「舟を編む(TVアニメ動画)」

総合得点
73.7
感想・評価
667
棚に入れた
2928
ランキング
967
★★★★☆ 3.7 (667)
物語
3.8
作画
3.7
声優
3.8
音楽
3.5
キャラ
3.6

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ネタバレ

どらむろ さんの感想・評価

★★★★☆ 3.9
物語 : 4.0 作画 : 3.5 声優 : 4.5 音楽 : 3.5 キャラ : 4.0 状態:観終わった

辞書編集に捧げる人生模様、ゆっくりと流れる時間。ノイタミナらしい、地味だがステキな作品です。

小説が原作で実写映画化もされた、辞書編集を題材にしたアニメ全11話です。
ノイタミナ枠に相応しい、渋い魅力のあるドラマでした。
やや退屈ではあるのですが…退屈さも含めて良いと感じられる。

{netabare}『物語』
対人コミュニケーションのニガテな、言語学専攻の青年・馬締光也(まじめみつや)が、「大渡海」という辞書、を作る部署で、辞書作りに没頭していく。

「辞書は言葉の海を渡る舟、編集者はその海を渡る舟を編んでいく」

気の遠くなるような言葉の海を、馬締と編集者たちの人生模様(ちょいラブコメ)を交えて、ゆっくりと描かれる…
…辞書作りというマイナーな題材を描いたお仕事アニメです。
非常~に地味な作風と雰囲気なんですが、普段あまり意識しない「言葉」の意味や大切さがじんわりと伝わったり、長い時間をかけて完成を目指す仕事そしてそれに取り組む人生の尊さがしっかりと描かれていて良かったです。

辞書作りや出版業界の話がちょっぴり興味深い以外は、あまり派手な見せ場は無い。
馬締と香具矢(かぐや)の不器用で微笑ましいラブコメの波動が、地味ながらステキでした。
…とっても地味ですが。
仕事も、互いの人生も、共にゆっくりと歩んでいく。
派手さやドラマチックさには欠けますが、13年後の熟年(というにはまだ若いけれど)夫婦感はとても和みます。

本作の魅力は仕事も人生も焦らずにゆっくりと歩んでいこう…
という、アニメ的にはある意味贅沢な時間感覚、それがステキだな~と思わせる空気感そのものにあり。
1話から13年の時が流れて、少し年を取った馬締と香具矢そして編集者たち。
老いた親しい者や志半ばで去る同志がいる悲しみの一方で、若き女性編集者の情熱が育ち、受け継がれていく。
日々変わっていくモノと、変わらぬ情熱や人生が混然一体となり…
「大渡海」という言葉の舟に結実していく…。
ラストの完成パーティーは少し涙腺緩みました。
感無量。そんな言葉を贈りたい作品です。


素晴らしいドラマでした。
けれど…面白かったか?と言われると、正直退屈もしました。
地味で不器用なラブコメ回と、西岡の、出版本社を敵に回すかも!?な立ち回り以外はとことん地味すぎる。
13年間の時間が流れた展開はダイジェスト感もある。
間幕茶番の「じしょたんず」はコミカルな楽しさはありましたが、こういう解説は本編で見せて欲しかったです。
…物語評価は3.5か迷います。
地味。退屈。されど…雰囲気が好ましいし、なにより最終的に感動した。
11話と中途半端ですが、これ以上あると退屈しそうなので丁度良い。
これぞノイタミナ。こういう作品も良いものだな…と思いました。


※余談
私はレビューで「本作」という単語を好んで多用してますが…
「本作」は、辞書に載っていない、正式な言葉ではないようです。
誤用?正しい日本語じゃない!?え?
うーむ、でも、「本作」という言葉は使い勝手良いんですよ。代替する言葉だと不便ですし。(この作品?長い。)
「今レビューしている、この作品」を漢字二文字で表せますし(いちいち作品名記述は面倒だし)
…仮に日本語としてはグレーゾーンでも、今後も気に入っている「本作」使っていこうかと思ってます。

※余談その2
私は日本も日本語にも誇りを持っていますが…
「油断すると主語に掛かる述語が曖昧になる」構造的なネックが…
例えばレビュー序盤で

「大渡海」という辞書を作る部署

「大渡海」という、辞書を作る部署
…だと、「大渡海とは、部署名である」という誤解が生じる恐れが。
故に、 「大渡海」という辞書、を作る部署
と句読点区切りました。「大渡海」は部署じゃない。辞書名だ!
…いやいや、そこは前後の文脈で判断しろよ~。常識だろ。
まあそうなのですが。念のため…
(何気に普段のレビューでこれ、常々気を付けてます。その割にミスだらけかも…)


『作画』
作風故かキャラデザも動画も地味。でも概ね丁寧で良質だった。
欲を言えば、辞書作りの魅力をもっと映像で実感させてくれるシーン観たかった。
馬締が文字に溺れる演出はアニメならではでしたが、まぁまぁ。(蟲師思い出した)


『声優』
櫻井孝宏さんの朴訥とした演技は地味ながら、確実に馬締の魅力引き出していた。
神谷浩史さんの西岡も流石、ふたりの掛け合い良かったです。
榊原良子さんの存在感も凄い。
MVPは松本先生の麦人さん、人生の先達としての貫禄、地味ながら圧巻でした。

『音楽』
OP「潮風」がテーマに沿っていて良い感じ。
BGM含めて良いんですが、地味な印象も。


『キャラ』
キャラも地味ながら、観ていくと各人の魅力が分かる。
馬締は13年後の主任時代の方がカッコよさ上がってます。
辞書に使う紙にダメ出しするシーン良かった。
…未熟な主人公が出世してカッコよくなる、こういうのどのジャンルでも燃えます。

最初は不真面目かと思いきや有能だった西岡の方がキャラ的には面白い。
性格正反対な馬締との友情は好きでした。

香具矢さん、馬締にとって理想の嫁ですな。馬締さん勝ち組じゃないか。
13年後の老けた方が魅力増している。ステキです。

松本先生の、言葉も人生も広い視野で見ている器の大きさも良い。
地味ですが、この人の存在感も大きかった…。

製紙会社の営業員や、新人女性編集者など、若手の存在は、間接的に馬締の株上げている感じ。{/netabare}

投稿 : 2016/12/23
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サンキュー:

45

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