「藤子・F・不二雄のSF(すこしふしぎ)短編シアター カンビュセスの籤(OVA)」

総合得点
計測不能
感想・評価
9
棚に入れた
45
ランキング
7719
★★★★☆ 3.6 (9)
物語
4.0
作画
3.4
声優
3.6
音楽
3.3
キャラ
3.6

U-NEXTとは?(31日間無料トライアル)

ネタバレ

たわし(爆豪) さんの感想・評価

★★★★☆ 3.7
物語 : 5.0 作画 : 3.0 声優 : 3.0 音楽 : 3.0 キャラ : 4.5 状態:観終わった

逃げ着いた先は。。更なる地獄でした。

あらすじ:紀元前500年頃、ペルシア王カンビュセスは5万の軍勢でエチオピア遠征を企てたが、やがて食糧が尽き、乗馬も草木も食べ尽くした兵士達が生きるために選んだ手段は、10人が1組となって籤(くじ)を引き、当たった1人を糧食とする残酷なものだった。

籤に当たった兵士・サルクは逃亡し、霧のかかった地で追っ手を撒くが、霧から抜け出た時、そこには不毛の沙漠が広がっていた。やがてサルクは遠くに建物らしきものを見つけ、助けを求めて中に入ると、そこは見たこともない空間が広がり、言葉の通じないエステルという少女がいた。力尽きたサルクは意識を失って倒れる。


藤子F不二雄先生のSF短編の中でも1、2を争うほどの出来と言われる短編「カンビュセスの籤」のアニメです。

正直言ってアニメは原作漫画の足元にも及びませんが、主人公サルクはいわゆる「椅子取りゲーム」に外れて、飢餓状態で腹を空かした9人の同胞に食べられそうになるところから始まります。人間は極限状態に陥るとモラルなどというものは忘れて本能のまま行動する「動物」になってしまうことが本当によくわかる1節となっており、サルクは逃げ出しますが。。。行き着いた先はなんと何万年も先の超未来。相次ぐ世界戦争と環境汚染でどうしようもなくなった地球へとたどり着くのです。。。地獄から抜け出したとて、そこに待っているのは「天国」とは限らず、また同じ境遇にある地獄へと舞い戻ってしまう皮肉が込められています。

世界はどんなに個人が善人であったとしても、周囲や環境によって人の価値観がいとも簡単に変わってしまうことの恐ろしさを描いています。グロテスクでエグい凡百のホラー映画より、人間の恐ろしさを描いている本作が一番恐ろしい気がしてなりません。

投稿 : 2020/07/06
閲覧 : 364
サンキュー:

11

藤子・F・不二雄のSF(すこしふしぎ)短編シアター カンビュセスの籤のレビュー・感想/評価は、ユーザーの主観的なご意見・ご感想です。 あくまでも一つの参考としてご活用ください。 詳しくはこちら
藤子・F・不二雄のSF(すこしふしぎ)短編シアター カンビュセスの籤のレビュー・感想/評価に関する疑問点、ご質問などがございましたら こちらのフォーム よりお問い合わせください。

たわし(爆豪)が他の作品に書いているレビューも読んでみよう

ページの先頭へ