lost316 さんの感想・評価
3.4
物語 : 2.0
作画 : 3.0
声優 : 4.0
音楽 : 4.0
キャラ : 4.0
状態:観終わった
尺の配分を間違ったのでは?
原作プレイ済みです。特番2本含みで見終えました。
正直な感想として期待外れでした。
中盤までの出来は良かったと思うんです。
原作ファンを楽しませようという思いも感じられました。
ですが、終盤にかけてはただひたすらストーリー完結にむけて駆け足で追っかけているだけ。
当初予定していた話数から削られてしまったんじゃないか?とさえ感じました。
アニメは尺が決まっているので、あれだけ長いゲームを一から十まで詰め込むことはできないでしょう。
ですが、それにしても本作は中盤までは1エピソードに4話も使うような悠長な展開なのに、後半はダイジェスト版を見せられているような配分のちぐはぐさを感じました。
当初から26話+αで予定していたとしたらプロットの設定ミスとしか思えません。
もう一点不満なのは主人公のセリフの少なさです。
原作ゲームでは主人公=プレイヤーとして感情移入させる為、主張の強くないキャラ設定なのは良いのですが、アニメの主人公までそれに寄せて没個性化してはいけないでしょう。
狂言回しであるモナが割と口数の多いキャラなせいで、雨宮のモブ化に拍車がかかっています。
常に回りの仲間達がガヤガヤやって、ある程度会話がまとまった後ポツリとしゃべる…そんなイメージです。
その点、前作P4Aの鳴上はコミカルなキャラ付けではありましたがしっかりと話を牽引する主人公らしさがあったように思います。
以下、ネタバレ含む感想。
{netabare}
個人的にいただけないなと感じた点として、まずコープ関連の話をほとんどカットしたにも拘わらず、コープキャラを無理矢理ストーリーに絡めてきた事。
本来彼らは自分達の窮地を怪盗団に救われ更にその後、友人となっていた雨宮が怪盗であると見抜いたからこそ怪盗団の善性を信じ、決戦の際にもエールを送った。
アニメ版ではそこをばっさりカットしてしまい、ほとんどのキャラは雨宮の素性も知らないまま町でほんの少し会話した事があるという程度の仲。原作未プレイの方は何故彼らが時折登場しては意味深なシーンを演じたり、最後に再登場した挙句声援を送っていたのかわからなかったのでは?
コープカット自体は尺の都合で致し方ないとしても、であれば完全に出演させないか出てきても背景に紛れ込ませるようなチラ見せで良かったでしょう。あるいはコープの内容を極短く改変してでも彼らの抱える問題とその解決を描くべきだったでしょう。
もう一点、一番不満だったのは最後に雨宮が出頭した後、彼を助ける為に仲間達が奮闘するシーンをまるまるカットした事。
原作では自分達を守るために主人公が出頭したと知り、その理不尽さに憤り仲間達は彼の冤罪を証明するために奔走、遂には彼の救出を果たします。
これがまるっとカットされ惣治郎の一言で片づけられてしまっている。
そもそも怪盗団の行いには「個人の主観で善悪をはかり、本人の意思を無視して善良である事を強制するのは果たして正しい行いなのか?」という問題をはらんでいます。
もちろん単純に正しいか悪いかとは言い難いので、受け手である視聴者やプレイヤーに答えはゆだねられるのですが。
それでも最後にはペルソナや改心等と言った特殊な力に頼る事なく、正攻法で世間に訴え事を成すという彼らの結末は、先の問いに対する回答として綺麗にまとまっていたように思うんです。
それがまったく描かれずに終わったのは、1ファンとして悲しかったです。
{/netabare}
以上、まとめると終盤に行くにつれ失速しラストは非常に残念な出来だった、が私の感想です。