「弱虫ペダル GRANDE ROAD(TVアニメ動画)」

総合得点
72.3
感想・評価
690
棚に入れた
3909
ランキング
1135
★★★★☆ 3.8 (690)
物語
4.0
作画
3.7
声優
3.8
音楽
3.7
キャラ
3.9

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ネタバレ

STONE さんの感想・評価

★★★★★ 4.2
物語 : 4.5 作画 : 3.5 声優 : 4.0 音楽 : 4.0 キャラ : 5.0 状態:観終わった

ついに決着

 原作は未読。
 1期はインターハイの熱戦の途中で区切りも無く終わってしまったが、本作も1期の
おさらいなどなく、いきなり熱戦の途中から始まる。
 ほぼインターハイの描写と参加選手の過去描写に終始しており、完全にレースに焦点を当てた
内容。
 この作品はキャラ立てが非常に良い印象が強く、いずれも濃いキャラ達ばかりだが、その
キャラ達が全編熱い戦いを繰り広げる。正直リアル性には欠けるが、この熱さがとにかく
盛り上げてくれる。

 1期では描かれなかったキャラのバックボーンも本作では多く描かれるが、特に1期において
一種の悪役として強烈な印象を残した御堂筋 翔の過去が際立つ。
 母の死に伴うこのエピソードは御堂筋のこれまでのイメージとは異なる一面を見せつつ、
亡き母が残した言葉が彼の支えであり、ある意味呪縛でもあることを思わせてくれる。
 この御堂筋以外にも、本作より登場したこれまた悪役然とした待宮 栄吉なども、その過去が
描かれるが、いずれもそうなるに至る過程が描かれることでキャラに深みが増している印象。
 こういった過去が描かれることで「根はいい人でした」みたいな印象を与え、以後のキャラの
印象に修正が計られる作品もあるが、御堂筋に関しては最後までぶれていない。
 もっともチームメイトである石垣 光太郎や、対戦相手である小野田 坂道に何か感じる
ところはあったようで、本当のところは「ぶれていない」と言うより、「ぶれないように
している」のかもしれない。

 3日目はいよいよ最終決戦ということで極限に迫るといった雰囲気。
 この過程において、次々と脱落していく選手がいるが、いずれも見せ場を作りながら、落ちて
いくその様はまるで死んでしまったかのような描き方。
 また、この追い詰められたかのような展開は、各キャラの根源のようなものを浮かび
上がらせ、一種の狂気のようなものさえ感じさせてくれる。
 荒北 靖友や新開 隼人の野性的な走り、待宮の箱根学園への復讐心、御堂筋の勝利への執念
などにもそれを感じさせるが、実は一番狂気を感じさせるのが小野田と真波 山岳で、笑顔を
見せながら、極限的走りを見せる両者はランナーズハイの極地といった印象。
 御堂筋が「純粋に勝利のみを追い求める」といった発言をしていたが、小野田と真波の
自転車を走らせる楽しさという根源的な部分でここまでに至る描写を見ると、「勝利を
求める」という行為さえ一種の不純なものに思えてしまう。
 そんな二人の最終決戦だったが、自身の持つ根源的ものをベースにしつつも、チームメイトの
思いが両者を後押ししており、特に小野田が最終的に僅差ながら勝利したのは総北高校の絆の
力が大きかったみたい。
 「言われたことをやり遂げる」という思考、試合においては小細工や秘策もなく、ひたすら
ケイデンスを上げるなど、そのシンプルさが小野田の魅力といった印象。

 総北高校の勝利に関して、最近のスポーツものは最初は主人公が負けることで一度挫折を
味合わせてからの、リベンジで勝つというパターンが多いため、この決着はある意味、意外と
言えば意外。
 まあ、この作品に関しては総北高校3年生最後のインターハイという描写が強かったため、
この決着で正解かなという印象。
 そして、王道スポーツものの展開をなぞりながらも、最後は秋葉原ツアーで落とすというのも
この作品らしい締め方。もっとも単なる笑いどころだけではなく、オタクである小野田なりの
先輩への感謝の思いが感じられるいいシーンだった。

投稿 : 2015/12/20
閲覧 : 212
サンキュー:

5

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