「宇宙戦艦ヤマト2205 新たなる旅立ち 後章 -STASHA-(アニメ映画)」

総合得点
74.4
感想・評価
12
棚に入れた
40
ランキング
892
★★★★☆ 4.0 (12)
物語
4.1
作画
4.0
声優
3.8
音楽
3.9
キャラ
3.9

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ネタバレ

yamsn さんの感想・評価

★★★★★ 4.5
物語 : 5.0 作画 : 4.0 声優 : 4.5 音楽 : 4.5 キャラ : 4.5 状態:観終わった

全要素が高レベルで纏まった旧作ファンも納得の作品

前章の出来の良さに驚かされ首を長くしながら後章のリリースを待っていたが、期待を裏切らない素晴らしい作品に仕上がったと断言できる。
ストーリー上の前作に当たる2202が戦闘シーンもプロットもお世辞にも良作とは言えないものだったのに対して、本作は両方の点で格段に完成度が上がっていると感じた。

まず前作で個人的には大きく失望した艦隊戦描写だが今作では大胆な方針転換で格段に良くなった。前作はCG任せの物量作戦で、大量の見た目が全く同じ艦をきれいに等間隔に並べたのだが戦艦としての存在感は薄く、まるでイワシの大群でも見ているような印象だった。しかし今作では画面上の艦の数を思い切って減らし、どの艦にスポットが当たっているのか明確化する事で一隻一隻の存在感が際立ち、ボケていたピントが合ったような爽快感を感じた。
全体的に今作は前作に比べてメカの「見せ方」が格段に向上している。{netabare}具体的な例として2202の彗星帝国本体と本作のゴルバを挙げよう。彗星帝国は木星と対比することでその大きさを印象付けようとしたのだが、そもそも人間は木星というものを間近で見てその大きさを感じることは無い。さらにその動きも木星サイズにしてはあまりにも重量感が無く、結果としておもちゃのような印象になってしまった。それに対してゴルバは事前にヤマトと一戦交えさせてサイズ感を把握させた上、暗黒星団艦隊を虫のような小ささで前面に展開させることで効果的に巨大さを演出している。変形もゆっくりかつ重々しく、体感的な大きさは彗星帝国よりゴルバの方が上だった。 {/netabare}

今作で個人的に一番秀逸だと感じたのはストーリーだ。最初から最後まで芯が通っており、これ以上なくドラマチックな物語でありながらコンパクトに纏まっている。前作までにちりばめられた伏線まできれいに回収し、旧作でも説明されなかったヤマト世界の数々の謎に違和感のない納得のいく答えを与えてくれた。{netabare}デスラーとスターシャ、そしてイスカンダルとガミラスの関係などはよくここまでドラマと整合性を両立出来たとものだと敬服する思いだ。{/netabare}

ここまで2205をベタ褒めしてきたが、気になった点もある。

一つ目は戦闘シーンの作画全般だ。これは制作費の問題なのでいかんともしがたいが、地球側の艦隊には被弾シーンの描写が殆ど無い。波動防壁で受けきったという設定があるにせよ戦闘後、CGモデルが無傷で煙すら上げていないのは(まあ宇宙空間だからもともと煙は立たないが)激戦という感じが今一つで、ボコボコにされながらも耐えるヤマトというシリーズの醍醐味が失われてしまった。{netabare}撃破される暗黒星団艦隊もビームとか炎上の仕方などが低コスト(被弾で形が崩れず、ビームが貫通して爆散)で{/netabare}そのあたりを偏執的に作りこんだ2199に比べると一歩見劣りする。

二つ目は全般的な作中のテンポだ。これはあくまで個人的な嗜好なのだが、もう少しテンポを下げて一つ一つのシーンで間を取ってほしかった。会話も波動砲の発射に代表される戦闘シーンも一つ間を置くことで、より重々しくドラマチックに演出できる。近年はテンポの良さが重視され、この間をとるというテクニックがあまり用いられなくなってきているのだが、自分などはそのせいで作品全体が駆け足に感じてしまう。具体的には同じ内容でもう一話分ぐらい尺をとってゆっくりやった方が好みだ。

長々と書き連ねてしまったが今作は満点とは言い難いにせよ全ての分野においてハイレベルで纏まった良作だと思う。2199から入った方々も旧作からのファンも十分に楽しめるのではないだろうか。

投稿 : 2022/02/05
閲覧 : 205
サンキュー:

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