「天体のメソッド(TVアニメ動画)」

総合得点
69.6
感想・評価
963
棚に入れた
4735
ランキング
1711
★★★★☆ 3.6 (963)
物語
3.3
作画
3.8
声優
3.6
音楽
3.8
キャラ
3.6

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ネタバレ

蒼い星 さんの感想・評価

★★★★☆ 3.4
物語 : 2.5 作画 : 4.0 声優 : 3.5 音楽 : 4.0 キャラ : 3.0 状態:観終わった

鍵時代から不変のメソッド。

アニメーション制作:3Hz
2014年10月 - 12月に放映された全13話+OVA1話(BD特典)のTVアニメ。

原案・脚本を久弥直樹が手がけていて、
原作者にクレジットされているカレイドシフトはクリエイター集団の名義っぽいです。

【あらすじ/概要】

北海道の「霧弥湖」(洞爺湖がモデル)の上空には7年前から巨大な円盤が浮かんでいる。
宝石箱みたいにキラキラ輝く美しい円盤は浮かんでいるだけで何もしてこなく、
日常の一部、観光客が集まってくる町の名物として存在として地元住民から受け入れられていた。

そんな「霧弥湖町」に中学3年生の少女・古宮 乃々香(こみや ののか)は7年ぶりに帰ってきた。
そこで乃々香は、ふしぎな小さな女の子ノエルと出会う。
乃々香が7年前に置き去りにしてきた忘れ物を取り戻すべく、物語は動き出すのだった。

【感想】

keyのビジュアルノベルでありアニメ化もした『kanon』のメインライターであり、
“泣きゲー”というジャンルで一時代を築いた久弥直樹が送る物語。
テーマは“友情の再生”“変わらぬ想い”といった、ところでしょうか?

空に浮かぶ円盤の美しさといい、OPとEDといい、作画と音楽は良いです。
ED動画の乃々香が駆けながらアングルが変わっていくところなんか、とても好き。

メインキャラクターに幼さで可愛らしさをアピールしている女の子がいて、
その子の力で願いが叶うと○○くなってしまうという、
『kanon』や『clannad』などの個別ヒロインのシナリオで既視感ありまくりですが、
感動モノな友情ストーリーっぽく、このアニメは仕上がっています。

この手の作品は視聴者に登場人物を好きになってもらって、
感情移入してもらうことが大事ですよね。

でも実際観ていて、登場人物が怒っている理由&人間関係を拗らせている理由が共感できなくて、
キャラ付けもイマイチかな~。

自分から記憶を都合よく隠蔽しといて、友情厨に走ってしまう主人公・乃々香。
シナリオの役割を終えたら、プロ市民ちゃん→つまらない娘にジョブチェンジした双子の妹。
妹と反目するのだけがお仕事の、双子の兄。
いい人なだけで終わってしまった、土産物屋の看板娘。
乃々香にきつい態度を取って、和解する役割以上の個性がないヘッドホン娘。

登場人物の葛藤の内容と解消するまでの流れが、やや雑に見えました。
まあ、主に改心前のプロ市民ちゃんが痛々しすぎたのであり、
ヘッドホン娘との和解の下りは割りと良かったんですけどw

でも結局、こういう(↓)物語なのだと思います。

「わしゃ、親友のアンタのこと大好きじゃけん、
 アンタも、わしのこと好きじゃろ?な?な?
 絶対に離したくないし、拒絶されても信じんけえの!!」

「う…うん!嫌ってるふりしてたけど、本当は好きだよ」

親愛も友情も一度目をつけられたら呪詛に等しい魂の牢獄ですね。
絶対に“ノー”とは言わせない重たい束縛。

「みんな、気持ちは一緒だよ!!」

仲間内で一人だけ違う考えを持つことが許されない、
絶対改心を迫られる同調圧力みたいなものを、
乃々香たちのグループから感じられて、なんだかなーって感じ。

これらを甘ったるく言い換えれば、

「あたしたちは好き合ってる親友同士なのは当たり前じゃない!
 いつまでも、ともだちでいようね!ずーっと一緒だよ!!」

そんな話で良いのか?うーん!?
こういう話が好きな人に向けて描かれた物語ということで納得するしかないですよねw

現実じゃ、いくら仲が良くても離れ離れは珍しくないし、
折り合いつけて他所の土地で別の人間と新しい友情を構築するのが当然なんですけどね。

くっついて、突き放して、山場を作る。
終盤なんか特に結果ありきで、シナリオの流れが作為的なのですよね。
お約束的な展開ではありますが。

「とりあえず○せば泣くんだよね」というのは、人間を甘く見ている。
出崎統監督がkeyの作品を映画化した時のお言葉です。

実際に作中では既に故人なのを除き登場人物を安易に○してお涙頂戴にしなかったという一点では、
key時代からの進歩というべきなのでしょうが、シナリオのロジックは変わってないのですよね。
○さない代わりに○なくなってしまうだけで。

結局は過去の作品の焼き直しですよね。
久弥直樹脚本じゃない『clannad』の伊吹風子シナリオでさえ、似ていますし。

ゲームシナリオ執筆で得た過去の成功体験をずっと引きずっているのか?
単にウケると思ってやっているのか?単に自分が書きたい物語がいつも似通っているに過ぎないのか?
keyで泣きゲーの創作に携わった人は、水戸黄門の脚本みたいに、
シナリオの型枠から抜け出すことが不可能なのかな?と思わずにはいられませんでしたね。

まあ、そんな細かいことを一切気にせずに雰囲気を楽しんだり、
大天使・ノエルちゃん可愛いよ!で満足して深読みをしなければ、ニッコリになれるかもしれない。
そういう作品だと思いました。


これにて感想を終わります。
読んで下さいまして、ありがとうございました。

投稿 : 2017/02/01
閲覧 : 323
サンキュー:

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