「夜のクラゲは泳げない(TVアニメ動画)」

総合得点
65.2
感想・評価
73
棚に入れた
334
ランキング
3370
★★★★☆ 3.4 (73)
物語
3.1
作画
3.7
声優
3.4
音楽
3.3
キャラ
3.2

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ネタバレ

ハニワピンコ さんの感想・評価

★★★☆☆ 3.0
物語 : 3.0 作画 : 3.0 声優 : 3.0 音楽 : 3.0 キャラ : 3.0 状態:今観てる

量産型作品

現代、他人の成功や失敗を容易に観測できる中で、勝手に肥大化する自己に何者かという永遠の課題を題材とするアニメにおいて、描かれるキャラの自己実現の方法、それは結局芸術の道である。というのはあまりにも普通

かつてニルヴァーナが『Nevermind』で商業化するロックや技術を競い合うメタルに自己嫌悪と焦燥感を重ねられない奴らの宿木となってしまった様に。誰の助けもなくその憧れさえも潰された男の精神の末路を描き切った『ジョーカー』の様に。若者に限らずいつの時代にもいる、何者でもない自分の孤独に共感して癒してくれる何かとは、普遍的でありながら自分だけが共感できると思えるような新しさを兼ね備えた物だと思っている
前者ならば重い退廃的なサウンドと歌詞ながら聞きやすく、一般人のような格好とスタイルのアンダーグラウンドからでもトップを取れるという希望を抱かせ、後者ならば超有名な悪のカリスマジョーカーの皮を被っていながら等身大で身近でありえる境遇という自己投影のしやすさを備えた、そんな二者のようなムーブメントを引き起こすコンテンツの強さにあるのは、そんな普遍的でありながらの新しさ
対して、今作品で自己表現を叫ぶ若者の描き方として見せられるのは“芸術への道“

そんなはっきり言って先鋭的でもない、使い潰された実現を「量産型にはなりたくない」と叫ばせていながらこの量産型展開
ムーブメントに乗っかっていながらムーブメントを揶揄する矛盾に自己嫌悪を覚えずむしろ我が物顔で展開される文言。キャラ達がというわけではなく、これを書いている脚本家。この作家は『弱キャラ友崎くん』の作者であるが、傾向としては『かぐや様』『推しの子』の赤坂アカと似た現代の価値観を自身の作品に多く取り寄せる現代作家であり、ある種の何者でもない視聴者たちへの啓示の様な、現代の自分たちのような若者(キャラ達)が自己実現に向かう様を見て、多くの人が感化された群れを形成し、自身はアイコンとして代弁者として成るが如き、何者ではない人たちという題材を持ち出してやっているが、その肝心な自己実現の部分が芸術という古来より常道のありふれたやり方で、先駆者気取って一番槍の大手柄を得たと思っているのかも知れないが、この作品は振り返って量産型のたくさん放送された春アニメの中の一つに過ぎなかったと思うのだろう

投稿 : 2024/05/21
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サンキュー:

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