てとてと さんの感想・評価

3.8
物語 : 3.5 作画 : 4.0 声優 : 4.0 音楽 : 3.5 キャラ : 4.0 状態：観終わった

尖った魅力のある異能バトルデスゲーム系。途中までは良かったが完成度低い

※作品データベース様より転載

【良い点】
独創的でインパクトのある設定。
主人公が着ぐるみで、ヒロインがナカに入って一心同体(文字通り)で戦う…
奥手で平凡な少年・修一が異常な状況と異常なヒロイン・クレアに翻弄される様が面白い。
主にクレアの、あざとく狙ったようなセリフ回し(修一の中温かい云々)も独創的かつ変態的なエロスで笑える。
奇抜な設定ながら、ふたりのラブコメバトルによる交流に巧みに活かしていて独特な面白味と同時に、変則的ながらボーイミーツガールはちゃんと見せてくれる。
平凡な修一が異常な非日常に巻き込まれていく緊迫感も(中盤までは)申し分ない。

ヒロイン・クレアの尖った魅力。
可愛いかはさておき、キャラが立ちまくっている。
目的の為ならば手段を択ばぬ苛烈さ、修一のナカに入ってのエキセントリックな言動など、目が離せない。
非日常の異常なヒロインながら、次第に見せる修一への想いで魅力が増してくる。
修一も(中盤までは)臆病だがやる時はやる男で好印象。

その他キャラクターも個性的で、キャラクター中心に話を飽きさせない魅力はある。
ラスボスと思われた花澤ボイスのクレア姉の只者じゃない感とか序盤から興味を惹く。
(ニコニコの視聴者からは)映画泥棒だのミスター・VTRだの言われていた池内君もおもしれー男、彼が一番普通の感性あったような。
女の子は吉岡ちゃんが良い子で一番かわいい、彼女が登場以降、池内も合わせて奇妙なラブコメで話が面白かった。
中ボスのマドカはゲスいチンピラボスながら矜持を見せてカッコイイ、一面的ではない人物の描き方は好印象。
迷惑な悪党なのは否めないが、共感は出来る。

マドカチームを屠った奇策。
甲賀忍法帖や魔法少女育成計画とか、実力者が意外な負け方するのはバトルロイヤル系の醍醐味と見るので、この展開はアリ。
本作が単純な戦闘力では決まらないと印象付けられ、ここからの盛り上がりに期待した。

作画は着ぐるみの描写など本作特有の外連味を活かした白熱のバトルシーン、吉岡ちゃんなど女の子の可愛さ共に高水準。

【悪い点】
後半はキャラクターを持て余し気味。サヤカチームが大して活躍せず解散したり、戦闘狂格闘家の出番がその後無かったり。
前半までの面白そうなキャラクターを、後半のドラマに活かせなかった感。
マドカ戦後の作風が辛気臭い。
サヤカチームも修一も悩んで潰れていく、心情は分かるけれど、物語としては面白くない。
サヤカは支配的な異能や一癖ありそうな性格から見て一波乱期待したが、結局ごく普通の善人で、これでは面白味が無い。

マドカ戦以降が迷走、消化不良のままラスト。
クレア姉と修一の記憶に関する過去の経緯は興味深くはあるが、説明不足で終わってしまった。
過去編が尺不足なのか原作でもこうなのか、雑に感じる。
悪い意味で(そうはならんやろ)と白ける展開多い。

ナナちゃん可愛かったのに殆ど空気。
なにゃこもとい伊藤美来氏だったのに勿体ない。

【総合評価】5～4点
尖った魅力はある力作。
マドカ戦までは間違いなく面白かった。以降右肩下がり。
極黒のブリュンヒルデよりは遙かにマシだけど、1クール作品としては成功とは言い難い。
評価は良し悪し半ばして「普通」

続編あれば評価好転する余地はあるけれど、原作ストック的に厳しそう。
1クールアニメで終わるなら、企画自体が勇み足だったような…