STONE さんの感想・評価

3.6
物語 : 3.0 作画 : 3.5 声優 : 4.0 音楽 : 3.0 キャラ : 4.5 状態：観終わった

やっぱりゴキブリはいやだなあ

　原作は一部既読。
　鑑賞したのはテレビ放映版。
　あと一部OVAについても書かれていたりします。

　以前、別作品のレビューで、2014年放映のグロ描写のある作品の自主規制のスタンスの差に
ついて書いたけど、一番規制が強い印象だったのがこの作品。
　個人的にはテレビ放映時のある程度の規制は致し方ないと思っているが、ここまで多いと
さすがに閉口してしまう。おまけに規制の掛け方が黒丸のオンパレードで、もうシュール
ギャグの領域。
　まあ、それだけグロシーンが多いということなのだろうけど。

　時系列的にはOVA、テレビシリーズと続いているが、原作未読でOVA未鑑賞だとテレビ
シリーズの面白みがかなり半減するのでは？と思える。
　OVAの段階で既に地球側が一枚岩ではない展開を見せており、この辺は後のテレビ
シリーズへの伏線の一種になっていたりする。
　また小町 小吉の回想や、劇中で「M.O.手術」が「バグズ手術」を発展させたものと語る
シーンなども、OVAで描かれたバグズ2号で起きたことが判らないと今一つピンと
来ないのでは？。
　このOVA、結構有名声優がキャスティングされているが、有名声優が中の人だろうが、
ろくな活躍もしないうちに死んでしまうキャラが多々で、ある意味勿体ない作り。それだけに
より悲壮感が漂うのもかもしれない。
　個人的には素直にバグズ2号の件からテレビアニメ化した方が良かったように思うけど。

　全体的な印象はとにかく暗い印象が強い。
　バグズ2号の件を踏まえてのアネックス1号だが、「M.O.手術」を持ってしても、
テラフォーマーも以前より強力になっており、そう簡単にはいかない。特にいかにもこれから
活躍するのだろうと思わせるような描かれ方で登場したキャラがあっさりと殺されてしまうと、
何ともはやといった感じで。。。
　絶望的な人類の戦いと言うと、割と最近作だと、「進撃の巨人」、
「トータル・イクリプス」、「シドニアの騎士」あたりを思い出すが、これらはそれなりに長い
スパンの時期を描いているために戦いの合間の日常描写もあったりするが、本作品は火星に
到着してからの数日間を描いたもので、ほとんどがテラフォーマーとの戦いの描写に費やされて
いるのも暗い印象の一つかなと思える。
　おまけに人類側の過去は多くが悲惨なもので、これがまた暗さに輪を掛けてくれる。

　戦闘自体は生物能力対決といった感じでなかなか面白く、ナレーションでその生物の能力を
説明してくれるので、無駄に雑学が身に付いたりｗ。この辺はなんか自然科学番組を観ている
ような気分。
　この戦闘シーンだが、戦う者の過去回想シーンがやたらと多い。これによりキャラ描写に
深みこそ与えているが、戦闘中に回想が挟み込まれることでバトルのテンポ感やスピード感が
削がれていることは否めない。原作も同じだとしても自分のペースで読める漫画と、動画ゆえに
受身にならざる負えないアニメでは印象が変わってしまうのでは？。

　キャラに関しては、テレビシリーズにおいては膝丸 燈が主人公なのだろうが、全体を通して
みるとそれほど印象度が強くなく、やはりアカリという名の主人公は影が薄くなって
しまうのか？と思ったりw。
　まあ、実際のところは一種の群像劇と捉えた方が良さそう。

　一方、対するテラフォーマーだが、それなりの社会性を身に付けている知的生命体で
ありながら、人類に対しては交流の意志はなく、問答無用で殺そうとしてくる恐怖。
　あと人型になったとは言え、元がゴキブリということで生理的嫌悪感が拭えない。
　まあ、テラフォーマー側にしてみたら、自分のフィールドに侵入者がやってきたわけで、いい
迷惑なんだろうけど。
　もしテラフォーマー側が交流の意志を見せてきた場合、平和的スタンスだがゴキブリという
相手に対して、人類はまともに交流できるだろうか？と考えたりもした。

　ストーリー的には終始人類対テラフォーマーとの戦闘でいささか単調。
　ただ、既に人類側に裏切り者がいるといった、単純にはいかない要素は顔を出しており、
展開的な面白さはこれからなんだろうな、と思わせるものがある。