「ムシウタ(TVアニメ動画)」

総合得点
56.7
感想・評価
84
棚に入れた
558
ランキング
7052
★★★★☆ 3.2 (84)
物語
3.1
作画
3.2
声優
3.3
音楽
3.3
キャラ
3.3

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ネタバレ

どらむろ さんの感想・評価

★★★★★ 4.5
物語 : 3.5 作画 : 4.0 声優 : 5.0 音楽 : 5.0 キャラ : 5.0 状態:観終わった

悲劇的ボーイミーツガール、異能バトル。花澤香奈さんの、もう一人の天使ちゃん

角川スニーカー文庫のライトノベル原作でWOWOWノンスクランブルで放送されたアニメ。
夢や欲望を代償に力を与える「虫」というスタンドっぽい存在に憑かれた少年少女たちが、各々の夢や信念を賭けて戦う異能バトル。
切ない悲恋、悲劇的な境遇で交錯するボーイミーツガールが見所でしょうか。

原作1巻を1クールで描いていますが、原作の魅力を伝え切れなかった感。
それでも大好きな作品です。
…花澤香奈さん初期の悲劇ヒロイン・杏本詩歌ちゃんの可憐さは必見!
アニメ作品としては残念ですが「最終兵器彼女」が好きな人ならば好みに合うかも!?


{netabare}『物語』
人々の欲望や夢に寄生して、宿主に強大な異能を与える代償にその夢を食ってしまう「虫」(ジョジョのスタンドっぽい存在)に憑かれた少年少女の悲劇的ストーリー。
虫憑きは強力な異能使えて強いが、異能使えば使う程に「自分の夢を失う」
夢=生きる意志や希望、命や人生そのもの
なので、戦う程に人生そのものを削られていく…
…と、設定からして悲劇的で鬱展開不可避。

そんな政府側、犯行組織むしばね側双方の譲れぬ夢や信念が交錯する異能バトル!
辛い宿命に抗い各々の信念を賭けて戦うのだが、主人公の「かっこう」(薬屋大助)は虫憑きを取り締まる政府機関の犬っぽい立ち位置、ヒロインの詩歌(しいか)は政府に狙われる存在…
そんな二人が次第に惹かれ合うラブコメというかピュアなボーイミーツガール、敵対しているので必然的にその恋は悲劇的な様相を呈していく…。

もう一人のヒロイン・立花利菜も大助と激しく対立していく過程で、夢=命を散らせていくのが切ないです。
利菜が絵を描きながら大助に夢を語るシーン、居場所が欲しい切実な想いが伝わってくる。
ラノベ原作で、未だに本作を超える悲劇的悲恋は中々無いです。

全般に暗い雰囲気ながら、精一杯生き通した少年少女のドラマはしっかりしていた。
惜しむらくは原作の雰囲気を伝え切れていなかった部分が多い点か。
…本作のマズかった点は、尺不足では無い。
本作は原作1巻をベースにしており、1巻分を1クールならば十分に贅沢な配分のハズ。
それをムリに2巻以降の展開まで詰め込んだのが敗因なのでは。
アニメは1巻に絞ってもっと濃密に描いてくれれば尚良かった気がします。
…惜しい点はあるものの、非常に好きな作品なのは間違いないです。
原作ファンの一人として、私もリメイクを望む派の一人です。


『作画』
キャラ作画は可もなく不可もなし、詩歌は可憐で儚げな可愛さありました。
虫のスタンドバトルの迫力は中々。
本作の魅力は陰鬱な雰囲気漂う街の風景かも。
ヒロイン・詩歌のイメージでもある雪景色は切なく幻想的。
…とにかく、こういう雰囲気が好きなんです。

『声優』
ゼーガペインに続き、浅沼晋太郎さんと花澤香奈さんコンビ。
杏本詩歌を演じる花澤香奈さんはまだ新人時代の不安定さ残しつつ、独特の可憐で儚げな雰囲気を存分に発揮。
技術的にはヘタクソかも知れませんけど…!
この当時の花澤さんにしか出せないかも知れない魅力がありました。
Angel Beats!の天使ちゃんとは知名度月とスッポンですが、個人的に花澤さんキャラでは絶対外せません!

もう一人のヒロイン・立花利菜を演じる生天目仁美さんも好演でした。
悲劇的ヒロインの切実な想い、命を削られていく壮絶さ、演技的には花澤さんを凌駕してました。
他声優陣も優秀です。

『音楽』
OP「ムシウタ」が圧倒的に素晴らしい。
正にムシウタという作品の為だけに作られた歌詞、切なく悲劇的な想いを綴った歌に心揺さぶられます。
マイナー気味ですが私的に2000年代のベストテンに入る。理想的主題歌です。
ED「サヨナラ」も儚くて切なくて、良曲。
作中BGMも文句無し。

『キャラ』
「ふゆほたる」こと詩歌ちゃんマジ天使!
記憶や感情を虫に食われていて儚い薄幸の美少女。
しかしその儚さに潜む心優しさ、芯の強さにハッとする程の可愛さあり。
Angel Beats!の天使ちゃんこと立華かなでにヒケを取らぬ名ヒロインですよ!

もう一方のヒロイン・立花利菜も名ヒロインでした。
むしばね指導者としての苛烈な一面から、大助に惹かれていく切ない少女の一面が見えてきて…最期の大助の胸の中で夢を失っていく展開は涙、また涙でした…。
描きかけの絵を大助にみせるシーンも名場面だった。
詩歌の影にかくれがちだが彼女も印象的なヒロインでした。
この二人をもってキャラ評価満点に値する。

薬屋大助の不屈の意志がカッコ良かった。
普通の少年の時の切ないボーイミーツガールとのギャップが、尚更感情移入出来る主人公だった。

その他も各々の夢や信念を賭けて戦う少年少女は印象的。
モブっぽかったが利菜の為に命を賭けたセンティピード君は立派でした!
みんみん他結構可愛い子の層も厚い。
クセモノっぽい土師も良き敵役であったが、アニメ版では些か本領発揮出来なかったかも。{/netabare}

投稿 : 2015/03/08
閲覧 : 582
サンキュー:

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