「ぬるぺた(Webアニメ)」

総合得点
67.6
感想・評価
95
棚に入れた
324
ランキング
2322
★★★★☆ 3.5 (95)
物語
3.5
作画
3.5
声優
3.5
音楽
3.4
キャラ
3.5

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ネタバレ

Progress さんの感想・評価

★★★★★ 4.4
物語 : 4.5 作画 : 4.5 声優 : 4.0 音楽 : 4.5 キャラ : 4.5 状態:観終わった

ぬるぺた  レビュー

年明けにこの作品のレビューを書いている時は、、登場人物が記号的な作品かなと最初は思っていたのですが、
振り返り考えてみると案外面白いかもしれません。

Introduction

天才少女「ぬる」は、お姉ちゃんを事故で亡くしてしまう。
でも大丈夫!
持ち前の知識で、大好きだったお姉ちゃん「ぺた」をロボットとしてつくることに成功!
ただ、ロボットとして復活したお姉ちゃんは生前よりも、ちょっとちがう?
妹「ぬる」と、姉ロボ「ぺた」が繰り広げる、姉妹ドタバタコメディ!
『お姉ちゃん! コンセント抜けてるよ!』
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さて、このアニメ、第一印象は可愛さとコミカルさを併せ持った作品だったと思います。

ぬるぺた姉妹の可愛らしいキャラデザ、インパクトがありながらもずんぐりむっくりした(まるっこい?)愛嬌のあるぺたロボ。

そんなぬるぺた姉妹が繰り広げる日常、学校に行くか行かないかで攻防を繰り広げたり、激マズなタケノコ暗黒チャーハンをどう処理するかで悩んだりのような日々が導入部分(1~3話)であり、そこに愛おしさを感じる人も多いでしょう。

私もそんなアニメかなと思いましたが、どうも話が進むにつれて現実感から遠のいていきます。それは姉妹がランドセルによって宇宙に行くという事。そして宇宙で壊れるぺたロボと、離ればなれになるかもしれないことで悩むぬる。
ここで視聴者は、この作品の姉妹愛のハートフル要素に面くらうのです。この作品の方向性は、どうも宇宙に簡単にいくようなコミカル路線だけでなく、シリアスなストーリーも持っていると。
そのシリアスなストーリーとは、あらすじにもあるぺたが死んでしまったことから始まっているぬるのぺたへの想いが焦点になっています。
そんなシリアスな雰囲気を漂わせることと、作品世界への違和感を匂わせる4~6話でした。

そして、作品世界が大変なことになる7~9話。
宇宙から来たウイルスによって学校が食べられるという一大事を、コミカルにボロボロになりながら世界を守るぺたロボと、暗黒チャーハンを食べなくて済むと安堵するぬる。ぬるは家から出て、ぺたロボと一緒にウイルスと戦うという決心をして、ぬるぺたの姉妹の絆を深めた話でした。
しかし私の中では、もっと日常的なコミカル展開を考えていたのですが、宇宙に行ったり、宇宙由来のウイルスと戦って姉妹愛を深めたりと、ゆるゆるな明るい世界でシリアスな非日常が展開されている感じでした。

この7~9話はぬるの精神的成長、自らの意志で家から出るという事があり、キャラクターが記号的に動くものではなく、キャラクターがその形を変化させることを見せる事で、ぬるの人間味が強く出る物語になりました。かつ、10話以降の布石、ぺたがいなくてもぬるは大丈夫という物語に繋がっていきます。

10~12話は作品世界の真相。
いわば作品の疑問の完全消化であり、物語の終幕にふさわしい、世界の終わりであり、日常の終わりと新たな始まりを綴ったエピローグになります。
この作品の世界が永遠に続くようなことがない事への寂しさを含みつつも、世界の真相が暴かれることによって得られる、物語上のインパクトの強さがあると思いました。(hello worldやssss.グリッドマンのような近年の作品を思い起こしはするので、インパクトの点で言うと、評価が分かれるところはありますが)

そしてここからは、世界の真相を聞いてから考える物語の要素。
学校や暗黒チャーハンはぬるの記憶に強く残ったものが現れたとして、
ぺた姉以外ぬるの住む世界に介在する存在はいなかったというのに、そこに存在していた生物は一体何なのか?かき氷屋の女性、宇宙から飛来したウイルス。それらは一体何者であったのか?
さらに、仮想空間上において、ぬるの無意識が出来事を起こすとするなら、宇宙に行くことや、ウイルスが学校を食いつくすこと、ぺたロボの存在が消える事、ぬるが夢の中で事故についての勘違いをしていたこと、ヌルの精神的成長とともに夢、眠りから覚める事は、夢としては何を意味するのか?
そういったことを夢の意味を調べて、ぬるが無意識に望んでいた願望を知るのも面白いかもしれません。

さて、ぬるぺた、いかがだったでしょうか。
私個人は最初に「終わらない世界」を見る作品だろうな、と思っていたのですが、まさか終わる世界を見るとは思いませんでした。
どんな作品でも、物語の始まりと終わりで何かの変化があり、それによって人間味が生まれ、嬉しくもありますが、寂しくもありますね。
でも終わってしまったときに寂しいと強く感じた作品ほど、愛着が湧くんだろうなと。
そんなことを考えさせられる作品でした。

投稿 : 2020/01/05
閲覧 : 257
サンキュー:

22

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