「UN-GO(TVアニメ動画)」

総合得点
72.8
感想・評価
1143
棚に入れた
6622
ランキング
1071
★★★★☆ 3.6 (1143)
物語
3.6
作画
3.5
声優
3.5
音楽
3.6
キャラ
3.6

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あいすまん.第一形態 さんの感想・評価

★★★★★ 4.2
物語 : 4.5 作画 : 4.0 声優 : 4.0 音楽 : 4.5 キャラ : 4.0 状態:観終わった

UN-GO ウンゴって読んだ人はトイレ掃除。

まずは感想を。
とても面白かった。敗戦探偵:結城新十郎 が事件を解決していくのですが、その推理よりもミステリーが見所だと思います。トリックや人物の背景、犯人の動機と主要人物の過去、何より戦後でSFという変な世界観が面白かったです。
推理1本のアニメって金田一くらいしか思い浮かばないんですよねぇ、コナンとかも他の要素が多すぎるし。今だとやっぱり難しいんですかね。 

坂口安吾の推理小説が原作なのですが、原型は留めていませんでした。 文学作品をそのままアニメ化した青い文学と比べると、本当に冒険したなぁと思います。
トリックの原案と人物の名前、宗教団体の構成あたりですかね、昔に読んだので曖昧ですが。 
 
扱われる技術や外観は近未来的で無機質なのに、人物の考え方や社会の体系は古臭いままでねちっこい。
この変な世界観が自分は好きで、第3、4話はそれが強く描かれていてすごく面白かったです。自分に合うかどうかはこの辺りまで見て決めればいいと思います。
OP、EDも作品によく合ってますね。EDが特にお薦めで、第3話のEDへの入り方は格好良すぎました。


で、ここからはひたすら原作:安吾捕物帳を褒める話になるんですが。

1951年に連載が始まったこの小説、当時ではかなり革新的な推理小説だったそうです。

読者を楽しませること、探偵が超人的すぎないこと、事件解決までのロジックがきちんとしていることなどに気を遣ったらしく、「無頼派」と呼ばれ海外の文化にも精通していた安吾ならではの作品ですね。 探偵が殺人事件に巻き込まれて、推理して事件解決なんてアニメよりもよっぽど凝っていて面白いですよ。

この小説何がすごいかって、名探偵:新十郎が物語にほとんど登場してこないんですw 冒頭で決まってある刑事が明治の識者:勝海舟の自宅を訪問し、事件を解いてくれと泣きついてきます。 海舟がどれ聞かせてみなさいと言うと、刑事は事件の概要を話しはじめます。ようやくと話終えると、実はこの段階でページがあと2割くらいしか残っていないんです。
つまり絵的にはすでに8割以上を2人のおっさんで過ごしているんです、新しすぎる・・。

一通りの概要を聞くと、さすが勝海舟。事件の犯人、トリック、動機をつらつらと話し始め、刑事は必死にそれを頭に留めます。探偵に先を越されまいとすぐに現場に向かうのですが、その場にはすでに新十郎が。
刑事はそこで受け売りの推理を披露するのですが、毎回少しだけおかしな所が見つかる。そこに新十郎が「海舟先生は現場にいらっしゃらないから・・・」なんて言いながら推理を訂正して、みごとに事件を解決してみせます。 その話を聞いた勝海舟が負け惜しみと言い訳をたれながら、刑事がうんうんとうなずいて幕は閉じます。
とうとうおっさん2人の会話の中だけで、まるまる話が終わってしまいました。
 
毎回このお決まりパターンなんですが、見ていく内にどんどん癖になってきます。新十郎の海舟への確かな尊敬とちょっとした皮肉、人間味あふれる登場人物、よく凝った事件とその時代背景。 全然このままでもアニメ化できると思うんですけどね。
推理を2度楽しめるのも当時では画期的なんでしょうね。自分で予想して海舟の推理でなるほど、で今回の間違っているところは何処か・・考えて、新十郎と最後の答え合わせ。 
中には催眠術がトリックなんて突飛な物もありますが、ご愛嬌ってことでw

興味が湧いたら読んでみて下さい、ということです。

 

投稿 : 2012/07/13
閲覧 : 331
サンキュー:

21

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