「翠星のガルガンティア(TVアニメ動画)」

総合得点
88.0
感想・評価
2863
棚に入れた
14359
ランキング
134
★★★★☆ 3.9 (2863)
物語
4.0
作画
4.0
声優
3.8
音楽
3.7
キャラ
3.9

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ネタバレ

Progress さんの感想・評価

★★★★★ 5.0
物語 : 5.0 作画 : 5.0 声優 : 5.0 音楽 : 5.0 キャラ : 5.0 状態:観終わった

翠星のガルガンティア  レビュー

あらすじ(あにこれ あらすじより)

宇宙そらから来た少年、船団都市ガルガンティアと出会う
遠い未来
表面のほとんどを大洋に覆われた星、地球
宇宙で育ち
戦いしか知らなかった少年兵レドは
そこで初めて海を見た
広く、淡い翠に光る海
人々は巨大な船団を組み、
つつましくも生き生きと暮らしていた
通じない言葉
異なる習慣
レドは孤独な異邦人
だが、彼は一人ではなかった
ここで生きてゆくためになにができるのか
そして、なんのために生きるのか
翠の星で過ごす日々が、レドに問いかける(TVアニメ動画『翠星のガルガンティア』のwikipedia・公式サイト等参照)

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当時私はリアルタイムでこの作品を見ており、恐らくサイコパスかまどマギの後に、虚淵氏が関わった作品として、注目度があった作品でした。

今回唐突に気になることがあったので、ここに書いておこうかなと思います。

【チェインバーというロボット】
会話型支援AIを搭載した二足歩行ロボット、マシンキャリバー。
その中でも特異な個人の性格を獲得するまでに至った、主人公機のチェインバー。

ロボットの中で彼はどういう存在でしょうか?

人工知能という点で見ると、チェインバーの知能をつくるシステム「会話型支援AI」は人間の本当の心を作るためではなく、ヒディアーズ(今作の敵)と戦うパイロットの助けとなることを目的に動く物でありました。
だからこそ、彼の言葉がどこまで支援AIの枠の中に納まっているのか、なにか個性のようなものを獲得しているような言葉に聞こえるので、ロボットの「心の獲得」というものを、描いているように思えてならないのです。



また、ロボットには人が乗る時代がきて、必殺技を叫びながら、迫りくる悪の刺客と戦うロボットがいますよね。
チェインバーというロボットは、どんな戦闘をするロボットだったでしょうか?
彼は支援AIとして、坦々と兵装名を発して、機械的に敵を倒すことを徹底していました。
敵を倒すこと、そこに明確な悪は存在せず、人類対ヒディアーズの対立構造、もしくは戦争の中に、一兵士のロボットというのが、チェインバーの存在なのです。

そして戦争という状況からスピンアウトしてはぐれロボットとなったチェインバーが、地球に残った力のない人類の助けとなる。
チェインバーは巨大ロボットではないけれど、戦争の中にある兵士、善悪のない世界から、敵に意思がある世界、意思があるかもしれない敵、悪意のある敵と戦うことによって、レドと共に善悪を感じ取り変化していきます。

彼自身が自爆攻撃をする際に発した「くたばれブリキ野郎」という言葉には、明確な意思を感じてなりません。あれだけ機械化されたヒディアーズとの戦争の中で、意思など存在しないようなAIが、明確な悪意(害をなす存在)との最後の戦いで、敵に対する意思を示した。これが、チェインバーが人工知能の可能性をしめした、この作品のロボット作品としての位置を決める重要な描写だったのではないでしょうか。



少し上述で先取りしてしまいましたが、やがて、ロボットは戦争で使われるようになりました。その中で、ロボットは「必殺技」は叫ばなくなり、戦闘を有利に進める「武器」「武装」によって、多くの敵兵士を処理する描写が増えました。
戦争の中で死んでいく個(人の意思)を描写する時もあれば、戦争の中で輝く個を描写する時もある。
チェインバーという存在、量産兵器である一機体の個は、どう描かれたでしょうか?
彼に元々、個、特に自身を重要視するという考えはなく、パイロットを支援するという考えしか持っていませんでした。
その意味で、彼の個が輝くというのは、彼が作られた理由であるパイロットを支援し、任務を遂行することで、性能としてそれが評価されるという意味でもいえるでしょう。
しかし、彼が自爆攻撃によってその存在が消えてしまったとき、レドや、私達視聴者によって彼の存在の消失を惜しんだことが、彼の個というものを示しているのではないでしょうか。レド達との日常の中で得られた彼らの記憶の中に、彼の個を垣間見ていたように思えるから、惜しいと思えるのかもしれません。情が移るというものです。
だからこそ、彼の個が蓄積された、地球での日々こそ、彼の個を描いたシーンだったのだと思っています。

そして、ロボット作品は、人の意思を汲み取り、時として無限の可能性を秘めた力を発揮するようになります。
無限の力をロボットの意思なく提供するロボットと、今ある、できる中で、できることを最大限行なうロボット、後者がチェインバーだと思っています。
そして、彼が獲得したかもしれない、個の知能は、ロボットに、無限の力にも等しい可能性を与えてくれるのではないかとそう感じています。

以上、チェインバーに関することだけではありますが、ここに書かせていただきました。

投稿 : 2019/06/22
閲覧 : 309
サンキュー:

30

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