「パンチライン(TVアニメ動画)」

総合得点
59.5
感想・評価
439
棚に入れた
1974
ランキング
6091
★★★★☆ 3.3 (439)
物語
3.1
作画
3.4
声優
3.5
音楽
3.3
キャラ
3.2

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ネタバレ

OZ さんの感想・評価

★★★★☆ 3.3
物語 : 3.5 作画 : 3.5 声優 : 3.0 音楽 : 4.5 キャラ : 2.0 状態:観終わった

パンチの欠けるパンチライン

ADVゲームで名作と名高い『Ever17』等の
シナリオを手掛けた打越 鋼太郎さんが脚本を務める事から
期待をしつつ不安も半々混じりで観てみた2015春アニメ

■パンチの欠けるパンチライン■
キャッチコピーは「パンツを見たら人類滅亡!?」と
如何にも色物的な内容かと思いきや
中身は隕石落下による地球滅亡の歴史を変えるべく
過去へと遡って新しい未来を模索する
コメディタッチのタイムリープを扱った作品『パンチライン』

元々はゲームとして企画されていた作品との事で
2015年冬に発売が予定されている
本作品のゲーム版を販促目的にしているであろう構成な為
結論から言うと工夫を凝らしているシナリオは魅力だが
何とも不完全燃焼に終わってしまった印象が拭えない結末である。

序盤は訳の分からないまま
コメディベースで進行し
第6話を境に物語は一変する。

以降 それまでに撒かれた伏線を回収する流れとなり
本作品の本質であるタイムリープを題材に展開されるが
如何せん第6話までが盛り上がりに欠けるので
そこまでいかずに断念してしまった人は多いだろう。

厳しい言い方になるが
幽体離脱した主人公 伊里達 遊太をはじめ
アイドルかつ実は正義の味方であるヒロイン
怪しい霊媒師に引きこもりや天才発明家と
濃い設定のキャラクターは揃っているが
ハッキリ言って魅力に乏しく
第6話まで観続けられるかが壁となりそうだ。

ついでに言わせてもらうならば
初登場時に全身タイツを着た謎のヒーロー
宮沢 賢治の声が遊太と同じトーンなので
意図してそうさせているのかもしれないが
初見で正体がバレバレになってしまっているので
「彼は一体何者なのか?」と
あれこれ想像する楽しみが失われてしまったのと同時に
おおよその展開が読めてしまうのは少々残念であった。

せめて声だけでも正体が分からない様に
工夫をしてもらいたかったもの。

タイトルのパンチラインを英語にすると
ジョークのオチを指す「punch line」だが
最高にハッピーでピースフルな未来を観たい人は
"今冬発売予定のゲーム版『パンチライン』を買ってね"と
言わんばかりのまさに冗談めいたパンチの欠けるオチで終幕。

降霊術ならぬ幸励術で励ましてもらいたいのは
ゲーム版を購入するまで
本作品の完成形を観る事が叶わないこちらの方である。

■意外な起用■
全体を通すと今一つ面白さ見出せない本作品であったが
音楽面は素直に評価したい。

まずOP「PUNCH LINE!」
作詞 作曲 編曲をアニソンでもお馴染みの
前山田 健一さんが手掛けており
ノリの良さは流石といったところ。

「なんで!?なんで!?なんで!?なんで!?なんでだ!?
 わけ わけがわからないの もっと
 見ていて欲しいのにっ!!」

上記のフレーズ時に古来館住人の各部屋が
ぐるぐると回るカットがお気に入り。

そして多くの方が意外な起用だと感じていたであろうは
TKこと小室 哲哉さんその人である。

本作品のサントラを聴いたところ
この人程"名前で良否を判断されてしまっている"
気の毒なアーティストは他にいないだろう。

第1話冒頭で流れたBGM「Strange Juice (Action)」

サントラのCMでも流れ
もっとも本作品を象徴する曲である。

きっちりメロディーラインを残し
テクノベースのエレクトロポップなBGMは
聞き易く仕上がっていてアレンジも見事なもの。

次に作中で度々流れた「Crisis」

良い方に転じるのか悪い方に転じるのか
タイトル通り重大な局面で流れ
こちらも印象に残っている曲だ。

勿論 好みには個人差があるので
一概に正しいとは言えないけれど
流石は一時代を築いただけの事はある
センスの持ち主である。

少なくとも小室 哲也の名前だけで
評価を下すのは早計だろう。

ただ 一つ問題なのは
上記で挙げたBGM以外の曲を聴いても
本編の映像がパッと頭に浮かんでこない事だ。

音楽単体は評価出来たとしても
振り返って本編を想像するには至らず
作品としての評価に繋がらないところが
本作品の弱さ足る点なのかもしれない。

■あとがき■
投げっぱなしのまま終わらなかったのは評価したいですが
ゲームで言うところの真ENDではなく
ノーマルENDな結末だったので
ゲーム版を買う程まで楽しめた人はともかく
「悪くはなかったけれど・・・」と
何ともすっきりしない全12話でした。

本作品の様なタイムリープを軸にした作品だと
2回3回と繰り返し視聴していく度に
何かしら発見する楽しみ方があるのだけれど
もう一度最初から観直したい気持ちになれなかったのが
1番のネックだった様に感じたよ。

ADVゲームの様にテキストを読んでいく形式でなら
もっと評価されていたのかも。

印象に残ったのは「パンチライン」と
艶っぽい声で入るアイキャッチくらいかな。

少なくとも本作品を観て感じたのは
ある程度のネタバレをアニメで放送している為
この後"ゲーム版をプレイしてまで真ENDが観たい!"と
続きが気にならなかった事だね。

販促としての効果はあるのだろうか。
ゲーム版の売れ行きが気になるところ。

シナリオは凝っていても
必ずしもそれが面白さに繋がる訳ではないと
改めて感じられる作品でした。

満足度 ★★★☆☆☆☆☆☆☆ (3)

投稿 : 2015/06/27
閲覧 : 351
サンキュー:

43

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