「PSYCHO-PASS サイコパス2(TVアニメ動画)」

総合得点
84.7
感想・評価
2431
棚に入れた
13649
ランキング
274
★★★★☆ 3.8 (2431)
物語
3.8
作画
3.9
声優
3.9
音楽
3.9
キャラ
3.7

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ネタバレ

ぽ~か~ふぇいす さんの感想・評価

★★★★☆ 3.7
物語 : 2.5 作画 : 4.0 声優 : 4.5 音楽 : 4.0 キャラ : 3.5 状態:観終わった

1クールではうまく纏められなかった?

脚本の虚淵さんが降板し
代わりよばれてきたのは冲方丁
アニメファンにはファフナーやマルドゥクシリーズでおなじみですね
コアなアニメファンはシュヴァリエやヒロイックエイジなんかもご存知かもしれません
最近は攻殻ariseにも参加していますね
ベストセラーになった天地明察によって
総監督の本広克行さん同様実写映画の世界でも成功しています
私の中ではかなり緻密にプロットを立ててお話を展開される方という印象です
1期は不満点も多かったものの
全体的には見どころの多いアニメでしたし
ここに冲方丁が加わればさらに良くなること間違いなし!
・・・と思っていたんですがね(既視感)

結論から言うと出来上がってきたものは1期と比べて数段落ちる仕上がり
全体の構成などに関してもいろいろ言いたいことはありますが
今回は個々のキャラクターに絞って話を進めていきたいと思います
必然的にネタバレを多分に含みますので視聴済みの方だけどうぞ

{netabare}まずは退場キャラから

狡噛 慎也
征陸 智己
縢 秀星
槙島 聖護(と愉快な仲間たち)

逃走した狡噛と1期でお亡くなりになった方々
こうして並べてみると本当にいいキャラが揃っていました
特に狡噛・槙島の二人は一期のストーリーを牽引する役割を担っており
この二人の退場が作品全体としてかなりの痛手でした

常守 朱

1期からの主人公
1期後半から精神的に成長した朱ちゃん
たしかにとても強くなりました
でも何かちょっと違うんですよね
1期の朱ちゃんは迷い苦悩し抜いたうえで
自分の進むべき道を選びとってきました
2期にも朱が悩んでいるシーンはたくさん出てきますが
それはどれも鹿矛囲の行動を分析し予測する場面
こういった明確な答のある問題で悩んでいるのと
どこまで行っても完璧な答えの存在しない
倫理的な問題に悩むのとは全くの別物です

今期の朱は精神的に強くなりすぎました
肉親を殺されても怒りこそすれ
そのあとの処置に関しては極めて事務的で合理的
1期で友人を目の前で殺された時や
狡噛を救うための司法取引で
自分の胸にドミネーターを突き付けた時のような
人間的な心の動きが二期の朱からは感じられませんでした

2期ではシビュラの代理人が東金美沙子だったこともあって
シビュラよりも2期の朱のほうが
よっぽど人間味の乏しい機械的な裁定者のようにさえ思います

宜野座 伸元

監視官から執行官に降格されて
憑き物が落ちたように穏やかになったギノさん
1期と2期どちらのギノさんと友達になりたいかと言われたら
間違いなく2期のほうを選びます
人間として魅力的なのは2期の宜野座でしょう
でもアニメの登場人物として魅力的なのは
1期の尖った宜野座だったと思うのです
朱や狡噛との衝突、上がっていく犯罪係数への恐怖、父との確執
1期の彼を構成していた要素のほとんどが消えてしまい
ただの爽やか青年になってしまったのは至極残念

しかし、作中での扱い自体が大きく減っているので
1期ファンへのファンサービスくらいのノリで出てきているだけで
もはや主役級ではないと考えればまぁこれでもいいのかな?

霜月 美佳

うざい!
とにかくうざいl
CV佐倉綾音
かわいさの中にどこか人をイラっとさせる部分を内包しており
そこまでをひっくるめてが魅力のあやねる
冬のアニメだと艦これの那珂ちゃんやぜかましが
まさに彼女の本領発揮といったところ
あの天使なアリーチカでさえ終盤心底うざいと思わされましたw
そんなうざねるからかわいさを取り去ってできたのがこのキャラ
この作品ととノイタミナセットで放送されていた君嘘の椿とのギャップがまたすごい
監督からの指示が視聴者に嫌われることだったそうで
あやねる自身霜月がネットで嫌われているのを喜んでいたので
たぶんうざいは褒め言葉
うざい!うざい!超うざい!

ほんと嫌な奴に終始した霜月監視官ですが
役割としては1期における上の二人
つまりは常守、宜野座の担っていた部分を受け継いでいるキャラです
新人の監視官として1期のラストで1期1話をなぞったあたりからも
2期公安局における彼女の位置づけは1期の朱の場所なのがわかります
しかし、それだけにとどまらず
2期の彼女が失ってしまった自分の仕事への迷いは
彼女に受け継がれていると思います
いろいろ迷いすぎて局長に折檻されちゃいましたけどw
それと同時に朱と対等な監視官として
がちがちに理論武装された正論で朱を攻撃するあたりは
丸くなった宜野座がもともと1期で持っていた役割だと思います
朱の身を案じてストップをかける宜野座と
朱に強い対抗意識を向けた結果の霜月ではだいぶ性質は違いますけどね
ついでに色相が濁ることへの怯えの描写も宜野座さんから引き継いでいます
ただし、この作品に出てきた監視官の末路は私の知る限り
犯罪係数上昇により執行官に降格(狡噛、宜野座)
犯罪係数上昇によりドミネーターで射殺(青柳・東金の監視官5名)
犯罪係数はクリアながら犯罪者化(酒々井)
と碌なことになっていないので
色相の維持に腐心するのは監視官としてはごく一般的なのかもしれないですね

視聴者に嫌われがちな霜月さんですが
洗練されすぎて人間味に乏しくなった常守・宜野座の後任としては
いい感じに機能していたように思います

雛河 翔

新しい執行官の彼
個別回があったわけでもなく
執行官の中では端役に近いのですが
気になったのは1点だけ

CV:櫻井孝宏
って槙島さんじゃないですか!
朱のもとで良い子にしてた彼ですが
槙島さんの声でしゃべってるだけで
なんかどこかで突然本性を現すんじゃないか?
とか変に勘繰ってましたw

東金 朔夜

今期の期待外れナンバーワン
序盤から黒幕オーラ出しまくりで
何をやってくれるのかと皆が期待していたのに
後半は小物臭漂うただのマザコンキャラでした
もう一方の悪役がワケアリキャラで
純粋な悪党として描かれていないというのは
大分早いうちからわかっていました
だからその分も彼ががんばってくれないと
作品の盛り上げ処がなくなってしまう
というのは明らかだったと思うのですが
もう少し何とかならなかったんでしょうかね?

鹿矛囲 桐斗

なんだかよくわからないキャラでした
本放送時に通して一回見た+レビュー書きながら部分部分確認
という程度しか見ていないので
細部まで気を付けて繰り返し視聴していけば
もう少し理解できるのかもしれませんが
それだけの労力に見合うアニメとは思えません・・・

シビュラは彼のことを認識できないという事でした
一期を観ていればわかりますが
ドミネーターはシビュラの端末の一つで
所有者と会話する能力さえあります
そのドミネーターが彼を「酒々井 水絵」という適切なユーザーと認識した
という事はシビュラシステムの中では彼は「酒々井 水絵」であり
透明人間でもなんでもないわけです
自分が撃つときは認識されて
相手が撃つときは認識されないって
ずいぶん虫のいい設定ですね
2期だけを見ているならそういうものかな程度にしか思わないかもしれませんが
1期でドミネーター越しに朱がシビュラと押し問答しているのを見ていると
そんな簡単にシビュラを欺けるとはとても思えません

そもそも作中の登場人物たちは彼が透明人間であること自体を
非常に重く見ていましたが
はっきり言ってそんなのはたいした問題じゃありません
鹿矛囲の本当の危険性は自身がシビュラの認証をかいくぐれることではなく
他人の色相をクリアにする技術を持っていること
つまりは人工的な免罪体質者を量産する力の方にあるのは明白です
しかもそれは彼の特殊な体質とは無関係で
政財界にもその恩恵にあずかる者が多数存在するようですから
鹿矛囲一人をどうこうして解決する話ではありません
その技術が広まればシステム自体が立ち行かなくなってしまいます

それなのにシビュラは自身を裁くことができるのか?
なんて観念的なよくわからない話になっていって
色相の操作に関しては何も進展していないまま
皆がその存在を忘れてしまったかのごとく
終盤は話題にも上がらなくなっていきました
一期のヘルメットのときと違いメンタルケアの一環のようなので
研究していると色相が濁るなんてこともなさそうですし
鹿矛囲が倒れたとしてもいつかは誰かがそこに辿り着くでしょう
それはシステムそのものの破綻を意味します
そちらの方がよほどシビュラにとって死活問題な気がするのですが・・・

シビュラシステム

前期のレビューを読んで
科学的な考証部分に期待して読みに来る方がいるかもしれないので
最後に気になった点を一つ

シビュラがシステムの再構築をする際
問題があると判断された脳が「一瞬」で処分されました
この「一瞬」っていう部分がポイントです
シビュラがどんなにコンピューターとして高性能でも
一瞬であれを行うにはあらかじめ設計段階から
ハードウェアレベルでそういう機能を実装しておかないといけません
ソフトウェアレベルでならば自身を再帰的にフィードバックする機能を
瞬時に構築することは可能でしょうが
薬品を注入して脳の一つを壊死させる機能は
瞬時にその場で用意することは不可能です
そしてそれは自身のパーツである個々の脳を
個別に認識・評価できる機能が無くては使うことができません
つまりシビュラには最初から自浄機能が備わっていたことになります
そうなるとパーツのつぎはぎだから鹿矛囲を認識できない
というそもそもの大前提からおかしくなってしまいますね

突っ込みどころが多いのは前期同様なので
まぁある程度は許容するべきというか
我慢できないならそもそも見るなって話なのですが
今回は物語の核心部分の設定が何だか凄く曖昧でブレブレ
これはさすがにもうちょっと練りこんでほしかったところです{/netabare}

中盤くらいまでは楽しく観れていましたが
最後の方はずっともやもやしっぱなしでした
1期と比べるとどうしても見劣りします
出来上がったもののクオリティが低かったというよりは
視聴者の観たいものと制作陣が魅せたいものとが
いまいち噛み合っていなかったのかもしれません
それでも2クール使ってもう少し丁寧に掘り下げていけば
視聴者が納得するだけの物語の厚みが出せたようにも思います

投稿 : 2015/05/03
閲覧 : 276
サンキュー:

34

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