missing31 さんの感想・評価

3.8
物語 : 4.5 作画 : 3.5 声優 : 3.0 音楽 : 4.5 キャラ : 3.5 状態：観終わった

「セカイ系」の別の形

前知識無しで観たがかなり良かった。
「あの花」や「トゥルーティアーズ」と同じく、
青少年の複雑な心理と男女関係を描いた青春恋愛ドラマ。

これだけであれば評価はそれほど高くは無いのだが、
祭事や神仏、人種差を扱ったストーリーが男女間の関係に
密接に関係しており、ひと味違った恋愛ドラマに仕上がっている。

演出、作画、脚本など総じてレベルが高く、
次が気になり一気に観てしまう引き込まれる作品。

ラストの落ちなどは強引さを感じたが…
というか、物語を根底から覆しかねない違和感なども多々ありつつ、
26話という話数で稼いだ、登場人物への感情移入でそれらを感じさせない。

この様な伝奇・ファンタジー作品でありながら、
ここまで人物描写にこだわった作品も珍しいのではないか。
冒頭の2作品が好きなら是非推薦できる良作であった。

良くも悪くも、少年少女の力が全世界を変える、というセカイ系。
（世界系を簡単に言うと、“君と僕”が世界の危機に直結してるやつ）

{netabare}
個人的に違和感を感じたのは後半部分。
剥がれ落ちたエナから想いが溢れ潮流を作ったあたりはまあ分かるが、
主人公たちだけ都合良く目覚めが速かったり、ドラマ性を維持するために
生きているのに目覚めなかったり、そうかと思えばあっさり目覚めたり、
人間界の危機が去らないと目覚めないはずなのに、そもそも何故主人公たち
だけが目覚めたのかすらイマイチ分からない。

世界を滅亡させるほどの存在でありながら、
マナカをヒカリが簡単に助けられるような部分も違和感があるし、
全世界が凍えていくのを海神が抑えていたのであれば
海神とヒカリのパワーバランスがどう考えてもおかしい。

お女子が地上に帰りたいと一言も言ってないのに
子供置き去りで強引に記憶奪って地上に返したりも「？」という感じ。

「今地上に行かせてはいけない（危険が迫ってる」という程度の
意思を鱗様に伝えられる海神だが、意思とは関係なく剥き出しの
感情が暴れてしまう、という。そうであれば何故「ひーくんが好き」という
マナカの思念に全体が反応し、海神が復活して全世界が救済されるのか？
よくわからん。海に漂うお女子の思念なら、最初から漂ってたわけだし…
それとミウナが同調して海神が気付いたのか？なぜミウナ？
そして何故「ひーくんが好き」がきっかけに？

正直、マナカを最後まで助けられない（最終話で助ける）か、
ヒカリを好きだと想い出すという部分でラストを盛り上げた方が
良かったのでは？と思ってしまった。

この物語は、マナカとツムグが出会い、
主人公がそれを目撃する、というカットから全てが始まった。
最後に助けられるのがミウナでは…

これらは全て、最後に何もかも上手くいくという
脚本であったからであろうと思うが。

惚れた腫れたの繰り返しだけなので、
中盤から「はいはいあっそｗ」という感じになってしまった。

最後にマナカが、みんなを大好きだからこそ、
お女子の代わりに嫁いで永遠に戻らず（ここは海と一体化くらいで
いつでもマナカを感じる！とか言っておいて）ミウナとくっつけば
かなりボロ泣きする名作になったかなぁ、と勝手に妄想。

結果的に、人口100人程度と予想される小さな村の神様が
地球全体を滅ぼすほどの力をもっていたけど、村の小僧が
それをひっくり返した、という部分（世界系部分）に違和感を感じた。

沖縄くらいの小さな島国の話とかにしてくれたほうがぜんぜん良かったな。





{/netabare}