「灰と幻想のグリムガル(TVアニメ動画)」

総合得点
87.2
感想・評価
1954
棚に入れた
9392
ランキング
161
★★★★☆ 3.9 (1954)
物語
3.8
作画
4.0
声優
3.8
音楽
3.8
キャラ
3.8

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ネタバレ

aucheidac さんの感想・評価

★★★★☆ 3.9
物語 : 3.5 作画 : 4.5 声優 : 3.5 音楽 : 4.5 キャラ : 3.5 状態:観終わった

冷たさと少しの温かさと。

物語のあらすじ
ハルヒロがある時目覚めると異世界グリムガルにいた。
周りには同じ年頃の男女がいて、しかし誰も名前以外のことが思い出せない。
モンスターや魔法の存在する異世界グリムガル、だがそこは誰もが憧れに胸を膨らませるようなファンタジーの世界ではなく、冷酷で荒涼とした、いつも身近に死が迫る、そんな灰色の世界で、ハルヒロは仲間たちと文字通り死に物狂いに生きていく。

そんなお話。原作は未読です。


以下感想


異世界モノは古今東西、ジャンルを問わずに多くあるけど(ラノベでは特に多いと思う)、他のとは少し違うと感じるのは、あまりにも現実的な世界観。

魔物と戦う義勇兵(見習い)になったハルヒロたちの一番の懸念と言えば、技を覚えたり、装備を整えたりといった基本的なことはもちろん、それ以上にその日の食い扶持なのです。

しかもひもじい状況がこの作品では全くもってコミカルな要素にはならない。
いつでも命がけ。腹が減っては戦ができぬ、という誰でも知ってることわざをリアルに、かつシリアスに地で行く。
 油断をすれば、RPGでいうところの初期モンスターにあたるゴブリンに全滅なんてことが容易に起こりうる。そういった世界観は最初に見たとき、ぐっとくるところがありました。

そしてそれ以上に、作画がとても魅力的です。
絵に関しての知識は全く持ち合わせていませんが、水彩画のような、淡くて線の細いタッチで描かれるキャラクター以外の背景世界が美しい。
 最初はそれが目当てで視聴していたと言ってもいいくらいでしたが、次第にそういった淡い、儚げな背景とストーリーそれ自体の雰囲気が重なってくる。

特にマナトが亡くなり、メリイが加入してくるあたりからは、少しテンポが遅いかもという感じもしましたが、しかしそのゆったりとした流れが、むしろ置いてけぼりにされず、物語に没入していくのにほど良い時間をくれます。
 ハルヒロたちがじっくりと時間の経過の助けを得つつ、マナトの死から立ち直っていくとともに、メリイを受け入れていく。メリイも彼らに心を開いていき、過去と向き合う勇気を得る。

こういった厳しい世界観や、ゆったりとした時間の流れが感じられるストーリー、作画の美しさを支える縁の下の力持ち的な存在なのが、タイトルかなと思います。最近のラノベのタイトルは、タイトルというより帯文みたいのなのが多いけど、この作品に関してはそうじゃない。
 舞台になるグリムガルはすぐ分かる。ただ、「灰と幻想」ってなんだろう、と。アニメを見ている間ずっと考えてました。

幻想の方は正直あまり自分なりにそれらしいところを見つけられなかった。もしかして実はヴァーチャルリアリティだったり?(笑)みたいな馬鹿げたことも考えましたが。
作画のつながりでいけば、幻想的と言えるかな。あとはファンタジックな世界観を幻想ということもできるのかもしれません。

逆に、灰はすごく色々考えられました。先に灰色の世界と書きましたけど、冷たさと恐ろしさ、と少しの温かさといったところを表すのには、灰色はとてもよく合っています。マナトの遺灰だったり、メリイの前の仲間たちが灰に帰る時の描写。冷たい死と少しの温かさという両面が象徴的に感じられました。暖炉に残る灰のような. . .。


原作は未読なのでどういった文体なのかわかりませんが、アニメのこの雰囲気が文章で表現できてたら本当にすごいと思います。もしそうだったら、最近のラノベの中ではトップクラス間違いなしだと思うのですが、どうでしょうね。「ライト」ノベルというジャンル上、あまり濃密な描写などは期待できないかなという感じですが. . . 。


いずれにせよ、とても良い作品でした。2期もあるといいですね。

投稿 : 2016/05/09
閲覧 : 182
サンキュー:

8

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