「アイドルマスター シンデレラガールズ(TVアニメ動画)」

総合得点
71.3
感想・評価
1006
棚に入れた
4802
ランキング
1334
★★★★☆ 3.8 (1006)
物語
3.6
作画
3.8
声優
3.8
音楽
4.0
キャラ
3.9

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ネタバレ

migratory さんの感想・評価

★★★☆☆ 2.4
物語 : 1.5 作画 : 3.0 声優 : 2.0 音楽 : 3.5 キャラ : 2.0 状態:----

別のアニメから派遣されたようなプロデューサーと彼女たちの物語

ほんとアイドルの世界とかよく分からない自分が意見とか口出しするのは何か間違ってる気がしますが、アイドルを論じるというのは、余りにもその世界を知らないので一方的な主観で感想を進めますが、その点を留意して感想を読んでいただければと思います。

前作「アイドルマスター」のアニメシリーズはほとんど見ていませんが、一応ゲームの「アイドルマスター2」はプレイしたことがあります、の程度です。
そして、二期(後半戦?)決定おめでとう!


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「アイドルマスターシンデレラガールズ」の輝かしい物語は、お前は一体どこの組の人間なんだと言いたいプロデューサーを愛でるための作品だと感じてます。


アイドル自身の物語にはまずキャラクターの確立が失敗している印象にあるので、プロデューサーの個性が強くなってしまったために彼女たちのドラマが崩壊しているとどことなく感じています。
そもそもアイドルの卵の彼女たちなのだから物語に花を求めてしまってはいけないことなのかもしれませんが、アイドルとして成長を描く物語なら、輝かせるべきアイドルの物語であるなら、いくつものアイドルアニメが乱立している昨今のアイドルブームの中で画一的なものと逸すべきものだと思いました。
それは前作「アイドルマスター」がヒットして、再びアニメ化する意義に対するものに他ならず、独立的なアイドル物語を確立しうる作風として期待が大いにあったことと感じます。

がしかし、総じてこのようなアニメは消化するだけにあって、物語が確立している印象には思えません。(それでも伝統的とも思える人気ぶりは凄いと思います)
花を持たせているキャラにはあまり喋らせないで、なんとかアイドルの輝かしい世界を保とうとしているようにストーリーは感じられたのですが、本当の花として輝きを持たせるのなら彼女たちにドラマを引き寄せて論じられるくらいの物語を負わせて欲しいと思ってます。


簡潔に言うと、正直なとこ、渋谷凛以外モブ扱いのキャラクターのように思えて仕方ありません。

まず視覚的に、同じメンバー(ニュージェネレーションズ)である島村卯月と本田未央の二人は同じメンバーであるのにもかかわらず同じ目の形をしてると思うので、その点で3人組としてはバランスが悪いために、特別的なニュアンスが、単純に渋谷のキャラの方に魅力的に映ってしまっていないだろうかと思います。
プロデューサーの呼び方でもその異変は起きていて、プロデューサーのことをプロデューサーさんと呼ぶ卯月とは対照的に、呼び捨てで呼べる関係にある渋谷とは必然的にプロデューサーと距離の近いものだと感じさせられるから、彼と渋谷が実は付き合ってるんじゃないか疑惑を持ってしまえるほど関係が怪しく思えます(つまり最低限渋谷には何か物語を感じさせるだけのキャラ性が確立しつつあるかと)。プロデューサーをプロデューサーと呼ぶこと自体おかしなことではあると思いますが、7話では、更に渋谷は彼に対して「あんた」と言い放ちます。他のキャラクターもプロデューサーと呼び捨てのように言うことはありますが、ここまで距離感が近いと感じるのは彼女の場合だけです。
1話からの出会いでは何か理解し難いものがあるので、寧ろ二人には付き合っていて欲しいくらいです。

また、この回のエピソードはアニメの中のリアリティを脱していると感じてしまうもので、リアルのアイドルの感傷を引きずってしまったような回であると感じます。

なぜ、アイドルを辞めると言った本田本人にメンバー同士がぶつかり合うものではなく、プロデューサーに意見してプロデューサー自身がメンバーのために(彼女自身の問題を彼女たち自身で解決するのでなく)東奔西走する姿は、これがアイドルマスターシンデレラガールズの本当の物語であることを結局は証明しました。(アイドルの卵たちのお世話で一所懸命なプロデューサーがまるでシンデレラになる前のいじめられている姿に重なったのは密かな感想です)

ですから、本当にプロデューサーに一番近い人物というのは恋愛以上に、話を盛り上げる人物として描かれるのが想定されるからやはり付き合っていて欲しい思いです。
仮に二人の距離感が生み出す雰囲気は何かぎこちなくて、どこか不自然に感じるので、この違和感を温かく見守りたい思いです。
でなくても渋谷凛はヤンキーっぽく感じる(身に着けているものからもそのようなニュアンスの誇示が見受けられる)ので、不器用な渋谷の性格はまじめな性格のプロデューサーによって研ぎ澄まされているようにも思えるから、あの時の(アイドルへの)決意がどうなってゆくのかがこの物語の終わりまでのキーポイントではないでしょうか。


アイドルになりたい島村と本田の考えとを二分するような渋谷のけしてアイドルが夢ではなかった思いの顛末が、プロデューサーの不器用ながら自分にできることと向き合う姿が見せる一生懸命なひたむきさと結びついたとき、展開される思いが渋谷個人の成長、アイドルの意義に繋がってゆくのではないかと思ってます。

そして、本田さんが無個性だからリーダーに拘ってしまったように思う6話での葛藤は、プロデューサーに対する嫉妬だと仮定すると妙に納得できました。
なぜ、自分のパフォーマンスより友人のことを気に掛けるのだろうかと思う彼女の物語は深く掘り下げられることがなかったので、その葛藤は仮定で補完する他ありませんが、プロデューサーへの思いだとしたら、総じて彼の物語であれば然るべき問題だったのかもしれません。
いつか彼が大舞台に立つ日が来たら全力でもじもじして欲しいですね。


シンデレラと言う言葉は因果なものか、これは結局彼女だけの物語なんですよね。
アイドルと言うものが分からない彼女の意思の垣間見るところが最終地点に設定されていると感じるので、難題をこなしていくことでアイドルとしての自覚を芽生えさせていく方がステレオタイプではありますが、シンプルで且つ感情移入のしやすいストーリーになるのにと、勝手ながらこれまでのストーリーはそれぞれがばらばらに散在しているような印象です。
その点でいえば本田未央がアイドルを辞めると言ったエピソードが自己中心的なものに感じてしまうのはそのせいであると言えるかと。

(タイトルからすれば、シンデレラというのは敢えて意味づけするとすれば、その中で輝くたった一人の人を指す言葉だと思うので)ドラゴンクエストのゲームでいう、勇者が同じ世界に複数人存在するドラクエネットゲーム問題と同じ問題をはらんでいる気がします。ただ、ドラクエの場合は、通常のドラゴンクエストシリーズの主人公はたいてい勇者であったはずであるが、5つの種族という役割で、それぞれに意味をプレイヤーに課すことでドラクエの世界観をオンラインで確立させようとしていたように思います。

ただ、物語中盤アイドルたちがそれぞれデビューしていって、やっと物語が始まった印象にも見受けられます。
キャラクターが多いとどうしても詰め込み感を感じてしまうものだとは思いますが、現在デビューという形でグループが出来ていくにつれ、形になりそれぞれに役割を持って、キャラクターが出来ていると感じます。
キャラ性の確立が少し遅い気もしますが、キャラクターは役割や地位でもって与えられるものならば、アイドルの世界は少し悲しいものであるように思いました。


まとめるとすれば、本当の物語が意味するところは、(無秩序に作られた)アイドルのプロデュースを背負わされてしまったプロデューサーの物語であると感じます。

どこかのアニメから派遣されたかのようなキャラが多いように見受けられるので、そんな彼女たちのキャラクターをアニメ化することで切磋琢磨しなければならなくなったプロデューサー側(制作陣)の問題であると。
派遣されたキャラのように感じるキャラと言うのは、たとえば→神崎蘭子(明らかに一人だけ浮いてる←誰もつっこまない)、三村かな子(ぽっちゃり系の彼女は男子のいるアニメに出るべき)、双葉杏(にゃんぱすーって言いそう)、前川みく(にゃあ語の通じるアニメに出るべき)、アナスタシア(彼女だけで別アニメが出来そう)、諸星きらり(彼女のキャラが立つアニメが他にあるかと思う)。彼女たちが挙げられると思います。

逆に、無印作品を踏襲するようなキャラは非常に良い印象に受けます。たとえば→城ヶ崎莉嘉&赤城みりあ(真美亜美)、緒方智絵理(雪歩)、渋谷凛(千早)、千川ちひろ(小鳥)などが前作を受け継いでいるように思います。
その点で挙げれば、姉的な立ち位置のキャラがいないが残念に思います。たとえば、川島瑞樹や新田美波が請け負うべきポジションかと思いますが、そのすべて、現在のストーリー上プロデューサーが請け負っているように思うわけです。

姉であり、妹であり、萌えであり、彼女たちを守る人であり、彼女たちに守られる人でもあり、どんな物語をはらんでいるのか分からないところがつまり、プロデューサーのことを彼女たちより魅力的に思ってしまったところなんだと思います。


個人的には、相当のスジモンであるか、たぶん一回はムショ暮しを経験してきているのではと睨んでいるのですが、違いますよね。
プロデューサーの素性が一番気になるところですが、OPやED、劇中歌に至るまで、歌だけは異様にクオリティが高いと思ってます。


けれど、そこに至らなければ、彼女たちの魅力が増すことはないというのも少し悲しいことなのかもしれません。
悲しい印象にしてしまった、途中からのデビューでやっと彼女たちに日の目が当たることになったというのは(予定されていたことだとは思いますが)、今までの物語で彼女たちを魅力的に輝かすことが出来なかった裏返しでもあると思えるのです。


乱文ですみませんが、彼女たちの物語を彼女自身の物語として、輝けるストーリーを願っていた一人の意見として汲み取っていただければ幸いです。

投稿 : 2015/04/17
閲覧 : 227
サンキュー:

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