「EXMACHINA-APPLESEED SAGA[エクスマキナ・アップルシード サガ](アニメ映画)」

総合得点
61.6
感想・評価
67
棚に入れた
301
ランキング
5212
★★★★☆ 3.7 (67)
物語
3.6
作画
3.9
声優
3.6
音楽
3.6
キャラ
3.7

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ネタバレ

hiroshi5 さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0
物語 : 3.5 作画 : 4.5 声優 : 4.0 音楽 : 4.0 キャラ : 4.0 状態:観終わった

バイオロイドという種族

あの攻殻機動隊の原作者である士郎正宗のもう一つの作品。

攻殻機動隊の世界観と一部同化してあり、同じ会社などが両方の作品に登場する。

作品内容は戦闘を核としたアクション映画と分類するべき。
攻殻機動隊で描かれるような哲学的内容には殆ど触れない。

人類の永久的平和を構成するため、個人差を無くすという社会システム論を応用したようなイカレ作戦を展開する。自我を無くして何を基に幸福論を語るのかは理解出来ないが、世界規模で問題が発生するというスケールのデカイアクションがしたかったのはよくわかった。

結果、物語はどこかで見た事のある様なシーンとセリフ満載のオリジナリティーに欠ける作品になった。

マトリックスとほぼ被っているシーンも多々あり、「これならマトリックス見た方がまだ良いわ〜」ってのが感想。

3Dの作画も良いのだが、この質ならまだ実写の方がかっこいいと思ってしまう。
やはり、部分的に2Dにした方が全体的にキレイに纏まる気がする。

音楽は質も高いし、作品ともマッチしていて良かった。


作品のテーマからはあまり得るものはなかったが、それでもバイオロイドという攻殻でも詳しく描写されていない新しい要素が具体的にピックアップされていて良かった。

憎悪という感情を持たないが、外見は人間と同じという新世代を担うクローン人間がバイオロイドだ。
しかし、彼らが現実世界に登場することは科学技術を達成しても無いかもしれない。また、もし現実世界に生産されることになれば、彼らバイオロイドたちは苦悩を抱えることになるだろう。

悪の感情とは人間の最大の欠点でありながら、人間を人間として決定付ける最重要要素だ。
善としての感情だけで普通の人間は生命活動を行うことができない。それは、人間が「葛藤」を知り、それを乗り越えることで成長する生き物だからだ。

「束縛」を知らずに「自由」を知り得ないのと同じで、「悪」を知らずに「善」を認知することなど不可能だ。

バイオロイドは生まれながらにして、神の求める存在であり、存在であり続ける。

醜い人間達の憎しみの連鎖を断ち切り、優しさで人類を包容する。それが彼らの存在意義であり、存在することから見出される価値だろう。

しかし、考えてみると、バイオロイドは感情を持ち合わせた完璧なる善者。
試合に負けても相手の強さを褒めたえ、裏切られても相手を正当化する。かといって、自分を責める訳でもなく、世界に蔓延する「善」の存在を肯定し続け、「悪」を否定し続ける。

これはどこからどう見ても、悪を知らない偽善者であり、単なる平和バカだ。

試合に負ければ相手を憎み、自分を責め、己を奮い立たせる。古来から続く動物の本能だ。これが人間の成長と進化を促進させた最大の能力。

バイオロイドは人間と分かち合えない。それがバイオロイドの苦悩だ。
彼らはまったくの別の種族として地球に偏在することになるだろう。

彼らの世界には戦争は無いかもしれないが、生物としての進歩無い。平和を平和として感じることすら出来ない平和過ぎる世界が構築されるだろう。


もしそんな世界が構築されたのなら、生きる意味を是非問いかけてみたい。

投稿 : 2012/11/09
閲覧 : 323
サンキュー:

5

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