「もういっぽん!(TVアニメ動画)」

総合得点
72.2
感想・評価
203
棚に入れた
491
ランキング
1154
★★★★☆ 3.6 (203)
物語
3.7
作画
3.6
声優
3.6
音楽
3.5
キャラ
3.7

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ネタバレ

waon.n さんの感想・評価

★★★★★ 4.4
物語 : 5.0 作画 : 4.0 声優 : 4.0 音楽 : 4.0 キャラ : 5.0 状態:観終わった

等身大の未知の道

【First】

 柔道は日本発祥の武道であり、原型は柔術で、【柔よく剛を制す】という原理と目的に達する道を【柔道】とする。意訳してはいますが、講道館のサイトから頂戴した文面になります。
 勝つ事は目的を達成するための要素であって目的になっていないってところが割と深い気がして、近代のスポーツで勝つ事が正義だという流れとは実は主旨が若干違うっていうのが日本の武道精神的だと思います。
 それゆえ、ドラマにしやすくこれまでも様々な作品が制作されてきたという流れがあるかと思います。
 しかし、近年こういったスポ根作品では【勝利】が絶対的に必要な要素になっていて、主人公は勝つことが目的になっています。
 確かにその過程を描く事でドラマを作り出すっていう点は柔道だろうと、サッカーだろうとバレーボールだろうとバスケだろうと変わりないです。
 しかし、この柔道というテーマを選んだ時点でこの流れに一石を投じたような気がしています。
 それは彼女たちの動機からくるものだし、そしてなぜ主人公が女性であるのかというところまで等身大で描かれている点にこの作品の稀有な面白さがあふれ出ています。

 ゆるくふわりと、おすすめしたいです。

【Staff】

 原作者            村岡ユウ
 監督             荻原健
 シリーズ構成         皐月彩
 背景             獏プロダクション
 撮影             トゥインクル

 原作者は村岡ユウさん。
 まぁこの作品に触れるまで知らなかった漫画家さんですし、まだ読んだこと無いので、実際にはどういった漫画を描いているのか分からないわけですが、この『もういっぽん!』よりも前に同じく柔道マンガの『むねあつ』という作品や『もういっぽん!』の基となった『やわらか』という作品を描いていました。柔道好きなんだなと言った印象ですね。ここから分かるのは何となくこのテーマを選んでアニメ化までこぎつけたわけではないって事ですね。
 描きだしたい軸みたいなものがある仮定して作品を堪能することをおすすめしたいです。私は何となく観始めちゃったので…。
 監督には荻原健さん。
 こちらは調べたところ元々は撮影スタッフで撮影監督さんをしていた時期もありその後絵コンテや演出をするようになって今回監督をすることになったという感じみたいです。
 あまり聞いたことのないキャリアではありますが、撮影は最終的な絵作りに関してかなり重要な要素なので、確かに面白い試みだぁという感想です。
 撮影の技術や機能が日々進化しているようなので、でできる事とできない事を熟知していれば、作画の負担を軽減でき、演出の幅も広がりそうですね。
 実際、光の処理の中で、影との境目にグラデが入っていたりチラの入り方だったり、こだわりを感じる部分が多々あります。夕日とか本当に綺麗ね。
 シリーズ構成には皐月彩さん。
 経歴は元々脚本家志望だったが、最初はウルトラマンの仕上げ進行から脚本家へ2018年にデビューして今回アニメのシリーズ構成は初になるのかな?って感じです(間違えていたらすみません)。
 一話目であそこまで物語を動かした構成は良かったです。そこから最終話があそこで終わるのも一つの区切りで良かったです。ただ、続きがメッチャ気になってこのまま続編出なかったら嫌だなーって思います(漫画読めば良いんだけどね…)。
 背景と撮影は老舗で安心安全の獏プロダクションさんとトゥインクルさんでした。制作会社が老舗のタツノコプロからの新レーベルからBAKKEN RECORDさん昔から一緒に仕事をしていたんじゃないかなっておもっておりますです。
 背景はテクスチャーが自然で良いですね、綺麗すぎない、使われてきた感じが出ていて雰囲気を感じます。

【Review】

 スポ根ものはどうしてもストーリーラインに既視感が出てしまうものだなと思いました。
 これはもはや受け継がれし伝統ってことでそれ自体で作品が落ちるみたいなことは思いませんが、違いを出さなければ埋もれてしまうのは確かでしょう。
 さて、そうなると視聴してオススメレビューを書いたんだから違いってやつを書かないといけないですね。
 
 まずは、主役たちが女性である点。
 一括りにするのは良くないとは思いますが、概ねリアリストが多い気がしています。これは、男のスポ根ものだったらまず、全国大会優勝で日本一! を目指したり、ちょっとリアルにしても全国出場とかって話になりますよね。
 ところが主人公である園田未知は一度はもう柔道はやらないと決めたけれど、あるきっかけによりやっぱり一本を取りたい。ってところからのモチベーションでした。
 この瞬間の気持ちを大事にする感じが女性らしさでもあると思います。
 そして違いの2点目が、この目標の違いです(現実ではまたちょっと違うけど)。
 少年漫画とも少女漫画とも違う絶妙なバランスでありながら実はここがボリュームゾーンだったりします。
 全国目指してないから本気じゃないって誰が決めた! と私は思います。スポーツを楽しむってそういう事でしょ? そしてそれを描いている作品だと思うので、これで良いと私は思います。

 本当に主人公が等身大でずば抜けた身体能力があるわけでもなく、天才的な技術があるわけでも無い点。
 やっぱり女性の柔道といえば、浦沢直樹さんの『YAWARA』が頭に浮かびますよね? 世代によるか…。あの作品では天才って感じだったような記憶です。帯をギュッとねも身体能力の化物的な印象(懐かしいなおい)。
 スポーツものの主人公でここまで普通だと華が無いって感じてしまうのが普通の感覚かなと思いますが、先述している通り、頑張っている姿を描き、ハラハラする試合を描けていれば作品的に勝ちなので、主人公に魅力があればいいのです。
 そして、天才が同じ部活の中にいるからOKみたいなノリですね。ついでに同じ部活内に天才がいる『ハイキュー!』という作品はバチバチにライバル心を燃やしているが、お互いに切磋琢磨している様子ではあるもののライバルだ! みたいな描写ではないですね。
 どちらも観ていて良い関係だと思えるのは変わりないですが、見せ方は明らかに違うと言って良いです。

 とりあえず、違いについてはここまで。

 さて、ストーリーラインは王道ではありましたが、いかんせんスポーツものは話が長いったらもうね。
 んで、今回12話ではなんと!春から始まって夏までです!
 インターハイ予選と夏の金鷲旗って大会に出たよってところまでです。試合をするとどうしても尺とっちゃいますからね。仕方ないってことでやっぱり12話きついっすわ。
 ってな事で最終回の最後のは夏の金鷲旗で優勝候補と対戦して相手の秘密兵器である留学生のエマ・デュラン。フランス人でした。
 このエマさんも愉快で良いキャラをしていました。スポーツを楽しむことを忘れず一生懸命です。
 
 海外の選手も先述した日本の柔道を体現していたように思えます。
 その道を行く者たちの純粋な姿には心を惹かれずにはいられません。
 2期目には個人的に好きなキャラの南雲安奈ちゃんの活躍がきっと描かれるでしょうから期待しています。
 2期目やらないなら漫画買っちゃうからね!
 本当この後の彼女たちの躍動する姿を見たいと心から思います。

【おわりに】

 作画の事とかキャラの魅力とか掘るところもありましたが、ちょっと疲れちゃったったので、軽くここで。
 作画に関しては、柔道っていうかなり繊細な動きを専門家ではないアニメーターが描くのはかなり大変だったと思います。映像とかいっぱい見て書いたんだと思います。本当に頑張っています。
 絵のキャラデのデフォルメがあれ位で良かった、原作がリアル寄りだったらヤバかったでしょうねw
 南雲安奈もそうですが、途中加入の先輩で姫野紬も良いです。可愛いっていうのもそうですし、面倒見の良い先輩でこんな優しい先輩いたら甘えたくなるだろうなって思いますね。途中加入ってこともあり一歩引いているところもあるけれど、見えないところで頑張っている姿とかキュンとして時雨です。

 あー続きみたい。ただそれだけ。製作委員会様よろしくお願いします。別にスタジオ変わっても良いですし、声優変わっても良いので!

 では、よしなに(笑)

投稿 : 2023/04/23
閲覧 : 98
サンキュー:

9

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