーズを殺したか、これはちと残念。なんか、体よく悲劇を背負わせて、ちょいキャラを殺していく。こうなると、ピアーズを殺すために、今回、彼をとってつけたように引き立てたことになる。こういう、キャラの生かし方、殺し方は嫌いです。キャラクターは、ちゃんと生きて、どうしようもなく、死なないと。

《今後の展望》
帝国側、ステラサイドにも死の悲しみは必要で、だとしたら、ヨシュアに釣り合うのは、リリィか隊長かと思っていたら、ピアーズというちょいキャラに悲劇を背負わせて退場させる手段に出たか。今後を、想像したいと思えなくなったな。とりあえず、ユウキ無双ですね。
{/netabare}

8話目「最後の伝言」☆3
{netabare}
イザナ、死亡。最後に一花咲かしたら死んでいく流れを続けるのか?

《今後の展望》
新型クラルスのリスク。世界が滅ぶとか、そんなんでしょ、多分。
{/netabare}

9話目「暁の挽歌」☆3
{netabare}
王国編が続いたね。笑顔の代価とは、人々がクラルスによって笑顔になった代価として、環境が犯されることもあるんだね。う~ん、パタパタ人が死んでいくな~。ハロルドも死に、いよいよ王国は人材不足だな。

《今後の展望》
次は帝国編を2話続けるのかな? 最終的には、世界の全てのクラルスを活動停止にするの? てか、これ、ストーリーまとまるか?
{/netabare}

10話目「魂の発火」☆3
{netabare}
戦争被害者との触れ合い。素直に笑う、ステラ。悲劇の予感しかしない。ここで、隊長の死か。ここで両陣営の物語がひとつにまとまるのね。

《今後の展望》
ステラ、最後は隊長の孤児院を引き継ぐのかな。次はステラとユウキの邂逅だろうね。二人はどんな決意をするのか。やっぱり、新型クラルスを使って、全クラルスの停止かな。でも、それで争いがなくなるほど、世界はシンプルなのかな?
{/netabare}

11話目「二人の決意」☆2
{netabare}
隊長への熱い思いに、なんかこっちがついていけないな。ダブル主人公ものだけに、片側の掘り下げは不十分になるわけだし。ユウキが、父の死というツラい事実を、母親に言わせず、自ら言ったのは、偉いと思った。

《今後の展望》
まさかこれ、クラルス全停止でハッピーエンド、にはしないよね? クラルスを全停止するならするで、現実的な代替案がないと。
{/netabare}

12話目「笑顔の代価」☆1
{netabare}
よく娘だと分かったな。母親の超能力か? なぞの挿入歌(笑) 野菜は元気になるって、ナノマシンは自己増殖するの? じゃないなら、「減らなくなった」だけ(現状維持)で、回復はしないでしょ。

いや、確実に間違いなく、ユウキもステラも刺されると思うんだけど。

ここまでダメな最終回も珍しい。総合評価まで1にしようか悩むレベルです(汗)

《今後の展望》
2期や劇場版はないな。100%。
{/netabare}
{/netabare}

投稿 : 2024/05/04
♥ : 34
ネタバレ

pister さんの感想・評価

★★☆☆☆ 1.8

ダイカ君の笑顔がステキでした

3話までの感想{netabare}
大地が作物育ちにくくなって食料を巡って戦争ってのは非常にシンプルで分かりやすい。
主人公、お姫様には辛いニュースは聞かせたくないって、お人形扱いかよー。
「お前は何も知らずに神輿に担がれてりゃそれでいいんだ」と言ってるみたいで、ああこれがのちに代価に繋がるのかなぁと思ってたら2話で主人公死んじゃった!?
それ以前に「篭城だー」と言ってた次のシーンではもう撤退してて、2話は展開がぶっ飛んでるっていうか…何かトリックでも仕掛けてるのか?
ってことで気になる3話を待ってみたら…ヨシュアどころかソレイユ王国側全然出ないw
くっそww引っ張りおるwww
内容も、命令果たすためなら恨まれても構わんっていうもので、個人的には大好きな部類。
(ここぞとばかりに叩きのネタに使うのもどうかと思うが、“ゴブスレ”がそういう作品だと思ったら全然違ってヌルくてビビった)
もしこれで最終回、「世界が平和になったーやったー」ってところでステラが子供に撃ち殺されたら大絶賛します(嫌味ではない)。

それにしても…これ言ったら世界観台無しだし無視すべきことなんだけど、肥料って鉱物由来だぞ、水耕は特に。
なので作中のプラントはどっちかっつーとグランディーガ側の方が得意ってのが自然で…いやいいんですけどね。
大地で作物が育たないのはマグマエネルギーが枯渇したせい(ダリフラネタ)みたいな、クラルスラピス掘りすぎたって展開にはならんだろうなぁ?{/netabare}

4話感想{netabare}
戦争の用語?はよく知らんけど、いわゆる二次遭難みたいな展開。
退去命令出されたけど従わずに留まって抗戦しようとする民衆が居て、そいつら助けに行ったら全滅。
ん?全滅か?途中からロボだけ映してトレーラーがどうなったか映ってないのでちと不明。
どちらにしろ…う~ん、タマランw
ってか退去命令なんて住民全員が大人しく従うワケないじゃーん。
姫様はカリスマあるんだっけか?じゃあ姫様直々に発令すれば叶ったかも知れんけど、そうできない事情──新型クラレス絡みで報告を伏せた──を生み出したヤツは切腹モンだろう。
あとかつての和平式典で乱入してきたの、あれは帝国の手によるものなのかテロリスト(第三勢力)によるものなのか、どっちなんだろ?
ソレイユ側は帝国のしたこととしてるみたいだけど、そうであるなら式典の場に帝国の要人が来ていない(町ごと爆発させる計画に要人送るかね?)と、もっと早い段階で気付けそうなもんだが…。
第三勢力によるものならグランディーガ側もお偉い人がテロに巻き込まれてると思うので、両者痛み分けとしてまだ歩み寄る余地があるような?
“反新型クラレス”の勢力が居るような気がするんだが、どうだろうか…。

それにしてもヨシュアは死にっ放しなんかね?
1話のシミュレーション装置に個人データが残っててそこから…みたいな展開だったらヤダなぁと思ってるのだけど、どういう扱いしてくつもりなんだろう。{/netabare}

9話までの感想{netabare}
なるほどねー、2話でヨシュアを殺したことで「この作品はメインキャラでも容赦なく退場させる」って印象を植え付けられたみたい。
5話ではリリィが死ぬんじゃないかとヒヤヒヤしながら見ることが出来ました、というか死亡フラグ立てまくりで思い返してみると結構笑える。
でもって9話までの感想としては…実はユウキの側近連中に裏切り者でも居るんじゃね?と思ってたけどそうじゃないっぽい。
「担ぐ神輿は軽い方が良い」と側近が意図的に姫をお馬鹿に仕立て上げてたってことにすりゃこれまでのアレコレも納得のいく方向で収められたと思うのだけど、そうじゃないのかー。
更に言うと“LOSUTSONG”のように、王国視点と帝国視点で実は時代が違ってたりして、なーんてこともうっすらと考えていたけどそれも違うっぽい。
う~ん予想外れてばかりだなぁと思ってたら、↑で書いてた第三勢力キター!
やっぱ昔テロ起こしたのはグランディーガ帝国ではなくてベルデ皇国?公国?ってところだったらしい。
とはいえ今はもう滅んでるみたいだけど…とりあえず現在戦争をしてる二国はどっちも被害者みたいなものなので、そっち方向で和平エンドって可能性は…あるんかなぁ?

また、どうしてベルデ皇国は新型クラスル開発を阻止しようとしたかって形で「この世界の仕組み」が9話でやっと明かされる。
…。
ソレイユ王国はトップに報告しないのが慣わしなのか?
ナ、ナノマシーンかぁ。
作物が育たなくなり出してる原因にも繋がるワケだけど、これは航空兵器が存在してない理由にも繋がってる?
上空はナノマシーンの濃度が薄いとかで。
でもこれだとナノマシーンには「ムラ」があるってことで、今までそれを匂わす描写(風向きによってエンジンの調子が変わるとか)は無かったので違うんかな。
と、いうよりも、だ。
ナノマシーンは自己増殖して~とか言ってたけど、じゃあどうやったら増殖できるのか・促進可能なのかの解明はしないのかいな?
人間側からの干渉ではどうにもできないとか明かしてないので、最後ナノマシーン増殖方法が見付かってめでたしめでたしエンドの可能性が…あ、あるかな?
もしくは高濃度の・パンパンにナノマシーンの詰まったコンテナでも見付かったりして。
なんか物語最後のカット、立派に咲いたヒマワリのアップで終わりそうな気がして、それに向けてどう展開するかで考えてしまいまして…。

もう一個気になるのは3話で接収したプラント、あれはクラルス使っての栽培だったよね?
ナノマシ-ン周りの設定と矛盾してない?
また、接収しといてそれ以降帝国側がどんな分析したのか全然触れないんだよなぁ、それ真似て食料確保できるようになれば当面の戦争は回避できそうな気がががが。{/netabare}

最終回までの感想{netabare}
10話…え、待って、9話でやっとクラルスの謎明かしたと思ったらまたこんな話?
3話の焼き直しじゃん。
いやだからさ、戦争の悲惨さ見せたいんだったら孤児に「母さんの仇!」と撃ち殺させようよ。
孤児から花束渡されて受け取ろうとしたらその下から銃口が…とかやろうよ。
もし衝撃的な死を描きたいんだったら、作戦で手柄上げて、隊員から誉められて「よせやい照れるぜ」と照れ隠しでサイドカー乗り回してたら補助席に放り込まれてた手榴弾のピンが外れてドカーンくらいやろうよ。
ダグラム見よう(ダイマ)、うん。

けどそんな10話はまだマシだった、11話は…えええ、今の時代にコレ?
原始共産主義というか“地球へ”のナスカ編というか。
そういう発想も分かるんだけど…科学の発展に対し「果たして本当に大丈夫なのだろうか?」と不安がる気持ちというか。
そういうのってひと昔前のやれ公害だ自然破壊だのと騒がれた頃に散々見た気がしてのう。
それ以降もちょくちょくあるにはあるし、最近では“ダーリンインザフランキス”も挑戦はしたけど結局有耶無耶にするのが精一杯で、そうそう書けるものじゃない気がする。
…原発事故を受けて今後そういう系がまた流行りだすのかね?
最終回ではもういきなり千年後になって「あの頃は大変だったらしい」としてユウキは伝説の悪魔か魔女のように語り継がれ、それでいてその時代の住民はクラルスとは別の動力で文明を建て直し背景にはヒマワリが咲いててエンドでいいんじゃね?と思ってしまったり。

ってなことを11話観終わった後に下書きしてました。
ゴチャゴチャ言わずに最後まで見よう、と思って投稿しなかったのだけど…。
ってことで最終回の12話…スコーっ、思いっきりズッコケちゃった。
「えっ、なんで?」というのが第一印象。
人類には厳しい冬の時代が到来するんじゃないの?ポルポト政権下よりも酷い時代に…ならんの?
武器を奪ったところで石や棒で戦争続けるだけだと思うのだが…「そもそもなんで戦争始めたの?」をお忘れか?
3話でクラルス使ってのプラントもあったし、それもシャットダウンしたんだぞ?
???
クラルス停止装置を起動した時感動を誘うような挿入歌が流れたが、思い切り空回りしてて虚しかった。
ダブルヒロインとか視点切り替えによる云々とか誰が誰の娘とかどうでも良くなった。{/netabare}

総評{netabare}
悪い方向で騙された。
「きっと○○なんだろう」という好意的展望は総て打ち砕かれました。
姫様が頭お花畑なのはきっと側近(教育係)に裏切り者が居るからだろう、クラルスを使っても作物がちゃんと育つ技術がきっと開発されるんだろう、クラルスの真の動力たるナノマシンを増殖する技術がきっと見付かるんだろう、クラルス停止して姫様は処刑されるんだろう、クラルス停止で人類は10分の1とかに減ったりするんだろう…。
全部「そんなことはありませんでした」。
最後のオチも、自分は一体12話も何を見させられてたんだと考えてしまう肩透かしなものです。
いっそのこと最後にダイカって名のキャラが笑顔で登場してくれたほうがまだマシだったんじゃないかと思うくらい虚無。
もしこれから見ようという方は、何も期待しない方が良いと思います。
というより、これ見てアニメを嫌いにならないで。{/netabare}

余談{netabare}
11話で本軍が対面してた平原が赤く描かれてて「お?アッケシソウかシチメンソウかな?」と思ったら(他のアニメだと“宝石の国”の何話かのエンドカードでアッケシソウ(多分)があったので記憶にある人も居る…のか?)12話でアップが出て、赤かった正体がヒガンバナで平凡すぎてガックシ。
多分そこまで考えてないと思うけど、ヒガンバナならヒガンバナで「今後大規模な飢饉に見舞われる暗示かも?」(ヒント:救荒植物)ってネタにもなりえたけどそんな展開にはなりませんでした。
というか、言わないようにしてたんだけど、ひょっとしてユウキの名前って有機農法から来てる?
…。
有機農法自体はJASで厳格に規格されてるけど、ちょっと外れるとエセ科学や宗教臭い魔境が広がってまして…。
最後のオチを見るにスタッフはそんな魔境出身なのかな?と思わなくもない。
監督“ヒロイックエイジ”の人なのにねぇ…いやあれも宗教臭いっちゃあ臭いか。{/netabare}

投稿 : 2024/05/04
♥ : 10
ネタバレ

ぺー さんの感想・評価

★★★★☆ 3.3

笑った私は素敵でしょう・・・ね?どう?どや!素敵でしょ?

タツノコプロ創立55周年企画オリジナルアニメーション、とのこと。


そのまんま『笑顔の代価』となるのでしょう。好物である不穏な展開が待ち受けてそうなタイトルが視聴の決めてでした。鬱展開カモン(^^)

王国と帝国。二つの勢力に別れての戦争もので主力兵器はロボットという世界が舞台です。キービジュアルからは想像つかないですけどね。王国側の王女ユウキ(CV花守ゆみり)と帝国側の一兵卒ステラ(CV早見沙織)のWヒロインになります。
戦争の原因は資源エネルギーに絡んでと妥当な理由でした。
タイトルから“笑顔は何と引き換えなのか?”
OP映像から“ユウキとステラはどう絡むのかなぁ?”
そんなところが気になる序盤です。


観終わって、、、そこそこ期待した通りの“不穏さ”ではありました。
エガオにまつわるオチのつけ方やたぶん監督が描きたいであろうテーマも伝わってきます。ただわかりづらい。

戦争もののくくりで本作を捉えるとして、陣営の違う二人を主人公に据える場合、まずはお互いの関係を決めてくれると楽だったのです。
 ・一番手っ取り早いのは二人をライバルにしちゃうことでしょう。
 ・次に考えられるのは敵味方を超えた友情物語にしちゃうことでしょう。
これがどちらでもなく関係性は不明のまま。
ただそれ自体は悪くないことです。後半に結びついてこればいいだけの話。

次に早い段階で二人が会うなり相手を認識すること。接点を作ってあげないと一つの作品のなかで別個の物語を追うハメになるからです。これもないため、視聴者は二つを追いながらの集約待ち状態が続きました。これもそれほど悪くないことです。
代わりかどうかは知りませんが、同じ事柄を王国視点で次は帝国視点でと交互に見せる演出が何回かあって理解を促してました。
おもしろい演出でしたが、《話の進行速度》を代価として払った感じですね。終盤近づいてももやもやが依然として残ります。
{netabare}9話以降、クラルスとは何ぞや?が解明されたあたりから物語は加速していきますが、{/netabare}どうしても終盤慌てて畳んだような印象です。

 尺不足ではなくこれは脚本が悪いです。

並行で物語を進行させる場合、興味を引き付ける要素を要所で挿れないと置いてけぼりになります。その悪い見本。
最終盤はいろいろ繋がって作品のメッセージも受け取りましたが、それまでの組み立てのしょっぱさから{netabare}ラストカットのユウキとステラの二人に{/netabare}感情移入できた方がどれほどいたでしょうか?私は2週めでやっとおぼろげながら見えてきた感じでした。

 『その笑顔のためにどんな代償を二人は払ったのだろうか?』

ここに注視する必要がありそうです。鬱展開は好物です。ただしそれは人間の根っこ部分を摑まえてこそ。メッセージ性があるものの根っこが弱い、もったいない作品でした。
テロップ挿入ありのOP。「笑った私は素敵でしょう」とストレートなED。OPはムービーがネタバレやんと思いつつ、両曲とも作品世界に合っており肝いりだったことがわかります。


※以下ネタバレ所感
■笑顔の意味
ヒロイン二人の笑顔には別々の意味がありました。
{netabare}ユウキ:幼くして両親を失う不幸に見舞われながら周りの助けもあり、愛情を注がれて育った娘の笑顔。
王女らしく笑顔の対象は自国民だったり『公』に向いている。しかし次々と愛する人(家臣含む)を失っていき、笑顔は消えていく。愛する人を失わずに済む日が訪れた時に笑顔は取り戻せるのだろう。{/netabare}

{netabare}ステラ:幼くして両親を失う不幸に見舞われ里子に出されても厄介者扱いで、愛情を注がれずに育った娘の笑顔。
自己防衛ありきで笑顔の対象は自分『私』に向いている。仮の居場所(軍)を見つけ必要がなくなり、笑顔は消えていく。在りし日のかすかに残る記憶。人と人との繋がりを取り戻せた時に心から笑える日が訪れるのだろう。{/netabare}

{netabare}ユウキは民を統べる者としての自覚が芽生え、その責任を全うしようとすることで。
ステラは戦災孤児や隊の仲間の温もりに触れ、居場所を見つけようともがくことで。
クライマックスに向けて両者の心の変化みたいなものが集積していき、ラストピースをレイラさんが埋める。そして繋ぐ。ここはちゃんと筋が通っているんですよね。{/netabare}


■メッセージ
非戦反戦であることは明確です。王国にも帝国にもそれぞれ兵士たちには愛する者がいて、と。両陣営の視点で描かれているので狙いはある意味分かり易い。戦争なんてろくなもんじゃない。その通り!
なんだけど、物語の収束のさせ方が自分には刺さらない刺さらない。受け取ったメッセージに共感するまでには至りませんでした。

{netabare}作中でも再三指摘されてましたが、動力源(クラルス)を失えば、新たな争い生まれないわけないでしょうに。自覚あるだけマシと言えなくもないが、クラルス停止の正当性の根拠に持ってきたのが住環境の維持、すなわち環境破壊の阻止です。しかも1000年後。
これは問答無用でグレートリセットすればなんとかなる、のテロリストの発想ですよ。クラルス停止してもいいようにエコ手法を周知徹底するロードマップを敷くとか代替エネルギー研究するとかまじめな議論すっ飛ばすやり方はどうも性に合いません。そんな真っ当なツッコミに対しての反論が{/netabare}

{netabare}『気合と根性さえあれば、なんだって出来る…』
ヨシュアの伏線回収です。 ダメだこりゃ (*´▽`*){/netabare}

賢明な皆さんならもうお気づきでしょう。既視感のあるプロパガンダ臭がプンプンで胡散臭いったらありゃしないのです。
エンタメはエンタメで楽しみたいのでこういうのいらんかなぁ。リアリティの欠如した作品は今の時代ウケませんよ、タツノコプロさん。
GO!GO!がコンセプトの55周年企画なそうですが、これが非難轟々にならないことを切に願います。


■オマケ
1.CV花守ゆみり
ユウキが野営のキャンプで食事にありついてるシーン。もうすぐ冬ですね。
※出典:寒い季節にキャンプを楽しむアニメ
2.役名リリィ
仲間が戦死する度にこのフレーズが耳から離れない
「さよならはやってくるけれど ずっと先だって思ってた」
※出典:ゾンビがアイドルするアニメ

お粗末さまでした。



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2019.08.25追記

視聴時期:2019年1月~3月リアタイ視聴

ED『この世界に花束を』のフレーズ。「笑った私は素敵でしょう」
これ放送中は気にならなかったのですが、最終話を観終わって、

 「素敵って言えや、ゴルァ!」

と迫られてるかのように感じました。作中のメッセージが押しつけがましかったのが理由です。お姫様は自分は良いことしてる!って信じて疑ってないですよね。だいたいこの手の方って人の話聞かないんですよ。



2019.03.29 初稿

投稿 : 2024/05/04
♥ : 46

67.4 5 任務で異世界なアニメランキング5位
処刑少女の生きる道 バージンロード(TVアニメ動画)

2022年春アニメ
★★★★☆ 3.3 (255)
681人が棚に入れました
かつて日本から訪れ世界に大災害をもたらした≪迷い人≫。彼らは過去に世界を滅ぼすほどの厄災をもたらしたことから「禁忌指定」となり、人知れず処刑する必要があった。≪迷い人≫の処刑を生業とする≪処刑人≫のメノウは、ある日、日本人の少女・アカリと出会う。いつものように任務を遂行しようとしたメノウだが、アカリの“とある能力"により失敗に終わってしまう。アカリを確実に処刑するため、彼女を連れて、いかなる異世界人をも討滅可能な儀式場があるというガルムの大聖堂を目指すメノウ。殺されるために旅をしているとは知らず純粋に楽しむアカリの姿に、メノウのなかで何かが変わり始めていた。――これは、彼女が彼女を殺すための物語。

しんちゃん さんの感想・評価

★★★★★ 4.3

異世界、タイムリープ…を、「じゃない」側から見たら

原作未読。

今期は異世界者として「骸骨騎士様」とこの作品の2つを観ていたが、切り口・まとめ方が対照的だった。個人的には、「処刑少女」のほうが良かった。この、「面白かった」じゃなくて「良かった」という表現には、もちろん含みがあります。

いわゆる「異世界」ものって、本来は、現実世界ものだといちいち年代や場所の設定、人物の職業などに『現実と違う』とか『物理的にあり得ない』とかのツッコミが入ってめんどくさくなるから、いっそのこと“この世ではない世界”ってことにして現実世界の設定や物理法則とか無視して、いろいろ自由にできるようにしちゃおう、っていう意図から誕生したジャンルだと思うのですよ。

でもね、そうするとじゃあ何のためにわざわざ物語を異世界で展開するのかっていう、根本的な作品の意図がより鮮明に浮かび上がってくるわけです。で、巷に言う「なろう系」というのは、主人公に現実ではあり得ないハーレムとかチートスキルとかをやらせたくて異世界にしました、っていう(それはそれで一定のニーズがあるのだけど)しょうもないオナニー的作品が大量増殖してしまったことへの侮蔑的な呼称でしょう。

「処刑少女~」は、そういった状況に対するある種の「反転」による批評を意図した作品だと言えるのかなと思いました。チートスキルとともに異世界転生した人間に無双「される」側を主人公にして、はた迷惑な転生者が主人公に「処刑」される様子を描く。また、タイムリープ能力を持つ転生者の側にいる人間は、世界をどんなふうに認識するのか、というのを描くからです。

その視点の転換は、非常に面白いと思いました。が、少なくともアニメ作品単独として見た場合には、そのユニークな設定を生かしきった物語だったとは言いづらいかなと感じました。異世界の側の階級闘争や神職組織内のゴタゴタといった、転生者とその処刑とは直接関係のない話が延々と続きますし、主人公の育て親?とのエピソードが回想の中で何度も出てきますが、結局その人物に関する謎は最後まで解かれずに終わってしまいます。

でも、そういう意味では原作を大胆に改変して1クールで話をきれいに終わらせた「骸骨騎士様」に比べて、原作に忠実?に途中までで話を投げっぱなしにした「処刑少女」の制作チームのほうが、私としては評価したい。

なぜなら、異世界ものは結局チート・ハーレムといった読者の欲望に忠実になる以外のオチの付け方は、「桃太郎」化した超絶テンプレの勧善懲悪ストーリーしかないわけです。                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                          というか12回も見続けて最後に自分が「桃太郎」のテンプレを見ていたのかと思うと、脱力感がハンパない。それぐらいなら、「これはあくまでプロローグで、興味を持った方は原作をお読みください」と突き放してくれた方がありがたい。その意味においてです。

でも、異世界ものというのは、(世界の定理について読者との間に共通理解がないために)どうしても登場人物たちを中心に世界を回し、説明することになってしまう。小説の場合は尺の制約はないからいくらでも長い物語を書き続ければいい(むしろ長編にしたほうが読者も読み続けてくれて喜ばれるしもうかる)のに対して、12話という枠のあるアニメでは、意外性のあるストーリーを展開する前に世界の説明と主要な物語をたどるだけで尺が尽きてしまう。「処刑少女」も、そうした制約の中でテンプレ化しない道を一生懸命探った結果の作品だと思うが、やはり12話でまとめきることはできず、尻切れトンボとならざるを得なかったのだろうと思いました。

幸い、作画や音楽については一切の手抜きなし、申し分ないレベルのクオリティだったし、声優も主役級2人の新人も悪くなかったし、回りをベテラン勢で固める手堅い配役でした。制作陣の誠実さが感じられる作品だった…けれども、これで2期があるか?と言われれば、きついでしょうねえ。批評性以外に作品の魅力があまりないから。私としては、機会があったら、原作も読んでみたいと思いますが。

投稿 : 2024/05/04
♥ : 4
ネタバレ

CiRk さんの感想・評価

★★★★☆ 3.2

設定だけは良かった。

{netabare}
1話の出だしは、いかにもこの作品は他のなろうとは違いますよと言わんばかりに皮肉を入れたり、異世界ながら現代風な世界観だったり、そして、無能なナナのようなどんでん返し展開でかなり期待してた。続きの2話も結構百合要素も強めな感じで、序盤の印象はクール内でもトップクラスだったのだが、そこからは落ちる一方。

まず一番のガッカリポイントとして処刑少女要素が全然ないこと。
処刑したのが一話のモブだけという...。
あかりは特別な存在だから保留するにして、同時並行で別のターゲットを殺していくという風に、あくまで処刑少女としての仕事を描くべきだったと思う。
なぜか訳の分からない敵とばかり戦っておて、見たいものから逸れている感もあるし、グダグダやっている感も否めない。

急に「異世界人を殺す羽目になってたのは実はあのおばさんのせいなんだ!!」とか言われて喧嘩をし始めても、異世界人を殺す処刑少女としての場面が一話しかないもんだから共感しがたい。
てかそもそもおばさん自体存在感が薄いからそんな意外性のある展開というわけでもなく、唐突な印象を受けた。
おばさんの動機も死ぬほどしょうもないし、あの回でこのアニメはダメだと確信した。

実際おばさんとの戦闘後は良くも悪くも、普通のなろうになったなと言う印象。
この世界が異世界人から影響を受け近代化しているという設定に関しても大して活かされず、目の前に現れた敵を倒すだけという可もなく不可もない展開。
もう灯を殺すとかそんな話はどこか遠くへ行ってしまってるのでグダグダ感が否めなかった。戦闘自体も特段面白いということもなく、本当に普通。
中盤から後半になってくると百合もかなりごり押し感があって、百合好きの自分からしても正直きつかった。

あと、あの金髪のキャラは何がしたかったのか。電車の上で急に戦闘を始めたかと思ったらいつの間にかVSおばさんの回で共闘展開になっているし、その回だけかと思えば最後の敵との戦いでも共闘してるし、本当に何がしたかったのか。こんな共闘した後に対立されても茶番感しか。

まあただ、実は目的が一致しているという、灯やメノウの設定に関しては面白かったというか惹かれるものはあった。
タイムリープキャラをサブ主人公に据えた話と言うのも目新しさがあって良かったかな。
最終目標やラスボスが明瞭になったというのもあってどちらかというと最終回後の話の方が、グダグダ感がなくなって面白くなりそうではある(?)
フレアがラスボスで、自分の弟子を始末している"処刑少女"という設定も面白そう。一期の範囲だと本領が発揮できていない感は少しあった。

序盤は結構面白くて、中盤は微妙、終盤は普通と言った感じの作品ですかね。
キャラの作画に関してはずっと安定していたけど、作画は普通だった。

↓一話毎メモ
{netabare}
1話 ☆9
結構よさそう。あっ...。出だしは良かったのに、異世界転生の流れと「異世界転生!?」って驚く主人公のせいで台無し。
異世界転生の流れ雑すぎない?
いや、けど転生後にネガティブなのは結構いいか?
おい、主人公寒い会話やめろ。なろう特有のマヨネーズ推し。
知ってて草。これは...逆張りなろう作品?
おお、世界観がちゃんとしてる異世界っぽいな。
日本人街が出来てるって言う設定も面白い。ノブレス難民救済。
独自の世界観がある異世界久しぶり。どういうことだってばよ。
無能なナナ? 面白い説。葛藤を残しつつ殺すのがいい。
光学迷彩? 異世界人はノブレスVSファウストの戦争の道具?
予想以上に面白かった。ダークホース枠? かわいい。死なないで。
OPなんて? OP微妙だな...。

2話 ☆8
キャラデザほんと可愛いよな。鬼頭あかり? 焦りすぎ。
自分の傷もいやせるよな。追い打ちはよ。顔芸。これ百合アニメ?
列車あるのか。修羅場。なんか好きだわこのアニメ。

3話 ☆6
やっぱり百合枠だったかw 謎の化け物
ちょっと話それすぎじゃない? 作画頑張って。
異世界人を殺す話だけやってればいいのに。
あかり守るの草。よくある列車が止まらない展開。
エッッッ ??? このもし失敗したらの回想いる?
失敗したけどやり直したのでは?ってこと。

4話 ☆8
今回で結局話面白いアニメか面白くないアニメかはっきりしそう。
怖い。露骨な百合豚向け路線。

5話 ☆2
百合が露骨すぎる。なんでこいつと仲良くなってんの?
心読まれてる?w 何が起こってるんだ?
主人公に殺し依頼してた側がおかしかったってこと?
処刑少女全否定だしなんかなぁ。
いや、けど目的が若返りぐらいなら異世界人殺せるしそれでもいいんじゃないの? 純粋概念受け継がれるの?

6話 ☆6
ちょっとマシなたんもし枠って感じだな。ループものだった? 何があった? 誰の話がしたいのか絞ってくれ。
モモとババアとあかりの話同時にやられても。
いや、フレアに変装できたからといってなんで出し抜けた?
変装する意味あった? 結局これでもう処刑少女()やめるの?
全くやってなかったけど。
まああかりがメノウを信じてた理由は整合性あって良かったかな。
これでまたループなの? サクガンみたいな回想

7話 ☆6
OP好きになった。百合のごり押し。
この子がちゃんと異世界人始末してるとこ一話のあのモブ分しか見てないんだが。最終的にモモが敵対してフレア連れてくるオチありそうだな。
まだ薬飲ませたりしてるんかよw
アイアンメイデンって言うほど苦しまずに死ねそう。

8話 ☆4
この世界の総意として異世界人は始末しないといけないのね。
ちゃんとした理由が必要だよな
下品すぎるわ。麻薬(魔薬) あんまり魔物化に意味なさそうだが。
あかりが少しきつくなってきた。序盤は推してたアニメなんだけどなぁ。

9話 ☆3
なんかもうこのアニメきつい。
もう今更こいつと敵対しても茶番なんだよな。女には優しい。
何がトリガーになって未来が変わった?
何が面白くないんだろうなこれ。処刑少女要素がないにしても展開を結構工夫してるのはわかるんだが。

10話 ☆7
いや、復讐する気満々だったじゃんw なるほど?
フレアが禁忌でないと見逃したことが誤りであったということにしたいのか? 
捻くれてんな。生まれた マトリョーシカかな?
しょうもない会話やってないではよ進めろw
そういやこの世界近代化進んでて映画もあるんだったな。
その割には町は前近代風なのね。

11話 ☆4
敵が寒いわ。この金髪は何がしたいんだよ。
話は悪くないけど敵が生理的に無理。霧ってなんなんだ?

12話 ☆5
エンドロールまで見ろ。これはいいリョナ。
腕ちぎられるとこまでやってくれたら最高だった。
そこであの回想の場面になるのか。
これ結局ダラダラしてるだけで面白くないアニメだったな。設定だけ。

曲評価(好み)
OP「Paper Bouquet」☆8
ED「灯火セレナード」☆7.5
{/netabare}
{/netabare}

投稿 : 2024/05/04
♥ : 11

nyaro さんの感想・評価

★★★★★ 4.7

12話見ないと真価が分からない作品。異世界転生だと思わない方がいい。

 なるほど…1話で予感したとおり、非常に面白かったです。大きな構造が良く練られていました。

 メノウとアカリがお互い抱えている秘密。そして教室のフラッシュバック。一体どういう構造で現世と異世界が繋がっているのかという謎。アーシュナやフレアなどに秘められた謎。どこをとっても興味が尽きません。

 タイムループものではありますが、タイプループがこういう大きな謎の構造の中でWHYを解き明かすためのものとして機能しています。ですのでタイプループで事件を解決するという話ではありません。あるいはタイムリープそのものも謎を構成しています。エピソードを通じてそういう謎の提示があって、謎が解き明かされる方向に進みます。

 異世界ものではありますが、SFの匂いがする舞台設定でセリフの一つ一つ、エピソードの隅々まで意味がありそうな作品でした。

 冒頭のアカリの不自然なメノウへの態度、そして内面を見せないキャラ造形などが後になってちゃんとわかる構造になっていました。
 少年の話や大司教、パンデモニウムなどのエピソードを使って上手く世界観や謎、設定を説明できていたと思います。

 アニメの作画は素晴らしかったですね。丁寧で破綻の無い作画なのはもちろんのこと、原画…特に女性の身体…立ち姿とかイスでだべっている姿などの骨格というか、デッサンが非常に人間を感じさせました。手の形も非常によくできていましたし。あるいはCGが優れているのでしょうか。人物の人間らしい作画はすごかったと思います。

 異世界転生もの、という枠に収まる作品ではなさそうです。非常に出来がいい作品でした。ストーリーという点では、なろう系の異世界ものは足元にも及ばない、くらいよくできた作品だと思います。世界観、舞台設定、キャラ設定、謎の作り方どれをとってもレベルが高い出色の作品です。

 
 ただ、良く出来過ぎていて、面白さがどこかに置いてけぼりになっている気がします。「転生もの」というカテゴリーでくくられてしまったのが不幸なのかもしれません。
 今のアニメ界、WEB小説界は、設定が丁寧に説明されて、一直線にストーリーが進まないと、評価されない傾向にあります。

 それと、世界観、設定が複雑でちゃんとできているがゆえに、キャラの内面描写がちょっと薄い感じです。そこに感情移入のむつかしさがあったかもしれません。
 謎がある故にモノローグが厳しい構造なのはわかりますが、ヒロイン2人もそうですけど、アーシュナなども内面が見えないので感情移入しづらいです。あえて言えばモモが乗りやすいですけど、ストーリーを俯瞰して見られる立ち位置ではないので、やはりメノアかアカリのどちらかにライドしたいですね。

 細かい事を言えば、冒頭の鉄道ジャックのところに関係者が集まりすぎとか、若干ご都合主義がありました。1つの列車に全員が乗る必然性とかあるともっと良かったかなあ。それとマノンの母娘のエピソードもちょっとあの人と肉親である意味が希薄だなあ、とは思いました。そうしないと登場した意味が薄くなるのはわかりますけど。12話の尺ですから省略した部分があるのでしょうか。

 OPの雰囲気も良かったですね。EDは続きが気になって飛ばしがちだったので、あまり味わってなかってなかったです。

 総評すると、世界観、舞台設定、キャラ設定、謎、エピソードの積み重ね、アニメの出来、特に女性の身体の作画、OP曲やOPアニメなどどれをとっても非常に良い作品でした。
 ただ、正直いって時代遅れの可能性があります。本作は古き良き「ちゃんとしたラノベ」になっていて、連載物ならではの単純な一直線の話ではないので、後半まで見て面白さが分かってくる構造でした。

 それに加えてキャラに乗りづらいので、見ている側に1話で作品の良さが伝わらないと、早々に切られるでしょう。そしてそれは見ている側だけの責任ではない気がします。異世界転生ものにみえますので、小説の読解力を要求したり、SF心を要求するのは酷だと思います。
 1話2話くらいで面白さに気が付いてもらえないとなると、厳しいですね。回を重ねるごとに面白くなっていきますし、6話まで行けば完走でしょうけど。12話で真価がわかります。

 なんとなく評判を見る限り、過小評価されている感のある作品です。ちょっとブギーポップを思い出しました。あれも非常に出来がいいですが、昔なら良くても今のアニメ視聴者には辛いでしょう。
 逆に言えばおそらく原作もなかなかの出来でしょう。アマゾンで3巻まで0円なので小説版確認して見ようと思います。

投稿 : 2024/05/04
♥ : 22

66.4 6 任務で異世界なアニメランキング6位
キミと僕の最後の戦場、あるいは世界が始まる聖戦(TVアニメ動画)

2020年秋アニメ
★★★★☆ 3.2 (284)
999人が棚に入れました
科学技術が高度に発達した機械仕掛けの理想郷「帝国」。超常の力を駆使し、“魔女の国"と恐れられる「ネビュリス皇庁」。百年にわたる戦争を続けてきた両国には、二人の英雄がいた。最年少にして帝国の最高戦力となったイスカ。ネビュリス皇庁の王女にして“氷禍の魔女"の異名を持つアリスリーゼ。戦場でめぐり逢った二人は、命を賭して戦う宿敵となった。国を、家族を、仲間を守るため、決して譲れない矜持と矜持をぶつけ合う。しかし、激闘の中で互いの素顔に触れた二人は、その生き方に、その理想に惹かれてしまう。ともに歩むことはできず、残酷な運命に翻弄されるとわかっていても。……そんな二人を嘲笑うかのように、世界の緊張はなおも高まり、大国の謀略が交錯しようとしていた。分断された世界、それでも少年と少女は想いを募らせていく―― 。

声優・キャラクター
小林裕介、雨宮天、石原夏織、白城なお、土岐隼一、花守ゆみり、和氣あず未、久川綾、笠間淳
ネタバレ

pister さんの感想・評価

★★★☆☆ 3.0

今観てる

2話までの感想{netabare}
2話まで見て…あれ?なにか忘れ物してるような…。
主人公イスカは捕虜を逃がした罪で「使徒聖」からの降格&懲役を食らってたが、敵につええヤツ(アリス)が居るのでそいつの討伐と引き換えに釈放された…って設定だよね?
完全に自由の身というよりは仮釈放というか、ターゲットのアリスを倒せなかったらor命令に背いたら牢屋に戻されるって立場じゃないのか、監視居ないの?
ロミジュリ展開をするにしても、思想警察とか懲罰部隊とか、そういう奴らの目をいかに欺くかが見所に…なるんじゃないのか。
なんか…自由過ぎ。
それこそ爆弾付きの首輪をハメられててもいい位だと思うのだが…。
囚人のイスカよりもアリスの方がメイドに監視されて息苦しい感じがするのがこれまた不思議。

チームの扱いも謎。
アリスの討伐はまだ叶ってないのに2話で「次の任務」とか言い出して…あれ?任務は継続中じゃないの?
アリス討伐を目的に再結成されたんじゃないのか。
まるでイスカが投獄中もチームは存続してて、任務をこなしてて、釈放後そこに編入したみたいなノリだけど…あれ?
と思ったら2話最後に上層部がイスカへの任務内容を、使途聖への昇格と引き換えにアリスを拘束することに変更して…懲役免除の話はどうなったん?
これは1話で引き分けに終わったことを評価したってこと?
と思って1話を見返したら仲間との会話でイスカは「どうもボクが釈放された理由が、その精霊使い(アリス)を捕まえるためらしくて」と言ってて、あれ?
いや、この段階での指令は「討伐」でしょ、でないと2話の最後が意味不明なものになってしまう。
あれ?
いつか裏切ることになる予定で、上層部の言うことは話半分にしか聞いてないってことを表現してる…のか?

まぁ今後ここら辺の違和感を解消させる展開があることを期待したいトコロだけど、戦争言ってる割に緊張感の薄さが半端ない。
そうそう、それとイスカがどうして「戦争を終わらせる」という思想に目覚めたのかもちゃんと描写あるよね?ね?
一応、昔実はアリスと出会ってたみたいなシーンがあったので、そこら辺が理由かな~とは思うけど。{/netabare}

3話感想{netabare}
わーお、2話までの感想でやや批判的な感想書いたけど、ちょっと評価変わったかも?
3話、2話で「復活するかも?」と匂わせてたラスボス的存在(アリスの先祖の双子の姉)がいきなり登場していきなり退場w
ノリとしては、もしこの作品が一年枠だったら早くても1クールかけるような内容を一気に片付けた感じ。
ぶっちゃけここまでの話を1クールやって「はい、アニメはここまで。続きは原作で」とやってもバチは当たらんような…それくらい急展開。

いい最終回だった

原作知らんけどめっちゃ内容詰め詰め?
「ここまでの展開をこんなに急ぎ足で処理したのは、この先見せたいモノがあるからだ」というのであるなら「2話までの感想」で指摘したようなことがおざなりでも…まぁ仕方ないかなぁ、と。
あくまで今後面白いって前提ですが。
逆に、こんな感じでダイジェスト調な話が続くようであるなら…疲れちゃうかなw、こっちが。{/netabare}

6話までの感想{netabare}
なんか大事なことを忘れたまんま話が進んでる様な…?
3話で始祖が破れ、祭壇?から始祖が消えたことで女王様大パニックなのでは?と思ったのだが、女王が全然登場しない。
2話であった祭壇に祀られてた始祖と3話で出たのは別個体?(双子らしいし)と思おうにも、アリスに全く気にかける素振りが無いのはどうなんだろう。
また3話の中立都市でのドンパチの顛末も、「100年前の価値観(中立都市がまだ存在してない?)のまま暴れようとしたヤバい奴を止めた」として感謝されるのか、「中立都市で何やってんだ」と怒られるのかどっちだろう?と思ったら、どっちつかずの中途半端な扱い。
ミスミスの書いた報告書とやらもどこまで書かれてるのか分からない。

まぁそれを言ったら1話でイスカが逃がした捕虜、牢から出しただけなのでその後本国まで逃げられたのかすぐに捕まって連れ戻されたのかすら分からない。
あの子はその後どうなった?を気にしないイスカもどうなんだろう(公式サイトのキャラ紹介は見なかったこととする)。
また、皇庁側(アリスの耳)に史上最年少の使途聖であるイスカの情報や、それが帝国で魔女の逃亡を手伝ったというニュースが3話まで伝わってなかったことも不思議で…。
だけどこれは、皇庁が3家に分かれてそれぞれ牽制し合ってるそうなので、他の家が把握しつつも伝わらないように秘匿してた?と思えば納得…できなくもないかな?
こんな感じで後から納得できなくもない設定が明かされるのかな?と思って様子見してる部分も多いのだけど…それにしてもやっぱり、う~ん?って部分が。

4話、ボルテックスの説明が一応はされるのだけど、その説明が不親切というか言葉のチョイスが変。
リシャの説明で個人的には「マグマの噴出口みたいなものかな?」と漠然と解釈したら、その後ネームレスが確保するとか消滅させるとか、まるでトランクに詰めて持ち運びできる物質のような口ぶり。
極めつけは5話、それまで帝国に何年もスパイとして潜伏してたハズのシャノロッテが、どうでもいい、ホントど~~~~でもいいことで正体をバラす。
そもそもはボルテックスに近付く帝国の隊を、友軍のフリして後ろからコロコロするのが任務だったんじゃないの?「帝国の3隊が行方不明」「ネビュリスにやられたんだったら交戦の跡が無いのが変」って前の回で言ってたじゃん?
帝国の兵士を拉致するのが目的ならよりにもよって使途聖イスカの居る隊から拉致せんでも最初の3隊からでいいし、ミスミスがなにか特別な存在で最初から狙ってたとするなら作戦が大雑把すぎる、もっと計画練る時間はあったハズ。
可能な限りスパイを継続できるよう努めるモノじゃない?スパイであることを明かしてまでやる必要のある作戦だとはとても思えない。
せめてネームレスに勘付かれ始めてそろそろ潮時だと思ってたというシーンが一瞬でもあればなぁ…。
なによりスパイで長いこと潜入しといてネームレスの戦闘力を把握してなかったっぽいのが不思議で不思議で。
とりあえず「ミスミスはなにか特別な存在なんだろう」と解釈しようとしたら、6話でミスミス放っといてイスカを拉致する話になっちゃって…そっちかよw
あーでもこれも、ルゥ家が知らないだけでゾア家はなにか掴んでるってこと…なのか?そうなのか?

なんかこう、必要な情報がすっぽ抜けてるのかワザと伏せてるのか判断がつかない。
今後伏せてる部分を明かしてく展開になるのだったらいいのだけど…どうなんかなー?
マスク卿にしたって、ミスミスが100人に一人の逸材だと知っててボルテックスに落としたのか、逃亡用の囮として落としただけでそんなことは全く知らないただの偶然だったのか、これだけでも今後の印象が全然違ってくる。
が、なーんか中途半端になあなあで話が進みそうな予感…。{/netabare}

投稿 : 2024/05/04
♥ : 8
ネタバレ

剣道部 さんの感想・評価

★★★☆☆ 3.0

「あるいは」という接続詞は合っているのだろうか?

[文量→中盛り・内容→雑談系]

【総括】
ジャンルはファンタジー。バトル。

ラノベらしいラノベっていう作風。科学サイドと魔法サイドに分かれた、少年と少女。2人の特出した力が、やがて世界を革新していく! みたいな。もう大体、どんなアニメか分かったでしょうか?(笑)

レビューでは、このアニメを観ていて、言葉遣いの点で気になったことをいくつか。半分、文法の話です(笑)

《以下ネタバレ》

【視聴終了(レビュー)】
{netabare}
レビュータイトルの件ですが、結論としては、「『あるいは』で合っている」が、「分かりにくい(誤解を招く)」というところですね。

「あるいは」は、「選択の接続詞」。つまり、「最後の戦場」か「世界が始まる聖戦」の一方だけが解であるということ。

私は、このアニメで言いたかったのは、「君と僕でこの戦争を終わらせよう」「そして、2人で新たな世界を作っていこう」ということなんじゃないかと思っていました。

だから、このアニメの中身的には、「さらに」とか「そして」という、「添加の接続詞」の方が適切な気がしていました。つまり、

『キミと僕の最後の戦場、そして世界が始まる聖戦』

「最後の戦場」であり「世界が始まる聖戦」でもあるという感じ。これの方がぴったりじゃないかと。

ところが、最終話にして自らの初歩的な勘違いに気付いて愕然。

アリス「私は、あなたと共闘したいんじゃなくて、決着をつけたいの!(的な発言)」

、、、「え? この二人(イスカとアリス)って、今まで対立していたつもりだったんだ、、、。」

つまり、私は、「君と僕の最後の戦場」を「君と僕(とが一緒に戦に戦う)の(が)最後」だと思っていたけど、「君と僕と(が争う)の(が)最後」だと、作者は描いていたことに気付いたんです。

つまり、格助詞「と」の用法として、「並立(海と空が青い)」「対象(佐藤さんと言い争う)」「異同(彼と私は違う人間だ)」「引用(元気ですかと手紙に書いてある)」などがありますが、私は、「並立」の「と」だと思っていましたが、「対象」の「と」だったわけですね、作者的には。

であれば、「君と僕は最後に争うのか」あるいは(それとも)「世界を始める聖戦を共に始めるのか」という選択の接続詞としての「あるいは」が成り立つので、一応筋は通ります。

では、なぜ私がこのような勘違いをしたのかというと、

「え? お前ら(イスカとアリス)戦う気ないやん。ベタ惚れやん。絶対に最後は協力するやん。新世界の王と王妃になるやん。ラブコメやん。」

と、最初から思っていたから。勘違いしていた私が悪いのですが、だったら、「イスカとアリスがガチで殺し合う未来の可能性も提示しといてほしいわ~。いけずやな~」と思ってしまう(苦笑)

そんな不信感からか、文学部的にどうも細かいことが気になった。例えば、10話であったアリス達の会話。

「単調で眠くなっちゃう、刺激が欲しいわ」
「刺激という名のスリルなら、先日、十二分に味わっていたじゃありませんか」

って会話、変じゃない? 正しくは、

「スリルという名の刺激なら、先日、十二分に味わっていたじゃありませんか」

だと思うけど。こういうとこ、文章扱うプロとして、どうなの?(原作者かアニメの脚本家かはわかりませんが)

まあ、そんなの別にどっちだっていいんだけど、小説
原作だけに言葉遣いが気になってしまって。アニメの内容に集中できませんでした。

中身としては、「いかにもラノベ」って感じで、懐かしさを感じた。安っぽいし痛い、使い古された台詞や展開のオンパレードだけど、そこまでの不快さはない。7話なんかそうだけど、ラブコメがそこそこ楽しいのと、最近こういう作品が少なくなってきたからかな。

とりあえず、銃がある世界で、剣で最強になるなら、弾丸より速く動けないとね~、最低でも(ちなみに、レーザーを視認して避けるのは物理的に不可能だそうです。レーザー、つまり光を視認している、目に届いているということは、同時に、眼球がレーザーで焼かれている瞬間だから)。

2期あったら、一応観るかなという感じです。学園ラブコメになっても良いですけどね、正直(笑)
{/netabare}


【各話感想(自分用メモ)】
{netabare}
1話目 ☆3
科学VS魔術の構造? THE ラノベって感じだな。

2話目 ☆3
めっちゃいちゃついてるな(笑)

3話目 ☆


4話目 ☆3
敵も味方もキャラが増えてきたね。どちらも一枚岩ではない。

5話目 ☆3
裏切り。なんかバトルが色々? ヴォルテックス、落ちても転移するだけ?

6話目 ☆3
ミスマス隊長の魔女化か。

7話目 ☆4
幸せな捕虜生活(笑)  アリスのぽんこつっぷりが(笑)

8話目 ☆3
サリンジャーね。なぜ、銃をもっているのに、突撃?(笑) オーレルガンとか、ネーミングがいちいち(笑)

9話目 ☆3
ポップじゃん(笑) なんだよ、公認のライバルて(笑)

10話目 ☆2
すげぇ細かいけど、「単調で眠くなっちゃう、刺激が欲しいわ」「刺激という名のスリルなら、先日、十二分に味わっていたじゃありませんか」って会話、変じゃない? 正しくは、「スリルという名の刺激なら、先日、十二分に味わっていたじゃありませんか」だと思うけど。こういうとこ、文章扱うプロとして、どうなの? 

11話目 ☆


12話目 ☆3
え? この二人対決したかったの?(笑)
{/netabare}

投稿 : 2024/05/04
♥ : 25
ネタバレ

鰺鱒 さんの感想・評価

★★★★☆ 3.2

絶妙に微妙。でも結構楽しかったんだ。

原作知らず。

「あー。またいつものよくある感じのやつだねぇ・・・」と思いながら、最後まで観てしまったし、結構楽しめた。。。気がします。

物語:
{netabare}それなり以上の科学技術立国と魔法(精霊)立国とが対立するファンタジー世界を舞台とした「(たぶん)どちらも死なないロミオとジュリエット」。ただし、主人公のみ「剣と魔法」の二刀流。ってな感じか。

よくある微妙なラノベ原作ものっぽい、思わせぶり・曰くありげ・裏ありげな雰囲気をほのめかす形で開幕し、最終話は諸々の「曰くや裏」を何一つ明かすことのないまま「俺たちの闘いとハーレムはこれからだEND」。なんだそれ。セリフも、なんて言うか、、、てんぷれ?

いろいろと「え?なんで?」な展開が続くが、なぜだか結構楽しかった?
自分に明確な理由はありません。強いて言うなら、「ハーレムはこれから」で物語が展開したこと(途中まで)、あまりに強引な二人の出会い、再会や展開が却って新鮮に感じたのかもしれません。いやほんと、なんでそうなる?{/netabare}

作画:
{netabare}静止画として上の下~中の上、動画として中の上という印象です。キャラデザインは、女性キャラに関しては好きな類いです。でも、主たる男性陣の線の細さが気になりました。別にマッチョ信仰ではありませんが「兵士」としては厳しい気がしました。虹彩があの形なのはなんでなんだろう。{/netabare}

声優:
{netabare}声優陣は豪華。声優さんに対してネガティブな印象はありません(お一人について、ちょっと思うところがありますが、それは後述)。発声の「あわせ」、さぞ大変だったろうと思います。どんなに実力のある声優さんでも、物語・本に書かれていないものを紡ぎ出すのは至難の業だと思います。{/netabare}

音楽:
{netabare}OP、ED、そして劇伴いずれもあまり印象に残っていません。戦闘シーンにおける勇壮というよりも壮麗な劇伴は、良かったかも?{/netabare}

キャラ:
{netabare}
ダブル主人公の男側、イスカがNeutral過ぎて物足りない感じがしました。ここまで無味無臭な主人公って珍しい気がします。

かたや、女側のアリスはというと、The Templateというに相応しい「ポンコツの令嬢」っぷりでした。キャストが雨宮さんという時点で想像できるポンコツっぷりをそのまま流した、という印象です。嫌いじゃないんですけどね、こういうポンコツ。アリスのお付き、燐も、その性格や言動に驚きを感じるようなことはありませんでした。テンプレに忠実、という感じでしょうか。

アリスの妹、シスベルは、、、第一話でイスカに脱獄させてもらった後、ちょっとのお金とスナックだけで、どうやって自国に帰れたのでしょうね。あんな、パジャマみたいな服装で監獄施設の外に出ても、その先どうにもならなさそうなのに(能力も含めて)。

部隊メンバー(音々とジン)は、僕個人としては完全な空気でした。

さて、主要な面子としては「ミスミス隊長」が残っているわけなのですが。。。
{netabare}作品での描かれ方があまりにテンプレ通りというがっかり感と同時に、ちょっとした驚きを感じました。キャストの白城さんは「球詠」の#10の方だと認識しています。ものすごく特徴のある、他にありそうで実はあまり聴かないタイプの声をお持ちの方、と思っています。正直に言って球詠でのこの方の演技は、おそらくは演出・編集の下手さも手伝ってかなりネガティブな印象を受けていました(一言で言って邪魔だった)。一方、今作での演技は、正直少々邪魔だなと思った場面もあるにはありましたが、それ以上に「嵌まった感」を感じました。

初登場時の第一声で、「がんばるけどダメな子」、「無能な子」であることを理解させてくれ、ほどよく苛つかせてくれました。その意味で、実にマッチしたキャスティングだったと思います。ものすごくネガティブなことを書いているように思われるかもしれませんが、そうではありません。雨宮さんがポンコツ美女に嵌まるのと同じように、白城さんの居所がみえた様に思いました。

それはそれとして、そこまで無能で「隊長」ってどういうことなんだろう。あとその名前、どうして?{/netabare}
{/netabare}

[2021/01/17 v1]

投稿 : 2024/05/04
♥ : 22
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