「グリザイアの迷宮 & グリザイアの楽園(TVアニメ動画)」

総合得点
76.7
感想・評価
1222
棚に入れた
7479
ランキング
671
★★★★☆ 3.9 (1222)
物語
3.9
作画
3.9
声優
3.8
音楽
3.8
キャラ
4.0

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ネタバレ

yapix 塩麹塩美 さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0
物語 : 4.0 作画 : 4.5 声優 : 4.0 音楽 : 3.5 キャラ : 4.0 状態:観終わった

一姫の左腕^^

 さあ、それでは、仮説の検証から始めようではないか。
 「風見雄二はなぜあそこまで自分の性欲を制御できるのか?」
 この不可思議な現象に対して私は5つの仮説を提示した。
 それを一つずつ検証していくとしよう(仮説の詳細については拙文http://www.anikore.jp/review/1153120/を参照されたし)。
 仮説①「性的不能者である」
 {netabare}限りなく「偽」に近い。
 が、絶対に「偽」だと断定もしかねる。
 少なくとも麻子亡き後JBと同棲?していた時期までは性交渉の痕跡がある。
 その後については性交渉は確認できないが、JBの副官?のお尻への興味を露わにする描写などから、性的興味を有していることは間違いない。
 美浜学園に来るまでの間に性的不能者となるような特別な事件があったとも思えないので、まず性的不能者ではないと考えてよいのではないか。{/netabare}
 
 仮説②「ゲイである」
 {netabare}これは「偽」と断定してもいいだろう。
 ヒース・オスロ庇護下において性的虐待とも取れる行為を受けてはいたが、それ以外に同性との間に性的な接触は認められない。{/netabare}

 仮説③「性体験が豊富すぎてあんな拙い誘惑では興奮しなくなった」
 {netabare}「真」の可能性はかなり高い。
 少なくとも性経験が豊富であることは間違いない。
 性への好奇心が最も高いお年頃に年上のお姉さまから性の手ほどきを受ける。
 しかもその手ほどきは、質・量ともに最高レベルのものある。
 やりたいときにやりまくれ、
 女の悦ばせ方を一から仕込まれる。
 パ、パラダイスじゃないか!
 これだけの経験をすれば、同世代の女の子の拙い誘惑を受け流すことができることにも頷ける。
 女体の神秘への憧れは卒業済みなのだから。{/netabare}

 仮説④「性的に未熟すぎ女体の神秘に反応していない」
 {netabare}「偽」である。
 仮説③の検証結果からこれは明らかであろう。{/netabare}

 仮説⑤「自己のコントロールを徹底的に仕込まれているため、どんな状況においても自己を見失うことはない」
 {netabare}真偽のほどは定かではない。
 兵士である風見雄二がある程度の自己コントロールをできることは当然である。
 しかし、徹底的に仕込まれていると言えるだろうか?
 戦場でも私生活でも彼の心は不安定である。
 複雑な家庭環境のせいで受けられなかった無償の愛、
 ヒース・オスロの下で受けたトラウマ、
 麻子を失った喪失感、
 これらの傷に常にさいなまれている。
 性的興奮と自己コントロールの間にはあまり関係はないのかもしれない。{/netabare}

 以上、検証の結果を受けて新たな仮説を提唱したい。
 {netabare}まず、風見雄二は自分の性欲を制御しているわけではないのではないか。
 ただ単に同年代の女の子に性的な魅力を感じていないだけなのではないか。
 彼にとっての女とはイコール「年上の女」なのではないか。
 ほんの乳飲み子のころを除けば、
 彼は実質的に姉の一姫に育てられたようなものである。
 一姫亡き後(死んでないけど)、ヒース・オスロの下を経て、
 麻子に引き取られることとなった。
 ファーストキスは姉の一姫、
 初体験は師匠の麻子、
 戦場でもそれ以外でも彼の周りは年上の女性ばかりである。
 こういった環境が、
 彼の目を年上の女、成熟した女にのみ向かわせることになったのではないだろうか。
 つまり、
 「風見雄二は10代の未成熟な少女に性的な魅力を感じないが故に、メインヒロイン5人からのいかなる誘惑に対しても反応を示すことがなかった。」{/netabare}
 という仮説を真説として唱えたい所存である。

 前作「グリザイアの果実」と比較してエロ要素はかなり後退したように感じられた。
 {netabare}特に前作からのメインヒロインでは、周防天音の着替えシーンと入巣蒔菜のパンチラぐらいしか露出シーンは認められなかった。
 迷宮&楽園のメインヒロインは実質的には日下部朝子と風見一姫である。
 彼女らは、風見雄二の人生に決定的な、もっと言うなら、致命的な影響を与えている。
 彼の生き方、生きる理由、生きる糧、これらを与えたのが彼女らなのである。
 生き残った風見一姫とは、これから新しい関係を築いていくことができる。
 だが、この世にいない日下部麻子には何もすることができない。
 触れ合うことも語り合うことも共に星を眺めることもできない。
 だからこそ、風見雄二は日下部麻子の期待に応えなければならない。
 いつか、神が、悪魔が、なにかが、彼に死を許すその日まで、
 出来うる限り精一杯生きなければならない。{/netabare}

 
 
  
 

 
 

 
 
 

投稿 : 2015/07/06
閲覧 : 329
サンキュー:

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