退会済のユーザー さんの感想・評価
4.0
物語 : 4.0
作画 : 3.5
声優 : 4.5
音楽 : 4.0
キャラ : 4.0
状態:観終わった
何が本当かなんてあんたなんかに決めさせない
原作は未読です。
一話・二話はクソアニメにしか見えなかったんですが、それ以降尻上がりで面白くなりました。
本作が本領を発揮し始めるのは・・・後半からですね。
ミステリーとしちゃ致命的な問題はありますけど、それ以上に内容が面白かったので良しとします。時事ネタアニメとしても面白かったですしね(笑)日付をずらすソフトウェアとか検察ネタやり始めるし(笑)ブラックな時事ネタも多くて非常に楽しかったです。
ただ本作が何をやりたかったのか?と言う事を突き詰めていくと、凄く難しい作品ではあると思う。
本作は戦後における価値観の大転換が人を苦悩させる様を描いていて、もちろんそれはそれで面白いんだけど、戦後で近未来で現代の情報社会をテーマにして時事ネタ満載、しかも因果や別天王といったオカルトな存在がいる上に、堕落論まで展開するので何が言いたいのかちょっと分かりづらかった。
別天王は言葉を現実にする特殊能力を持っていますが、これはおそらく日本の古い価値観を神聖視させる根源であると同時にマスメディアの隠喩であろうと思います。
人は真実より大義名分や美談というものを好む上に自分の考えに合う憶測ばかりを信じます、自分に都合の悪い真実には目を向けません。しかし一方でマスメディア懐疑論者ほどマスメディアは中立であるべきだと訴えますが、そもそも情報発信者によって様々な見方があるので中立性というものを求めても難しいことであることを考えていません。震災や外交問題において全て情報を開示するということも不可能です。陰謀論やデマを真に受けて、理不尽な糾弾をし続ける人たちは結局はマスメディアに翻弄されている人種にすぎません。
なので、何故真実を求めるのか?という事が問われます。
真実を暴露することは必ずしもプラスにはならない、それが本作では一貫して描かれているだけにそこが多分重要です。
なんだかんだで堕落論に繋がっていくわけですけど、これが上手く噛み合っているかどうか私には判断しかねるところです。メディアや固定観念に縛られる余り人の本質が見えなくなってしまうような非人間的社会は歪であるということが言いたかったのかな。だからこそ主人公は真実が受け容れられる極めて人間的な社会を標榜したのではないかと個人的にはそう思います。簡単そうに見えてやや難解なアニメではありましたが、少し頭を捻ってみれば結構面白かったんじゃないでしょうか。
あと映画も見ないとこの作品は完成されたものとなりません。
テレビアニメ版を見終わった後がいいのかな?とりあえずセットで見る事をオススメします。