ガタリリス さんの感想・評価
3.8
物語 : 4.0
作画 : 4.5
声優 : 3.5
音楽 : 3.5
キャラ : 3.5
状態:観終わった
地方衰退と工場萌え
映画館にて視聴してきました。
タイトルにある「アリスとテレス」に関しては1ミリも関連がなかったと思うが、どういう意味なのだろうか?w 単に私の認識不足かな。
序盤は衰退著しい地方都市のどんよりとした世界観と、どっしりと佇む巨大な工場が印象深いです。
ここから”空間に亀裂”が入り、パラレルワールド的な話が入って来ます。
本作の舞台は死後の世界という話もあったが、結局の所これも意味が良く分からなかったな。
五実が実は{netabare} 正宗と睦実の間の子供で現実世界(未来){/netabare}からやって来たという話と矛盾するしね。
主人公は中性的な見た目の菊入正宗。
が、内面はとっても男らしい感じがします。
ヒロインの佐上睦実も強気な女の子。
そして、謎の少女・五実はワイルドな野生児といった印象ですね。
本作は主要登場人物が個性豊かで良かったと思いました。
その他、準主要人物の恋模様や、工場関連の登場人物など、この辺は上手く描けていたように感じました。
また、作画も綺麗で特に風景描写が気合入ってたように感じました。
工場内の雑然とした雰囲気などはゲームの『ラスト・オブ・アス』を思わせるような退廃的な独特の空気感が漂ってましたね。
問題はストーリーで、ここが個人的にイマイチな感じがしましたね。
もっと具体的に言うと「悪くはないが、もう一押しの何かが足りない」感じですね。
この”何か”が上手く言語化できないのですが、岡田麿里さんの劇場映画を見ると毎回似たような感想になるんですよね(´・ω・`)
で、肝心のストーリーですが、全体的にどんよりとした雰囲気が漂います。
衰退した地方都市が舞台で、その中にある巨大な工場が大きな存在感を見せています。
この作品の物語には大きく2つの軸があって「主要登場人物の恋愛模様」と「工場を主体とした世界崩壊SFストーリー」ですね。
恋愛とSFが同時並行で進んで行くような物語です。
で、この両方を繋いでいるのが謎の野生児・五実ですね。
本作の世界では空間に亀裂が生じるのですが、その原因はこの世界の住人の”感情の変化”だそうです。
なので世界崩壊を食い止めるためには”変化を拒み”現状を維持することを至上命題としているみたいです。
でも、衰退しきった町にしがみつきたいと思う者の方が少ないらしく、途中から開き直って、みんな好き勝手行動してましたw
つまり、本作のキーは”感情の変化”であり、その爆発によって世界に亀裂が生じたり世界から消去されたりする訳ですね。
問題はこの”感情の変化の描き方”なのですが、これが通俗的過ぎる感じが否めないですね。
「感情の変化=恋愛」みたいな安易な方程式を当て嵌めてるような気がします。
ここをもう少し深堀りして欲しいというか、世界崩壊するくらいインパクトのある理由が欲しい所でした。
上記で書いたイマイチな理由は、あえて言語化するとこういう事なのかなと思いました。
舞台設定や背景描写などは申し分ないと思うので、あとは深みのある内容と説得力のある理由があればパーフェクトだったと思います。
色々と苦言を言う形になってしまいましたが、完成度は非常に高い作品ですので、今後の期待を込めて本作の感想を〆たいと思います。
追記)
本作の裏テーマに「近親相姦とその克服」がある事が分かりました!
五実が正宗を舐めるシーンとか妙に生々しいなと思ってたが、そういう事だったんですねw
私の視聴スタイルとしては事前情報をなるべく入手せずに見るようしてるので、初見での先入観なしの感想を重視してるのですが、これが完全に裏目に出た感じですね。
表のテーマの他に水面下にあるメッセージなどは初見では気付き辛いので、他の方の考察なんかを読んで一度咀嚼してから感想を書いた方が良いかもですね。
上記で書いた五実が正宗を舐めるシーンとか(その後、睦実がブチ切れる)、睦実の「正宗だけは渡さない」とか、今思えば母子間の争いを象徴してるように思えます。
言われて見れば納得と言う感じで、映画館でぼんやり見てる時は気付かなかったですね。
しかし、表面意識では気付かなくても潜在意識では気付いていたらしく、なんとなくぼんやりですが認識していたような気がします。
まあ、これを知ったからと言って作品に対する評価は1ミリも変わらないですが、自戒の意味を込めてあえてこういう事を書き込んで見ました。
以上、拙い感想でした(・ω・)ノ