「デス・パレード(TVアニメ動画)」

総合得点
73.0
感想・評価
1023
棚に入れた
5233
ランキング
1043
★★★★☆ 3.7 (1023)
物語
3.7
作画
3.7
声優
3.7
音楽
3.7
キャラ
3.6

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ネタバレ

どらむろ さんの感想・評価

★★★★★ 4.3
物語 : 4.5 作画 : 4.0 声優 : 4.5 音楽 : 4.0 キャラ : 4.5 状態:観終わった

残酷なデスゲームで露わになる人間の本性、生と死のドラマ。序盤で切るには勿体ない傑作

死後の世界で繰り広げられるデスゲームを通して、人間の本性や、生と死のドラマが繰り広げられる。
基本1話完結で時に残酷、時にコミカル、時に切なく。全体的に観易い作品です。
序盤非常に悪趣味ですが、以降展開にバリエーションあって飽きさせません。
全編通した物語性も高く、完成度の高い良作です。

…序盤で不愉快と感じた方も、是非とも中盤までは様子見て頂きたい。
イチオシです。
※精神的にも肉体的にも痛み伴う展開多いのでニガテな人はダメかも…。

{netabare}『物語』
「クイーンデキム」という不思議なバーに、記憶喪失の人間(大抵二人組)が連れてこられ、白髪の青年バーテンダー「デキム」に「デスゲーム」を強要される。
実は、バーは死後の世界であり、デキムは死者にデスゲームをさせ、経過観察する事で魂を「転生」か「虚無」どちらかに決める「裁定者」であった。
デスゲームにより、死者たちは次第に生前の業や隠していた本性や想いが露わとなっていく…。
極めてリアルな心理描写が見所です。
また死者の記憶がフラッシュバックのように小出しにされる為、デスゲームの揺さぶりで追い込まれる度に目まぐるしく感情が交錯する様も目が離せないです。

序盤はダークで摩訶不思議な世界観と、極めて残酷かつ悪趣味な展開に面喰いますが。
1話完結の裁定劇を繰り返しつつ、少しずつ世界観や主要キャラの性格が判明する過程が丁寧で分かり易く、かつその魅力に惹かれます。
裁定は、何故その裁定になったのか?妥当?いやおかしいだろ?いや、分からん?
明確な答えは無いであろうテーマ、視聴者に色々と考えさせる構成で、徐々に世界観と雰囲気に引き込まれました。
各話も、1話2話の悪趣味が続くと思いきや、3話や6話でハートフル路線や結構コメディーもあったり、話に緩急があるのが良いです。
終始1話みたいなのが続いたら流石に辛すぎますしね…

1話1話のドラマがそれぞれに本当に素晴らしい。
終始ハラハラする、時に極限においても人間の輝きも垣間見える事もあり、心揺さぶられます。
また全編通しても、謎の黒髪の女性の記憶と正体や、デキムの成長と葛藤、死者裁定システムに対する裁定者同士の思想の違い等のドラマが、各話を通じて少しずつ進行していき、常に続きが気になりました。
黒髪女性の記憶と正体が判明してくる終盤に大きな山場あり。
命の大切さ、生きる意味。
そして「死」という終わり。取り返しのつかない命の慟哭…
それでも、デキムは彼女と接する事で、感情を知らぬ人形から、少しずつ変化していく…。
ラブコメ、というよりもっと深い次元での、愛の物語として素晴らしかった。

本作は「人生の意味」的な部分では明確な答えを出さないのですが、短編の「人生劇」を、視聴者自身が裁定者になったような感覚で、考えさせてくれます。
「人間は感情が、感情の中でも愛があるから人間らしい」
「それを無視して人間の何が分かるものか!」
極限を強いる悪趣味なデスゲームは、話が進む程に、それを浮き彫りにしてくれたような気がします。
本作は、実は人間賛歌かも。

総じて
序盤で悪趣味だと気分概して切ってしまうのは早計!
尻上がりにグングン引き込まれるし、各話も全編通しても非常に面白かった。
心揺さぶられる、完成度の高い良作です。

『作画』
マッドハウスの若手による作画が、独特のダークな雰囲気バッチリで良し。
背景や小道具含めて独特の世界観醸してました。
ダークファンタジーとしても、またキャラクタードラマとしても、リアリティーのある作画でした。
キャラ作画も感情豊かで見所あり。デキムの変化や、黒髪女性の最期の微笑みは見事。
OPの妙にテンション高い楽しさとのギャップが良い感じ♪

『声優』
各話ゲストキャラが豪華です。1話2話の川澄綾子さんと中井和哉さん等、迫真の名演技。
ベテラン刑事の藤原啓治さん(啓治だけに刑事w)が鬼気迫る迫力でした。
おバカ女子高生の種崎敦美さんもいい味出ていた。

前野智昭さんは感情乏しい人形から僅かずつ変化するデキムを好演。
瀬戸麻沙美さんも、ミステリアスで深みのあるヒロインを好演でした。
涙と微笑み、難しい役所を見事でした。
ウィクロスのイオナさんの人ですな…。

全般にかなり豪華声優陣。

『音楽』
OP「Flyers」がOP詐欺かと思うようなハイテンションで楽しげな曲、最後まで視聴すると、何となく意味が分かってきます。
ダークな作風ですが、人間賛歌でもあるのでしょう…。
EDや、BGMも非常に本作の雰囲気を盛り上げていて良いです。

『キャラ』
デキムは冷酷クールかと思いきや、意外とアホの子っぽい可愛さありましたw
人間に対しての無知さが、無垢な魅力に繋がっていた、少し変わったタイプの主人公でした。
一見無機質だが実は見ていて面白い男。
本作は、(精神的に)幼いデキムの成長を見守る、という側面もあり。
その意味で、デキムは話が進む程に可愛げが増していきます。
※余談ですが白髪や喋り方からニコニコ動画では蟲師のギンコっぽいと言われてたw

メインヒロインたる黒髪女性は、序盤は視聴者目線で代弁しつつ、彼女にまつわる謎がミステリアスな魅力を発揮。
彼女の正体や記憶が戻ってからの可愛さや切なさは、ヒロインとして強い魅力ありました。

デキムの同僚たちも個性派揃いで、本作を飽きさせない。
ギンティもサブ主人公として、人間味にデレる過程が良い。
女性陣にミステリアスな魅力あり。
ラスボスっぽい老人が怖かった。

各話ゲストも印象深い。
6話のおバカ女子高生が面白い上に優しい良い子で好きです。
こういうキャラいるお陰で、ダークな本作が陰気になり過ぎずに済んでいる。
啓治さんもとい刑事さんの執念が凄まじかった。
人間の闇もあり、記憶に残る名キャラクターでした。{/netabare}

投稿 : 2015/06/26
閲覧 : 316
サンキュー:

44

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