「サカサマのパテマ(アニメ映画)」

総合得点
69.9
感想・評価
661
棚に入れた
3137
ランキング
1628
★★★★☆ 3.8 (661)
物語
3.9
作画
4.0
声優
3.7
音楽
3.6
キャラ
3.7

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ネタバレ

アイコン さんの感想・評価

★★★★☆ 3.9
物語 : 3.5 作画 : 4.0 声優 : 4.5 音楽 : 4.0 キャラ : 3.5 状態:観終わった

イザムラのタカヤ

このアニメ、
「アップサイドダウン」という映画と
よく比較されがちですが、
実は本来の公開時期はこちらの方が
一年も先で、設定も似かよってますが
話の設定はほとんど違います。
なので、製作途中でプロットが
盗まれたのか、ただ単に設定が
かぶってしまったのか。
どちらにしても、運の悪い映画ですね。

では、早速レビューを。

まず、物語から。
サカサマの重力という斬新な設定、
空に落ちる恐怖の描写。
それはよく描かれていました。
でも全体的に、ストーリー構成がメチャクチャ。
何も考えずにストーリーを作ったのがよく分かります。
まず、急展開が多い上に
設定の矛盾が多すぎる。

{netabare}最初に出てきたコウモリ人間は
なぜパテマを狙ったのか。
悪役のイザムラは幹部のくせに
なぜサカサマ人間の
歴史を知っておきながら
自分の世界自体が
地底だという事実を知らず、
なぜサカサマ人を嫌っておきながら
サカサマの世界を知りたかったのか?
というかなんでそんなに
サカサマ人を頑なに嫌っているのか。
サカサマの世界を聞き出して何がしたかったのか。
そしてなぜそこまでパテマに
こだわる必要があったのか。
あ、これはロリコンってことか。
なぜサカサマの世界の存在を
アイガの人物&サカサマの人物共々
皆知らないのか。
人工太陽や人工星の存在を
なぜアイガの人々は知らないのか。
なぜ地方警察の幹部の右腕の
あいつは最後に裏切ったのか。
なぜあの幹部の右腕のやつ以外は
全員マスクしてるのか。
なぜイザムラはサカサマの世界が
知りたかったにも関わらず
重力装置を作った主人公の父親を殺したのか。
なぜアイガとサカサマの人物は
無駄にいざこざしているのか。
空に落ちることが
なぜそんなにも罪深いことだと
イザムラは言っていたのか。
なぜサカサマ人まで地下に
行く必要があったのか。
ってかなんで
あんな中途半端な地下施設を作ったのか。
サカサマ人は普通に地上に立てるなら
サカサマ人は地上で暮らして
アイガ人は地下世界でいいだろ(笑){/netabare}
重力の話は別として、
話としての矛盾がこんなにもあります。
さすがに多すぎるので省きましたが、
これ以外にも矛盾はたくさんあります。
説明不足にもほどがある。
更に、世界観の説明がほぼ皆無に等しく、
説明しなきゃ確実に
初見では理解できない部分も
省いてしまっている。
そしてキャラの心理描写も
これまた主人公とヒロイン以外は皆無で、
何を考えて行動しているのかが
理解できないキャラが多い。
一番理解に苦しんだのが、
イザムラの心理もそうですが、
ポルタのとある行動。
{netabare}パテマをエイジとポルタが
助けに行くとき。
ポルタが途中で離脱した後、
エイジがあれだけの監視システムを
どうやってクリアしたのかも
疑問ですが、パテマとエイジが
人工の空へ落ちた事実を、
なぜその場にいなかったポルタが
知っていたのか。
更にポルタが仲間にそれを伝える時に、
「パテマがいなくなったぁ~」ってえ?
エイジは?エイジはどうした?(笑)
そして誰一人エイジのことに
触れないっておまっ、
エイジの扱いどんだけ(笑){/netabare}
もう色々とメチャクチャ。
突っ込みどころ多すぎて
疲れました(笑)
でも、エイジとパテマの重力の
比率はよく描かれてます。
{netabare}ラストのシーンも、
パテマがエイジをつれて
景色を見るシーンは
ちゃんと重りのために
パテマがリュックを背負っていたり。{/netabare}
急展開は多いものの、
おおまかな起承転結は
しっかりしており、
ストーリーとしては
成り立っていました。
でも本当に矛盾が多い(^^;
それに、空に落ちる恐怖描写の
演出は本当に上手いんですよね(笑)
カメラワークもなかなか。
なんでこんなに設定に粗を
残してしまったのだろう。
かなり残念な作品。

次に作画。
うーん、新しめの作品にしては
あまり綺麗とは呼べない。
これなら監督の前作
「イヴの時間」の方が
格段に綺麗でした。
キャラデザもそこら辺に
ありそうな感じな上、色彩もない。
なぜキャラデザを変えたのだろう?
個性的なキャラがいないため、
それが一層際立っています。

キャラも続けて評価しますが、
先程も言った通り個性的とは呼べない。
悪役のイザムラ以外、
ほとんど印象に残らない。
わざとそうしたなら分かりますが、
全体的にSFラブコメみたいな
雰囲気となっているので、
こういうものなら多分キャラ付けを
もう少し出来たはず。

声優について。
これは良かったです。
パテマの人はたまにちょっと
「ん?」って思うときがありますが、
皆さん上手かったと思います。
一番評価したいのが、
土師孝也さん。
なぜって、しゃべり方が好み過ぎる(笑)
イザムラを演じてましたが、
もう悪役の鏡のようないい声と
イントネーション。
なのにこのアニメになぜ
「土師孝也」という成分が
検出されていない!!
入れないなら私が入れる!!(笑)
ちょっと言うと、
悪役のイザムラが日常というアニメの
ゆっこの夢に出てきた王国の
裏切り者のドルフに見えました。
声も同じだし(笑)
ってことで、土師孝也さん。
これから私は影ながら
あなたがまた悪役を演じることを
期待しています。

音楽は良かったですよ。
EDがかなり良曲で、
BGMも拍子抜けのものは
ありませんでした。

そんなことで、
この作品をまとめると、
「斬新な設定と声優と歌に
助けられた作品」って感じです。
惜しい作品。
こんなにも良い素材が揃っているのに、
なぜこんなにも活かせなかったのか。
ストーリーをもう少し練って
作ってほしかったです。
というか、映画よりも
アニメとしてじっくり
描いた方が良かったのでは?
尺が足りていない気がします。
なのでこの作品を見るときは
何も考えずに見てください。
下手なこと考えなければ
面白いと思います。
面白いという方もおられますし、
決して面白くない
作品ではないと思います。
設定も斬新ですし。
私はちょっと苦手でしたが(^^;
でもこの作品で得たものもあります。


それは勿論、土師孝也さんとの出会い。

投稿 : 2015/02/28
閲覧 : 359
サンキュー:

10

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